ChannelFireballより。
マリガン判断について。

マリガンについてはいったいどこまで考えればいいのか・・・奥が深すぎです。

Reid Dukeのマリガン基準についての記事も合わせてどうぞ。
http://radish.diarynote.jp/201207300022328650/


-----
Legacy Weapon - Keeping Cards, Not Hands
Posted by Caleb Durward
November 21, 2012

http://www.channelfireball.com/articles/legacy-weapon-keeping-cards-not-hands/

ある1枚のスペルと数枚の土地さえ
あればよいと考えていたら
あまりにも緩い秒キープが
素晴らしいものに見えることだろう


以前、アメリカのレガシーのメタゲームでは、初手はGoblin Lackyに対処できるものでなければならなかった。Force of WillもブロッカーもSwords to Plowsharesもない?出直しだ。
この頃はそんなことはないが、個々のマッチアップではやはり同じような状況になり、ある特定のカードが他のカードよりも高い価値を持つことがしばしばある。最も分かりやすい例は、リアニに対するRest in Peaceやゴブリンに対するEngineered Plagueのような対策カードだ。何しろこれらのカードはまさにそのために存在しているのだから。

カードの使い道がそこまで限定的でない場合はもっと難しい。あなたは6枚の土地とOblivion Ringという手札をスニークショー相手にキープするだろうか?Force of Willがあるが青いカードがない手札をTEPS相手にキープするだろうか?
これらの問いへの答えはあなたのデッキの残りという文脈に依存するが、試合の行方はやはり特定の切り札に左右される。そして、切り札がいつどこで重要になるかを知ることはデータマイニングの問題だ。

先日のモダンGPに参加しているあいだ、私はこの問題の影響を感じていた。モダンをプレイするときはいつもそうだが。
ジャンドに対してはLingering Soulsがあれば勝つ。ストームに対しては対策カードがあれば勝つ。ストームとのマッチアップでは、サイド後に相手がいつも入れてくるEmpty the Warrensに対してZealous Persecutionがまた別の対策カードになる。
正しい手順でプレイするスキルや複雑な盤面を評価するスキルが褒めそやされているが、どのカードが重要かを知り、そのカードを手に入れるスキルの方が重要になることはよくある。


マリガン

かつてPVはマリガンをこう定義した。「この手札よりも1枚少ない新しい手札の方がゲームに勝つ可能性が高いと信じること。」
私はこの捉え方をとても気に入っている。明確で、感情論が排除されている。

いったん定義をすれば、過ちに目を向けることができるようになる。誰かがマリガンするときにこう言っているのを聞いたことがないだろうか、「うーん、これは既にマリガンしてるのと同じだな。」
もしマリガンのゴールが死に札をなくすことであるなら、「死に札があるからマリガンした方がよい」というのはこの上ない根拠になる。しかし、これは悪いゴールだ(PVの定義を見てほしい)。手札に効果的な6枚があるのなら、それをマリガン後に引くであろう平均的な6枚と比較すべきであって、死に札を判断基準として使うべきではない。

どのみち、多くのカードは自分で思っているよりも弱い(死に札に近い)。そのThink Twiceをフラッシュバックするチャンスは訪れないかもしれないし、そのPillar of Flameは実際には何も殺せないかもしれないし、そのフィニッシャーを手遅れになる前に出せるマナは得られないかもしれない。同様に、初手にある死に札がゲーム全体を通して死に札になるとも限らない。例えば、相手はLiliana of the Veilを出してくるかもしれない。


基礎

みんな知っているように、マナソース、スペル、マナカーブ、そしてその手札で実際に何ができるかに基いて初手は評価される。非常に曖昧で、多くの人をつまづかせる部分だ。
一般に、私は最初の数ターンの大雑把なプランと、デッキの残りによってそのプランをどれぐらいうまくサポートできるかを合わせて考える。もし導き出したプランが自分のデッキに合っていないなら、そのハンドでは何もできないのでマリガンする。
次の手札を考えてみよう:

《流刑への道/Path to Exile》
《稲妻/Lightning Bolt》
《マナ漏出/Mana Leak》
《稲妻のらせん/Lightning Helix》
《霧深い雨林/Misty Rainforest》
《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》


これは5色コントロールでは即キープで、4色Zooでは即マリガンだ。
通常アグロデッキは長期戦に弱く、プレッシャーをかけていくために脅威が必要なため、このハンドでは何もできない。同じ手札も、単純に時間を稼ぐ必要のあるコントロールデッキでは理想的になる。

もちろん別の考え方もある。一般に環境が遅いほど、緩いキープから立ち直るためのドローをする時間も多くなる。
いくつかのスタンダードの環境では3ターン目まで動きのないハンドをキープすることがよくあり、遅い手札にも有効牌を引き込むための時間が与えられる。そうでない環境では手遅れになってしまうだろう。

そのマッチアップのペースももちろん考える要素になる。コントロール同士のミラーでは両プレイヤーがかなりの量の土地を並べるまでは脅威が現れないケースがあり、そのような状況では土地7枚の手札が強くなる。
赤単ミラーのような軽い脅威と軽い回答を持ったデッキ同士の対戦は消耗戦となり、土地の少ない手札をキープすることが合理的になる。


個々のカードの要素

マジックをプレイすればするほど、特定のパワーカードの存在がゲームの結末に影響を与えることが分かってくる。それを探すべきときに一見堅実に見えるハンドをキープしてしまうプレイヤーは多い。これは最初の土地をプレイする前に負けている、気づきにくい負け方の一つだ。

私がこれにはじめて出くわしたのはBitterblossomがスタンダードを支配していたときに遡る。私はフェアリーを使っていなかったが、こう聞いたのは覚えている。「フェアリーミラーは苦花を引くまでマリガンするか、相手の苦花に負けるかだ。」
その後、青緑サバイバルを使っていたとき、デッキ名になっているカードを引くまでマリガンしたときに劇的に勝率が上がることに気づいた。もちろん他のそこそこ良いハンドもあったが、速攻Vengevineができないか4枚になるまでは、基本的にはマリガンをした。

最近は、マリガンをする場合はほとんどいつも特定のカードを探している。探しているのは切り札なので、4枚までマリガンして勝つことは特別珍しいことではない。そのようなケースのほとんどで、私は相手の戦略全体を否定する1枚のカード、例えばAether Vialに対するTrygon Predator、を手に入れていた。
一度、ドレッジに対して1枚までマリガンして勝ったこともある。私はゲーム2を勝利に導くLeyline of the Voidを探していたが、手に入ったのは1枚のVerdant Catacombだった。はじめの数ターンの間、相手はNarcomoebaを出すだけで止まっており、私は完璧な土地、土地、Green Sun’s Zenith(Scavenging Oozeをサーチ)という引きだった。相手はイオナをDread Returnしたが時すでに遅く、ウーズがダメージレースを制した。

いくつか例を見てみよう。


サイドボード前

チームドラフト

色をタッチした感染デッキをチームドラフトで使っていたときの以下のハンドを覚えている:

《山/Mountain》
《沼/Swamp》
《森/Forest》
《森/Forest》
《鉄のマイア/Iron Myr》
《金屑化/Turn to Slag》
《荒々しき力/Untamed Might》


プラスの側面としては、この手札には素晴らしいマナと除去スペルがある。一方、このデッキの主軸にしている4枚のPlague Stingerが1枚も来ていない。
チームメイトにキープするよう説得され、最終的にいやいや従った。私はプレッシャーを展開していくプランでドラフトしており、この手札はぱっと見れば良く見えるけれども、このデッキはコントロール側の役割を担えるわけではなかった。

結局このキープは問題にはならなかった。というのも、私が2ラウンド目を終える前にYuya(渡辺雄也)があっさり3-0してくれたためだ。ありがたいことに、彼はまだまだ勝つつもりのようだった。


青白フラッシュ(スタンダード)

《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
《氷河の城砦/Glacial Fortress》
《氷河の城砦/Glacial Fortress》
《島/Island》
《島/Island》
《熟慮/Think Twice》
《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》


青白フラッシュはエンジンデッキだ。つまり、毎ゲーム大量のキャントリップを連鎖させようとする。このデッキは4枚の土地で運用可能で、Sphinx’s Revelationが少なくとも1枚入っているのが普通ではあるが、上の手札にある5枚目の土地はたいていは不要だ。

上の手札の2枚の島と1枚のGlacial FortressがDissipateとThought Scourに置き換わったと想像してみよう。最高の6枚じゃないか?

さらに上のハンドで2枚の島を抜いてみよう。7枚のときとたいして違わず、5枚の手札としては素晴らしいものだ。実際、そこまでレベルの高くないイベントでは毎ゲームその5枚でスタートしてもおそらく勝てるだろう。

レベルの高くないイベント――これは主観的だが、私は誰を相手にしているかによってマリガン基準を調整している。
普段この考えを述べることはしない。というのも、多くの人たちが相手のスキルのことを考えすぎてしまい、強い相手に対してマリガン地獄に陥ってしまうことになりそうだからだ。それは生き残るためのまっとうなやり方ではない。

しかしこれは私が使う戦略だ。易しい舞台では初手の許容範囲を広げることが重要だと考えている。ポーカーでやるのに似ているね。

一息入れてこのシンプルなグラフを見てみよう。

【キツい舞台】
・勝利:50%
・敗北(マリガン地獄によるもの):5%
・敗北(その他):45%

【易しい舞台】
・勝利:70%
・敗北(マリガン地獄によるもの):5%
・敗北(その他):25%

※訳注:グラフは元記事を見てください。


相手が弱い場合、こちらのカードはより働きを増すことになり、マリガンして勝つことも、マナフラッドの危険のある緩いハンドをキープして勝つこともより多くなるだろう。それなのに、キープ基準を変えなければ同じ確率でマリガン地獄に陥ることになる。
上のグラフで見られるように、敗北の中でマリガンが占める割合は易しい相手に対するときの方が大きい。この数字を小さくするためには手札の許容範囲を広げる必要がある。

ここが気を付けないといけないところだ。易しい舞台であなたの勝率が高くなる理由の一部は、あなたが相手よりも平均的に強いハンドをキープしていることだ。これが多くの人が許容範囲を変えることを考えない理由だ。許容範囲を広げることで良くなる以上に痛手をこうむるかもしれない。

このスキルを身に付けたとしても、それによって勝率が一気に跳ね上がることはない。
マリガン地獄の確率は例えば3%まで下がるかもしれないが、弱いハンドをキープすることで負ける確率が1%上がるだろう。勝率の増加は結局1%だ。スイス10ラウンドで25ゲームプレイするとして、4つのトーナメントを通して追加で1ゲーム拾えるかどうかという数字だ。大したことないように思えるが、1ゲームがトップ8か否かを決めることはしばしばある。

ここまで手札の許容範囲を「なぜ広げるか」あるいは「なぜ広げないか」を見てきた。「どのように広げるか」にはさらに注意が必要だ。
オープントーナメントやPTQのはじめの6,7回戦では、私は平均的な5枚の手札よりも良い初手であればなんでもキープする。たとえそれが平均的な6枚の手札より悪かったとしても。繰り返しになるが、このように許容範囲を広げられる理由は、1)こちらのカードは強い相手に対しているときよりもよく働き、2)そうしたとしても相手のキープ基準がこちらよりもなお緩いためだ。

大会後半になれば、キープ基準は普段通りに戻すべきだ。基準を戻す正しいタイミングは相手が強くなってきたことに気づいたときだ。それが早いか遅いかはイベントによる。
重要なのは、相手の手札の許容範囲が厳しくなるにしたがって、競争力を維持するためにあなたの許容範囲も同じように厳しくする必要があるということだ。


サイドボード後

今度はサイド後に分析がどう変わるかに着目して、続きの例を見ていこう。

RUG対ハイタイド

《不毛の大地/Wasteland》
《霧深い雨林/Misty Rainforest》
《Volcanic Island》
《目くらまし/Daze》
《目くらまし/Daze》
《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》
《Force of Will》


まず、基本土地しか入っていないデッキが相手の2戦目に不毛を持つ理由が分からない。実質何もしないカードに比べればForked Boltの方がまだマシだろう。2つ目に、ハイタイド相手のゲームではプレッシャーが絶対に必要だ。相手が早めに仕掛けざるを得ない状況にできればカウンター呪文が仕事をする。息をつく余裕を与えてしまうとカウンターではどうにもならない。

デルバー、タルモ、もしくはそれらをできるだけ早く見つけ出せる手札を探しに行き、それらが来るまでマリガンするだろう。
Nimble Mongooseは除去のないデッキ相手では魅力を失う。特にこのハンドにはキャントリップもない。最速のマングースは3ターン目には大きくなるが、このマッチアップではそれでも遅すぎる。

ゴブリン対エルフ

《不毛の大地/Wasteland》
《不毛の大地/Wasteland》
《山/Mountain》
《霊気の薬瓶/AEther Vial》
《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》
《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》
《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》


相手が分からない場合、これは良い手札だ。エルフが相手の場合、これでは欠けている。
Goblin Piledriverと不毛はどちらもおそらく働かず、リングリーダーの最高の仕事は追加のインシネレーターを見つけることか、Pyrokinesis後に引き増すことだ。
Pyrokinesisについて言うと、これは記事の初めの方で述べたスーパーパワーカードの一つだ。ピッチコストとして1枚カードが必要とはいえ、パイロはたいてい相手のカード3,4枚を奪う。相手のテンポを破壊し、こちらがGoblin Sharpshooterを見つけるための時間を稼ぐ。
上の手札には何でも探せるチューターはあるが、エルフの決着ターン(3~4)には間に合わない。

私は上の手札は喜んでマリガンし、ただでPyrokinesis目当ての6ドローをしに行く。もしくは、少なくともGempalm Incineratorと1マナゴブリンのある手札までは。

サイド後はどれがパワーカードか特定するのがかなり簡単だということに気をつけてほしい。
RUGの例では正しい脅威を見つける必要があった。ゴブリンの例では探すべきサイドカードが入っていた。

Caw-Bladeミラー(新たなるファイレクシア以前)

オンラインのPTQで出くわした以下の手札は深いものだった。私はダイスロールに勝ち、一度マリガンした。そして引いたのがこれだ:

《地盤の際/Tectonic Edge》
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
《戦隊の鷹/Squadron Hawk》
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
《乱動への突入/Into the Roil》


私はこの手札を長い間凝視して、それからキープした。
Craig Wescoeが肩越しに言った。

「何やってんの!?」

彼が思ったことは分かる。これは呪文を一つも唱えられない手札だ。
しかし、このマッチアップはStoneforge Mysticを出せるかどうかに大きく依存し、私はこの手札は十分好ましいと考えた。土地を引く賭けに勝つ確率は、マリガンして石鍛冶と土地を同時に引く賭けよりも良い。

当然のことながら、私は石鍛冶を2ターン目に、鷹を3ターン目に、そしてジェイスを4ターン目にキャストした。相手もこちらと同じ展開をしてきたが、2枚目のジェイスは生き残った。
私が話すエピソードの多くは私の引きが良かっただけのように見えるかもしれないが、かつては私もひどい負け方をしていたことは知っておいてほしい。少なくとも自分ではそう思っている。懐かしいな。

私の一般的な話なんかよりももっと大切なことは、私がようやくこの記事を書いた、ということだ。
ここにあるのは、数年間の長きに渡って多くの人が放置してきたこと、皆が知っていて誰か書くだろうと思っていたこと、そして語られることなく頭の中にのみ存在していたことだ。

Caleb Durward


※訳注:最終段落"sackitude"の意味がどうしても分からず("More important than my general sackitude is that I’ve finally penned this article.")、訳文では完全に推測で「話」としています。

コメント

ネタ蒔き
2012年12月2日21:39

翻訳乙です!
ほんまRadishさんとrainさんのお二人には頭が上がりません

しもべの一人、H
2012年12月3日0:22

 カード1枚1枚の質ではなく、デッキコンセプト・戦略との調和性に基づいたKeep判断。基本かもしれませんが、結構難しいですよね。

 対人でKeep基準を変えるなんて高度すぎてとても真似出来ないです。
流石ですね~。

>Cawミラー
確かに「SfM+土地」はマリガン後も難しいかもしれませんが、それでもそのハンドをKeepする胆力が凄いですよね・・・。

 今回も翻訳お疲れ様でした。

のぶ
2012年12月3日17:17

素晴らしい翻訳ありがとうございます!

mogg4
2012年12月4日3:09

翻訳お疲れ様です!

Radish
2012年12月6日1:11

> ネタ蒔き時さん
コメントありがとうございます!
こんなペースですが気長に楽しんでいただければと思います。

> しもべの一人、Hさん
一度決めたら1枚までマリガンも辞さなかったり、キープ基準を相手に合わせたり、やるのは大変ですが、できるようになれば強くなるのでしょうね。

> のぶさん、akiさん
コメントありがとうございます!
無理しないように続けていこうと思います。

Cato.
2012年12月12日10:18

素晴らしい翻訳、ありがとうございます。
いつも楽しみにさせていただいてますのでリンクさせていただきました。

Radish
2012年12月15日1:40

> Cato.さん
いつも読んでくださってありがとうございます。
こちらからもリンクさせていただきました。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索