【翻訳】Thoughtseize You - Reid Duke
2013年12月18日 翻訳(プレイング) コメント (10)StarCityGamesより。
思考囲い入門。
初めてデュレスを見たときのワクワクは今も忘れません。
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Thoughtseize You
REID DUKE
2013/09/05
http://www.starcitygames.com/article/26855_Thoughtseize-You.html
思考囲いはマジックを象徴するカードの1枚だ。思考囲い自体は全てのフォーマットでリーガルというわけではないが、DuressやInquisition of Kozilek、その他多くのいわゆる「囲い効果」は多かれ少なかれどんなところでも目にするものだ。テーロスで思考囲いが再録されるにあたり、その存在感はこれまで以上に大きく感じられ、今後数年の間トーナメントで必ず目にすることになるのは間違いない。思考囲いの使い方を理解することはトーナメントプレイヤーが成功するのに不可欠だろう。
今日の記事では、デッキ構築からプレイ中のサイドボーディングまで、Thoughtseizeについて知るべき全ての事柄をカバーしようと思う。
思考囲いのリスク
1対1交換
思考囲いはゲームにおいて何をするのか、それを理解するのが最初のステップだ。囲いはレガシーやヴィンテージにおいてさえ素晴らしい仕事をする超高効率カードのように見えるが、このカードには重大なコストもつきまとう。
カードアドバンテージの観点から見れば、思考囲いがすることは1対1交換――直接はアドバンテージを得られない。というわけで、思考囲いについてまず初めに考えることはあなたのデッキが1対1交換を欲しているかどうかだ。この観点ではジャンドや青黒コントロールは有望だろう。しかしどのデッキにもフィットするわけではない。
初心者デッキビルダーが陥りがちな落とし穴でよく見かけるのは、大量の火力と大量の囲い効果を搭載した黒赤デッキを作ってしまうことだ。マジックのフレイバー的には黒と赤を組み合わせるのは自然で、囲い効果と火力は黒と赤を象徴する能力だからだ。
しかし現実には、思考囲いは間違いなくバーンデッキが欲しているものではない。バーンの強みは対戦相手が通常の方法で干渉するのが難しいところにある。そのため、バーンのゲームプランに必要なカードの枠に代わりに思考囲いを入れてしまうと、まさに対戦相手がしたいこと――あなたと1対1交換をすること――をさせてしまうことになる。
僕の経験では、囲いを入れたバーンというのは相手のライフを5まで落とすことは素晴らしく得意だが、そこからゲームに勝つのが苦手なデッキだ。
緑単ランプやケッシグランプのようなランプ戦略にも同じことが言える。これらのデッキは大部分のカードをマナ加速に割いており、戦略を機能させるためにはマナ以外のカードはどれもゲームに非常に強いインパクトを与える必要がある。そのため、相手のスペル1枚との交換(しかもこちらより多くのスペルを持っている相手との交換)を目的とする思考囲いのようなカードはお呼びでない。
上に挙げたようなデッキでも、特にサイド要員として特定の目的のために思考囲いを採用することは考えられる。しかし、囲いを入れるコストは「高くつく」ということを理解するのは大切だ。
冗長性
1対1交換がフィットするデッキにとって、思考囲いは効率性と信頼性の高い魅力的なカードだ。しかし、それでも全ての状況で完璧ではない。
テンポの観点から見れば、思考囲いはボードには影響を与えず、相手がマナを費やしたカードとの交換をするわけでもない――厳密に言えば、思考囲いをキャストすることであなたは僅かなビハインドを背負うことになる。
そのため、思考囲いは冗長性の高いデッキに対してはとてもひどいカードになる。マジックのデッキにおける冗長性とは、カードの交換可能性のことだ。双子デッキは勝つために1枚のDeceiver Exarchと1枚のSplinter Twin、コンボを守るための1枚の軽いカウンターを必要とするため、冗長性の低いデッキだ。このようなデッキに対して思考囲いは素晴らしい働きをする。Exarchを1枚抜いてしまえば、そこからリカバーできるカードは双子デッキにはとても少なく、そしてリカバーできなければデッキはほとんど機能しない。
正反対の例はとても基本的なクリーチャーデッキだ――白ウィニーや緑単アグロのような。20枚の森と40枚のKalonian Tuskerというデッキに対しては思考囲いのパフォーマンスは最悪だ。Kalonian Tuskerを手札から1枚抜かれたとしても、単に別の1枚をプレイすればよい。さらに悪いことに、囲いは手札を効果的に攻められないばかりか、ボードの遅れを取り戻す役にも立たない。相手がマナを払ってから対処できるのでDoom Bladeの方が良いだろうし、どんな状況であれクリーチャーの方が良いだろう。
空振り
思考囲いを空振りする可能性についてここまで触れていなかったが、これは過小評価しがちな巨大なリスクだ。マジックのゲームは紙一重で決まる。あなたがマリガンしたとき、2対1交換をされたとき、あるいは何らかのカードディスアドバンテージを背負ったとき、対等な状況に復帰するために素晴らしいプレイをしなければならないというプレッシャーに襲われる。もしそれができず、お互いの引きが同レベルであればあなたは負けるだろう。特にリミテッドやジャンドミラーのような消耗戦では思考囲いの空振りは大げさでもなんでもなく最悪だ。思考囲いをデッキに入れるには、空振りのリスクがとても小さいかヒットしたときの見返りがとても大きいかのいずれかが必要だ。
思考囲いというカードが他の囲い系カードより優れている理由が空振りのリスクだ。僕が脳食願望を構築トーナメントで使ったことがない理由、Duressがサイドボードに追いやられている理由もこれだ。
トップデッキにやられる
囲いとよく似ていてこちらも象徴的なカウンターと比較をしてみよう。
囲いのアドバンテージは:
* カウンターは特定のタイミングで使う必要があるが、思考囲いは都合の良いタイミングで使える。
* 相手の手札を見られる。
* 囲い系スペルは非常に軽い。
* カウンターされにくい。
カウンターのアドバンテージは:
* 相手がマナをつぎ込んでから回答できる。
* トップデッキに対して防御できる。
ゲームがグダってトップ勝負になると、思考囲いを入れたことを後悔することになるだろう。手札が空の(あるいは土地だけの)相手に対して思考囲いを引くのは空振りするのと同じだ。
「ゲームをトップ勝負に持ち込む働きをしつつ、自身をトップするのは最悪」というのは思考囲いの残念な性質だ。
デッキ構築中やサイドボーディング中に、トップ勝負になる可能性がどの程度あるかよく考えてほしい。トップ勝負に持ち込むことがゴールになることもある(ジャンド、ジャンク、Poxのようなデッキはこれをゴールにすることが多い)。もしトップ勝負になりやすそうなら、終盤に引くと弱いカードで自分のデッキをどこまで薄めることができるかを次に考えてほしい。
思考囲いのリスクとリターンを単純なやり方で見積もるなら、囲いは初手にあれば素晴らしいがそれ以外のタイミングでは良くないカードだとみなすと良い。プレイを始める前にゲームが何ターンぐらい続きそうか予想し、1ゲーム中に何枚ぐらいのカードを見ることになりそうか計算する。そして、初手として引くカードの枚数(願わくば7枚だね)と、ゲームを通してライブラリトップから引くことになるカードの枚数を比較する。
この比が大きい場合、例えば速いコンボデッキとの対戦のような場合は、思考囲いが輝く可能性は高い。直感に反してモダンのジャンドでInquisition of Kozilekが親和やバーン相手に素晴らしいカードになるのはまさにこれが理由だ(思考囲いのライフロスはケースバイケースで評価すべきで、こういったデッキ相手には大きなコストになる)。比が小さい場合、例えばジャンドミラーのような場合、思考囲いは重荷になる可能性が高い。
ここ数年の僕のモダンジャンドミラーの勝率には自信がある。僕がやっていたのはThoughtseize、Inquisition of Kozilek、Duressを全てサイドアウトして、トップするのが嬉しいカードを入れることだ。ほとんど例外なくターン4か5までには両プレイヤーの手札は空になり、その状況で6枚の死に札がデッキに入っている相手に対して、こちらが長期戦を勝てる確率はかなり高くなる。
まとめると、1対1交換をする気のないデッキに思考囲いを入れることには慎重になろう。冗長性の高いデッキに溢れたメタゲームでは思考囲いの価値は低い。そのようなデッキ相手やトップ勝負になりそうなマッチアップでは思考囲いはサイドアウトしよう。
囲い系スペルはメインに5枚か6枚まで、メインとサイド合わせて7枚までにしておくことをオススメする。これは僕が個人的に全てのフォーマットで守っている最大枚数だ。
思考囲いの恩恵
あなたのデッキに囲い系スペルを満載することの危険性をここまで述べてきた。これだけの弱点にもかかわらず思考囲いがデッキビルダーにとって最高のツールであるのはなぜなのか、これから説明しよう。
シナジーを破壊する
デッキ構築における僕の信条は、それ単独でメリットがあり強力なカードに目を向けるということだ。とはいえこれがマジックのデッキを構築する唯一の方法というわけではない。実際、僕の友人でチームメイトのSam Blackは全く違うアプローチを採り、カード同士の相互作用によって優位に立つことを良しとする。このアプローチには多くの利点がある。Samが場に並べたBonescythe Sliver、Megantic Sliver、Syphon Sliver、Galerider Sliverの前に僕のタルモは棒立ちしてしまう(僕がSamの創造力をバカにするのは分かりやすい例として引き合いに出すときだけだ)。
丸いRock的な戦略で、より強力なシナジーベースのデッキを打ち破ることを可能にするのが思考囲いのようなカードだ。思考囲いは素早く効率的にリソースを交換する手段を提供する。Galerider Sliverが単独で場に出ざるをえない状況にいったんしてしまえば、より強力なあなたのカードで局地戦に勝利していくことができるだろう。囲い効果によって、Doom BladeやNaturalizeのような限定的な回答カードよりもうまくシナジーを崩すことができる。生物ベースの戦略にも、コントロールにも、コンボにも有効なためだ。
特定の脅威に回答する
リミテッドマッチのゲーム1を相手のPrimeval Bountyによって落としたとき、最初にすることは何だろう?「自分を気の毒に思う」とか「ため息をつきながらブツブツ言う」とかかもしれない。そうだとして、次にすることは何だろう?NaturalizeやSolemn Offering、Bramblecrushのようなエンチャント除去を求めて自分のサイドボードを必死に探しまわることじゃないかと思う。
だが黒赤デッキを使っていることもある。
そう、他に対処方法がない問題カードに対して囲い効果は素晴らしい回答手段になる。サイドにGolgari Charmを入れる前の僕のスタンダードのジャンドでは、赤単アグロに対してDuressをサイドインしていた。Burning Earthを落とし、2枚目を引かれる前にゲームに勝つことが狙いだ。完璧なプランではないが、単に諦めるよりはずっと良い!
加えて、単純にキャストされてからでは回答不能なカードもある。Supreme Verdictを相手に懸命に戦う黒白トークンデッキを想像してほしい。ベストな回答は思考囲いで評決を抜いてしまうことだ!
思考囲いをデッキに入れているとき、僕は落ち着いていられる。相手が投げつけてくる脅威のほぼ全てに少なくとも回答することは可能だと知っているためだ。後で述べるゲームプレイの章で、「特定の脅威に回答する」というコンセプトについてはもう一度触れようと思う。
相手の手札を見る
相手の手札を見ることに確固とした価値を置くことは難しいが、多くのプレイヤーが過小評価している大きなアドバンテージが得られると僕は思っている。
相手の動きを読むコツを掴む前、僕は正確な良いプレイをするテクニックを磨こうとするプレイヤーだった。たぶんこれはMO出身ということから来ているか、あるいは単に内向的な性格のためかもしれない。しかしいずれにせよ、Gitaxian Probeが印刷され、それを自分の全てのデッキに入れてから僕はそれまでよりも勝てるようになった。
ギタ調はフィットしないとみんなが思うだろうデッキ、青黒コントロールやCaw-Bladeにも僕はそれを入れてみた。すると、隠されていた情報が全て明らかになれば簡単に勝利への道筋を見つけられることに気づいた。
相手の手札を見る能力はとても強力で、それが生死を分かつマッチアップもある。一つの例ではあるが、Duressを撃って前方確認、何もないことを確かめてイージーウィンしたストームプレイヤーと、カウンター満載のハンドを見てさらなる妨害をじっと待つべきだと知ったストームプレイヤーの違いについて考えてみてほしい。
穴を作る
相手の手札を見る能力に続いて、思考囲いを他の似た効果、Hymn to TourachやCabal Therapy、Counterspellとは一線を画したものにしている真のカギがこれだ。あなたは相手の手札を見て、ゲームについて考え、「それから」どれを落とすか決める。
冗長性の話に戻ろう。冗長性が非常に高く思考囲いが重荷になるデッキの例としてKalonian Tuskerだけのデッキについて述べた。しかし、このようなデッキが驚くほど思考囲いに弱い場合がある。緑単アグロだけに話を限っても、マナカーブに沿って1マナから4、5、6マナへと順次クリーチャーをプレイしようとするだろう。コンバットトリックやOverrunのようなフィニッシャーを持っているかもしれないし、ユーティリティやプレインズウォーカーがあるかもしれない。
思考囲いを撃ったとき、どのリソースが、どのカテゴリーのカードが相手にとって不足しているかが見える。そこを狙う。
小粒なクリーチャーが多い手札を見たなら、Giant Growthを落としてあなたのSengir Vampireの安全を確保できる。大きなフィニッシャーが多い手札を見たなら、軽いスペルを落として序盤に攻勢を仕掛けることができる。
思考囲いはテンポ面でビハインドになるとも述べたが、これは机上論であることが多い。思考囲いで相手のマナカーブを崩すことができるためだ。序盤に囲いを撃ち、その後のターンに相手が使える強いカードが1枚だけなら(それをプレイされる前に倒せないなら)、それを捨てさせて相手のマナを無駄にさせることができる。
ゲームプレイ:思考囲いをキャストする
コントロールデッキに穴を作る
冗長性の話とともに生物によるビートダウンデッキについて議論し、シナジー満載のコンボデッキについても議論してきた。相手にしたときに思考囲いが真に輝く3つ目のデッキカテゴリーが、受動的なコントロールデッキだ。
コントロールデッキは単体で強力なカードをよく使うが、正しく機能するためには各種カードを正しい割合で配合する必要がある。例えば、クリーチャーに対する防御が不十分なら速いラッシュに負けてしまう。カウンターがなければプレインズウォーカーに負けてしまう。フィニッシャーがなければマナフラッドして終盤戦を勝てなくなってしまう。コントロールとの対戦では穴を作ることが最も重要になる。
カードプールが広がるにつれて、コントロールに対する思考囲いの強さは増すと思っている。特にプレインズウォーカーと同時に使うのが強い。スタンダードでもモダンでも、僕は青白赤のようなコントロールデッキに対してジャンドを使うのが好きだ。採りうるアプローチがたくさんあり、最良を探すチャレンジは楽しい。
(サイド後の)スタンダードのジャンドには、強力なクリーチャー、プレインズウォーカー、Rakdos’s Return、Underworld Connections、さらに酸スラやルーリク・サーのような別の角度からの攻撃まで入る!たしかに青赤白にはこれら全てに回答する手段が入っているが、それらを常に適切なタイミングで手に入れることは難しい。あなたがDuressを使えばそれはほとんど不可能になる。
Duressをキャストすると相手の弱点が見える。相手が除去を大量に持っているなら、クリーチャーで相手を倒そうと悩むべきではない――カウンターを落としてRakdos’s Returnを解決させよう。また、先攻1ターン目にDuressを撃ち、相手がDissipateをたくさん持っているのが見えたなら、Detention Sphereを落として最初の3ターンの間に出せる脅威に目を向けよう。
例:あなたは2枚、相手は1枚の土地を出している。あなたの2ターン目にDuressを撃った。両者の手札はこのようなものだ。
一般にUnderworld Connectionsは青白赤に対して最高のカードの一つだが、この状況ではひとまずしばらくはそれを無視することがカギになる。このDuressは対戦相手の強みと弱み――たくさんのカウンターと解決したクリーチャーへの回答の少なさ――を明らかにしてくれた。この例では、僕ならWarleader’s Helixを抜き、洞窟から狩達を解決させにいく。
狩達は単純にこのマッチアップで最高のカードの一つであるだけでなく、この状況にぴったりのカードだ。対戦相手が狩達への回答をトップする可能性は高いが、少なくともSupreme VerdictやThundermaw Hellkiteのためにはタップアウトしなければならず、これだけ多くのカウンターを握られていてもこちらのスペルを通せるタイミングはあるということが分かる。これらのカウンターに正面から突っ込んで強引に通そうとしてもうまくいく可能性は低い。
特定の脅威に回答する
思考囲いのプレイングは2つの問いに帰着する――いつキャストするか、そしてどのカードを抜くか。2つの問いは関連している。
マッチアップが分かったら、思考囲いで落とすべき最も重要なカードは何か自問しよう。上で述べたリミテッドマッチの例では、相手のPrimeval Bountyを抜くために僕はDuressをサイドインした。Duressを撃つベストなタイミングは相手が6マナに届く直前になる。相手がBountyを手札に持っている可能性が最も高いタイミングだからだ。
こちらがジャンドを使っていて、相手がやっかいなAuriok Champion入りの黒白トークンを使っている場合、思考囲いを撃つのは後攻なら1ターン目、先攻なら2ターン目だ。
相手が持っているだろう能動的な問題カードの例を挙げてきたが、相手にその問題カードをキャストするチャンスを与えないように、かつ可能な限り遅いタイミングで思考囲いをキャストするのが正解だ。実際には相手が複数の問題カードを入れていることがよくあることにも気をつけよう。この場合は臨機応変に対応する必要がある。さっきのPrimeval Bountyのプレイヤーは緑白を使っており、同時にAjani, Caller of the Prideもデッキに入れているとしよう。Duressを撃つのに長く待ちすぎるのは愚かで、プレインズウォーカーを出されてPrimeval Bountyなしでもゲームに負けることになってしまう!
さらに面白いのは受動的な問題カードに対処するときだ。記事の最初の方で、ケッシグランプは1対1交換をしたいデッキではないので思考囲いを入れるのは得策でないと書いたのを覚えているかな?このケッシグランプはDissipateに本当に苦労するデッキで、本来の狙いである緑タイタンの解決のためにDissipateを落とす目的でサイドに思考囲いを入れる必要がある。
このケースでは、タイタンをキャストする直前あるいはまさにキャストするターンまで思考囲いを我慢すべきだ。1ターン目に囲いを撃ち、それから相手にDissipateを引かれるのは最悪だろう。5ターン目にタイタンを持っていないが引きたい状況、あるいはタイタンと思考囲いと6マナはあるが7枚目の土地がない状況はもう少し複雑だ。このような状況では、どの程度相手に押されているか、どの程度我慢ができるかに応じてケースバイケースで対応するしかない。
強引に一般論を言えば、一つ目の例では僕はタイタンを引くまで囲いを我慢するだろう。二つ目の例では土地を引こうが引くまいが次のターンにタイタンをプレイできるようにすぐ囲いを撃つだろう。
ここまでに挙げた例の中で、1ターン目に囲いを撃つべき場面はAuriok Champion入りのデッキ相手に後攻の場合だけだったことに注目してほしい。特別な理由が無い限り、思考囲いは最速で撃つべきではないということだ。
目指すべきゴールが明確になっていない状況で思考囲いをどう使うかについて、一般的な指針をいくつか示して今日の記事を締めくくろうと思う。
効果的な思考囲い:いつキャストすべきか
自分のゲームプランを崩してまで囲うのはやめよう。思考囲いは都合の良いときに使える単なる便利なツールの一つであるべきで、使用者に道を踏み外させるようなカードにしてしまうべきではない。特に理由がなければ僕は思考囲いではなくクリーチャーをプレイする。特に理由がなければ僕は思考囲いよりもタップインランドの処理を選ぶ。1ターンの経過で囲いの価値が上がるか下がるかは分からない。だから、よりシビアなタイミングを要求されるプレイ(クリーチャーのキャスト)を優先するし、思考囲いをいち早く撃つために痛い代償(ショックランドの2点)を支払うこともしない。
例:あなたはモダンのジャンドをプレイしている。何を使っているか不明な相手に対して先攻のあなたの手札がこれだ:
このケースでは、僕ならBlood Cryptをタップインで出す。相手がなにもしなかった場合、2ターン目に囲いを撃ってOvergrown Tombをタップインで出す。何が何でも止めなければならない相手の1ターン目のプレイというのは想像できない。相手が死儀礼を出してきても2ターン目に稲妻で焼きつつ囲うことができる。相手から囲いが飛んできてもこちらの手札の冗長性は高く、突然死することはないだろう。相手がSerum VisionsをキャストしたりSpell Snareを構えたりしてきてもどうということはなく、たぶんその可能性について考えることもしないだろう。
次のターンに2マナ生物をトップした場合、1ターン目に囲いを我慢したことが少し裏目に出る。だがジャンドは急いでラッシュを仕掛ける必要のあるデッキではない。ライフは重要で、「土地で自分に2点、思考囲いで自分に2点、ボブをキャスト」のようなプレイが良いかどうかはマッチアップ次第だ。思考囲いを1ターン待つという小さなコストにより、2ライフと追加の情報が得られる。
効果的な思考囲い:何を抜くべきか
思考囲いをキャストすべきタイミングは、最終的に囲いの効果自体によって明らかになる。しかしここでは目指すべきゴールが明確になっていない。そんなときは相手の手札を見て、穴を作れるかどうかを考えよう。弱点を作り、それを活用することを考えるんだ。それができなかったとしても問題ない。何かに縛られたり辛抱することはない――最強のカードを抜くんだ!
モダンでは、青いミッドレンジやコントロールデッキに対して囲いで抜きたいカードランキングが自分の中にある。明らかな抜くべきカードが無い場合は瞬唱を落とす。瞬唱がない場合は青コマを抜く。青コマがない場合はSphonx’s Revelationのような終盤に強いカードを落とす。
相手をマナスクリューさせようとは決してしないというルールも自分に課している。経験上この作戦は信頼できない。親和に対してMox Opalや太鼓を抜くことはしない。土地1枚とSerum Visionsという手札をキープした相手に対しても、大量のプレッシャーを出して早期戦を仕掛けられる場合以外はたいてい瞬唱を落とす。相手は結局マナスクリューから抜けだしてしまい、もっと強力なカードを落とさなかったことを後悔することになる。もしスクリューから抜け出せないようなら、どのみち勝っている。
まとめ
この入門記事が少しでも思考囲いを理解する役に立つことを願っている。このカードは信じられないほどパワフルなツールで、全てのトーナメントプレイヤーはいつ、どのように使うかを知っているべきだ。一方で、囲いには相当量のリスクもつきまとう。
まとめると:
* 思考囲いはどんなデッキにも合うわけではない。
* 冗長性の高いデッキ相手やトップ勝負になりやすいゲームではサイドアウトしよう。
* 思考囲いで一番抜きたいカードが何なのか前もって考えよう。囲い以外では対処が難しいカードに回答するために使おう。
* 思考囲いをキャストしたら穴を作ろうとしよう。弱点を探してそこを攻めよう。
* 不確かな状況では、都合の良いときに思考囲いをキャストして相手の最強カードを抜くことで最高の価値を得よう。
このTipsを心に留めれば思考囲いといろいろなフォーマットで長く良い付き合いができるだろう。
思考囲い入門。
初めてデュレスを見たときのワクワクは今も忘れません。
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Thoughtseize You
REID DUKE
2013/09/05
http://www.starcitygames.com/article/26855_Thoughtseize-You.html
思考囲いはマジックを象徴するカードの1枚だ。思考囲い自体は全てのフォーマットでリーガルというわけではないが、DuressやInquisition of Kozilek、その他多くのいわゆる「囲い効果」は多かれ少なかれどんなところでも目にするものだ。テーロスで思考囲いが再録されるにあたり、その存在感はこれまで以上に大きく感じられ、今後数年の間トーナメントで必ず目にすることになるのは間違いない。思考囲いの使い方を理解することはトーナメントプレイヤーが成功するのに不可欠だろう。
今日の記事では、デッキ構築からプレイ中のサイドボーディングまで、Thoughtseizeについて知るべき全ての事柄をカバーしようと思う。
Thoughtseize / 思考囲い (B)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは手札を公開する。あなたはその中から土地でないカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。あなたは2点のライフを失う。
思考囲いのリスク
1対1交換
思考囲いはゲームにおいて何をするのか、それを理解するのが最初のステップだ。囲いはレガシーやヴィンテージにおいてさえ素晴らしい仕事をする超高効率カードのように見えるが、このカードには重大なコストもつきまとう。
カードアドバンテージの観点から見れば、思考囲いがすることは1対1交換――直接はアドバンテージを得られない。というわけで、思考囲いについてまず初めに考えることはあなたのデッキが1対1交換を欲しているかどうかだ。この観点ではジャンドや青黒コントロールは有望だろう。しかしどのデッキにもフィットするわけではない。
初心者デッキビルダーが陥りがちな落とし穴でよく見かけるのは、大量の火力と大量の囲い効果を搭載した黒赤デッキを作ってしまうことだ。マジックのフレイバー的には黒と赤を組み合わせるのは自然で、囲い効果と火力は黒と赤を象徴する能力だからだ。
しかし現実には、思考囲いは間違いなくバーンデッキが欲しているものではない。バーンの強みは対戦相手が通常の方法で干渉するのが難しいところにある。そのため、バーンのゲームプランに必要なカードの枠に代わりに思考囲いを入れてしまうと、まさに対戦相手がしたいこと――あなたと1対1交換をすること――をさせてしまうことになる。
僕の経験では、囲いを入れたバーンというのは相手のライフを5まで落とすことは素晴らしく得意だが、そこからゲームに勝つのが苦手なデッキだ。
緑単ランプやケッシグランプのようなランプ戦略にも同じことが言える。これらのデッキは大部分のカードをマナ加速に割いており、戦略を機能させるためにはマナ以外のカードはどれもゲームに非常に強いインパクトを与える必要がある。そのため、相手のスペル1枚との交換(しかもこちらより多くのスペルを持っている相手との交換)を目的とする思考囲いのようなカードはお呼びでない。
上に挙げたようなデッキでも、特にサイド要員として特定の目的のために思考囲いを採用することは考えられる。しかし、囲いを入れるコストは「高くつく」ということを理解するのは大切だ。
冗長性
1対1交換がフィットするデッキにとって、思考囲いは効率性と信頼性の高い魅力的なカードだ。しかし、それでも全ての状況で完璧ではない。
テンポの観点から見れば、思考囲いはボードには影響を与えず、相手がマナを費やしたカードとの交換をするわけでもない――厳密に言えば、思考囲いをキャストすることであなたは僅かなビハインドを背負うことになる。
そのため、思考囲いは冗長性の高いデッキに対してはとてもひどいカードになる。マジックのデッキにおける冗長性とは、カードの交換可能性のことだ。双子デッキは勝つために1枚のDeceiver Exarchと1枚のSplinter Twin、コンボを守るための1枚の軽いカウンターを必要とするため、冗長性の低いデッキだ。このようなデッキに対して思考囲いは素晴らしい働きをする。Exarchを1枚抜いてしまえば、そこからリカバーできるカードは双子デッキにはとても少なく、そしてリカバーできなければデッキはほとんど機能しない。
正反対の例はとても基本的なクリーチャーデッキだ――白ウィニーや緑単アグロのような。20枚の森と40枚のKalonian Tuskerというデッキに対しては思考囲いのパフォーマンスは最悪だ。Kalonian Tuskerを手札から1枚抜かれたとしても、単に別の1枚をプレイすればよい。さらに悪いことに、囲いは手札を効果的に攻められないばかりか、ボードの遅れを取り戻す役にも立たない。相手がマナを払ってから対処できるのでDoom Bladeの方が良いだろうし、どんな状況であれクリーチャーの方が良いだろう。
空振り
思考囲いを空振りする可能性についてここまで触れていなかったが、これは過小評価しがちな巨大なリスクだ。マジックのゲームは紙一重で決まる。あなたがマリガンしたとき、2対1交換をされたとき、あるいは何らかのカードディスアドバンテージを背負ったとき、対等な状況に復帰するために素晴らしいプレイをしなければならないというプレッシャーに襲われる。もしそれができず、お互いの引きが同レベルであればあなたは負けるだろう。特にリミテッドやジャンドミラーのような消耗戦では思考囲いの空振りは大げさでもなんでもなく最悪だ。思考囲いをデッキに入れるには、空振りのリスクがとても小さいかヒットしたときの見返りがとても大きいかのいずれかが必要だ。
思考囲いというカードが他の囲い系カードより優れている理由が空振りのリスクだ。僕が脳食願望を構築トーナメントで使ったことがない理由、Duressがサイドボードに追いやられている理由もこれだ。
トップデッキにやられる
囲いとよく似ていてこちらも象徴的なカウンターと比較をしてみよう。
囲いのアドバンテージは:
* カウンターは特定のタイミングで使う必要があるが、思考囲いは都合の良いタイミングで使える。
* 相手の手札を見られる。
* 囲い系スペルは非常に軽い。
* カウンターされにくい。
カウンターのアドバンテージは:
* 相手がマナをつぎ込んでから回答できる。
* トップデッキに対して防御できる。
ゲームがグダってトップ勝負になると、思考囲いを入れたことを後悔することになるだろう。手札が空の(あるいは土地だけの)相手に対して思考囲いを引くのは空振りするのと同じだ。
「ゲームをトップ勝負に持ち込む働きをしつつ、自身をトップするのは最悪」というのは思考囲いの残念な性質だ。
デッキ構築中やサイドボーディング中に、トップ勝負になる可能性がどの程度あるかよく考えてほしい。トップ勝負に持ち込むことがゴールになることもある(ジャンド、ジャンク、Poxのようなデッキはこれをゴールにすることが多い)。もしトップ勝負になりやすそうなら、終盤に引くと弱いカードで自分のデッキをどこまで薄めることができるかを次に考えてほしい。
思考囲いのリスクとリターンを単純なやり方で見積もるなら、囲いは初手にあれば素晴らしいがそれ以外のタイミングでは良くないカードだとみなすと良い。プレイを始める前にゲームが何ターンぐらい続きそうか予想し、1ゲーム中に何枚ぐらいのカードを見ることになりそうか計算する。そして、初手として引くカードの枚数(願わくば7枚だね)と、ゲームを通してライブラリトップから引くことになるカードの枚数を比較する。
この比が大きい場合、例えば速いコンボデッキとの対戦のような場合は、思考囲いが輝く可能性は高い。直感に反してモダンのジャンドでInquisition of Kozilekが親和やバーン相手に素晴らしいカードになるのはまさにこれが理由だ(思考囲いのライフロスはケースバイケースで評価すべきで、こういったデッキ相手には大きなコストになる)。比が小さい場合、例えばジャンドミラーのような場合、思考囲いは重荷になる可能性が高い。
ここ数年の僕のモダンジャンドミラーの勝率には自信がある。僕がやっていたのはThoughtseize、Inquisition of Kozilek、Duressを全てサイドアウトして、トップするのが嬉しいカードを入れることだ。ほとんど例外なくターン4か5までには両プレイヤーの手札は空になり、その状況で6枚の死に札がデッキに入っている相手に対して、こちらが長期戦を勝てる確率はかなり高くなる。
まとめると、1対1交換をする気のないデッキに思考囲いを入れることには慎重になろう。冗長性の高いデッキに溢れたメタゲームでは思考囲いの価値は低い。そのようなデッキ相手やトップ勝負になりそうなマッチアップでは思考囲いはサイドアウトしよう。
囲い系スペルはメインに5枚か6枚まで、メインとサイド合わせて7枚までにしておくことをオススメする。これは僕が個人的に全てのフォーマットで守っている最大枚数だ。
思考囲いの恩恵
あなたのデッキに囲い系スペルを満載することの危険性をここまで述べてきた。これだけの弱点にもかかわらず思考囲いがデッキビルダーにとって最高のツールであるのはなぜなのか、これから説明しよう。
シナジーを破壊する
デッキ構築における僕の信条は、それ単独でメリットがあり強力なカードに目を向けるということだ。とはいえこれがマジックのデッキを構築する唯一の方法というわけではない。実際、僕の友人でチームメイトのSam Blackは全く違うアプローチを採り、カード同士の相互作用によって優位に立つことを良しとする。このアプローチには多くの利点がある。Samが場に並べたBonescythe Sliver、Megantic Sliver、Syphon Sliver、Galerider Sliverの前に僕のタルモは棒立ちしてしまう(僕がSamの創造力をバカにするのは分かりやすい例として引き合いに出すときだけだ)。
丸いRock的な戦略で、より強力なシナジーベースのデッキを打ち破ることを可能にするのが思考囲いのようなカードだ。思考囲いは素早く効率的にリソースを交換する手段を提供する。Galerider Sliverが単独で場に出ざるをえない状況にいったんしてしまえば、より強力なあなたのカードで局地戦に勝利していくことができるだろう。囲い効果によって、Doom BladeやNaturalizeのような限定的な回答カードよりもうまくシナジーを崩すことができる。生物ベースの戦略にも、コントロールにも、コンボにも有効なためだ。
特定の脅威に回答する
リミテッドマッチのゲーム1を相手のPrimeval Bountyによって落としたとき、最初にすることは何だろう?「自分を気の毒に思う」とか「ため息をつきながらブツブツ言う」とかかもしれない。そうだとして、次にすることは何だろう?NaturalizeやSolemn Offering、Bramblecrushのようなエンチャント除去を求めて自分のサイドボードを必死に探しまわることじゃないかと思う。
だが黒赤デッキを使っていることもある。
そう、他に対処方法がない問題カードに対して囲い効果は素晴らしい回答手段になる。サイドにGolgari Charmを入れる前の僕のスタンダードのジャンドでは、赤単アグロに対してDuressをサイドインしていた。Burning Earthを落とし、2枚目を引かれる前にゲームに勝つことが狙いだ。完璧なプランではないが、単に諦めるよりはずっと良い!
加えて、単純にキャストされてからでは回答不能なカードもある。Supreme Verdictを相手に懸命に戦う黒白トークンデッキを想像してほしい。ベストな回答は思考囲いで評決を抜いてしまうことだ!
思考囲いをデッキに入れているとき、僕は落ち着いていられる。相手が投げつけてくる脅威のほぼ全てに少なくとも回答することは可能だと知っているためだ。後で述べるゲームプレイの章で、「特定の脅威に回答する」というコンセプトについてはもう一度触れようと思う。
相手の手札を見る
相手の手札を見ることに確固とした価値を置くことは難しいが、多くのプレイヤーが過小評価している大きなアドバンテージが得られると僕は思っている。
相手の動きを読むコツを掴む前、僕は正確な良いプレイをするテクニックを磨こうとするプレイヤーだった。たぶんこれはMO出身ということから来ているか、あるいは単に内向的な性格のためかもしれない。しかしいずれにせよ、Gitaxian Probeが印刷され、それを自分の全てのデッキに入れてから僕はそれまでよりも勝てるようになった。
ギタ調はフィットしないとみんなが思うだろうデッキ、青黒コントロールやCaw-Bladeにも僕はそれを入れてみた。すると、隠されていた情報が全て明らかになれば簡単に勝利への道筋を見つけられることに気づいた。
相手の手札を見る能力はとても強力で、それが生死を分かつマッチアップもある。一つの例ではあるが、Duressを撃って前方確認、何もないことを確かめてイージーウィンしたストームプレイヤーと、カウンター満載のハンドを見てさらなる妨害をじっと待つべきだと知ったストームプレイヤーの違いについて考えてみてほしい。
穴を作る
相手の手札を見る能力に続いて、思考囲いを他の似た効果、Hymn to TourachやCabal Therapy、Counterspellとは一線を画したものにしている真のカギがこれだ。あなたは相手の手札を見て、ゲームについて考え、「それから」どれを落とすか決める。
冗長性の話に戻ろう。冗長性が非常に高く思考囲いが重荷になるデッキの例としてKalonian Tuskerだけのデッキについて述べた。しかし、このようなデッキが驚くほど思考囲いに弱い場合がある。緑単アグロだけに話を限っても、マナカーブに沿って1マナから4、5、6マナへと順次クリーチャーをプレイしようとするだろう。コンバットトリックやOverrunのようなフィニッシャーを持っているかもしれないし、ユーティリティやプレインズウォーカーがあるかもしれない。
思考囲いを撃ったとき、どのリソースが、どのカテゴリーのカードが相手にとって不足しているかが見える。そこを狙う。
小粒なクリーチャーが多い手札を見たなら、Giant Growthを落としてあなたのSengir Vampireの安全を確保できる。大きなフィニッシャーが多い手札を見たなら、軽いスペルを落として序盤に攻勢を仕掛けることができる。
思考囲いはテンポ面でビハインドになるとも述べたが、これは机上論であることが多い。思考囲いで相手のマナカーブを崩すことができるためだ。序盤に囲いを撃ち、その後のターンに相手が使える強いカードが1枚だけなら(それをプレイされる前に倒せないなら)、それを捨てさせて相手のマナを無駄にさせることができる。
ゲームプレイ:思考囲いをキャストする
コントロールデッキに穴を作る
冗長性の話とともに生物によるビートダウンデッキについて議論し、シナジー満載のコンボデッキについても議論してきた。相手にしたときに思考囲いが真に輝く3つ目のデッキカテゴリーが、受動的なコントロールデッキだ。
コントロールデッキは単体で強力なカードをよく使うが、正しく機能するためには各種カードを正しい割合で配合する必要がある。例えば、クリーチャーに対する防御が不十分なら速いラッシュに負けてしまう。カウンターがなければプレインズウォーカーに負けてしまう。フィニッシャーがなければマナフラッドして終盤戦を勝てなくなってしまう。コントロールとの対戦では穴を作ることが最も重要になる。
カードプールが広がるにつれて、コントロールに対する思考囲いの強さは増すと思っている。特にプレインズウォーカーと同時に使うのが強い。スタンダードでもモダンでも、僕は青白赤のようなコントロールデッキに対してジャンドを使うのが好きだ。採りうるアプローチがたくさんあり、最良を探すチャレンジは楽しい。
(サイド後の)スタンダードのジャンドには、強力なクリーチャー、プレインズウォーカー、Rakdos’s Return、Underworld Connections、さらに酸スラやルーリク・サーのような別の角度からの攻撃まで入る!たしかに青赤白にはこれら全てに回答する手段が入っているが、それらを常に適切なタイミングで手に入れることは難しい。あなたがDuressを使えばそれはほとんど不可能になる。
Duressをキャストすると相手の弱点が見える。相手が除去を大量に持っているなら、クリーチャーで相手を倒そうと悩むべきではない――カウンターを落としてRakdos’s Returnを解決させよう。また、先攻1ターン目にDuressを撃ち、相手がDissipateをたくさん持っているのが見えたなら、Detention Sphereを落として最初の3ターンの間に出せる脅威に目を向けよう。
例:あなたは2枚、相手は1枚の土地を出している。あなたの2ターン目にDuressを撃った。両者の手札はこのようなものだ。
あなたの手札:
《森林の墓地/Woodland Cemetery》
《魂の洞窟/Cavern of Souls》
《地下世界の人脈/Underworld Connections》
《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》
《ラクドスの復活/Rakdos’s Return》
対戦相手の手札:
《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
《断崖の避難所/Clifftop Retreat》
《中略/Syncopate》
《否認/Negate》
《雲散霧消/Dissipate》
《戦導者のらせん/Warleader’s Helix》
《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
一般にUnderworld Connectionsは青白赤に対して最高のカードの一つだが、この状況ではひとまずしばらくはそれを無視することがカギになる。このDuressは対戦相手の強みと弱み――たくさんのカウンターと解決したクリーチャーへの回答の少なさ――を明らかにしてくれた。この例では、僕ならWarleader’s Helixを抜き、洞窟から狩達を解決させにいく。
狩達は単純にこのマッチアップで最高のカードの一つであるだけでなく、この状況にぴったりのカードだ。対戦相手が狩達への回答をトップする可能性は高いが、少なくともSupreme VerdictやThundermaw Hellkiteのためにはタップアウトしなければならず、これだけ多くのカウンターを握られていてもこちらのスペルを通せるタイミングはあるということが分かる。これらのカウンターに正面から突っ込んで強引に通そうとしてもうまくいく可能性は低い。
特定の脅威に回答する
思考囲いのプレイングは2つの問いに帰着する――いつキャストするか、そしてどのカードを抜くか。2つの問いは関連している。
マッチアップが分かったら、思考囲いで落とすべき最も重要なカードは何か自問しよう。上で述べたリミテッドマッチの例では、相手のPrimeval Bountyを抜くために僕はDuressをサイドインした。Duressを撃つベストなタイミングは相手が6マナに届く直前になる。相手がBountyを手札に持っている可能性が最も高いタイミングだからだ。
こちらがジャンドを使っていて、相手がやっかいなAuriok Champion入りの黒白トークンを使っている場合、思考囲いを撃つのは後攻なら1ターン目、先攻なら2ターン目だ。
相手が持っているだろう能動的な問題カードの例を挙げてきたが、相手にその問題カードをキャストするチャンスを与えないように、かつ可能な限り遅いタイミングで思考囲いをキャストするのが正解だ。実際には相手が複数の問題カードを入れていることがよくあることにも気をつけよう。この場合は臨機応変に対応する必要がある。さっきのPrimeval Bountyのプレイヤーは緑白を使っており、同時にAjani, Caller of the Prideもデッキに入れているとしよう。Duressを撃つのに長く待ちすぎるのは愚かで、プレインズウォーカーを出されてPrimeval Bountyなしでもゲームに負けることになってしまう!
さらに面白いのは受動的な問題カードに対処するときだ。記事の最初の方で、ケッシグランプは1対1交換をしたいデッキではないので思考囲いを入れるのは得策でないと書いたのを覚えているかな?このケッシグランプはDissipateに本当に苦労するデッキで、本来の狙いである緑タイタンの解決のためにDissipateを落とす目的でサイドに思考囲いを入れる必要がある。
このケースでは、タイタンをキャストする直前あるいはまさにキャストするターンまで思考囲いを我慢すべきだ。1ターン目に囲いを撃ち、それから相手にDissipateを引かれるのは最悪だろう。5ターン目にタイタンを持っていないが引きたい状況、あるいはタイタンと思考囲いと6マナはあるが7枚目の土地がない状況はもう少し複雑だ。このような状況では、どの程度相手に押されているか、どの程度我慢ができるかに応じてケースバイケースで対応するしかない。
強引に一般論を言えば、一つ目の例では僕はタイタンを引くまで囲いを我慢するだろう。二つ目の例では土地を引こうが引くまいが次のターンにタイタンをプレイできるようにすぐ囲いを撃つだろう。
ここまでに挙げた例の中で、1ターン目に囲いを撃つべき場面はAuriok Champion入りのデッキ相手に後攻の場合だけだったことに注目してほしい。特別な理由が無い限り、思考囲いは最速で撃つべきではないということだ。
目指すべきゴールが明確になっていない状況で思考囲いをどう使うかについて、一般的な指針をいくつか示して今日の記事を締めくくろうと思う。
効果的な思考囲い:いつキャストすべきか
自分のゲームプランを崩してまで囲うのはやめよう。思考囲いは都合の良いときに使える単なる便利なツールの一つであるべきで、使用者に道を踏み外させるようなカードにしてしまうべきではない。特に理由がなければ僕は思考囲いではなくクリーチャーをプレイする。特に理由がなければ僕は思考囲いよりもタップインランドの処理を選ぶ。1ターンの経過で囲いの価値が上がるか下がるかは分からない。だから、よりシビアなタイミングを要求されるプレイ(クリーチャーのキャスト)を優先するし、思考囲いをいち早く撃つために痛い代償(ショックランドの2点)を支払うこともしない。
例:あなたはモダンのジャンドをプレイしている。何を使っているか不明な相手に対して先攻のあなたの手札がこれだ:
《草むした墓/Overgrown Tomb》
《血の墓所/Blood Crypt》
《思考囲い/Thoughtseize》
《稲妻/Lightning Bolt》
《終止/Terminate》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
このケースでは、僕ならBlood Cryptをタップインで出す。相手がなにもしなかった場合、2ターン目に囲いを撃ってOvergrown Tombをタップインで出す。何が何でも止めなければならない相手の1ターン目のプレイというのは想像できない。相手が死儀礼を出してきても2ターン目に稲妻で焼きつつ囲うことができる。相手から囲いが飛んできてもこちらの手札の冗長性は高く、突然死することはないだろう。相手がSerum VisionsをキャストしたりSpell Snareを構えたりしてきてもどうということはなく、たぶんその可能性について考えることもしないだろう。
次のターンに2マナ生物をトップした場合、1ターン目に囲いを我慢したことが少し裏目に出る。だがジャンドは急いでラッシュを仕掛ける必要のあるデッキではない。ライフは重要で、「土地で自分に2点、思考囲いで自分に2点、ボブをキャスト」のようなプレイが良いかどうかはマッチアップ次第だ。思考囲いを1ターン待つという小さなコストにより、2ライフと追加の情報が得られる。
効果的な思考囲い:何を抜くべきか
思考囲いをキャストすべきタイミングは、最終的に囲いの効果自体によって明らかになる。しかしここでは目指すべきゴールが明確になっていない。そんなときは相手の手札を見て、穴を作れるかどうかを考えよう。弱点を作り、それを活用することを考えるんだ。それができなかったとしても問題ない。何かに縛られたり辛抱することはない――最強のカードを抜くんだ!
モダンでは、青いミッドレンジやコントロールデッキに対して囲いで抜きたいカードランキングが自分の中にある。明らかな抜くべきカードが無い場合は瞬唱を落とす。瞬唱がない場合は青コマを抜く。青コマがない場合はSphonx’s Revelationのような終盤に強いカードを落とす。
相手をマナスクリューさせようとは決してしないというルールも自分に課している。経験上この作戦は信頼できない。親和に対してMox Opalや太鼓を抜くことはしない。土地1枚とSerum Visionsという手札をキープした相手に対しても、大量のプレッシャーを出して早期戦を仕掛けられる場合以外はたいてい瞬唱を落とす。相手は結局マナスクリューから抜けだしてしまい、もっと強力なカードを落とさなかったことを後悔することになる。もしスクリューから抜け出せないようなら、どのみち勝っている。
まとめ
この入門記事が少しでも思考囲いを理解する役に立つことを願っている。このカードは信じられないほどパワフルなツールで、全てのトーナメントプレイヤーはいつ、どのように使うかを知っているべきだ。一方で、囲いには相当量のリスクもつきまとう。
まとめると:
* 思考囲いはどんなデッキにも合うわけではない。
* 冗長性の高いデッキ相手やトップ勝負になりやすいゲームではサイドアウトしよう。
* 思考囲いで一番抜きたいカードが何なのか前もって考えよう。囲い以外では対処が難しいカードに回答するために使おう。
* 思考囲いをキャストしたら穴を作ろうとしよう。弱点を探してそこを攻めよう。
* 不確かな状況では、都合の良いときに思考囲いをキャストして相手の最強カードを抜くことで最高の価値を得よう。
このTipsを心に留めれば思考囲いといろいろなフォーマットで長く良い付き合いができるだろう。
コメント
今回の記事も本当に為になりました!
ハンデスカードの種類や使い方を悩んだりしてたのでとても参考になりました
本当に感謝です!!
さすがReid Dukeな記事でした。
> アッツーさん
あ、それ分かりやすい例ですねー。
慣れれば自然とやってることでも言葉で説明できると安心しますよね。
> LEDさん
コメントありがとうございます。
今後もぼちぼちやっていこうと思っております。
> キマさん
コジレックと囲いのバランスなんか悩み所ですよね。
参考になったようで訳してよかったです。
> しもべの一人、Hさん
あまり時間が取れなくなってしまいましたが今後もタイミングを見つけてやっていこうと思います。
コメントありがとうございました!
勝手にリンクさせていただきました。
コメントありがとうございます!
こちらからもリンクさせていただきました。
リンク貼らせて頂きました。
なにも考えずに4枚投入していましたが、改めて考え直してみようと思います。
リンクさせて頂きます。