StarCityGamesより。
Why You Winという考え方。
これを間違えて何度負けたか分かりません・・・。
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Why You Win
CARSTEN KOTTER
2013/08/30
http://www.starcitygames.com/article/26809_Why-You-Win.html
今日はデッキ構築からゲーム中のプレイングまで幅広く応用できる、とても基本的な考え方について話そうと思う。僕はこの考え方のことを「なぜ勝てるのか」(Why You Win)と呼んでいる。
簡単に答えられる問いに見えるかもしれない――1ターン目デルバーがあるからさ!――だけどこの考え方を身につけておけば、よく知らないデッキを使っている(あるいは相手にしている)ときでも勝てるようになり、難しい局面で最善手を見つけるのに役立ち、より容易くデッキを変えたり効率良くチューニングできるようになる。つまり、知っておいて損はないってことさ。
もう少しはっきりさせておこう。今日話そうとしているのはある1ゲームに勝つためのテクニックのことじゃない。ヴェンディリオンをプレイする正しいタイミング、どのスペルをカウンターすべきか、Giant Growthのブラフの仕方、あるいはメインフェイズに動くべき状況についての話じゃない。
自分のデッキが機能するために必要な要素は何か、どのようなゲームなら勝てるのか(望むべきゲームとは)、そしてどのように負けるのか、そんな話をしようと思う。自分のデッキについて、そしていろいろな対戦相手のデッキについてこれらを考えておくことで、デッキ構築やプレイ中に正しい判断をする大きな助けになるだろう。
準備はいいかい?よし、はじめよう。
Why You Winのこころ
Why You Winは非常に基本的な考え方――Jon Finkelが雄弁に語っていた「何が重要か」を見極める方法の一つだ。かの記事"Who’s the beatdown"と同様、Why You Winはゲーム全体を照らす指針のもとに判断を下すための考え方だ。あの偉大な古典は「役割を見誤ること=敗北」だと教えてくれた。一方、Why You Winの背後にある思想はこれだ:
「強みを誤解すること=敗北」
これは何を言っているのだろう?ゲーム中に何か判断するというのは、先に進む道を一つ選ぶということだ。その道で自分のデッキの強みを発揮できない場合、じわじわと自滅することになってしまう。
一つ局面を見てみよう。たぶん読者の多くは近い経験をしたことがあると思う。
あなたは(昔ながらのZooのような)赤ベースのアグロデッキを使っていて1体のWild Nacatl(3/3)と1体のKird Ape(2/3)を出しており、手札は空。マーベリックを使う相手のライフは6で、直前にKnight of the Reliquary(5/5)を1体出してきたところだ。凶暴に2体でアタックしてナカティルと2ダメージを交換することもできるし、追加のクリーチャーを引いて盤面で圧倒するまでじっと待つこともできる。
どうすべきだろう?
このマッチアップの経験があれば答えは簡単だね:2体で殴り、FireblastかPrice of Progress、あるいは稲妻2枚トップでの勝ちを狙う。しかしどうしてこれが正しいのだろう?
よく考えてみると、相手にただ2ダメージを与えるだけのために、たくさんの道筋について思いを巡らせていることが分かる。
自分のデッキの動きを知っていることがカギだ。ここで使っているような高速Zooは盤面構築型のマーベリックのようなデッキがゲーム終盤に繰り出してくるクリーチャーには勝てないだろう。生物によるラッシュで十分なダメージを稼ぎ、大きなクリーチャーに制圧される前に火力でゲームを終わらせるのがZooの勝ち筋になる。これこそ「Zooはなぜ勝てるのか」であり、「あなたは何を目指してプレイすべきか」なんだ!
もう少し複雑な例として、僕の愛するPIF Tendrilsを取り上げよう(まさにPast in Flames Tendrilsという動きをするので今後はこう呼ぼうと思ってる)。
Ad Nauseam Tendrils
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 7/28/2013
lands (15)
1 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《Badlands》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《Tropical Island》
2 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
spells (45)
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
3 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
2 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
1 《むかつき/Ad Nauseam》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
2 《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4 《強迫/Duress》
1 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1 《炎の中の過去/Past in Flames》
4 《思案/Ponder》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
sideboard
1 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3 《ザンティッドの大群/Xantid Swarm》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
3 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
たった6枚しか妨害手段を持たないこのデッキが約2倍の妨害インスタントを積んだテンポデッキとどうやって渡り合うのか、不思議じゃないかな?
このデッキは複数のスペルを組み合わせて解決させなきゃならず、そのうち1枚を止められたら動かない。それがどうしてカウンターと手札破壊を両方積んだEsper Deathbladeのようなデッキに対して有利になるんだろうか?
このデッキがどうやって勝つかを見てみよう。簡単に分かる答えは「大量の儀式とチューターのキャストによって」だね。だけどこの回答は物事を深く見ていない。
このデッキが勝てる本当の理由は「カードの質のアドバンテージを得られるから」だ。
ライブラリ操作とキャントリップを大量に搭載し、さらに無視して良いカードが多いため、ゲームを進めるうちに自分の手札が相手よりも良いものになるのはほとんど必然と言っていい。こちらの手札が相手の手札を凌駕し、相手の対抗策全てを打ち破れる(そしてそのまま倒せる)状況、これこそが真に狙うべき地点だ。
逆のケースも見てみよう。Why You Winを誤解したときどのようにして負けるのか。取り上げるのはDeath and Taxesだ:
Death and Taxes
Micah Greenbaum
5th Place at StarCityGames.com Legacy Open on 8/25/2013
lands (23)
9 《平地/Plains》
1 《魂の洞窟/Cavern of Souls》
1 《地平線の梢/Horizon Canopy》
4 《リシャーダの港/Rishadan Port》
4 《不毛の大地/Wasteland》
1 《永岩城/Eiganjo Castle》
3 《Karakas》
creatures (27)
4 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
2 《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》
1 《悪鬼の狩人/Fiend Hunter》
3 《ちらつき鬼火/Flickerwisp》
3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
4 《ルーンの母/Mother of Runes》
4 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2 《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor》
4 《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
spells (10)
4 《霊気の薬瓶/AEther Vial》
1 《殴打頭蓋/Batterskull》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1 《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
sideboard
1 《万力鎖/Manriki-Gusari》
1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
1 《レオニンの遺物囲い/Leonin Relic-Warder》
2 《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》
1 《絶対の法/Absolute Law》
2 《忘却の輪/Oblivion Ring》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2 《大変動/Cataclysm》
1 《太陽の槍/Sunlance》
このデッキは第一印象では白ウィニーに見える。しかしこれを小型クリーチャーによるビートダウンデッキとしてプレイしてしまうと――マナカーブとダメージ効率を優先してしまうと――ほとんどのマッチで悲惨なプレイをすることになってしまうだろう。このデッキが勝てる理由はダメージ量ではない。
デスタクは白ウィニーではなくプリズンデッキだと見るべきだ。このデッキはマナ拘束とうっとうしいヘイトベアを大量搭載して相手のゲームプランを機能不全にさせ、ほとんど何もできなくなるまで選択肢を狭めた上で小さな生物でチクチクと相手を倒す。つまり、デスタクのWhy You Winは「相手の有効な手をなくせるから」であり、相手の手を制限するプレイを常に最優先して選ぶべきだ。
「これがこのデッキのプランだよ」とWhy You Winをシンプルに言えないこともある。相手のデッキによって変わるケースも多い。ゴブリンを例に挙げよう。
じっくり戦うミッドレンジデッキが相手の場合、ふつうGoblin RingleaderによるカードアドバンテージがWhy You Winになる。カウンターできない2/2速攻生物付きのFact or Fictionを何度もプレイすることで、堅実に進める相手に対して1ゲームを通じて3枚、5枚、あるいはそれ以上の枚数差をつけられる。レガシーのコントロールデッキすら上回るドロー能力は幅広いマッチアップでゴブリンの強みになっている。そのため、通常はじっくりと盤面を築き、マナを伸ばし、時が来たら相手を圧倒するという方針を採る。
しかし、このプランでは駄目なマッチアップもある。例えば上に挙げたPIF Tendrilsを相手にしている場合だ。4マナに達してリングリーダーをキャストする頃にはテンドリルで死んでしまう。こういうゲームではカードドローは明らかにWhy You Winではない。
ストームデッキを倒すなら、こちらが死ぬより前に相手を殺さなきゃならない――完全にレースゲームになる。Why You Winはダメージ量だ。このマッチアップではゴブリンデッキのアグロコンボの側面に目を向けるべきで、ラッキーを引いてパイルドライバーを展開し、4ターンキルすることを狙う。合間に不毛やリシャポで相手を遅らせるのも正解だが、最速キルの手を緩めて別の何かをプレイすることはほとんど常に裏目に出るだろう。ストームに挑むなら、相手が勝つ前にこちらが確実に勝ち切る必要がある。心構え、マリガン、キャストする/場に出すカードは全て可能な限り早い勝利に向かうものでなければならない。
自分のメインプランは変えないのに、相手のプラン(Why They Win)に合わせる必要のあるデッキもある。奇跡を使っている場面を見てみよう:
U/W Miracles
Joe Lossett
1st Place at Miscellaneous on 8/4/2013
lands (23)
4 《島/Island》
2 《平地/Plains》
1 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2 《秘教の門/Mystic Gate》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《Tundra》
2 《Volcanic Island》
2 《Karakas》
creatures (4)
3 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
planeswalkers (3)
3 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
spells (30)
4 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4 《相殺/Counterbalance》
1 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
1 《対抗呪文/Counterspell》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
3 《Force of Will》
1 《誤った指図/Misdirection》
2 《呪文貫き/Spell Pierce》
3 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
2 《天使への願い/Entreat the Angels》
1 《至高の評決/Supreme Verdict》
3 《終末/Terminus》
sideboard
2 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《誤った指図/Misdirection》
1 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《赤霊破/Red Elemental Blast》
1 《摩耗/Wear》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
1 《天使への願い/Entreat the Angels》
ゲームプランは常に一つだ:生き延びるためにリソースを使い、土地を並べ、相手のやりたいことを全て阻止する。しかしWhy You Winは向かい合っている相手次第で大きく変わる。ライブラリ操作と妨害スペルを正しく使うことができるのは自分が何をすべきか理解している場合のみだ。
典型的なミッドレンジデッキ――例えばマーベリック――が相手なら、白1マナでボード全体に回答し(Terminusのことだよ)、そこから大量の天使トークンやジェイスというボムで速やかにゲームを終わらせられること、これがWhy You Winになる。したがって、このマッチアップで目指すべきなのはTerminusとEntreatをライブラリトップに用意して守ることだ。これで最適なタイミングで相手を吹き飛ばすことができる。相手は全力でこれらのカードのキャストを阻止しにくる。
奇跡の相手がコンボになるとWhy You Winはガラリと変わる。ボードを綺麗にしてボムを投下することではなく、相手がまったく動けない状態を目指すことになる。相殺独楽によるロックの完成や妨害手段満載の手札を揃えることが焦点となり、いったんそうなってしまえば相手は死んだも同然、脅威を解決させてゲームを終わらせるだけだ。
Why You Winを使う
記事の冒頭で言ったように、Why You Winを知ることはデッキ構築からプレイ中の決断までトーナメントのほぼ全ての場面で役に立つ。実際どう役に立つかを場面別に説明していこう。
デッキ構築
Why You Winを理解すればデッキ構築の多くの落とし穴を避けられる。Why You Winを考えることで不要なカードが見えるようになり、デッキの強みが最大限に活きる状況を作り出す構築に集中できる。
一つの例はAdam Prosakのキャントリップ16枚型ANTだ。このデッキは相手よりも強い手札を揃えることで勝つという点を彼は見極め、デッキの手札調整能力を最大化することに全力を傾けた。初手の時点で既に相手よりも良いハンドになる(コンボ対策が入っていない相手との)マッチアップでの安定性に問題があったけど、持久戦をしたいデッキにとってこれほど相手にしたくないデッキはないだろう。ターンエンドするたびにキャントリップをキャストされ、Adamの手札の質はあっという間にこちらを上回ってしまう。
同様に、RUG Delverは相手の序盤の動きを阻害することで勝つという点を理解すれば、最近どうして(ほぼ?)みんながStifleを抜かなくなったのか腑に落ちるはずだ。相手のセットランドを妨害できなければRUGの手札は速やかに死に札となり、勝利するまでクロックを守り切ることが不可能になる。RUG Delverは相手の足回りを奪うから勝つ。クリーチャーが強力だから勝つわけじゃない。こういう知恵がデッキリストに反映されるのは当然だよね。
サイドボーディング
サイドボードの構築や実際のサイドボーディングでもWhy You Winに気をつけよう。なんとエルフに対してANTがキャントリップをサイドのボブと交換しているのを見たことがある。手札破壊がセラピー2枚しかない相手にスニークショーが白力線を入れるというのもあった。これらのカードによって1回勝てたとしても、その間に3回かそれ以上負けることになる。これらはゲームプランを推し進めるスペルではないからだ。そのために抜いたカードとは違ってね。
ANTやスニークショーは仕掛けるために必要なコンボパーツを安定して見つけられるから勝つ。メインからどの1枚を抜いてもデッキは弱くなるんだ(正しくメインが組まれていれば)。カードをサイドと交換した方が良いのは、対処できない脅威(ガドックや相殺など)があり、勝つまでの道のりに「コンボ対策を破る」が追加される場合だ。限定的な場面で役に立つカードを即サイドインしてメインのカードを抜いてしまうのは間違っている。
サイドボーディングとサイドボード構築では、目の前に向かい合う対戦相手に対してなぜ勝てるのかを明らかにしなきゃならない。それが分かったら、勝利へのプランに合わないカードを抜き、特にそのマッチアップでのプランに合ったカードを入れよう。
そう、言うは易しだね。だけどこれは覚えておいてほしい。あるカードをサイドインすべきかどうか分からないとき、勝利までのプランをどうサポートしてくれるかはっきり見えないなら入れない方がいい。
マリガン判断
相手が何を使っているか分かっているなら、その相手に対するWhy You Winに気を配ろう。分かりやすいこともあるね――ベルチャー相手の後攻なら、Force of Willをキャストできるから勝つ。ならばウィルを求めてマリガンだ。
奇跡を使っている場合、たいていは独楽がデッキを超強化するから勝つ。だから土地と独楽という初手はほとんどの場合キープだ。(ベルチャーみたいな)特別な場合を除いてね。
勝つために特殊なゲームプランが必要になることもある。例えばEsper Deathbladeの初手が土地3枚、手札破壊2枚、死儀礼1枚、ジェイス1枚だったとしよう。通常これは素晴らしい手札だ――相手の手札を攻めて3ターン目ジェイスで勝ち――しかし相手がマーフォークだとジェイスへの妨害を引かれる可能性が高く、Deathbladeが勝つのは難しくなる。この場合は石鍛冶を解決させてバターを出すか大量のソープロと瞬唱のキャストによって勝つことになる。ハンデス死儀礼ジェイスという手札はこのゲームプランとは程遠く、したがってマリガンすべきだ。
ゲーム中の判断
どんなデッキを使っていたとしてもゲーム中の判断はWhy You Winの影響を受けるはずだ。あらゆるデッキが少なくとも1つは勝利への道筋を持っている。それに従うのが重要だ。ベルチャーはスピードによって勝つ。だからオールインすべきかどうかという選択の余地はない。スニークショーは巨大生物を可能な限り早く叩きつけることで勝つ。だから全てのアクションはその瞬間に向かっていくべきだ。
多くのデッキ(「一直線」ではないデッキ)には進める方向が複数ある。そういうデッキにとって各マッチアップでWhy You Winを考えることは特に重要だ。その考え次第でゲーム全体の流れが決まる。
例えばRUG Delverを使っていて初手にStifleとデルバーがあるとしよう。すぐにデルバーを出すべきだろうか、それともフェッチを止めるために土地を立てておくべきだろうか?
マッチアップによって答えは変わる。相手がZooの場合は純粋なデルバービートで勝利できる可能性は極めて低い。Zooが動き出せば虫を殺すかダメージレースを仕掛けてくることがほとんどだろう。一方でZooは土地がとても少なく、さらにフェッチを多く積んでいる。通常、RUG側の最善手はZooをマナスクリューさせて時間を稼ぎ、カウンターによる防御付きのデルバーを展開することだ。
一方、相手がハイタイドの場合は土地を止めることが勝利にまったく結びつかない。ハイタイドには基本土地とフェッチがたくさん入っていて、大量のキャントリップで追加の土地を探すのも容易だ。ハイタイドに対しては、ソフトカウンターをケアできないほどこちらのクロックのプレッシャーが大きいから勝つんだ。そのため1ターン目にデルバーを展開してStifleはその後のフェッチを止めるために使うのが正しいプレイになる。
もう勝てたかな?
まとめると、Why You Winは自分のデッキにとって正しい土俵を選び、こちらの強みと相手の弱みが出る状況を作るための考え方だ。
盤面を支配できるから、あるいは妨害パーマネントの組み合わせで相手をロックできるから勝つデッキがある。相手を押しつぶすほどのカードアドバンテージで勝つデッキもある。相手のボードでは何もできないように妨害して合間に出した生物で勝つデッキもあるし、相手よりも良い手札を揃えることで勝つデッキもある。
自分のデッキがなぜ勝てるのかを理解することはプレイングと構築を最適化するための文字通り足場になる。一般的にも、目の前のマッチアップにおいても、常に自分のプランが何なのかを把握しよう。見極めたゴールに向かう判断をしていこう。
今日はこの辺で。すごく基本的な話だったけど楽しんでもらえたら嬉しいよ――ご意見があればどうぞコメントを。
また次回。Win your way!
Carsten Kotter
Why You Winという考え方。
これを間違えて何度負けたか分かりません・・・。
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Why You Win
CARSTEN KOTTER
2013/08/30
http://www.starcitygames.com/article/26809_Why-You-Win.html
今日はデッキ構築からゲーム中のプレイングまで幅広く応用できる、とても基本的な考え方について話そうと思う。僕はこの考え方のことを「なぜ勝てるのか」(Why You Win)と呼んでいる。
簡単に答えられる問いに見えるかもしれない――1ターン目デルバーがあるからさ!――だけどこの考え方を身につけておけば、よく知らないデッキを使っている(あるいは相手にしている)ときでも勝てるようになり、難しい局面で最善手を見つけるのに役立ち、より容易くデッキを変えたり効率良くチューニングできるようになる。つまり、知っておいて損はないってことさ。
もう少しはっきりさせておこう。今日話そうとしているのはある1ゲームに勝つためのテクニックのことじゃない。ヴェンディリオンをプレイする正しいタイミング、どのスペルをカウンターすべきか、Giant Growthのブラフの仕方、あるいはメインフェイズに動くべき状況についての話じゃない。
自分のデッキが機能するために必要な要素は何か、どのようなゲームなら勝てるのか(望むべきゲームとは)、そしてどのように負けるのか、そんな話をしようと思う。自分のデッキについて、そしていろいろな対戦相手のデッキについてこれらを考えておくことで、デッキ構築やプレイ中に正しい判断をする大きな助けになるだろう。
準備はいいかい?よし、はじめよう。
Why You Winのこころ
Why You Winは非常に基本的な考え方――Jon Finkelが雄弁に語っていた「何が重要か」を見極める方法の一つだ。かの記事"Who’s the beatdown"と同様、Why You Winはゲーム全体を照らす指針のもとに判断を下すための考え方だ。あの偉大な古典は「役割を見誤ること=敗北」だと教えてくれた。一方、Why You Winの背後にある思想はこれだ:
「強みを誤解すること=敗北」
これは何を言っているのだろう?ゲーム中に何か判断するというのは、先に進む道を一つ選ぶということだ。その道で自分のデッキの強みを発揮できない場合、じわじわと自滅することになってしまう。
一つ局面を見てみよう。たぶん読者の多くは近い経験をしたことがあると思う。
あなたは(昔ながらのZooのような)赤ベースのアグロデッキを使っていて1体のWild Nacatl(3/3)と1体のKird Ape(2/3)を出しており、手札は空。マーベリックを使う相手のライフは6で、直前にKnight of the Reliquary(5/5)を1体出してきたところだ。凶暴に2体でアタックしてナカティルと2ダメージを交換することもできるし、追加のクリーチャーを引いて盤面で圧倒するまでじっと待つこともできる。
どうすべきだろう?
このマッチアップの経験があれば答えは簡単だね:2体で殴り、FireblastかPrice of Progress、あるいは稲妻2枚トップでの勝ちを狙う。しかしどうしてこれが正しいのだろう?
よく考えてみると、相手にただ2ダメージを与えるだけのために、たくさんの道筋について思いを巡らせていることが分かる。
自分のデッキの動きを知っていることがカギだ。ここで使っているような高速Zooは盤面構築型のマーベリックのようなデッキがゲーム終盤に繰り出してくるクリーチャーには勝てないだろう。生物によるラッシュで十分なダメージを稼ぎ、大きなクリーチャーに制圧される前に火力でゲームを終わらせるのがZooの勝ち筋になる。これこそ「Zooはなぜ勝てるのか」であり、「あなたは何を目指してプレイすべきか」なんだ!
もう少し複雑な例として、僕の愛するPIF Tendrilsを取り上げよう(まさにPast in Flames Tendrilsという動きをするので今後はこう呼ぼうと思ってる)。
Ad Nauseam Tendrils
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 7/28/2013
lands (15)
1 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《Badlands》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《Tropical Island》
2 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
spells (45)
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
3 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
2 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
1 《むかつき/Ad Nauseam》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
2 《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4 《強迫/Duress》
1 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1 《炎の中の過去/Past in Flames》
4 《思案/Ponder》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
sideboard
1 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3 《ザンティッドの大群/Xantid Swarm》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
3 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
たった6枚しか妨害手段を持たないこのデッキが約2倍の妨害インスタントを積んだテンポデッキとどうやって渡り合うのか、不思議じゃないかな?
このデッキは複数のスペルを組み合わせて解決させなきゃならず、そのうち1枚を止められたら動かない。それがどうしてカウンターと手札破壊を両方積んだEsper Deathbladeのようなデッキに対して有利になるんだろうか?
このデッキがどうやって勝つかを見てみよう。簡単に分かる答えは「大量の儀式とチューターのキャストによって」だね。だけどこの回答は物事を深く見ていない。
このデッキが勝てる本当の理由は「カードの質のアドバンテージを得られるから」だ。
ライブラリ操作とキャントリップを大量に搭載し、さらに無視して良いカードが多いため、ゲームを進めるうちに自分の手札が相手よりも良いものになるのはほとんど必然と言っていい。こちらの手札が相手の手札を凌駕し、相手の対抗策全てを打ち破れる(そしてそのまま倒せる)状況、これこそが真に狙うべき地点だ。
逆のケースも見てみよう。Why You Winを誤解したときどのようにして負けるのか。取り上げるのはDeath and Taxesだ:
Death and Taxes
Micah Greenbaum
5th Place at StarCityGames.com Legacy Open on 8/25/2013
lands (23)
9 《平地/Plains》
1 《魂の洞窟/Cavern of Souls》
1 《地平線の梢/Horizon Canopy》
4 《リシャーダの港/Rishadan Port》
4 《不毛の大地/Wasteland》
1 《永岩城/Eiganjo Castle》
3 《Karakas》
creatures (27)
4 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
2 《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》
1 《悪鬼の狩人/Fiend Hunter》
3 《ちらつき鬼火/Flickerwisp》
3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
4 《ルーンの母/Mother of Runes》
4 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2 《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor》
4 《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
spells (10)
4 《霊気の薬瓶/AEther Vial》
1 《殴打頭蓋/Batterskull》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1 《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
sideboard
1 《万力鎖/Manriki-Gusari》
1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
1 《レオニンの遺物囲い/Leonin Relic-Warder》
2 《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》
1 《絶対の法/Absolute Law》
2 《忘却の輪/Oblivion Ring》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2 《大変動/Cataclysm》
1 《太陽の槍/Sunlance》
このデッキは第一印象では白ウィニーに見える。しかしこれを小型クリーチャーによるビートダウンデッキとしてプレイしてしまうと――マナカーブとダメージ効率を優先してしまうと――ほとんどのマッチで悲惨なプレイをすることになってしまうだろう。このデッキが勝てる理由はダメージ量ではない。
デスタクは白ウィニーではなくプリズンデッキだと見るべきだ。このデッキはマナ拘束とうっとうしいヘイトベアを大量搭載して相手のゲームプランを機能不全にさせ、ほとんど何もできなくなるまで選択肢を狭めた上で小さな生物でチクチクと相手を倒す。つまり、デスタクのWhy You Winは「相手の有効な手をなくせるから」であり、相手の手を制限するプレイを常に最優先して選ぶべきだ。
「これがこのデッキのプランだよ」とWhy You Winをシンプルに言えないこともある。相手のデッキによって変わるケースも多い。ゴブリンを例に挙げよう。
じっくり戦うミッドレンジデッキが相手の場合、ふつうGoblin RingleaderによるカードアドバンテージがWhy You Winになる。カウンターできない2/2速攻生物付きのFact or Fictionを何度もプレイすることで、堅実に進める相手に対して1ゲームを通じて3枚、5枚、あるいはそれ以上の枚数差をつけられる。レガシーのコントロールデッキすら上回るドロー能力は幅広いマッチアップでゴブリンの強みになっている。そのため、通常はじっくりと盤面を築き、マナを伸ばし、時が来たら相手を圧倒するという方針を採る。
しかし、このプランでは駄目なマッチアップもある。例えば上に挙げたPIF Tendrilsを相手にしている場合だ。4マナに達してリングリーダーをキャストする頃にはテンドリルで死んでしまう。こういうゲームではカードドローは明らかにWhy You Winではない。
ストームデッキを倒すなら、こちらが死ぬより前に相手を殺さなきゃならない――完全にレースゲームになる。Why You Winはダメージ量だ。このマッチアップではゴブリンデッキのアグロコンボの側面に目を向けるべきで、ラッキーを引いてパイルドライバーを展開し、4ターンキルすることを狙う。合間に不毛やリシャポで相手を遅らせるのも正解だが、最速キルの手を緩めて別の何かをプレイすることはほとんど常に裏目に出るだろう。ストームに挑むなら、相手が勝つ前にこちらが確実に勝ち切る必要がある。心構え、マリガン、キャストする/場に出すカードは全て可能な限り早い勝利に向かうものでなければならない。
自分のメインプランは変えないのに、相手のプラン(Why They Win)に合わせる必要のあるデッキもある。奇跡を使っている場面を見てみよう:
U/W Miracles
Joe Lossett
1st Place at Miscellaneous on 8/4/2013
lands (23)
4 《島/Island》
2 《平地/Plains》
1 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2 《秘教の門/Mystic Gate》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《Tundra》
2 《Volcanic Island》
2 《Karakas》
creatures (4)
3 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
planeswalkers (3)
3 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
spells (30)
4 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4 《相殺/Counterbalance》
1 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
1 《対抗呪文/Counterspell》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
3 《Force of Will》
1 《誤った指図/Misdirection》
2 《呪文貫き/Spell Pierce》
3 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
2 《天使への願い/Entreat the Angels》
1 《至高の評決/Supreme Verdict》
3 《終末/Terminus》
sideboard
2 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《誤った指図/Misdirection》
1 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《赤霊破/Red Elemental Blast》
1 《摩耗/Wear》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
1 《天使への願い/Entreat the Angels》
ゲームプランは常に一つだ:生き延びるためにリソースを使い、土地を並べ、相手のやりたいことを全て阻止する。しかしWhy You Winは向かい合っている相手次第で大きく変わる。ライブラリ操作と妨害スペルを正しく使うことができるのは自分が何をすべきか理解している場合のみだ。
典型的なミッドレンジデッキ――例えばマーベリック――が相手なら、白1マナでボード全体に回答し(Terminusのことだよ)、そこから大量の天使トークンやジェイスというボムで速やかにゲームを終わらせられること、これがWhy You Winになる。したがって、このマッチアップで目指すべきなのはTerminusとEntreatをライブラリトップに用意して守ることだ。これで最適なタイミングで相手を吹き飛ばすことができる。相手は全力でこれらのカードのキャストを阻止しにくる。
奇跡の相手がコンボになるとWhy You Winはガラリと変わる。ボードを綺麗にしてボムを投下することではなく、相手がまったく動けない状態を目指すことになる。相殺独楽によるロックの完成や妨害手段満載の手札を揃えることが焦点となり、いったんそうなってしまえば相手は死んだも同然、脅威を解決させてゲームを終わらせるだけだ。
Why You Winを使う
記事の冒頭で言ったように、Why You Winを知ることはデッキ構築からプレイ中の決断までトーナメントのほぼ全ての場面で役に立つ。実際どう役に立つかを場面別に説明していこう。
デッキ構築
Why You Winを理解すればデッキ構築の多くの落とし穴を避けられる。Why You Winを考えることで不要なカードが見えるようになり、デッキの強みが最大限に活きる状況を作り出す構築に集中できる。
一つの例はAdam Prosakのキャントリップ16枚型ANTだ。このデッキは相手よりも強い手札を揃えることで勝つという点を彼は見極め、デッキの手札調整能力を最大化することに全力を傾けた。初手の時点で既に相手よりも良いハンドになる(コンボ対策が入っていない相手との)マッチアップでの安定性に問題があったけど、持久戦をしたいデッキにとってこれほど相手にしたくないデッキはないだろう。ターンエンドするたびにキャントリップをキャストされ、Adamの手札の質はあっという間にこちらを上回ってしまう。
同様に、RUG Delverは相手の序盤の動きを阻害することで勝つという点を理解すれば、最近どうして(ほぼ?)みんながStifleを抜かなくなったのか腑に落ちるはずだ。相手のセットランドを妨害できなければRUGの手札は速やかに死に札となり、勝利するまでクロックを守り切ることが不可能になる。RUG Delverは相手の足回りを奪うから勝つ。クリーチャーが強力だから勝つわけじゃない。こういう知恵がデッキリストに反映されるのは当然だよね。
サイドボーディング
サイドボードの構築や実際のサイドボーディングでもWhy You Winに気をつけよう。なんとエルフに対してANTがキャントリップをサイドのボブと交換しているのを見たことがある。手札破壊がセラピー2枚しかない相手にスニークショーが白力線を入れるというのもあった。これらのカードによって1回勝てたとしても、その間に3回かそれ以上負けることになる。これらはゲームプランを推し進めるスペルではないからだ。そのために抜いたカードとは違ってね。
ANTやスニークショーは仕掛けるために必要なコンボパーツを安定して見つけられるから勝つ。メインからどの1枚を抜いてもデッキは弱くなるんだ(正しくメインが組まれていれば)。カードをサイドと交換した方が良いのは、対処できない脅威(ガドックや相殺など)があり、勝つまでの道のりに「コンボ対策を破る」が追加される場合だ。限定的な場面で役に立つカードを即サイドインしてメインのカードを抜いてしまうのは間違っている。
サイドボーディングとサイドボード構築では、目の前に向かい合う対戦相手に対してなぜ勝てるのかを明らかにしなきゃならない。それが分かったら、勝利へのプランに合わないカードを抜き、特にそのマッチアップでのプランに合ったカードを入れよう。
そう、言うは易しだね。だけどこれは覚えておいてほしい。あるカードをサイドインすべきかどうか分からないとき、勝利までのプランをどうサポートしてくれるかはっきり見えないなら入れない方がいい。
マリガン判断
相手が何を使っているか分かっているなら、その相手に対するWhy You Winに気を配ろう。分かりやすいこともあるね――ベルチャー相手の後攻なら、Force of Willをキャストできるから勝つ。ならばウィルを求めてマリガンだ。
奇跡を使っている場合、たいていは独楽がデッキを超強化するから勝つ。だから土地と独楽という初手はほとんどの場合キープだ。(ベルチャーみたいな)特別な場合を除いてね。
勝つために特殊なゲームプランが必要になることもある。例えばEsper Deathbladeの初手が土地3枚、手札破壊2枚、死儀礼1枚、ジェイス1枚だったとしよう。通常これは素晴らしい手札だ――相手の手札を攻めて3ターン目ジェイスで勝ち――しかし相手がマーフォークだとジェイスへの妨害を引かれる可能性が高く、Deathbladeが勝つのは難しくなる。この場合は石鍛冶を解決させてバターを出すか大量のソープロと瞬唱のキャストによって勝つことになる。ハンデス死儀礼ジェイスという手札はこのゲームプランとは程遠く、したがってマリガンすべきだ。
ゲーム中の判断
どんなデッキを使っていたとしてもゲーム中の判断はWhy You Winの影響を受けるはずだ。あらゆるデッキが少なくとも1つは勝利への道筋を持っている。それに従うのが重要だ。ベルチャーはスピードによって勝つ。だからオールインすべきかどうかという選択の余地はない。スニークショーは巨大生物を可能な限り早く叩きつけることで勝つ。だから全てのアクションはその瞬間に向かっていくべきだ。
多くのデッキ(「一直線」ではないデッキ)には進める方向が複数ある。そういうデッキにとって各マッチアップでWhy You Winを考えることは特に重要だ。その考え次第でゲーム全体の流れが決まる。
例えばRUG Delverを使っていて初手にStifleとデルバーがあるとしよう。すぐにデルバーを出すべきだろうか、それともフェッチを止めるために土地を立てておくべきだろうか?
マッチアップによって答えは変わる。相手がZooの場合は純粋なデルバービートで勝利できる可能性は極めて低い。Zooが動き出せば虫を殺すかダメージレースを仕掛けてくることがほとんどだろう。一方でZooは土地がとても少なく、さらにフェッチを多く積んでいる。通常、RUG側の最善手はZooをマナスクリューさせて時間を稼ぎ、カウンターによる防御付きのデルバーを展開することだ。
一方、相手がハイタイドの場合は土地を止めることが勝利にまったく結びつかない。ハイタイドには基本土地とフェッチがたくさん入っていて、大量のキャントリップで追加の土地を探すのも容易だ。ハイタイドに対しては、ソフトカウンターをケアできないほどこちらのクロックのプレッシャーが大きいから勝つんだ。そのため1ターン目にデルバーを展開してStifleはその後のフェッチを止めるために使うのが正しいプレイになる。
もう勝てたかな?
まとめると、Why You Winは自分のデッキにとって正しい土俵を選び、こちらの強みと相手の弱みが出る状況を作るための考え方だ。
盤面を支配できるから、あるいは妨害パーマネントの組み合わせで相手をロックできるから勝つデッキがある。相手を押しつぶすほどのカードアドバンテージで勝つデッキもある。相手のボードでは何もできないように妨害して合間に出した生物で勝つデッキもあるし、相手よりも良い手札を揃えることで勝つデッキもある。
自分のデッキがなぜ勝てるのかを理解することはプレイングと構築を最適化するための文字通り足場になる。一般的にも、目の前のマッチアップにおいても、常に自分のプランが何なのかを把握しよう。見極めたゴールに向かう判断をしていこう。
今日はこの辺で。すごく基本的な話だったけど楽しんでもらえたら嬉しいよ――ご意見があればどうぞコメントを。
また次回。Win your way!
Carsten Kotter
コメント
リンクさせて頂き、あとで過去記事も拝見させてもらいます!
非常に面白い記事でした。
リンクさせて頂きますので、よろしくお願いいたします。
こういう記事を書ける、翻訳できるっていうのはそれだけで凄いですね
いつもありがとうございます。
要らないものサイドインはついついやっちゃいますよね。
> VMさん
楽しんでいただけて良かったです。過去記事も長いものが多いのでどうぞごゆっくり。
こちらからもリンクさせていただきますね。
> みやじ~さん
さすがのCarsten Kotterクオリティでありました。
> おもしろかったですさん
コメント感謝!!
> re-giantさん
ありがとうございます。
日本語にするのはいつも難しいのですが、ときどきしっくりくる言葉が見つかると嬉しくなりますね。
re-giantさんの翻訳裏話も楽しく読ませていただいてます。
> 蟲とーくんの中の人さん
面白かったと言ってもらえると励みになります。
こちらからもリンクさせていただきますね。
> hak0さん
ご無沙汰しておりました。
と言いつつ次またいつできるか分からないのですが……。
超不定期ブログですが気長によろしくお願いします。
> youbunさん
役に立ったようで、訳して良かったです。
コメント感謝です!
リンクさせてもらいました!
リンクさせていただきました。
これからも、のんびり楽しみにしてます。
英文読めないのですごい助かります!
リンクさせて頂きました。