TCGplayerより。
「読み合い」の分析。
具体例が分かりやすく最後までついていけました。
デッキの構築/選択論と比べると陽に語られることは少ないですが、これがすごく上手い人っていますよね。
対人戦の醍醐味だとも思います。
※2016/7/9: 続編を翻訳しました。
http://radish.diarynote.jp/201607091512155095/
-----
Multilevel Thinking
Craig Wescoe
8/9/2012 10:00:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10632
2011年11月、Chris Mascioliが「Leveled Thinking」というタイトルの記事を掲載した。この記事で彼は、ポーカーではポピュラーな考え方をDavid Sklanskyの本「No Limit Hold’Em: Theory and Practice」から借りてきて、マジックのプレイに対して適用した。その後、Mike Floresが「Practical Leveled Thinking」というタイトルで記事を書き、セオリーを拡張した。
今回の記事では、それぞれの思考レベルごとに具体例と説明を加えるとともに、ある状況でどの思考レベルを使うのが最適かを考える指針を示して、このアイデアをさらに深く掘り下げようと思う。このセオリーはまだ生まれたばかりの段階なので、議論するのに必要となる用語の解説も載せることにした。
この記事が、自分のプレイを改善したいと思うプレイヤーにとって役に立ち、なおかつプレイヤーとライターがより気軽に議論できるようにする基本的な言葉を提供できれば幸いだ。
パートI: 特殊な用語の解説
レベル付け/Leveling: マルチレベル・シンキングのゴール。可能な限り高いレベルを使うことがゴールなのではなく、対戦相手がどのレベルを使っているかを特定し、そのちょうど1つ上のレベルを使うことがゴールだ。
使えるレンジ/Range of Operation: あるプレイヤーが何種類のレベルを使うことができるか。プレイヤーは使えるレベルのレンジを最大化しようとするのが望ましい。これによって、例えばレベル3を使っている相手に対してレベル4のプレイをする、ということが可能になる。
変動/Fluctuation: 自分の使えるレンジ(使えると思っているレンジでは必ずしもない)に常に限定はされるが、プレイヤーはゲーム全体を通して複数の異なるレベルを使うことになる(使えるレンジがレベル1以上であれば)。
レンジの見積りミス/Misevaluation of Range: 対戦相手が使っているレベルを予測し、それが実際と違うこと。対戦相手より2つ以上高いレベルを使ってしまうことは、相手より1つ低いレベルを使ったときと同じ不都合な結果につながる。対戦相手のちょうど1レベル上を使うことが重要だ。
予測されるレベル/Expected Level of Operation: 対戦相手が使っていると予測される、ある一つのレベル。これは必ず相手の使えるレンジのうちのどれかになる。レベルは変動するため、予測は一般的/全体的にするものではなく、ある特定のプレイへの相手の反応に対してなされるべきだ。
アクティブの指標/Indicators of Activity: 対戦相手の使えるレンジにどのレベルが入っているかを示す相手の判断や行動。例えば、Mana Leakをケアしたプレイは対戦相手がレベル1以上を使えることを示す。
非アクティブの指標/Indicators of Inactivity: 対戦相手の使えるレンジにどのレベルが入って「いない」かを示す相手の判断や行動。例えば、対戦相手がCrushing Vinesを匂わせ私がそれをケアした場合、次のターンも再びCrushing Vinesを匂わせることで同じ良い効果が得られるにもかかわらず、そうせずにそれより劣ったプレイをしたとき、対戦相手が使えるレンジにレベル3(相手が何を持っていると私が考えているかを考えるレベル)が含まれていないことを示唆する。
偽の指標/False Indicators: 他のあらゆるセオリーと同じく、このセオリーももちろん完璧ではない。マジックのゲームの複雑さと時間制限のために、特にトーナメントマジックでは、プレイヤーはミスをしがちだ。そういったミスはアクティブや非アクティブの偽の指標になる。特にブラフを考慮に入れたとき、真の指標と偽の指標を見分ける確固たるルールを私は提供できない。とはいえ、セオリーがどこまでカバーするかを明確にするため簡単にここで触れておく。
囮/Decoy: 対戦相手をレベル付けするための一つのアプローチは、その後のゲームを見越した囮プレイをすることだ。相手に囮プレイを指標にさせることで自分の「使えるレンジ」を偽り、それに含まれないレベルでその後のプレイを行う。例えばゲーム1でもう勝つ見込みがないとき、自分がレベル0より高いレベルを使えないという印象を与えるためにスペルを最適でない順序で使い、残りのゲームで対戦相手にレベル1を使うように仕向け、自分はレベル2でプレイする手がある。これはめったにできないプレイだが、正しい状況で行えば効果的だ。
パートII: セオリーの解説
レベル0: 私は何を持っているか?
両プレイヤーのスキルレベルによらず、マジックにおける判断の大半はレベル0で行われる。レベルは積み上がる性質のもので、より高いレベルは全てレベル0で起きていることがベースになっている。レベル0は考えを組み立てる基礎だと考えよう。
例えば以下のような考えがレベル0の判断に含まれる:
* 私のスペルを全てキャストするにはどのショックランドをフェッチしてくればよいか?
* どのコンボパーツが足りず、探してくる必要があるか?
* このAncestral Visionsの最後の待機カウンターが取り除かれるのは何ターン目か?
* トークンが喊声の効果を得るためにはどの順序で誘発型能力をスタックに積めばよいか?
* 手札にあるスペルをこのターンに両方ともキャストできるように土地をタップする方法はあるか?
これらの問いがどれも、もっぱらあなた自身のカードにのみ関連していることに注意してほしい。これらは相手が何を持っているかとは無関係だ。通常このレベルでミスをするプレイヤーは、非常に簡単なケースを除いてレベル1を使うことはできない。
しかし、相手が持っているものを考慮しながらもレベル0に入る、別のタイプのプレイがある。次のようなものだ:
* 私のAugur of Bolasでアタックできるようにするため、手札にあるこのDismemberで相手のBorderland Rangerを殺すことができる。
この例は対戦相手が既にボード上に持っているものを考慮しているが、レベル1の問いにはなっていない。レベル1の問いとはつまり、「(公開情報を超えて)相手は何を持っているか?」というものだ。
レベル0の判断は完全に公開情報のみにもとづいて行われ、あなたのライブラリ以外の非公開情報は考慮しない。例えば、以下の例はレベル0の中で最もレベル1に近く、それゆえレベル1のアクティブの指標にもなる例だが、これはレベル0だと考える:
* これが次善の手となるには、何をドローすればよいか?
Evolving Wildsを持っており、今すぐフェッチすることとフェッチを待つことのメリットについて考えているとき、この種のレベル0判断によく直面する。例えば、今フェッチを切って直後に2マナスペルをドローした場合、そのスペルをすぐにキャストできるのでフェッチを切ったのは良かったことになる。しかし、フェッチを待てば、どの土地をフェッチすべきかを決めるための貴重な情報を1回のドローステップから得られる。
レベル1: (公開情報を超えて)相手は何を持っているか?
多くの判断はレベル0で行われるとはいえ、レベル1の判断もかなりありふれており、一般に1ゲームに数回は発生する。レベル1の判断はまずレベル0の情報をベースにするが、もう一歩先まで踏み込んで、対戦相手の手札、ライブラリ、サイドボード等にあるカードという我々にとっての非公開情報にいかに配慮するかを考える。
どこからどこまでのカードが相手の手札にあり得るかを思い浮かべ、それらを確率によって順位付けすることがゴールだ。これはそもそも途方も無い作業で、特に時間制限のあるマッチではなおさらだ。そこで、もっともありふれた(もしくは優先度の高い)カードだけが相手の手札にあり得ると考えることで我々はよくショートカットする。けれども理想的には、全ての可能なカードの組み合わせを相手が持ちうると考えたくなるだろう。
例えば以下のような考えがレベル1の判断に含まれる:
* あの1枚のアンタップ状態の森から相手は何のインスタントをキャストしてくるだろうか?
* 相手はMana Leakをサイドアウトしたのだろうか?それともマナを残しているのはリークを構えるためなんだろうか?
* 相手が手札に残している可能性のあるクリーチャーは何だろうか?それに備えてこの除去スペルを残しておいた方がよいだろうか?
* Duressで最後に相手の手札を見てから、彼は何をドローしただろうか?
* これから数ターンの間に相手が引くカードはどんなものだろうか?このNegateはいま撃たずに持っておいた方がよいのだろうか?
見ての通り、レベル0とレベル1の判断の重要な違いは、対戦相手が持っている/持ち得るものに関する非公開情報をレベル1では考慮していることだ。
このレベルのアクティブの指標は、あなたの森が起きているときに相手がGiant Growthをケアしてきたことや、Mana Leakをケアするために5マナ揃うまで待ってから重要な2マナスペルをキャストしてきたことだ。
非アクティブの指標は、これらの「罠」をケアせず踏み込んでくることだ。注意点として、特にゲーム序盤では、これらのスペルをケアしないことが相手にとって正しいプレイである場合もある。この場合、真相が次の3つのうちどれなのかをあなたは見極める必要がある:
* 対戦相手の使えるレンジは0である。もしも、使えるレンジが0だと示すプレイを何度も相手がしているようならこの可能性が高い。
* こちらのMana LeakやGiant Growthとの交換をすることが良いプレイになる何かが対戦相手の手札にある。レンジが0であることを示すプレイを相手が他にしていないなら、彼の手札にはおそらくより多くの脅威があり、それが喜んで交換をする理由だろう。
* 対戦相手にはこちらのトリックを破る手段がなく、やむを得ずブッパした。あなたが例えばGeist of Saint Traftのような形でプレッシャーを与えている場合、相手にはあなたが何も持っていないことを祈ってプレイする以外の選択肢がないことが多い。
レベル2: (相手にとっての公開情報を超えて)私が何を持っていると相手は考えているか?
レベル2の思考は人々に良いことをもたらすのと同じくらいトラブルを引き起こす。その理由は多くの場合、このレベルを使える人が、いつレベル2を使い、いつ使わないかを理解できていないためだ。
一方、このレベルを使うことが正しいタイミングはたくさんある。一般則として、相手の立場から見て私が持っているのが理に適っているカードは何かをいつも心の中で考えておくようにしたい。そしてその時が来たら考えておいたことに従ってプレイする。
レベル2のプレイは出番がないことも多い。とはいえ出番が来たときにはレベル2のプレイはしばしばゲームを決める。それゆえ、相手にとっての公開情報から考えてあなたが持っていそうなカードは何か、をチェックするのに頭を使う価値は十分にある。
例えば以下のような考えがレベル2の判断に含まれる:
* 前のターン、私はCrushing Vinesを使えるマナを立てておき、相手はそれをケアした。私はこのターンもそれを続けるべきだろうか?それとも別のプレイをすべきだろうか?
* 前のゲームで相手は常にMana Leakをケアして動いていた。では、ゲーム2に向けてリークをサイドアウトすべきだろうか?
* 相手は私のデッキが青赤ストームだと考えてゲーム2に向けてクリーチャー除去を全てアウトしてくるだろうか?それとも私がSplinter Twinコンボをサイドインすると考えて除去を残すだろうか?
* 私がエムラクールの即死パンチを防ぐブロッカーを残さずアタックした場合、彼は私がSurgical Extractionを握っていると考えてGoryo’s Vengeanceコンボを待つだろうか?それとも構わずブッパしてくるだろうか?
* 私の飛行クリーチャーで2回殴れば相手を倒せるが、このOblivion Ringを彼のBirds of Paradise(彼の唯一の飛行ブロッカー)に使うのを1ターン待てるだろうか?あるいは次のターンにリングされることをケアしてここでブロックしてくる可能性があるので今すぐ使うべきだろうか?
レベル1の思考では、こちらにとっての公開情報を超えて相手が何を持っているかを考える。それに対してレベル2の思考では、相手にとっての非公開情報(つまり、こちらの手札、ライブラリ、サイドボード)について対戦相手がどのようなレベル1の判断をするかを考える。
レベル3ではこれをさらに一歩先に進める。
レベル3: 相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
これの意味を説明する前に、まずここで何が言われているかを理解しておこう。ここで我々が気にかけるのは、対戦相手の非公開情報(手札、ライブラリ、サイドボードのカード)に関することだ。これらの情報について、このレベル3では対戦相手を自分の立場に置いて考える。
基本的にはレベル1と同じ問いを考えることになるが、判断するのは、対戦相手だったらこれらの情報をどのように活用するか、ということになる。
例えば以下のような考えがレベル3の判断に含まれる:
* 相手が森を1枚立てているのはGiant Growthをキャストするためだろうか?それとも存在しないGiant Growthをケアさせて私のアタックを防ぐためだろうか?
* 相手がMana Leakを撃てる構えを見せているのは、私がゲーム1でリークをケアしたからだろうか?それとも彼が本当にMana Leakを手札に持っているからだろうか?
* (Duressによって)手札にあることがバレているChandra’s Phoenixを相手がキャストしなかったのはなぜだろうか?彼がIncinerateをドローしたのが理由で、私はAngelic Destinyをゴーレムトークンにプレイすべきではないのだろうか?もしくは私にそう考えさせるのが目的で、実際はもっていなくともIncinerateの構えを見せているのだろうか?
* 相手のこのアタックは、レベル0の観点からは彼が(とどめとなる)Nameless Inversionを手札に持っていないと説明がつかない。では、彼はそれを持っているのだろうか?それとも彼は単にこのアタックが私の盤面、もう数ターンしたら逆転不可能になるだろう盤面に対抗する最高の機会だと見ただけなのだろうか?つまり、彼はNameless Inversionを持っているのか、あるいは私がそれをケアすることに望みをつなごうとしているのか?
* 相手はこのSerra Angelによって除去を釣り出そうとしているのか?それともこれが彼の最も危険な脅威で、私がここにDoom Bladeを使う価値があるのか?
レベル3の判断がブラフのメリットを量ることと無関係とは考えられない。そんな判断はあり得ないと言い切ってしまうことにはためらいがあり、思い切って少なくともこうは言っておこう:多くの場合レベル3の判断は、あるカードを相手が本当に持っているかどうか、またはブラフをしているのかどうかを見極めることと深く関連する。
レベル3ではレンジの指標が特に重要だ。プレイヤーたちがレベル3でミスをする最大の理由は対戦相手のレンジを誤認識(「見積りミス」とも言われる)することだ。これは以下のことが組み合わさって引き起こされる:
* アクティブの指標を見逃す
* 非アクティブの指標を見逃す
* 偽の指標を真の指標だと受け取る
あるいはより追い詰められた状況として、以下のどちらかによってもミスは引き起こされる:
* 囮にひっかかる
* レベル4のプレイをされる
通常はレベル3を使うよりもレベル1を使う方が良い。特別な理由がなければ、その方が多くの場合に正しいプレイができるだろう。高いスキルを持ったプレイヤーでさえレベル2よりもレベル0を使うことの方がかなり多い!
とはいえ、ゲームに勝つためにレベル3の判断が必要とされるタイミングは間違いなくある。
あるプレイをするのにレベル3を使うと決めるときには、対戦相手のレンジが少なくとも2はあることを確かめ、レベル0やレベル4のプレイに粉砕されるリスクと比べても、なおレベル3のプレイで得られるメリットの期待値(メリット×確率)が高いと確信を持つ必要がある。
レベル4: 私が持っていることを相手が予想しているだろうと私が考えているカードは何だと相手は考えているか?
今回も、まずはじめにここで何が言われているかを考えよう。ベースになるのは、私が何を持っていると相手は考えているか(レベル2)だ。
レベル4で考えるのは、対戦相手がこちらの立場でレベル2の思考をしたらどうなるか、ということだ。
このタイプの思考は、両プレイヤーが普段よりも多くの情報にアクセスできるときに生じやすい。さらに、レベル4の思考はたいてい二択をともなう。つまり、ちょうど2つの選択肢があり、両プレイヤーが共にその状況に気づいているとき、どちらの選択肢を選ぶかに関わるのがレベル4だ。
以下に載せる例からも分かるように、いったんレベル4を超えれば、あとはどこまでいってもレベル4に戻ってくることになる。レベル5は単純にレベル4の反対の選択で、その後のレベルは全て対戦相手を一つ前のレベルにおき、その反対の選択をするだけだ。
レベル4の思考を理解することで、本質的に全てのレベルを理解したことになる。
例えば以下のような考えがレベル4の判断に含まれる:
* 相手は私が青赤ストームデッキにSplinter Twinをサイドインすることを読んでいるだろう。というのも彼とはこのトーナメントの前のラウンドで一度当たっており、そこで私がそのようにサイドしたからだ。しかし私がこのように考えていることも彼にはお見通しだろう。さて、彼は私がSplinter Twinをサイドインしない場合への準備をして、私より1レベル上に立とうとしてくるだろうか?
* 相手がMenacing Ogreをプレイした。直前のゲームでも、今とほとんど同じ盤面で彼はMenacing Ogreをプレイしてきた。そのときはOgreの能力で彼は1を選び、私は0を選んだ。すると今回は私は2を選ぶべきだろう。しかし私が2を選びそうだと彼が考えていれば、彼も2を選んでくるだろう。そうすると私は3を選ぶべきだ。しかし、彼が2を選ぶと私が考えていることを彼は読んでいるだろうか?その場合は私は4を選ぶべきだが、それとも安全に3にしておくべきだろうか?
* 前のターン、相手は私にDuressを撃ち、エンドステップに私は彼を対象にVendilion Cliqueをプレイした(Deceiver Exarchをボトムに送ったが、その後のドローで彼はすぐにもう1枚を引き入れ、すぐにキャストした)。今、その直後の私のアップキープ、Delver of Secretsの誘発で見たライブラリトップはDismemberだったが私はそれを公開しないことを選んだ。彼の手札にSplinter Twinがあるのを知っていて、それを防御スペル(SpellskiteやDispelなど)を引く前にブッパして欲しいからだ。彼は私の手札に双子を止めるカードがなかったのを見ているためブッパしてくれるだろうか?それとも、双子を釣り出すために私がこのプレイをしたことを考え、防御スペルを待つだろうか?
* 私はShow and Tellをプレイしたところだ。相手のデッキには2枚のGilded Drakeが入っているのを知っている。彼はすぐさま実物提示教育の授業に持ち込む1枚のカードを手札から場に伏せた。レベル2で考えれば、私がエムラクールを持っていると彼は思っているのだろう。しかし私がそう考えていることも彼にはおそらく分かっている。さて、彼が伏せたカードはエムラクール対策のGilded Drakeだろうか?それとも、次のShow and Tellの前にGilded Drakeを無駄遣いさせようと私がエムラクール以外のカードを選ぶことを狙っているだけなのだろうか?
* 対戦相手はレガシーのエルフを使っており、今はゲーム3で彼が先攻だ。私の2ターン目、次のターンにEngineered Plagueを出せる状況で私がMeddling Mageをキャストした。相手は十分な数のエルフとマナを展開しており、返しのターンにMirror Entityをプレイすれば間違いなく即死のアタックをしてくる。一方、彼の手札にMirror Entiryがない場合、Glimpse of Natureを指定すればほぼ確実に勝つことができる。それでMeddling Mageをプレイするとき、彼に「2枚の間で悩んでるんだ」と言った。明らかにGlimpseとMirror Entityで悩む場面だが、彼は「GlimpseとGreen Sun’s Zenithかな?」と答えた。さて、相手はMirror Entityを持っていてそれを指定させまいとしているのだろうか?それとも彼はEntityを持っておらず、GlimpseよりもMirror Entityの方を指定させようとしているのだろうか?もし、彼がGlimpseを提案することでMirror Entityを指定させようとしていることに私が気づくことを彼が想定している場合、私はMirror Entityを指定すべきだ。しかし、そうくるだろうと考えて彼が逆のことをしている場合、明らかに彼はMirror Entityを持っていないので、私はGlimpse of Natureを指定すべきだ。
私に言えるかぎり、実際のマジックのゲーム中に現れる思考レベルの中ではレベル4が循環しない中で最高だ。循環しない第5のレベルが必要になるほどこのゲームには複雑な要素がたくさんあるようにも思うが、マジックのほぼ全てのゲームでレベル5はただ結論を逆にしただけのレベル4で、それは相手がレベル4を使っていると思われるときに選ばれる結論だ。レベル5に対しては同様にレベル6があり、以降は無限に続く。
おわりに
もともとはさらにいくつかの例をより詳しく見ていくことを予定しており、そこにはMike Floresが挙げていた素晴らしい例も含まれる。この例では白青人間を使う対戦相手がMirran Crusaderをプレイし、あなたはGalvanic Blastを持っている。あなたが判断するのは、今すぐCrusaderにBlastをプレイするか、もしくはAngelic Destinyのプレイにレスポンスで撃ってさらなる価値を得るために待つかだ。相手がDestinyをプレイしなかった場合、BlastがMana LeakやFaith’s Shieldでカウンターされることがコストになる。
私はこの例についてたくさん言いたいことがあるのだが、この記事は既に十分に長くなってしまったのでまた別の日に残しておこうと思う。今後の記事でこのセオリーについての議論の続きを読みたい場合は、フォーラムにそう書き込んでほしい。
この記事がマルチレベル・シンキングでの思考プロセスを理解する助けとなればと思う。このゲームのトッププレイヤーの多くは暗黙のうちに使っているものではあるが、このセオリー自体は比較的新しい。この記事は、マジックにおいてマルチレベル・シンキングをするプレイヤーたちの頭の中で働いている思考プロセスと、その根底にある要素を言葉で明らかにしようとする私の試みだ。
Craig Wescoe
「読み合い」の分析。
具体例が分かりやすく最後までついていけました。
デッキの構築/選択論と比べると陽に語られることは少ないですが、これがすごく上手い人っていますよね。
対人戦の醍醐味だとも思います。
※2016/7/9: 続編を翻訳しました。
http://radish.diarynote.jp/201607091512155095/
-----
Multilevel Thinking
Craig Wescoe
8/9/2012 10:00:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10632
2011年11月、Chris Mascioliが「Leveled Thinking」というタイトルの記事を掲載した。この記事で彼は、ポーカーではポピュラーな考え方をDavid Sklanskyの本「No Limit Hold’Em: Theory and Practice」から借りてきて、マジックのプレイに対して適用した。その後、Mike Floresが「Practical Leveled Thinking」というタイトルで記事を書き、セオリーを拡張した。
今回の記事では、それぞれの思考レベルごとに具体例と説明を加えるとともに、ある状況でどの思考レベルを使うのが最適かを考える指針を示して、このアイデアをさらに深く掘り下げようと思う。このセオリーはまだ生まれたばかりの段階なので、議論するのに必要となる用語の解説も載せることにした。
この記事が、自分のプレイを改善したいと思うプレイヤーにとって役に立ち、なおかつプレイヤーとライターがより気軽に議論できるようにする基本的な言葉を提供できれば幸いだ。
パートI: 特殊な用語の解説
レベル付け/Leveling: マルチレベル・シンキングのゴール。可能な限り高いレベルを使うことがゴールなのではなく、対戦相手がどのレベルを使っているかを特定し、そのちょうど1つ上のレベルを使うことがゴールだ。
使えるレンジ/Range of Operation: あるプレイヤーが何種類のレベルを使うことができるか。プレイヤーは使えるレベルのレンジを最大化しようとするのが望ましい。これによって、例えばレベル3を使っている相手に対してレベル4のプレイをする、ということが可能になる。
変動/Fluctuation: 自分の使えるレンジ(使えると思っているレンジでは必ずしもない)に常に限定はされるが、プレイヤーはゲーム全体を通して複数の異なるレベルを使うことになる(使えるレンジがレベル1以上であれば)。
レンジの見積りミス/Misevaluation of Range: 対戦相手が使っているレベルを予測し、それが実際と違うこと。対戦相手より2つ以上高いレベルを使ってしまうことは、相手より1つ低いレベルを使ったときと同じ不都合な結果につながる。対戦相手のちょうど1レベル上を使うことが重要だ。
予測されるレベル/Expected Level of Operation: 対戦相手が使っていると予測される、ある一つのレベル。これは必ず相手の使えるレンジのうちのどれかになる。レベルは変動するため、予測は一般的/全体的にするものではなく、ある特定のプレイへの相手の反応に対してなされるべきだ。
アクティブの指標/Indicators of Activity: 対戦相手の使えるレンジにどのレベルが入っているかを示す相手の判断や行動。例えば、Mana Leakをケアしたプレイは対戦相手がレベル1以上を使えることを示す。
非アクティブの指標/Indicators of Inactivity: 対戦相手の使えるレンジにどのレベルが入って「いない」かを示す相手の判断や行動。例えば、対戦相手がCrushing Vinesを匂わせ私がそれをケアした場合、次のターンも再びCrushing Vinesを匂わせることで同じ良い効果が得られるにもかかわらず、そうせずにそれより劣ったプレイをしたとき、対戦相手が使えるレンジにレベル3(相手が何を持っていると私が考えているかを考えるレベル)が含まれていないことを示唆する。
偽の指標/False Indicators: 他のあらゆるセオリーと同じく、このセオリーももちろん完璧ではない。マジックのゲームの複雑さと時間制限のために、特にトーナメントマジックでは、プレイヤーはミスをしがちだ。そういったミスはアクティブや非アクティブの偽の指標になる。特にブラフを考慮に入れたとき、真の指標と偽の指標を見分ける確固たるルールを私は提供できない。とはいえ、セオリーがどこまでカバーするかを明確にするため簡単にここで触れておく。
囮/Decoy: 対戦相手をレベル付けするための一つのアプローチは、その後のゲームを見越した囮プレイをすることだ。相手に囮プレイを指標にさせることで自分の「使えるレンジ」を偽り、それに含まれないレベルでその後のプレイを行う。例えばゲーム1でもう勝つ見込みがないとき、自分がレベル0より高いレベルを使えないという印象を与えるためにスペルを最適でない順序で使い、残りのゲームで対戦相手にレベル1を使うように仕向け、自分はレベル2でプレイする手がある。これはめったにできないプレイだが、正しい状況で行えば効果的だ。
パートII: セオリーの解説
レベル0: 私は何を持っているか?
両プレイヤーのスキルレベルによらず、マジックにおける判断の大半はレベル0で行われる。レベルは積み上がる性質のもので、より高いレベルは全てレベル0で起きていることがベースになっている。レベル0は考えを組み立てる基礎だと考えよう。
例えば以下のような考えがレベル0の判断に含まれる:
* 私のスペルを全てキャストするにはどのショックランドをフェッチしてくればよいか?
* どのコンボパーツが足りず、探してくる必要があるか?
* このAncestral Visionsの最後の待機カウンターが取り除かれるのは何ターン目か?
* トークンが喊声の効果を得るためにはどの順序で誘発型能力をスタックに積めばよいか?
* 手札にあるスペルをこのターンに両方ともキャストできるように土地をタップする方法はあるか?
これらの問いがどれも、もっぱらあなた自身のカードにのみ関連していることに注意してほしい。これらは相手が何を持っているかとは無関係だ。通常このレベルでミスをするプレイヤーは、非常に簡単なケースを除いてレベル1を使うことはできない。
しかし、相手が持っているものを考慮しながらもレベル0に入る、別のタイプのプレイがある。次のようなものだ:
* 私のAugur of Bolasでアタックできるようにするため、手札にあるこのDismemberで相手のBorderland Rangerを殺すことができる。
この例は対戦相手が既にボード上に持っているものを考慮しているが、レベル1の問いにはなっていない。レベル1の問いとはつまり、「(公開情報を超えて)相手は何を持っているか?」というものだ。
レベル0の判断は完全に公開情報のみにもとづいて行われ、あなたのライブラリ以外の非公開情報は考慮しない。例えば、以下の例はレベル0の中で最もレベル1に近く、それゆえレベル1のアクティブの指標にもなる例だが、これはレベル0だと考える:
* これが次善の手となるには、何をドローすればよいか?
Evolving Wildsを持っており、今すぐフェッチすることとフェッチを待つことのメリットについて考えているとき、この種のレベル0判断によく直面する。例えば、今フェッチを切って直後に2マナスペルをドローした場合、そのスペルをすぐにキャストできるのでフェッチを切ったのは良かったことになる。しかし、フェッチを待てば、どの土地をフェッチすべきかを決めるための貴重な情報を1回のドローステップから得られる。
レベル1: (公開情報を超えて)相手は何を持っているか?
多くの判断はレベル0で行われるとはいえ、レベル1の判断もかなりありふれており、一般に1ゲームに数回は発生する。レベル1の判断はまずレベル0の情報をベースにするが、もう一歩先まで踏み込んで、対戦相手の手札、ライブラリ、サイドボード等にあるカードという我々にとっての非公開情報にいかに配慮するかを考える。
どこからどこまでのカードが相手の手札にあり得るかを思い浮かべ、それらを確率によって順位付けすることがゴールだ。これはそもそも途方も無い作業で、特に時間制限のあるマッチではなおさらだ。そこで、もっともありふれた(もしくは優先度の高い)カードだけが相手の手札にあり得ると考えることで我々はよくショートカットする。けれども理想的には、全ての可能なカードの組み合わせを相手が持ちうると考えたくなるだろう。
例えば以下のような考えがレベル1の判断に含まれる:
* あの1枚のアンタップ状態の森から相手は何のインスタントをキャストしてくるだろうか?
* 相手はMana Leakをサイドアウトしたのだろうか?それともマナを残しているのはリークを構えるためなんだろうか?
* 相手が手札に残している可能性のあるクリーチャーは何だろうか?それに備えてこの除去スペルを残しておいた方がよいだろうか?
* Duressで最後に相手の手札を見てから、彼は何をドローしただろうか?
* これから数ターンの間に相手が引くカードはどんなものだろうか?このNegateはいま撃たずに持っておいた方がよいのだろうか?
見ての通り、レベル0とレベル1の判断の重要な違いは、対戦相手が持っている/持ち得るものに関する非公開情報をレベル1では考慮していることだ。
このレベルのアクティブの指標は、あなたの森が起きているときに相手がGiant Growthをケアしてきたことや、Mana Leakをケアするために5マナ揃うまで待ってから重要な2マナスペルをキャストしてきたことだ。
非アクティブの指標は、これらの「罠」をケアせず踏み込んでくることだ。注意点として、特にゲーム序盤では、これらのスペルをケアしないことが相手にとって正しいプレイである場合もある。この場合、真相が次の3つのうちどれなのかをあなたは見極める必要がある:
* 対戦相手の使えるレンジは0である。もしも、使えるレンジが0だと示すプレイを何度も相手がしているようならこの可能性が高い。
* こちらのMana LeakやGiant Growthとの交換をすることが良いプレイになる何かが対戦相手の手札にある。レンジが0であることを示すプレイを相手が他にしていないなら、彼の手札にはおそらくより多くの脅威があり、それが喜んで交換をする理由だろう。
* 対戦相手にはこちらのトリックを破る手段がなく、やむを得ずブッパした。あなたが例えばGeist of Saint Traftのような形でプレッシャーを与えている場合、相手にはあなたが何も持っていないことを祈ってプレイする以外の選択肢がないことが多い。
レベル2: (相手にとっての公開情報を超えて)私が何を持っていると相手は考えているか?
レベル2の思考は人々に良いことをもたらすのと同じくらいトラブルを引き起こす。その理由は多くの場合、このレベルを使える人が、いつレベル2を使い、いつ使わないかを理解できていないためだ。
一方、このレベルを使うことが正しいタイミングはたくさんある。一般則として、相手の立場から見て私が持っているのが理に適っているカードは何かをいつも心の中で考えておくようにしたい。そしてその時が来たら考えておいたことに従ってプレイする。
レベル2のプレイは出番がないことも多い。とはいえ出番が来たときにはレベル2のプレイはしばしばゲームを決める。それゆえ、相手にとっての公開情報から考えてあなたが持っていそうなカードは何か、をチェックするのに頭を使う価値は十分にある。
例えば以下のような考えがレベル2の判断に含まれる:
* 前のターン、私はCrushing Vinesを使えるマナを立てておき、相手はそれをケアした。私はこのターンもそれを続けるべきだろうか?それとも別のプレイをすべきだろうか?
* 前のゲームで相手は常にMana Leakをケアして動いていた。では、ゲーム2に向けてリークをサイドアウトすべきだろうか?
* 相手は私のデッキが青赤ストームだと考えてゲーム2に向けてクリーチャー除去を全てアウトしてくるだろうか?それとも私がSplinter Twinコンボをサイドインすると考えて除去を残すだろうか?
* 私がエムラクールの即死パンチを防ぐブロッカーを残さずアタックした場合、彼は私がSurgical Extractionを握っていると考えてGoryo’s Vengeanceコンボを待つだろうか?それとも構わずブッパしてくるだろうか?
* 私の飛行クリーチャーで2回殴れば相手を倒せるが、このOblivion Ringを彼のBirds of Paradise(彼の唯一の飛行ブロッカー)に使うのを1ターン待てるだろうか?あるいは次のターンにリングされることをケアしてここでブロックしてくる可能性があるので今すぐ使うべきだろうか?
レベル1の思考では、こちらにとっての公開情報を超えて相手が何を持っているかを考える。それに対してレベル2の思考では、相手にとっての非公開情報(つまり、こちらの手札、ライブラリ、サイドボード)について対戦相手がどのようなレベル1の判断をするかを考える。
レベル3ではこれをさらに一歩先に進める。
レベル3: 相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
これの意味を説明する前に、まずここで何が言われているかを理解しておこう。ここで我々が気にかけるのは、対戦相手の非公開情報(手札、ライブラリ、サイドボードのカード)に関することだ。これらの情報について、このレベル3では対戦相手を自分の立場に置いて考える。
基本的にはレベル1と同じ問いを考えることになるが、判断するのは、対戦相手だったらこれらの情報をどのように活用するか、ということになる。
例えば以下のような考えがレベル3の判断に含まれる:
* 相手が森を1枚立てているのはGiant Growthをキャストするためだろうか?それとも存在しないGiant Growthをケアさせて私のアタックを防ぐためだろうか?
* 相手がMana Leakを撃てる構えを見せているのは、私がゲーム1でリークをケアしたからだろうか?それとも彼が本当にMana Leakを手札に持っているからだろうか?
* (Duressによって)手札にあることがバレているChandra’s Phoenixを相手がキャストしなかったのはなぜだろうか?彼がIncinerateをドローしたのが理由で、私はAngelic Destinyをゴーレムトークンにプレイすべきではないのだろうか?もしくは私にそう考えさせるのが目的で、実際はもっていなくともIncinerateの構えを見せているのだろうか?
* 相手のこのアタックは、レベル0の観点からは彼が(とどめとなる)Nameless Inversionを手札に持っていないと説明がつかない。では、彼はそれを持っているのだろうか?それとも彼は単にこのアタックが私の盤面、もう数ターンしたら逆転不可能になるだろう盤面に対抗する最高の機会だと見ただけなのだろうか?つまり、彼はNameless Inversionを持っているのか、あるいは私がそれをケアすることに望みをつなごうとしているのか?
* 相手はこのSerra Angelによって除去を釣り出そうとしているのか?それともこれが彼の最も危険な脅威で、私がここにDoom Bladeを使う価値があるのか?
レベル3の判断がブラフのメリットを量ることと無関係とは考えられない。そんな判断はあり得ないと言い切ってしまうことにはためらいがあり、思い切って少なくともこうは言っておこう:多くの場合レベル3の判断は、あるカードを相手が本当に持っているかどうか、またはブラフをしているのかどうかを見極めることと深く関連する。
レベル3ではレンジの指標が特に重要だ。プレイヤーたちがレベル3でミスをする最大の理由は対戦相手のレンジを誤認識(「見積りミス」とも言われる)することだ。これは以下のことが組み合わさって引き起こされる:
* アクティブの指標を見逃す
* 非アクティブの指標を見逃す
* 偽の指標を真の指標だと受け取る
あるいはより追い詰められた状況として、以下のどちらかによってもミスは引き起こされる:
* 囮にひっかかる
* レベル4のプレイをされる
通常はレベル3を使うよりもレベル1を使う方が良い。特別な理由がなければ、その方が多くの場合に正しいプレイができるだろう。高いスキルを持ったプレイヤーでさえレベル2よりもレベル0を使うことの方がかなり多い!
とはいえ、ゲームに勝つためにレベル3の判断が必要とされるタイミングは間違いなくある。
あるプレイをするのにレベル3を使うと決めるときには、対戦相手のレンジが少なくとも2はあることを確かめ、レベル0やレベル4のプレイに粉砕されるリスクと比べても、なおレベル3のプレイで得られるメリットの期待値(メリット×確率)が高いと確信を持つ必要がある。
レベル4: 私が持っていることを相手が予想しているだろうと私が考えているカードは何だと相手は考えているか?
今回も、まずはじめにここで何が言われているかを考えよう。ベースになるのは、私が何を持っていると相手は考えているか(レベル2)だ。
レベル4で考えるのは、対戦相手がこちらの立場でレベル2の思考をしたらどうなるか、ということだ。
このタイプの思考は、両プレイヤーが普段よりも多くの情報にアクセスできるときに生じやすい。さらに、レベル4の思考はたいてい二択をともなう。つまり、ちょうど2つの選択肢があり、両プレイヤーが共にその状況に気づいているとき、どちらの選択肢を選ぶかに関わるのがレベル4だ。
以下に載せる例からも分かるように、いったんレベル4を超えれば、あとはどこまでいってもレベル4に戻ってくることになる。レベル5は単純にレベル4の反対の選択で、その後のレベルは全て対戦相手を一つ前のレベルにおき、その反対の選択をするだけだ。
レベル4の思考を理解することで、本質的に全てのレベルを理解したことになる。
例えば以下のような考えがレベル4の判断に含まれる:
* 相手は私が青赤ストームデッキにSplinter Twinをサイドインすることを読んでいるだろう。というのも彼とはこのトーナメントの前のラウンドで一度当たっており、そこで私がそのようにサイドしたからだ。しかし私がこのように考えていることも彼にはお見通しだろう。さて、彼は私がSplinter Twinをサイドインしない場合への準備をして、私より1レベル上に立とうとしてくるだろうか?
* 相手がMenacing Ogreをプレイした。直前のゲームでも、今とほとんど同じ盤面で彼はMenacing Ogreをプレイしてきた。そのときはOgreの能力で彼は1を選び、私は0を選んだ。すると今回は私は2を選ぶべきだろう。しかし私が2を選びそうだと彼が考えていれば、彼も2を選んでくるだろう。そうすると私は3を選ぶべきだ。しかし、彼が2を選ぶと私が考えていることを彼は読んでいるだろうか?その場合は私は4を選ぶべきだが、それとも安全に3にしておくべきだろうか?
* 前のターン、相手は私にDuressを撃ち、エンドステップに私は彼を対象にVendilion Cliqueをプレイした(Deceiver Exarchをボトムに送ったが、その後のドローで彼はすぐにもう1枚を引き入れ、すぐにキャストした)。今、その直後の私のアップキープ、Delver of Secretsの誘発で見たライブラリトップはDismemberだったが私はそれを公開しないことを選んだ。彼の手札にSplinter Twinがあるのを知っていて、それを防御スペル(SpellskiteやDispelなど)を引く前にブッパして欲しいからだ。彼は私の手札に双子を止めるカードがなかったのを見ているためブッパしてくれるだろうか?それとも、双子を釣り出すために私がこのプレイをしたことを考え、防御スペルを待つだろうか?
* 私はShow and Tellをプレイしたところだ。相手のデッキには2枚のGilded Drakeが入っているのを知っている。彼はすぐさま実物提示教育の授業に持ち込む1枚のカードを手札から場に伏せた。レベル2で考えれば、私がエムラクールを持っていると彼は思っているのだろう。しかし私がそう考えていることも彼にはおそらく分かっている。さて、彼が伏せたカードはエムラクール対策のGilded Drakeだろうか?それとも、次のShow and Tellの前にGilded Drakeを無駄遣いさせようと私がエムラクール以外のカードを選ぶことを狙っているだけなのだろうか?
* 対戦相手はレガシーのエルフを使っており、今はゲーム3で彼が先攻だ。私の2ターン目、次のターンにEngineered Plagueを出せる状況で私がMeddling Mageをキャストした。相手は十分な数のエルフとマナを展開しており、返しのターンにMirror Entityをプレイすれば間違いなく即死のアタックをしてくる。一方、彼の手札にMirror Entiryがない場合、Glimpse of Natureを指定すればほぼ確実に勝つことができる。それでMeddling Mageをプレイするとき、彼に「2枚の間で悩んでるんだ」と言った。明らかにGlimpseとMirror Entityで悩む場面だが、彼は「GlimpseとGreen Sun’s Zenithかな?」と答えた。さて、相手はMirror Entityを持っていてそれを指定させまいとしているのだろうか?それとも彼はEntityを持っておらず、GlimpseよりもMirror Entityの方を指定させようとしているのだろうか?もし、彼がGlimpseを提案することでMirror Entityを指定させようとしていることに私が気づくことを彼が想定している場合、私はMirror Entityを指定すべきだ。しかし、そうくるだろうと考えて彼が逆のことをしている場合、明らかに彼はMirror Entityを持っていないので、私はGlimpse of Natureを指定すべきだ。
私に言えるかぎり、実際のマジックのゲーム中に現れる思考レベルの中ではレベル4が循環しない中で最高だ。循環しない第5のレベルが必要になるほどこのゲームには複雑な要素がたくさんあるようにも思うが、マジックのほぼ全てのゲームでレベル5はただ結論を逆にしただけのレベル4で、それは相手がレベル4を使っていると思われるときに選ばれる結論だ。レベル5に対しては同様にレベル6があり、以降は無限に続く。
おわりに
もともとはさらにいくつかの例をより詳しく見ていくことを予定しており、そこにはMike Floresが挙げていた素晴らしい例も含まれる。この例では白青人間を使う対戦相手がMirran Crusaderをプレイし、あなたはGalvanic Blastを持っている。あなたが判断するのは、今すぐCrusaderにBlastをプレイするか、もしくはAngelic Destinyのプレイにレスポンスで撃ってさらなる価値を得るために待つかだ。相手がDestinyをプレイしなかった場合、BlastがMana LeakやFaith’s Shieldでカウンターされることがコストになる。
私はこの例についてたくさん言いたいことがあるのだが、この記事は既に十分に長くなってしまったのでまた別の日に残しておこうと思う。今後の記事でこのセオリーについての議論の続きを読みたい場合は、フォーラムにそう書き込んでほしい。
この記事がマルチレベル・シンキングでの思考プロセスを理解する助けとなればと思う。このゲームのトッププレイヤーの多くは暗黙のうちに使っているものではあるが、このセオリー自体は比較的新しい。この記事は、マジックにおいてマルチレベル・シンキングをするプレイヤーたちの頭の中で働いている思考プロセスと、その根底にある要素を言葉で明らかにしようとする私の試みだ。
Craig Wescoe
コメント
感覚的には理解できそうな内容でも、言葉にして説明しようとすると難しいこと。今回の翻訳記事もそういう類いの話に分類されるのではないでしょうか。
プレイングの考え方に関わる重要な内容であり、読む機会に巡りあえて本当によかったとしみじみ思いました。
なおかつ文章として残していただけることで、何度も読み返して理解を深めるのにも役立ちます。
今後もおもしろい翻訳記事を楽しみにしています。
がんばってください☆
いつも読んでくださってありがとうございます。
こちらからもリンクさせていただきました。よろしくお願いします。
> poporonさん
まさにおっしゃる通りの内容で、「みんな普段からやってることなのに、いざ説明しようとするとこんなにも言葉を尽くさなきゃならんのか!」と訳しながら何度も思いました。
マジックを題材にここまで丁寧に整理してくれている文章ってあまりないんじゃないかと思います。僕もこれは読み返そうと思って、翻訳しました。
コメントありがとうございました。今後もマイペースで続けていきますのでよろしくお願いします。
英語力が低いので、翻訳記事は非常に助かりますし勉強になります。
誠に勝手ながらリンクさせていただきます。
はじめまして、コメントありがとうございます。
僕もいろんな方から勉強させてもらってます。
こちらからもリンクさせていただきました。
こういった総論的な戦略記事は非常に好みなので、思わずコメントしに来ました。
翻訳、ありがとうございます。
はじめまして。自分もこういう記事は大好物で、レガシーの合間にやっていこうと思います。
リンクありがとうございました。相互させていただきました。