TCGplayerより。
マルチレベル・シンキング実践編。
4年越しになってしまいましたが、以下の記事の続編です。
http://radish.diarynote.jp/201208170309509174/
※以下の記事の中にも書かれている通り、用語の解説がありますので先に読んでおいた方が良いかもしれません。
出てくる事例はM13発売当時のものですが、考え方は時代によらず使えるのかなと思います。
長くなって前後半に分かれてしまいましたが、昔の環境なので、よく見る土地(ベーシック、フェッチ、ショック、デュアル)以外の問題文に出てくるカードは効果を載せるようにしました。
※「訳注:画像あり」としたところに原文では盤面の画像や写真があり、文中で述べられている以上に詳しい情報が読み取れます。じっくり考えたい方はそちらもご覧ください。
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Multilevel Thinking Part 2: Seven Walkthroughs
Craig Wescoe
8/16/2012 8:54:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10647
マルチレベル・シンキングの理論を紹介した先週の記事が好評だったので、今週は同じトピックをより深く掘り下げる記事を書くことにした。ゲーム中の様々な場面でこの理論をどう活用すれば良いか、7つの事例を通して見ていこうと思う。
先週は理論を紹介し、重要な用語を概説して、それぞれのレベルでの思考プロセスがどのようなものかを述べた。今回の記事はそれらを前提にするので、よく理解するためにはまず前回の記事を一読することをお勧めする。
出てくる事例ごとにいったん立ち止まり、自分ならどんな方針でプレイするか、マルチレベル・シンキングをどう使えば正しいプレイを導き出せるかを考えてみてほしい。その後で、私がマルチレベル・シンキングをどう適用して正しいプレイに至るか見てみよう。
あなたが様々な状況で最適なプレイを見定める能力を強化したいなら、この理論は役に立つ道具だ。実践してみることで直観的に使えるようになり、ゲームの幅が広がり、勝利も増えることになるはずだ。
レベル0:私は何を持っているか?
レベル1:(公開情報を超えて)相手は何を持っているか?
レベル2:(相手にとっての公開情報を超えて)私が何を持っていると相手は考えているか?
レベル3:相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
レベル4:私が持っていることを相手が予想しているだろうと私が考えているカードは何だと相手は考えているか?
レベル5+:相手はレベル4以上を使っているか?
(※訳注:レベル3は「私のレベル1の思考を相手はどう読んでいるか?」、レベル4は「私のレベル2の思考を相手はどう読んでいるか?」と捉えると分かりやすい、かもしれません・・・。)
事例1:レッドゾーンに乗り込む豚たちにまつわるアブナイ話
M13ドラフト。今はこちらの4ターン目の第1メインフェイズ。
こちらの戦場はMogg Flunkies、Flinthoof Boar、山、山、森。手札はYeva’s Forcemage、Turn to Slag、Rummaging Goblin、Rancor、森、森。
相手の手札は3枚。相手の場の沼、沼、山、Reckless Brute、Tormented Soul、Dark FavorがエンチャントされたTormented Soulは全てタップ状態。
相手のライフは13でこちらは6だ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
レベル0の思考では、まず森のプレイは確実で、Rancorをプレイしつつどちらの3マナクリーチャーを出すかが考えどころ、ということになるだろう。次のターンにもう一方のクリーチャーかTurn to Slagの選択肢がある。
相手は次のターン、2体のTormented Soulでこちらのライフを1まで落とすことができる。どちらもブロックはできず、いますぐ対処は不可能なので、こちらは少なくとも次のターンに相手を倒せる状況に持ち込む必要がある。さらに相手の次のターンを生き抜くことも必要だ。今の手札でそれを実現するには、相手のReckless Bruteに対するブロッカーを用意するしかない。しかし、Mogg FlunkiesやFlinthoof Boarをブロッカーにするわけにはいかない。次のターンに相手を倒せる状況にするには、このターンは2体ともアタックする必要があるからだ。
レベル0の思考では、Reckless Bruteへのブロッカーとしてどちらの3マナクリーチャーをプレイするか、というところで煮詰まってしまう。どちらが正解か答えるにはレベル1の思考が必要になる。
相手の持ちうるカードは何か、がレベル1の問いだ。彼がMurderかSearing Spearを持っている場合、どちらのクリーチャーを出してもこちらは死ぬ。これではどちらが良いか判断する役には立たない。
考える意味があるのは、Yeva’s Forcemageが持っている相手の裏をかく要素だ。例えば、相手は次のターンにブロッカーを出し、ぎりぎり生き残れるようにダメージを減らしてくる可能性がある。これを+2/+2(とRancorのトランプル)で打ち破れるかもしれない。それ以外の要素をどう考えても手の善し悪しの判断がつかないなら、これは次の一手を決める根拠になるだろう。しかし、相手は正しいプレイをしてくる、つまり手札の中で最大限ダメージを減らせるクリーチャーを出してくると想定すべきだ。それに、もし相手がブロッカーを出すプランなら、こちらにはTurn to Slagがある。結局、どちらのクリーチャーを出しても相手を倒してしまうだろう。
最もケアするに値するカードはCower in Fearだ。こちらがゴブリンを出した場合はFearを使われたら負けてしまうが、腕力魔道士はタフネスが1高いのでFearを耐えることができる。
したがって、ここで使うべきレベルは1で、森→Mogg FlunkiesにRancor→Yeva’s Forcemageを出す(対象はどちらでもOK)→アタック→エンド→BruteをForcemageでブロック、というプレイになる。このプレイで相手の持ちうるほとんどのカードの組み合わせを打ち破ることができ、他のレベルを使う必要はない。
(※訳注:Cower in Fearは原文ではCrippling Blightになっていますが、元記事のコメント欄で著者の補足があり、Crippling Blightは誤りでCower in Fearに読み替えるのが正しいとのことです。訳文では訂正することにしました。)
事例2:キキジキと村人たち
モダン。ナヤ殻を使うLSVが相手の1ゲーム目。こちらは自前のアグロロックを使っている。相手のライフは11でこちらは16。相手も自分も手札は3枚。
相手のボードは、山、Stomping Ground、Grove of the Burnwillowsがタップ状態、Sacred Foundry、Arid Mesa、Village Bell-Ringer、Restoration Angel、Eternal Witnessがアンタップ状態だ。直前のターンにEternal Witnessを出してArid Mesaを拾い、すぐにプレイしてきた。相手の手札にKiki-Jiki, Mirror Breakerがいることは(前に思考囲いしたので)知っており、残り2枚は不明だが土地ではないはずだ(土地ならすぐに出してキキジキ+天使のコンボでやられていたはず)。
今はこちらの第1メインフェイズ。
こちらのボードは、平地、Godless Shrine、Treetop Village、Horizon Canopy、Birds of Paradise、Birds of Paradise、Noble Hierarch、4体のスピリットトークンで、全てアンタップ状態。
手札は、森、Tarmogoyf、Zealous Persecutionだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
レベル0の思考では、まず森をプレイすることは確実。それによりこのターン8マナが使え、手札のスペルの一方または両方をプレイ、Horizon Canopyの起動、Treetop Villageの起動やアタックなどが可能で、いろいろなアクションの組み合わせが考えられる。
まず考えるべきなのは、このターンに叩き出せる最大ダメージはいくつか、という問いだ。
森をプレイしてTreetop Villageを起動、Zealous Persecutionをプレイしてオールアタックすると、こちらの2/2スピリットトークン×4、パワー1のマナ生物×3、4/4トランプルのミシュラランドに対して、相手は0/3のBell-Ringerと2/3飛行の天使、という状況になる。ダメージを最大限防ぐには、スピリットトークンを天使で、TreetopをBell-Ringerでブロックすることになるだろう。相手が何も持っていないとすると、これでちょうど1ライフまで追い詰められる。1ライフまで落とせるのは大きく、Arid Mesaを起動できなくなるので4マナのままキキジキをプレイできない状態を続けさせられる。
レベル1の思考では、相手がキキジキに加えて何を持っているかを考えることになる。Path to Exileや稲妻を持たれていた場合、Horizon Canopyを起動して回答を引かない限りこちらは死ぬ(48枚のライブラリのうち6枚――Path to Exile4枚とSlaughter Pact2枚――が回答だ)。より勝率が高いのはどちらのプレイか考えよう:48枚中6枚(12.5%)の回答をトップしてキキジキに対処するか、それとも相手に稲妻もPathもなく、さらにキキジキプレイに必要なアンタップインの土地も引かれないことを期待するか?
標準的なナヤ殻には概ね4枚のPathかBolt、7枚のアンタップイン土地が入っていると予想され、アンタップイン土地のうち1枚(山)は既に場に出ている。相手が次のターンにライブラリ48枚のうち6枚のアンタップ土地を引く確率は12.5%で、(先ほど思考囲いで手札を見た後の)3ターンのうちにBoltかPathを引かれた確率は24%だ(4/51 + 4/50 + 4/49)。つまり、「1ライフまで落とす」プランは 24% + 12.5% = 36.5% の確率で負けることになる。これは間違いなく除去をトップできずに負ける確率87.5%よりも良い。そのため、1ライフに落とすプレイをするのが良いということになる。この事例ではレベル0とレベル1の思考が同じ結論に至る。
事例3:ヘルカイトで急げ
M13ドラフト。今はこちらの第1メインフェイズ。相手はライフ8で手札なし、こちらはライフ10で手札はSearing Spear、山、Thundermaw Hellkiteだ。
相手のボードは、森2枚、平地3枚、Griffin Protectorがタップ状態、森1枚、Guardinans of Akrasa、Primal Huntbeast、Sentinel Spiderがアンタップ状態。
こちらのボードは、沼4枚、山2枚、Crimson Muckwader、Rummaging Goblinだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
相手のライブラリトップ以外の情報が全て明らかになっているので、これは明らかにレベル0のプレイをする場面だ。山とThundermaw Hellkiteを出し、Searing Spear用のマナを立てる。そしてヘルカイトでアタック。相手がブロックしなければSpearで焼いて終わり。簡単だろう?
違う。
プレイミスに気づいただろうか?
ミスは戦闘前に土地を置いたことで、なぜこれがミスなのか理解するにはレベル2の問いが必要となる。こちらが何を持っていると相手は考えているか、だ。
土地をRummaging Goblinの能力で捨てずに場に出したことで、抜け目のない相手なら、追加の土地を出す方がライブラリのカード1枚と交換するよりもこちらにとって価値があるということに気づくだろう(価値がないなら捨てない理由がない)。相手が「追加の土地が意味を持つカードとは何か」と考えると、もっともあり得そうなのはSearing Spearだ(コモンなので)。
もし相手のデッキにヘルカイトへの回答が入っているなら、間違いなくSpiderでチャンプブロックして、その回答を引くためのドローステップを迎えようとしてくるだろう。
別の道を考えよう。ヘルカイトをプレイして、手札2枚と立っている沼1枚という状態になったとき、相手から見れば、すぐに死ぬのはこちらが山+Searing Spearの組み合わせを持っているケース(あるいはEssence Drainで次のターンに死ぬケース)だけだ。これはかなり可能性が低い。
相手がブロックしなければこちらの勝ちなので、相手がブロックしない確率を最大化することに全力を注ぎたい。土地を持ったままにすればこの確率は大きくなり、土地を出せば小さくなる。この事例ではレベル2の思考によって正しいプレイを導き出すことができる。
注記:ここでもう一つ考えておいても良いのは、相手に抜け目がないと分かっていて、こちらの手札にSearing Spearがない場合は、土地を出してヘルカイトをブロックするように仕向けた方が良いということだ。相手がこちらの動きを読んでいて、適切な思考レベルを見い出せたとしても、うまくいくかどうかは実際にプレイする前によく考える必要がある。
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(後半へ続く)
http://radish.diarynote.jp/201607091512388163/
マルチレベル・シンキング実践編。
4年越しになってしまいましたが、以下の記事の続編です。
http://radish.diarynote.jp/201208170309509174/
※以下の記事の中にも書かれている通り、用語の解説がありますので先に読んでおいた方が良いかもしれません。
出てくる事例はM13発売当時のものですが、考え方は時代によらず使えるのかなと思います。
長くなって前後半に分かれてしまいましたが、昔の環境なので、よく見る土地(ベーシック、フェッチ、ショック、デュアル)以外の問題文に出てくるカードは効果を載せるようにしました。
※「訳注:画像あり」としたところに原文では盤面の画像や写真があり、文中で述べられている以上に詳しい情報が読み取れます。じっくり考えたい方はそちらもご覧ください。
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Multilevel Thinking Part 2: Seven Walkthroughs
Craig Wescoe
8/16/2012 8:54:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10647
マルチレベル・シンキングの理論を紹介した先週の記事が好評だったので、今週は同じトピックをより深く掘り下げる記事を書くことにした。ゲーム中の様々な場面でこの理論をどう活用すれば良いか、7つの事例を通して見ていこうと思う。
先週は理論を紹介し、重要な用語を概説して、それぞれのレベルでの思考プロセスがどのようなものかを述べた。今回の記事はそれらを前提にするので、よく理解するためにはまず前回の記事を一読することをお勧めする。
出てくる事例ごとにいったん立ち止まり、自分ならどんな方針でプレイするか、マルチレベル・シンキングをどう使えば正しいプレイを導き出せるかを考えてみてほしい。その後で、私がマルチレベル・シンキングをどう適用して正しいプレイに至るか見てみよう。
あなたが様々な状況で最適なプレイを見定める能力を強化したいなら、この理論は役に立つ道具だ。実践してみることで直観的に使えるようになり、ゲームの幅が広がり、勝利も増えることになるはずだ。
レベル0:私は何を持っているか?
レベル1:(公開情報を超えて)相手は何を持っているか?
レベル2:(相手にとっての公開情報を超えて)私が何を持っていると相手は考えているか?
レベル3:相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
レベル4:私が持っていることを相手が予想しているだろうと私が考えているカードは何だと相手は考えているか?
レベル5+:相手はレベル4以上を使っているか?
(※訳注:レベル3は「私のレベル1の思考を相手はどう読んでいるか?」、レベル4は「私のレベル2の思考を相手はどう読んでいるか?」と捉えると分かりやすい、かもしれません・・・。)
事例1:レッドゾーンに乗り込む豚たちにまつわるアブナイ話
M13ドラフト。今はこちらの4ターン目の第1メインフェイズ。
こちらの戦場はMogg Flunkies、Flinthoof Boar、山、山、森。手札はYeva’s Forcemage、Turn to Slag、Rummaging Goblin、Rancor、森、森。
相手の手札は3枚。相手の場の沼、沼、山、Reckless Brute、Tormented Soul、Dark FavorがエンチャントされたTormented Soulは全てタップ状態。
相手のライフは13でこちらは6だ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
Mogg Flunkies / モグの下働き (1)(赤)
クリーチャー ― ゴブリン(Goblin)
モグの下働きは、単独では攻撃したりブロックしたりできない。
3/3
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mogg%20Flunkies/
Flinthoof Boar / 火打ち蹄の猪 (1)(緑)
クリーチャー ― 猪(Boar)
火打ち蹄の猪は、あなたが山(Mountain)をコントロールしているかぎり+1/+1の修整を受ける。
(赤):火打ち蹄の猪はターン終了時まで速攻を得る。(このターン、それは攻撃したり(T)したりできる。)
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Flinthoof%20Boar/
Yeva’s Forcemage / イェヴァの腕力魔道士 (2)(緑)
クリーチャー ― エルフ(Elf) シャーマン(Shaman)
イェヴァの腕力魔道士が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Yeva%27s+Forcemage/
Turn to Slag / 金屑化 (3)(赤)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。金屑化はそれに5点のダメージを与える。それにつけられているすべての装備品(Equipment)を破壊する。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Turn+to+Slag/
Rummaging Goblin / かき回すゴブリン (2)(赤)
クリーチャー ― ゴブリン(Goblin) ならず者(Rogue)
(T),カードを1枚捨てる:カードを1枚引く。
1/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rummaging%20Goblin/
Rancor / 怨恨 (緑)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rancor/
Reckless Brute / 無謀な粗暴者 (2)(赤)
クリーチャー ― オーガ(Ogre) 戦士(Warrior)
速攻(このクリーチャーは、あなたのコントロール下になってすぐに攻撃したり(T)したりできる。)
無謀な粗暴者は可能なら毎ターン攻撃する。
3/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Reckless%20Brute/
Tormented Soul / 苛まれし魂 (黒)
クリーチャー ― スピリット(Spirit)
苛まれし魂ではブロックできず、それはブロックされない。
1/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tormented%20Soul/
Dark Favor / 闇の好意 (1)(黒)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
闇の好意が戦場に出たとき、あなたは1点のライフを失う。
エンチャントされているクリーチャーは+3/+1の修整を受ける。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dark%20Favor/
レベル0の思考では、まず森のプレイは確実で、Rancorをプレイしつつどちらの3マナクリーチャーを出すかが考えどころ、ということになるだろう。次のターンにもう一方のクリーチャーかTurn to Slagの選択肢がある。
相手は次のターン、2体のTormented Soulでこちらのライフを1まで落とすことができる。どちらもブロックはできず、いますぐ対処は不可能なので、こちらは少なくとも次のターンに相手を倒せる状況に持ち込む必要がある。さらに相手の次のターンを生き抜くことも必要だ。今の手札でそれを実現するには、相手のReckless Bruteに対するブロッカーを用意するしかない。しかし、Mogg FlunkiesやFlinthoof Boarをブロッカーにするわけにはいかない。次のターンに相手を倒せる状況にするには、このターンは2体ともアタックする必要があるからだ。
レベル0の思考では、Reckless Bruteへのブロッカーとしてどちらの3マナクリーチャーをプレイするか、というところで煮詰まってしまう。どちらが正解か答えるにはレベル1の思考が必要になる。
相手の持ちうるカードは何か、がレベル1の問いだ。彼がMurderかSearing Spearを持っている場合、どちらのクリーチャーを出してもこちらは死ぬ。これではどちらが良いか判断する役には立たない。
考える意味があるのは、Yeva’s Forcemageが持っている相手の裏をかく要素だ。例えば、相手は次のターンにブロッカーを出し、ぎりぎり生き残れるようにダメージを減らしてくる可能性がある。これを+2/+2(とRancorのトランプル)で打ち破れるかもしれない。それ以外の要素をどう考えても手の善し悪しの判断がつかないなら、これは次の一手を決める根拠になるだろう。しかし、相手は正しいプレイをしてくる、つまり手札の中で最大限ダメージを減らせるクリーチャーを出してくると想定すべきだ。それに、もし相手がブロッカーを出すプランなら、こちらにはTurn to Slagがある。結局、どちらのクリーチャーを出しても相手を倒してしまうだろう。
最もケアするに値するカードはCower in Fearだ。こちらがゴブリンを出した場合はFearを使われたら負けてしまうが、腕力魔道士はタフネスが1高いのでFearを耐えることができる。
したがって、ここで使うべきレベルは1で、森→Mogg FlunkiesにRancor→Yeva’s Forcemageを出す(対象はどちらでもOK)→アタック→エンド→BruteをForcemageでブロック、というプレイになる。このプレイで相手の持ちうるほとんどのカードの組み合わせを打ち破ることができ、他のレベルを使う必要はない。
(※訳注:Cower in Fearは原文ではCrippling Blightになっていますが、元記事のコメント欄で著者の補足があり、Crippling Blightは誤りでCower in Fearに読み替えるのが正しいとのことです。訳文では訂正することにしました。)
事例2:キキジキと村人たち
モダン。ナヤ殻を使うLSVが相手の1ゲーム目。こちらは自前のアグロロックを使っている。相手のライフは11でこちらは16。相手も自分も手札は3枚。
相手のボードは、山、Stomping Ground、Grove of the Burnwillowsがタップ状態、Sacred Foundry、Arid Mesa、Village Bell-Ringer、Restoration Angel、Eternal Witnessがアンタップ状態だ。直前のターンにEternal Witnessを出してArid Mesaを拾い、すぐにプレイしてきた。相手の手札にKiki-Jiki, Mirror Breakerがいることは(前に思考囲いしたので)知っており、残り2枚は不明だが土地ではないはずだ(土地ならすぐに出してキキジキ+天使のコンボでやられていたはず)。
今はこちらの第1メインフェイズ。
こちらのボードは、平地、Godless Shrine、Treetop Village、Horizon Canopy、Birds of Paradise、Birds of Paradise、Noble Hierarch、4体のスピリットトークンで、全てアンタップ状態。
手札は、森、Tarmogoyf、Zealous Persecutionだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
Grove of the Burnwillows / 燃え柳の木立ち
土地
(T):あなたのマナ・プールに(◇)を加える。
(T):あなたのマナ・プールに(赤)か(緑)を加える。各対戦相手は1点のライフを得る。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Grove%20of%20the%20Burnwillows/
Village Bell-Ringer / 村の鐘鳴らし (2)(白)
クリーチャー ― 人間(Human) スカウト(Scout)
瞬速(あなたはこの呪文を、あなたがインスタントを唱えられるときならいつでも唱えてよい。)
村の鐘鳴らしが戦場に出たとき、あなたがコントロールするすべてのクリーチャーをアンタップする。
1/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Village%20Bell-Ringer/
Restoration Angel / 修復の天使 (3)(白)
クリーチャー ― 天使(Angel)
瞬速
飛行
修復の天使が戦場に出たとき、あなたがコントロールする天使(Angel)でないクリーチャー1体を対象とする。あなたはそれを追放し、その後そのカードをあなたのコントロール下で戦場に戻してもよい。
3/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Restoration%20Angel/
Eternal Witness / 永遠の証人 (1)(緑)(緑)
クリーチャー ― 人間(Human) シャーマン(Shaman)
永遠の証人が戦場に出たとき、あなたの墓地にあるカード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたの手札に戻してもよい。
2/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Eternal%20Witness/
Kiki-Jiki, Mirror Breaker / 鏡割りのキキジキ (2)(赤)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー ― ゴブリン(Goblin) シャーマン(Shaman)
速攻
(T):あなたがコントロールする、伝説でないクリーチャー1体を対象とする。それのコピーであるトークンを1体戦場に出す。そのトークンは速攻を持つ。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Kiki-Jiki%2C%20Mirror%20Breaker/
Treetop Village / 樹上の村
土地
樹上の村はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(緑)を加える。
(1)(緑):樹上の村は、ターン終了時までトランプルを持つ緑の3/3の類人猿(Ape)クリーチャーになる。それは土地でもある。(それが、自身をブロックしているすべてのクリーチャーを破壊するのに十分な戦闘ダメージを割り振る場合、あなたはその残りのダメージを防御プレイヤーかプレインズウォーカーに割り振ってもよい。)
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Treetop%20Village/
Horizon Canopy / 地平線の梢
土地
(T),1点のライフを支払う:あなたのマナ・プールに(緑)か(白)を加える。
(1),(T),地平線の梢を生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Horizon%20Canopy/
Birds of Paradise / 極楽鳥 (緑)
クリーチャー ― 鳥(Bird)
飛行
(T):あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。
0/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Birds%20of%20Paradise/
Noble Hierarch / 貴族の教主 (緑)
クリーチャー ― 人間(Human) ドルイド(Druid)
賛美(あなたがコントロールするいずれかのクリーチャーが単独で攻撃するたび、そのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。)
(T):あなたのマナ・プールに(緑)か(白)か(青)を加える。
0/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Noble%20Hierarch/
Tarmogoyf / タルモゴイフ (1)(緑)
クリーチャー ― ルアゴイフ(Lhurgoyf)
タルモゴイフのパワーは、すべての墓地にあるカードのカード・タイプの数に等しく、タフネスはその点数に1を加えた点数に等しい。
*/1+*
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tarmogoyf/
Zealous Persecution / 盲信的迫害 (白)(黒)
インスタント
ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは+1/+1の修整を受けるとともに、あなたの対戦相手がコントロールするクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Zealous%20Persecution/
レベル0の思考では、まず森をプレイすることは確実。それによりこのターン8マナが使え、手札のスペルの一方または両方をプレイ、Horizon Canopyの起動、Treetop Villageの起動やアタックなどが可能で、いろいろなアクションの組み合わせが考えられる。
まず考えるべきなのは、このターンに叩き出せる最大ダメージはいくつか、という問いだ。
森をプレイしてTreetop Villageを起動、Zealous Persecutionをプレイしてオールアタックすると、こちらの2/2スピリットトークン×4、パワー1のマナ生物×3、4/4トランプルのミシュラランドに対して、相手は0/3のBell-Ringerと2/3飛行の天使、という状況になる。ダメージを最大限防ぐには、スピリットトークンを天使で、TreetopをBell-Ringerでブロックすることになるだろう。相手が何も持っていないとすると、これでちょうど1ライフまで追い詰められる。1ライフまで落とせるのは大きく、Arid Mesaを起動できなくなるので4マナのままキキジキをプレイできない状態を続けさせられる。
レベル1の思考では、相手がキキジキに加えて何を持っているかを考えることになる。Path to Exileや稲妻を持たれていた場合、Horizon Canopyを起動して回答を引かない限りこちらは死ぬ(48枚のライブラリのうち6枚――Path to Exile4枚とSlaughter Pact2枚――が回答だ)。より勝率が高いのはどちらのプレイか考えよう:48枚中6枚(12.5%)の回答をトップしてキキジキに対処するか、それとも相手に稲妻もPathもなく、さらにキキジキプレイに必要なアンタップインの土地も引かれないことを期待するか?
標準的なナヤ殻には概ね4枚のPathかBolt、7枚のアンタップイン土地が入っていると予想され、アンタップイン土地のうち1枚(山)は既に場に出ている。相手が次のターンにライブラリ48枚のうち6枚のアンタップ土地を引く確率は12.5%で、(先ほど思考囲いで手札を見た後の)3ターンのうちにBoltかPathを引かれた確率は24%だ(4/51 + 4/50 + 4/49)。つまり、「1ライフまで落とす」プランは 24% + 12.5% = 36.5% の確率で負けることになる。これは間違いなく除去をトップできずに負ける確率87.5%よりも良い。そのため、1ライフに落とすプレイをするのが良いということになる。この事例ではレベル0とレベル1の思考が同じ結論に至る。
事例3:ヘルカイトで急げ
M13ドラフト。今はこちらの第1メインフェイズ。相手はライフ8で手札なし、こちらはライフ10で手札はSearing Spear、山、Thundermaw Hellkiteだ。
相手のボードは、森2枚、平地3枚、Griffin Protectorがタップ状態、森1枚、Guardinans of Akrasa、Primal Huntbeast、Sentinel Spiderがアンタップ状態。
こちらのボードは、沼4枚、山2枚、Crimson Muckwader、Rummaging Goblinだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
Searing Spear / 灼熱の槍 (1)(赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。灼熱の槍はそれに3点のダメージを与える。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Searing%20Spear/
Thundermaw Hellkite / 雷口のヘルカイト (3)(赤)(赤)
クリーチャー ― ドラゴン(Dragon)
飛行
速攻(このクリーチャーは、あなたのコントロール下になってすぐに攻撃したり(T)したりできる。)
雷口のヘルカイトが戦場に出たとき、それはあなたの対戦相手がコントロールする飛行を持つ各クリーチャーにそれぞれ1点のダメージを与える。それらのクリーチャーをタップする。
5/5
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Thundermaw%20Hellkite/
Griffin Protector / 庇護のグリフィン (3)(白)
クリーチャー ― グリフィン(Griffin)
飛行
他のクリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたび、庇護のグリフィンはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
2/3
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Griffin%20Protector/
Guardians of Akrasa / アクラサの守護者 (2)(白)
クリーチャー ― 人間(Human) 兵士(Soldier)
防衛(このクリーチャーは攻撃できない。)
賛美(あなたがコントロールするいずれかのクリーチャーが単独で攻撃するたび、そのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。)
0/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Guardians%20of%20Akrasa/
Primal Huntbeast / 原初の狩猟獣 (3)(緑)
クリーチャー ― ビースト(Beast)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
3/3
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Primal%20Huntbeast/
Sentinel Spider / 歩哨蜘蛛 (3)(緑)(緑)
クリーチャー ― 蜘蛛(Spider)
警戒(このクリーチャーは攻撃してもタップしない。)
到達(このクリーチャーは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)
4/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Sentinel%20Spider/
Crimson Muckwader / 真紅の汚水這い (1)(赤)
クリーチャー ― トカゲ(Lizard)
真紅の汚水這いは、あなたが沼(Swamp)をコントロールしているかぎり+1/+1の修整を受ける。
(2)(黒):真紅の汚水這いを再生する。(このターン、次にこのクリーチャーが破壊される場合、それは破壊されない。代わりに、それをタップし、それに与えられているダメージをすべて取り除き、それを戦闘から取り除く。)
2/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Crimson%20Muckwader/
相手のライブラリトップ以外の情報が全て明らかになっているので、これは明らかにレベル0のプレイをする場面だ。山とThundermaw Hellkiteを出し、Searing Spear用のマナを立てる。そしてヘルカイトでアタック。相手がブロックしなければSpearで焼いて終わり。簡単だろう?
違う。
プレイミスに気づいただろうか?
ミスは戦闘前に土地を置いたことで、なぜこれがミスなのか理解するにはレベル2の問いが必要となる。こちらが何を持っていると相手は考えているか、だ。
土地をRummaging Goblinの能力で捨てずに場に出したことで、抜け目のない相手なら、追加の土地を出す方がライブラリのカード1枚と交換するよりもこちらにとって価値があるということに気づくだろう(価値がないなら捨てない理由がない)。相手が「追加の土地が意味を持つカードとは何か」と考えると、もっともあり得そうなのはSearing Spearだ(コモンなので)。
もし相手のデッキにヘルカイトへの回答が入っているなら、間違いなくSpiderでチャンプブロックして、その回答を引くためのドローステップを迎えようとしてくるだろう。
別の道を考えよう。ヘルカイトをプレイして、手札2枚と立っている沼1枚という状態になったとき、相手から見れば、すぐに死ぬのはこちらが山+Searing Spearの組み合わせを持っているケース(あるいはEssence Drainで次のターンに死ぬケース)だけだ。これはかなり可能性が低い。
相手がブロックしなければこちらの勝ちなので、相手がブロックしない確率を最大化することに全力を注ぎたい。土地を持ったままにすればこの確率は大きくなり、土地を出せば小さくなる。この事例ではレベル2の思考によって正しいプレイを導き出すことができる。
注記:ここでもう一つ考えておいても良いのは、相手に抜け目がないと分かっていて、こちらの手札にSearing Spearがない場合は、土地を出してヘルカイトをブロックするように仕向けた方が良いということだ。相手がこちらの動きを読んでいて、適切な思考レベルを見い出せたとしても、うまくいくかどうかは実際にプレイする前によく考える必要がある。
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(後半へ続く)
http://radish.diarynote.jp/201607091512388163/
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