前半(http://radish.diarynote.jp/201607091512155095/)の続きです。
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事例4:極楽の鳥を愛しているならリングを贈ろう
この事例は最近のSCG Washington DC(スタンダード)のカバレッジから持ってきた。解説者のGerry ThompsonとMike Floresはちゃんとここで何が起きていて、Ben Lundquistがどのレベルを使うべきかを議論している(マルチレベル・シンキングの用語を使ってはいないが)。
Benは手札にOblivion Ringを持っており、Insectile Aberation2体と(+4/+0の)Runechanter’s Pikeを場に出している。彼のライフは21で、相手は20。相手の手札は1枚だが、状況からすると無意味な土地である可能性が非常に高い。
Oblivion RingをBirds of Paradiseに使って10点アタック、相手のAnthonyを10ライフまで落とすか、あるいはRingを温存する代わりに、鳥でチャンプして追加のドロー・ステップを得る機会を相手に与えるかが判断のポイントになる。
このOblivion Ringを相手のBirds of Paradiseに使うべきか、という問題だ。どのレベルが正しい答えを教えてくれるだろうか?その理由は?
(※訳注:画像あり。)
レベル1では、相手が何をドローし得るかを考える。最も恐ろしいカードはBonfire of the Damnedだ。そのため、Bonfireを引くチャンスを2回から1回にできるというのは、Oblivion Ringを使う重要な理由になる。
しかし、正しいプレイにたどり着くのにレベル1の思考では不十分だ。レベル1では、このターンは待って次のターンに鳥にRingを使うべきではない理由を答えられない。正しいプレイを決めるのに必要なのはレベル2だ:私が何を持っていると相手は考えているか?
相手には大量のマナがあり、この状況でベストなBirds of Paradiseの使い方は時間稼ぎのためのチャンプブロックだ。相手から見れば、こちらが次のターンにGut ShotやOblivion Ringを引くのが恐ろしい。鳥はチャンプさせたいので、こちらが除去をトップする可能性をケアしてこのターンにチャンプするのが極めて自然だ。これが見えるのがレベル2で、BenはこのターンにOblivion Ringをプレイすべきということになる。
事例5:十字軍はいつ感電する運命なのか?
この事例はMike Floresの記事『Practical Leveled Thinking』から借り、私が少し改変したものだ。
スタンダード。あなたはケッシグランプを使い、相手は白青人間(※訳注:ムーアランド入り人間ビート)。相手がMirran Crusaderをプレイし、あなたの手札にはGalvanic Blastがある。
今すぐCrusaderにBlastを使うべきだろうか。それともAngelic DestinyにレスポンスでBlastしてより大きな成果を上げるために待つべきだろうか。待った場合、相手がDestinyを使わないと、Mana LeakやFaith’s Shieldで感電破がカウンターされるおそれがある。
使うレベルを決めるために、何を考慮すべきだろうか?
まずはじめに、相手が既に青マナを場に出していると想定すれば、Mana Leakが白青人間のメインに入るカードかどうかは考慮すべきポイントだ。3~4枚入れるのが当たり前の時期があったが、それ以外の時期はほとんど0枚だった。Faith’s Shieldはそれほど見かけないが、全く無視してよいカードでもない。
もう一つ考えたいのは、Angelic Destinyが相手の手札あるいはデッキにない可能性だ。今のところメインに4枚入れるのが正しいという意見が多いが、私が世界選手権で使ったバージョンはメインにDestinyを入れていない。
とはいえ、この事例で最も重要な問題は、相手が感電破をケアせずAngelic Destinyをブッパする可能性がどれぐらいあると見積もるかだ。相手の使えるレンジを示す指標がここで役に立つ。
これがサイド後だったとすると(Flashfreezeも考慮すべきというのはさておき)、相手が前のゲームでどのようなプレイをしたかを考えよう。もしSlagstormをケアせずクリーチャーを並べてきていたなら、ここでもAngelic Destinyをブッパしてくる可能性があるだろう。こちらが6マナを使えるようになる直前に特別な理由なくタップアウトしてきていたら、タイタンのためにリークを構えたブラフをするプレイ(=レベル2)はおそらく相手の使えるレンジ外だ。
また別のルートとして、相手がGalvanic Blastを正しくケアしてDestinyをブッパしないだろうと読んだうえで、Mirran Crusaderから1回殴られるというプレイがある。これは、こちらが感電破を持っていないという誤った読みを相手にさせることにより、次のターンにDestinyをBlastで狩れる可能性を高めるというプレイだ。相手がそう読んでくれると考えるなら、これはレベル4のプレイになる。
この事例は細かい部分が明確になっておらず、どのレベルが最適で何が正しいプレイか確定するには情報が十分でない。しかし、与えられた情報だけでも、上述の通りいろいろな道筋を考えることができる。
事例6:この達人は無名なのか、それともネームレスはないのか?
モダン。キブラー相手のドランミラーだ。相手のライフは8でこちらは7。相手の手札は2枚でこちらは0枚。
相手のボードは、沼、Stirring Wildwood、Murmering Boskがアンタップ状態で、5/6のTarmogoyf3体が今まさにアタック中だ。
こちらのボードは、森、沼、平地、Godless Shrine、Gavony Township、6/5のKitchen Finksがタップ状態、Treetop Village(起動されておらずカウンターも載っていない)、5/5のQasali Pridemage、2/2のQasali Pridemage、5/4のキッチンがアンタップ状態だ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
タルモ1体をダブルブロックしてもう1体をシングルブロックし、5ダメージを受けて2ライフを残すのがレベル0のプレイだ。
レベル1では、このアタックを正当化する相手の手札は何か、と考える。Zealous Persecutionでは足りていない。このターンに6ダメージを受けても1ライフ残り、返しにTreetop Village+6/5キッチン+2/1キッチンでアタックすればこちらの勝ちだ。Zealousと1マナ生物(つまりバーパラ)を持っているならオールアタックは納得できる。だがこちらはレベル0のプレイをしておけばそんなに悪い状況にはならない。手札が2枚ともブロッカーでもやはり不十分だ。
相手が持っている可能性があり、実際に持っていそうだと思われるカードはNameless Inversionだ。これはTreefolk Harbingerのサーチ対象としてドランデッキに1枚挿しされることがよくある。
ではNameless Inversionをケアすべきなのだろうか?
相手のカードはこれまで17枚見えている。その中にTreefolk Harbingerはなく、Harbingerをデッキに入れているかどうかは分からない。Harbingerを見た場合より、Nameless Inversionが入っている可能性は低くなる(Harbingerなしでもタルモのために部族スペルを入れている可能性は残るが)。
プレイを決断する前に、次の問いについて考えてみよう:相手がこのアタックをしなければどんな盤面になるか?
そう、ガヴォニーが再びアンタップするので、こちらのクリーチャー2体が相手のタルモのサイズを超え、1体が相打ちできるサイズになる。その次のターンには、相打ちサイズだったキッチンもタルモのサイズを追い越し、他の2体はそれぞれ単独で即死ダメージ級のサイズになる。相手が動かずに1~2ターン経過すれば、どんどん相手に勝ち目のない盤面になっていく(ガヴォニーがボードの均衡を崩すからだ)。
相手はNameless Inversionを持っているのか、それとも、どうしようもなくなる前に動けるときに動いてワンチャンを作りにきたのか、というのがこの事例の真の問題だ。
この問いに答えるにはレベル3の思考が必要になる:相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
相手はこちらがプロプレイヤーだと知っている。また、こちらも相手がプロだと知っている。とすると、相手がNameless Inversionを持っているというこちらの読みを相手が読むのは合理的だ。キブラーのアタックを正当化できるカードはほとんどなく、その中で彼が実際に持っている可能性があるのがNameless Inversionだからだ。
Nameless Inversionをケアするかどうかで盤面がどう変わるか比較してみよう。ケアする場合は3体でそれぞれチャンプブロックし、こちらには2/1キッチンと6/5キッチンが残り、次のターンにガヴォニーかTreetopを起動できる。その次もまたタルモ3体アタックが来るので、6/5キッチンで1体相打ちをとり、残り2体を2/1キッチンとTreetopでチャンプすることになる。そしてNameless Inversionはいまだ彼の手札の中だ!
これを、相手がInversionを持っておらず返しに死ぬケースと比べてみる。Inversionを持っている可能性はゼロではないがどうしてもケアしなければならないとは思えない。Inversionを持たれていると思い込み過ぎていたに違いなく、相手が動かなかった場合に陥る苦境(この後2ターンでガヴォニーに負ける)を考えれば、彼がレベル2を使ってきたと考えるのが合理的だ。相手のブラフに対してコールするレベル0のプレイを選ぶ、というレベル3の判断が正しいだろう。
今回の事例では、キブラーがNameless Inversionを持っている可能性よりも、(盤面で劣勢なため)レベル0や1の選択肢では勝ち目のないゲームにレベル2のプレイでワンチャン作りにきただけという可能性の方が高い。(世界最高のプレイヤーの一人である)彼の使えるレンジは明らかに全てのレベルだと分かっているので、レベル2が彼の使えるレンジ外になっている可能性は安心して除外できる。
事例7:鏡よ鏡……、何をコールすべきか垣間見させておくれ!
SCGデトロイト(レガシー)でのChris Andersen相手のフィーチャーマッチ。相手のデッキはエルフで、今はこちらの後攻2ターン目。
こちらの手札には黒マナの出る土地とEngineered Plagueがあり、つまり目標は次の相手のターンを生き延びることだ。幸いMeddling Mageを持っているが、何を指定すべきかという難しい判断に直面している。相手には十分な生物とマナが(Gaea’s Cradleのおかげで)揃っており、次のターンにサバンナ(かサバンナをサーチできるフェッチ)+Mirror Entityをプレイすれば即死アタックが可能になっている。しかし、Mirror Entityが手札になければ(多くのリストでEntityは2枚だ)、Glimpse of Natureを指定するのが生き延びるためには最良だ。
理屈の上ではGlimpseを指定する方が若干良い(Glimpseは既に1枚使われているので残り3枚で、Entityは2枚だ)が、エルフのリストによっては勝利手段がMirror Entityだけの場合があり、それならEntityを指定すれば問答無用でロックしてしまえる。
決断する前にもう一つだけ考慮できることがある。Meddling Mageをプレイしたとき、彼が「指定は?」と聞き、こちらは「2枚の間で悩んでるんだ」と答えた。それに対して彼は「GlimpseとGreen Sun’s Zenithかな?」と聞いてきた。
通常この手の情報は無意味だが、Chris Andersenは非常に抜け目なくあらゆる機会に「ワザをかけて」こようとすることを私は知っている。
どのレベルを使うべきか?それに従えばMeddling Mageで何を指定すべきか?
(※訳注:画像あり。)
Engineered Plague / 仕組まれた疫病 (2)(黒)
エンチャント
仕組まれた疫病が戦場に出るに際し、クリーチャー・タイプを1つ選ぶ。
選ばれたタイプのクリーチャーは、-1/-1の修整を受ける。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Engineered%20Plague/
Meddling Mage / 翻弄する魔道士 (白)(青)
クリーチャー ― 人間(Human) ウィザード(Wizard)
翻弄する魔道士が戦場に出るに際し、土地でないカード名を1つ指定する。
指定されたカードは唱えられない。
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Meddling%20Mage/
Gaea’s Cradle / ガイアの揺籃の地
伝説の土地
(T):あなたがコントロールするクリーチャー1体につき、あなたのマナ・プールに(緑)を加える。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Gaea%27s+Cradle/
Mirror Entity / 鏡の精体 (2)(白)
クリーチャー ― 多相の戦士(Shapeshifter)
多相(このカードは、すべてのクリーチャー・タイプである。)
(X):ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは基本のパワーとタフネスがX/Xになり、すべてのクリーチャー・タイプを得る。
1/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mirror%20Entity/
Glimpse of Nature / 垣間見る自然 (緑)
ソーサリー
このターン、あなたがクリーチャー呪文を唱えるたび、カードを1枚引く。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Glimpse%20of%20Nature/
Green Sun’s Zenith / 緑の太陽の頂点 (X)(緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストがX以下の緑のクリーチャー・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。緑の太陽の頂点をオーナーのライブラリーに加えて切り直す。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Green+Sun%27s+Zenith/
レベル0では……いや、Meddling Mageを使うにはレベル1以上が必要だ。
レベル1では、Glimpse of Natureを指定する方がMirror Entityより少しだけ良い(Glimpse3枚に対してEntity2枚なので60%だ)。これら2種類以外に指定する意味のありそうなカードはない。
相手の質問がこちらの判断の中で意味を持つのはここだ。こちらがGlimpseとMirror Entityの二択を選ぼうとしていることに彼が気づいていて、なおかつ彼がMirror Entityを持っている場合、この質問はこちらにGlimpseを指定させるように誘導するチャンスになっている(Glimpseは明らかにZenithより良い)。
しかし、彼のトリックスターぶりをこちらが知っていることを彼も分かっているなら、Mirror Entityを持っていないときにこの質問をしてEntityを指定させ、Glimpseをプレイしようとするだろう。
この特殊な事例では私は結局Mirror Entityを指定するレベルを使った。もうお分かりだと思うが、相手がどのレベルを使っているか確信できない限りレベル5以上を使うのは避けたい。レベル5以上になると、どちらが一つ上のレベルを使うかという五分五分の二択になってしまうためだ。レベル1の情報で考えれば成功率は50%より高い(60%)ので、そのレベルを判断基準にした方が良いだろう。
したがって、ここで正しいのはレベル1を使い、Glimpse of Natureを指定することだ。
まとめ
より高いレベルが必要な状況になったときに使えるように、あらゆるレベルを使えるようになっておくのが理想だ。こちらの使えるレンジが限られているという情報を相手に与えるのも避けたいだろう。
しかし、ほとんどの状況でレベル2までを使えれば十分だ。意思決定には自分の直観も活用しつつ、レベル0~2を考慮すれば確率的にも概ねベストになる。
ほとんどの場合、どの選択が良いかは明らかだ(森より先にRazorverge Thicketを出す、のように)。明らかに見えるだけの場合もあるが(ヘルカイトの事例)。
レベル1とレベル2の要素をできるだけ色々な場面で考えてみてほしい、特にレベル1だ。できるだけレベル0を続けていられればベストだが、(盤面がイーブンか自分に優勢で)重要なカードをケアすべきときや、低いレベルでは判断の根拠が足りないときのプレイに変化があるはずだ。
マルチレベル・シンキングの理論と使い方を理解し、正しいプレイを見つけるのに今回の実践編が役立てば幸いだ。
Craig Wescoe
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事例4:極楽の鳥を愛しているならリングを贈ろう
この事例は最近のSCG Washington DC(スタンダード)のカバレッジから持ってきた。解説者のGerry ThompsonとMike Floresはちゃんとここで何が起きていて、Ben Lundquistがどのレベルを使うべきかを議論している(マルチレベル・シンキングの用語を使ってはいないが)。
Benは手札にOblivion Ringを持っており、Insectile Aberation2体と(+4/+0の)Runechanter’s Pikeを場に出している。彼のライフは21で、相手は20。相手の手札は1枚だが、状況からすると無意味な土地である可能性が非常に高い。
Oblivion RingをBirds of Paradiseに使って10点アタック、相手のAnthonyを10ライフまで落とすか、あるいはRingを温存する代わりに、鳥でチャンプして追加のドロー・ステップを得る機会を相手に与えるかが判断のポイントになる。
このOblivion Ringを相手のBirds of Paradiseに使うべきか、という問題だ。どのレベルが正しい答えを教えてくれるだろうか?その理由は?
(※訳注:画像あり。)
Oblivion Ring / 忘却の輪 (2)(白)
エンチャント
忘却の輪が戦場に出たとき、他の土地でないパーマネント1つを対象とし、それを追放する。
忘却の輪が戦場を離れたとき、その追放されたカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Oblivion%20Ring/
Insectile Aberration / 昆虫の逸脱者
〔青〕 クリーチャー ― 人間(Human) 昆虫(Insect)
飛行
3/2
Delver of Secrets / 秘密を掘り下げる者 (青)
クリーチャー ? 人間(Human) ウィザード(Wizard)
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを公開してもよい。これによりインスタント・カードかソーサリー・カードが公開された場合、秘密を掘り下げる者を変身させる。
1/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Insectile%20Aberration/
Runechanter’s Pike / ルーン唱えの長槍 (2)
アーティファクト ― 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは先制攻撃を持つとともに+X/+0の修整を受ける。Xは、あなたの墓地にあるインスタント・カードとソーサリー・カードの総数である。
装備(2)
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Runechanter%27s+Pike/
レベル1では、相手が何をドローし得るかを考える。最も恐ろしいカードはBonfire of the Damnedだ。そのため、Bonfireを引くチャンスを2回から1回にできるというのは、Oblivion Ringを使う重要な理由になる。
しかし、正しいプレイにたどり着くのにレベル1の思考では不十分だ。レベル1では、このターンは待って次のターンに鳥にRingを使うべきではない理由を答えられない。正しいプレイを決めるのに必要なのはレベル2だ:私が何を持っていると相手は考えているか?
相手には大量のマナがあり、この状況でベストなBirds of Paradiseの使い方は時間稼ぎのためのチャンプブロックだ。相手から見れば、こちらが次のターンにGut ShotやOblivion Ringを引くのが恐ろしい。鳥はチャンプさせたいので、こちらが除去をトップする可能性をケアしてこのターンにチャンプするのが極めて自然だ。これが見えるのがレベル2で、BenはこのターンにOblivion Ringをプレイすべきということになる。
事例5:十字軍はいつ感電する運命なのか?
この事例はMike Floresの記事『Practical Leveled Thinking』から借り、私が少し改変したものだ。
スタンダード。あなたはケッシグランプを使い、相手は白青人間(※訳注:ムーアランド入り人間ビート)。相手がMirran Crusaderをプレイし、あなたの手札にはGalvanic Blastがある。
今すぐCrusaderにBlastを使うべきだろうか。それともAngelic DestinyにレスポンスでBlastしてより大きな成果を上げるために待つべきだろうか。待った場合、相手がDestinyを使わないと、Mana LeakやFaith’s Shieldで感電破がカウンターされるおそれがある。
使うレベルを決めるために、何を考慮すべきだろうか?
Mirran Crusader / ミラディンの十字軍 (1)(白)(白)
クリーチャー ― 人間(Human) 騎士(Knight)
二段攻撃、プロテクション(黒)、プロテクション(緑)
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mirran%20Crusader/
Galvanic Blast / 感電破 (赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。感電破はそれに2点のダメージを与える。
金属術 ― あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしているかぎり、代わりに感電破はそのクリーチャーかプレイヤーに4点のダメージを与える。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Galvanic%20Blast/
Angelic Destiny / 天使の運命 (2)(白)(白)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは+4/+4の修整を受けるとともに飛行と先制攻撃を持ち、それはそれの他のタイプに加えて天使(Angel)である。
エンチャントされているクリーチャーが死亡したとき、天使の運命をオーナーの手札に戻す。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Angelic%20Destiny/
Mana Leak / マナ漏出 (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mana%20Leak/
Faith’s Shield / 信仰の盾 (白)
インスタント
あなたがコントロールするパーマネント1つを対象とする。それはターン終了時までプロテクション(あなたが選んだ色1色)を得る。
窮地 ― あなたのライフが5点以下である場合、代わりにあなたとあなたがコントロールする各パーマネントは、ターン終了時までプロテクション(あなたが選んだ色1色)を得る。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Faith%27s+Shield/
まずはじめに、相手が既に青マナを場に出していると想定すれば、Mana Leakが白青人間のメインに入るカードかどうかは考慮すべきポイントだ。3~4枚入れるのが当たり前の時期があったが、それ以外の時期はほとんど0枚だった。Faith’s Shieldはそれほど見かけないが、全く無視してよいカードでもない。
もう一つ考えたいのは、Angelic Destinyが相手の手札あるいはデッキにない可能性だ。今のところメインに4枚入れるのが正しいという意見が多いが、私が世界選手権で使ったバージョンはメインにDestinyを入れていない。
とはいえ、この事例で最も重要な問題は、相手が感電破をケアせずAngelic Destinyをブッパする可能性がどれぐらいあると見積もるかだ。相手の使えるレンジを示す指標がここで役に立つ。
これがサイド後だったとすると(Flashfreezeも考慮すべきというのはさておき)、相手が前のゲームでどのようなプレイをしたかを考えよう。もしSlagstormをケアせずクリーチャーを並べてきていたなら、ここでもAngelic Destinyをブッパしてくる可能性があるだろう。こちらが6マナを使えるようになる直前に特別な理由なくタップアウトしてきていたら、タイタンのためにリークを構えたブラフをするプレイ(=レベル2)はおそらく相手の使えるレンジ外だ。
また別のルートとして、相手がGalvanic Blastを正しくケアしてDestinyをブッパしないだろうと読んだうえで、Mirran Crusaderから1回殴られるというプレイがある。これは、こちらが感電破を持っていないという誤った読みを相手にさせることにより、次のターンにDestinyをBlastで狩れる可能性を高めるというプレイだ。相手がそう読んでくれると考えるなら、これはレベル4のプレイになる。
この事例は細かい部分が明確になっておらず、どのレベルが最適で何が正しいプレイか確定するには情報が十分でない。しかし、与えられた情報だけでも、上述の通りいろいろな道筋を考えることができる。
事例6:この達人は無名なのか、それともネームレスはないのか?
モダン。キブラー相手のドランミラーだ。相手のライフは8でこちらは7。相手の手札は2枚でこちらは0枚。
相手のボードは、沼、Stirring Wildwood、Murmering Boskがアンタップ状態で、5/6のTarmogoyf3体が今まさにアタック中だ。
こちらのボードは、森、沼、平地、Godless Shrine、Gavony Township、6/5のKitchen Finksがタップ状態、Treetop Village(起動されておらずカウンターも載っていない)、5/5のQasali Pridemage、2/2のQasali Pridemage、5/4のキッチンがアンタップ状態だ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
Stirring Wildwood / 活発な野生林
土地
活発な野生林はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(緑)か(白)を加える。
(1)(緑)(白):活発な野生林はターン終了時まで、到達を持つ緑であり白である3/4のエレメンタル(Elemental)・クリーチャーになる。それは土地でもある。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Stirring%20Wildwood/
Murmuring Bosk / つぶやき林
土地 ― 森(Forest)
((T):あなたのマナ・プールに(緑)を加える。)
つぶやき林が戦場に出るに際し、あなたは自分の手札からツリーフォーク(Treefolk)・カードを1枚公開してもよい。そうしない場合、つぶやき林はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(白)か(黒)を加える。つぶやき林は、あなたに1点のダメージを与える。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Murmuring%20Bosk/
Gavony Township / ガヴォニーの居住区
土地
(T):あなたのマナ・プールに(◇)を加える。
(2)(緑)(白),(T):あなたがコントロールする各クリーチャーの上に、+1/+1カウンターをそれぞれ1個置く。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Gavony%20Township/
Kitchen Finks / 台所の嫌がらせ屋 (1)(緑/白)(緑/白)
クリーチャー ― アウフ(Ouphe)
台所の嫌がらせ屋が戦場に出たとき、あなたは2点のライフを得る。
頑強(このクリーチャーが死亡したとき、その上に-1/-1カウンターが置かれていなかった場合、それを-1/-1カウンターが1個置かれた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。)
3/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Kitchen%20Finks/
Qasali Pridemage / クァーサルの群れ魔道士 (緑)(白)
クリーチャー ― 猫(Cat) ウィザード(Wizard)
賛美(あなたがコントロールするいずれかのクリーチャーが単独で攻撃するたび、そのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。)
(1),クァーサルの群れ魔道士を生け贄に捧げる:アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Qasali%20Pridemage/
タルモ1体をダブルブロックしてもう1体をシングルブロックし、5ダメージを受けて2ライフを残すのがレベル0のプレイだ。
レベル1では、このアタックを正当化する相手の手札は何か、と考える。Zealous Persecutionでは足りていない。このターンに6ダメージを受けても1ライフ残り、返しにTreetop Village+6/5キッチン+2/1キッチンでアタックすればこちらの勝ちだ。Zealousと1マナ生物(つまりバーパラ)を持っているならオールアタックは納得できる。だがこちらはレベル0のプレイをしておけばそんなに悪い状況にはならない。手札が2枚ともブロッカーでもやはり不十分だ。
相手が持っている可能性があり、実際に持っていそうだと思われるカードはNameless Inversionだ。これはTreefolk Harbingerのサーチ対象としてドランデッキに1枚挿しされることがよくある。
ではNameless Inversionをケアすべきなのだろうか?
相手のカードはこれまで17枚見えている。その中にTreefolk Harbingerはなく、Harbingerをデッキに入れているかどうかは分からない。Harbingerを見た場合より、Nameless Inversionが入っている可能性は低くなる(Harbingerなしでもタルモのために部族スペルを入れている可能性は残るが)。
プレイを決断する前に、次の問いについて考えてみよう:相手がこのアタックをしなければどんな盤面になるか?
そう、ガヴォニーが再びアンタップするので、こちらのクリーチャー2体が相手のタルモのサイズを超え、1体が相打ちできるサイズになる。その次のターンには、相打ちサイズだったキッチンもタルモのサイズを追い越し、他の2体はそれぞれ単独で即死ダメージ級のサイズになる。相手が動かずに1~2ターン経過すれば、どんどん相手に勝ち目のない盤面になっていく(ガヴォニーがボードの均衡を崩すからだ)。
相手はNameless Inversionを持っているのか、それとも、どうしようもなくなる前に動けるときに動いてワンチャンを作りにきたのか、というのがこの事例の真の問題だ。
この問いに答えるにはレベル3の思考が必要になる:相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
相手はこちらがプロプレイヤーだと知っている。また、こちらも相手がプロだと知っている。とすると、相手がNameless Inversionを持っているというこちらの読みを相手が読むのは合理的だ。キブラーのアタックを正当化できるカードはほとんどなく、その中で彼が実際に持っている可能性があるのがNameless Inversionだからだ。
Nameless Inversionをケアするかどうかで盤面がどう変わるか比較してみよう。ケアする場合は3体でそれぞれチャンプブロックし、こちらには2/1キッチンと6/5キッチンが残り、次のターンにガヴォニーかTreetopを起動できる。その次もまたタルモ3体アタックが来るので、6/5キッチンで1体相打ちをとり、残り2体を2/1キッチンとTreetopでチャンプすることになる。そしてNameless Inversionはいまだ彼の手札の中だ!
これを、相手がInversionを持っておらず返しに死ぬケースと比べてみる。Inversionを持っている可能性はゼロではないがどうしてもケアしなければならないとは思えない。Inversionを持たれていると思い込み過ぎていたに違いなく、相手が動かなかった場合に陥る苦境(この後2ターンでガヴォニーに負ける)を考えれば、彼がレベル2を使ってきたと考えるのが合理的だ。相手のブラフに対してコールするレベル0のプレイを選ぶ、というレベル3の判断が正しいだろう。
今回の事例では、キブラーがNameless Inversionを持っている可能性よりも、(盤面で劣勢なため)レベル0や1の選択肢では勝ち目のないゲームにレベル2のプレイでワンチャン作りにきただけという可能性の方が高い。(世界最高のプレイヤーの一人である)彼の使えるレンジは明らかに全てのレベルだと分かっているので、レベル2が彼の使えるレンジ外になっている可能性は安心して除外できる。
事例7:鏡よ鏡……、何をコールすべきか垣間見させておくれ!
SCGデトロイト(レガシー)でのChris Andersen相手のフィーチャーマッチ。相手のデッキはエルフで、今はこちらの後攻2ターン目。
こちらの手札には黒マナの出る土地とEngineered Plagueがあり、つまり目標は次の相手のターンを生き延びることだ。幸いMeddling Mageを持っているが、何を指定すべきかという難しい判断に直面している。相手には十分な生物とマナが(Gaea’s Cradleのおかげで)揃っており、次のターンにサバンナ(かサバンナをサーチできるフェッチ)+Mirror Entityをプレイすれば即死アタックが可能になっている。しかし、Mirror Entityが手札になければ(多くのリストでEntityは2枚だ)、Glimpse of Natureを指定するのが生き延びるためには最良だ。
理屈の上ではGlimpseを指定する方が若干良い(Glimpseは既に1枚使われているので残り3枚で、Entityは2枚だ)が、エルフのリストによっては勝利手段がMirror Entityだけの場合があり、それならEntityを指定すれば問答無用でロックしてしまえる。
決断する前にもう一つだけ考慮できることがある。Meddling Mageをプレイしたとき、彼が「指定は?」と聞き、こちらは「2枚の間で悩んでるんだ」と答えた。それに対して彼は「GlimpseとGreen Sun’s Zenithかな?」と聞いてきた。
通常この手の情報は無意味だが、Chris Andersenは非常に抜け目なくあらゆる機会に「ワザをかけて」こようとすることを私は知っている。
どのレベルを使うべきか?それに従えばMeddling Mageで何を指定すべきか?
(※訳注:画像あり。)
Engineered Plague / 仕組まれた疫病 (2)(黒)
エンチャント
仕組まれた疫病が戦場に出るに際し、クリーチャー・タイプを1つ選ぶ。
選ばれたタイプのクリーチャーは、-1/-1の修整を受ける。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Engineered%20Plague/
Meddling Mage / 翻弄する魔道士 (白)(青)
クリーチャー ― 人間(Human) ウィザード(Wizard)
翻弄する魔道士が戦場に出るに際し、土地でないカード名を1つ指定する。
指定されたカードは唱えられない。
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Meddling%20Mage/
Gaea’s Cradle / ガイアの揺籃の地
伝説の土地
(T):あなたがコントロールするクリーチャー1体につき、あなたのマナ・プールに(緑)を加える。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Gaea%27s+Cradle/
Mirror Entity / 鏡の精体 (2)(白)
クリーチャー ― 多相の戦士(Shapeshifter)
多相(このカードは、すべてのクリーチャー・タイプである。)
(X):ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは基本のパワーとタフネスがX/Xになり、すべてのクリーチャー・タイプを得る。
1/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mirror%20Entity/
Glimpse of Nature / 垣間見る自然 (緑)
ソーサリー
このターン、あなたがクリーチャー呪文を唱えるたび、カードを1枚引く。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Glimpse%20of%20Nature/
Green Sun’s Zenith / 緑の太陽の頂点 (X)(緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストがX以下の緑のクリーチャー・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。緑の太陽の頂点をオーナーのライブラリーに加えて切り直す。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Green+Sun%27s+Zenith/
レベル0では……いや、Meddling Mageを使うにはレベル1以上が必要だ。
レベル1では、Glimpse of Natureを指定する方がMirror Entityより少しだけ良い(Glimpse3枚に対してEntity2枚なので60%だ)。これら2種類以外に指定する意味のありそうなカードはない。
相手の質問がこちらの判断の中で意味を持つのはここだ。こちらがGlimpseとMirror Entityの二択を選ぼうとしていることに彼が気づいていて、なおかつ彼がMirror Entityを持っている場合、この質問はこちらにGlimpseを指定させるように誘導するチャンスになっている(Glimpseは明らかにZenithより良い)。
しかし、彼のトリックスターぶりをこちらが知っていることを彼も分かっているなら、Mirror Entityを持っていないときにこの質問をしてEntityを指定させ、Glimpseをプレイしようとするだろう。
この特殊な事例では私は結局Mirror Entityを指定するレベルを使った。もうお分かりだと思うが、相手がどのレベルを使っているか確信できない限りレベル5以上を使うのは避けたい。レベル5以上になると、どちらが一つ上のレベルを使うかという五分五分の二択になってしまうためだ。レベル1の情報で考えれば成功率は50%より高い(60%)ので、そのレベルを判断基準にした方が良いだろう。
したがって、ここで正しいのはレベル1を使い、Glimpse of Natureを指定することだ。
まとめ
より高いレベルが必要な状況になったときに使えるように、あらゆるレベルを使えるようになっておくのが理想だ。こちらの使えるレンジが限られているという情報を相手に与えるのも避けたいだろう。
しかし、ほとんどの状況でレベル2までを使えれば十分だ。意思決定には自分の直観も活用しつつ、レベル0~2を考慮すれば確率的にも概ねベストになる。
ほとんどの場合、どの選択が良いかは明らかだ(森より先にRazorverge Thicketを出す、のように)。明らかに見えるだけの場合もあるが(ヘルカイトの事例)。
レベル1とレベル2の要素をできるだけ色々な場面で考えてみてほしい、特にレベル1だ。できるだけレベル0を続けていられればベストだが、(盤面がイーブンか自分に優勢で)重要なカードをケアすべきときや、低いレベルでは判断の根拠が足りないときのプレイに変化があるはずだ。
マルチレベル・シンキングの理論と使い方を理解し、正しいプレイを見つけるのに今回の実践編が役立てば幸いだ。
Craig Wescoe
TCGplayerより。
マルチレベル・シンキング実践編。
4年越しになってしまいましたが、以下の記事の続編です。
http://radish.diarynote.jp/201208170309509174/
※以下の記事の中にも書かれている通り、用語の解説がありますので先に読んでおいた方が良いかもしれません。
出てくる事例はM13発売当時のものですが、考え方は時代によらず使えるのかなと思います。
長くなって前後半に分かれてしまいましたが、昔の環境なので、よく見る土地(ベーシック、フェッチ、ショック、デュアル)以外の問題文に出てくるカードは効果を載せるようにしました。
※「訳注:画像あり」としたところに原文では盤面の画像や写真があり、文中で述べられている以上に詳しい情報が読み取れます。じっくり考えたい方はそちらもご覧ください。
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Multilevel Thinking Part 2: Seven Walkthroughs
Craig Wescoe
8/16/2012 8:54:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10647
マルチレベル・シンキングの理論を紹介した先週の記事が好評だったので、今週は同じトピックをより深く掘り下げる記事を書くことにした。ゲーム中の様々な場面でこの理論をどう活用すれば良いか、7つの事例を通して見ていこうと思う。
先週は理論を紹介し、重要な用語を概説して、それぞれのレベルでの思考プロセスがどのようなものかを述べた。今回の記事はそれらを前提にするので、よく理解するためにはまず前回の記事を一読することをお勧めする。
出てくる事例ごとにいったん立ち止まり、自分ならどんな方針でプレイするか、マルチレベル・シンキングをどう使えば正しいプレイを導き出せるかを考えてみてほしい。その後で、私がマルチレベル・シンキングをどう適用して正しいプレイに至るか見てみよう。
あなたが様々な状況で最適なプレイを見定める能力を強化したいなら、この理論は役に立つ道具だ。実践してみることで直観的に使えるようになり、ゲームの幅が広がり、勝利も増えることになるはずだ。
レベル0:私は何を持っているか?
レベル1:(公開情報を超えて)相手は何を持っているか?
レベル2:(相手にとっての公開情報を超えて)私が何を持っていると相手は考えているか?
レベル3:相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
レベル4:私が持っていることを相手が予想しているだろうと私が考えているカードは何だと相手は考えているか?
レベル5+:相手はレベル4以上を使っているか?
(※訳注:レベル3は「私のレベル1の思考を相手はどう読んでいるか?」、レベル4は「私のレベル2の思考を相手はどう読んでいるか?」と捉えると分かりやすい、かもしれません・・・。)
事例1:レッドゾーンに乗り込む豚たちにまつわるアブナイ話
M13ドラフト。今はこちらの4ターン目の第1メインフェイズ。
こちらの戦場はMogg Flunkies、Flinthoof Boar、山、山、森。手札はYeva’s Forcemage、Turn to Slag、Rummaging Goblin、Rancor、森、森。
相手の手札は3枚。相手の場の沼、沼、山、Reckless Brute、Tormented Soul、Dark FavorがエンチャントされたTormented Soulは全てタップ状態。
相手のライフは13でこちらは6だ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
レベル0の思考では、まず森のプレイは確実で、Rancorをプレイしつつどちらの3マナクリーチャーを出すかが考えどころ、ということになるだろう。次のターンにもう一方のクリーチャーかTurn to Slagの選択肢がある。
相手は次のターン、2体のTormented Soulでこちらのライフを1まで落とすことができる。どちらもブロックはできず、いますぐ対処は不可能なので、こちらは少なくとも次のターンに相手を倒せる状況に持ち込む必要がある。さらに相手の次のターンを生き抜くことも必要だ。今の手札でそれを実現するには、相手のReckless Bruteに対するブロッカーを用意するしかない。しかし、Mogg FlunkiesやFlinthoof Boarをブロッカーにするわけにはいかない。次のターンに相手を倒せる状況にするには、このターンは2体ともアタックする必要があるからだ。
レベル0の思考では、Reckless Bruteへのブロッカーとしてどちらの3マナクリーチャーをプレイするか、というところで煮詰まってしまう。どちらが正解か答えるにはレベル1の思考が必要になる。
相手の持ちうるカードは何か、がレベル1の問いだ。彼がMurderかSearing Spearを持っている場合、どちらのクリーチャーを出してもこちらは死ぬ。これではどちらが良いか判断する役には立たない。
考える意味があるのは、Yeva’s Forcemageが持っている相手の裏をかく要素だ。例えば、相手は次のターンにブロッカーを出し、ぎりぎり生き残れるようにダメージを減らしてくる可能性がある。これを+2/+2(とRancorのトランプル)で打ち破れるかもしれない。それ以外の要素をどう考えても手の善し悪しの判断がつかないなら、これは次の一手を決める根拠になるだろう。しかし、相手は正しいプレイをしてくる、つまり手札の中で最大限ダメージを減らせるクリーチャーを出してくると想定すべきだ。それに、もし相手がブロッカーを出すプランなら、こちらにはTurn to Slagがある。結局、どちらのクリーチャーを出しても相手を倒してしまうだろう。
最もケアするに値するカードはCower in Fearだ。こちらがゴブリンを出した場合はFearを使われたら負けてしまうが、腕力魔道士はタフネスが1高いのでFearを耐えることができる。
したがって、ここで使うべきレベルは1で、森→Mogg FlunkiesにRancor→Yeva’s Forcemageを出す(対象はどちらでもOK)→アタック→エンド→BruteをForcemageでブロック、というプレイになる。このプレイで相手の持ちうるほとんどのカードの組み合わせを打ち破ることができ、他のレベルを使う必要はない。
(※訳注:Cower in Fearは原文ではCrippling Blightになっていますが、元記事のコメント欄で著者の補足があり、Crippling Blightは誤りでCower in Fearに読み替えるのが正しいとのことです。訳文では訂正することにしました。)
事例2:キキジキと村人たち
モダン。ナヤ殻を使うLSVが相手の1ゲーム目。こちらは自前のアグロロックを使っている。相手のライフは11でこちらは16。相手も自分も手札は3枚。
相手のボードは、山、Stomping Ground、Grove of the Burnwillowsがタップ状態、Sacred Foundry、Arid Mesa、Village Bell-Ringer、Restoration Angel、Eternal Witnessがアンタップ状態だ。直前のターンにEternal Witnessを出してArid Mesaを拾い、すぐにプレイしてきた。相手の手札にKiki-Jiki, Mirror Breakerがいることは(前に思考囲いしたので)知っており、残り2枚は不明だが土地ではないはずだ(土地ならすぐに出してキキジキ+天使のコンボでやられていたはず)。
今はこちらの第1メインフェイズ。
こちらのボードは、平地、Godless Shrine、Treetop Village、Horizon Canopy、Birds of Paradise、Birds of Paradise、Noble Hierarch、4体のスピリットトークンで、全てアンタップ状態。
手札は、森、Tarmogoyf、Zealous Persecutionだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
レベル0の思考では、まず森をプレイすることは確実。それによりこのターン8マナが使え、手札のスペルの一方または両方をプレイ、Horizon Canopyの起動、Treetop Villageの起動やアタックなどが可能で、いろいろなアクションの組み合わせが考えられる。
まず考えるべきなのは、このターンに叩き出せる最大ダメージはいくつか、という問いだ。
森をプレイしてTreetop Villageを起動、Zealous Persecutionをプレイしてオールアタックすると、こちらの2/2スピリットトークン×4、パワー1のマナ生物×3、4/4トランプルのミシュラランドに対して、相手は0/3のBell-Ringerと2/3飛行の天使、という状況になる。ダメージを最大限防ぐには、スピリットトークンを天使で、TreetopをBell-Ringerでブロックすることになるだろう。相手が何も持っていないとすると、これでちょうど1ライフまで追い詰められる。1ライフまで落とせるのは大きく、Arid Mesaを起動できなくなるので4マナのままキキジキをプレイできない状態を続けさせられる。
レベル1の思考では、相手がキキジキに加えて何を持っているかを考えることになる。Path to Exileや稲妻を持たれていた場合、Horizon Canopyを起動して回答を引かない限りこちらは死ぬ(48枚のライブラリのうち6枚――Path to Exile4枚とSlaughter Pact2枚――が回答だ)。より勝率が高いのはどちらのプレイか考えよう:48枚中6枚(12.5%)の回答をトップしてキキジキに対処するか、それとも相手に稲妻もPathもなく、さらにキキジキプレイに必要なアンタップインの土地も引かれないことを期待するか?
標準的なナヤ殻には概ね4枚のPathかBolt、7枚のアンタップイン土地が入っていると予想され、アンタップイン土地のうち1枚(山)は既に場に出ている。相手が次のターンにライブラリ48枚のうち6枚のアンタップ土地を引く確率は12.5%で、(先ほど思考囲いで手札を見た後の)3ターンのうちにBoltかPathを引かれた確率は24%だ(4/51 + 4/50 + 4/49)。つまり、「1ライフまで落とす」プランは 24% + 12.5% = 36.5% の確率で負けることになる。これは間違いなく除去をトップできずに負ける確率87.5%よりも良い。そのため、1ライフに落とすプレイをするのが良いということになる。この事例ではレベル0とレベル1の思考が同じ結論に至る。
事例3:ヘルカイトで急げ
M13ドラフト。今はこちらの第1メインフェイズ。相手はライフ8で手札なし、こちらはライフ10で手札はSearing Spear、山、Thundermaw Hellkiteだ。
相手のボードは、森2枚、平地3枚、Griffin Protectorがタップ状態、森1枚、Guardinans of Akrasa、Primal Huntbeast、Sentinel Spiderがアンタップ状態。
こちらのボードは、沼4枚、山2枚、Crimson Muckwader、Rummaging Goblinだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
相手のライブラリトップ以外の情報が全て明らかになっているので、これは明らかにレベル0のプレイをする場面だ。山とThundermaw Hellkiteを出し、Searing Spear用のマナを立てる。そしてヘルカイトでアタック。相手がブロックしなければSpearで焼いて終わり。簡単だろう?
違う。
プレイミスに気づいただろうか?
ミスは戦闘前に土地を置いたことで、なぜこれがミスなのか理解するにはレベル2の問いが必要となる。こちらが何を持っていると相手は考えているか、だ。
土地をRummaging Goblinの能力で捨てずに場に出したことで、抜け目のない相手なら、追加の土地を出す方がライブラリのカード1枚と交換するよりもこちらにとって価値があるということに気づくだろう(価値がないなら捨てない理由がない)。相手が「追加の土地が意味を持つカードとは何か」と考えると、もっともあり得そうなのはSearing Spearだ(コモンなので)。
もし相手のデッキにヘルカイトへの回答が入っているなら、間違いなくSpiderでチャンプブロックして、その回答を引くためのドローステップを迎えようとしてくるだろう。
別の道を考えよう。ヘルカイトをプレイして、手札2枚と立っている沼1枚という状態になったとき、相手から見れば、すぐに死ぬのはこちらが山+Searing Spearの組み合わせを持っているケース(あるいはEssence Drainで次のターンに死ぬケース)だけだ。これはかなり可能性が低い。
相手がブロックしなければこちらの勝ちなので、相手がブロックしない確率を最大化することに全力を注ぎたい。土地を持ったままにすればこの確率は大きくなり、土地を出せば小さくなる。この事例ではレベル2の思考によって正しいプレイを導き出すことができる。
注記:ここでもう一つ考えておいても良いのは、相手に抜け目がないと分かっていて、こちらの手札にSearing Spearがない場合は、土地を出してヘルカイトをブロックするように仕向けた方が良いということだ。相手がこちらの動きを読んでいて、適切な思考レベルを見い出せたとしても、うまくいくかどうかは実際にプレイする前によく考える必要がある。
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(後半へ続く)
http://radish.diarynote.jp/201607091512388163/
マルチレベル・シンキング実践編。
4年越しになってしまいましたが、以下の記事の続編です。
http://radish.diarynote.jp/201208170309509174/
※以下の記事の中にも書かれている通り、用語の解説がありますので先に読んでおいた方が良いかもしれません。
出てくる事例はM13発売当時のものですが、考え方は時代によらず使えるのかなと思います。
長くなって前後半に分かれてしまいましたが、昔の環境なので、よく見る土地(ベーシック、フェッチ、ショック、デュアル)以外の問題文に出てくるカードは効果を載せるようにしました。
※「訳注:画像あり」としたところに原文では盤面の画像や写真があり、文中で述べられている以上に詳しい情報が読み取れます。じっくり考えたい方はそちらもご覧ください。
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Multilevel Thinking Part 2: Seven Walkthroughs
Craig Wescoe
8/16/2012 8:54:00 AM
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10647
マルチレベル・シンキングの理論を紹介した先週の記事が好評だったので、今週は同じトピックをより深く掘り下げる記事を書くことにした。ゲーム中の様々な場面でこの理論をどう活用すれば良いか、7つの事例を通して見ていこうと思う。
先週は理論を紹介し、重要な用語を概説して、それぞれのレベルでの思考プロセスがどのようなものかを述べた。今回の記事はそれらを前提にするので、よく理解するためにはまず前回の記事を一読することをお勧めする。
出てくる事例ごとにいったん立ち止まり、自分ならどんな方針でプレイするか、マルチレベル・シンキングをどう使えば正しいプレイを導き出せるかを考えてみてほしい。その後で、私がマルチレベル・シンキングをどう適用して正しいプレイに至るか見てみよう。
あなたが様々な状況で最適なプレイを見定める能力を強化したいなら、この理論は役に立つ道具だ。実践してみることで直観的に使えるようになり、ゲームの幅が広がり、勝利も増えることになるはずだ。
レベル0:私は何を持っているか?
レベル1:(公開情報を超えて)相手は何を持っているか?
レベル2:(相手にとっての公開情報を超えて)私が何を持っていると相手は考えているか?
レベル3:相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?
レベル4:私が持っていることを相手が予想しているだろうと私が考えているカードは何だと相手は考えているか?
レベル5+:相手はレベル4以上を使っているか?
(※訳注:レベル3は「私のレベル1の思考を相手はどう読んでいるか?」、レベル4は「私のレベル2の思考を相手はどう読んでいるか?」と捉えると分かりやすい、かもしれません・・・。)
事例1:レッドゾーンに乗り込む豚たちにまつわるアブナイ話
M13ドラフト。今はこちらの4ターン目の第1メインフェイズ。
こちらの戦場はMogg Flunkies、Flinthoof Boar、山、山、森。手札はYeva’s Forcemage、Turn to Slag、Rummaging Goblin、Rancor、森、森。
相手の手札は3枚。相手の場の沼、沼、山、Reckless Brute、Tormented Soul、Dark FavorがエンチャントされたTormented Soulは全てタップ状態。
相手のライフは13でこちらは6だ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
Mogg Flunkies / モグの下働き (1)(赤)
クリーチャー ― ゴブリン(Goblin)
モグの下働きは、単独では攻撃したりブロックしたりできない。
3/3
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Mogg%20Flunkies/
Flinthoof Boar / 火打ち蹄の猪 (1)(緑)
クリーチャー ― 猪(Boar)
火打ち蹄の猪は、あなたが山(Mountain)をコントロールしているかぎり+1/+1の修整を受ける。
(赤):火打ち蹄の猪はターン終了時まで速攻を得る。(このターン、それは攻撃したり(T)したりできる。)
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Flinthoof%20Boar/
Yeva’s Forcemage / イェヴァの腕力魔道士 (2)(緑)
クリーチャー ― エルフ(Elf) シャーマン(Shaman)
イェヴァの腕力魔道士が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Yeva%27s+Forcemage/
Turn to Slag / 金屑化 (3)(赤)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とする。金屑化はそれに5点のダメージを与える。それにつけられているすべての装備品(Equipment)を破壊する。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Turn+to+Slag/
Rummaging Goblin / かき回すゴブリン (2)(赤)
クリーチャー ― ゴブリン(Goblin) ならず者(Rogue)
(T),カードを1枚捨てる:カードを1枚引く。
1/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rummaging%20Goblin/
Rancor / 怨恨 (緑)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは、+2/+0の修整を受けるとともにトランプルを持つ。
怨恨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、怨恨をオーナーの手札に戻す。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Rancor/
Reckless Brute / 無謀な粗暴者 (2)(赤)
クリーチャー ― オーガ(Ogre) 戦士(Warrior)
速攻(このクリーチャーは、あなたのコントロール下になってすぐに攻撃したり(T)したりできる。)
無謀な粗暴者は可能なら毎ターン攻撃する。
3/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Reckless%20Brute/
Tormented Soul / 苛まれし魂 (黒)
クリーチャー ― スピリット(Spirit)
苛まれし魂ではブロックできず、それはブロックされない。
1/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tormented%20Soul/
Dark Favor / 闇の好意 (1)(黒)
エンチャント ― オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
闇の好意が戦場に出たとき、あなたは1点のライフを失う。
エンチャントされているクリーチャーは+3/+1の修整を受ける。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Dark%20Favor/
レベル0の思考では、まず森のプレイは確実で、Rancorをプレイしつつどちらの3マナクリーチャーを出すかが考えどころ、ということになるだろう。次のターンにもう一方のクリーチャーかTurn to Slagの選択肢がある。
相手は次のターン、2体のTormented Soulでこちらのライフを1まで落とすことができる。どちらもブロックはできず、いますぐ対処は不可能なので、こちらは少なくとも次のターンに相手を倒せる状況に持ち込む必要がある。さらに相手の次のターンを生き抜くことも必要だ。今の手札でそれを実現するには、相手のReckless Bruteに対するブロッカーを用意するしかない。しかし、Mogg FlunkiesやFlinthoof Boarをブロッカーにするわけにはいかない。次のターンに相手を倒せる状況にするには、このターンは2体ともアタックする必要があるからだ。
レベル0の思考では、Reckless Bruteへのブロッカーとしてどちらの3マナクリーチャーをプレイするか、というところで煮詰まってしまう。どちらが正解か答えるにはレベル1の思考が必要になる。
相手の持ちうるカードは何か、がレベル1の問いだ。彼がMurderかSearing Spearを持っている場合、どちらのクリーチャーを出してもこちらは死ぬ。これではどちらが良いか判断する役には立たない。
考える意味があるのは、Yeva’s Forcemageが持っている相手の裏をかく要素だ。例えば、相手は次のターンにブロッカーを出し、ぎりぎり生き残れるようにダメージを減らしてくる可能性がある。これを+2/+2(とRancorのトランプル)で打ち破れるかもしれない。それ以外の要素をどう考えても手の善し悪しの判断がつかないなら、これは次の一手を決める根拠になるだろう。しかし、相手は正しいプレイをしてくる、つまり手札の中で最大限ダメージを減らせるクリーチャーを出してくると想定すべきだ。それに、もし相手がブロッカーを出すプランなら、こちらにはTurn to Slagがある。結局、どちらのクリーチャーを出しても相手を倒してしまうだろう。
最もケアするに値するカードはCower in Fearだ。こちらがゴブリンを出した場合はFearを使われたら負けてしまうが、腕力魔道士はタフネスが1高いのでFearを耐えることができる。
したがって、ここで使うべきレベルは1で、森→Mogg FlunkiesにRancor→Yeva’s Forcemageを出す(対象はどちらでもOK)→アタック→エンド→BruteをForcemageでブロック、というプレイになる。このプレイで相手の持ちうるほとんどのカードの組み合わせを打ち破ることができ、他のレベルを使う必要はない。
(※訳注:Cower in Fearは原文ではCrippling Blightになっていますが、元記事のコメント欄で著者の補足があり、Crippling Blightは誤りでCower in Fearに読み替えるのが正しいとのことです。訳文では訂正することにしました。)
事例2:キキジキと村人たち
モダン。ナヤ殻を使うLSVが相手の1ゲーム目。こちらは自前のアグロロックを使っている。相手のライフは11でこちらは16。相手も自分も手札は3枚。
相手のボードは、山、Stomping Ground、Grove of the Burnwillowsがタップ状態、Sacred Foundry、Arid Mesa、Village Bell-Ringer、Restoration Angel、Eternal Witnessがアンタップ状態だ。直前のターンにEternal Witnessを出してArid Mesaを拾い、すぐにプレイしてきた。相手の手札にKiki-Jiki, Mirror Breakerがいることは(前に思考囲いしたので)知っており、残り2枚は不明だが土地ではないはずだ(土地ならすぐに出してキキジキ+天使のコンボでやられていたはず)。
今はこちらの第1メインフェイズ。
こちらのボードは、平地、Godless Shrine、Treetop Village、Horizon Canopy、Birds of Paradise、Birds of Paradise、Noble Hierarch、4体のスピリットトークンで、全てアンタップ状態。
手札は、森、Tarmogoyf、Zealous Persecutionだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
Grove of the Burnwillows / 燃え柳の木立ち
土地
(T):あなたのマナ・プールに(◇)を加える。
(T):あなたのマナ・プールに(赤)か(緑)を加える。各対戦相手は1点のライフを得る。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Grove%20of%20the%20Burnwillows/
Village Bell-Ringer / 村の鐘鳴らし (2)(白)
クリーチャー ― 人間(Human) スカウト(Scout)
瞬速(あなたはこの呪文を、あなたがインスタントを唱えられるときならいつでも唱えてよい。)
村の鐘鳴らしが戦場に出たとき、あなたがコントロールするすべてのクリーチャーをアンタップする。
1/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Village%20Bell-Ringer/
Restoration Angel / 修復の天使 (3)(白)
クリーチャー ― 天使(Angel)
瞬速
飛行
修復の天使が戦場に出たとき、あなたがコントロールする天使(Angel)でないクリーチャー1体を対象とする。あなたはそれを追放し、その後そのカードをあなたのコントロール下で戦場に戻してもよい。
3/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Restoration%20Angel/
Eternal Witness / 永遠の証人 (1)(緑)(緑)
クリーチャー ― 人間(Human) シャーマン(Shaman)
永遠の証人が戦場に出たとき、あなたの墓地にあるカード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたの手札に戻してもよい。
2/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Eternal%20Witness/
Kiki-Jiki, Mirror Breaker / 鏡割りのキキジキ (2)(赤)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー ― ゴブリン(Goblin) シャーマン(Shaman)
速攻
(T):あなたがコントロールする、伝説でないクリーチャー1体を対象とする。それのコピーであるトークンを1体戦場に出す。そのトークンは速攻を持つ。次の終了ステップの開始時に、それを生け贄に捧げる。
2/2
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Kiki-Jiki%2C%20Mirror%20Breaker/
Treetop Village / 樹上の村
土地
樹上の村はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(緑)を加える。
(1)(緑):樹上の村は、ターン終了時までトランプルを持つ緑の3/3の類人猿(Ape)クリーチャーになる。それは土地でもある。(それが、自身をブロックしているすべてのクリーチャーを破壊するのに十分な戦闘ダメージを割り振る場合、あなたはその残りのダメージを防御プレイヤーかプレインズウォーカーに割り振ってもよい。)
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Treetop%20Village/
Horizon Canopy / 地平線の梢
土地
(T),1点のライフを支払う:あなたのマナ・プールに(緑)か(白)を加える。
(1),(T),地平線の梢を生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Horizon%20Canopy/
Birds of Paradise / 極楽鳥 (緑)
クリーチャー ― 鳥(Bird)
飛行
(T):あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。
0/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Birds%20of%20Paradise/
Noble Hierarch / 貴族の教主 (緑)
クリーチャー ― 人間(Human) ドルイド(Druid)
賛美(あなたがコントロールするいずれかのクリーチャーが単独で攻撃するたび、そのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。)
(T):あなたのマナ・プールに(緑)か(白)か(青)を加える。
0/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Noble%20Hierarch/
Tarmogoyf / タルモゴイフ (1)(緑)
クリーチャー ― ルアゴイフ(Lhurgoyf)
タルモゴイフのパワーは、すべての墓地にあるカードのカード・タイプの数に等しく、タフネスはその点数に1を加えた点数に等しい。
*/1+*
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Tarmogoyf/
Zealous Persecution / 盲信的迫害 (白)(黒)
インスタント
ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは+1/+1の修整を受けるとともに、あなたの対戦相手がコントロールするクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Zealous%20Persecution/
レベル0の思考では、まず森をプレイすることは確実。それによりこのターン8マナが使え、手札のスペルの一方または両方をプレイ、Horizon Canopyの起動、Treetop Villageの起動やアタックなどが可能で、いろいろなアクションの組み合わせが考えられる。
まず考えるべきなのは、このターンに叩き出せる最大ダメージはいくつか、という問いだ。
森をプレイしてTreetop Villageを起動、Zealous Persecutionをプレイしてオールアタックすると、こちらの2/2スピリットトークン×4、パワー1のマナ生物×3、4/4トランプルのミシュラランドに対して、相手は0/3のBell-Ringerと2/3飛行の天使、という状況になる。ダメージを最大限防ぐには、スピリットトークンを天使で、TreetopをBell-Ringerでブロックすることになるだろう。相手が何も持っていないとすると、これでちょうど1ライフまで追い詰められる。1ライフまで落とせるのは大きく、Arid Mesaを起動できなくなるので4マナのままキキジキをプレイできない状態を続けさせられる。
レベル1の思考では、相手がキキジキに加えて何を持っているかを考えることになる。Path to Exileや稲妻を持たれていた場合、Horizon Canopyを起動して回答を引かない限りこちらは死ぬ(48枚のライブラリのうち6枚――Path to Exile4枚とSlaughter Pact2枚――が回答だ)。より勝率が高いのはどちらのプレイか考えよう:48枚中6枚(12.5%)の回答をトップしてキキジキに対処するか、それとも相手に稲妻もPathもなく、さらにキキジキプレイに必要なアンタップインの土地も引かれないことを期待するか?
標準的なナヤ殻には概ね4枚のPathかBolt、7枚のアンタップイン土地が入っていると予想され、アンタップイン土地のうち1枚(山)は既に場に出ている。相手が次のターンにライブラリ48枚のうち6枚のアンタップ土地を引く確率は12.5%で、(先ほど思考囲いで手札を見た後の)3ターンのうちにBoltかPathを引かれた確率は24%だ(4/51 + 4/50 + 4/49)。つまり、「1ライフまで落とす」プランは 24% + 12.5% = 36.5% の確率で負けることになる。これは間違いなく除去をトップできずに負ける確率87.5%よりも良い。そのため、1ライフに落とすプレイをするのが良いということになる。この事例ではレベル0とレベル1の思考が同じ結論に至る。
事例3:ヘルカイトで急げ
M13ドラフト。今はこちらの第1メインフェイズ。相手はライフ8で手札なし、こちらはライフ10で手札はSearing Spear、山、Thundermaw Hellkiteだ。
相手のボードは、森2枚、平地3枚、Griffin Protectorがタップ状態、森1枚、Guardinans of Akrasa、Primal Huntbeast、Sentinel Spiderがアンタップ状態。
こちらのボードは、沼4枚、山2枚、Crimson Muckwader、Rummaging Goblinだ。
どのレベルを使うべきか?それがどんなプレイに繋がるか?
(※訳注:画像あり。)
Searing Spear / 灼熱の槍 (1)(赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。灼熱の槍はそれに3点のダメージを与える。
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Searing%20Spear/
Thundermaw Hellkite / 雷口のヘルカイト (3)(赤)(赤)
クリーチャー ― ドラゴン(Dragon)
飛行
速攻(このクリーチャーは、あなたのコントロール下になってすぐに攻撃したり(T)したりできる。)
雷口のヘルカイトが戦場に出たとき、それはあなたの対戦相手がコントロールする飛行を持つ各クリーチャーにそれぞれ1点のダメージを与える。それらのクリーチャーをタップする。
5/5
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Thundermaw%20Hellkite/
Griffin Protector / 庇護のグリフィン (3)(白)
クリーチャー ― グリフィン(Griffin)
飛行
他のクリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたび、庇護のグリフィンはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
2/3
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Griffin%20Protector/
Guardians of Akrasa / アクラサの守護者 (2)(白)
クリーチャー ― 人間(Human) 兵士(Soldier)
防衛(このクリーチャーは攻撃できない。)
賛美(あなたがコントロールするいずれかのクリーチャーが単独で攻撃するたび、そのクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。)
0/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Guardians%20of%20Akrasa/
Primal Huntbeast / 原初の狩猟獣 (3)(緑)
クリーチャー ― ビースト(Beast)
呪禁(このクリーチャーは、あなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象にならない。)
3/3
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Primal%20Huntbeast/
Sentinel Spider / 歩哨蜘蛛 (3)(緑)(緑)
クリーチャー ― 蜘蛛(Spider)
警戒(このクリーチャーは攻撃してもタップしない。)
到達(このクリーチャーは飛行を持つクリーチャーをブロックできる。)
4/4
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Sentinel%20Spider/
Crimson Muckwader / 真紅の汚水這い (1)(赤)
クリーチャー ― トカゲ(Lizard)
真紅の汚水這いは、あなたが沼(Swamp)をコントロールしているかぎり+1/+1の修整を受ける。
(2)(黒):真紅の汚水這いを再生する。(このターン、次にこのクリーチャーが破壊される場合、それは破壊されない。代わりに、それをタップし、それに与えられているダメージをすべて取り除き、それを戦闘から取り除く。)
2/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Crimson%20Muckwader/
相手のライブラリトップ以外の情報が全て明らかになっているので、これは明らかにレベル0のプレイをする場面だ。山とThundermaw Hellkiteを出し、Searing Spear用のマナを立てる。そしてヘルカイトでアタック。相手がブロックしなければSpearで焼いて終わり。簡単だろう?
違う。
プレイミスに気づいただろうか?
ミスは戦闘前に土地を置いたことで、なぜこれがミスなのか理解するにはレベル2の問いが必要となる。こちらが何を持っていると相手は考えているか、だ。
土地をRummaging Goblinの能力で捨てずに場に出したことで、抜け目のない相手なら、追加の土地を出す方がライブラリのカード1枚と交換するよりもこちらにとって価値があるということに気づくだろう(価値がないなら捨てない理由がない)。相手が「追加の土地が意味を持つカードとは何か」と考えると、もっともあり得そうなのはSearing Spearだ(コモンなので)。
もし相手のデッキにヘルカイトへの回答が入っているなら、間違いなくSpiderでチャンプブロックして、その回答を引くためのドローステップを迎えようとしてくるだろう。
別の道を考えよう。ヘルカイトをプレイして、手札2枚と立っている沼1枚という状態になったとき、相手から見れば、すぐに死ぬのはこちらが山+Searing Spearの組み合わせを持っているケース(あるいはEssence Drainで次のターンに死ぬケース)だけだ。これはかなり可能性が低い。
相手がブロックしなければこちらの勝ちなので、相手がブロックしない確率を最大化することに全力を注ぎたい。土地を持ったままにすればこの確率は大きくなり、土地を出せば小さくなる。この事例ではレベル2の思考によって正しいプレイを導き出すことができる。
注記:ここでもう一つ考えておいても良いのは、相手に抜け目がないと分かっていて、こちらの手札にSearing Spearがない場合は、土地を出してヘルカイトをブロックするように仕向けた方が良いということだ。相手がこちらの動きを読んでいて、適切な思考レベルを見い出せたとしても、うまくいくかどうかは実際にプレイする前によく考える必要がある。
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(後半へ続く)
http://radish.diarynote.jp/201607091512388163/
StarCityGamesより。
悪魔は細部に宿る。
Dig Through Time健在の頃の記事ですが面白かったので。
プレイした直後に「あっ」ってなるやつです。
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The Devil Is In The Details
CARSTEN KOTTER
2015/08/06
http://www.starcitygames.com/article/31327_The-Devil-Is-In-The-Details.html
マジックは複雑なゲームで、レガシーは特にそうだ――これまで印刷されてきたカードのほとんどがリーガルなフォーマットでは予想外の相互作用が数多く生じ、それらに対処しなきゃならない。それだけでなく、レガシーのようなパワーの高いフォーマットでは、ちっぽけな細部、気づきにくいほんのささいな判断でさえ勝敗に多大な影響を与える。
今日の記事でやりたいのは、そのような見過ごしがちな判断をはらんだ事例を3つ、読者のみんなにプレゼントすることだ。気をつけて考えたことがなければ、判断を下していることを自覚すらできない。そんな話だよ。
正しいプレイが何かを考えるシンキングタイムを用意して、その後で僕の考える正しいプレイと、なぜ/どんなときに小さな判断が重要となるかを解説するつもりだ。
面白そうだろう?
よし、それじゃあやってみよう。
Delving Deeper
何を使っているか分からない相手に対するゲーム1、こちらはRUGデルバーを使っている。
Temur Delver
Tom Koson
1st Place at StarCityGames.com Super IQ on 7/26/2015
Legacy
lands (18)
3 《Tropical Island》
3 《Volcanic Island》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
4 《不毛の大地/Wasteland》
creatures (12)
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
spells (30)
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《意志の力/Force of Will》
4 《目くらまし/Daze》
4 《呪文貫き/Spell Pierce》
4 《もみ消し/Stifle》
2 《四肢切断/Dismember》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
sideboard
2 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
1 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》
1 《森の知恵/Sylvan Library》
1 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1 《水流破/Hydroblast》
1 《クローサの掌握/Krosan Grip》
2 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《水没/Submerge》
1 《壌土からの生命/Life from the Loam》
2 《乱暴/Rough》
対戦相手はBayouを置いただけで1ターン目を終え、こちらは1ターン目マングースよりもStifleを構える方が重要だと考えた。
今は対戦相手の2ターン目、Bloodstained Mireを置いてすぐ起動したところだ:
どうプレイする?
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「フェッチのもみ消し一択だろ?」という方へ――その通り!では、当たり前じゃない部分に注意を払ってみよう――Wooded Foothillsでどちらの土地を持ってくる?
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この問いにきちんと答えるには、こちらがどんなプランなのか理解している必要がある。こちらの手札に赤いカードはなく緑のカードがあり、第一感はTropical Islandかもしれないね。
僕は、それはミスで、Volcanic Islandが正解だと考えている。以下が理由だ:
現時点で、相手はジャンドの可能性が非常に高い(1枚目の土地がBayouで、Bloodstained Mireが入っているデッキだ)。ジャンドに対するベストプランの一つは、相手をマナスクリューさせて立ち直る前に勝つことだ。こちらには大量のDazeがあり、このプランは実現もできそうだ。
ということは、次のターンにマングースを出してクロックを始めるためにTropical Islandを持ってくるべきってことになるんじゃないか?
この考えの問題点は、フェッチを場に残して墓地が1枚の状況でマングースを出すことになる点だ。
このフェッチを切った場合――つまり、Dazeを2枚キャストする必要が出てきた場合――ブレスト後のシャッフル手段を失うことになる。このシャッフルは今の状況で非常に重要だ。
また、マングースを脅威として機能させるために、できるだけ早く墓地を肥やす必要がある。こちらの手札を考えると、追加のキャントリップのようなキャストしやすいスペルをブレストで集めたい。自分のターンにフェッチを切らないことは1マナを「ドブに捨てる」のに等しく、RUGデルバーはそんなことをしたいデッキではないし、マングースのスレッショルドを急ぐ状況ではなおさらやりたくないプレイだ。
さらに、3枚目のDazeは使わない可能性が高い。つまり引き直したくないカードが少なくとも1枚手札にあり、ブレストで不要牌をもう1枚引く可能性も非常に高い。
そういうわけで、セドリック・フィリップスが "Perfect Brainstorm" と呼ぶ、直後にフェッチを切るブレストをしたいところだ。
こちらは土地を立てておく必要もない。状況を変える新たなカードを引かなければ、僕の考える今後2ターンのプレイはこうなる:まずVolcanic Islandを持ってきて相手のMireをもみ消し、次の自分のターンにボルカを使ってブレストをキャスト、Misty RainforestをプレイしてTropical Islandをフェッチしたのちマングースをキャスト、相手の次のアクションをDazeする。
RUG3色を揃えつつこのプレイをするには、次のターンの初めにブレストをキャストする土地を先に持ってくる必要がある――これが赤いカードがないのにVolcanic Islandをフェッチする理由だ。
このターン中にDazeを使う必要がある場合のことは考えておいた方が良いかもしれない。ボルカを手札に戻したとすると、次のターンはマングースのキャストを諦めるか、ブレストを撃たずにフェッチを切る必要が出てくる。
Dazeを使わされるのは、このターンに死儀礼か思考囲いをキャストされた場合だ。しかし、その確率は、こちらのプラン通りに進む確率と比べてとても低く、ケアするには値しないだろう。そうなるのは相手がこのターンに死儀礼か囲いをトップした場合だけだからだ――既に手札にあったなら1ターン目に使ってきたはずだよね。
Storming Stronger
この事例は僕がプレイテスト中に経験したことが元になっている――そう、僕はミスをした。この記事を書こうと思った最初のきっかけなんだ。
こちらはストームを使い、Dark Petitionをテスト中だ(実際に僕がテストしていたリストだよ):
Petition Storm
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 0/0/0000
Legacy
lands (15)
1 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《Badlands》
1 《Tropical Island》
2 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
spells (45)
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
4 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3 《強迫/Duress》
3 《闇の誓願/Dark Petition》
4 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1 《炎の中の過去/Past in Flames》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
相手はBURGデルバーらしく、こちらは妨害スペルで相手を丸裸(手札ゼロ)にしたところだ。その間に2体のデルバーによってこちらのライフは一気に減ってしまった。今はPolluted Deltaをドローしてメインフェイズが始まったところ。このターンに仕掛けなければ死ぬ:
どうすべきだろう?
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明らかに今この場で勝つ必要があり、そのためにドロースペルでチューターかテンドリルを見つけなければならず、Past in Flamesのための大量のマナと十分なストームカウントは手札と墓地に揃っている状況だ。
真の問題はこれだ:勝利する確率を最大化するにはどの順序でドロースペルをキャストすべきか?
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まずは簡単なところから:Dark Ritual、Dark Ritual、Cabal Ritual、Lion’s Eye Diamond、Polluted Deltaをプレイし、Volcanic Islandをフェッチする。Past in FlamesをキャストしてLEDをサクり、ドロースペルをキャストするための青3マナを出す。全てのRitualをフラッシュバックし、青3黒12マナが浮いてストームカウントは既に8だ。
ここからが難しい。ストームが十分にあるなら、他のドロースペルよりも先にGitaxian Probeを墓地からキャストするのが普通だろう。カードを見る枚数を最大化できる。
しかし、その常識に盲目的に従うと勝てる確率が落ちてしまうのがこのケースの特殊なところだ。
初めにギタ調、その後ブレスト2回をキャストすることで、ライブラリの上から5枚を見ることができる。だがここで気づくべきなのは、ギタ調を最後にキャストしない限り、順序を変えても同じだということだ――非常に重要な一点を除いて:最初にギタ調を使うと、1回目のブレスト直後に手札に2枚のカードが残る。
キャストできないスペルや土地3枚とInfernal Tutorがめくれたとき、どうやっても暴勇が達成できなくなる!最高のカードを見つけたのに負けることになってしまうんだ(例えばライブラリトップが「土地、Infernal Tutor、土地、土地」みたいに並んでいた場合)。
一方、最初にブレストを使って2枚の処理不能カードとInfernal Tutorが見つかった場合は相手が死ぬ:チューターを残してテンドリルをサーチだ。見つからなくても、ギタ調してから2枚目のブレストを使えば、ギタ調を最初に使う場合と同じカードを見ることができる。普段と違う順序でドロースペルを使うことで、何も失うことなくイージーウィンのチャンスが得られているね。
Telling Truer
Burning Wish入りでエムラ無しのオムニテルを使っていて、ゲーム1だ。
Demon Rum
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 0/0/0000
Legacy
lands (19)
4 《島/Island》
2 《Underground Sea》
2 《Volcanic Island》
1 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《水晶鉱脈/Crystal Vein》
creatures (4)
4 《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》
spells (37)
4 《全知/Omniscience》
3 《実物提示教育/Show and Tell》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
2 《定業/Preordain》
4 《時を越えた探索/Dig Through Time》
4 《意志の力/Force of Will》
4 《燃え立つ願い/Burning Wish》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
sideboard
2 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《紅蓮破/Pyroblast》
1 《ぶどう弾/Grapeshot》
1 《無垢の血/Innocent Blood》
1 《虐殺/Massacre》
1 《溶融/Meltdown》
1 《洞察力の花弁/Petals of Insight》
3 《紅蓮地獄/Pyroclasm》
1 《実物提示教育/Show and Tell》
1 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《虚空の罠/Void Snare》
ドロースペルでショーテル&赤願い&全知が揃ったところだ。ショーテルはこのターンにギタ調で引いたばかり。相手の手札を見て、向こうが古き良きエンチャントレスを使っており、こちらのGrapeshotを無効化するカード――Solitary Confinement――を持っていることが分かった。
Show and Tellをキャストする必要がある。
どうプレイすべきか?
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相手は十分賢くてショーテルにSolitary Confinementを合わせてくるとすると、こちらはどこかでもう1枚追加の赤願いを使う必要がある。ショーテルを使い、Petalsを開始して、Grapeshotの前にVoid SnareをサーチしてConfinementをバウンスだ。そう、これ以外の道はない。
この問題を解くのにまず重要なのは、全知+赤願いからのPetals of Insightというコンボで何ができるかだ。「無限にストームを稼いで赤願いを見つける」という考えではなかなか解けないだろう。
僕が何のことを言っているのか気づいた人は、それをやってみよう。分からない場合は、このコンボが実際にどう動くかをもう少し考えてみると探している道を見つけられるかもしれない。
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僕が言っていたのはこのことだ:こちらのデッキの枚数が3の倍数でなければ、Petals of Insightを繰り返しキャストすることでライブラリを並べ替えられる。
1枚か2枚のカードを隣の3枚ブロックに移動させると、デッキを1回転させるごとにPetals of Insightで見る3枚ブロックが新しくなり、カードはデッキの中を徐々に移動していく。このプロセスによって、最終的にデッキ中の任意の3枚をPetals of Insightでドローすることができる。
説明のためにカード5枚のライブラリを考えてみよう:
この中のキャントリップ3枚をドローしたいとしよう。
Petalsを解決すると、島、ポンダー、定業を好きな順序でボトムに送れる:
もう一度Petalsをキャストすると、赤願い、ギタ調、島が見える。定業とポンダーもどこにあるか知っているので、ギタ調をその次に来るように並べよう:
ここでPetalsをキャストすれば、欲しかった3枚のキャントリップが見えるのでドローしよう。このように、一つ前のブロックの下2枚と、次のブロックの一番上のカードを合わせた新しいブロックを作ることができる。3の倍数+1枚のライブラリの場合は、一つ目のブロックの下1枚と次のブロックの上2枚を合わせたブロックになる。
もっと大きなライブラリでも同じプロセスでカードを動かし、ゆっくりだが確実に好きな3枚を揃えることができる。現実のライブラリの枚数では相当な回数のPetalsが必要になるが、Petalsは好きなだけキャストすることができるので大丈夫だ。
上の問題で残る厄介な点は、こちらが使ったカードと手札を合わせてちょうど12枚になっていて(ちゃんと数えたかな?)、ライブラリは48枚なので並び替えができないことだ。この状態からPetalsを使うと、同じ3枚ブロックが何度も繰り返し現れるだけになる。
幸い、ライブラリの枚数を変えられるカードが手札にある:Polluted Deltaだ。ライブラリの枚数が問題になることに気づけば、まず枚数を数えて1枚増やすか減らす必要があることを知り、島ではなくフェッチをプレイしてショーテルすればOK。その後に2枚のBurning Wishが入ったブロックを作ればおしまいだ。
もし枚数に気づけなかった場合はどうなるだろう?
それでも勝つかもしれないけど、失敗する確率はゼロじゃなくなる。たまたま赤願いが2枚入ったブロックがあれば勝てるけれど可能性は低く、あとは赤願いとドロースペル(特にDig Through Time)の組み合わせに賭けることになる。これが成功する確率を僕は計算できないけど、赤願い+ドロースペルのブロックがないケースや、ドロースペルで追加のWishが見つからないケースは間違いなくある。デッキの中でDTTとWishがどれぐらい離れているかにも気をつける必要があるので成功率の計算はとても難しい。Petalsで1回転させる間にデッキの並び順を記録するぐらいならできるかな。
ともかく、細部に注意を払わなかったせいで勝率をかなり落としてしまうことは間違いないだろう?
神は宿った
何問正解できたかな?
もっと大事なこととして、解答(やシンキングタイム途中のヒント)を読む前に、どこに注意を払うべきか気づけたのは何問あっただろう?
僕の解答より良いプレイはないと言い切ることはできないし議論は歓迎だけど、この記事に書いた事例はあくまで特殊なケースだ。今日僕が言いたかったポイントは、非常に小さな判断にも正解と不正解があり、そこで正しい選択ができるようになるためには、大局的な方針に加えてゲーム中に出くわすあらゆる些事に気を配るしかないってことだよ。
忘れないでほしい。誤った判断をする最も簡単な方法は、自分が判断していることに気づかないことだ。
目を見開こう!
悪魔は細部に宿る。
Dig Through Time健在の頃の記事ですが面白かったので。
プレイした直後に「あっ」ってなるやつです。
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The Devil Is In The Details
CARSTEN KOTTER
2015/08/06
http://www.starcitygames.com/article/31327_The-Devil-Is-In-The-Details.html
マジックは複雑なゲームで、レガシーは特にそうだ――これまで印刷されてきたカードのほとんどがリーガルなフォーマットでは予想外の相互作用が数多く生じ、それらに対処しなきゃならない。それだけでなく、レガシーのようなパワーの高いフォーマットでは、ちっぽけな細部、気づきにくいほんのささいな判断でさえ勝敗に多大な影響を与える。
今日の記事でやりたいのは、そのような見過ごしがちな判断をはらんだ事例を3つ、読者のみんなにプレゼントすることだ。気をつけて考えたことがなければ、判断を下していることを自覚すらできない。そんな話だよ。
正しいプレイが何かを考えるシンキングタイムを用意して、その後で僕の考える正しいプレイと、なぜ/どんなときに小さな判断が重要となるかを解説するつもりだ。
面白そうだろう?
よし、それじゃあやってみよう。
Delving Deeper
何を使っているか分からない相手に対するゲーム1、こちらはRUGデルバーを使っている。
Temur Delver
Tom Koson
1st Place at StarCityGames.com Super IQ on 7/26/2015
Legacy
lands (18)
3 《Tropical Island》
3 《Volcanic Island》
4 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
4 《不毛の大地/Wasteland》
creatures (12)
4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4 《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
spells (30)
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《意志の力/Force of Will》
4 《目くらまし/Daze》
4 《呪文貫き/Spell Pierce》
4 《もみ消し/Stifle》
2 《四肢切断/Dismember》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
sideboard
2 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
1 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》
1 《森の知恵/Sylvan Library》
1 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1 《水流破/Hydroblast》
1 《クローサの掌握/Krosan Grip》
2 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《水没/Submerge》
1 《壌土からの生命/Life from the Loam》
2 《乱暴/Rough》
対戦相手はBayouを置いただけで1ターン目を終え、こちらは1ターン目マングースよりもStifleを構える方が重要だと考えた。
今は対戦相手の2ターン目、Bloodstained Mireを置いてすぐ起動したところだ:
ゲーム1、相手の第1メインフェイズ、土地はプレイ済み。
相手のライフ:19
相手の手札:6枚
相手の場:
* Bayou(アンタップ)
相手の墓地:
* Bloodstained Mire
スタック:Bloodstained Mireの起動型能力
あなたのライフ:20
あなたの手札:
* Stifle
* Misty Rainforest
* Nimble Mongoose
* Brainstorm
* Daze
* Daze
* Daze
あなたの場:
* Wooded Foothills(アンタップ)
あなたの墓地:空
※訳注:元記事に見やすい画像があります。
どうプレイする?
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「フェッチのもみ消し一択だろ?」という方へ――その通り!では、当たり前じゃない部分に注意を払ってみよう――Wooded Foothillsでどちらの土地を持ってくる?
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この問いにきちんと答えるには、こちらがどんなプランなのか理解している必要がある。こちらの手札に赤いカードはなく緑のカードがあり、第一感はTropical Islandかもしれないね。
僕は、それはミスで、Volcanic Islandが正解だと考えている。以下が理由だ:
現時点で、相手はジャンドの可能性が非常に高い(1枚目の土地がBayouで、Bloodstained Mireが入っているデッキだ)。ジャンドに対するベストプランの一つは、相手をマナスクリューさせて立ち直る前に勝つことだ。こちらには大量のDazeがあり、このプランは実現もできそうだ。
ということは、次のターンにマングースを出してクロックを始めるためにTropical Islandを持ってくるべきってことになるんじゃないか?
この考えの問題点は、フェッチを場に残して墓地が1枚の状況でマングースを出すことになる点だ。
このフェッチを切った場合――つまり、Dazeを2枚キャストする必要が出てきた場合――ブレスト後のシャッフル手段を失うことになる。このシャッフルは今の状況で非常に重要だ。
また、マングースを脅威として機能させるために、できるだけ早く墓地を肥やす必要がある。こちらの手札を考えると、追加のキャントリップのようなキャストしやすいスペルをブレストで集めたい。自分のターンにフェッチを切らないことは1マナを「ドブに捨てる」のに等しく、RUGデルバーはそんなことをしたいデッキではないし、マングースのスレッショルドを急ぐ状況ではなおさらやりたくないプレイだ。
さらに、3枚目のDazeは使わない可能性が高い。つまり引き直したくないカードが少なくとも1枚手札にあり、ブレストで不要牌をもう1枚引く可能性も非常に高い。
そういうわけで、セドリック・フィリップスが "Perfect Brainstorm" と呼ぶ、直後にフェッチを切るブレストをしたいところだ。
こちらは土地を立てておく必要もない。状況を変える新たなカードを引かなければ、僕の考える今後2ターンのプレイはこうなる:まずVolcanic Islandを持ってきて相手のMireをもみ消し、次の自分のターンにボルカを使ってブレストをキャスト、Misty RainforestをプレイしてTropical Islandをフェッチしたのちマングースをキャスト、相手の次のアクションをDazeする。
RUG3色を揃えつつこのプレイをするには、次のターンの初めにブレストをキャストする土地を先に持ってくる必要がある――これが赤いカードがないのにVolcanic Islandをフェッチする理由だ。
このターン中にDazeを使う必要がある場合のことは考えておいた方が良いかもしれない。ボルカを手札に戻したとすると、次のターンはマングースのキャストを諦めるか、ブレストを撃たずにフェッチを切る必要が出てくる。
Dazeを使わされるのは、このターンに死儀礼か思考囲いをキャストされた場合だ。しかし、その確率は、こちらのプラン通りに進む確率と比べてとても低く、ケアするには値しないだろう。そうなるのは相手がこのターンに死儀礼か囲いをトップした場合だけだからだ――既に手札にあったなら1ターン目に使ってきたはずだよね。
Storming Stronger
この事例は僕がプレイテスト中に経験したことが元になっている――そう、僕はミスをした。この記事を書こうと思った最初のきっかけなんだ。
こちらはストームを使い、Dark Petitionをテスト中だ(実際に僕がテストしていたリストだよ):
Petition Storm
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 0/0/0000
Legacy
lands (15)
1 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《Badlands》
1 《Tropical Island》
2 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
spells (45)
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
4 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3 《強迫/Duress》
3 《闇の誓願/Dark Petition》
4 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1 《炎の中の過去/Past in Flames》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
相手はBURGデルバーらしく、こちらは妨害スペルで相手を丸裸(手札ゼロ)にしたところだ。その間に2体のデルバーによってこちらのライフは一気に減ってしまった。今はPolluted Deltaをドローしてメインフェイズが始まったところ。このターンに仕掛けなければ死ぬ:
ゲーム1、あなたの第1メインフェイズ、土地は未プレイ。
相手のライフ:20
相手の手札:0枚
相手の場:
* Tropical Island×2(両方ともタップ)
* Volcanic Island(アンタップ)
* 3/4のTarmogoyf(アンタップ)
* 裏向きDelver×2(両方ともタップ)
相手の墓地:
* Wasteland
* Daze
* Brainstorm
* Ponder
* Wasteland
あなたのライフ:2
あなたの手札:
* Dark Ritual
* Dark Ritual
* Cabal Ritual
* Lion’s Eye Diamond
* Past in Flames
* Polluted Delta
あなたの場:
* Swamp(アンタップ)
あなたの墓地:
* Duress
* Cabal Therapy
* Cabal Therapy
* Underground Sea
* Underground Sea
* Polluted Delta
* Gitaxian Probe
* Brainstorm
* Brainstorm
どうすべきだろう?
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明らかに今この場で勝つ必要があり、そのためにドロースペルでチューターかテンドリルを見つけなければならず、Past in Flamesのための大量のマナと十分なストームカウントは手札と墓地に揃っている状況だ。
真の問題はこれだ:勝利する確率を最大化するにはどの順序でドロースペルをキャストすべきか?
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まずは簡単なところから:Dark Ritual、Dark Ritual、Cabal Ritual、Lion’s Eye Diamond、Polluted Deltaをプレイし、Volcanic Islandをフェッチする。Past in FlamesをキャストしてLEDをサクり、ドロースペルをキャストするための青3マナを出す。全てのRitualをフラッシュバックし、青3黒12マナが浮いてストームカウントは既に8だ。
ここからが難しい。ストームが十分にあるなら、他のドロースペルよりも先にGitaxian Probeを墓地からキャストするのが普通だろう。カードを見る枚数を最大化できる。
しかし、その常識に盲目的に従うと勝てる確率が落ちてしまうのがこのケースの特殊なところだ。
初めにギタ調、その後ブレスト2回をキャストすることで、ライブラリの上から5枚を見ることができる。だがここで気づくべきなのは、ギタ調を最後にキャストしない限り、順序を変えても同じだということだ――非常に重要な一点を除いて:最初にギタ調を使うと、1回目のブレスト直後に手札に2枚のカードが残る。
キャストできないスペルや土地3枚とInfernal Tutorがめくれたとき、どうやっても暴勇が達成できなくなる!最高のカードを見つけたのに負けることになってしまうんだ(例えばライブラリトップが「土地、Infernal Tutor、土地、土地」みたいに並んでいた場合)。
一方、最初にブレストを使って2枚の処理不能カードとInfernal Tutorが見つかった場合は相手が死ぬ:チューターを残してテンドリルをサーチだ。見つからなくても、ギタ調してから2枚目のブレストを使えば、ギタ調を最初に使う場合と同じカードを見ることができる。普段と違う順序でドロースペルを使うことで、何も失うことなくイージーウィンのチャンスが得られているね。
Telling Truer
Burning Wish入りでエムラ無しのオムニテルを使っていて、ゲーム1だ。
Demon Rum
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 0/0/0000
Legacy
lands (19)
4 《島/Island》
2 《Underground Sea》
2 《Volcanic Island》
1 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《水晶鉱脈/Crystal Vein》
creatures (4)
4 《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》
spells (37)
4 《全知/Omniscience》
3 《実物提示教育/Show and Tell》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
2 《定業/Preordain》
4 《時を越えた探索/Dig Through Time》
4 《意志の力/Force of Will》
4 《燃え立つ願い/Burning Wish》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
sideboard
2 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《紅蓮破/Pyroblast》
1 《ぶどう弾/Grapeshot》
1 《無垢の血/Innocent Blood》
1 《虐殺/Massacre》
1 《溶融/Meltdown》
1 《洞察力の花弁/Petals of Insight》
3 《紅蓮地獄/Pyroclasm》
1 《実物提示教育/Show and Tell》
1 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《虚空の罠/Void Snare》
ドロースペルでショーテル&赤願い&全知が揃ったところだ。ショーテルはこのターンにギタ調で引いたばかり。相手の手札を見て、向こうが古き良きエンチャントレスを使っており、こちらのGrapeshotを無効化するカード――Solitary Confinement――を持っていることが分かった。
Show and Tellをキャストする必要がある。
ゲーム1、あなたの第1メインフェイズ、土地は未プレイ。
相手のライフ:20
相手の手札:
* Sterling Grove
* Elephant Grass
* Elephant Grass
* Mirri’s Guile
* Forest
* Solitary Confinement
相手の場:
* Wild Growth2枚がついたForest(タップ)
* Plains(タップ)
* Savannah(タップ)
* Argothian Enchantress(アンタップ)
* Enchantress’s presence
* Rest in Peace
あなたのライフ:17
あなたの手札:
* Burning Wish
* Polluted Delta
* Island
* Omniscience
* Show and Tell
あなたの場:
* Volcanic Island×2(両方ともアンタップ)
あなたの追放領域:
* Gitaxian Probe
* Scalding Tarn
* Preordain
* Ponder
* Brainstorm
どうプレイすべきか?
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相手は十分賢くてショーテルにSolitary Confinementを合わせてくるとすると、こちらはどこかでもう1枚追加の赤願いを使う必要がある。ショーテルを使い、Petalsを開始して、Grapeshotの前にVoid SnareをサーチしてConfinementをバウンスだ。そう、これ以外の道はない。
この問題を解くのにまず重要なのは、全知+赤願いからのPetals of Insightというコンボで何ができるかだ。「無限にストームを稼いで赤願いを見つける」という考えではなかなか解けないだろう。
僕が何のことを言っているのか気づいた人は、それをやってみよう。分からない場合は、このコンボが実際にどう動くかをもう少し考えてみると探している道を見つけられるかもしれない。
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僕が言っていたのはこのことだ:こちらのデッキの枚数が3の倍数でなければ、Petals of Insightを繰り返しキャストすることでライブラリを並べ替えられる。
1枚か2枚のカードを隣の3枚ブロックに移動させると、デッキを1回転させるごとにPetals of Insightで見る3枚ブロックが新しくなり、カードはデッキの中を徐々に移動していく。このプロセスによって、最終的にデッキ中の任意の3枚をPetals of Insightでドローすることができる。
説明のためにカード5枚のライブラリを考えてみよう:
《島/Island》
《定業/Preordain》
《思案/Ponder》
《燃え立つ願い/Burning Wish》
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
この中のキャントリップ3枚をドローしたいとしよう。
Petalsを解決すると、島、ポンダー、定業を好きな順序でボトムに送れる:
《燃え立つ願い/Burning Wish》
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
《島/Island》
《思案/Ponder》
《定業/Preordain》
もう一度Petalsをキャストすると、赤願い、ギタ調、島が見える。定業とポンダーもどこにあるか知っているので、ギタ調をその次に来るように並べよう:
《思案/Ponder》
《定業/Preordain》
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
《燃え立つ願い/Burning Wish》
《島/Island》
ここでPetalsをキャストすれば、欲しかった3枚のキャントリップが見えるのでドローしよう。このように、一つ前のブロックの下2枚と、次のブロックの一番上のカードを合わせた新しいブロックを作ることができる。3の倍数+1枚のライブラリの場合は、一つ目のブロックの下1枚と次のブロックの上2枚を合わせたブロックになる。
もっと大きなライブラリでも同じプロセスでカードを動かし、ゆっくりだが確実に好きな3枚を揃えることができる。現実のライブラリの枚数では相当な回数のPetalsが必要になるが、Petalsは好きなだけキャストすることができるので大丈夫だ。
上の問題で残る厄介な点は、こちらが使ったカードと手札を合わせてちょうど12枚になっていて(ちゃんと数えたかな?)、ライブラリは48枚なので並び替えができないことだ。この状態からPetalsを使うと、同じ3枚ブロックが何度も繰り返し現れるだけになる。
幸い、ライブラリの枚数を変えられるカードが手札にある:Polluted Deltaだ。ライブラリの枚数が問題になることに気づけば、まず枚数を数えて1枚増やすか減らす必要があることを知り、島ではなくフェッチをプレイしてショーテルすればOK。その後に2枚のBurning Wishが入ったブロックを作ればおしまいだ。
もし枚数に気づけなかった場合はどうなるだろう?
それでも勝つかもしれないけど、失敗する確率はゼロじゃなくなる。たまたま赤願いが2枚入ったブロックがあれば勝てるけれど可能性は低く、あとは赤願いとドロースペル(特にDig Through Time)の組み合わせに賭けることになる。これが成功する確率を僕は計算できないけど、赤願い+ドロースペルのブロックがないケースや、ドロースペルで追加のWishが見つからないケースは間違いなくある。デッキの中でDTTとWishがどれぐらい離れているかにも気をつける必要があるので成功率の計算はとても難しい。Petalsで1回転させる間にデッキの並び順を記録するぐらいならできるかな。
ともかく、細部に注意を払わなかったせいで勝率をかなり落としてしまうことは間違いないだろう?
神は宿った
何問正解できたかな?
もっと大事なこととして、解答(やシンキングタイム途中のヒント)を読む前に、どこに注意を払うべきか気づけたのは何問あっただろう?
僕の解答より良いプレイはないと言い切ることはできないし議論は歓迎だけど、この記事に書いた事例はあくまで特殊なケースだ。今日僕が言いたかったポイントは、非常に小さな判断にも正解と不正解があり、そこで正しい選択ができるようになるためには、大局的な方針に加えてゲーム中に出くわすあらゆる些事に気を配るしかないってことだよ。
忘れないでほしい。誤った判断をする最も簡単な方法は、自分が判断していることに気づかないことだ。
目を見開こう!
ChannelFireballより。
デルバーデッキのプレイングとレガシー環境(Dig禁止、マリガンルール、万力)について。
万力活躍してほしいけど…。
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Delver of Secrets and the Future of Legacy
Bob Huang
2015/10/12
http://www.channelfireball.com/articles/delver-of-secrets-and-the-future-of-legacy/
もともとこの記事はグリクシスデルバーのガイドになるはずだった。残念ながらDig Through Timeが禁止されてグリクシスデルバーはかなりの変更が必要になったので、この記事ではもっと一般的な「デルバーデッキですべきこととすべきでないこと」を書くことにしたよ。今後のレガシーについての考察を添えてね。
よくあるミスプレイ
デルバーデッキを使うとき、ちょっとしたミスプレイをしている人たちをよく見かける。
ここに書くのはあくまでガイドラインであって、これらの「ミスプレイ」をすべきケースも間違いなくあるってことは忘れないでほしい。
1. 死儀礼より先にデルバーを出す ― デルバーは最速の脅威だけど、死儀礼とデルバーが共に入ったデッキでは95%の場合で死儀礼を先に出すべきだ。新マリガンルールでデルバーが裏返ることが保証されるケースが増えたことで、このパーセンテージが少し変わるかもしれないことには注意だね。だけど一般に、死儀礼は2ターン目に3マナを出してゲームプランを加速させる役目を持ち、それによりデルバーと同時に裏返すためのキャントリップをプレイできることも多い。このルールの例外として一番よくあるのは、死儀礼の燃料になる土地を墓地に落とせるかどうか分からないケース、あるいは相手がコンボなのでデルバーからのアップキープブレストで裏返し、アグロにクロックを刻む必要があるケースだ。この後者のケースが次のルールに繋がるよ。
2. デルバーを裏返すためにブレストを使う ― このプレイは本当によく見るけど、基本的には間違いだと僕は思っている。特にゲームが長引きそうな場合はね。ブレストはほぼ常に、2枚の不要牌をシャッフルして擬似アンリコとして使うか、テンポ相手に大きく置き去りにされないために土地か除去を探す最後の手段として使うべきカードだ。デルバーを裏返すためにブレストを撃つのが正当化されるのは、コンボ相手に速いクロックが必要な場合か、複数のデルバーを裏返せる場合だ。
3. ブレストとポンダーが両方手札にあるときブレスト後のシャッフル用にポンダーを使う ― これは決して確固としたルールじゃないけど、ポンダーをシャッフル手段として「ドブに捨てる」人たちをよく目にする。ポンダーはモダンで禁止されヴィンテージで制限されるほど強力で、実はパワーレベルで言えばブレストとそんなに違わないと僕は思っている。ポンダーにより土地1枚のハンドの多くがキープ可能になり、脅威を継続的に入手できるようになる。ブレストより先にポンダーを撃つことで必要な脅威や除去を見つける確率を最大化でき、そして多くの場合、その後のブレストと共に使うフェッチも手に入れることもできるだろう。
4. デッキ圧縮のためにフェッチを切る ― これは前にも言ったことがあるけど、死ぬまでに残り1ドローしかないとき以外にデッキ圧縮のためにフェッチを切ることは僕は決してしない。フェッチはキャントリップと共に使うのが素晴らしいし、表向きのデルバーと連携して占術をするためにも残しておくべきだ。デルバーの誘発でライブラリトップを見て、その後、不要牌を引く前にシャッフルしよう。もう一つよくあるのは、ブレストでDazeなどの死に札をトップに置き、デルバーを裏返し、その死に札をアップキープ中にシャッフルする使い方だ。
5. 間違った土地をフェッチする ― これは一見当たり前だけど、そうじゃない。マッチアップによっては、2ターン目にキャントリップで死儀礼や稲妻を探す必要が出てくる。そのため、1ターン目に持ってくるべきなのは、2ターン目にキャントリップで探そうと思っているカードの色と「合わない」方の土地ってことになる。これにより2枚のボルカやアンシーを出して事故る羽目になるのを防げる。
6. 死儀礼のにらみ合い ― 死儀礼は、場に1体だけの場合は直感的に動かせる。しかし複数体いる場合は非常に複雑になる。こちらの死儀礼は、相手の死儀礼の起動にレスポンスで対象を追放して「カウンター」するために使うことができる。ゲーム序盤の数ターンでは、マナを自分のターンに使うのが良いか、相手のターンまで残しておくのが良いかをはっきりさせることが重要になる。相手の土地が詰まっているのに対して、こちらはマナが伸びて脅威の展開を続けられることがあるよね。この状況ではおそらく死儀礼を立たせたままにしておく方がかしこい。一方、積極的に死儀礼を起動して相手のアンコウや墓忍びを遅らせた方が良い場合もある。本当に多種多様な状況があって、こうしておけば常にOKというルールはないのが実際だ。いま死儀礼を起動するのは妥当か、その結果どうなりそうか、とにかく考えてみてほしい。
7. ギタ調の早すぎるキャスト ― これは細かいルールだけど、僕はふつうギタ調を残しておくことを好む。ギタ調はYoung Pyromancerとの組み合わせで強くなるので、1ターン目にギタ調とポンダーが手札にある場合はギタ調を撃たず、ポンダーでヤンパイを引いて2ターン目に0マナでトークンと情報を得られるようにしたいね。
8. 余計な土地をプレイする ― 余った土地は手札に残し、ブレストでシャッフルできるようにしておこう。これはブレストの入ったデッキの一般則だけど、デルバーデッキにとってはより重要になる。こちらのカードは基本的に相手よりも弱い。そのため、必要なときにブレストで擬似カードアドバンテージを得られるように、死に札を残しておくことは大切なんだ。
9. ウィルで切るために持っておくべきキャントリップをキャストする ― これは文字通りだね。でも僕がやらかしたことのあるミスでもあり、言っておいた方がいいと思ったんだ。
10. デイズとウィルの誤ったサイドボーディング ― 僕がサイドボーディングでまず考えることは、そのマッチアップでの自分の立場だ。序盤の助けとなるカードが追加で必要か否か、じっくり終盤に勝つことを目指すのか。例えば、BUGデルバーを使ってRUGデルバーを相手にするとき、僕はデイズとウィルを多めに残す。RUGのゲームプランは非常に序盤に偏っていて、こちらは長期戦を目指すことになる可能性が高いからだ。RUGが相手の場合は単純に生き残ることがゴールになり、カウンターはその役に立つ。一方、相手がミラクルだったりBUGデルバーミラーの場合、僕はほとんどいつもDazeを抜く。長期戦になるのは確実で、できる限り死に札を減らしたいからだ。
いろんな風味のデルバーデッキ
今のところ、デルバーデッキにはおそらく6種類の味がありそうだ。アグロな順に並べると次のようになる:青赤デルバー、RUGデルバー、4色デルバー、Stifle入りBUGデルバー、トリコデルバー、ヒム入りBUGデルバー。
デルバーデッキを使うとき、特にミッドレンジ寄りのバージョンを使うときは自分の立場を見極めることが重要になる。自分よりもアグロなバージョンのデルバーデッキが相手の場合、できるだけ長く生き残れば自然と優位に立てるため、Force of Willは多めに残した方が良い。
青赤デルバー
長所: 軽い、丈夫なマナベース、Price of ProgressやBlood Moonを採用できる
短所: コンボとタルモに弱い
得意な相手: Infect, Shardless BUG
互角な相手: BUGデルバー, RUGデルバー, Lands, Death and Taxes, エルフ
苦手な相手: ミラクル, ANT, スニークショー
RUGデルバー
長所: 高い安定性, ハメパターンの多さ
短所: Stifleは刺さるかまったく何もしないか極端なカード――デッキの多くのカードがその手のカードだ
得意な相手: Infect, スニークショー
互角な相手: Shardless BUG, ミラクル, Death and Taxes, ANT
苦手な相手: BUGデルバー, Lands, エルフ
Stifle入りBUGデルバー
長所: RUGのようなハメパターンがいくつかあり、衰微というパーマネントへの優れた回答を持つ
短所: 良い1マナ除去がない
得意な相手: スニークショー, ANT, RUGデルバー
互角な相手: Shardless BUG, ミラクル, Infect
苦手な相手: Death and Taxes, Lands, エルフ, ヒム入りBUGデルバー
トリコデルバー
長所: Meddling Mage, Containment Priest, Rest in Peace, Swords to Plowsharesが使える
短所: ゲームプランが一貫しない、このデッキは大量の1マナ除去を持つので生物中心のメタで特に輝く
得意な相手: Infect, Death and Taxes, エルフ
互角な相手: スニークショー, ANT, RUGデルバー
苦手な相手: Shardless BUG, ミラクル, BUGデルバー, Lands
ヒム入りBUGデルバー
長所: コンボに強い、ヒムにより多くのハメ勝ちを拾える
短所: 遅くてぎこちない, マナベースが脆い
得意な相手: スニークショー, ANT, Stifle入りBUGデルバー, RUGデルバー
互角な相手: Infect, Shardless BUG, Lands
苦手な相手: Death and Taxes, エルフ, ミラクル
一般に、Landsとミラクルはデルバーにとってきつい相手だと思う。どちらのデッキにも勝つ手段はあるけど、慎重なプレイと少しの運が必要になる。
僕の主力はヒム入りBUGデルバーになりそうだ。これが今のリストだよ:
Lands
2 x 《Bayou》
4 x 《Underground Sea》
1 x 《Tropical Island》
4 x 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 x 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4 x 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 x 《不毛の大地/Wasteland》
Creatures
4 x 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4 x 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》 // 《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》
4 x 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
1 x 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
Noncreature spells
4 x 《Hymn to Tourach》
1 x 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
4 x 《思案/Ponder》
4 x 《渦まく知識/Brainstorm》
4 x 《突然の衰微/Abrupt Decay》
1 x 《見栄え損ない/Disfigure》
4 x 《Force of Will》
4 x 《目くらまし/Daze》
1 x 《森の知恵/Sylvan Library》
Sideboard
3 x 《呪文貫き/Spell Pierce》
2 x 《見栄え損ない/Disfigure》
1 x 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
1 x 《夜の戦慄/Dread of Night》
2 x 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
1 x 《四肢切断/Dismember》
1 x 《真髄の針/Pithing Needle》
1 x 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
1 x 《無のロッド/Null Rod》
1 x 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 x 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
戦乱のゼンディカー後のレガシー
探査の時代は終わった。
大きく変わるのはどこか、これから何が起こるのか、考えていることを書いていこうと思う。
Dig Through Timeの禁止
負け組
* グリクシスコントロールやグリクシスデルバーなどの青赤/xパイロマンサーデッキ
* オムニテル
* 低速デッキに対するキーカードとしてDigを使っていたデルバー系デッキ
勝ち組
* ミラクル ― 上記のデッキたちがキツイ相手だった。他のDigデッキほどにはDig喪失のダメージを受けない
* Shardless BUG ― ミラクルが頂点に立つことの恩恵を得て、青い低速のフェアデッキの中でベストという地位を取り戻す
* Infect ― ミラクルを餌食にするうえ、環境にあふれた青赤/xデルバーデッキをこれまで苦手としていた
* Lands ― オムニテル衰退の恩恵を得る
実際のところレガシーは、ミラクルが君臨しLandsが頭角を現しはじめていたKTK前の状態に戻るのだろうと思う。デルバーに対してこれほど敵意に満ちたメタはないね。
僕の予想が正しいかどうか、お楽しみに。
新しい占術マリガンルールの実施
新占術ルールをテストして、これがレガシーに導入されるのをとても嬉しく思ったよ。ポンダーとブレストを使わない、安定性に劣るデッキがこのルールで少し強化されることになるはずだからね。ポンダー入りデッキのマリガンが少ないのは土地1枚でキープできるケースが多いためだ。マーフォークやMUDのようなポンダーのないデッキはマリガンが多くなりがちで、序盤にちゃんと土地を並べられる可能性を高める占術ルールの恩恵を直に受ける。
トップがデルバーを裏返せるかどうかを知ることで、デルバーデッキがどれぐらい強くなるかも色々な人が話題にしている。デルバーデッキが恩恵を得られるのは次の2つの条件が揃ったときだけだ。
1. デルバーデッキがマリガンしていること。これは10%以下の確率だろう。
2. デルバーデッキが1ターン目にフェッチを切らずにデルバーを出すこと。これは15%以下。
これらが満たされ、トップがインスタントかソーサリーの場合、ようやくデルバーが裏返るという情報が意味を持つことになる。死儀礼ではなくデルバーを先に出すべきだと分かる、有用な情報だ。トップがインスタントとソーサリーではないという情報でも活用できて、占術でボトムに送りやっぱりデルバーを出そう。裏返る確率を高められる。
とりあえず僕に思いつくのはこんなシナリオだけど、めったに起きそうもないよね。
Black Viseの禁止解除
僕はBlack Viseは安全だと言ってきた。大多数のマッチアップで2ターン目より後にはほぼ死に札になる。Land TaxやWorldgorger Dragonと同じ道をたどってフェードアウトしそうな気がしてる。
とはいえ、デッキを考えてみずにはいられないよね。
Lands
3 x 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
4 x 《大焼炉/Great Furnace》
4 x 《教議会の座席/Seat of the Synod》
2 x 《空僻地/Glimmervoid》
Creatures
4 x 《メムナイト/Memnite》
4 x 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 x 《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》
4 x 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》
4 x 《信号の邪魔者/Signal Pest》
3 x 《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
Noncreature spells
4 x 《黒の万力/Black Vise》
4 x 《一日のやり直し/Day’s Undoing》
4 x 《オパールのモックス/Mox Opal》
4 x 《頭蓋囲い/Cranial Plating》
4 x 《感電破/Galvanic Blast》
4 x 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
先に言っておくと、このデッキはそんなに強くないと思ってる。Black ViseとDay’s Undoingの組み合わせにより中盤以降もダメージが狙えるというのがアイデアだ。Galvanic Blastや信奉者+Ravagerのような直接ダメージを大量搭載したデッキにとって、Day’s Undoingを撃ってアンタップを迎えれば理論上は非常に強力な動きができるはず。
でも、このデッキは正しい順序でカードを引く必要があり、たぶん昔からあるチャリス入り親和の方がまだやれそうなんだよね。
世界中のデルバー仲間たちに幸あれ!
いつものように、意見や質問はコメントしてね。
デルバーデッキのプレイングとレガシー環境(Dig禁止、マリガンルール、万力)について。
万力活躍してほしいけど…。
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Delver of Secrets and the Future of Legacy
Bob Huang
2015/10/12
http://www.channelfireball.com/articles/delver-of-secrets-and-the-future-of-legacy/
もともとこの記事はグリクシスデルバーのガイドになるはずだった。残念ながらDig Through Timeが禁止されてグリクシスデルバーはかなりの変更が必要になったので、この記事ではもっと一般的な「デルバーデッキですべきこととすべきでないこと」を書くことにしたよ。今後のレガシーについての考察を添えてね。
よくあるミスプレイ
デルバーデッキを使うとき、ちょっとしたミスプレイをしている人たちをよく見かける。
ここに書くのはあくまでガイドラインであって、これらの「ミスプレイ」をすべきケースも間違いなくあるってことは忘れないでほしい。
1. 死儀礼より先にデルバーを出す ― デルバーは最速の脅威だけど、死儀礼とデルバーが共に入ったデッキでは95%の場合で死儀礼を先に出すべきだ。新マリガンルールでデルバーが裏返ることが保証されるケースが増えたことで、このパーセンテージが少し変わるかもしれないことには注意だね。だけど一般に、死儀礼は2ターン目に3マナを出してゲームプランを加速させる役目を持ち、それによりデルバーと同時に裏返すためのキャントリップをプレイできることも多い。このルールの例外として一番よくあるのは、死儀礼の燃料になる土地を墓地に落とせるかどうか分からないケース、あるいは相手がコンボなのでデルバーからのアップキープブレストで裏返し、アグロにクロックを刻む必要があるケースだ。この後者のケースが次のルールに繋がるよ。
2. デルバーを裏返すためにブレストを使う ― このプレイは本当によく見るけど、基本的には間違いだと僕は思っている。特にゲームが長引きそうな場合はね。ブレストはほぼ常に、2枚の不要牌をシャッフルして擬似アンリコとして使うか、テンポ相手に大きく置き去りにされないために土地か除去を探す最後の手段として使うべきカードだ。デルバーを裏返すためにブレストを撃つのが正当化されるのは、コンボ相手に速いクロックが必要な場合か、複数のデルバーを裏返せる場合だ。
3. ブレストとポンダーが両方手札にあるときブレスト後のシャッフル用にポンダーを使う ― これは決して確固としたルールじゃないけど、ポンダーをシャッフル手段として「ドブに捨てる」人たちをよく目にする。ポンダーはモダンで禁止されヴィンテージで制限されるほど強力で、実はパワーレベルで言えばブレストとそんなに違わないと僕は思っている。ポンダーにより土地1枚のハンドの多くがキープ可能になり、脅威を継続的に入手できるようになる。ブレストより先にポンダーを撃つことで必要な脅威や除去を見つける確率を最大化でき、そして多くの場合、その後のブレストと共に使うフェッチも手に入れることもできるだろう。
4. デッキ圧縮のためにフェッチを切る ― これは前にも言ったことがあるけど、死ぬまでに残り1ドローしかないとき以外にデッキ圧縮のためにフェッチを切ることは僕は決してしない。フェッチはキャントリップと共に使うのが素晴らしいし、表向きのデルバーと連携して占術をするためにも残しておくべきだ。デルバーの誘発でライブラリトップを見て、その後、不要牌を引く前にシャッフルしよう。もう一つよくあるのは、ブレストでDazeなどの死に札をトップに置き、デルバーを裏返し、その死に札をアップキープ中にシャッフルする使い方だ。
5. 間違った土地をフェッチする ― これは一見当たり前だけど、そうじゃない。マッチアップによっては、2ターン目にキャントリップで死儀礼や稲妻を探す必要が出てくる。そのため、1ターン目に持ってくるべきなのは、2ターン目にキャントリップで探そうと思っているカードの色と「合わない」方の土地ってことになる。これにより2枚のボルカやアンシーを出して事故る羽目になるのを防げる。
6. 死儀礼のにらみ合い ― 死儀礼は、場に1体だけの場合は直感的に動かせる。しかし複数体いる場合は非常に複雑になる。こちらの死儀礼は、相手の死儀礼の起動にレスポンスで対象を追放して「カウンター」するために使うことができる。ゲーム序盤の数ターンでは、マナを自分のターンに使うのが良いか、相手のターンまで残しておくのが良いかをはっきりさせることが重要になる。相手の土地が詰まっているのに対して、こちらはマナが伸びて脅威の展開を続けられることがあるよね。この状況ではおそらく死儀礼を立たせたままにしておく方がかしこい。一方、積極的に死儀礼を起動して相手のアンコウや墓忍びを遅らせた方が良い場合もある。本当に多種多様な状況があって、こうしておけば常にOKというルールはないのが実際だ。いま死儀礼を起動するのは妥当か、その結果どうなりそうか、とにかく考えてみてほしい。
7. ギタ調の早すぎるキャスト ― これは細かいルールだけど、僕はふつうギタ調を残しておくことを好む。ギタ調はYoung Pyromancerとの組み合わせで強くなるので、1ターン目にギタ調とポンダーが手札にある場合はギタ調を撃たず、ポンダーでヤンパイを引いて2ターン目に0マナでトークンと情報を得られるようにしたいね。
8. 余計な土地をプレイする ― 余った土地は手札に残し、ブレストでシャッフルできるようにしておこう。これはブレストの入ったデッキの一般則だけど、デルバーデッキにとってはより重要になる。こちらのカードは基本的に相手よりも弱い。そのため、必要なときにブレストで擬似カードアドバンテージを得られるように、死に札を残しておくことは大切なんだ。
9. ウィルで切るために持っておくべきキャントリップをキャストする ― これは文字通りだね。でも僕がやらかしたことのあるミスでもあり、言っておいた方がいいと思ったんだ。
10. デイズとウィルの誤ったサイドボーディング ― 僕がサイドボーディングでまず考えることは、そのマッチアップでの自分の立場だ。序盤の助けとなるカードが追加で必要か否か、じっくり終盤に勝つことを目指すのか。例えば、BUGデルバーを使ってRUGデルバーを相手にするとき、僕はデイズとウィルを多めに残す。RUGのゲームプランは非常に序盤に偏っていて、こちらは長期戦を目指すことになる可能性が高いからだ。RUGが相手の場合は単純に生き残ることがゴールになり、カウンターはその役に立つ。一方、相手がミラクルだったりBUGデルバーミラーの場合、僕はほとんどいつもDazeを抜く。長期戦になるのは確実で、できる限り死に札を減らしたいからだ。
いろんな風味のデルバーデッキ
今のところ、デルバーデッキにはおそらく6種類の味がありそうだ。アグロな順に並べると次のようになる:青赤デルバー、RUGデルバー、4色デルバー、Stifle入りBUGデルバー、トリコデルバー、ヒム入りBUGデルバー。
デルバーデッキを使うとき、特にミッドレンジ寄りのバージョンを使うときは自分の立場を見極めることが重要になる。自分よりもアグロなバージョンのデルバーデッキが相手の場合、できるだけ長く生き残れば自然と優位に立てるため、Force of Willは多めに残した方が良い。
青赤デルバー
長所: 軽い、丈夫なマナベース、Price of ProgressやBlood Moonを採用できる
短所: コンボとタルモに弱い
得意な相手: Infect, Shardless BUG
互角な相手: BUGデルバー, RUGデルバー, Lands, Death and Taxes, エルフ
苦手な相手: ミラクル, ANT, スニークショー
RUGデルバー
長所: 高い安定性, ハメパターンの多さ
短所: Stifleは刺さるかまったく何もしないか極端なカード――デッキの多くのカードがその手のカードだ
得意な相手: Infect, スニークショー
互角な相手: Shardless BUG, ミラクル, Death and Taxes, ANT
苦手な相手: BUGデルバー, Lands, エルフ
Stifle入りBUGデルバー
長所: RUGのようなハメパターンがいくつかあり、衰微というパーマネントへの優れた回答を持つ
短所: 良い1マナ除去がない
得意な相手: スニークショー, ANT, RUGデルバー
互角な相手: Shardless BUG, ミラクル, Infect
苦手な相手: Death and Taxes, Lands, エルフ, ヒム入りBUGデルバー
トリコデルバー
長所: Meddling Mage, Containment Priest, Rest in Peace, Swords to Plowsharesが使える
短所: ゲームプランが一貫しない、このデッキは大量の1マナ除去を持つので生物中心のメタで特に輝く
得意な相手: Infect, Death and Taxes, エルフ
互角な相手: スニークショー, ANT, RUGデルバー
苦手な相手: Shardless BUG, ミラクル, BUGデルバー, Lands
ヒム入りBUGデルバー
長所: コンボに強い、ヒムにより多くのハメ勝ちを拾える
短所: 遅くてぎこちない, マナベースが脆い
得意な相手: スニークショー, ANT, Stifle入りBUGデルバー, RUGデルバー
互角な相手: Infect, Shardless BUG, Lands
苦手な相手: Death and Taxes, エルフ, ミラクル
一般に、Landsとミラクルはデルバーにとってきつい相手だと思う。どちらのデッキにも勝つ手段はあるけど、慎重なプレイと少しの運が必要になる。
僕の主力はヒム入りBUGデルバーになりそうだ。これが今のリストだよ:
Lands
2 x 《Bayou》
4 x 《Underground Sea》
1 x 《Tropical Island》
4 x 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 x 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4 x 《霧深い雨林/Misty Rainforest》
4 x 《不毛の大地/Wasteland》
Creatures
4 x 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4 x 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》 // 《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》
4 x 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
1 x 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
Noncreature spells
4 x 《Hymn to Tourach》
1 x 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
4 x 《思案/Ponder》
4 x 《渦まく知識/Brainstorm》
4 x 《突然の衰微/Abrupt Decay》
1 x 《見栄え損ない/Disfigure》
4 x 《Force of Will》
4 x 《目くらまし/Daze》
1 x 《森の知恵/Sylvan Library》
Sideboard
3 x 《呪文貫き/Spell Pierce》
2 x 《見栄え損ない/Disfigure》
1 x 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
1 x 《夜の戦慄/Dread of Night》
2 x 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
1 x 《四肢切断/Dismember》
1 x 《真髄の針/Pithing Needle》
1 x 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
1 x 《無のロッド/Null Rod》
1 x 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 x 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
戦乱のゼンディカー後のレガシー
探査の時代は終わった。
大きく変わるのはどこか、これから何が起こるのか、考えていることを書いていこうと思う。
Dig Through Timeの禁止
負け組
* グリクシスコントロールやグリクシスデルバーなどの青赤/xパイロマンサーデッキ
* オムニテル
* 低速デッキに対するキーカードとしてDigを使っていたデルバー系デッキ
勝ち組
* ミラクル ― 上記のデッキたちがキツイ相手だった。他のDigデッキほどにはDig喪失のダメージを受けない
* Shardless BUG ― ミラクルが頂点に立つことの恩恵を得て、青い低速のフェアデッキの中でベストという地位を取り戻す
* Infect ― ミラクルを餌食にするうえ、環境にあふれた青赤/xデルバーデッキをこれまで苦手としていた
* Lands ― オムニテル衰退の恩恵を得る
実際のところレガシーは、ミラクルが君臨しLandsが頭角を現しはじめていたKTK前の状態に戻るのだろうと思う。デルバーに対してこれほど敵意に満ちたメタはないね。
僕の予想が正しいかどうか、お楽しみに。
新しい占術マリガンルールの実施
新占術ルールをテストして、これがレガシーに導入されるのをとても嬉しく思ったよ。ポンダーとブレストを使わない、安定性に劣るデッキがこのルールで少し強化されることになるはずだからね。ポンダー入りデッキのマリガンが少ないのは土地1枚でキープできるケースが多いためだ。マーフォークやMUDのようなポンダーのないデッキはマリガンが多くなりがちで、序盤にちゃんと土地を並べられる可能性を高める占術ルールの恩恵を直に受ける。
トップがデルバーを裏返せるかどうかを知ることで、デルバーデッキがどれぐらい強くなるかも色々な人が話題にしている。デルバーデッキが恩恵を得られるのは次の2つの条件が揃ったときだけだ。
1. デルバーデッキがマリガンしていること。これは10%以下の確率だろう。
2. デルバーデッキが1ターン目にフェッチを切らずにデルバーを出すこと。これは15%以下。
これらが満たされ、トップがインスタントかソーサリーの場合、ようやくデルバーが裏返るという情報が意味を持つことになる。死儀礼ではなくデルバーを先に出すべきだと分かる、有用な情報だ。トップがインスタントとソーサリーではないという情報でも活用できて、占術でボトムに送りやっぱりデルバーを出そう。裏返る確率を高められる。
とりあえず僕に思いつくのはこんなシナリオだけど、めったに起きそうもないよね。
Black Viseの禁止解除
僕はBlack Viseは安全だと言ってきた。大多数のマッチアップで2ターン目より後にはほぼ死に札になる。Land TaxやWorldgorger Dragonと同じ道をたどってフェードアウトしそうな気がしてる。
とはいえ、デッキを考えてみずにはいられないよね。
Lands
3 x 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
4 x 《大焼炉/Great Furnace》
4 x 《教議会の座席/Seat of the Synod》
2 x 《空僻地/Glimmervoid》
Creatures
4 x 《メムナイト/Memnite》
4 x 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 x 《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》
4 x 《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》
4 x 《信号の邪魔者/Signal Pest》
3 x 《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
Noncreature spells
4 x 《黒の万力/Black Vise》
4 x 《一日のやり直し/Day’s Undoing》
4 x 《オパールのモックス/Mox Opal》
4 x 《頭蓋囲い/Cranial Plating》
4 x 《感電破/Galvanic Blast》
4 x 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
先に言っておくと、このデッキはそんなに強くないと思ってる。Black ViseとDay’s Undoingの組み合わせにより中盤以降もダメージが狙えるというのがアイデアだ。Galvanic Blastや信奉者+Ravagerのような直接ダメージを大量搭載したデッキにとって、Day’s Undoingを撃ってアンタップを迎えれば理論上は非常に強力な動きができるはず。
でも、このデッキは正しい順序でカードを引く必要があり、たぶん昔からあるチャリス入り親和の方がまだやれそうなんだよね。
世界中のデルバー仲間たちに幸あれ!
いつものように、意見や質問はコメントしてね。
StarCityGamesより。
サイドボーディングにまつわる戦略と戦術。
サイドの世界も奥深いですよね。
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Strategy And Tactics In Sideboarding
ROSS MERRIAM
2014/08/20
http://www.starcitygames.com/article/29167_Strategy-And-Tactics-In-Sideboarding.html
戦略記事をお求めのみなさま、お待たせしました。今週はサイドボーディングにおける戦略と戦術について、そして戦略と戦術の混同が効果的なサイドプランの構築をいかに阻害しているかについて、詳しく話そうと思う。
まずは、「戦略」と「戦術」の意味をはっきりさせるところから。
戦略は、ゲームまたはマッチを通して考慮される全体的なプランのことだ。プレイヤーにとっておそらく最もありふれた戦略的な問いは、目の前のマッチアップでの適切な振る舞いを見極めるための「どちらがビートダウンか?(Who’s the beatdown?)」だろう。どちらがコントロール側でどちらがアグロ側か説明できるなら、それぞれのデッキが採用している戦略がある程度分かっているということになる。
戦略は抽象的なもので、あるアーキタイプがいつの時代も同種のカードを入れて戦略を実現していることはあっても、戦略が特定の1つのカードに依存するということはほとんどない。コントロールデッキは、重くて強力なスペルで勝利するまでの時間を得るために軽い除去やカウンターを採用する。アグロコントロールデッキは軽い脅威を使い、序盤から中盤にかけての勝利を確実にするためにポイントを押さえて妨害スペルを使う。しかし、戦略を定義づけるのは決してカードそれ自体ではなく、カードがどう使われるかだ。
多くのデッキにとって、自身の採る戦略は相手のデッキとは無関係だ。ラブルレッドは小型クリーチャーの群れと火力によって、どんな相手だろうと序盤のうちに圧倒してしまおうとする。青白コントロールは可能な限りゲームを引き伸ばし、Sphinx’s Revelationで圧倒的なアドバンテージを確立しようとする。ベルチャーは相手が何であろうとマジックをさせる前に終わらせてしまおうとする。
この原則の例外はミッドレンジというアーキタイプだ。ミッドレンジは中盤に優位に立つために、自分よりもアグロなデッキに対しては序盤の主導権を譲り、「折り返し点」まではコントロール側の立場に立つ。コントロールデッキに対してはアグロ戦略を採る。いずれにせよミッドレンジは中盤での勝利を目指すわけだが、相手の動きに依存して異なるルートを使い分ける。
一方、戦術は、戦略を実現するための個々の場面でのプレイや判断のことを指す。よくある例は次のようなものだ:単体除去を温存して全体除去の威力を高める、損なアタックをして相手のライフを火力圏内に落とす、ドロースペルをカウンターせず全体除去に合わせるためにとっておく。重要なのは、これらの例はいかなる状況でも守るべき強いルールではないということだ。ラブルレッドを相手に、次のターンのSupreme Verdictの威力を高めるためにLast Breathを温存してライフを減らすのはたいていリスキーすぎる。
戦略的判断とは異なり、戦術的判断は常に状況に応じて行われる。この状況というのは、ボード、ライフ、自分の手札、相手の手札にあり得るカード、など数えきれないほど多くの要素を含んでいる。しかし最も重要なのは、あらゆる戦術的判断は自分の戦略に基づいて行われるということだ。ゲームを通じたプランを持ち、それを実行しているということは、実行可能な戦略を立て、その戦略から導かれた戦術的判断をしているということになる。
さて、戦略と戦術を定義したところで、この記事の主題は戦略的/戦術的判断がサイドボーディングにどのような影響を与えるかだ。
サイドで変更できるのはデッキのわずかな一部分だけなので、サイドボーディングでは主に戦術的判断を行うことになる。完全に戦略を変えるには15枚のサイドボードのスペースでは足りず、たとえ変形サイドを採用していたとしてもサイド後に筋違いのカードが残ってしまうケースは多い。そのため、変形サイドは戦術的に意味のある選択肢がない場合にのみ使うべきだ。
この選択肢がない場合の戦略の大改革の良い例は、青単信心と青白系コントロールとのマッチアップだ。青単信心は軽いが弱いクリーチャーを序盤に並べ、強力な信心カードで優位を築くホード型アグロデッキだ。Cloudfin Raptor、Master of Waves、Thassa, God of the Seaのような戦略に適したカードを使ってできるだけ横に展開する。しかし残念なことに他のアグロデッキほどの速度はないため、青単信心のカードは無残なほどにSupreme Verdictに弱い。このマッチアップでは、唯一Supreme Verdict耐性を持つMutavaultが最重要カードとなる。
伝統的に、アグロな青デッキは速度を落としてカウンターを増量することで、全体除去やジェイスのような強力スペルに対する弱点を補ってきた。しかし、Supreme Verdictはカウンター不能なのでもっと劇的な戦略の変更が必要となる。
青白コントロールはジェイスやエルズペス、大きなXのSphinx’s Revelationを守るためのカウンターを大量搭載する代償として脅威の濃度がうすい。青単信心は序盤にゲームを終わらせるためのカードを捨て、うまく中盤から終盤に突入してコントロールデッキの脅威のうすさを咎める必要がある。この新しい戦略に従えば、場に出すクリーチャーは1体にして、必要に応じて相手の強力な脅威に回答しながらコツコツとダメージを積み重ねることになる。
この新戦略の下では単体除去を気にかけるのではなく、脅威を解決させ続けられればたとえ20ターンかかっても20点ダメージを与える十分な時間があると考えるべきだ。サイド前はコントロールの戦略的優位のために盲目的なアグロ戦略を採らざるをえなかった一方で、サイド後はとんでもない忍耐を前提とした戦略を採用することになる。本来この戦略を採る場合、単体で強力な脅威を入れるのが理想だが、限られたサイドボードのスペースではTidebinder Mageのような弱い生物を残すしかない。クロックが貧弱なため、コントロールデッキにこちらのカウンターをかいくぐるチャンスを与えてしまうことになるが、相手がSupreme Verdictを引かないことを祈るよりはずっと良いプランだろう。
祈りは戦略とは呼べない。
先ほど述べたように、サイドボーディングの大部分は戦術的判断によって行われる。大規模に入れ替えるよりも、細部の調整をするケースの方がずっと多い。また、サイドボーディングは完全に受動的なプロセスでもある。対戦相手の戦略と戦術によって変更点が決まる。この受動的な面がサイドボーディングでのトラブルの多くを生んでいると僕は考えている。目の前のマッチアップで出てくる個々の脅威や場面に回答するための特定のカードを探してしまうプレイヤーは多い。その回答が苦し紛れだったり相手の戦略とは無関係であるにも関わらず。これにより、過剰サイドインや重要なデッキの核を削り過ぎるというよく知られたミスが生まれる。
典型的なコントロールデッキでは、序盤にリソースの交換を続けて終盤に強力なカードでマウントを取るために受動的な回答を大量搭載すべきこともあるが、ほとんどの能動的なアグロやコンボでは、追加した受動的なカードは戦略に合わないものになる。
能動的なデッキからは受動的カードを全て抜けと僕が言っているように聞こえるかもしれないが、正しい回答を用意している相手に能動的なデッキが安定して勝ち続けるのは非常に難しい(例えばForce of Willに対するベルチャー)。戦略が機能するために必要なデッキの核のスペースを考慮しつつ、受動的カードを賢く使うのが重要だ。スペース不足のため、この受動的なカードにはいろいろなカードに回答できる柔軟性も必要となる。単に回答としてだけではなく、必要に応じて能動的なプランにも貢献できれば最高だ。火力スペルは赤いアグロデッキの幅を広げ、Selesnya Charmは脅威にもコンバットトリックにもなり、Rapid Hybridizationは相手の除去に対する擬似カウンターとしても使える。
サイドボードに入れる回答の良くない例として、青単信心のRatchet Bombを考えよう。Ratchet Bombは黒単信心のPack Ratと、ジャンドモンスターやジャンドプレインズウォーカーズ、緑単信心など様々な緑系ミッドレンジのMistcutter Hydraに効果的に回答することができる。しかしそれ以外のカード、Desecration Demonやプレインズウォーカーなどには遅すぎてまともな回答にはならず、デッキの本来のゲームプランには何も貢献しない。蓄積カウンターは生み出すが信心を増やすことはしない。
黒単信心や緑ミッドレンジに対しては、相手を「折り返し点」前の防御体制に押しとどめておくアグロな行動をすることがポイントとなる。Ratchet Bombはいくつか問題カードに回答することはできるものの、それをするためにかける時間のコストがあまりにも高すぎる。Pack RatやMistcutter Hydraに対する僕の「回答」がダメージレースだと聞いて驚くプレイヤーは多い。マナカーブに沿った青単信心のようなデッキが先手なら、たとえブン回らなくても後手のRatは機能しにくい。Hydraは少なくともX=4でプレイしないとRapid Hybridizationされたトークンと相打ちになってしまい、青単信心が十分にプレッシャーをかけている状況なら4/4とのダメージレースには勝てる。
僕がPack RatやMistcutter Hydraに負けるリスクがあるのは承知しているが、あり得る全ての場面で勝とうとするのは間違いだ。目指すべきなのは勝率を最大化することで、勝ちにくい後手のゲームは全てのゲームのうちの一部でしかない。そんなゲームをいくつか勝つためにデッキを歪めてしまえば他のゲームで勝てなくなり、結局負けが増えてしまうだろう。
ここでDomesticationを考えてみよう。Desecration Demonを1体出されている状況には回答できないものの(2体いれば片方を奪ってもう一方をサクらせられる)、このカードは青単信心にとってパーフェクトなクリーチャー対策で、アグロ戦略の後押しもしてくれる。黒単信心は「折り返し点」となるまで盤面を構築し、アグロにギアチェンジすることを目指すデッキだ。Lifebane Zombieのような大したことのない生物を奪うだけで、このマッチアップのポイントであるボードに多大な影響を与えられる。小型生物を並べるアグロデッキに対しては、Domesticationによって、青単信心デッキ自身が「折り返し点」に到達しやすくなる。デッキの他の部分と調和した、能動的な役割もこなせる受動的な除去スペルなのだ。
過剰サイドインの誘惑を断ち切る良い方法だと僕が思っているのは、すぐにサイドボードを手に取り何をサイドインするか考える前に、どのカードをサイドアウトすべきかを最初に考えることだ。ちょっとした違いだが、メインから抜くカードよりも限定的な場面でのみ強力なカードの方が魅力的に見えてしまう楽観主義を避ける心理的な効果が得られる。
リミテッドでのサイドボーディング
有効活用されないことの多いリミテッドのサイドボードも同じ原則で運用する。
カードプールが狭いため状況は少し複雑になる。リミテッドでは速い、あるいは遅い戦略に合うカードが不足しがちなため、デッキはどうしてもミッドレンジになりがちだ。リミテッドでも、ちょっとした戦術的な調整も大胆な戦略変更もあり得るのだが、経験の浅いプレイヤーは見逃してしまうようだ。
構築と同じくリミテッドでも、慣れていないプレイヤーは特定のカードへの回答を過大評価してサイドインしてしまう。とてもよくあるのが、Disenchant系のカードや色対策のサイドインだ。黒に偏った相手のデッキに対してDark Betrayalが刺さりそう、というケースなら分かりやすい。ドラフトやシールドでのサイドボーディングではもっと微妙な調整として、生物のラインナップを相手の生物に合わせて変えるべきだ。
相手はWarpath Ghoulを何枚か使っていないだろうか?そうであればPillarfield Oxはかなり良いクリーチャーになる。逆の立場なら、2/4の群れを乗り越えるためにWarpath Ghoulはサイドアウトしよう。相手はついていくのが難しいほどアグロなマナカーブになっていないだろうか?そうであればBronze Sableをサイドインして速度を近づけよう。これらはゲームプランの大幅な変更ではないが、少しの調整だけで戦術的な立ち回りが可能になる。
言われてみれば明らかでも、普通は「悪い」とみなされているカードを無視してしまう罠には実に簡単に陥ってしまう。マジックでは常にそうだが、状況が全てだ。
このような微調整だけでなく、明らかに相手よりもデッキパワーが低い場合は劇的な変更が必要になる。
こちらが回答不能なボムを相手がいくつも使っているなら、普通にゲームをしてもうまくいかない。長引けば相手の必勝である以上、こちらはできるだけ素早くゲームを終わらせなければならない。Fugitive WizardsやCoral Merfolkをサイドインしてビートしよう。いずれにせようまいやり方とは言えないが、適切な戦略と正しいカードを選べば、ラストピックを活用して簡単にマッチアップを改善することもできる。
同様に、長引けばこちらが必勝であればDivinationは不要だ。ボムをキャストするまで膠着させるためのブロッカーを入れよう。
これらの判断の根本にあるのは、常に問い、再評価するということだ。4ターン目Desecration Demonに対するこちらのプランは?Supreme Verdictに対しては?Advent of the Wurmが来たら?Thoughtseize/Hero’s Downfall/Ajani, Mentor of Heroesが入ったデッキのAdventと、Soldier of the Pantheon/Fleecemane Lion/Selesnya Charmが入ったデッキのAdventでは違いはあるか?
サイドボードの全てのカードは、75枚全体のつながりの中で正当化されるべきだ。自分のデッキの基本的なゴールを理解すればサイドボーディングはより自由になり、相手のデッキのメジャーなリストからのちょっとした変更点や、まったく未知のマッチアップにも対応できるようになる。優れたプレイヤーが同じサイドボーディングをすることはめったにないというのを聞いたことがあると思う。サイドイン・アウトの判断をするときに考慮する要素が非常に多いのがその理由だ。いつでも通用するプランを作ろうとするのは、よく言っても短絡的だ。そうではなく、自分のデッキの本質を理解し、戦略によってサイドボーディングの判断をしていこう。直観を鍛えれば、この判断をいつも簡単に下せるようになることに気づくはずだ。
サイドボーディングにまつわる戦略と戦術。
サイドの世界も奥深いですよね。
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Strategy And Tactics In Sideboarding
ROSS MERRIAM
2014/08/20
http://www.starcitygames.com/article/29167_Strategy-And-Tactics-In-Sideboarding.html
戦略記事をお求めのみなさま、お待たせしました。今週はサイドボーディングにおける戦略と戦術について、そして戦略と戦術の混同が効果的なサイドプランの構築をいかに阻害しているかについて、詳しく話そうと思う。
まずは、「戦略」と「戦術」の意味をはっきりさせるところから。
戦略は、ゲームまたはマッチを通して考慮される全体的なプランのことだ。プレイヤーにとっておそらく最もありふれた戦略的な問いは、目の前のマッチアップでの適切な振る舞いを見極めるための「どちらがビートダウンか?(Who’s the beatdown?)」だろう。どちらがコントロール側でどちらがアグロ側か説明できるなら、それぞれのデッキが採用している戦略がある程度分かっているということになる。
戦略は抽象的なもので、あるアーキタイプがいつの時代も同種のカードを入れて戦略を実現していることはあっても、戦略が特定の1つのカードに依存するということはほとんどない。コントロールデッキは、重くて強力なスペルで勝利するまでの時間を得るために軽い除去やカウンターを採用する。アグロコントロールデッキは軽い脅威を使い、序盤から中盤にかけての勝利を確実にするためにポイントを押さえて妨害スペルを使う。しかし、戦略を定義づけるのは決してカードそれ自体ではなく、カードがどう使われるかだ。
多くのデッキにとって、自身の採る戦略は相手のデッキとは無関係だ。ラブルレッドは小型クリーチャーの群れと火力によって、どんな相手だろうと序盤のうちに圧倒してしまおうとする。青白コントロールは可能な限りゲームを引き伸ばし、Sphinx’s Revelationで圧倒的なアドバンテージを確立しようとする。ベルチャーは相手が何であろうとマジックをさせる前に終わらせてしまおうとする。
この原則の例外はミッドレンジというアーキタイプだ。ミッドレンジは中盤に優位に立つために、自分よりもアグロなデッキに対しては序盤の主導権を譲り、「折り返し点」まではコントロール側の立場に立つ。コントロールデッキに対してはアグロ戦略を採る。いずれにせよミッドレンジは中盤での勝利を目指すわけだが、相手の動きに依存して異なるルートを使い分ける。
一方、戦術は、戦略を実現するための個々の場面でのプレイや判断のことを指す。よくある例は次のようなものだ:単体除去を温存して全体除去の威力を高める、損なアタックをして相手のライフを火力圏内に落とす、ドロースペルをカウンターせず全体除去に合わせるためにとっておく。重要なのは、これらの例はいかなる状況でも守るべき強いルールではないということだ。ラブルレッドを相手に、次のターンのSupreme Verdictの威力を高めるためにLast Breathを温存してライフを減らすのはたいていリスキーすぎる。
戦略的判断とは異なり、戦術的判断は常に状況に応じて行われる。この状況というのは、ボード、ライフ、自分の手札、相手の手札にあり得るカード、など数えきれないほど多くの要素を含んでいる。しかし最も重要なのは、あらゆる戦術的判断は自分の戦略に基づいて行われるということだ。ゲームを通じたプランを持ち、それを実行しているということは、実行可能な戦略を立て、その戦略から導かれた戦術的判断をしているということになる。
さて、戦略と戦術を定義したところで、この記事の主題は戦略的/戦術的判断がサイドボーディングにどのような影響を与えるかだ。
サイドで変更できるのはデッキのわずかな一部分だけなので、サイドボーディングでは主に戦術的判断を行うことになる。完全に戦略を変えるには15枚のサイドボードのスペースでは足りず、たとえ変形サイドを採用していたとしてもサイド後に筋違いのカードが残ってしまうケースは多い。そのため、変形サイドは戦術的に意味のある選択肢がない場合にのみ使うべきだ。
この選択肢がない場合の戦略の大改革の良い例は、青単信心と青白系コントロールとのマッチアップだ。青単信心は軽いが弱いクリーチャーを序盤に並べ、強力な信心カードで優位を築くホード型アグロデッキだ。Cloudfin Raptor、Master of Waves、Thassa, God of the Seaのような戦略に適したカードを使ってできるだけ横に展開する。しかし残念なことに他のアグロデッキほどの速度はないため、青単信心のカードは無残なほどにSupreme Verdictに弱い。このマッチアップでは、唯一Supreme Verdict耐性を持つMutavaultが最重要カードとなる。
伝統的に、アグロな青デッキは速度を落としてカウンターを増量することで、全体除去やジェイスのような強力スペルに対する弱点を補ってきた。しかし、Supreme Verdictはカウンター不能なのでもっと劇的な戦略の変更が必要となる。
青白コントロールはジェイスやエルズペス、大きなXのSphinx’s Revelationを守るためのカウンターを大量搭載する代償として脅威の濃度がうすい。青単信心は序盤にゲームを終わらせるためのカードを捨て、うまく中盤から終盤に突入してコントロールデッキの脅威のうすさを咎める必要がある。この新しい戦略に従えば、場に出すクリーチャーは1体にして、必要に応じて相手の強力な脅威に回答しながらコツコツとダメージを積み重ねることになる。
この新戦略の下では単体除去を気にかけるのではなく、脅威を解決させ続けられればたとえ20ターンかかっても20点ダメージを与える十分な時間があると考えるべきだ。サイド前はコントロールの戦略的優位のために盲目的なアグロ戦略を採らざるをえなかった一方で、サイド後はとんでもない忍耐を前提とした戦略を採用することになる。本来この戦略を採る場合、単体で強力な脅威を入れるのが理想だが、限られたサイドボードのスペースではTidebinder Mageのような弱い生物を残すしかない。クロックが貧弱なため、コントロールデッキにこちらのカウンターをかいくぐるチャンスを与えてしまうことになるが、相手がSupreme Verdictを引かないことを祈るよりはずっと良いプランだろう。
祈りは戦略とは呼べない。
先ほど述べたように、サイドボーディングの大部分は戦術的判断によって行われる。大規模に入れ替えるよりも、細部の調整をするケースの方がずっと多い。また、サイドボーディングは完全に受動的なプロセスでもある。対戦相手の戦略と戦術によって変更点が決まる。この受動的な面がサイドボーディングでのトラブルの多くを生んでいると僕は考えている。目の前のマッチアップで出てくる個々の脅威や場面に回答するための特定のカードを探してしまうプレイヤーは多い。その回答が苦し紛れだったり相手の戦略とは無関係であるにも関わらず。これにより、過剰サイドインや重要なデッキの核を削り過ぎるというよく知られたミスが生まれる。
典型的なコントロールデッキでは、序盤にリソースの交換を続けて終盤に強力なカードでマウントを取るために受動的な回答を大量搭載すべきこともあるが、ほとんどの能動的なアグロやコンボでは、追加した受動的なカードは戦略に合わないものになる。
能動的なデッキからは受動的カードを全て抜けと僕が言っているように聞こえるかもしれないが、正しい回答を用意している相手に能動的なデッキが安定して勝ち続けるのは非常に難しい(例えばForce of Willに対するベルチャー)。戦略が機能するために必要なデッキの核のスペースを考慮しつつ、受動的カードを賢く使うのが重要だ。スペース不足のため、この受動的なカードにはいろいろなカードに回答できる柔軟性も必要となる。単に回答としてだけではなく、必要に応じて能動的なプランにも貢献できれば最高だ。火力スペルは赤いアグロデッキの幅を広げ、Selesnya Charmは脅威にもコンバットトリックにもなり、Rapid Hybridizationは相手の除去に対する擬似カウンターとしても使える。
サイドボードに入れる回答の良くない例として、青単信心のRatchet Bombを考えよう。Ratchet Bombは黒単信心のPack Ratと、ジャンドモンスターやジャンドプレインズウォーカーズ、緑単信心など様々な緑系ミッドレンジのMistcutter Hydraに効果的に回答することができる。しかしそれ以外のカード、Desecration Demonやプレインズウォーカーなどには遅すぎてまともな回答にはならず、デッキの本来のゲームプランには何も貢献しない。蓄積カウンターは生み出すが信心を増やすことはしない。
黒単信心や緑ミッドレンジに対しては、相手を「折り返し点」前の防御体制に押しとどめておくアグロな行動をすることがポイントとなる。Ratchet Bombはいくつか問題カードに回答することはできるものの、それをするためにかける時間のコストがあまりにも高すぎる。Pack RatやMistcutter Hydraに対する僕の「回答」がダメージレースだと聞いて驚くプレイヤーは多い。マナカーブに沿った青単信心のようなデッキが先手なら、たとえブン回らなくても後手のRatは機能しにくい。Hydraは少なくともX=4でプレイしないとRapid Hybridizationされたトークンと相打ちになってしまい、青単信心が十分にプレッシャーをかけている状況なら4/4とのダメージレースには勝てる。
僕がPack RatやMistcutter Hydraに負けるリスクがあるのは承知しているが、あり得る全ての場面で勝とうとするのは間違いだ。目指すべきなのは勝率を最大化することで、勝ちにくい後手のゲームは全てのゲームのうちの一部でしかない。そんなゲームをいくつか勝つためにデッキを歪めてしまえば他のゲームで勝てなくなり、結局負けが増えてしまうだろう。
ここでDomesticationを考えてみよう。Desecration Demonを1体出されている状況には回答できないものの(2体いれば片方を奪ってもう一方をサクらせられる)、このカードは青単信心にとってパーフェクトなクリーチャー対策で、アグロ戦略の後押しもしてくれる。黒単信心は「折り返し点」となるまで盤面を構築し、アグロにギアチェンジすることを目指すデッキだ。Lifebane Zombieのような大したことのない生物を奪うだけで、このマッチアップのポイントであるボードに多大な影響を与えられる。小型生物を並べるアグロデッキに対しては、Domesticationによって、青単信心デッキ自身が「折り返し点」に到達しやすくなる。デッキの他の部分と調和した、能動的な役割もこなせる受動的な除去スペルなのだ。
過剰サイドインの誘惑を断ち切る良い方法だと僕が思っているのは、すぐにサイドボードを手に取り何をサイドインするか考える前に、どのカードをサイドアウトすべきかを最初に考えることだ。ちょっとした違いだが、メインから抜くカードよりも限定的な場面でのみ強力なカードの方が魅力的に見えてしまう楽観主義を避ける心理的な効果が得られる。
リミテッドでのサイドボーディング
有効活用されないことの多いリミテッドのサイドボードも同じ原則で運用する。
カードプールが狭いため状況は少し複雑になる。リミテッドでは速い、あるいは遅い戦略に合うカードが不足しがちなため、デッキはどうしてもミッドレンジになりがちだ。リミテッドでも、ちょっとした戦術的な調整も大胆な戦略変更もあり得るのだが、経験の浅いプレイヤーは見逃してしまうようだ。
構築と同じくリミテッドでも、慣れていないプレイヤーは特定のカードへの回答を過大評価してサイドインしてしまう。とてもよくあるのが、Disenchant系のカードや色対策のサイドインだ。黒に偏った相手のデッキに対してDark Betrayalが刺さりそう、というケースなら分かりやすい。ドラフトやシールドでのサイドボーディングではもっと微妙な調整として、生物のラインナップを相手の生物に合わせて変えるべきだ。
相手はWarpath Ghoulを何枚か使っていないだろうか?そうであればPillarfield Oxはかなり良いクリーチャーになる。逆の立場なら、2/4の群れを乗り越えるためにWarpath Ghoulはサイドアウトしよう。相手はついていくのが難しいほどアグロなマナカーブになっていないだろうか?そうであればBronze Sableをサイドインして速度を近づけよう。これらはゲームプランの大幅な変更ではないが、少しの調整だけで戦術的な立ち回りが可能になる。
言われてみれば明らかでも、普通は「悪い」とみなされているカードを無視してしまう罠には実に簡単に陥ってしまう。マジックでは常にそうだが、状況が全てだ。
このような微調整だけでなく、明らかに相手よりもデッキパワーが低い場合は劇的な変更が必要になる。
こちらが回答不能なボムを相手がいくつも使っているなら、普通にゲームをしてもうまくいかない。長引けば相手の必勝である以上、こちらはできるだけ素早くゲームを終わらせなければならない。Fugitive WizardsやCoral Merfolkをサイドインしてビートしよう。いずれにせようまいやり方とは言えないが、適切な戦略と正しいカードを選べば、ラストピックを活用して簡単にマッチアップを改善することもできる。
同様に、長引けばこちらが必勝であればDivinationは不要だ。ボムをキャストするまで膠着させるためのブロッカーを入れよう。
これらの判断の根本にあるのは、常に問い、再評価するということだ。4ターン目Desecration Demonに対するこちらのプランは?Supreme Verdictに対しては?Advent of the Wurmが来たら?Thoughtseize/Hero’s Downfall/Ajani, Mentor of Heroesが入ったデッキのAdventと、Soldier of the Pantheon/Fleecemane Lion/Selesnya Charmが入ったデッキのAdventでは違いはあるか?
サイドボードの全てのカードは、75枚全体のつながりの中で正当化されるべきだ。自分のデッキの基本的なゴールを理解すればサイドボーディングはより自由になり、相手のデッキのメジャーなリストからのちょっとした変更点や、まったく未知のマッチアップにも対応できるようになる。優れたプレイヤーが同じサイドボーディングをすることはめったにないというのを聞いたことがあると思う。サイドイン・アウトの判断をするときに考慮する要素が非常に多いのがその理由だ。いつでも通用するプランを作ろうとするのは、よく言っても短絡的だ。そうではなく、自分のデッキの本質を理解し、戦略によってサイドボーディングの判断をしていこう。直観を鍛えれば、この判断をいつも簡単に下せるようになることに気づくはずだ。
StarCityGamesより。
Why You Winという考え方。
これを間違えて何度負けたか分かりません・・・。
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Why You Win
CARSTEN KOTTER
2013/08/30
http://www.starcitygames.com/article/26809_Why-You-Win.html
今日はデッキ構築からゲーム中のプレイングまで幅広く応用できる、とても基本的な考え方について話そうと思う。僕はこの考え方のことを「なぜ勝てるのか」(Why You Win)と呼んでいる。
簡単に答えられる問いに見えるかもしれない――1ターン目デルバーがあるからさ!――だけどこの考え方を身につけておけば、よく知らないデッキを使っている(あるいは相手にしている)ときでも勝てるようになり、難しい局面で最善手を見つけるのに役立ち、より容易くデッキを変えたり効率良くチューニングできるようになる。つまり、知っておいて損はないってことさ。
もう少しはっきりさせておこう。今日話そうとしているのはある1ゲームに勝つためのテクニックのことじゃない。ヴェンディリオンをプレイする正しいタイミング、どのスペルをカウンターすべきか、Giant Growthのブラフの仕方、あるいはメインフェイズに動くべき状況についての話じゃない。
自分のデッキが機能するために必要な要素は何か、どのようなゲームなら勝てるのか(望むべきゲームとは)、そしてどのように負けるのか、そんな話をしようと思う。自分のデッキについて、そしていろいろな対戦相手のデッキについてこれらを考えておくことで、デッキ構築やプレイ中に正しい判断をする大きな助けになるだろう。
準備はいいかい?よし、はじめよう。
Why You Winのこころ
Why You Winは非常に基本的な考え方――Jon Finkelが雄弁に語っていた「何が重要か」を見極める方法の一つだ。かの記事"Who’s the beatdown"と同様、Why You Winはゲーム全体を照らす指針のもとに判断を下すための考え方だ。あの偉大な古典は「役割を見誤ること=敗北」だと教えてくれた。一方、Why You Winの背後にある思想はこれだ:
「強みを誤解すること=敗北」
これは何を言っているのだろう?ゲーム中に何か判断するというのは、先に進む道を一つ選ぶということだ。その道で自分のデッキの強みを発揮できない場合、じわじわと自滅することになってしまう。
一つ局面を見てみよう。たぶん読者の多くは近い経験をしたことがあると思う。
あなたは(昔ながらのZooのような)赤ベースのアグロデッキを使っていて1体のWild Nacatl(3/3)と1体のKird Ape(2/3)を出しており、手札は空。マーベリックを使う相手のライフは6で、直前にKnight of the Reliquary(5/5)を1体出してきたところだ。凶暴に2体でアタックしてナカティルと2ダメージを交換することもできるし、追加のクリーチャーを引いて盤面で圧倒するまでじっと待つこともできる。
どうすべきだろう?
このマッチアップの経験があれば答えは簡単だね:2体で殴り、FireblastかPrice of Progress、あるいは稲妻2枚トップでの勝ちを狙う。しかしどうしてこれが正しいのだろう?
よく考えてみると、相手にただ2ダメージを与えるだけのために、たくさんの道筋について思いを巡らせていることが分かる。
自分のデッキの動きを知っていることがカギだ。ここで使っているような高速Zooは盤面構築型のマーベリックのようなデッキがゲーム終盤に繰り出してくるクリーチャーには勝てないだろう。生物によるラッシュで十分なダメージを稼ぎ、大きなクリーチャーに制圧される前に火力でゲームを終わらせるのがZooの勝ち筋になる。これこそ「Zooはなぜ勝てるのか」であり、「あなたは何を目指してプレイすべきか」なんだ!
もう少し複雑な例として、僕の愛するPIF Tendrilsを取り上げよう(まさにPast in Flames Tendrilsという動きをするので今後はこう呼ぼうと思ってる)。
Ad Nauseam Tendrils
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 7/28/2013
lands (15)
1 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《Badlands》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《Tropical Island》
2 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
spells (45)
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
3 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
2 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
1 《むかつき/Ad Nauseam》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
2 《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4 《強迫/Duress》
1 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1 《炎の中の過去/Past in Flames》
4 《思案/Ponder》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
sideboard
1 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3 《ザンティッドの大群/Xantid Swarm》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
3 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
たった6枚しか妨害手段を持たないこのデッキが約2倍の妨害インスタントを積んだテンポデッキとどうやって渡り合うのか、不思議じゃないかな?
このデッキは複数のスペルを組み合わせて解決させなきゃならず、そのうち1枚を止められたら動かない。それがどうしてカウンターと手札破壊を両方積んだEsper Deathbladeのようなデッキに対して有利になるんだろうか?
このデッキがどうやって勝つかを見てみよう。簡単に分かる答えは「大量の儀式とチューターのキャストによって」だね。だけどこの回答は物事を深く見ていない。
このデッキが勝てる本当の理由は「カードの質のアドバンテージを得られるから」だ。
ライブラリ操作とキャントリップを大量に搭載し、さらに無視して良いカードが多いため、ゲームを進めるうちに自分の手札が相手よりも良いものになるのはほとんど必然と言っていい。こちらの手札が相手の手札を凌駕し、相手の対抗策全てを打ち破れる(そしてそのまま倒せる)状況、これこそが真に狙うべき地点だ。
逆のケースも見てみよう。Why You Winを誤解したときどのようにして負けるのか。取り上げるのはDeath and Taxesだ:
Death and Taxes
Micah Greenbaum
5th Place at StarCityGames.com Legacy Open on 8/25/2013
lands (23)
9 《平地/Plains》
1 《魂の洞窟/Cavern of Souls》
1 《地平線の梢/Horizon Canopy》
4 《リシャーダの港/Rishadan Port》
4 《不毛の大地/Wasteland》
1 《永岩城/Eiganjo Castle》
3 《Karakas》
creatures (27)
4 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
2 《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》
1 《悪鬼の狩人/Fiend Hunter》
3 《ちらつき鬼火/Flickerwisp》
3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
4 《ルーンの母/Mother of Runes》
4 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2 《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor》
4 《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
spells (10)
4 《霊気の薬瓶/AEther Vial》
1 《殴打頭蓋/Batterskull》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1 《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
sideboard
1 《万力鎖/Manriki-Gusari》
1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
1 《レオニンの遺物囲い/Leonin Relic-Warder》
2 《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》
1 《絶対の法/Absolute Law》
2 《忘却の輪/Oblivion Ring》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2 《大変動/Cataclysm》
1 《太陽の槍/Sunlance》
このデッキは第一印象では白ウィニーに見える。しかしこれを小型クリーチャーによるビートダウンデッキとしてプレイしてしまうと――マナカーブとダメージ効率を優先してしまうと――ほとんどのマッチで悲惨なプレイをすることになってしまうだろう。このデッキが勝てる理由はダメージ量ではない。
デスタクは白ウィニーではなくプリズンデッキだと見るべきだ。このデッキはマナ拘束とうっとうしいヘイトベアを大量搭載して相手のゲームプランを機能不全にさせ、ほとんど何もできなくなるまで選択肢を狭めた上で小さな生物でチクチクと相手を倒す。つまり、デスタクのWhy You Winは「相手の有効な手をなくせるから」であり、相手の手を制限するプレイを常に最優先して選ぶべきだ。
「これがこのデッキのプランだよ」とWhy You Winをシンプルに言えないこともある。相手のデッキによって変わるケースも多い。ゴブリンを例に挙げよう。
じっくり戦うミッドレンジデッキが相手の場合、ふつうGoblin RingleaderによるカードアドバンテージがWhy You Winになる。カウンターできない2/2速攻生物付きのFact or Fictionを何度もプレイすることで、堅実に進める相手に対して1ゲームを通じて3枚、5枚、あるいはそれ以上の枚数差をつけられる。レガシーのコントロールデッキすら上回るドロー能力は幅広いマッチアップでゴブリンの強みになっている。そのため、通常はじっくりと盤面を築き、マナを伸ばし、時が来たら相手を圧倒するという方針を採る。
しかし、このプランでは駄目なマッチアップもある。例えば上に挙げたPIF Tendrilsを相手にしている場合だ。4マナに達してリングリーダーをキャストする頃にはテンドリルで死んでしまう。こういうゲームではカードドローは明らかにWhy You Winではない。
ストームデッキを倒すなら、こちらが死ぬより前に相手を殺さなきゃならない――完全にレースゲームになる。Why You Winはダメージ量だ。このマッチアップではゴブリンデッキのアグロコンボの側面に目を向けるべきで、ラッキーを引いてパイルドライバーを展開し、4ターンキルすることを狙う。合間に不毛やリシャポで相手を遅らせるのも正解だが、最速キルの手を緩めて別の何かをプレイすることはほとんど常に裏目に出るだろう。ストームに挑むなら、相手が勝つ前にこちらが確実に勝ち切る必要がある。心構え、マリガン、キャストする/場に出すカードは全て可能な限り早い勝利に向かうものでなければならない。
自分のメインプランは変えないのに、相手のプラン(Why They Win)に合わせる必要のあるデッキもある。奇跡を使っている場面を見てみよう:
U/W Miracles
Joe Lossett
1st Place at Miscellaneous on 8/4/2013
lands (23)
4 《島/Island》
2 《平地/Plains》
1 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2 《秘教の門/Mystic Gate》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《Tundra》
2 《Volcanic Island》
2 《Karakas》
creatures (4)
3 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
planeswalkers (3)
3 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
spells (30)
4 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4 《相殺/Counterbalance》
1 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
1 《対抗呪文/Counterspell》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
3 《Force of Will》
1 《誤った指図/Misdirection》
2 《呪文貫き/Spell Pierce》
3 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
2 《天使への願い/Entreat the Angels》
1 《至高の評決/Supreme Verdict》
3 《終末/Terminus》
sideboard
2 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《誤った指図/Misdirection》
1 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《赤霊破/Red Elemental Blast》
1 《摩耗/Wear》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
1 《天使への願い/Entreat the Angels》
ゲームプランは常に一つだ:生き延びるためにリソースを使い、土地を並べ、相手のやりたいことを全て阻止する。しかしWhy You Winは向かい合っている相手次第で大きく変わる。ライブラリ操作と妨害スペルを正しく使うことができるのは自分が何をすべきか理解している場合のみだ。
典型的なミッドレンジデッキ――例えばマーベリック――が相手なら、白1マナでボード全体に回答し(Terminusのことだよ)、そこから大量の天使トークンやジェイスというボムで速やかにゲームを終わらせられること、これがWhy You Winになる。したがって、このマッチアップで目指すべきなのはTerminusとEntreatをライブラリトップに用意して守ることだ。これで最適なタイミングで相手を吹き飛ばすことができる。相手は全力でこれらのカードのキャストを阻止しにくる。
奇跡の相手がコンボになるとWhy You Winはガラリと変わる。ボードを綺麗にしてボムを投下することではなく、相手がまったく動けない状態を目指すことになる。相殺独楽によるロックの完成や妨害手段満載の手札を揃えることが焦点となり、いったんそうなってしまえば相手は死んだも同然、脅威を解決させてゲームを終わらせるだけだ。
Why You Winを使う
記事の冒頭で言ったように、Why You Winを知ることはデッキ構築からプレイ中の決断までトーナメントのほぼ全ての場面で役に立つ。実際どう役に立つかを場面別に説明していこう。
デッキ構築
Why You Winを理解すればデッキ構築の多くの落とし穴を避けられる。Why You Winを考えることで不要なカードが見えるようになり、デッキの強みが最大限に活きる状況を作り出す構築に集中できる。
一つの例はAdam Prosakのキャントリップ16枚型ANTだ。このデッキは相手よりも強い手札を揃えることで勝つという点を彼は見極め、デッキの手札調整能力を最大化することに全力を傾けた。初手の時点で既に相手よりも良いハンドになる(コンボ対策が入っていない相手との)マッチアップでの安定性に問題があったけど、持久戦をしたいデッキにとってこれほど相手にしたくないデッキはないだろう。ターンエンドするたびにキャントリップをキャストされ、Adamの手札の質はあっという間にこちらを上回ってしまう。
同様に、RUG Delverは相手の序盤の動きを阻害することで勝つという点を理解すれば、最近どうして(ほぼ?)みんながStifleを抜かなくなったのか腑に落ちるはずだ。相手のセットランドを妨害できなければRUGの手札は速やかに死に札となり、勝利するまでクロックを守り切ることが不可能になる。RUG Delverは相手の足回りを奪うから勝つ。クリーチャーが強力だから勝つわけじゃない。こういう知恵がデッキリストに反映されるのは当然だよね。
サイドボーディング
サイドボードの構築や実際のサイドボーディングでもWhy You Winに気をつけよう。なんとエルフに対してANTがキャントリップをサイドのボブと交換しているのを見たことがある。手札破壊がセラピー2枚しかない相手にスニークショーが白力線を入れるというのもあった。これらのカードによって1回勝てたとしても、その間に3回かそれ以上負けることになる。これらはゲームプランを推し進めるスペルではないからだ。そのために抜いたカードとは違ってね。
ANTやスニークショーは仕掛けるために必要なコンボパーツを安定して見つけられるから勝つ。メインからどの1枚を抜いてもデッキは弱くなるんだ(正しくメインが組まれていれば)。カードをサイドと交換した方が良いのは、対処できない脅威(ガドックや相殺など)があり、勝つまでの道のりに「コンボ対策を破る」が追加される場合だ。限定的な場面で役に立つカードを即サイドインしてメインのカードを抜いてしまうのは間違っている。
サイドボーディングとサイドボード構築では、目の前に向かい合う対戦相手に対してなぜ勝てるのかを明らかにしなきゃならない。それが分かったら、勝利へのプランに合わないカードを抜き、特にそのマッチアップでのプランに合ったカードを入れよう。
そう、言うは易しだね。だけどこれは覚えておいてほしい。あるカードをサイドインすべきかどうか分からないとき、勝利までのプランをどうサポートしてくれるかはっきり見えないなら入れない方がいい。
マリガン判断
相手が何を使っているか分かっているなら、その相手に対するWhy You Winに気を配ろう。分かりやすいこともあるね――ベルチャー相手の後攻なら、Force of Willをキャストできるから勝つ。ならばウィルを求めてマリガンだ。
奇跡を使っている場合、たいていは独楽がデッキを超強化するから勝つ。だから土地と独楽という初手はほとんどの場合キープだ。(ベルチャーみたいな)特別な場合を除いてね。
勝つために特殊なゲームプランが必要になることもある。例えばEsper Deathbladeの初手が土地3枚、手札破壊2枚、死儀礼1枚、ジェイス1枚だったとしよう。通常これは素晴らしい手札だ――相手の手札を攻めて3ターン目ジェイスで勝ち――しかし相手がマーフォークだとジェイスへの妨害を引かれる可能性が高く、Deathbladeが勝つのは難しくなる。この場合は石鍛冶を解決させてバターを出すか大量のソープロと瞬唱のキャストによって勝つことになる。ハンデス死儀礼ジェイスという手札はこのゲームプランとは程遠く、したがってマリガンすべきだ。
ゲーム中の判断
どんなデッキを使っていたとしてもゲーム中の判断はWhy You Winの影響を受けるはずだ。あらゆるデッキが少なくとも1つは勝利への道筋を持っている。それに従うのが重要だ。ベルチャーはスピードによって勝つ。だからオールインすべきかどうかという選択の余地はない。スニークショーは巨大生物を可能な限り早く叩きつけることで勝つ。だから全てのアクションはその瞬間に向かっていくべきだ。
多くのデッキ(「一直線」ではないデッキ)には進める方向が複数ある。そういうデッキにとって各マッチアップでWhy You Winを考えることは特に重要だ。その考え次第でゲーム全体の流れが決まる。
例えばRUG Delverを使っていて初手にStifleとデルバーがあるとしよう。すぐにデルバーを出すべきだろうか、それともフェッチを止めるために土地を立てておくべきだろうか?
マッチアップによって答えは変わる。相手がZooの場合は純粋なデルバービートで勝利できる可能性は極めて低い。Zooが動き出せば虫を殺すかダメージレースを仕掛けてくることがほとんどだろう。一方でZooは土地がとても少なく、さらにフェッチを多く積んでいる。通常、RUG側の最善手はZooをマナスクリューさせて時間を稼ぎ、カウンターによる防御付きのデルバーを展開することだ。
一方、相手がハイタイドの場合は土地を止めることが勝利にまったく結びつかない。ハイタイドには基本土地とフェッチがたくさん入っていて、大量のキャントリップで追加の土地を探すのも容易だ。ハイタイドに対しては、ソフトカウンターをケアできないほどこちらのクロックのプレッシャーが大きいから勝つんだ。そのため1ターン目にデルバーを展開してStifleはその後のフェッチを止めるために使うのが正しいプレイになる。
もう勝てたかな?
まとめると、Why You Winは自分のデッキにとって正しい土俵を選び、こちらの強みと相手の弱みが出る状況を作るための考え方だ。
盤面を支配できるから、あるいは妨害パーマネントの組み合わせで相手をロックできるから勝つデッキがある。相手を押しつぶすほどのカードアドバンテージで勝つデッキもある。相手のボードでは何もできないように妨害して合間に出した生物で勝つデッキもあるし、相手よりも良い手札を揃えることで勝つデッキもある。
自分のデッキがなぜ勝てるのかを理解することはプレイングと構築を最適化するための文字通り足場になる。一般的にも、目の前のマッチアップにおいても、常に自分のプランが何なのかを把握しよう。見極めたゴールに向かう判断をしていこう。
今日はこの辺で。すごく基本的な話だったけど楽しんでもらえたら嬉しいよ――ご意見があればどうぞコメントを。
また次回。Win your way!
Carsten Kotter
Why You Winという考え方。
これを間違えて何度負けたか分かりません・・・。
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Why You Win
CARSTEN KOTTER
2013/08/30
http://www.starcitygames.com/article/26809_Why-You-Win.html
今日はデッキ構築からゲーム中のプレイングまで幅広く応用できる、とても基本的な考え方について話そうと思う。僕はこの考え方のことを「なぜ勝てるのか」(Why You Win)と呼んでいる。
簡単に答えられる問いに見えるかもしれない――1ターン目デルバーがあるからさ!――だけどこの考え方を身につけておけば、よく知らないデッキを使っている(あるいは相手にしている)ときでも勝てるようになり、難しい局面で最善手を見つけるのに役立ち、より容易くデッキを変えたり効率良くチューニングできるようになる。つまり、知っておいて損はないってことさ。
もう少しはっきりさせておこう。今日話そうとしているのはある1ゲームに勝つためのテクニックのことじゃない。ヴェンディリオンをプレイする正しいタイミング、どのスペルをカウンターすべきか、Giant Growthのブラフの仕方、あるいはメインフェイズに動くべき状況についての話じゃない。
自分のデッキが機能するために必要な要素は何か、どのようなゲームなら勝てるのか(望むべきゲームとは)、そしてどのように負けるのか、そんな話をしようと思う。自分のデッキについて、そしていろいろな対戦相手のデッキについてこれらを考えておくことで、デッキ構築やプレイ中に正しい判断をする大きな助けになるだろう。
準備はいいかい?よし、はじめよう。
Why You Winのこころ
Why You Winは非常に基本的な考え方――Jon Finkelが雄弁に語っていた「何が重要か」を見極める方法の一つだ。かの記事"Who’s the beatdown"と同様、Why You Winはゲーム全体を照らす指針のもとに判断を下すための考え方だ。あの偉大な古典は「役割を見誤ること=敗北」だと教えてくれた。一方、Why You Winの背後にある思想はこれだ:
「強みを誤解すること=敗北」
これは何を言っているのだろう?ゲーム中に何か判断するというのは、先に進む道を一つ選ぶということだ。その道で自分のデッキの強みを発揮できない場合、じわじわと自滅することになってしまう。
一つ局面を見てみよう。たぶん読者の多くは近い経験をしたことがあると思う。
あなたは(昔ながらのZooのような)赤ベースのアグロデッキを使っていて1体のWild Nacatl(3/3)と1体のKird Ape(2/3)を出しており、手札は空。マーベリックを使う相手のライフは6で、直前にKnight of the Reliquary(5/5)を1体出してきたところだ。凶暴に2体でアタックしてナカティルと2ダメージを交換することもできるし、追加のクリーチャーを引いて盤面で圧倒するまでじっと待つこともできる。
どうすべきだろう?
このマッチアップの経験があれば答えは簡単だね:2体で殴り、FireblastかPrice of Progress、あるいは稲妻2枚トップでの勝ちを狙う。しかしどうしてこれが正しいのだろう?
よく考えてみると、相手にただ2ダメージを与えるだけのために、たくさんの道筋について思いを巡らせていることが分かる。
自分のデッキの動きを知っていることがカギだ。ここで使っているような高速Zooは盤面構築型のマーベリックのようなデッキがゲーム終盤に繰り出してくるクリーチャーには勝てないだろう。生物によるラッシュで十分なダメージを稼ぎ、大きなクリーチャーに制圧される前に火力でゲームを終わらせるのがZooの勝ち筋になる。これこそ「Zooはなぜ勝てるのか」であり、「あなたは何を目指してプレイすべきか」なんだ!
もう少し複雑な例として、僕の愛するPIF Tendrilsを取り上げよう(まさにPast in Flames Tendrilsという動きをするので今後はこう呼ぼうと思ってる)。
Ad Nauseam Tendrils
Carsten Kotter
0th Place at Test deck on 7/28/2013
lands (15)
1 《島/Island》
1 《沼/Swamp》
1 《Badlands》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《Tropical Island》
2 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
spells (45)
4 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
3 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
2 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
1 《むかつき/Ad Nauseam》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
2 《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4 《強迫/Duress》
1 《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
4 《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1 《炎の中の過去/Past in Flames》
4 《思案/Ponder》
1 《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
sideboard
1 《水蓮の花びら/Lotus Petal》
3 《ザンティッドの大群/Xantid Swarm》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
3 《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
たった6枚しか妨害手段を持たないこのデッキが約2倍の妨害インスタントを積んだテンポデッキとどうやって渡り合うのか、不思議じゃないかな?
このデッキは複数のスペルを組み合わせて解決させなきゃならず、そのうち1枚を止められたら動かない。それがどうしてカウンターと手札破壊を両方積んだEsper Deathbladeのようなデッキに対して有利になるんだろうか?
このデッキがどうやって勝つかを見てみよう。簡単に分かる答えは「大量の儀式とチューターのキャストによって」だね。だけどこの回答は物事を深く見ていない。
このデッキが勝てる本当の理由は「カードの質のアドバンテージを得られるから」だ。
ライブラリ操作とキャントリップを大量に搭載し、さらに無視して良いカードが多いため、ゲームを進めるうちに自分の手札が相手よりも良いものになるのはほとんど必然と言っていい。こちらの手札が相手の手札を凌駕し、相手の対抗策全てを打ち破れる(そしてそのまま倒せる)状況、これこそが真に狙うべき地点だ。
逆のケースも見てみよう。Why You Winを誤解したときどのようにして負けるのか。取り上げるのはDeath and Taxesだ:
Death and Taxes
Micah Greenbaum
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lands (23)
9 《平地/Plains》
1 《魂の洞窟/Cavern of Souls》
1 《地平線の梢/Horizon Canopy》
4 《リシャーダの港/Rishadan Port》
4 《不毛の大地/Wasteland》
1 《永岩城/Eiganjo Castle》
3 《Karakas》
creatures (27)
4 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
2 《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》
1 《悪鬼の狩人/Fiend Hunter》
3 《ちらつき鬼火/Flickerwisp》
3 《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》
4 《ルーンの母/Mother of Runes》
4 《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2 《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor》
4 《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
spells (10)
4 《霊気の薬瓶/AEther Vial》
1 《殴打頭蓋/Batterskull》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1 《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
sideboard
1 《万力鎖/Manriki-Gusari》
1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2 《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
1 《レオニンの遺物囲い/Leonin Relic-Warder》
2 《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege》
1 《絶対の法/Absolute Law》
2 《忘却の輪/Oblivion Ring》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2 《大変動/Cataclysm》
1 《太陽の槍/Sunlance》
このデッキは第一印象では白ウィニーに見える。しかしこれを小型クリーチャーによるビートダウンデッキとしてプレイしてしまうと――マナカーブとダメージ効率を優先してしまうと――ほとんどのマッチで悲惨なプレイをすることになってしまうだろう。このデッキが勝てる理由はダメージ量ではない。
デスタクは白ウィニーではなくプリズンデッキだと見るべきだ。このデッキはマナ拘束とうっとうしいヘイトベアを大量搭載して相手のゲームプランを機能不全にさせ、ほとんど何もできなくなるまで選択肢を狭めた上で小さな生物でチクチクと相手を倒す。つまり、デスタクのWhy You Winは「相手の有効な手をなくせるから」であり、相手の手を制限するプレイを常に最優先して選ぶべきだ。
「これがこのデッキのプランだよ」とWhy You Winをシンプルに言えないこともある。相手のデッキによって変わるケースも多い。ゴブリンを例に挙げよう。
じっくり戦うミッドレンジデッキが相手の場合、ふつうGoblin RingleaderによるカードアドバンテージがWhy You Winになる。カウンターできない2/2速攻生物付きのFact or Fictionを何度もプレイすることで、堅実に進める相手に対して1ゲームを通じて3枚、5枚、あるいはそれ以上の枚数差をつけられる。レガシーのコントロールデッキすら上回るドロー能力は幅広いマッチアップでゴブリンの強みになっている。そのため、通常はじっくりと盤面を築き、マナを伸ばし、時が来たら相手を圧倒するという方針を採る。
しかし、このプランでは駄目なマッチアップもある。例えば上に挙げたPIF Tendrilsを相手にしている場合だ。4マナに達してリングリーダーをキャストする頃にはテンドリルで死んでしまう。こういうゲームではカードドローは明らかにWhy You Winではない。
ストームデッキを倒すなら、こちらが死ぬより前に相手を殺さなきゃならない――完全にレースゲームになる。Why You Winはダメージ量だ。このマッチアップではゴブリンデッキのアグロコンボの側面に目を向けるべきで、ラッキーを引いてパイルドライバーを展開し、4ターンキルすることを狙う。合間に不毛やリシャポで相手を遅らせるのも正解だが、最速キルの手を緩めて別の何かをプレイすることはほとんど常に裏目に出るだろう。ストームに挑むなら、相手が勝つ前にこちらが確実に勝ち切る必要がある。心構え、マリガン、キャストする/場に出すカードは全て可能な限り早い勝利に向かうものでなければならない。
自分のメインプランは変えないのに、相手のプラン(Why They Win)に合わせる必要のあるデッキもある。奇跡を使っている場面を見てみよう:
U/W Miracles
Joe Lossett
1st Place at Miscellaneous on 8/4/2013
lands (23)
4 《島/Island》
2 《平地/Plains》
1 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2 《秘教の門/Mystic Gate》
3 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
2 《Tundra》
2 《Volcanic Island》
2 《Karakas》
creatures (4)
3 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
planeswalkers (3)
3 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
spells (30)
4 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4 《相殺/Counterbalance》
1 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
1 《対抗呪文/Counterspell》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
3 《Force of Will》
1 《誤った指図/Misdirection》
2 《呪文貫き/Spell Pierce》
3 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
2 《天使への願い/Entreat the Angels》
1 《至高の評決/Supreme Verdict》
3 《終末/Terminus》
sideboard
2 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
1 《真髄の針/Pithing Needle》
1 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《誤った指図/Misdirection》
1 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《赤霊破/Red Elemental Blast》
1 《摩耗/Wear》
1 《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant》
1 《天使への願い/Entreat the Angels》
ゲームプランは常に一つだ:生き延びるためにリソースを使い、土地を並べ、相手のやりたいことを全て阻止する。しかしWhy You Winは向かい合っている相手次第で大きく変わる。ライブラリ操作と妨害スペルを正しく使うことができるのは自分が何をすべきか理解している場合のみだ。
典型的なミッドレンジデッキ――例えばマーベリック――が相手なら、白1マナでボード全体に回答し(Terminusのことだよ)、そこから大量の天使トークンやジェイスというボムで速やかにゲームを終わらせられること、これがWhy You Winになる。したがって、このマッチアップで目指すべきなのはTerminusとEntreatをライブラリトップに用意して守ることだ。これで最適なタイミングで相手を吹き飛ばすことができる。相手は全力でこれらのカードのキャストを阻止しにくる。
奇跡の相手がコンボになるとWhy You Winはガラリと変わる。ボードを綺麗にしてボムを投下することではなく、相手がまったく動けない状態を目指すことになる。相殺独楽によるロックの完成や妨害手段満載の手札を揃えることが焦点となり、いったんそうなってしまえば相手は死んだも同然、脅威を解決させてゲームを終わらせるだけだ。
Why You Winを使う
記事の冒頭で言ったように、Why You Winを知ることはデッキ構築からプレイ中の決断までトーナメントのほぼ全ての場面で役に立つ。実際どう役に立つかを場面別に説明していこう。
デッキ構築
Why You Winを理解すればデッキ構築の多くの落とし穴を避けられる。Why You Winを考えることで不要なカードが見えるようになり、デッキの強みが最大限に活きる状況を作り出す構築に集中できる。
一つの例はAdam Prosakのキャントリップ16枚型ANTだ。このデッキは相手よりも強い手札を揃えることで勝つという点を彼は見極め、デッキの手札調整能力を最大化することに全力を傾けた。初手の時点で既に相手よりも良いハンドになる(コンボ対策が入っていない相手との)マッチアップでの安定性に問題があったけど、持久戦をしたいデッキにとってこれほど相手にしたくないデッキはないだろう。ターンエンドするたびにキャントリップをキャストされ、Adamの手札の質はあっという間にこちらを上回ってしまう。
同様に、RUG Delverは相手の序盤の動きを阻害することで勝つという点を理解すれば、最近どうして(ほぼ?)みんながStifleを抜かなくなったのか腑に落ちるはずだ。相手のセットランドを妨害できなければRUGの手札は速やかに死に札となり、勝利するまでクロックを守り切ることが不可能になる。RUG Delverは相手の足回りを奪うから勝つ。クリーチャーが強力だから勝つわけじゃない。こういう知恵がデッキリストに反映されるのは当然だよね。
サイドボーディング
サイドボードの構築や実際のサイドボーディングでもWhy You Winに気をつけよう。なんとエルフに対してANTがキャントリップをサイドのボブと交換しているのを見たことがある。手札破壊がセラピー2枚しかない相手にスニークショーが白力線を入れるというのもあった。これらのカードによって1回勝てたとしても、その間に3回かそれ以上負けることになる。これらはゲームプランを推し進めるスペルではないからだ。そのために抜いたカードとは違ってね。
ANTやスニークショーは仕掛けるために必要なコンボパーツを安定して見つけられるから勝つ。メインからどの1枚を抜いてもデッキは弱くなるんだ(正しくメインが組まれていれば)。カードをサイドと交換した方が良いのは、対処できない脅威(ガドックや相殺など)があり、勝つまでの道のりに「コンボ対策を破る」が追加される場合だ。限定的な場面で役に立つカードを即サイドインしてメインのカードを抜いてしまうのは間違っている。
サイドボーディングとサイドボード構築では、目の前に向かい合う対戦相手に対してなぜ勝てるのかを明らかにしなきゃならない。それが分かったら、勝利へのプランに合わないカードを抜き、特にそのマッチアップでのプランに合ったカードを入れよう。
そう、言うは易しだね。だけどこれは覚えておいてほしい。あるカードをサイドインすべきかどうか分からないとき、勝利までのプランをどうサポートしてくれるかはっきり見えないなら入れない方がいい。
マリガン判断
相手が何を使っているか分かっているなら、その相手に対するWhy You Winに気を配ろう。分かりやすいこともあるね――ベルチャー相手の後攻なら、Force of Willをキャストできるから勝つ。ならばウィルを求めてマリガンだ。
奇跡を使っている場合、たいていは独楽がデッキを超強化するから勝つ。だから土地と独楽という初手はほとんどの場合キープだ。(ベルチャーみたいな)特別な場合を除いてね。
勝つために特殊なゲームプランが必要になることもある。例えばEsper Deathbladeの初手が土地3枚、手札破壊2枚、死儀礼1枚、ジェイス1枚だったとしよう。通常これは素晴らしい手札だ――相手の手札を攻めて3ターン目ジェイスで勝ち――しかし相手がマーフォークだとジェイスへの妨害を引かれる可能性が高く、Deathbladeが勝つのは難しくなる。この場合は石鍛冶を解決させてバターを出すか大量のソープロと瞬唱のキャストによって勝つことになる。ハンデス死儀礼ジェイスという手札はこのゲームプランとは程遠く、したがってマリガンすべきだ。
ゲーム中の判断
どんなデッキを使っていたとしてもゲーム中の判断はWhy You Winの影響を受けるはずだ。あらゆるデッキが少なくとも1つは勝利への道筋を持っている。それに従うのが重要だ。ベルチャーはスピードによって勝つ。だからオールインすべきかどうかという選択の余地はない。スニークショーは巨大生物を可能な限り早く叩きつけることで勝つ。だから全てのアクションはその瞬間に向かっていくべきだ。
多くのデッキ(「一直線」ではないデッキ)には進める方向が複数ある。そういうデッキにとって各マッチアップでWhy You Winを考えることは特に重要だ。その考え次第でゲーム全体の流れが決まる。
例えばRUG Delverを使っていて初手にStifleとデルバーがあるとしよう。すぐにデルバーを出すべきだろうか、それともフェッチを止めるために土地を立てておくべきだろうか?
マッチアップによって答えは変わる。相手がZooの場合は純粋なデルバービートで勝利できる可能性は極めて低い。Zooが動き出せば虫を殺すかダメージレースを仕掛けてくることがほとんどだろう。一方でZooは土地がとても少なく、さらにフェッチを多く積んでいる。通常、RUG側の最善手はZooをマナスクリューさせて時間を稼ぎ、カウンターによる防御付きのデルバーを展開することだ。
一方、相手がハイタイドの場合は土地を止めることが勝利にまったく結びつかない。ハイタイドには基本土地とフェッチがたくさん入っていて、大量のキャントリップで追加の土地を探すのも容易だ。ハイタイドに対しては、ソフトカウンターをケアできないほどこちらのクロックのプレッシャーが大きいから勝つんだ。そのため1ターン目にデルバーを展開してStifleはその後のフェッチを止めるために使うのが正しいプレイになる。
もう勝てたかな?
まとめると、Why You Winは自分のデッキにとって正しい土俵を選び、こちらの強みと相手の弱みが出る状況を作るための考え方だ。
盤面を支配できるから、あるいは妨害パーマネントの組み合わせで相手をロックできるから勝つデッキがある。相手を押しつぶすほどのカードアドバンテージで勝つデッキもある。相手のボードでは何もできないように妨害して合間に出した生物で勝つデッキもあるし、相手よりも良い手札を揃えることで勝つデッキもある。
自分のデッキがなぜ勝てるのかを理解することはプレイングと構築を最適化するための文字通り足場になる。一般的にも、目の前のマッチアップにおいても、常に自分のプランが何なのかを把握しよう。見極めたゴールに向かう判断をしていこう。
今日はこの辺で。すごく基本的な話だったけど楽しんでもらえたら嬉しいよ――ご意見があればどうぞコメントを。
また次回。Win your way!
Carsten Kotter
【翻訳】Thoughtseize You - Reid Duke
2013年12月18日 翻訳(プレイング) コメント (10)StarCityGamesより。
思考囲い入門。
初めてデュレスを見たときのワクワクは今も忘れません。
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Thoughtseize You
REID DUKE
2013/09/05
http://www.starcitygames.com/article/26855_Thoughtseize-You.html
思考囲いはマジックを象徴するカードの1枚だ。思考囲い自体は全てのフォーマットでリーガルというわけではないが、DuressやInquisition of Kozilek、その他多くのいわゆる「囲い効果」は多かれ少なかれどんなところでも目にするものだ。テーロスで思考囲いが再録されるにあたり、その存在感はこれまで以上に大きく感じられ、今後数年の間トーナメントで必ず目にすることになるのは間違いない。思考囲いの使い方を理解することはトーナメントプレイヤーが成功するのに不可欠だろう。
今日の記事では、デッキ構築からプレイ中のサイドボーディングまで、Thoughtseizeについて知るべき全ての事柄をカバーしようと思う。
思考囲いのリスク
1対1交換
思考囲いはゲームにおいて何をするのか、それを理解するのが最初のステップだ。囲いはレガシーやヴィンテージにおいてさえ素晴らしい仕事をする超高効率カードのように見えるが、このカードには重大なコストもつきまとう。
カードアドバンテージの観点から見れば、思考囲いがすることは1対1交換――直接はアドバンテージを得られない。というわけで、思考囲いについてまず初めに考えることはあなたのデッキが1対1交換を欲しているかどうかだ。この観点ではジャンドや青黒コントロールは有望だろう。しかしどのデッキにもフィットするわけではない。
初心者デッキビルダーが陥りがちな落とし穴でよく見かけるのは、大量の火力と大量の囲い効果を搭載した黒赤デッキを作ってしまうことだ。マジックのフレイバー的には黒と赤を組み合わせるのは自然で、囲い効果と火力は黒と赤を象徴する能力だからだ。
しかし現実には、思考囲いは間違いなくバーンデッキが欲しているものではない。バーンの強みは対戦相手が通常の方法で干渉するのが難しいところにある。そのため、バーンのゲームプランに必要なカードの枠に代わりに思考囲いを入れてしまうと、まさに対戦相手がしたいこと――あなたと1対1交換をすること――をさせてしまうことになる。
僕の経験では、囲いを入れたバーンというのは相手のライフを5まで落とすことは素晴らしく得意だが、そこからゲームに勝つのが苦手なデッキだ。
緑単ランプやケッシグランプのようなランプ戦略にも同じことが言える。これらのデッキは大部分のカードをマナ加速に割いており、戦略を機能させるためにはマナ以外のカードはどれもゲームに非常に強いインパクトを与える必要がある。そのため、相手のスペル1枚との交換(しかもこちらより多くのスペルを持っている相手との交換)を目的とする思考囲いのようなカードはお呼びでない。
上に挙げたようなデッキでも、特にサイド要員として特定の目的のために思考囲いを採用することは考えられる。しかし、囲いを入れるコストは「高くつく」ということを理解するのは大切だ。
冗長性
1対1交換がフィットするデッキにとって、思考囲いは効率性と信頼性の高い魅力的なカードだ。しかし、それでも全ての状況で完璧ではない。
テンポの観点から見れば、思考囲いはボードには影響を与えず、相手がマナを費やしたカードとの交換をするわけでもない――厳密に言えば、思考囲いをキャストすることであなたは僅かなビハインドを背負うことになる。
そのため、思考囲いは冗長性の高いデッキに対してはとてもひどいカードになる。マジックのデッキにおける冗長性とは、カードの交換可能性のことだ。双子デッキは勝つために1枚のDeceiver Exarchと1枚のSplinter Twin、コンボを守るための1枚の軽いカウンターを必要とするため、冗長性の低いデッキだ。このようなデッキに対して思考囲いは素晴らしい働きをする。Exarchを1枚抜いてしまえば、そこからリカバーできるカードは双子デッキにはとても少なく、そしてリカバーできなければデッキはほとんど機能しない。
正反対の例はとても基本的なクリーチャーデッキだ――白ウィニーや緑単アグロのような。20枚の森と40枚のKalonian Tuskerというデッキに対しては思考囲いのパフォーマンスは最悪だ。Kalonian Tuskerを手札から1枚抜かれたとしても、単に別の1枚をプレイすればよい。さらに悪いことに、囲いは手札を効果的に攻められないばかりか、ボードの遅れを取り戻す役にも立たない。相手がマナを払ってから対処できるのでDoom Bladeの方が良いだろうし、どんな状況であれクリーチャーの方が良いだろう。
空振り
思考囲いを空振りする可能性についてここまで触れていなかったが、これは過小評価しがちな巨大なリスクだ。マジックのゲームは紙一重で決まる。あなたがマリガンしたとき、2対1交換をされたとき、あるいは何らかのカードディスアドバンテージを背負ったとき、対等な状況に復帰するために素晴らしいプレイをしなければならないというプレッシャーに襲われる。もしそれができず、お互いの引きが同レベルであればあなたは負けるだろう。特にリミテッドやジャンドミラーのような消耗戦では思考囲いの空振りは大げさでもなんでもなく最悪だ。思考囲いをデッキに入れるには、空振りのリスクがとても小さいかヒットしたときの見返りがとても大きいかのいずれかが必要だ。
思考囲いというカードが他の囲い系カードより優れている理由が空振りのリスクだ。僕が脳食願望を構築トーナメントで使ったことがない理由、Duressがサイドボードに追いやられている理由もこれだ。
トップデッキにやられる
囲いとよく似ていてこちらも象徴的なカウンターと比較をしてみよう。
囲いのアドバンテージは:
* カウンターは特定のタイミングで使う必要があるが、思考囲いは都合の良いタイミングで使える。
* 相手の手札を見られる。
* 囲い系スペルは非常に軽い。
* カウンターされにくい。
カウンターのアドバンテージは:
* 相手がマナをつぎ込んでから回答できる。
* トップデッキに対して防御できる。
ゲームがグダってトップ勝負になると、思考囲いを入れたことを後悔することになるだろう。手札が空の(あるいは土地だけの)相手に対して思考囲いを引くのは空振りするのと同じだ。
「ゲームをトップ勝負に持ち込む働きをしつつ、自身をトップするのは最悪」というのは思考囲いの残念な性質だ。
デッキ構築中やサイドボーディング中に、トップ勝負になる可能性がどの程度あるかよく考えてほしい。トップ勝負に持ち込むことがゴールになることもある(ジャンド、ジャンク、Poxのようなデッキはこれをゴールにすることが多い)。もしトップ勝負になりやすそうなら、終盤に引くと弱いカードで自分のデッキをどこまで薄めることができるかを次に考えてほしい。
思考囲いのリスクとリターンを単純なやり方で見積もるなら、囲いは初手にあれば素晴らしいがそれ以外のタイミングでは良くないカードだとみなすと良い。プレイを始める前にゲームが何ターンぐらい続きそうか予想し、1ゲーム中に何枚ぐらいのカードを見ることになりそうか計算する。そして、初手として引くカードの枚数(願わくば7枚だね)と、ゲームを通してライブラリトップから引くことになるカードの枚数を比較する。
この比が大きい場合、例えば速いコンボデッキとの対戦のような場合は、思考囲いが輝く可能性は高い。直感に反してモダンのジャンドでInquisition of Kozilekが親和やバーン相手に素晴らしいカードになるのはまさにこれが理由だ(思考囲いのライフロスはケースバイケースで評価すべきで、こういったデッキ相手には大きなコストになる)。比が小さい場合、例えばジャンドミラーのような場合、思考囲いは重荷になる可能性が高い。
ここ数年の僕のモダンジャンドミラーの勝率には自信がある。僕がやっていたのはThoughtseize、Inquisition of Kozilek、Duressを全てサイドアウトして、トップするのが嬉しいカードを入れることだ。ほとんど例外なくターン4か5までには両プレイヤーの手札は空になり、その状況で6枚の死に札がデッキに入っている相手に対して、こちらが長期戦を勝てる確率はかなり高くなる。
まとめると、1対1交換をする気のないデッキに思考囲いを入れることには慎重になろう。冗長性の高いデッキに溢れたメタゲームでは思考囲いの価値は低い。そのようなデッキ相手やトップ勝負になりそうなマッチアップでは思考囲いはサイドアウトしよう。
囲い系スペルはメインに5枚か6枚まで、メインとサイド合わせて7枚までにしておくことをオススメする。これは僕が個人的に全てのフォーマットで守っている最大枚数だ。
思考囲いの恩恵
あなたのデッキに囲い系スペルを満載することの危険性をここまで述べてきた。これだけの弱点にもかかわらず思考囲いがデッキビルダーにとって最高のツールであるのはなぜなのか、これから説明しよう。
シナジーを破壊する
デッキ構築における僕の信条は、それ単独でメリットがあり強力なカードに目を向けるということだ。とはいえこれがマジックのデッキを構築する唯一の方法というわけではない。実際、僕の友人でチームメイトのSam Blackは全く違うアプローチを採り、カード同士の相互作用によって優位に立つことを良しとする。このアプローチには多くの利点がある。Samが場に並べたBonescythe Sliver、Megantic Sliver、Syphon Sliver、Galerider Sliverの前に僕のタルモは棒立ちしてしまう(僕がSamの創造力をバカにするのは分かりやすい例として引き合いに出すときだけだ)。
丸いRock的な戦略で、より強力なシナジーベースのデッキを打ち破ることを可能にするのが思考囲いのようなカードだ。思考囲いは素早く効率的にリソースを交換する手段を提供する。Galerider Sliverが単独で場に出ざるをえない状況にいったんしてしまえば、より強力なあなたのカードで局地戦に勝利していくことができるだろう。囲い効果によって、Doom BladeやNaturalizeのような限定的な回答カードよりもうまくシナジーを崩すことができる。生物ベースの戦略にも、コントロールにも、コンボにも有効なためだ。
特定の脅威に回答する
リミテッドマッチのゲーム1を相手のPrimeval Bountyによって落としたとき、最初にすることは何だろう?「自分を気の毒に思う」とか「ため息をつきながらブツブツ言う」とかかもしれない。そうだとして、次にすることは何だろう?NaturalizeやSolemn Offering、Bramblecrushのようなエンチャント除去を求めて自分のサイドボードを必死に探しまわることじゃないかと思う。
だが黒赤デッキを使っていることもある。
そう、他に対処方法がない問題カードに対して囲い効果は素晴らしい回答手段になる。サイドにGolgari Charmを入れる前の僕のスタンダードのジャンドでは、赤単アグロに対してDuressをサイドインしていた。Burning Earthを落とし、2枚目を引かれる前にゲームに勝つことが狙いだ。完璧なプランではないが、単に諦めるよりはずっと良い!
加えて、単純にキャストされてからでは回答不能なカードもある。Supreme Verdictを相手に懸命に戦う黒白トークンデッキを想像してほしい。ベストな回答は思考囲いで評決を抜いてしまうことだ!
思考囲いをデッキに入れているとき、僕は落ち着いていられる。相手が投げつけてくる脅威のほぼ全てに少なくとも回答することは可能だと知っているためだ。後で述べるゲームプレイの章で、「特定の脅威に回答する」というコンセプトについてはもう一度触れようと思う。
相手の手札を見る
相手の手札を見ることに確固とした価値を置くことは難しいが、多くのプレイヤーが過小評価している大きなアドバンテージが得られると僕は思っている。
相手の動きを読むコツを掴む前、僕は正確な良いプレイをするテクニックを磨こうとするプレイヤーだった。たぶんこれはMO出身ということから来ているか、あるいは単に内向的な性格のためかもしれない。しかしいずれにせよ、Gitaxian Probeが印刷され、それを自分の全てのデッキに入れてから僕はそれまでよりも勝てるようになった。
ギタ調はフィットしないとみんなが思うだろうデッキ、青黒コントロールやCaw-Bladeにも僕はそれを入れてみた。すると、隠されていた情報が全て明らかになれば簡単に勝利への道筋を見つけられることに気づいた。
相手の手札を見る能力はとても強力で、それが生死を分かつマッチアップもある。一つの例ではあるが、Duressを撃って前方確認、何もないことを確かめてイージーウィンしたストームプレイヤーと、カウンター満載のハンドを見てさらなる妨害をじっと待つべきだと知ったストームプレイヤーの違いについて考えてみてほしい。
穴を作る
相手の手札を見る能力に続いて、思考囲いを他の似た効果、Hymn to TourachやCabal Therapy、Counterspellとは一線を画したものにしている真のカギがこれだ。あなたは相手の手札を見て、ゲームについて考え、「それから」どれを落とすか決める。
冗長性の話に戻ろう。冗長性が非常に高く思考囲いが重荷になるデッキの例としてKalonian Tuskerだけのデッキについて述べた。しかし、このようなデッキが驚くほど思考囲いに弱い場合がある。緑単アグロだけに話を限っても、マナカーブに沿って1マナから4、5、6マナへと順次クリーチャーをプレイしようとするだろう。コンバットトリックやOverrunのようなフィニッシャーを持っているかもしれないし、ユーティリティやプレインズウォーカーがあるかもしれない。
思考囲いを撃ったとき、どのリソースが、どのカテゴリーのカードが相手にとって不足しているかが見える。そこを狙う。
小粒なクリーチャーが多い手札を見たなら、Giant Growthを落としてあなたのSengir Vampireの安全を確保できる。大きなフィニッシャーが多い手札を見たなら、軽いスペルを落として序盤に攻勢を仕掛けることができる。
思考囲いはテンポ面でビハインドになるとも述べたが、これは机上論であることが多い。思考囲いで相手のマナカーブを崩すことができるためだ。序盤に囲いを撃ち、その後のターンに相手が使える強いカードが1枚だけなら(それをプレイされる前に倒せないなら)、それを捨てさせて相手のマナを無駄にさせることができる。
ゲームプレイ:思考囲いをキャストする
コントロールデッキに穴を作る
冗長性の話とともに生物によるビートダウンデッキについて議論し、シナジー満載のコンボデッキについても議論してきた。相手にしたときに思考囲いが真に輝く3つ目のデッキカテゴリーが、受動的なコントロールデッキだ。
コントロールデッキは単体で強力なカードをよく使うが、正しく機能するためには各種カードを正しい割合で配合する必要がある。例えば、クリーチャーに対する防御が不十分なら速いラッシュに負けてしまう。カウンターがなければプレインズウォーカーに負けてしまう。フィニッシャーがなければマナフラッドして終盤戦を勝てなくなってしまう。コントロールとの対戦では穴を作ることが最も重要になる。
カードプールが広がるにつれて、コントロールに対する思考囲いの強さは増すと思っている。特にプレインズウォーカーと同時に使うのが強い。スタンダードでもモダンでも、僕は青白赤のようなコントロールデッキに対してジャンドを使うのが好きだ。採りうるアプローチがたくさんあり、最良を探すチャレンジは楽しい。
(サイド後の)スタンダードのジャンドには、強力なクリーチャー、プレインズウォーカー、Rakdos’s Return、Underworld Connections、さらに酸スラやルーリク・サーのような別の角度からの攻撃まで入る!たしかに青赤白にはこれら全てに回答する手段が入っているが、それらを常に適切なタイミングで手に入れることは難しい。あなたがDuressを使えばそれはほとんど不可能になる。
Duressをキャストすると相手の弱点が見える。相手が除去を大量に持っているなら、クリーチャーで相手を倒そうと悩むべきではない――カウンターを落としてRakdos’s Returnを解決させよう。また、先攻1ターン目にDuressを撃ち、相手がDissipateをたくさん持っているのが見えたなら、Detention Sphereを落として最初の3ターンの間に出せる脅威に目を向けよう。
例:あなたは2枚、相手は1枚の土地を出している。あなたの2ターン目にDuressを撃った。両者の手札はこのようなものだ。
一般にUnderworld Connectionsは青白赤に対して最高のカードの一つだが、この状況ではひとまずしばらくはそれを無視することがカギになる。このDuressは対戦相手の強みと弱み――たくさんのカウンターと解決したクリーチャーへの回答の少なさ――を明らかにしてくれた。この例では、僕ならWarleader’s Helixを抜き、洞窟から狩達を解決させにいく。
狩達は単純にこのマッチアップで最高のカードの一つであるだけでなく、この状況にぴったりのカードだ。対戦相手が狩達への回答をトップする可能性は高いが、少なくともSupreme VerdictやThundermaw Hellkiteのためにはタップアウトしなければならず、これだけ多くのカウンターを握られていてもこちらのスペルを通せるタイミングはあるということが分かる。これらのカウンターに正面から突っ込んで強引に通そうとしてもうまくいく可能性は低い。
特定の脅威に回答する
思考囲いのプレイングは2つの問いに帰着する――いつキャストするか、そしてどのカードを抜くか。2つの問いは関連している。
マッチアップが分かったら、思考囲いで落とすべき最も重要なカードは何か自問しよう。上で述べたリミテッドマッチの例では、相手のPrimeval Bountyを抜くために僕はDuressをサイドインした。Duressを撃つベストなタイミングは相手が6マナに届く直前になる。相手がBountyを手札に持っている可能性が最も高いタイミングだからだ。
こちらがジャンドを使っていて、相手がやっかいなAuriok Champion入りの黒白トークンを使っている場合、思考囲いを撃つのは後攻なら1ターン目、先攻なら2ターン目だ。
相手が持っているだろう能動的な問題カードの例を挙げてきたが、相手にその問題カードをキャストするチャンスを与えないように、かつ可能な限り遅いタイミングで思考囲いをキャストするのが正解だ。実際には相手が複数の問題カードを入れていることがよくあることにも気をつけよう。この場合は臨機応変に対応する必要がある。さっきのPrimeval Bountyのプレイヤーは緑白を使っており、同時にAjani, Caller of the Prideもデッキに入れているとしよう。Duressを撃つのに長く待ちすぎるのは愚かで、プレインズウォーカーを出されてPrimeval Bountyなしでもゲームに負けることになってしまう!
さらに面白いのは受動的な問題カードに対処するときだ。記事の最初の方で、ケッシグランプは1対1交換をしたいデッキではないので思考囲いを入れるのは得策でないと書いたのを覚えているかな?このケッシグランプはDissipateに本当に苦労するデッキで、本来の狙いである緑タイタンの解決のためにDissipateを落とす目的でサイドに思考囲いを入れる必要がある。
このケースでは、タイタンをキャストする直前あるいはまさにキャストするターンまで思考囲いを我慢すべきだ。1ターン目に囲いを撃ち、それから相手にDissipateを引かれるのは最悪だろう。5ターン目にタイタンを持っていないが引きたい状況、あるいはタイタンと思考囲いと6マナはあるが7枚目の土地がない状況はもう少し複雑だ。このような状況では、どの程度相手に押されているか、どの程度我慢ができるかに応じてケースバイケースで対応するしかない。
強引に一般論を言えば、一つ目の例では僕はタイタンを引くまで囲いを我慢するだろう。二つ目の例では土地を引こうが引くまいが次のターンにタイタンをプレイできるようにすぐ囲いを撃つだろう。
ここまでに挙げた例の中で、1ターン目に囲いを撃つべき場面はAuriok Champion入りのデッキ相手に後攻の場合だけだったことに注目してほしい。特別な理由が無い限り、思考囲いは最速で撃つべきではないということだ。
目指すべきゴールが明確になっていない状況で思考囲いをどう使うかについて、一般的な指針をいくつか示して今日の記事を締めくくろうと思う。
効果的な思考囲い:いつキャストすべきか
自分のゲームプランを崩してまで囲うのはやめよう。思考囲いは都合の良いときに使える単なる便利なツールの一つであるべきで、使用者に道を踏み外させるようなカードにしてしまうべきではない。特に理由がなければ僕は思考囲いではなくクリーチャーをプレイする。特に理由がなければ僕は思考囲いよりもタップインランドの処理を選ぶ。1ターンの経過で囲いの価値が上がるか下がるかは分からない。だから、よりシビアなタイミングを要求されるプレイ(クリーチャーのキャスト)を優先するし、思考囲いをいち早く撃つために痛い代償(ショックランドの2点)を支払うこともしない。
例:あなたはモダンのジャンドをプレイしている。何を使っているか不明な相手に対して先攻のあなたの手札がこれだ:
このケースでは、僕ならBlood Cryptをタップインで出す。相手がなにもしなかった場合、2ターン目に囲いを撃ってOvergrown Tombをタップインで出す。何が何でも止めなければならない相手の1ターン目のプレイというのは想像できない。相手が死儀礼を出してきても2ターン目に稲妻で焼きつつ囲うことができる。相手から囲いが飛んできてもこちらの手札の冗長性は高く、突然死することはないだろう。相手がSerum VisionsをキャストしたりSpell Snareを構えたりしてきてもどうということはなく、たぶんその可能性について考えることもしないだろう。
次のターンに2マナ生物をトップした場合、1ターン目に囲いを我慢したことが少し裏目に出る。だがジャンドは急いでラッシュを仕掛ける必要のあるデッキではない。ライフは重要で、「土地で自分に2点、思考囲いで自分に2点、ボブをキャスト」のようなプレイが良いかどうかはマッチアップ次第だ。思考囲いを1ターン待つという小さなコストにより、2ライフと追加の情報が得られる。
効果的な思考囲い:何を抜くべきか
思考囲いをキャストすべきタイミングは、最終的に囲いの効果自体によって明らかになる。しかしここでは目指すべきゴールが明確になっていない。そんなときは相手の手札を見て、穴を作れるかどうかを考えよう。弱点を作り、それを活用することを考えるんだ。それができなかったとしても問題ない。何かに縛られたり辛抱することはない――最強のカードを抜くんだ!
モダンでは、青いミッドレンジやコントロールデッキに対して囲いで抜きたいカードランキングが自分の中にある。明らかな抜くべきカードが無い場合は瞬唱を落とす。瞬唱がない場合は青コマを抜く。青コマがない場合はSphonx’s Revelationのような終盤に強いカードを落とす。
相手をマナスクリューさせようとは決してしないというルールも自分に課している。経験上この作戦は信頼できない。親和に対してMox Opalや太鼓を抜くことはしない。土地1枚とSerum Visionsという手札をキープした相手に対しても、大量のプレッシャーを出して早期戦を仕掛けられる場合以外はたいてい瞬唱を落とす。相手は結局マナスクリューから抜けだしてしまい、もっと強力なカードを落とさなかったことを後悔することになる。もしスクリューから抜け出せないようなら、どのみち勝っている。
まとめ
この入門記事が少しでも思考囲いを理解する役に立つことを願っている。このカードは信じられないほどパワフルなツールで、全てのトーナメントプレイヤーはいつ、どのように使うかを知っているべきだ。一方で、囲いには相当量のリスクもつきまとう。
まとめると:
* 思考囲いはどんなデッキにも合うわけではない。
* 冗長性の高いデッキ相手やトップ勝負になりやすいゲームではサイドアウトしよう。
* 思考囲いで一番抜きたいカードが何なのか前もって考えよう。囲い以外では対処が難しいカードに回答するために使おう。
* 思考囲いをキャストしたら穴を作ろうとしよう。弱点を探してそこを攻めよう。
* 不確かな状況では、都合の良いときに思考囲いをキャストして相手の最強カードを抜くことで最高の価値を得よう。
このTipsを心に留めれば思考囲いといろいろなフォーマットで長く良い付き合いができるだろう。
思考囲い入門。
初めてデュレスを見たときのワクワクは今も忘れません。
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Thoughtseize You
REID DUKE
2013/09/05
http://www.starcitygames.com/article/26855_Thoughtseize-You.html
思考囲いはマジックを象徴するカードの1枚だ。思考囲い自体は全てのフォーマットでリーガルというわけではないが、DuressやInquisition of Kozilek、その他多くのいわゆる「囲い効果」は多かれ少なかれどんなところでも目にするものだ。テーロスで思考囲いが再録されるにあたり、その存在感はこれまで以上に大きく感じられ、今後数年の間トーナメントで必ず目にすることになるのは間違いない。思考囲いの使い方を理解することはトーナメントプレイヤーが成功するのに不可欠だろう。
今日の記事では、デッキ構築からプレイ中のサイドボーディングまで、Thoughtseizeについて知るべき全ての事柄をカバーしようと思う。
Thoughtseize / 思考囲い (B)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは手札を公開する。あなたはその中から土地でないカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーはそのカードを捨てる。あなたは2点のライフを失う。
思考囲いのリスク
1対1交換
思考囲いはゲームにおいて何をするのか、それを理解するのが最初のステップだ。囲いはレガシーやヴィンテージにおいてさえ素晴らしい仕事をする超高効率カードのように見えるが、このカードには重大なコストもつきまとう。
カードアドバンテージの観点から見れば、思考囲いがすることは1対1交換――直接はアドバンテージを得られない。というわけで、思考囲いについてまず初めに考えることはあなたのデッキが1対1交換を欲しているかどうかだ。この観点ではジャンドや青黒コントロールは有望だろう。しかしどのデッキにもフィットするわけではない。
初心者デッキビルダーが陥りがちな落とし穴でよく見かけるのは、大量の火力と大量の囲い効果を搭載した黒赤デッキを作ってしまうことだ。マジックのフレイバー的には黒と赤を組み合わせるのは自然で、囲い効果と火力は黒と赤を象徴する能力だからだ。
しかし現実には、思考囲いは間違いなくバーンデッキが欲しているものではない。バーンの強みは対戦相手が通常の方法で干渉するのが難しいところにある。そのため、バーンのゲームプランに必要なカードの枠に代わりに思考囲いを入れてしまうと、まさに対戦相手がしたいこと――あなたと1対1交換をすること――をさせてしまうことになる。
僕の経験では、囲いを入れたバーンというのは相手のライフを5まで落とすことは素晴らしく得意だが、そこからゲームに勝つのが苦手なデッキだ。
緑単ランプやケッシグランプのようなランプ戦略にも同じことが言える。これらのデッキは大部分のカードをマナ加速に割いており、戦略を機能させるためにはマナ以外のカードはどれもゲームに非常に強いインパクトを与える必要がある。そのため、相手のスペル1枚との交換(しかもこちらより多くのスペルを持っている相手との交換)を目的とする思考囲いのようなカードはお呼びでない。
上に挙げたようなデッキでも、特にサイド要員として特定の目的のために思考囲いを採用することは考えられる。しかし、囲いを入れるコストは「高くつく」ということを理解するのは大切だ。
冗長性
1対1交換がフィットするデッキにとって、思考囲いは効率性と信頼性の高い魅力的なカードだ。しかし、それでも全ての状況で完璧ではない。
テンポの観点から見れば、思考囲いはボードには影響を与えず、相手がマナを費やしたカードとの交換をするわけでもない――厳密に言えば、思考囲いをキャストすることであなたは僅かなビハインドを背負うことになる。
そのため、思考囲いは冗長性の高いデッキに対してはとてもひどいカードになる。マジックのデッキにおける冗長性とは、カードの交換可能性のことだ。双子デッキは勝つために1枚のDeceiver Exarchと1枚のSplinter Twin、コンボを守るための1枚の軽いカウンターを必要とするため、冗長性の低いデッキだ。このようなデッキに対して思考囲いは素晴らしい働きをする。Exarchを1枚抜いてしまえば、そこからリカバーできるカードは双子デッキにはとても少なく、そしてリカバーできなければデッキはほとんど機能しない。
正反対の例はとても基本的なクリーチャーデッキだ――白ウィニーや緑単アグロのような。20枚の森と40枚のKalonian Tuskerというデッキに対しては思考囲いのパフォーマンスは最悪だ。Kalonian Tuskerを手札から1枚抜かれたとしても、単に別の1枚をプレイすればよい。さらに悪いことに、囲いは手札を効果的に攻められないばかりか、ボードの遅れを取り戻す役にも立たない。相手がマナを払ってから対処できるのでDoom Bladeの方が良いだろうし、どんな状況であれクリーチャーの方が良いだろう。
空振り
思考囲いを空振りする可能性についてここまで触れていなかったが、これは過小評価しがちな巨大なリスクだ。マジックのゲームは紙一重で決まる。あなたがマリガンしたとき、2対1交換をされたとき、あるいは何らかのカードディスアドバンテージを背負ったとき、対等な状況に復帰するために素晴らしいプレイをしなければならないというプレッシャーに襲われる。もしそれができず、お互いの引きが同レベルであればあなたは負けるだろう。特にリミテッドやジャンドミラーのような消耗戦では思考囲いの空振りは大げさでもなんでもなく最悪だ。思考囲いをデッキに入れるには、空振りのリスクがとても小さいかヒットしたときの見返りがとても大きいかのいずれかが必要だ。
思考囲いというカードが他の囲い系カードより優れている理由が空振りのリスクだ。僕が脳食願望を構築トーナメントで使ったことがない理由、Duressがサイドボードに追いやられている理由もこれだ。
トップデッキにやられる
囲いとよく似ていてこちらも象徴的なカウンターと比較をしてみよう。
囲いのアドバンテージは:
* カウンターは特定のタイミングで使う必要があるが、思考囲いは都合の良いタイミングで使える。
* 相手の手札を見られる。
* 囲い系スペルは非常に軽い。
* カウンターされにくい。
カウンターのアドバンテージは:
* 相手がマナをつぎ込んでから回答できる。
* トップデッキに対して防御できる。
ゲームがグダってトップ勝負になると、思考囲いを入れたことを後悔することになるだろう。手札が空の(あるいは土地だけの)相手に対して思考囲いを引くのは空振りするのと同じだ。
「ゲームをトップ勝負に持ち込む働きをしつつ、自身をトップするのは最悪」というのは思考囲いの残念な性質だ。
デッキ構築中やサイドボーディング中に、トップ勝負になる可能性がどの程度あるかよく考えてほしい。トップ勝負に持ち込むことがゴールになることもある(ジャンド、ジャンク、Poxのようなデッキはこれをゴールにすることが多い)。もしトップ勝負になりやすそうなら、終盤に引くと弱いカードで自分のデッキをどこまで薄めることができるかを次に考えてほしい。
思考囲いのリスクとリターンを単純なやり方で見積もるなら、囲いは初手にあれば素晴らしいがそれ以外のタイミングでは良くないカードだとみなすと良い。プレイを始める前にゲームが何ターンぐらい続きそうか予想し、1ゲーム中に何枚ぐらいのカードを見ることになりそうか計算する。そして、初手として引くカードの枚数(願わくば7枚だね)と、ゲームを通してライブラリトップから引くことになるカードの枚数を比較する。
この比が大きい場合、例えば速いコンボデッキとの対戦のような場合は、思考囲いが輝く可能性は高い。直感に反してモダンのジャンドでInquisition of Kozilekが親和やバーン相手に素晴らしいカードになるのはまさにこれが理由だ(思考囲いのライフロスはケースバイケースで評価すべきで、こういったデッキ相手には大きなコストになる)。比が小さい場合、例えばジャンドミラーのような場合、思考囲いは重荷になる可能性が高い。
ここ数年の僕のモダンジャンドミラーの勝率には自信がある。僕がやっていたのはThoughtseize、Inquisition of Kozilek、Duressを全てサイドアウトして、トップするのが嬉しいカードを入れることだ。ほとんど例外なくターン4か5までには両プレイヤーの手札は空になり、その状況で6枚の死に札がデッキに入っている相手に対して、こちらが長期戦を勝てる確率はかなり高くなる。
まとめると、1対1交換をする気のないデッキに思考囲いを入れることには慎重になろう。冗長性の高いデッキに溢れたメタゲームでは思考囲いの価値は低い。そのようなデッキ相手やトップ勝負になりそうなマッチアップでは思考囲いはサイドアウトしよう。
囲い系スペルはメインに5枚か6枚まで、メインとサイド合わせて7枚までにしておくことをオススメする。これは僕が個人的に全てのフォーマットで守っている最大枚数だ。
思考囲いの恩恵
あなたのデッキに囲い系スペルを満載することの危険性をここまで述べてきた。これだけの弱点にもかかわらず思考囲いがデッキビルダーにとって最高のツールであるのはなぜなのか、これから説明しよう。
シナジーを破壊する
デッキ構築における僕の信条は、それ単独でメリットがあり強力なカードに目を向けるということだ。とはいえこれがマジックのデッキを構築する唯一の方法というわけではない。実際、僕の友人でチームメイトのSam Blackは全く違うアプローチを採り、カード同士の相互作用によって優位に立つことを良しとする。このアプローチには多くの利点がある。Samが場に並べたBonescythe Sliver、Megantic Sliver、Syphon Sliver、Galerider Sliverの前に僕のタルモは棒立ちしてしまう(僕がSamの創造力をバカにするのは分かりやすい例として引き合いに出すときだけだ)。
丸いRock的な戦略で、より強力なシナジーベースのデッキを打ち破ることを可能にするのが思考囲いのようなカードだ。思考囲いは素早く効率的にリソースを交換する手段を提供する。Galerider Sliverが単独で場に出ざるをえない状況にいったんしてしまえば、より強力なあなたのカードで局地戦に勝利していくことができるだろう。囲い効果によって、Doom BladeやNaturalizeのような限定的な回答カードよりもうまくシナジーを崩すことができる。生物ベースの戦略にも、コントロールにも、コンボにも有効なためだ。
特定の脅威に回答する
リミテッドマッチのゲーム1を相手のPrimeval Bountyによって落としたとき、最初にすることは何だろう?「自分を気の毒に思う」とか「ため息をつきながらブツブツ言う」とかかもしれない。そうだとして、次にすることは何だろう?NaturalizeやSolemn Offering、Bramblecrushのようなエンチャント除去を求めて自分のサイドボードを必死に探しまわることじゃないかと思う。
だが黒赤デッキを使っていることもある。
そう、他に対処方法がない問題カードに対して囲い効果は素晴らしい回答手段になる。サイドにGolgari Charmを入れる前の僕のスタンダードのジャンドでは、赤単アグロに対してDuressをサイドインしていた。Burning Earthを落とし、2枚目を引かれる前にゲームに勝つことが狙いだ。完璧なプランではないが、単に諦めるよりはずっと良い!
加えて、単純にキャストされてからでは回答不能なカードもある。Supreme Verdictを相手に懸命に戦う黒白トークンデッキを想像してほしい。ベストな回答は思考囲いで評決を抜いてしまうことだ!
思考囲いをデッキに入れているとき、僕は落ち着いていられる。相手が投げつけてくる脅威のほぼ全てに少なくとも回答することは可能だと知っているためだ。後で述べるゲームプレイの章で、「特定の脅威に回答する」というコンセプトについてはもう一度触れようと思う。
相手の手札を見る
相手の手札を見ることに確固とした価値を置くことは難しいが、多くのプレイヤーが過小評価している大きなアドバンテージが得られると僕は思っている。
相手の動きを読むコツを掴む前、僕は正確な良いプレイをするテクニックを磨こうとするプレイヤーだった。たぶんこれはMO出身ということから来ているか、あるいは単に内向的な性格のためかもしれない。しかしいずれにせよ、Gitaxian Probeが印刷され、それを自分の全てのデッキに入れてから僕はそれまでよりも勝てるようになった。
ギタ調はフィットしないとみんなが思うだろうデッキ、青黒コントロールやCaw-Bladeにも僕はそれを入れてみた。すると、隠されていた情報が全て明らかになれば簡単に勝利への道筋を見つけられることに気づいた。
相手の手札を見る能力はとても強力で、それが生死を分かつマッチアップもある。一つの例ではあるが、Duressを撃って前方確認、何もないことを確かめてイージーウィンしたストームプレイヤーと、カウンター満載のハンドを見てさらなる妨害をじっと待つべきだと知ったストームプレイヤーの違いについて考えてみてほしい。
穴を作る
相手の手札を見る能力に続いて、思考囲いを他の似た効果、Hymn to TourachやCabal Therapy、Counterspellとは一線を画したものにしている真のカギがこれだ。あなたは相手の手札を見て、ゲームについて考え、「それから」どれを落とすか決める。
冗長性の話に戻ろう。冗長性が非常に高く思考囲いが重荷になるデッキの例としてKalonian Tuskerだけのデッキについて述べた。しかし、このようなデッキが驚くほど思考囲いに弱い場合がある。緑単アグロだけに話を限っても、マナカーブに沿って1マナから4、5、6マナへと順次クリーチャーをプレイしようとするだろう。コンバットトリックやOverrunのようなフィニッシャーを持っているかもしれないし、ユーティリティやプレインズウォーカーがあるかもしれない。
思考囲いを撃ったとき、どのリソースが、どのカテゴリーのカードが相手にとって不足しているかが見える。そこを狙う。
小粒なクリーチャーが多い手札を見たなら、Giant Growthを落としてあなたのSengir Vampireの安全を確保できる。大きなフィニッシャーが多い手札を見たなら、軽いスペルを落として序盤に攻勢を仕掛けることができる。
思考囲いはテンポ面でビハインドになるとも述べたが、これは机上論であることが多い。思考囲いで相手のマナカーブを崩すことができるためだ。序盤に囲いを撃ち、その後のターンに相手が使える強いカードが1枚だけなら(それをプレイされる前に倒せないなら)、それを捨てさせて相手のマナを無駄にさせることができる。
ゲームプレイ:思考囲いをキャストする
コントロールデッキに穴を作る
冗長性の話とともに生物によるビートダウンデッキについて議論し、シナジー満載のコンボデッキについても議論してきた。相手にしたときに思考囲いが真に輝く3つ目のデッキカテゴリーが、受動的なコントロールデッキだ。
コントロールデッキは単体で強力なカードをよく使うが、正しく機能するためには各種カードを正しい割合で配合する必要がある。例えば、クリーチャーに対する防御が不十分なら速いラッシュに負けてしまう。カウンターがなければプレインズウォーカーに負けてしまう。フィニッシャーがなければマナフラッドして終盤戦を勝てなくなってしまう。コントロールとの対戦では穴を作ることが最も重要になる。
カードプールが広がるにつれて、コントロールに対する思考囲いの強さは増すと思っている。特にプレインズウォーカーと同時に使うのが強い。スタンダードでもモダンでも、僕は青白赤のようなコントロールデッキに対してジャンドを使うのが好きだ。採りうるアプローチがたくさんあり、最良を探すチャレンジは楽しい。
(サイド後の)スタンダードのジャンドには、強力なクリーチャー、プレインズウォーカー、Rakdos’s Return、Underworld Connections、さらに酸スラやルーリク・サーのような別の角度からの攻撃まで入る!たしかに青赤白にはこれら全てに回答する手段が入っているが、それらを常に適切なタイミングで手に入れることは難しい。あなたがDuressを使えばそれはほとんど不可能になる。
Duressをキャストすると相手の弱点が見える。相手が除去を大量に持っているなら、クリーチャーで相手を倒そうと悩むべきではない――カウンターを落としてRakdos’s Returnを解決させよう。また、先攻1ターン目にDuressを撃ち、相手がDissipateをたくさん持っているのが見えたなら、Detention Sphereを落として最初の3ターンの間に出せる脅威に目を向けよう。
例:あなたは2枚、相手は1枚の土地を出している。あなたの2ターン目にDuressを撃った。両者の手札はこのようなものだ。
あなたの手札:
《森林の墓地/Woodland Cemetery》
《魂の洞窟/Cavern of Souls》
《地下世界の人脈/Underworld Connections》
《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》
《ラクドスの復活/Rakdos’s Return》
対戦相手の手札:
《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
《断崖の避難所/Clifftop Retreat》
《中略/Syncopate》
《否認/Negate》
《雲散霧消/Dissipate》
《戦導者のらせん/Warleader’s Helix》
《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
一般にUnderworld Connectionsは青白赤に対して最高のカードの一つだが、この状況ではひとまずしばらくはそれを無視することがカギになる。このDuressは対戦相手の強みと弱み――たくさんのカウンターと解決したクリーチャーへの回答の少なさ――を明らかにしてくれた。この例では、僕ならWarleader’s Helixを抜き、洞窟から狩達を解決させにいく。
狩達は単純にこのマッチアップで最高のカードの一つであるだけでなく、この状況にぴったりのカードだ。対戦相手が狩達への回答をトップする可能性は高いが、少なくともSupreme VerdictやThundermaw Hellkiteのためにはタップアウトしなければならず、これだけ多くのカウンターを握られていてもこちらのスペルを通せるタイミングはあるということが分かる。これらのカウンターに正面から突っ込んで強引に通そうとしてもうまくいく可能性は低い。
特定の脅威に回答する
思考囲いのプレイングは2つの問いに帰着する――いつキャストするか、そしてどのカードを抜くか。2つの問いは関連している。
マッチアップが分かったら、思考囲いで落とすべき最も重要なカードは何か自問しよう。上で述べたリミテッドマッチの例では、相手のPrimeval Bountyを抜くために僕はDuressをサイドインした。Duressを撃つベストなタイミングは相手が6マナに届く直前になる。相手がBountyを手札に持っている可能性が最も高いタイミングだからだ。
こちらがジャンドを使っていて、相手がやっかいなAuriok Champion入りの黒白トークンを使っている場合、思考囲いを撃つのは後攻なら1ターン目、先攻なら2ターン目だ。
相手が持っているだろう能動的な問題カードの例を挙げてきたが、相手にその問題カードをキャストするチャンスを与えないように、かつ可能な限り遅いタイミングで思考囲いをキャストするのが正解だ。実際には相手が複数の問題カードを入れていることがよくあることにも気をつけよう。この場合は臨機応変に対応する必要がある。さっきのPrimeval Bountyのプレイヤーは緑白を使っており、同時にAjani, Caller of the Prideもデッキに入れているとしよう。Duressを撃つのに長く待ちすぎるのは愚かで、プレインズウォーカーを出されてPrimeval Bountyなしでもゲームに負けることになってしまう!
さらに面白いのは受動的な問題カードに対処するときだ。記事の最初の方で、ケッシグランプは1対1交換をしたいデッキではないので思考囲いを入れるのは得策でないと書いたのを覚えているかな?このケッシグランプはDissipateに本当に苦労するデッキで、本来の狙いである緑タイタンの解決のためにDissipateを落とす目的でサイドに思考囲いを入れる必要がある。
このケースでは、タイタンをキャストする直前あるいはまさにキャストするターンまで思考囲いを我慢すべきだ。1ターン目に囲いを撃ち、それから相手にDissipateを引かれるのは最悪だろう。5ターン目にタイタンを持っていないが引きたい状況、あるいはタイタンと思考囲いと6マナはあるが7枚目の土地がない状況はもう少し複雑だ。このような状況では、どの程度相手に押されているか、どの程度我慢ができるかに応じてケースバイケースで対応するしかない。
強引に一般論を言えば、一つ目の例では僕はタイタンを引くまで囲いを我慢するだろう。二つ目の例では土地を引こうが引くまいが次のターンにタイタンをプレイできるようにすぐ囲いを撃つだろう。
ここまでに挙げた例の中で、1ターン目に囲いを撃つべき場面はAuriok Champion入りのデッキ相手に後攻の場合だけだったことに注目してほしい。特別な理由が無い限り、思考囲いは最速で撃つべきではないということだ。
目指すべきゴールが明確になっていない状況で思考囲いをどう使うかについて、一般的な指針をいくつか示して今日の記事を締めくくろうと思う。
効果的な思考囲い:いつキャストすべきか
自分のゲームプランを崩してまで囲うのはやめよう。思考囲いは都合の良いときに使える単なる便利なツールの一つであるべきで、使用者に道を踏み外させるようなカードにしてしまうべきではない。特に理由がなければ僕は思考囲いではなくクリーチャーをプレイする。特に理由がなければ僕は思考囲いよりもタップインランドの処理を選ぶ。1ターンの経過で囲いの価値が上がるか下がるかは分からない。だから、よりシビアなタイミングを要求されるプレイ(クリーチャーのキャスト)を優先するし、思考囲いをいち早く撃つために痛い代償(ショックランドの2点)を支払うこともしない。
例:あなたはモダンのジャンドをプレイしている。何を使っているか不明な相手に対して先攻のあなたの手札がこれだ:
《草むした墓/Overgrown Tomb》
《血の墓所/Blood Crypt》
《思考囲い/Thoughtseize》
《稲妻/Lightning Bolt》
《終止/Terminate》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
このケースでは、僕ならBlood Cryptをタップインで出す。相手がなにもしなかった場合、2ターン目に囲いを撃ってOvergrown Tombをタップインで出す。何が何でも止めなければならない相手の1ターン目のプレイというのは想像できない。相手が死儀礼を出してきても2ターン目に稲妻で焼きつつ囲うことができる。相手から囲いが飛んできてもこちらの手札の冗長性は高く、突然死することはないだろう。相手がSerum VisionsをキャストしたりSpell Snareを構えたりしてきてもどうということはなく、たぶんその可能性について考えることもしないだろう。
次のターンに2マナ生物をトップした場合、1ターン目に囲いを我慢したことが少し裏目に出る。だがジャンドは急いでラッシュを仕掛ける必要のあるデッキではない。ライフは重要で、「土地で自分に2点、思考囲いで自分に2点、ボブをキャスト」のようなプレイが良いかどうかはマッチアップ次第だ。思考囲いを1ターン待つという小さなコストにより、2ライフと追加の情報が得られる。
効果的な思考囲い:何を抜くべきか
思考囲いをキャストすべきタイミングは、最終的に囲いの効果自体によって明らかになる。しかしここでは目指すべきゴールが明確になっていない。そんなときは相手の手札を見て、穴を作れるかどうかを考えよう。弱点を作り、それを活用することを考えるんだ。それができなかったとしても問題ない。何かに縛られたり辛抱することはない――最強のカードを抜くんだ!
モダンでは、青いミッドレンジやコントロールデッキに対して囲いで抜きたいカードランキングが自分の中にある。明らかな抜くべきカードが無い場合は瞬唱を落とす。瞬唱がない場合は青コマを抜く。青コマがない場合はSphonx’s Revelationのような終盤に強いカードを落とす。
相手をマナスクリューさせようとは決してしないというルールも自分に課している。経験上この作戦は信頼できない。親和に対してMox Opalや太鼓を抜くことはしない。土地1枚とSerum Visionsという手札をキープした相手に対しても、大量のプレッシャーを出して早期戦を仕掛けられる場合以外はたいてい瞬唱を落とす。相手は結局マナスクリューから抜けだしてしまい、もっと強力なカードを落とさなかったことを後悔することになる。もしスクリューから抜け出せないようなら、どのみち勝っている。
まとめ
この入門記事が少しでも思考囲いを理解する役に立つことを願っている。このカードは信じられないほどパワフルなツールで、全てのトーナメントプレイヤーはいつ、どのように使うかを知っているべきだ。一方で、囲いには相当量のリスクもつきまとう。
まとめると:
* 思考囲いはどんなデッキにも合うわけではない。
* 冗長性の高いデッキ相手やトップ勝負になりやすいゲームではサイドアウトしよう。
* 思考囲いで一番抜きたいカードが何なのか前もって考えよう。囲い以外では対処が難しいカードに回答するために使おう。
* 思考囲いをキャストしたら穴を作ろうとしよう。弱点を探してそこを攻めよう。
* 不確かな状況では、都合の良いときに思考囲いをキャストして相手の最強カードを抜くことで最高の価値を得よう。
このTipsを心に留めれば思考囲いといろいろなフォーマットで長く良い付き合いができるだろう。
StarCityGamesより。
DDFTの紹介と問題集。
最近楽しく練習中なので、ほとんど自分用ですが翻訳してみました。
※2013/10/8 シナリオ4の自分の場に誤りがあったため修正しました。
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Eternal Europe - Judgment Day Puzzling
CARSTEN KOTTER
6/01/12
http://www.starcitygames.com/article/24198_Eternal-Europe---Judgment-Day-Puzzling.html
ブレ。コンボをプレイしているときに一番イラっとくるのがブレだ。
本来あなたは勝っているはずなんだ。やっとの思いで相手のカウンターをかいくぐり、全てのヘイトベアに対処し、そして仕掛ける――そして結局20ライフからアド死したり、Time Spiralで土地を7枚引いたり、Narcomoebaが4枚ともライブラリの下から6枚に居たりする。
どうすればこうならずに済むだろう?
これが起こらず、ANTと同じぐらい速いデッキがあると言ったらどうする?いったん準備が整えば確実に相手を倒せるデッキだとしたら?メインのコンボ中にガドックを除去してそのまま勝てるデッキはどうだい?
プレイしてみたくならないかな?
信じられないって?そりゃそうだ。そんなデッキがあれば間違いなくメタの上位にいるよね?
問題点はこれだ:そのデッキはプレイするのが難しい。
僕が難しいと言うのは、マジで難しいときだ。対照的にANTは易しい。僕がこれまでプレイしてきた中で、そのデッキとタメを張るぐらいやり込みを要求されたのはヴィンテージのGiftsデッキぐらいだ。
分かるかな?僕が言っているのはまぎれもなくDoomsdayのことだ。
今日はこのデッキの基本を紹介し、デッキのパワーと複雑さを示すいくつかのシナリオを見ていこうと思う。
だけど注意してほしい。このデッキをトーナメントに持ち込んで良い結果を出せるレベルまで上達するには、デッキの動かし方について本当にたくさんのことを学ぶ必要がある。このデッキで成功を収めている人たちはふつう何年もやり込んでいるんだ。
僕はそういう人たちの中の一人じゃない。実際僕がこのデッキをテストすると、負けたあとしばらく経ってから実は勝ち筋があった――それを見逃していた――ことに気づくんだ。だから今日は巨人の肩の上に立とうと思う。この記事で提供する情報の多くは、emidlnやnemavera、lejay、その他大勢のストーム板の住人たちの仕事に基づいている。彼らはこのデッキを最高のレベルでプレイする方法を伝えるために頑張っている人たちだ。あなたが真のエキスパートと話をしたいなら彼らはうってつけだと思う。
ここではとりあえず、みんなが僕の話を聞きたいと思ってることにしよう。始めるよ。
頭痛の種
まだみんないるかな?よし、リストを見ることから始めよう:
Doomsday
Tristan Polzl
5thPlace at Miscellaneous on 5/20/2012
Lands (18)
1:《島/Island》
1:《平地/Plains》
1:《沼/Swamp》
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》
1:《Scrubland》
1:《Tundra》
2:《Underground Sea》
2:《Volcanic Island》
1:《Karakas》
Spells (42)
4:《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
2:《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4:《暗黒の儀式/Dark Ritual》
1:《汚物の雨/Rain of Filth》
4:《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4:《渦まく知識/Brainstorm》
4:《思案/Ponder》
4:《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1:《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1:《留まらぬ発想/Ideas Unbound》
3:《オアリムの詠唱/Orim’s Chant》
4:《沈黙/Silence》
3:《燃え立つ願い/Burning Wish》
3:《最後の審判/Doomsday》
Sideboard
1:《最後の審判/Doomsday》
1:《強迫/Duress》
1:《時のらせん/Time Spiral》
1:《虐殺/Massacre》
1:《美徳の喪失/Virtue’s Ruin》
1:《冥府の契約/Infernal Contract》
2:《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1:《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
2:《静寂/Serenity》
1:《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1:《殺戮の契約/Slaughter Pact》
1:《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
1:《殻船着の島/Shelldock Isle》
このマジキチ混合物がどんな風に動くのか?
明らかにこれはもう一つのRitualベースのストームデッキで、2枚コンボを揃えることを目指している:Doomsdayと、Doomsday pileのトップカードを引くための何かだ。マナ加速とDoomsdayをキャストする過程でいくらかのストームを稼げる。その後Doomsdayによって残りのストームカウントを稼ぎ、Tendrils of Agonyを持ってくるためのBurning Wishにアクセスすることができる。
Doomsdayはそれだけでオールインするのと同じなので、勝つまでの間に相手の干渉を許さないため、Orim’s ChantとSilenceが入っている。これらはレガシーで特に強力な妨害パーツだ。DazeやSpell Pierce、Spell Snare、Stifleのようなよく見かけるカウンターの多くが条件付きで、どれもチャント効果に対しては思い通りに機能しない。
キャントリップとSensei’s Divining Top(SDT)によってパーツが足りないときには探すことができ、最終的にチャント効果を通して青デッキを倒せる状況までじっくりとゲームを進めることができる。安全に仕掛けるために必要なのは、少なくとも2ライフを残すことだけだ。
典型的な勝ち筋は次のようなものだ:
Dark Ritual、Lion’s Eye Diamond(LED)、Doomsday、キャントリップ(Gitaxian ProbeかPonderかBrainstorm。SDTでも良いけど、その場合はpileにSDTの代わりにキャントリップを入れる必要がある)を手札に揃え、UBを出せる土地を出し、少なくとも2ライフを残す。RitualからDoomsdayをキャストして、次の5枚デッキを組む:
そしてLEDをキャストし、キャントリップのキャストにレスポンスでLEDをサクりUUUを出し、Ideas Unboundをドローする。Ideas Unboundを使い、引いた2枚のLEDとSDTをキャスト、LEDをサクってRRRBBBを出し、SDTをタップ、引いたBurning Wishでテンドリルを持ってきて20点だ。
いったんpileを知ってしまえば単純に見えるだろう?しかし実際には何十もの異なるpileがあり、それぞれ手札や場に必要なキャントリップの種類と枚数、必要なマナが違うんだ。それですごく複雑になり、自分が今すぐ勝てるかどうかを判断するには多くの経験が必要になる。
僕らにとって幸いなことに、ストーム板のナイスガイたちがDoomsday pileをまとめたリストを作ってくれている(https://docs.google.com/document/edit?id=1onAp8XmBLHTUP71xw1w_z0_LAiTo5EWJR4YQmAMgTkY&hl=en&pli=1)(このリストは少し古くて、SWと書かれているStreet Wraithのところは今ではGitaxian Probeを使って追加でストームを1つ稼げる)。同じような情報をより見やすい形でshamanがスプレッドシートにしてくれてもいる(https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AikcdBnfJwxgdG9jMXJmY1lCQXZRellwYzI4SVctaFE&authkey=CNzkp94I&hl=en&authkey=CNzkp94I#gid=0)。
このリストですら、手札に何かが1枚あるかどうかで変わるような雑多なシチュエーションはカバーしきれていない。でも、そのシチュエーションでの正しいpileを見つけることができれば勝てるんだ。
Doomsdayの最も複雑な部分はこれだけじゃない:対戦相手がいる。望みの5枚のカードをチューターできるため、Doomsdayは勝利手段をセットアップしつつ、相手が出している対策を打ち破るために使うこともできる――その方法に気づくことができれば。
考えるべきことは大量にある:自分の手札と場、デッキに残っているカード、相手の場と残りライフ、撃ってくる可能性のあるスペル、最大の効果を得るための最適なスペルの順序。実際に何かをキャストし始める前にマナの増減とストームカウントを確かめておく必要もある。状況が複雑になると、Doomsdayを2発撃つケースや、Burning WishでTime Spiralを持ってくるケース、2枚の独楽を交互にドローして追加のストームを稼ぐケースも考えなければならない。
これまで僕はテストプレイやストーム板のスレッドの中からDoomsdayシナリオを探すようにしてきた。トーナメントでほんのひとかけらのひどいワンチャンに賭けたこともある。テストプレイでは勝ち筋を探して5分や10分考えたりもする。相手のプレイは分かりやすくて、そんなに考えさせようとしてたわけじゃないと思うけどね。
頭の体操
以上の話をシンプルで役に立つ形で説明するのは間違いなくムリだ。状況に依存しすぎなんだ。
この思考過程を学ぶ(たくさんプレイする以外の)唯一の方法は、ゲーム中に現れる具体的な状況を考えてみる、つまりパズルを解くことだ。
そう、これが今日僕が書こうとしていることだ:伝統あるMagic: The Puzzlingの楽しさ。
上に書いたデッキを使っていてゲーム1の状況を想定してほしい。どうすればそのゲームに勝てそうか、考えてみてくれ。すぐに答えを見たくならないように、解答は全ての状況を説明した後に載せるよ。
シナリオ1:
簡単なやつから始めよう。
あなたは堅実な5枚のハンドをキープして、対戦相手は親切にも森からNettle Sentinelをプレイして何を使っているか明らかにしてくれた。
シナリオ2(lejayの投稿より)
対戦相手はハンデスから4ターン目に土地を置かずにLilianaを出してきた。あなたのターン、Dark Ritualをドローして手札にあったDoomsdayを撃てるようになった。ここからどんなプランで勝つ?
シナリオ3:
あなたはRUGデルバーを相手にしており、彼は最高の動きをしてきた――こちらのマナベースを破壊しつつビートしてきている。しかし直前の彼のターンのエンドステップにあなたはついにDark Ritualを入手し、マナ縛りから解放されるチャンスを得た。メインにギタ調を撃って前方確認し、Doomsdayをドロー。彼の手札は2枚のStifleとDazeとSpell Snareだ。こちらのライブラリトップにもう1枚のDoomsdayがあることは分かっている。ここからどうやって勝つ?
シナリオ4(Caggiiの投稿より)
対戦相手は(サイド前なのに)ゲーム開始時にLeyline of Sanctityを出してきており、妨害しながら2体のボブでビートしてきている。あなたにとってラッキーなのは、彼が自分のライフを保つために十手のカウンターを使ってくれたことだ。彼はLilianaを出してこちらのハンドを攻め、ミスプレイをしたにもかかわらず遅いクロックでこちらを殺さんとしている。今すぐに勝つ必要があるぞ!
シナリオ5(lejayの投稿より)
対戦相手は親和を使っており、Vault SkirgeからのCranial Platingという非常に速いスタートをしてきた。ライフを30まで増やし、さらにEtched Championがビート要因に追加された。その間、あなたは独楽を出したにもかかわらずマナフラッドを起こしたが、Orim’s Chantのキッカープレイを繰り返してなんとかここまで生き残った。相手のエンドに独楽を使い、Silence、Chain of Vapor、Doomsdayという3枚が見えた。ここからどうする?
解答編
自分なりにパズルの答えを探すのを楽しんでくれたかな?これらはこのデッキをトーナメントで使ったときに実際に起きた状況だってことを忘れないでほしい。かなりドキドキするだろ?
OKOK、あなたの探している答えはこれだよ。
シナリオ1
これはとても素晴らしいダブマリで、相手がエルフを使っているので1キルが可能だ。
沼を出してDark RitualとLion’s Eye Diamondをキャスト、Doomsdayだ(ストーム3)。そしてこう積む:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Gitaxian Probe
Burning Wish
- Bottom -
2ライフを払ってGitaxian Probeをキャストし、レスポンスでLEDをサクってUUUを出す(UUU浮きでストーム4)。Ideasを引いてキャスト、LED2枚とProbeをドロー(U浮きでストーム5)。LEDを2枚ともキャスト(U浮きストーム7)してから、ProbeにレスポンスでLEDをサクってRRRBBBを出す(URRRBBB浮きストーム8)。Burning Wishを引いてキャスト(ストーム9)、テンドリルを持ってきてジャスト20点だ。
このデッキの動きを知っていればこれはとても簡単だ。ウォーミングアップと考えてくれてもいいよ。
シナリオ2
この問題のポイントは、すぐに勝つことはできないが、土地が割られなければDoomsdayをキャストしてターンを返し、次のターンに勝てるということだ。Lilianaにロックされつつある状況なので、彼が不毛をトップするかもしれないリスクは受け入れるべきだろう。
そこで問題になるのが、ライブラリの5枚のカードだけでどうやって必要なストームを稼ぐかだ。その答えは、(はるか)昔のヴィンテージプレイヤーだけがよく知っているチャンス:Timetwister(今回はTime Spiral)の墓地をシャッフルし直す力を使い倒すことだ。
Underground SeaをタップしてDark Ritual、Doomsdayをキャスト。次のように積む:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Burning Wish
Burning Wish
- Bottom -
次のターンにIdeas Unboundをドローして使い、レスポンスでLEDをサクってRRRを出す。LED2枚とBurning Wishを引く。赤願いキャストにレスポンスでLEDを割ってUUUUUUを出し、Time Spiralを持ってきてキャスト、Underground Seaをアンタップする。最終的にちょうど7枚のカードをシャッフルして全てドローすることになる:Lotus Petal、3枚のLED、Doomsday、Burning Wish、Ideas Unboundだ。アーティファクトマナをプレイした後、願いでテンドリルを持ってきて勝ち(レスポンスでLEDをサクるのを忘れないで!)。
シナリオ3
この問題は、このデッキがいかに簡単にあらゆるソフトカウンターをくぐり抜けられるかという一例だ。Chantが素晴らしく、特に複数のドロー手段かBrainstormがある場合はDoomsdayによって引くことも容易になるのがカギだ。
島はDazeのために予約し、決してタップしないことにしよう。Lotus PetalとLion’s Eye Diamondをキャストして、その後Dark RitualからのDoomsdayだ(ストーム4)。このように積む:
- Top -
Silence
Ideas Unbound
LED
LED
Burning Wish
- Bottom -
ライフを1に減らしてGitaxian Probeをキャスト、Silenceを引く。Petalを切ってSilenceをキャストし、彼のStifleとSpell Snareをシャットアウトする(ストーム6)。独楽タップにレスポンスでLEDを割りUUUを得て、Ideasをドロー。すぐにキャストしてSDTと2枚のLEDを引く(U浮きストーム7)。3枚のアーティファクトを全てプレイ(ストーム10)、LEDを割ってRRRBBBを得て独楽をタップしてBurning Wish。そこからテンドリルで24点だ。
シナリオ4
ここではいくつかのパーマネントベースの妨害(白力線)と、手札がなく致死量のテンドリルを撃つのが難しい状況に対処する必要がある。さらに悪いことに相手のライフは24だ。
ストームを増やす最も簡単な方法は独楽を使い倒すことだ。独楽のドローと再キャストを繰り返すことができれば、5枚のカードを6枚以上あるかのように使える。Chain of Vaporをpileに含めることで簡単に力線に対処し、ストームを増やすこともできる。
Dark Ritual、Doomsday、Flooded Strandの順にトップを並べる。SDTをタップしてDark Ritualをドローし、ドローステップに進んでSDTをドロー。メインフェイズに土地からマナを出し(BUUUU)、場に出ている独楽でDoomsdayを引く。手札の独楽をプレイしてタップし、ライブラリトップの独楽をドローしてキャスト(BUU浮きストーム2)。Dark RitualとDoomsdayをキャスト(UU浮きストーム4)して、次のように積む:
- Top -
Ideas Unbound
Chain of Vapor
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Burning Wish
- Bottom -
独楽をタップしてIdeasを引くのにレスポンスでLEDを割ってUUU。IdeasをキャストしてSDT、Chain of Vapor、LEDを引く(UUU浮きストーム5)。LEDと独楽をキャスト(UU浮きストーム7)。独楽タップにレスポンスでChain of Vaporを独楽にキャスト、さらにレスポンスでLEDを割ってBBBを出す(BBBU浮きストーム8)。独楽をバウンスしたら土地をサクってChain of Vaporをコピー、力線をバウンスして、もう1枚のLEDをドローする。バウンスした独楽を再度プレイして、新たに引いたLEDを割りRRR(BBBRRR浮きストーム10)。独楽をタップしてBurning Wishをドロー、キャストして24ライフじゃ足りないことを相手に分からせよう。
シナリオ5
ここで再び問題なのは、限られたリソースで30点分のストームカウントをどうやって溜めるかだ。これに解答するにはかなり先まで考えなきゃならない。このゲームに勝つにはDoomsdayを2回撃つ必要がある!
一度この道に気づけばやり方はいろいろあるので、ここでは一つだけ書くことにしよう。別解があれば気軽にコメントで教えてほしい(もちろん他の問題も)。
2枚目のDoomsdayをライブラリトップに置いてドローステップに進み、引く。土地をタップしてWUUBBを出し、2枚のDark Ritualをキャスト、最初のDoomsdayを撃つ(WUUBBB浮きストーム3)。このように積む:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Sensei’s Divining Top
Burning Wish
- Bottom -
独楽をタップしてIdeasを引き、キャストして独楽とLED2枚を引く(WBBB浮きストーム4)。2枚のLEDと独楽をプレイしてから2回目のDoomsdayをキャスト、レスポンスでLEDを割りUUURRRを出す(UUURRR浮きストーム7)。積み方はさっきとまったく同じだ:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Sensei’s Divining Top
Burning Wish
- Bottom -
もう一度独楽をタップしてIdeas Unboundを引き、キャストして独楽とLED2枚をドロー、全てプレイする(URR浮きストーム11)。LEDを2枚ともサクってBBBBBB、独楽をタップしてもう1枚の独楽を引き、キャストする(BBBBBBRR浮きストーム12)。独楽タップでドローと再キャストをもう1回(BBBBBBR浮きストーム13)。黒マナを使って独楽の能力を起動し、Burning Wishをトップに持ってきて独楽をタップ、願いをキャストしてテンドリルを手に入れる(BBBB浮きストーム14)。黒4マナでストーム14のテンドリル――親和プレイヤーは死ぬ!
すごく複雑だろう?自力で何問解けたか教えてね(別解でももちろんOK)。
世界の終わり
お分かりいただけただろうか――このフォーマットで最も気が遠くなるほど難しいデッキなんだ。ゲームを楽しく複雑なパズルにするだけのデッキではなく、とても強力でもある。特に青デッキがウィルを減らすケースが増えている今、チャント効果は本当に強く、Doomsdayは簡単に彼らのソフトカウンターをすり抜けてテンドリルを放つことができる。エンジンがガドックの影響を受けず、除去と本体キルを同時に行えるため、このデッキは他のストームデッキ以上にコンボ対策に強い。
さらに、Ad Nauseamにフォーカスしたデッキほど序盤のダメージが問題にならない(通常2ライフ残ってさえいれば元気だ)。8枚の質を高めるキャントリップと4枚のProbe、4枚の独楽により、パーツを揃える能力もフォーマットの中で突出している(ANTはこれを12枚のキャントリップで行う)。つまり、ほとんどの相手に優位に立てるってことだ。
このデッキの唯一の問題点は難易度だ。もしあなたが次のSCGレガシーオープンにこのデッキを持ち込もうと考えているなら、落ち着くんだ――やめた方がいい。入り組んだパズルのような強力なデッキのために時間を投資できて、分からん殺しをしたいのなら、Doomsdayはうってつけだけどね。
この短いプレゼンテーションを楽しんでくれたら幸いだ。このデッキの機微を教えてくれて、シナリオで僕の時間を奪ってくれたストーム板のみんなに感謝している。特に、仕事を惜しみなくシェアし、重大なミスが無いようにこの記事の校正までしてくれたLejayことJean-Mary Accartには本当に世話になった(特にシナリオについては助かった)。
今日はここまで。ここに書いたシナリオの別解、何問解けたか、あるいはアルマゲドン狂信者の仲間入りをしたくなったなら教えてくれ。
それじゃあまた次回、プレイの前に考えよう!
Carsten Kotter
DDFTの紹介と問題集。
最近楽しく練習中なので、ほとんど自分用ですが翻訳してみました。
※2013/10/8 シナリオ4の自分の場に誤りがあったため修正しました。
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Eternal Europe - Judgment Day Puzzling
CARSTEN KOTTER
6/01/12
http://www.starcitygames.com/article/24198_Eternal-Europe---Judgment-Day-Puzzling.html
ブレ。コンボをプレイしているときに一番イラっとくるのがブレだ。
本来あなたは勝っているはずなんだ。やっとの思いで相手のカウンターをかいくぐり、全てのヘイトベアに対処し、そして仕掛ける――そして結局20ライフからアド死したり、Time Spiralで土地を7枚引いたり、Narcomoebaが4枚ともライブラリの下から6枚に居たりする。
どうすればこうならずに済むだろう?
これが起こらず、ANTと同じぐらい速いデッキがあると言ったらどうする?いったん準備が整えば確実に相手を倒せるデッキだとしたら?メインのコンボ中にガドックを除去してそのまま勝てるデッキはどうだい?
プレイしてみたくならないかな?
信じられないって?そりゃそうだ。そんなデッキがあれば間違いなくメタの上位にいるよね?
問題点はこれだ:そのデッキはプレイするのが難しい。
僕が難しいと言うのは、マジで難しいときだ。対照的にANTは易しい。僕がこれまでプレイしてきた中で、そのデッキとタメを張るぐらいやり込みを要求されたのはヴィンテージのGiftsデッキぐらいだ。
分かるかな?僕が言っているのはまぎれもなくDoomsdayのことだ。
今日はこのデッキの基本を紹介し、デッキのパワーと複雑さを示すいくつかのシナリオを見ていこうと思う。
だけど注意してほしい。このデッキをトーナメントに持ち込んで良い結果を出せるレベルまで上達するには、デッキの動かし方について本当にたくさんのことを学ぶ必要がある。このデッキで成功を収めている人たちはふつう何年もやり込んでいるんだ。
僕はそういう人たちの中の一人じゃない。実際僕がこのデッキをテストすると、負けたあとしばらく経ってから実は勝ち筋があった――それを見逃していた――ことに気づくんだ。だから今日は巨人の肩の上に立とうと思う。この記事で提供する情報の多くは、emidlnやnemavera、lejay、その他大勢のストーム板の住人たちの仕事に基づいている。彼らはこのデッキを最高のレベルでプレイする方法を伝えるために頑張っている人たちだ。あなたが真のエキスパートと話をしたいなら彼らはうってつけだと思う。
ここではとりあえず、みんなが僕の話を聞きたいと思ってることにしよう。始めるよ。
頭痛の種
まだみんないるかな?よし、リストを見ることから始めよう:
Doomsday
Tristan Polzl
5thPlace at Miscellaneous on 5/20/2012
Lands (18)
1:《島/Island》
1:《平地/Plains》
1:《沼/Swamp》
4:《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4:《汚染された三角州/Polluted Delta》
1:《Scrubland》
1:《Tundra》
2:《Underground Sea》
2:《Volcanic Island》
1:《Karakas》
Spells (42)
4:《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
2:《水蓮の花びら/Lotus Petal》
4:《暗黒の儀式/Dark Ritual》
1:《汚物の雨/Rain of Filth》
4:《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
4:《渦まく知識/Brainstorm》
4:《思案/Ponder》
4:《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1:《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1:《留まらぬ発想/Ideas Unbound》
3:《オアリムの詠唱/Orim’s Chant》
4:《沈黙/Silence》
3:《燃え立つ願い/Burning Wish》
3:《最後の審判/Doomsday》
Sideboard
1:《最後の審判/Doomsday》
1:《強迫/Duress》
1:《時のらせん/Time Spiral》
1:《虐殺/Massacre》
1:《美徳の喪失/Virtue’s Ruin》
1:《冥府の契約/Infernal Contract》
2:《苦悶の触手/Tendrils of Agony》
1:《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
2:《静寂/Serenity》
1:《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
1:《殺戮の契約/Slaughter Pact》
1:《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
1:《殻船着の島/Shelldock Isle》
このマジキチ混合物がどんな風に動くのか?
明らかにこれはもう一つのRitualベースのストームデッキで、2枚コンボを揃えることを目指している:Doomsdayと、Doomsday pileのトップカードを引くための何かだ。マナ加速とDoomsdayをキャストする過程でいくらかのストームを稼げる。その後Doomsdayによって残りのストームカウントを稼ぎ、Tendrils of Agonyを持ってくるためのBurning Wishにアクセスすることができる。
Doomsdayはそれだけでオールインするのと同じなので、勝つまでの間に相手の干渉を許さないため、Orim’s ChantとSilenceが入っている。これらはレガシーで特に強力な妨害パーツだ。DazeやSpell Pierce、Spell Snare、Stifleのようなよく見かけるカウンターの多くが条件付きで、どれもチャント効果に対しては思い通りに機能しない。
キャントリップとSensei’s Divining Top(SDT)によってパーツが足りないときには探すことができ、最終的にチャント効果を通して青デッキを倒せる状況までじっくりとゲームを進めることができる。安全に仕掛けるために必要なのは、少なくとも2ライフを残すことだけだ。
典型的な勝ち筋は次のようなものだ:
Dark Ritual、Lion’s Eye Diamond(LED)、Doomsday、キャントリップ(Gitaxian ProbeかPonderかBrainstorm。SDTでも良いけど、その場合はpileにSDTの代わりにキャントリップを入れる必要がある)を手札に揃え、UBを出せる土地を出し、少なくとも2ライフを残す。RitualからDoomsdayをキャストして、次の5枚デッキを組む:
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Sensei’s Divining Top
Burning Wish
そしてLEDをキャストし、キャントリップのキャストにレスポンスでLEDをサクりUUUを出し、Ideas Unboundをドローする。Ideas Unboundを使い、引いた2枚のLEDとSDTをキャスト、LEDをサクってRRRBBBを出し、SDTをタップ、引いたBurning Wishでテンドリルを持ってきて20点だ。
いったんpileを知ってしまえば単純に見えるだろう?しかし実際には何十もの異なるpileがあり、それぞれ手札や場に必要なキャントリップの種類と枚数、必要なマナが違うんだ。それですごく複雑になり、自分が今すぐ勝てるかどうかを判断するには多くの経験が必要になる。
僕らにとって幸いなことに、ストーム板のナイスガイたちがDoomsday pileをまとめたリストを作ってくれている(https://docs.google.com/document/edit?id=1onAp8XmBLHTUP71xw1w_z0_LAiTo5EWJR4YQmAMgTkY&hl=en&pli=1)(このリストは少し古くて、SWと書かれているStreet Wraithのところは今ではGitaxian Probeを使って追加でストームを1つ稼げる)。同じような情報をより見やすい形でshamanがスプレッドシートにしてくれてもいる(https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AikcdBnfJwxgdG9jMXJmY1lCQXZRellwYzI4SVctaFE&authkey=CNzkp94I&hl=en&authkey=CNzkp94I#gid=0)。
このリストですら、手札に何かが1枚あるかどうかで変わるような雑多なシチュエーションはカバーしきれていない。でも、そのシチュエーションでの正しいpileを見つけることができれば勝てるんだ。
Doomsdayの最も複雑な部分はこれだけじゃない:対戦相手がいる。望みの5枚のカードをチューターできるため、Doomsdayは勝利手段をセットアップしつつ、相手が出している対策を打ち破るために使うこともできる――その方法に気づくことができれば。
考えるべきことは大量にある:自分の手札と場、デッキに残っているカード、相手の場と残りライフ、撃ってくる可能性のあるスペル、最大の効果を得るための最適なスペルの順序。実際に何かをキャストし始める前にマナの増減とストームカウントを確かめておく必要もある。状況が複雑になると、Doomsdayを2発撃つケースや、Burning WishでTime Spiralを持ってくるケース、2枚の独楽を交互にドローして追加のストームを稼ぐケースも考えなければならない。
これまで僕はテストプレイやストーム板のスレッドの中からDoomsdayシナリオを探すようにしてきた。トーナメントでほんのひとかけらのひどいワンチャンに賭けたこともある。テストプレイでは勝ち筋を探して5分や10分考えたりもする。相手のプレイは分かりやすくて、そんなに考えさせようとしてたわけじゃないと思うけどね。
頭の体操
以上の話をシンプルで役に立つ形で説明するのは間違いなくムリだ。状況に依存しすぎなんだ。
この思考過程を学ぶ(たくさんプレイする以外の)唯一の方法は、ゲーム中に現れる具体的な状況を考えてみる、つまりパズルを解くことだ。
そう、これが今日僕が書こうとしていることだ:伝統あるMagic: The Puzzlingの楽しさ。
上に書いたデッキを使っていてゲーム1の状況を想定してほしい。どうすればそのゲームに勝てそうか、考えてみてくれ。すぐに答えを見たくならないように、解答は全ての状況を説明した後に載せるよ。
シナリオ1:
簡単なやつから始めよう。
あなたは堅実な5枚のハンドをキープして、対戦相手は親切にも森からNettle Sentinelをプレイして何を使っているか明らかにしてくれた。
相手のライフ:20
相手の手札:5枚
相手の場:
* 森(タップ)
* Nettle Sentinel
あなたのライフ:20
あなたの手札:
* Gitaxian Probe
* Dark Ritual
* Lion’s Eye Diamond
* Island
* Swamp
* Doomsday
あなたの場:なにもなし
※訳注:元記事に見やすい画像があります。
シナリオ2(lejayの投稿より)
対戦相手はハンデスから4ターン目に土地を置かずにLilianaを出してきた。あなたのターン、Dark Ritualをドローして手札にあったDoomsdayを撃てるようになった。ここからどんなプランで勝つ?
相手のライフ:20
相手の手札:0枚
相手の場:
* 沼3枚(全てタップ)
* Liliana of the Veil(忠誠度4)
あなたのライフ:19
あなたの手札:
* Underground Sea
* Lion’s Eye Diamond
* Lotus Petal
* Dark Ritual
* Doomsday
あなたの場:なにもなし
シナリオ3:
あなたはRUGデルバーを相手にしており、彼は最高の動きをしてきた――こちらのマナベースを破壊しつつビートしてきている。しかし直前の彼のターンのエンドステップにあなたはついにDark Ritualを入手し、マナ縛りから解放されるチャンスを得た。メインにギタ調を撃って前方確認し、Doomsdayをドロー。彼の手札は2枚のStifleとDazeとSpell Snareだ。こちらのライブラリトップにもう1枚のDoomsdayがあることは分かっている。ここからどうやって勝つ?
相手のライフ:20
相手の手札:
* Stifle
* Stifle
* Daze
* Spell Snare
相手の場:
* Tropical Island3枚(全てアンタップ)
* Nimble Mongoose(タップ)
* 裏返ったデルバー(タップ)
あなたのライフ:6
あなたの手札:
* Lotus Petal
* Lion’s Eye Diamond
* Dark Ritual
* Doomsday
* Gitaxian Probe
あなたの場:
* 沼と島(いずれもアンタップ)
* 独楽
あなたのライブラリトップ:Doomsday
あなたの墓地:Gitaxian Probe
シナリオ4(Caggiiの投稿より)
対戦相手は(サイド前なのに)ゲーム開始時にLeyline of Sanctityを出してきており、妨害しながら2体のボブでビートしてきている。あなたにとってラッキーなのは、彼が自分のライフを保つために十手のカウンターを使ってくれたことだ。彼はLilianaを出してこちらのハンドを攻め、ミスプレイをしたにもかかわらず遅いクロックでこちらを殺さんとしている。今すぐに勝つ必要があるぞ!
(今は相手のエンドステップ)
相手のライフ:24
相手の手札:0枚
相手の場:
* 沼、平地、Scrubland(全てタップ)
* Leyline of Sanctity
* Liliana of the Veil(忠誠度4)
* ボブ2体(いずれもタップ。1体は十手を装備。十手のカウンターはなし)
あなたのライフ:4
あなたの手札:0枚
あなたの場:
* Volcanic Island2枚、Scrubland、島2枚(島1枚のみタップ)
* Lotus Petal、Lion’s Eye Diamond(※訳注:2013/10/8追加。すみません。)
* 独楽2枚
独楽で見たあなたのライブラリトップ:Doomsday、Dark Ritual、Flooded Strand
シナリオ5(lejayの投稿より)
対戦相手は親和を使っており、Vault SkirgeからのCranial Platingという非常に速いスタートをしてきた。ライフを30まで増やし、さらにEtched Championがビート要因に追加された。その間、あなたは独楽を出したにもかかわらずマナフラッドを起こしたが、Orim’s Chantのキッカープレイを繰り返してなんとかここまで生き残った。相手のエンドに独楽を使い、Silence、Chain of Vapor、Doomsdayという3枚が見えた。ここからどうする?
(今は相手のエンドステップ)
相手のライフ:30
相手の手札:7枚
相手の場:
* Vault of Whispers、Seat of the Synod、Glimmervoid(全てアンタップ)
* Vault Skirge(アンタップ、Cranial Platingを装備)、Etched Champion(アンタップ)
あなたのライフ:4
あなたの手札:
* Dark Ritual
* Dark Ritual
* Doomsday
あなたの場:
* Scrubland、Volcanic Island、Tundra、沼、Karakas(いずれもタップ)
* 独楽
独楽で見たあなたのライブラリトップ:Doomsday、Silence、Chain of Vapor
あなたの墓地:Orim’s Chant2枚
解答編
自分なりにパズルの答えを探すのを楽しんでくれたかな?これらはこのデッキをトーナメントで使ったときに実際に起きた状況だってことを忘れないでほしい。かなりドキドキするだろ?
OKOK、あなたの探している答えはこれだよ。
シナリオ1
これはとても素晴らしいダブマリで、相手がエルフを使っているので1キルが可能だ。
沼を出してDark RitualとLion’s Eye Diamondをキャスト、Doomsdayだ(ストーム3)。そしてこう積む:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Gitaxian Probe
Burning Wish
- Bottom -
2ライフを払ってGitaxian Probeをキャストし、レスポンスでLEDをサクってUUUを出す(UUU浮きでストーム4)。Ideasを引いてキャスト、LED2枚とProbeをドロー(U浮きでストーム5)。LEDを2枚ともキャスト(U浮きストーム7)してから、ProbeにレスポンスでLEDをサクってRRRBBBを出す(URRRBBB浮きストーム8)。Burning Wishを引いてキャスト(ストーム9)、テンドリルを持ってきてジャスト20点だ。
このデッキの動きを知っていればこれはとても簡単だ。ウォーミングアップと考えてくれてもいいよ。
シナリオ2
この問題のポイントは、すぐに勝つことはできないが、土地が割られなければDoomsdayをキャストしてターンを返し、次のターンに勝てるということだ。Lilianaにロックされつつある状況なので、彼が不毛をトップするかもしれないリスクは受け入れるべきだろう。
そこで問題になるのが、ライブラリの5枚のカードだけでどうやって必要なストームを稼ぐかだ。その答えは、(はるか)昔のヴィンテージプレイヤーだけがよく知っているチャンス:Timetwister(今回はTime Spiral)の墓地をシャッフルし直す力を使い倒すことだ。
Underground SeaをタップしてDark Ritual、Doomsdayをキャスト。次のように積む:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Burning Wish
Burning Wish
- Bottom -
次のターンにIdeas Unboundをドローして使い、レスポンスでLEDをサクってRRRを出す。LED2枚とBurning Wishを引く。赤願いキャストにレスポンスでLEDを割ってUUUUUUを出し、Time Spiralを持ってきてキャスト、Underground Seaをアンタップする。最終的にちょうど7枚のカードをシャッフルして全てドローすることになる:Lotus Petal、3枚のLED、Doomsday、Burning Wish、Ideas Unboundだ。アーティファクトマナをプレイした後、願いでテンドリルを持ってきて勝ち(レスポンスでLEDをサクるのを忘れないで!)。
シナリオ3
この問題は、このデッキがいかに簡単にあらゆるソフトカウンターをくぐり抜けられるかという一例だ。Chantが素晴らしく、特に複数のドロー手段かBrainstormがある場合はDoomsdayによって引くことも容易になるのがカギだ。
島はDazeのために予約し、決してタップしないことにしよう。Lotus PetalとLion’s Eye Diamondをキャストして、その後Dark RitualからのDoomsdayだ(ストーム4)。このように積む:
- Top -
Silence
Ideas Unbound
LED
LED
Burning Wish
- Bottom -
ライフを1に減らしてGitaxian Probeをキャスト、Silenceを引く。Petalを切ってSilenceをキャストし、彼のStifleとSpell Snareをシャットアウトする(ストーム6)。独楽タップにレスポンスでLEDを割りUUUを得て、Ideasをドロー。すぐにキャストしてSDTと2枚のLEDを引く(U浮きストーム7)。3枚のアーティファクトを全てプレイ(ストーム10)、LEDを割ってRRRBBBを得て独楽をタップしてBurning Wish。そこからテンドリルで24点だ。
シナリオ4
ここではいくつかのパーマネントベースの妨害(白力線)と、手札がなく致死量のテンドリルを撃つのが難しい状況に対処する必要がある。さらに悪いことに相手のライフは24だ。
ストームを増やす最も簡単な方法は独楽を使い倒すことだ。独楽のドローと再キャストを繰り返すことができれば、5枚のカードを6枚以上あるかのように使える。Chain of Vaporをpileに含めることで簡単に力線に対処し、ストームを増やすこともできる。
Dark Ritual、Doomsday、Flooded Strandの順にトップを並べる。SDTをタップしてDark Ritualをドローし、ドローステップに進んでSDTをドロー。メインフェイズに土地からマナを出し(BUUUU)、場に出ている独楽でDoomsdayを引く。手札の独楽をプレイしてタップし、ライブラリトップの独楽をドローしてキャスト(BUU浮きストーム2)。Dark RitualとDoomsdayをキャスト(UU浮きストーム4)して、次のように積む:
- Top -
Ideas Unbound
Chain of Vapor
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Burning Wish
- Bottom -
独楽をタップしてIdeasを引くのにレスポンスでLEDを割ってUUU。IdeasをキャストしてSDT、Chain of Vapor、LEDを引く(UUU浮きストーム5)。LEDと独楽をキャスト(UU浮きストーム7)。独楽タップにレスポンスでChain of Vaporを独楽にキャスト、さらにレスポンスでLEDを割ってBBBを出す(BBBU浮きストーム8)。独楽をバウンスしたら土地をサクってChain of Vaporをコピー、力線をバウンスして、もう1枚のLEDをドローする。バウンスした独楽を再度プレイして、新たに引いたLEDを割りRRR(BBBRRR浮きストーム10)。独楽をタップしてBurning Wishをドロー、キャストして24ライフじゃ足りないことを相手に分からせよう。
シナリオ5
ここで再び問題なのは、限られたリソースで30点分のストームカウントをどうやって溜めるかだ。これに解答するにはかなり先まで考えなきゃならない。このゲームに勝つにはDoomsdayを2回撃つ必要がある!
一度この道に気づけばやり方はいろいろあるので、ここでは一つだけ書くことにしよう。別解があれば気軽にコメントで教えてほしい(もちろん他の問題も)。
2枚目のDoomsdayをライブラリトップに置いてドローステップに進み、引く。土地をタップしてWUUBBを出し、2枚のDark Ritualをキャスト、最初のDoomsdayを撃つ(WUUBBB浮きストーム3)。このように積む:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Sensei’s Divining Top
Burning Wish
- Bottom -
独楽をタップしてIdeasを引き、キャストして独楽とLED2枚を引く(WBBB浮きストーム4)。2枚のLEDと独楽をプレイしてから2回目のDoomsdayをキャスト、レスポンスでLEDを割りUUURRRを出す(UUURRR浮きストーム7)。積み方はさっきとまったく同じだ:
- Top -
Ideas Unbound
Lion’s Eye Diamond
Lion’s Eye Diamond
Sensei’s Divining Top
Burning Wish
- Bottom -
もう一度独楽をタップしてIdeas Unboundを引き、キャストして独楽とLED2枚をドロー、全てプレイする(URR浮きストーム11)。LEDを2枚ともサクってBBBBBB、独楽をタップしてもう1枚の独楽を引き、キャストする(BBBBBBRR浮きストーム12)。独楽タップでドローと再キャストをもう1回(BBBBBBR浮きストーム13)。黒マナを使って独楽の能力を起動し、Burning Wishをトップに持ってきて独楽をタップ、願いをキャストしてテンドリルを手に入れる(BBBB浮きストーム14)。黒4マナでストーム14のテンドリル――親和プレイヤーは死ぬ!
すごく複雑だろう?自力で何問解けたか教えてね(別解でももちろんOK)。
世界の終わり
お分かりいただけただろうか――このフォーマットで最も気が遠くなるほど難しいデッキなんだ。ゲームを楽しく複雑なパズルにするだけのデッキではなく、とても強力でもある。特に青デッキがウィルを減らすケースが増えている今、チャント効果は本当に強く、Doomsdayは簡単に彼らのソフトカウンターをすり抜けてテンドリルを放つことができる。エンジンがガドックの影響を受けず、除去と本体キルを同時に行えるため、このデッキは他のストームデッキ以上にコンボ対策に強い。
さらに、Ad Nauseamにフォーカスしたデッキほど序盤のダメージが問題にならない(通常2ライフ残ってさえいれば元気だ)。8枚の質を高めるキャントリップと4枚のProbe、4枚の独楽により、パーツを揃える能力もフォーマットの中で突出している(ANTはこれを12枚のキャントリップで行う)。つまり、ほとんどの相手に優位に立てるってことだ。
このデッキの唯一の問題点は難易度だ。もしあなたが次のSCGレガシーオープンにこのデッキを持ち込もうと考えているなら、落ち着くんだ――やめた方がいい。入り組んだパズルのような強力なデッキのために時間を投資できて、分からん殺しをしたいのなら、Doomsdayはうってつけだけどね。
この短いプレゼンテーションを楽しんでくれたら幸いだ。このデッキの機微を教えてくれて、シナリオで僕の時間を奪ってくれたストーム板のみんなに感謝している。特に、仕事を惜しみなくシェアし、重大なミスが無いようにこの記事の校正までしてくれたLejayことJean-Mary Accartには本当に世話になった(特にシナリオについては助かった)。
今日はここまで。ここに書いたシナリオの別解、何問解けたか、あるいはアルマゲドン狂信者の仲間入りをしたくなったなら教えてくれ。
それじゃあまた次回、プレイの前に考えよう!
Carsten Kotter
ChannelFireballより。
ミラーマッチについて。
ミラーマッチ、お好きでしょうか?
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PV’s Playhouse―Mirror Match
By Paulo Vitor Damo da Rosa
27 Mar, 2013
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-mirror-match/
こんにちは!
今日はみんなから最もよくある質問の一つについて考えてみましょう――どうやってミラーマッチに勝つか。
「ミラーマッチ」とは、同じアーキタイプに属す2つのデッキ同士の対戦のことです。完全に同じデッキ同士の対戦(75枚ミラー)から、色は違えど同じ原理に基づくデッキ同士の対戦(例えば赤緑ランプと緑白ランプの対戦)まで含みます。
たいてい僕はミラーマッチが嫌いです。上手いプレイヤーの多くが、ミラーマッチは「スキル勝負になる」ので素晴らしいと考えていますが、ミラーかどうかに関わらずほとんどの試合でスキルは重要です。
僕がトーナメントに向けてあるデッキを選ぶのは、環境に対してそのデッキの勝率が良いからです。それを50%の勝率にしてしまいたくはありません。僕はトーナメントにローグデッキを持ち込まないので、必然的に多くのラウンドがミラーマッチになります。あなたもそうじゃないですか?
こちらにできるのと同じことを対戦相手もできるため、ミラーマッチでは普段自分のデッキでやっているのとは異なるアプローチが必要になることがあります。
今回の記事では、ミラーマッチをアグロ、コントロール、コンボそれぞれのミラーに分けて考えてみましょう。
アグロミラー
アグロデッキの重要な性質は、アグレッシブなカードの多くは(たとえそういう見方をしていなかったとしても)防御に使うことができる、という点です。Lightning Boltは3点ダメージを与えたりブロッカーを排除したりできますが、アタッカーを除去することもできるのです。Dreg Manglerは3点アタックができますが、ブロックもできるのです。
攻撃に使うのがとても効果的なカードもありますが、アグロミラーで勝つ秘訣はそれらのカードを防御に使うべきタイミングに気づくことです――そのようなカードのほぼ全てが防御に利用可能なのです。
別の言葉で言うとこうなります:アグロミラーで最も重要なのは、自分がアグロ側に立つべきか、コントロール側に立つべきか、あるいはダメージレースをすべきかの見極めだ。
Mike Floresはかつての記事で、「役割を見誤ること=敗北」と書きました。これはアグロミラーでは完全に成り立ちます。
では、自分がコントロールとビートダウンのどちらをすべきか、どうやって知るのでしょうか?2つの方法があります。
1つ目はボードを見て状況を把握するやり方です――相手が明らかにこちらを殺さんとしているなら、じっくりとコントロールプレイをする必要があります。この方法の問題は、手遅れになることがしばしばある、という点です――ブロックによるクリーチャー交換をしたいなら、ダメージを受けた後にクリーチャーを交換するのではなく2ターン前にやっておくべきだったのです。
「アグロミラーでは役割の変化はほとんど起こらない」ということに気を付けるのが重要です。多くの場合、コントロールを始めたプレイヤーは相手を倒すまでコントロールを続け、アグロ側に立ったプレイヤーはずっとアグロを続けます。
アグロミラーでコントロール側に立つとき、最初の判断ポイントまでに自分がコントロール側だと気づくことは必須です。アグロにスタートし、うまくいかないことに気づき、終盤になってコントロールに切り替える人がときどきいますが、最適ではありません。アグロにスタートして中盤でもアグロだったなら、アグロのままゲームを終わらせようとすべきでしょう。
この例として僕が気に入っているのが、世界選手権2010でのZooミラーです。
僕らは2つのデッキを調整していました――アグロZooと「大きな」Zooです。大きなZooの方が「ミラー」では有利だという想定のもとで誰もが動いていました。問題は、僕らがSmall ZooをBig Zooと同じやり方でプレイしていたことでした――アグロにスタートし、うまくいかなくなったらクリーチャーを焼いてボード上の優位を築こうとしていたのです。このやり方ではBig Zooのカードパワーに完全に圧倒され、どうやっても負けます。アグロにスタートし、うまくいかなくなったら「相手を」焼く、というように戦略を変えたところ、かなり勝てるようになりました。相手がタルモと巨大な聖遺の騎士を出していようが、本体が死んでしまえば関係ありません。
コントロール側とアグロ側のどちらを取るべきかを早期に知るためには、まずどちらが先攻かを見ましょう。先攻のプレイヤーはタイミングの面では相手より有利でカードは1枚少ないため、通常はアグロ側に傾きます。
次に自分の初手と序盤のプレイに目を向けましょう。自分の手札が2マナ生物1枚、火力1枚、ドラゴン1枚というものだった場合、2マナ生物と火力を防御的に使って、ドラゴンをプレイできるターンまで生き延びる確率を高めようとするでしょう。
自分の手札に速いクリーチャー2枚と火力2枚がある場合、それらを使って相手がドラゴンをプレイする前に倒してしまおうとするでしょう。ドラゴンは必ずしも初手には要りません――自分のデッキにドラゴンがあり終盤で勝てる可能性が高いことを知っていれば、ゲームを長引かせるプレイが可能です。こちらの初手はアグレッシブに見えるけれども相手がChampion of the Parish2連打からスタートしてきた場合は、そう、「できる限り早く」コントロール側に切り替えましょう。
ひとつの例: 僕は昨日ドラフトをしていました。マッチアップはシミック対ボロス――通常はアグロミラーです。僕は先攻でGreenside Watcherに続けてFrilled Oculusを展開、対戦相手は3ターン目にSkyknight Legionnaireを出し、「アタックせずに」エンドしました。僕がアタックし、彼はLegionnaireとこちらのWatcherを交換――普通はしようとは思わないプレイです。
対戦相手が自分をコントロール側だと考えている、もしくはダメージレースをしようとしているのは明らかです。なぜ彼はそう考えたのでしょう?僕は先攻で2体のクリーチャーを出していて既にライフアドバンテージを得ていました――僕が4ターン目にさらにクリーチャーを追加して攻勢を続けるだろうと誰でも考えるでしょう。
5ターン目、彼がAssemble the Legionをプレイして、あのブロックの意図が分かりました――彼は終盤を勝てるカードを持っていたため、ゲームを長引かせたかったのです。
このシナリオでは、Legionnaireのブロックが最適なプレイとなるための要因は全て場に出ていました。
サイド後は状況が少し変わります。昔から言われているように、何を差し置いてもアグロミラーでベストなアプローチは相手より少しだけ大きなカードを使うことです。過去にこの役割を担ってきたカードは例えば以下のようなものです:
このアプローチを採る場合、マナカーブを高くしすぎないように注意が必要です。小型生物を抜きThundermaw Hellkiteを入れて勝ちたいところですが、そのためには序盤の生物と除去を引き換えにしなければなりません。上回るのは「少しだけ」、上回りすぎないようにしましょう。
このアプローチを採れない場合、一つのやり方は速度を保つことです。どっちつかずになるのは良くありません。長期戦を勝てそうにないなら、長期戦は勝てません――完全に序盤戦に注力するのがベターです。
コントロールミラー
コントロールミラーは、役割を選べない点でアグロミラーと違います――多くの場合、両プレイヤーが相手をコントロールしようとすることになります。特定のアーキタイプはアグロに動かざるをえないでしょう(例えば緑白や赤白コントロールデッキはSphinx’s Revelationを使うデッキをビートしようとします)が、ふつうはうまくいきません。アグロが使うカードとは違い、コントロールのカードは当初の狙いとは別の役割として使うことができないのです。
Lightning Maulerを持っていれば、最適ではないかもしれませんがブロックに使うことができます。Supreme VerdictやTerminus、Devour Flesh、Dissipate、Sphinx’s Revelationのようなカードを持っている場合、決してアタックすることはできません。アグロデッキのコントロール側の動きを考えるのは簡単ですが、コントロールデッキのアグロ側の動きを考えるのが難しいのはこれが理由です。
脅威よりも回答が多く入っているため、アグロに動いてもう一方のコントロールプレイヤーを倒そうとする試みは成功しません。
コントロールミラーでは通常たくさんの不要牌といくつかの超重要牌が存在し、2つのことが試合の行方を決めます:その超重要牌と、土地です。
重要牌をめぐる争いをするために土地が必要です。カウンターを多く入れるほど土地の重要性は増します。どちらもカウンターを使っていないならジェイスのために必要な土地はちょうど5枚です。カウンターがある場合、ジェイスをプレイしつつそれを通すためにより多くの土地が必要となります。
最近のエスパーミラーではこの考えが極端に現れます。ゲーム1はNephalia Drownyard以外のカードはほぼ無意味です。カードは好きなだけ引けるしライフは好きなだけ得られますが、もし僕がNephaliaを3枚引いてあなたが1枚だとしたら、あなたはおそらく勝てません。
青白赤とエスパーとの対戦でも似たようなことが起こります。青白赤がトラフトとBoros Charmを入れたバージョンならアタックによって勝つこともできるでしょうが、もっとコントロール寄りのバージョンにはエスパーをビートするためのカードが入っておらず、Harvest Pyreを通すしかありません。ゲームはその1枚のカード(とSnapcaster MageとBoros Reckoner)に左右され、それ以外はほとんど無意味です。このマッチアップでは、ゲームがどんな展開になるのか、つまり3ターン目にはReckonerをキャストせず、致死量のHarvest Pyreを撃つときまで持っておくことになると1ターン目には気づく必要があります。
このことは古きサイカトグミラーを見ても明らかです。Carlos Romaoはカードを引くことを無視してUpheavalとMana Short戦争のためにカウンター呪文を温存する戦略を採用し、世界選手権を優勝しました。相手がFact or Fictionを何枚キャストしたかに関わらず、Upheavalさえ解決させてしまえば勝つことをCarlosは知っていました。それで彼はほとんどのリソースをUpheaval争いのために温存したのです。
大量のカウンターがある場合、初動と同じターンにカウンターを撃てる状況になるまで動きたくないことが多いでしょう。パワーカードはたいていコストが重く、守るのはとても大変です。「仕掛ける」ためには、とても軽い(Jace BelerenやDuress)か、あるいは相手のエンドにプレイできる(Vendilion CliqueやMana Short、巨大なSphinx’s Revelation)妨害のどちらかが必要になります。
例外は手札に土地がない状況です。土地が4枚で止まっているなら、とにかく4マナプレインズウォーカーはブッパするしかないでしょう。あと4ターン待ったところで、相手は7枚の土地を揃えてこちらは5枚が関の山、同等の条件で勝負するチャンスは失われてしまいます――お互いに土地4枚の状況で勝負した方がマシです。もし彼がカウンターを撃って自分のターンにパーマネントを出してきたとしても、こちらの回答からそのパーマネントを守るマナが彼には残りません(一方、相手が土地7枚を並べるまで待ってしまうと、彼は脅威を出したターンにそれを守ることが可能になってしまいます)。
アグロデッキのリストは似通ったものになることが多いのですが、コントロールのリストは自由度がとても高いです。スロットにはアグロに対してよく効くカードを入れることも、他のコントロールデッキに対してよく効くカードを入れることもできます。そのため、僕はコントロールミラーで最も重要なことは、デッキがどのように構築されているか、だと思っています。やろうと思えばコントロールミラーはゲーム開始前に勝つことすらできるのです。そのようにデッキを構築することによって。
抜けるカードがたくさんあり、マッチアップの改善度合いが本当に大きいのでサイドボーディングはとても大切です。いろいろなサイドボーディングの方向性があり得ますが、目指すべきゴールはキーカードを解決させることになります。これには方法が3つあります:
1) キーカードを増量して強引に通す。
2) Duress、Dispel、Negateのような軽い妨害スペルを使う。今のスタンダードではこれがベストな方法です。
3) プレッシャーを与えるカードを使う。プレッシャーというのは、それで相手を倒せるカードという意味ではなく、相手に動くことを強いるカードです。過去には、Anurid Brushhopper、Vendilion Clique、Cabal Interrogator、Scepter of Fugue、Jace Belerenなどが使われました――どれも軽くて相手に対処を迫るカードで、別のパーマネントを守ったりタップアウトした相手を咎めたりするプレイに繋がります。
「だけどPV、コントロールデッキには回答が山積みで、アグロに動こうとしてもふつうは失敗するってさっき言ってたばかりじゃないか?」
はい、たしかにそうですね。2つの理由でここでは状況が変わります:第一に、ゲーム2では回答手段が減ります。多くの人がサイド後は除去を抜くため、軽いクリーチャーが問題となる可能性が高くなり、相手の死に札を有効活用させてしまうことにはなりにくいのです。
二つ目の理由は、今のスタンダードのデッキにはタップアウトした相手を咎める手段があまり入っていないことです。昔のウェイク対サイカのマッチアップでは、サイカ側はDeep Analysisのためにタップアウトすることが不可能でした。MirariかMirari’s Wakeをキャストされて負けてしまうからです。しかしウェイク側は咎められることなくDeep Analysisを使うことができました。サイカは8マナ揃えるまでは咎めることができないからです。これはウェイク側の大きなアドバンテージでした。
現在はどのデッキもタップアウトを咎めることはありません。エスパーミラーでLingering Soulsをプレイして、トークンを除去するためのSupreme Verdictを相手に撃たせた場面を想像してみてください。このとき何をすればいいのでしょう?メインフェイズにX=3のSphinx’s Revelationを撃ちますか?それはうまくいきません。サイド後はジェイスやAssemble the Legionが考慮に入り、プレッシャーを与える戦略がより効果的になります。
コントロールミラーについてもう一つ言えるのは、初手にはプレッシャーがたくさん来ないということです。ドローゴー系のカードが多く来るはずで、さらにプレイヤーはマナを立てた相手にスペルをブッパはあまりしません。なので、あなたが手札にカウンターを持っていなかったとしても問題はないのです(もちろんサイド後にどんな脅威が想定されるかによりますが――例えば青白赤を相手にトラフトを出されただけで負けてしまう手札をキープしようとはしないでください)。
ゲームは非常に長引き、初手はゲーム全体を通して見ることになるカードのうちのごく一部に過ぎません。6枚の土地と1枚のスペルという手札をキープして、その後良くなることを期待するのはアリです。
コンボミラー
コンボデッキは妨害を入れたタイプと入れていないタイプに二分されます。どちらのプレイヤーも妨害を入れていないコンボミラーの場合、速い方が勝ちます――以上。
一方が妨害を入れていて、もう一方が入れていない場合、通常は妨害を入れている側が勝ちます。入れている側には何のプレッシャーもないのに対して、入れていない側は可能な限り早くコンボを決めなければなりません。どちらの側に立つにせよマリガンは積極的にすべきです――手札をじっくり整える十分な時間はありません。
面白いのは両プレイヤーが妨害を入れている場合で、このコンボミラーは「仕掛けるべきか?」という問題に帰着します。妨害がハンデス系なら相手の手札を見られるため、仕掛ける必要があるかどうかはかなり明確になります。カウンター系の妨害を使う場合は何枚のカウンターを持っているか、何回勝負できるか、将来の見込みが重要になります。
多くの状況で僕は仕掛けるべきだと言うでしょう――待つことで得られる恩恵は、同じだけのものを相手にも与えることになります。
待つ理由がある場合にだけ待つべきです。カウンターが手札にあり、コンボとカウンターのプレイを同じターンに行うための青マナソースがないときはおそらく青マナを待つべきでしょう――相手が仕掛けてきても止められるので急ぐ必要はありません。例えば相手のマナが詰まっているときは、1ターン内に2回のカウンターを撃つのに十分なマナソースを引かれる前に仕掛けてしまうのが良いでしょう。
ニュートラルな状況で非常に一般的なルールとして、手札のカウンター枚数(1ターン内にキャスト可能な枚数)が、かいくぐるべき相手のカウンター枚数以下なら仕掛けましょう。
こちらの手札のカウンターが0枚の場合、相手の1枚のカウンターで止められてしまうとしても相手より先に仕掛けようとするでしょう。
手札にカウンターが1枚あり、相手のカウンターは1枚もかいくぐれない(コンボとカウンターを同時に行うマナがない)場合、僕は待ちます。
手札のカウンターは1枚で、相手のカウンター1枚をかわせる場合は仕掛けます。手札のカウンターが2枚、かわせるのが1枚の場合は待ちます。
これは明らかに単純なルールでゲームの内容による部分も大きいですが、仕掛けるべきか待つべきかの手がかりがまったくないときには使えるでしょう(あるいはただブッパしましょう)。
サイドボーディングでは2つの汎用的なTIPSがあります:
1) お互いに同じ効果を及ぼすカードは抜く。あるカードが自分と相手両方の助けとなる場合、役に立ちません。例えばショーテルミラーではShow and Tellは間違いなく抜くべきです(Show and Tellで出して確実に勝てるカードがないのであれば)。
2) デッキを薄めすぎない。サイド後だってコンボデッキです。妨害として使えるVendilion CliqueのようなクリーチャーをサイドインするのはOKですが、大量のクリーチャーを入れるアグレッシブなサイドプランを持っている場合、通常は変形するよりもコンボであり続ける方がベターです。試合をどちらが先にコンボを決められるかという運ゲーにしないために「違う」デッキになりたくなるかもしれませんが、自分のデッキをただ弱くすることは得策でなく、多くの場合はそうなってしまいます。
残念ですがコンボミラーについてはこれ以上言えることはありません。
まとめましょう:
アグロミラー:自分がアグロ側なのかコントロール側なのかを早期に見極めよう。できればサイド後は相手より少しだけ大きくしよう。
コントロールミラー:そのマッチアップでのキーカードを見極め、それをケアしよう。軽い妨害か軽いプレッシャーをサイドインしてキーカードを解決させるために使おう。待てるのであれば待とう。
コンボミラー:たいていの場合は仕掛けよう。遅いハンドはキープせず、両者に同じ効果を及ぼすカードは抜き、コンボは抜かないようにしよう。
この記事を楽しんでもらえたら嬉しいです。
また来週!
ミラーマッチについて。
ミラーマッチ、お好きでしょうか?
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PV’s Playhouse―Mirror Match
By Paulo Vitor Damo da Rosa
27 Mar, 2013
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-mirror-match/
こんにちは!
今日はみんなから最もよくある質問の一つについて考えてみましょう――どうやってミラーマッチに勝つか。
「ミラーマッチ」とは、同じアーキタイプに属す2つのデッキ同士の対戦のことです。完全に同じデッキ同士の対戦(75枚ミラー)から、色は違えど同じ原理に基づくデッキ同士の対戦(例えば赤緑ランプと緑白ランプの対戦)まで含みます。
たいてい僕はミラーマッチが嫌いです。上手いプレイヤーの多くが、ミラーマッチは「スキル勝負になる」ので素晴らしいと考えていますが、ミラーかどうかに関わらずほとんどの試合でスキルは重要です。
僕がトーナメントに向けてあるデッキを選ぶのは、環境に対してそのデッキの勝率が良いからです。それを50%の勝率にしてしまいたくはありません。僕はトーナメントにローグデッキを持ち込まないので、必然的に多くのラウンドがミラーマッチになります。あなたもそうじゃないですか?
こちらにできるのと同じことを対戦相手もできるため、ミラーマッチでは普段自分のデッキでやっているのとは異なるアプローチが必要になることがあります。
今回の記事では、ミラーマッチをアグロ、コントロール、コンボそれぞれのミラーに分けて考えてみましょう。
アグロミラー
アグロデッキの重要な性質は、アグレッシブなカードの多くは(たとえそういう見方をしていなかったとしても)防御に使うことができる、という点です。Lightning Boltは3点ダメージを与えたりブロッカーを排除したりできますが、アタッカーを除去することもできるのです。Dreg Manglerは3点アタックができますが、ブロックもできるのです。
攻撃に使うのがとても効果的なカードもありますが、アグロミラーで勝つ秘訣はそれらのカードを防御に使うべきタイミングに気づくことです――そのようなカードのほぼ全てが防御に利用可能なのです。
別の言葉で言うとこうなります:アグロミラーで最も重要なのは、自分がアグロ側に立つべきか、コントロール側に立つべきか、あるいはダメージレースをすべきかの見極めだ。
Mike Floresはかつての記事で、「役割を見誤ること=敗北」と書きました。これはアグロミラーでは完全に成り立ちます。
では、自分がコントロールとビートダウンのどちらをすべきか、どうやって知るのでしょうか?2つの方法があります。
1つ目はボードを見て状況を把握するやり方です――相手が明らかにこちらを殺さんとしているなら、じっくりとコントロールプレイをする必要があります。この方法の問題は、手遅れになることがしばしばある、という点です――ブロックによるクリーチャー交換をしたいなら、ダメージを受けた後にクリーチャーを交換するのではなく2ターン前にやっておくべきだったのです。
「アグロミラーでは役割の変化はほとんど起こらない」ということに気を付けるのが重要です。多くの場合、コントロールを始めたプレイヤーは相手を倒すまでコントロールを続け、アグロ側に立ったプレイヤーはずっとアグロを続けます。
アグロミラーでコントロール側に立つとき、最初の判断ポイントまでに自分がコントロール側だと気づくことは必須です。アグロにスタートし、うまくいかないことに気づき、終盤になってコントロールに切り替える人がときどきいますが、最適ではありません。アグロにスタートして中盤でもアグロだったなら、アグロのままゲームを終わらせようとすべきでしょう。
この例として僕が気に入っているのが、世界選手権2010でのZooミラーです。
僕らは2つのデッキを調整していました――アグロZooと「大きな」Zooです。大きなZooの方が「ミラー」では有利だという想定のもとで誰もが動いていました。問題は、僕らがSmall ZooをBig Zooと同じやり方でプレイしていたことでした――アグロにスタートし、うまくいかなくなったらクリーチャーを焼いてボード上の優位を築こうとしていたのです。このやり方ではBig Zooのカードパワーに完全に圧倒され、どうやっても負けます。アグロにスタートし、うまくいかなくなったら「相手を」焼く、というように戦略を変えたところ、かなり勝てるようになりました。相手がタルモと巨大な聖遺の騎士を出していようが、本体が死んでしまえば関係ありません。
コントロール側とアグロ側のどちらを取るべきかを早期に知るためには、まずどちらが先攻かを見ましょう。先攻のプレイヤーはタイミングの面では相手より有利でカードは1枚少ないため、通常はアグロ側に傾きます。
次に自分の初手と序盤のプレイに目を向けましょう。自分の手札が2マナ生物1枚、火力1枚、ドラゴン1枚というものだった場合、2マナ生物と火力を防御的に使って、ドラゴンをプレイできるターンまで生き延びる確率を高めようとするでしょう。
自分の手札に速いクリーチャー2枚と火力2枚がある場合、それらを使って相手がドラゴンをプレイする前に倒してしまおうとするでしょう。ドラゴンは必ずしも初手には要りません――自分のデッキにドラゴンがあり終盤で勝てる可能性が高いことを知っていれば、ゲームを長引かせるプレイが可能です。こちらの初手はアグレッシブに見えるけれども相手がChampion of the Parish2連打からスタートしてきた場合は、そう、「できる限り早く」コントロール側に切り替えましょう。
ひとつの例: 僕は昨日ドラフトをしていました。マッチアップはシミック対ボロス――通常はアグロミラーです。僕は先攻でGreenside Watcherに続けてFrilled Oculusを展開、対戦相手は3ターン目にSkyknight Legionnaireを出し、「アタックせずに」エンドしました。僕がアタックし、彼はLegionnaireとこちらのWatcherを交換――普通はしようとは思わないプレイです。
対戦相手が自分をコントロール側だと考えている、もしくはダメージレースをしようとしているのは明らかです。なぜ彼はそう考えたのでしょう?僕は先攻で2体のクリーチャーを出していて既にライフアドバンテージを得ていました――僕が4ターン目にさらにクリーチャーを追加して攻勢を続けるだろうと誰でも考えるでしょう。
5ターン目、彼がAssemble the Legionをプレイして、あのブロックの意図が分かりました――彼は終盤を勝てるカードを持っていたため、ゲームを長引かせたかったのです。
このシナリオでは、Legionnaireのブロックが最適なプレイとなるための要因は全て場に出ていました。
サイド後は状況が少し変わります。昔から言われているように、何を差し置いてもアグロミラーでベストなアプローチは相手より少しだけ大きなカードを使うことです。過去にこの役割を担ってきたカードは例えば以下のようなものです:
《弧炎撒き/Arc-Slogger》
《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》
《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》
《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》
《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》
《スラーグ牙/Thragtusk》
《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
このアプローチを採る場合、マナカーブを高くしすぎないように注意が必要です。小型生物を抜きThundermaw Hellkiteを入れて勝ちたいところですが、そのためには序盤の生物と除去を引き換えにしなければなりません。上回るのは「少しだけ」、上回りすぎないようにしましょう。
このアプローチを採れない場合、一つのやり方は速度を保つことです。どっちつかずになるのは良くありません。長期戦を勝てそうにないなら、長期戦は勝てません――完全に序盤戦に注力するのがベターです。
コントロールミラー
コントロールミラーは、役割を選べない点でアグロミラーと違います――多くの場合、両プレイヤーが相手をコントロールしようとすることになります。特定のアーキタイプはアグロに動かざるをえないでしょう(例えば緑白や赤白コントロールデッキはSphinx’s Revelationを使うデッキをビートしようとします)が、ふつうはうまくいきません。アグロが使うカードとは違い、コントロールのカードは当初の狙いとは別の役割として使うことができないのです。
Lightning Maulerを持っていれば、最適ではないかもしれませんがブロックに使うことができます。Supreme VerdictやTerminus、Devour Flesh、Dissipate、Sphinx’s Revelationのようなカードを持っている場合、決してアタックすることはできません。アグロデッキのコントロール側の動きを考えるのは簡単ですが、コントロールデッキのアグロ側の動きを考えるのが難しいのはこれが理由です。
脅威よりも回答が多く入っているため、アグロに動いてもう一方のコントロールプレイヤーを倒そうとする試みは成功しません。
コントロールミラーでは通常たくさんの不要牌といくつかの超重要牌が存在し、2つのことが試合の行方を決めます:その超重要牌と、土地です。
重要牌をめぐる争いをするために土地が必要です。カウンターを多く入れるほど土地の重要性は増します。どちらもカウンターを使っていないならジェイスのために必要な土地はちょうど5枚です。カウンターがある場合、ジェイスをプレイしつつそれを通すためにより多くの土地が必要となります。
最近のエスパーミラーではこの考えが極端に現れます。ゲーム1はNephalia Drownyard以外のカードはほぼ無意味です。カードは好きなだけ引けるしライフは好きなだけ得られますが、もし僕がNephaliaを3枚引いてあなたが1枚だとしたら、あなたはおそらく勝てません。
青白赤とエスパーとの対戦でも似たようなことが起こります。青白赤がトラフトとBoros Charmを入れたバージョンならアタックによって勝つこともできるでしょうが、もっとコントロール寄りのバージョンにはエスパーをビートするためのカードが入っておらず、Harvest Pyreを通すしかありません。ゲームはその1枚のカード(とSnapcaster MageとBoros Reckoner)に左右され、それ以外はほとんど無意味です。このマッチアップでは、ゲームがどんな展開になるのか、つまり3ターン目にはReckonerをキャストせず、致死量のHarvest Pyreを撃つときまで持っておくことになると1ターン目には気づく必要があります。
このことは古きサイカトグミラーを見ても明らかです。Carlos Romaoはカードを引くことを無視してUpheavalとMana Short戦争のためにカウンター呪文を温存する戦略を採用し、世界選手権を優勝しました。相手がFact or Fictionを何枚キャストしたかに関わらず、Upheavalさえ解決させてしまえば勝つことをCarlosは知っていました。それで彼はほとんどのリソースをUpheaval争いのために温存したのです。
大量のカウンターがある場合、初動と同じターンにカウンターを撃てる状況になるまで動きたくないことが多いでしょう。パワーカードはたいていコストが重く、守るのはとても大変です。「仕掛ける」ためには、とても軽い(Jace BelerenやDuress)か、あるいは相手のエンドにプレイできる(Vendilion CliqueやMana Short、巨大なSphinx’s Revelation)妨害のどちらかが必要になります。
例外は手札に土地がない状況です。土地が4枚で止まっているなら、とにかく4マナプレインズウォーカーはブッパするしかないでしょう。あと4ターン待ったところで、相手は7枚の土地を揃えてこちらは5枚が関の山、同等の条件で勝負するチャンスは失われてしまいます――お互いに土地4枚の状況で勝負した方がマシです。もし彼がカウンターを撃って自分のターンにパーマネントを出してきたとしても、こちらの回答からそのパーマネントを守るマナが彼には残りません(一方、相手が土地7枚を並べるまで待ってしまうと、彼は脅威を出したターンにそれを守ることが可能になってしまいます)。
アグロデッキのリストは似通ったものになることが多いのですが、コントロールのリストは自由度がとても高いです。スロットにはアグロに対してよく効くカードを入れることも、他のコントロールデッキに対してよく効くカードを入れることもできます。そのため、僕はコントロールミラーで最も重要なことは、デッキがどのように構築されているか、だと思っています。やろうと思えばコントロールミラーはゲーム開始前に勝つことすらできるのです。そのようにデッキを構築することによって。
抜けるカードがたくさんあり、マッチアップの改善度合いが本当に大きいのでサイドボーディングはとても大切です。いろいろなサイドボーディングの方向性があり得ますが、目指すべきゴールはキーカードを解決させることになります。これには方法が3つあります:
1) キーカードを増量して強引に通す。
2) Duress、Dispel、Negateのような軽い妨害スペルを使う。今のスタンダードではこれがベストな方法です。
3) プレッシャーを与えるカードを使う。プレッシャーというのは、それで相手を倒せるカードという意味ではなく、相手に動くことを強いるカードです。過去には、Anurid Brushhopper、Vendilion Clique、Cabal Interrogator、Scepter of Fugue、Jace Belerenなどが使われました――どれも軽くて相手に対処を迫るカードで、別のパーマネントを守ったりタップアウトした相手を咎めたりするプレイに繋がります。
「だけどPV、コントロールデッキには回答が山積みで、アグロに動こうとしてもふつうは失敗するってさっき言ってたばかりじゃないか?」
はい、たしかにそうですね。2つの理由でここでは状況が変わります:第一に、ゲーム2では回答手段が減ります。多くの人がサイド後は除去を抜くため、軽いクリーチャーが問題となる可能性が高くなり、相手の死に札を有効活用させてしまうことにはなりにくいのです。
二つ目の理由は、今のスタンダードのデッキにはタップアウトした相手を咎める手段があまり入っていないことです。昔のウェイク対サイカのマッチアップでは、サイカ側はDeep Analysisのためにタップアウトすることが不可能でした。MirariかMirari’s Wakeをキャストされて負けてしまうからです。しかしウェイク側は咎められることなくDeep Analysisを使うことができました。サイカは8マナ揃えるまでは咎めることができないからです。これはウェイク側の大きなアドバンテージでした。
現在はどのデッキもタップアウトを咎めることはありません。エスパーミラーでLingering Soulsをプレイして、トークンを除去するためのSupreme Verdictを相手に撃たせた場面を想像してみてください。このとき何をすればいいのでしょう?メインフェイズにX=3のSphinx’s Revelationを撃ちますか?それはうまくいきません。サイド後はジェイスやAssemble the Legionが考慮に入り、プレッシャーを与える戦略がより効果的になります。
コントロールミラーについてもう一つ言えるのは、初手にはプレッシャーがたくさん来ないということです。ドローゴー系のカードが多く来るはずで、さらにプレイヤーはマナを立てた相手にスペルをブッパはあまりしません。なので、あなたが手札にカウンターを持っていなかったとしても問題はないのです(もちろんサイド後にどんな脅威が想定されるかによりますが――例えば青白赤を相手にトラフトを出されただけで負けてしまう手札をキープしようとはしないでください)。
ゲームは非常に長引き、初手はゲーム全体を通して見ることになるカードのうちのごく一部に過ぎません。6枚の土地と1枚のスペルという手札をキープして、その後良くなることを期待するのはアリです。
コンボミラー
コンボデッキは妨害を入れたタイプと入れていないタイプに二分されます。どちらのプレイヤーも妨害を入れていないコンボミラーの場合、速い方が勝ちます――以上。
一方が妨害を入れていて、もう一方が入れていない場合、通常は妨害を入れている側が勝ちます。入れている側には何のプレッシャーもないのに対して、入れていない側は可能な限り早くコンボを決めなければなりません。どちらの側に立つにせよマリガンは積極的にすべきです――手札をじっくり整える十分な時間はありません。
面白いのは両プレイヤーが妨害を入れている場合で、このコンボミラーは「仕掛けるべきか?」という問題に帰着します。妨害がハンデス系なら相手の手札を見られるため、仕掛ける必要があるかどうかはかなり明確になります。カウンター系の妨害を使う場合は何枚のカウンターを持っているか、何回勝負できるか、将来の見込みが重要になります。
多くの状況で僕は仕掛けるべきだと言うでしょう――待つことで得られる恩恵は、同じだけのものを相手にも与えることになります。
待つ理由がある場合にだけ待つべきです。カウンターが手札にあり、コンボとカウンターのプレイを同じターンに行うための青マナソースがないときはおそらく青マナを待つべきでしょう――相手が仕掛けてきても止められるので急ぐ必要はありません。例えば相手のマナが詰まっているときは、1ターン内に2回のカウンターを撃つのに十分なマナソースを引かれる前に仕掛けてしまうのが良いでしょう。
ニュートラルな状況で非常に一般的なルールとして、手札のカウンター枚数(1ターン内にキャスト可能な枚数)が、かいくぐるべき相手のカウンター枚数以下なら仕掛けましょう。
こちらの手札のカウンターが0枚の場合、相手の1枚のカウンターで止められてしまうとしても相手より先に仕掛けようとするでしょう。
手札にカウンターが1枚あり、相手のカウンターは1枚もかいくぐれない(コンボとカウンターを同時に行うマナがない)場合、僕は待ちます。
手札のカウンターは1枚で、相手のカウンター1枚をかわせる場合は仕掛けます。手札のカウンターが2枚、かわせるのが1枚の場合は待ちます。
これは明らかに単純なルールでゲームの内容による部分も大きいですが、仕掛けるべきか待つべきかの手がかりがまったくないときには使えるでしょう(あるいはただブッパしましょう)。
サイドボーディングでは2つの汎用的なTIPSがあります:
1) お互いに同じ効果を及ぼすカードは抜く。あるカードが自分と相手両方の助けとなる場合、役に立ちません。例えばショーテルミラーではShow and Tellは間違いなく抜くべきです(Show and Tellで出して確実に勝てるカードがないのであれば)。
2) デッキを薄めすぎない。サイド後だってコンボデッキです。妨害として使えるVendilion CliqueのようなクリーチャーをサイドインするのはOKですが、大量のクリーチャーを入れるアグレッシブなサイドプランを持っている場合、通常は変形するよりもコンボであり続ける方がベターです。試合をどちらが先にコンボを決められるかという運ゲーにしないために「違う」デッキになりたくなるかもしれませんが、自分のデッキをただ弱くすることは得策でなく、多くの場合はそうなってしまいます。
残念ですがコンボミラーについてはこれ以上言えることはありません。
まとめましょう:
アグロミラー:自分がアグロ側なのかコントロール側なのかを早期に見極めよう。できればサイド後は相手より少しだけ大きくしよう。
コントロールミラー:そのマッチアップでのキーカードを見極め、それをケアしよう。軽い妨害か軽いプレッシャーをサイドインしてキーカードを解決させるために使おう。待てるのであれば待とう。
コンボミラー:たいていの場合は仕掛けよう。遅いハンドはキープせず、両者に同じ効果を及ぼすカードは抜き、コンボは抜かないようにしよう。
この記事を楽しんでもらえたら嬉しいです。
また来週!
StarCityGamesより。
相手の初動をどう見るか。
初動アンシーポンダーを見て汗をかくのはエターナルならではですよね。
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Legacy Openings
CARSTEN KOTTER
2013/6/28
http://www.starcitygames.com/article/26423_Legacy-Openings.html
エターナルフォーマットにまつわる昔からのジョークがある:デッキ構築が序盤戦、マリガン判断が中盤戦、1ターン目が終盤戦。
これは明らかに言い過ぎだけど、レガシーの最初の2ターンでは多くの重要なことが起こる。レガシーで「重要なことが起こる」というのはつまり、勝敗を分ける瞬間的な判断が数多くなされる、ということだ。
これらの判断の多くは状況次第で変化する、というのが特に難しいところだ。
ThoughtseizeとDeathrite ShamanとLiliana of the Veilが手札にあるところを想像してほしい。高速コンボデッキを相手にしている場合、1ターン目にはThoughtseizeを撃ちたいだろう。一方、死儀礼デッキを相手にしている場合、2ターン目にリリアナを出せるチャンスは少なくとも作っておきたくなるだろう。この場合は1ターン目に死儀礼を展開するスタートが正解となる。
この種のプレイを正しく行うためには対戦相手が何を使っているか知る必要がある。ラウンド1のうちに会場全体を偵察できないとしても、相手の1ターン目の行動からデッキチョイスや手札のカードの情報を集める方法があるんだ。
今日お見せしたいのは、いろいろな対戦相手の初動と、それを見たときの僕の思考過程だ。レガシーで重要な観察/推論スキルを高める役に立つんじゃないかな。
面白そうだろ?よし、それじゃあ始めよう。
古き良きIsland
あるトーナメントのラウンド1、シャッフルが終わり、対戦相手は少し考えて7枚でキープ。彼は次のようにゲームを始めた:
島をプレイして定業をキャスト。2枚ともボトムへ。エンド。
これは何を意味しているだろう?
答えは浮かんだかな?オーケー、僕はこんなことを思い浮かべたよ:
はじめに目に付くのは土地セットだ:手札から島を出してきた。
安定してこの動きができるデッキを考えただけでも数はかなり絞られる――例えばANTはせいぜい1,2枚しか島を入れていない。初手に島が来そうなデッキの候補として最もありそうなのは、マーフォーク、青白奇跡、Omni-Tell、ハイタイドだ。
ここで相手がキャストしたスペルを見てみよう:定業だ。
レガシーで定業が入るデッキはごくわずか。普通、より優れたPonderとBrainstormで枠は埋まってしまい、さらに定業を入れるというのは簡単にはできない選択だ。そんな選択をするデッキは、ハイタイド、Omni-Tell、ANT、そしてときどきスニークショーぐらいのもの。
ここまでに見たプレイからたくさんの情報が得られ、上で述べた考えを組み合わせると相手はおそらくハイタイドかOmni-Tellだと思われる。相手はコンボデッキを使っている可能性が高く、しかも3ターン目より前に勝ちにくる可能性は小さいということが既に分かった。ハイタイドはCloud of Faeriesを入れる構築をしない限り土地2枚で勝つことはふつう不可能で、Omni-Tellが2ターン目に勝つのに必要なCity of Traitorsはデッキに3枚しか入らない。
こちらがこれからどう妨害していくかを判断する上でこの考察が役に立つ。おそらくこちらには次のターンを待つ猶予があり、(例えばデルバーや死儀礼で)盤面を構築したり、どのカードを掘り当てる必要があるか考える堅実な1ターン目をプレイしても良さそうだ。(こちらが先攻なら)たぶんクァーサルよりもサリアを出すべきで、この状況ではマザーよりも教主の方が優れた1マナアクションだということも分かる。
さらに、相手の手札には重要なカード――土地か、あるいはコンボパーツのどれか――が欠けているだろうということも言える。定業で2枚ともボトムに送っているからだ。もう一つの可能性としては、彼は既に完璧な手札を持っているのかもしれない。
送られたカードは単に余った土地やコンボパーツだったかもしれず、これは決して安全な推論ではない。だけど、一般にそれなりの手札を持っている場合は定業でなにかしら使えるものが見つかり、それをトップに残すことが多い。2枚ともボトムに送るのは、手札があまりにも良くて加えるべきカードがほとんどないときか、ある特定のカードだけが必要でその他をできるだけライブラリの奥深くに押し込めたいときだ。
今回、相手はキープする前にしばらく考えた。
一つ目に、これはしばしば相手がコンボデッキを使っているサインになる。手札に欠けているものと、すぐに仕掛けられる可能性がどの程度あるかを考える必要があり、ハイタイドやOmni-Tellはマリガン判断で熟考することが最も多い部類のデッキだ。
二つ目に、相手の手札にはやはり足りないものがあり、定業を撃っても見つからなかった可能性が高い。手札が完璧ならキープするのに考える必要はないだろう。
最後に、相手は追加のキャントリップをたくさん持ってはいないだろう。ハイタイドもOmni-Tellも、島とキャントリップ3枚という手札はほとんどの場合キープだ。こういう手札でもやはりマリガンで考え込むことはないだろう。
大きな悪いUnderground Sea
Scalding Tarnを出してUnderground Seaをフェッチ、ブレストをキャスト。
これはどう思う?
今回も土地から考えてみよう。Scalding Tarnはいろいろなデッキで使われているが、Underground Seaはやっぱり今回もコンボデッキが相手だということを示している可能性が高い。なぜだろう?
コンボ以外でUnderground Seaを入れているのはおそらく死儀礼デッキだが、このデッキはふつうBayouにアクセスするため、ほぼ常にScalding TarnよりもMisty Rainforestが優先されるためだ。
土地を出した後の1ターン目ブレストもこの考えを補強する――Underground Seaを使うフェアなデッキが1ターン目のメインフェイズにブレストを撃つ理由はほとんどない。
目にした土地に基づいて単純に考えただけでも、対戦相手はUnderground Seaを使うコンボデッキ、ANTかTESかGoryo’s Vengeance型リアニか昔ながらのリアニのどれかだと僕には思える。
見たのは土地だけじゃないので考えを続けよう。
まず、昔ながらのリアニにとって1ターン目メインのブレストが良いプレイになるケースはほとんどない。このデッキでブレストの後にマナを生み出せるカードはよくて4枚のLotus Petalだけだ。そしてそのうち2枚を手に入れないとブレストの後に意味のあるプレイをすることはできない――ふつうは割に合わない賭けになる。というわけで、相手のデッキは残り3つのどれかだろう。
相手がどれを使っているか完全に明らかにできるだけの情報はないけれど、非常にアグレッシブなコンボデッキだと考えて間違いなく、さらにここで彼の手札の質についてもかなりのことが分かるんだ!
1ターン目メインのブレストは、非常に強い手札の場合にのみ意味を持つ――つまり、即座に勝つのに必要なパーツが残り1枚だけ、という手札だ。相手はその1枚をブレストで見つけられなかった――見つかればこちらは死んでいる――しかし、いったんアンタップして2枚目の土地を置けば仕掛けてくる可能性はかなり高い。
いま考えたことを組み合わせると、最初のフェッチでUnderground Seaを持ってきたアクションから追加で分かることがある。相手はおそらく仕掛けるためにアンシーからの黒マナが必要だ。そうでないなら島を持ってくる方がよほど安全なプレイになる。こういうプレイをし得るのはANTかGoryo型リアニだけだ。どちらのデッキも多くの土地を並べることはできない。土地のかたまった手札から1,2ターン目に勝てることは滅多になく、その場合は1ターン目メインのブレストはひどいプレイになる。
最後に、こちらがまだ死んでいないということは、相手は土地1枚だけではおそらく勝てないということだ。もしこちらにWastelandがあるならたぶんここで切った方が良いね。
初動の黒
Polluted DeltaからBayouをフェッチ、Thoughtseizeをプレイ。
さて、またもやフェッチからのデュアル、そして1ターン目のスペルという動きだ。
BayouからThoughtseizeという時点で死儀礼デッキの一種である可能性が最も高いだろう。ジャンドかShardless BUGかEsper Deathbladeか、あるいはBUGデルバーか。追加の情報であるPolluted Deltaからは、相手はおそらくジャンドではなく青系のどれかだろうと考えられる。
Esper Deathbladeはこれらの中では最も確率が低い。このデッキが1ターン目にBayouをフェッチする理由は滅多にないためだ。同様にBUGデルバーも青マナを欲しがる(Dazeのためにも島が要る)ので、1ターン目にBayouを持ってくるのはとてもリスキーだ。というわけで、今のところ相手はShardless BUGだろうと僕は考える。
もちろんThoughtseizeの解決によって相手の手札とゲームプランについてより多くの情報を得られるが、今日はこちらが使うデッキについては無視している。この点についてはこの記事の範囲外とさせてほしい。
しかしそれでも、僕らは相手の手札についてもう少し考えられることがある。まず、相手はほぼ間違いなく少なくとも1枚、おそらく2枚の追加のマナソースを持っており、そのどちらも青マナにアクセスできるはずだ。BUGデルバーとShardless BUGはかなり青寄りのデッキで、青マナを確保できていないときはそれを確実に手に入れることに集中するだろう。
さらに、相手の手札にはDelver of Secrets(Shardless BUGという読みからは少し外れるけど)もAncestral Visionもないだろうと思われる――こちらが高速コンボだと相手が考えていなければ。これらを1ターン目にプレイする価値は1ターン目Thoughtseizeよりもかなり高いことが多いためだ。同じ理由で、相手は死儀礼と強力な2マナカードを同時には持っていないだろう。1ターン目死儀礼からの2ターン目ハンデス+2マナスペルという動きは強く、ハンデスを1ターン遅らせてでもやってくるはずだ。
嗚呼、5色土地
Gemstone Mineを出してエンド。
うん、これはすごく単純で、だけど多くを語っているね。Gemstone Mineが入るデッキはわずかしかない――ドレッジ、TES、あとはAdam Prosak型のANT――この初動からは相手がアンフェア志向だということがかなり明白だ。
ドレッジで5色土地はあるがディスカード手段のない手札をキープするのは本当にまずいプレイヤーだけ(それか後手でドローディスカードするプランの場合)なのでドレッジの可能性は無視して、高速テンドリルデッキのどちらかだと考えよう。ANTがGemstone Mineを引くことは少なく、さらにキャントリップもなしでGemstone Mineからスタートしなきゃならない手札をキープする可能性も低いので、TESの確率の方が高いだろう。
とはいえ、ここで一番面白いのは相手の1ターン目のアクション――あるいはアクションがないこと――からいかに多くを知ることができるかという点だ。彼が高速ストームを使っていることが分かったとして、1ターン目に動きがないのはかなり意外だ。ストームデッキの序盤はふつう、少なくともキャントリップかハンデスを1ターン目に撃つことに注力する。
2つの可能性が考えられる:相手がBrainstormを持っておりこちらのエンドにキャストするのを待っているか、あるいはマナ加速が少し足りないものの非常に良い手札を持っており、仕掛けるのに2枚目の土地が必要か。
2枚目の土地が必要だとすると、手札にある追加の土地もおそらくGemstone Mineということになるだろう――より良い土地が使えるのに、わざわざ目減りする土地を先に出す必要はない。
相手の手札に欠けているものが一つあるとすると、マナ不足しかないだろう。ライブラリを掘るキャントリップがなく、コンボパーツも揃っていない手札をキープするのはふつうかなりマズイ。チューターか直接パーツとなるスペルを探すのに十分なカードを見られなくなる。
僕には、相手は動き始めるのにちょうど1マナ足りないのだろうと思われる。何かのマナ――土地も含めて――を引かれればおそらくゲームは終わる。
最後に、相手がブレストを持っている場合、こちらのエンドステップにそれを撃ってくるだろう。「Gemstone Mineを出してエンド」という1ターン目のプレイを正当化するためには、たとえブレストがあってもかなり完成形に近い状態の手札が必要だからだ。2ターン目を待ってブレストしたいならフェッチランドを持っているはずだけど、この場合は不毛をケアして1ターン目にGemstone Mineではなくフェッチランドをプレイするだろう――やっぱりこの可能性は考えにくい。
エンドステップにブレストがきた場合、相手が使っているのはTESで、仕掛けるには赤マナと黒マナの両方が必要だ。
理由?Gemstone Mineゴーを正当化できるほど勝利に近い手札を持っているなら、ふつうは自分のターンのうちにブレストを撃ちたくなるだろう。そこでパーツを見つければ即座に勝てる。しかし、仕掛けるのに異なる2色が必要な場合は1ターン目ブレストから即座に勝つのはほぼ不可能だ。この場合はブレストを待ち、2枚目の土地を出すまでの間のハンデスをケアするのに使うべきか見極めようとするだろう。
マングース目撃
Polluted DeltaからTropical IslandをフェッチしてNimble Mongooseをプレイ。
この動きで一番多くを語っているのはもちろんNimble Mongooseだ。マングースを入れるのはStifle / Wasteland / Dazeを使うテンポデッキだけで、真っ先に挙がるのはRUGデルバーあるいはドイツのBURGデッキ、そして最近ではかなりレアだけど昔ながらのBUGデルバー(赤の火力の代わりにボブを入れたRUG)かもしれない。
Polluted Deltaによって、おそらく相手はBURGデッキではないことが分かる――このデッキはマナベースを安定させるためにTaigaを入れる必要があり、Polluted DeltaはTaigaを持ってくることができない。BURGを除くとこの初動からは相手のデッキチョイスについてこれ以上は分からないが、RUGは他のテンポデッキと比べてかなり多く使われていることから、ここでは僕はRUGを相手にしていると信じるだろう。
マングースからはまだ読み取れることがある。通常、Nimble Mongooseはテンポデッキの1ターン目のプレイとしては最弱だ。Delverの方が大きなダメージを見込め、間違いなくできれば最初にプレイしたいはずだ。同様に、マングースが序盤に与えるダメージは小さく、1ターン目のプレイとしては相手がフェッチを使う場合に備えてStifleを構える方がマングースを出すよりもかなり良い。
Lightning BoltとSpell Pierceの組み合わせを構えることでさえ――後でマングースを出すための緑マナが確保できるなら――あるいは単なるPonderでさえ多くの状況でより良い1ターン目のアクションだ(特にPonderは土地1枚でキープした場合)。
結果として、相手はStifleやDelverを今のところ持っておらず、おそらく土地はもう1枚持っていると僕は考える。土地があるというのは、相手の手札になさそうなカードが多いためだ。Dazeケアには特に注意を払うだろう――相手のここまでの動きにはDazeによるバックアップがぴったりハマる。
前へ、目的地へ
ここまで見てきたように、対戦相手の1ターン目のカード数枚を見ただけで驚くべき量の情報が集められる。このようにして結論を引き出す力はレガシーで非常に重要なスキルだ。はじめに書いたようにレガシーは速く、居並ぶデッキ達はミスプレイを許さず初動を信じられないほど厳しく咎めてくる。
みんなが対戦相手の初動を読むとき、今日の記事が役に立てれば嬉しいよ。上に書いた考察の多くで相手がマリガンしていないことがけっこう重要だってことには気をつけてほしい。手札のカードが少なくなるほどプレイヤーは最適でない動きをせざるを得なくなってくる――最適でない動きを読むのはとても難しい。
対戦相手が自らのデッキを熟知している前提だってことにも気をつけてくれ。もう一度言うけど、最適でない動きは意味不明だから読むのはとても難しいんだ。
あらゆるレガシーの試合で見ることになる最序盤のアクションに注目してみたこの記事を楽しんでもらえたら幸いだ。あなたがどう考えたか、僕の考えと違うところはどこか、コメントで教えてほしい。
じゃあまた次回。細部に気を配ろう!
Carsten Kotter
相手の初動をどう見るか。
初動アンシーポンダーを見て汗をかくのはエターナルならではですよね。
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Legacy Openings
CARSTEN KOTTER
2013/6/28
http://www.starcitygames.com/article/26423_Legacy-Openings.html
エターナルフォーマットにまつわる昔からのジョークがある:デッキ構築が序盤戦、マリガン判断が中盤戦、1ターン目が終盤戦。
これは明らかに言い過ぎだけど、レガシーの最初の2ターンでは多くの重要なことが起こる。レガシーで「重要なことが起こる」というのはつまり、勝敗を分ける瞬間的な判断が数多くなされる、ということだ。
これらの判断の多くは状況次第で変化する、というのが特に難しいところだ。
ThoughtseizeとDeathrite ShamanとLiliana of the Veilが手札にあるところを想像してほしい。高速コンボデッキを相手にしている場合、1ターン目にはThoughtseizeを撃ちたいだろう。一方、死儀礼デッキを相手にしている場合、2ターン目にリリアナを出せるチャンスは少なくとも作っておきたくなるだろう。この場合は1ターン目に死儀礼を展開するスタートが正解となる。
この種のプレイを正しく行うためには対戦相手が何を使っているか知る必要がある。ラウンド1のうちに会場全体を偵察できないとしても、相手の1ターン目の行動からデッキチョイスや手札のカードの情報を集める方法があるんだ。
今日お見せしたいのは、いろいろな対戦相手の初動と、それを見たときの僕の思考過程だ。レガシーで重要な観察/推論スキルを高める役に立つんじゃないかな。
面白そうだろ?よし、それじゃあ始めよう。
古き良きIsland
あるトーナメントのラウンド1、シャッフルが終わり、対戦相手は少し考えて7枚でキープ。彼は次のようにゲームを始めた:
島をプレイして定業をキャスト。2枚ともボトムへ。エンド。
これは何を意味しているだろう?
答えは浮かんだかな?オーケー、僕はこんなことを思い浮かべたよ:
はじめに目に付くのは土地セットだ:手札から島を出してきた。
安定してこの動きができるデッキを考えただけでも数はかなり絞られる――例えばANTはせいぜい1,2枚しか島を入れていない。初手に島が来そうなデッキの候補として最もありそうなのは、マーフォーク、青白奇跡、Omni-Tell、ハイタイドだ。
ここで相手がキャストしたスペルを見てみよう:定業だ。
レガシーで定業が入るデッキはごくわずか。普通、より優れたPonderとBrainstormで枠は埋まってしまい、さらに定業を入れるというのは簡単にはできない選択だ。そんな選択をするデッキは、ハイタイド、Omni-Tell、ANT、そしてときどきスニークショーぐらいのもの。
ここまでに見たプレイからたくさんの情報が得られ、上で述べた考えを組み合わせると相手はおそらくハイタイドかOmni-Tellだと思われる。相手はコンボデッキを使っている可能性が高く、しかも3ターン目より前に勝ちにくる可能性は小さいということが既に分かった。ハイタイドはCloud of Faeriesを入れる構築をしない限り土地2枚で勝つことはふつう不可能で、Omni-Tellが2ターン目に勝つのに必要なCity of Traitorsはデッキに3枚しか入らない。
こちらがこれからどう妨害していくかを判断する上でこの考察が役に立つ。おそらくこちらには次のターンを待つ猶予があり、(例えばデルバーや死儀礼で)盤面を構築したり、どのカードを掘り当てる必要があるか考える堅実な1ターン目をプレイしても良さそうだ。(こちらが先攻なら)たぶんクァーサルよりもサリアを出すべきで、この状況ではマザーよりも教主の方が優れた1マナアクションだということも分かる。
さらに、相手の手札には重要なカード――土地か、あるいはコンボパーツのどれか――が欠けているだろうということも言える。定業で2枚ともボトムに送っているからだ。もう一つの可能性としては、彼は既に完璧な手札を持っているのかもしれない。
送られたカードは単に余った土地やコンボパーツだったかもしれず、これは決して安全な推論ではない。だけど、一般にそれなりの手札を持っている場合は定業でなにかしら使えるものが見つかり、それをトップに残すことが多い。2枚ともボトムに送るのは、手札があまりにも良くて加えるべきカードがほとんどないときか、ある特定のカードだけが必要でその他をできるだけライブラリの奥深くに押し込めたいときだ。
今回、相手はキープする前にしばらく考えた。
一つ目に、これはしばしば相手がコンボデッキを使っているサインになる。手札に欠けているものと、すぐに仕掛けられる可能性がどの程度あるかを考える必要があり、ハイタイドやOmni-Tellはマリガン判断で熟考することが最も多い部類のデッキだ。
二つ目に、相手の手札にはやはり足りないものがあり、定業を撃っても見つからなかった可能性が高い。手札が完璧ならキープするのに考える必要はないだろう。
最後に、相手は追加のキャントリップをたくさん持ってはいないだろう。ハイタイドもOmni-Tellも、島とキャントリップ3枚という手札はほとんどの場合キープだ。こういう手札でもやはりマリガンで考え込むことはないだろう。
大きな悪いUnderground Sea
Scalding Tarnを出してUnderground Seaをフェッチ、ブレストをキャスト。
これはどう思う?
今回も土地から考えてみよう。Scalding Tarnはいろいろなデッキで使われているが、Underground Seaはやっぱり今回もコンボデッキが相手だということを示している可能性が高い。なぜだろう?
コンボ以外でUnderground Seaを入れているのはおそらく死儀礼デッキだが、このデッキはふつうBayouにアクセスするため、ほぼ常にScalding TarnよりもMisty Rainforestが優先されるためだ。
土地を出した後の1ターン目ブレストもこの考えを補強する――Underground Seaを使うフェアなデッキが1ターン目のメインフェイズにブレストを撃つ理由はほとんどない。
目にした土地に基づいて単純に考えただけでも、対戦相手はUnderground Seaを使うコンボデッキ、ANTかTESかGoryo’s Vengeance型リアニか昔ながらのリアニのどれかだと僕には思える。
見たのは土地だけじゃないので考えを続けよう。
まず、昔ながらのリアニにとって1ターン目メインのブレストが良いプレイになるケースはほとんどない。このデッキでブレストの後にマナを生み出せるカードはよくて4枚のLotus Petalだけだ。そしてそのうち2枚を手に入れないとブレストの後に意味のあるプレイをすることはできない――ふつうは割に合わない賭けになる。というわけで、相手のデッキは残り3つのどれかだろう。
相手がどれを使っているか完全に明らかにできるだけの情報はないけれど、非常にアグレッシブなコンボデッキだと考えて間違いなく、さらにここで彼の手札の質についてもかなりのことが分かるんだ!
1ターン目メインのブレストは、非常に強い手札の場合にのみ意味を持つ――つまり、即座に勝つのに必要なパーツが残り1枚だけ、という手札だ。相手はその1枚をブレストで見つけられなかった――見つかればこちらは死んでいる――しかし、いったんアンタップして2枚目の土地を置けば仕掛けてくる可能性はかなり高い。
いま考えたことを組み合わせると、最初のフェッチでUnderground Seaを持ってきたアクションから追加で分かることがある。相手はおそらく仕掛けるためにアンシーからの黒マナが必要だ。そうでないなら島を持ってくる方がよほど安全なプレイになる。こういうプレイをし得るのはANTかGoryo型リアニだけだ。どちらのデッキも多くの土地を並べることはできない。土地のかたまった手札から1,2ターン目に勝てることは滅多になく、その場合は1ターン目メインのブレストはひどいプレイになる。
最後に、こちらがまだ死んでいないということは、相手は土地1枚だけではおそらく勝てないということだ。もしこちらにWastelandがあるならたぶんここで切った方が良いね。
初動の黒
Polluted DeltaからBayouをフェッチ、Thoughtseizeをプレイ。
さて、またもやフェッチからのデュアル、そして1ターン目のスペルという動きだ。
BayouからThoughtseizeという時点で死儀礼デッキの一種である可能性が最も高いだろう。ジャンドかShardless BUGかEsper Deathbladeか、あるいはBUGデルバーか。追加の情報であるPolluted Deltaからは、相手はおそらくジャンドではなく青系のどれかだろうと考えられる。
Esper Deathbladeはこれらの中では最も確率が低い。このデッキが1ターン目にBayouをフェッチする理由は滅多にないためだ。同様にBUGデルバーも青マナを欲しがる(Dazeのためにも島が要る)ので、1ターン目にBayouを持ってくるのはとてもリスキーだ。というわけで、今のところ相手はShardless BUGだろうと僕は考える。
もちろんThoughtseizeの解決によって相手の手札とゲームプランについてより多くの情報を得られるが、今日はこちらが使うデッキについては無視している。この点についてはこの記事の範囲外とさせてほしい。
しかしそれでも、僕らは相手の手札についてもう少し考えられることがある。まず、相手はほぼ間違いなく少なくとも1枚、おそらく2枚の追加のマナソースを持っており、そのどちらも青マナにアクセスできるはずだ。BUGデルバーとShardless BUGはかなり青寄りのデッキで、青マナを確保できていないときはそれを確実に手に入れることに集中するだろう。
さらに、相手の手札にはDelver of Secrets(Shardless BUGという読みからは少し外れるけど)もAncestral Visionもないだろうと思われる――こちらが高速コンボだと相手が考えていなければ。これらを1ターン目にプレイする価値は1ターン目Thoughtseizeよりもかなり高いことが多いためだ。同じ理由で、相手は死儀礼と強力な2マナカードを同時には持っていないだろう。1ターン目死儀礼からの2ターン目ハンデス+2マナスペルという動きは強く、ハンデスを1ターン遅らせてでもやってくるはずだ。
嗚呼、5色土地
Gemstone Mineを出してエンド。
うん、これはすごく単純で、だけど多くを語っているね。Gemstone Mineが入るデッキはわずかしかない――ドレッジ、TES、あとはAdam Prosak型のANT――この初動からは相手がアンフェア志向だということがかなり明白だ。
ドレッジで5色土地はあるがディスカード手段のない手札をキープするのは本当にまずいプレイヤーだけ(それか後手でドローディスカードするプランの場合)なのでドレッジの可能性は無視して、高速テンドリルデッキのどちらかだと考えよう。ANTがGemstone Mineを引くことは少なく、さらにキャントリップもなしでGemstone Mineからスタートしなきゃならない手札をキープする可能性も低いので、TESの確率の方が高いだろう。
とはいえ、ここで一番面白いのは相手の1ターン目のアクション――あるいはアクションがないこと――からいかに多くを知ることができるかという点だ。彼が高速ストームを使っていることが分かったとして、1ターン目に動きがないのはかなり意外だ。ストームデッキの序盤はふつう、少なくともキャントリップかハンデスを1ターン目に撃つことに注力する。
2つの可能性が考えられる:相手がBrainstormを持っておりこちらのエンドにキャストするのを待っているか、あるいはマナ加速が少し足りないものの非常に良い手札を持っており、仕掛けるのに2枚目の土地が必要か。
2枚目の土地が必要だとすると、手札にある追加の土地もおそらくGemstone Mineということになるだろう――より良い土地が使えるのに、わざわざ目減りする土地を先に出す必要はない。
相手の手札に欠けているものが一つあるとすると、マナ不足しかないだろう。ライブラリを掘るキャントリップがなく、コンボパーツも揃っていない手札をキープするのはふつうかなりマズイ。チューターか直接パーツとなるスペルを探すのに十分なカードを見られなくなる。
僕には、相手は動き始めるのにちょうど1マナ足りないのだろうと思われる。何かのマナ――土地も含めて――を引かれればおそらくゲームは終わる。
最後に、相手がブレストを持っている場合、こちらのエンドステップにそれを撃ってくるだろう。「Gemstone Mineを出してエンド」という1ターン目のプレイを正当化するためには、たとえブレストがあってもかなり完成形に近い状態の手札が必要だからだ。2ターン目を待ってブレストしたいならフェッチランドを持っているはずだけど、この場合は不毛をケアして1ターン目にGemstone Mineではなくフェッチランドをプレイするだろう――やっぱりこの可能性は考えにくい。
エンドステップにブレストがきた場合、相手が使っているのはTESで、仕掛けるには赤マナと黒マナの両方が必要だ。
理由?Gemstone Mineゴーを正当化できるほど勝利に近い手札を持っているなら、ふつうは自分のターンのうちにブレストを撃ちたくなるだろう。そこでパーツを見つければ即座に勝てる。しかし、仕掛けるのに異なる2色が必要な場合は1ターン目ブレストから即座に勝つのはほぼ不可能だ。この場合はブレストを待ち、2枚目の土地を出すまでの間のハンデスをケアするのに使うべきか見極めようとするだろう。
マングース目撃
Polluted DeltaからTropical IslandをフェッチしてNimble Mongooseをプレイ。
この動きで一番多くを語っているのはもちろんNimble Mongooseだ。マングースを入れるのはStifle / Wasteland / Dazeを使うテンポデッキだけで、真っ先に挙がるのはRUGデルバーあるいはドイツのBURGデッキ、そして最近ではかなりレアだけど昔ながらのBUGデルバー(赤の火力の代わりにボブを入れたRUG)かもしれない。
Polluted Deltaによって、おそらく相手はBURGデッキではないことが分かる――このデッキはマナベースを安定させるためにTaigaを入れる必要があり、Polluted DeltaはTaigaを持ってくることができない。BURGを除くとこの初動からは相手のデッキチョイスについてこれ以上は分からないが、RUGは他のテンポデッキと比べてかなり多く使われていることから、ここでは僕はRUGを相手にしていると信じるだろう。
マングースからはまだ読み取れることがある。通常、Nimble Mongooseはテンポデッキの1ターン目のプレイとしては最弱だ。Delverの方が大きなダメージを見込め、間違いなくできれば最初にプレイしたいはずだ。同様に、マングースが序盤に与えるダメージは小さく、1ターン目のプレイとしては相手がフェッチを使う場合に備えてStifleを構える方がマングースを出すよりもかなり良い。
Lightning BoltとSpell Pierceの組み合わせを構えることでさえ――後でマングースを出すための緑マナが確保できるなら――あるいは単なるPonderでさえ多くの状況でより良い1ターン目のアクションだ(特にPonderは土地1枚でキープした場合)。
結果として、相手はStifleやDelverを今のところ持っておらず、おそらく土地はもう1枚持っていると僕は考える。土地があるというのは、相手の手札になさそうなカードが多いためだ。Dazeケアには特に注意を払うだろう――相手のここまでの動きにはDazeによるバックアップがぴったりハマる。
前へ、目的地へ
ここまで見てきたように、対戦相手の1ターン目のカード数枚を見ただけで驚くべき量の情報が集められる。このようにして結論を引き出す力はレガシーで非常に重要なスキルだ。はじめに書いたようにレガシーは速く、居並ぶデッキ達はミスプレイを許さず初動を信じられないほど厳しく咎めてくる。
みんなが対戦相手の初動を読むとき、今日の記事が役に立てれば嬉しいよ。上に書いた考察の多くで相手がマリガンしていないことがけっこう重要だってことには気をつけてほしい。手札のカードが少なくなるほどプレイヤーは最適でない動きをせざるを得なくなってくる――最適でない動きを読むのはとても難しい。
対戦相手が自らのデッキを熟知している前提だってことにも気をつけてくれ。もう一度言うけど、最適でない動きは意味不明だから読むのはとても難しいんだ。
あらゆるレガシーの試合で見ることになる最序盤のアクションに注目してみたこの記事を楽しんでもらえたら幸いだ。あなたがどう考えたか、僕の考えと違うところはどこか、コメントで教えてほしい。
じゃあまた次回。細部に気を配ろう!
Carsten Kotter
StarCityGamesより。
ロームをやり込んでいるJeff Hooglandによる4色ローム入門。
ロームをよく知らない人向けの入門記事ですが、サイドのインアウトなど勉強になりました。
好きなデッキなのですがなかなかうまく回せません。。
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Loam Is Where The Heart Is
JEFF HOOGLAND
2013/5/06
http://www.starcitygames.com/article/26118_Loam-Is-Where-The-Heart-Is.html
僕が今使っていて、今年のSCGレガシーオープンで3回トップ4に入った4色ロームデッキ入門を書く気はないかと多くの人に言われている――彼らのためにこの記事を書くよ。去年の12月、GPインディアナポリスのサイドイベントで初めて使って以来、いろんなタイプの4色ロームを試行錯誤してきた。
初めてDevastating Dreamsを解決させて勝ったとき、僕はこのアーキタイプに夢中になってしまった。この記事は4色ロームの入門的な内容で、もし大会レポートにも興味を持ってくれたなら、僕のSCGインディアナポリスのレポートがここ(http://www.reddit.com/r/spikes/comments/1a33db/legacy_third_at_scg_indy_report/)、SCGアトランタのレポートがここ(http://www.reddit.com/r/spikes/comments/1c0j8e/legacy_third_at_scg_atlanta_report/)にあるよ。
デッキについて話を始める前に、75枚を載せておこう:
Four-Color Loam
Jeff Hoogland
2nd Place at SCG Legacy Open on 4/14/2013
Legacy
Creatures (9)
* 3 Dark Confidant
* 4 Knight of the Reliquary
* 1 Gaddock Teeg
* 1 Dryad Arbor
Lands (25)
* 1 Forest
* 1 Badlands
* 1 Bayou
* 2 Forgotten Cave
* 2 Grove of the Burnwillows
* 1 Maze of Ith
* 1 Nantuko Monastery
* 1 Plateau
* 1 Savannah
* 2 Taiga
* 3 Tranquil Thicket
* 4 Wasteland
* 4 Wooded Foothills
* 1 Karakas
Spells (26)
* 4 Chalice of the Void
* 4 Mox Diamond
* 2 Sylvan Library
* 3 Abrupt Decay
* 3 Punishing Fire
* 4 Burning Wish
* 2 Devastating Dreams
* 1 Green Sun’s Zenith
* 3 Life from the Loam
Sideboard
* 1 Abrupt Decay
* 1 Gaddock Teeg
* 3 Thalia, Guardian of Thraben
* 1 Chainer’s Edict
* 1 Devastating Dreams
* 1 Dreadbore
* 1 Life from the Loam
* 1 Maelstrom Pulse
* 1 Perish
* 1 Reverent Silence
* 1 Shattering Spree
* 1 Thoughtseize
* 1 Bojuka Bog
SCGアトランタとSCGミルウォーキーの両方で僕はまさにこの75枚を使った――入っているカードにはとても満足しているよ。
カードチョイス
このデッキは強く、楽しく、柔軟だ。色々な角度から攻めることができる。
デッキ名からも分かるように、このリストはLife from the Loamエンジンを搭載している。ロームは、僕らがよく言う「自己完結」している強力なカードだ。墓地から3枚の土地を「ドロー」できて、そのために土地を墓地に落とすこともできる。
ロームによって回収する土地はいくつもの役割をこなす。Wastelandは対戦相手の欲張ったマナベースを攻め、Nantuko Monasteryはプレインズウォーカーやプレイヤーにアタックする。土地では不十分な場合はサイクリングランド(Forgotten CaveとTranquil Thicket)によってスペルを引くことができる。いったんロームが動き始めると、こちらのカードアドバンテージについてこられるデッキはレガシーには(もしあるとしても)僅かしかない。
だからデッキにはLife from the Loamを7枚入れている。
ああ、もちろんそのまま7枚のロームを入れてはいない(ルール違反だからね)。「7」枚のロームというのは、擬似的に7枚のロームを入れているということだ。3枚のロームをメインに入れ、4枚目のロームをBurning Wishのターゲットとしてサイドに入れることによって(これにはゲーム2や3でロームを全てサージカルされてしまうのを防ぐ意味もある)。
慎重に選んだサイドボードにより、ロームデッキのBurning WishはしばしばDemonic Tutorのようにはたらく。厄介なクリーチャーやプレインズウォーカーの除去?Dreadboreを持ってこよう。対戦相手が面倒なアーティファクトやエンチャントをたくさん出してる?Shattering SpreeかReverent Silenceで分からせよう。Chainer’s Edictはエムラクールにもマングースにも効き、Perishはエルフやマーベリックへの強烈な一撃だ。
もう1枚、サイドボードのカードとして上で言ったDevastating Dreamsがある。このロームデッキの勝利への最短ルートは、Knight of the Reliquaryを解決させ、続けて相手の土地を全て破壊する大きさのDevastating Dreamsを撃つことだ。赤夢はクリーチャーにダメージを与えるのに加えて土地を破壊するため、これで自分の聖遺が死んでしまうことはほとんどない。これにより、Devastating Dreamsはしばしばこちらの聖遺を残すラスゴ+ゲドンになる。
カードチョイスについて話しておきたいことがもう少しあって、フル搭載している2種類のアーティファクト:Chalice of the VoidとMox Diamondだ。
チャリスには1個のカウンターを置きたいことが多い。上のデッキリストを見ると、75枚のうち1マナのカードはたった3枚に抑えられていることに気づくと思う。一方、他の多くのレガシーデッキは12枚かそれ以上の1マナスペルを積んでいることが多い――つまり、チャリスX=1によって相手の無駄ツモ率を20%以上まで上げられるゲームがよくあるってこと!
チャリス1を運用できるように組んだデッキの構造とMox Diamondは強力にシナジーする。こちらのほぼ全てのスペルが2マナだからといって、キャストするのに2ターン目を待たなくても良いんだ!Dark ConfidantもSylvan LibraryもChalice of the Voidも、1ターン目にプレイするのは素晴らしいよ。
マリガンについて
このロームデッキはとても柔軟なため、プレイ中に僕らのした選択が試合の行方に大きな影響を与えることになる。この選択は初手を引いたところから始まっている――正しくロームをプレイするには正しいマリガンが不可欠だ。多くのレガシーデッキのように「土地とスペル」でキープしようと思ったら大間違いだよ。
以下のような手札の例を考えてみよう:
この7枚は間違いなく「土地とスペル」チェックはクリアする。しかし見るべきなのは、この手札ではGreen Sun’s Zenith以外のスペルを実際にはキャストできないということだ。(緑頂点で持ってきた)1ターン目のDryad Arborと、それに続くWastelandでゲームに勝つのに十分かな?ほぼ常にノーだ――このハンドはやり直す必要がある。
でも、上の7枚のうち1枚だけ他のカードに変わったらどうだろう:
これはまったく違う勝負になる。Wooded Foothillsは前の例にはなかった2色(赤と黒)にアクセスできる。
この手札は相手のデッキに応じていくつかの異なるプレイが可能だ。
1ターン目:Wooded Foothillsをプレイ→BayouをフェッチしてGreen Sun’s Zenithをキャスト→Dryad Arborを持ってくる。
2ターン目:WastelandをプレイしてBayou + Dryad ArborからDark Confidantをキャスト、不毛で相手の土地を割る。
[編集者メモ:Jeffは脳内プレイでさえDazeをケアしてる。いいね!]
この一連のプレイはかなりアグレッシブだが、(相手のマナを同時に攻めているために)序盤のボブに相手が回答できない場合、こちらが赤マナを引ける確率は高い(そして1ターンに2枚のカードを引ける)。
もっと保守的にプレイしたい場合(もしくはボブがすぐに除去されそうな場合)、Wooded FoothillsはBadlandsを持ってくるためにとっておくこともできて、そうすればデッキの4色全てを出せるようになる。これにより2ターン目と3ターン目にPunishing FireとAbrupt Decayを使って相手のプレイに回答できるようになる。そして4ターン目に緑頂点で聖遺を持ってこられる。
どんな初手をキープすべきか、また様々な初手からどんなプレイができるか、という話題だけで簡単に本1冊が埋まってしまう。
というわけで、今日は最後によく聞かれる質問「どうサイドボーディングするか」に触れて終わろうと思う。今のレガシーのメタゲームでよく見かけるアーキタイプに対して、上の75枚で僕がどうサイドするかを以下に書いておくよ。
サイドボーディング
RUG/BUG Delver
Out: -1 Green Sun’s Zenith, -1 Gaddock Teeg, -2 Burning Wish
In: +1 Abrupt Decay, +1 Bojuka Bog, +1 Dreadbore, +1 Maelstrom Pulse
Jund
Out: -1 Green Sun’s Zenith, -1 Gaddock Teeg
In: +1 Abrupt Decay, +1 Bojuka Bog
U/W/R Miracles
Out: -3 Punishing Fire, -1 Life from the Loam, -1 Knight of the Reliquary
In: +1 Abrupt Decay, +1 Gaddock Teeg, +3 Thalia, Guardian of Thraben
Esper Stoneblade
Out: -1 Gaddock Teeg
In: +1 Abrupt Decay
Elves
Out: -1 Knight of the Reliquary, -1 Life from the Loam
In: +1 Abrupt Decay, +1 Gaddock Teeg
Goblins
Out: -4 Chalice of the Void
In: +1 Abrupt Decay, +1 Thoughtseize, +1 Maelstrom Pulse, +1 Dreadbore
Sneak and Show (とコンボ全般)
Out: -3 Abrupt Decay, -1 Punishing Fire
In: +3 Thalia, Guardian of Thraben, +1 Gaddock Teeg
おわりに
ここ5ヶ月間、4色ロームを使ってとても楽しい時間を過ごした。この期間に僕は競技RELの大会に8回参加し、それら全ての通算成績は47-16-8だった(ドローは全てID)。勝率はおよそ75%――高レベルな大会にしては悪くないんじゃないかな。
このデッキについて質問やコメントがあれば気軽にコメント欄に書いてね。
Cheers,
Jeff Hoogland
※訳注:元記事のコメント欄でデッキについて話している部分をざっくり訳で追記します。
Q. Seismic Assaultはテストした?
A. 多くの場合アサルトはオーバーキルだと思う。アサルトが強いのはロームエンジンが動いているときだけど、そうなっている場合はアサルトなしでも勝ってしまう。聖遺や罰する火のようなカードを使えばロームがない状況でも勝負できるよね。
Q. なんでサリアを入れてるの?ミラクルにはそんなに効かないんじゃない?ロームデッキは生物も少ないし。
A. サリアはこちら以上に相手にとってキツいよ。このリストでミラクルとは何度もプレイしたけど、サリアは本当に強かった。他にも、ほぼ全てのコンボとのマッチアップでサリアはエースだね。
Q. 相手がリアニやショーテルじゃないことを祈るしかないんじゃ・・・。
A. そうかな?聖遺からのカラカスでバウンスして、必要なら不毛連打、そしてビートしよう。
ロームをやり込んでいるJeff Hooglandによる4色ローム入門。
ロームをよく知らない人向けの入門記事ですが、サイドのインアウトなど勉強になりました。
好きなデッキなのですがなかなかうまく回せません。。
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Loam Is Where The Heart Is
JEFF HOOGLAND
2013/5/06
http://www.starcitygames.com/article/26118_Loam-Is-Where-The-Heart-Is.html
僕が今使っていて、今年のSCGレガシーオープンで3回トップ4に入った4色ロームデッキ入門を書く気はないかと多くの人に言われている――彼らのためにこの記事を書くよ。去年の12月、GPインディアナポリスのサイドイベントで初めて使って以来、いろんなタイプの4色ロームを試行錯誤してきた。
初めてDevastating Dreamsを解決させて勝ったとき、僕はこのアーキタイプに夢中になってしまった。この記事は4色ロームの入門的な内容で、もし大会レポートにも興味を持ってくれたなら、僕のSCGインディアナポリスのレポートがここ(http://www.reddit.com/r/spikes/comments/1a33db/legacy_third_at_scg_indy_report/)、SCGアトランタのレポートがここ(http://www.reddit.com/r/spikes/comments/1c0j8e/legacy_third_at_scg_atlanta_report/)にあるよ。
デッキについて話を始める前に、75枚を載せておこう:
Four-Color Loam
Jeff Hoogland
2nd Place at SCG Legacy Open on 4/14/2013
Legacy
Creatures (9)
* 3 Dark Confidant
* 4 Knight of the Reliquary
* 1 Gaddock Teeg
* 1 Dryad Arbor
Lands (25)
* 1 Forest
* 1 Badlands
* 1 Bayou
* 2 Forgotten Cave
* 2 Grove of the Burnwillows
* 1 Maze of Ith
* 1 Nantuko Monastery
* 1 Plateau
* 1 Savannah
* 2 Taiga
* 3 Tranquil Thicket
* 4 Wasteland
* 4 Wooded Foothills
* 1 Karakas
Spells (26)
* 4 Chalice of the Void
* 4 Mox Diamond
* 2 Sylvan Library
* 3 Abrupt Decay
* 3 Punishing Fire
* 4 Burning Wish
* 2 Devastating Dreams
* 1 Green Sun’s Zenith
* 3 Life from the Loam
Sideboard
* 1 Abrupt Decay
* 1 Gaddock Teeg
* 3 Thalia, Guardian of Thraben
* 1 Chainer’s Edict
* 1 Devastating Dreams
* 1 Dreadbore
* 1 Life from the Loam
* 1 Maelstrom Pulse
* 1 Perish
* 1 Reverent Silence
* 1 Shattering Spree
* 1 Thoughtseize
* 1 Bojuka Bog
SCGアトランタとSCGミルウォーキーの両方で僕はまさにこの75枚を使った――入っているカードにはとても満足しているよ。
カードチョイス
このデッキは強く、楽しく、柔軟だ。色々な角度から攻めることができる。
デッキ名からも分かるように、このリストはLife from the Loamエンジンを搭載している。ロームは、僕らがよく言う「自己完結」している強力なカードだ。墓地から3枚の土地を「ドロー」できて、そのために土地を墓地に落とすこともできる。
Life from the Loam / 壌土からの生命 (1)(G)
ソーサリー
あなたの墓地にある土地カードを最大3枚まで対象とし、それをあなたの手札に戻す。
発掘3(あなたがカードを引く場合、代わりにあなたはあなたのライブラリーのカードを上からちょうど3枚、あなたの墓地に置いてもよい。そうした場合、あなたの墓地にあるこのカードをあなたの手札に戻す。そうしなかった場合、カードを1枚引く。)
ロームによって回収する土地はいくつもの役割をこなす。Wastelandは対戦相手の欲張ったマナベースを攻め、Nantuko Monasteryはプレインズウォーカーやプレイヤーにアタックする。土地では不十分な場合はサイクリングランド(Forgotten CaveとTranquil Thicket)によってスペルを引くことができる。いったんロームが動き始めると、こちらのカードアドバンテージについてこられるデッキはレガシーには(もしあるとしても)僅かしかない。
だからデッキにはLife from the Loamを7枚入れている。
ああ、もちろんそのまま7枚のロームを入れてはいない(ルール違反だからね)。「7」枚のロームというのは、擬似的に7枚のロームを入れているということだ。3枚のロームをメインに入れ、4枚目のロームをBurning Wishのターゲットとしてサイドに入れることによって(これにはゲーム2や3でロームを全てサージカルされてしまうのを防ぐ意味もある)。
Burning Wish / 燃え立つ願い (1)(R)
ソーサリー
あなたは、ゲームの外部にあるあなたがオーナーであるソーサリー・カード1枚を選び、そのカードを公開し、あなたの手札に加えてもよい。燃え立つ願いを追放する。
慎重に選んだサイドボードにより、ロームデッキのBurning WishはしばしばDemonic Tutorのようにはたらく。厄介なクリーチャーやプレインズウォーカーの除去?Dreadboreを持ってこよう。対戦相手が面倒なアーティファクトやエンチャントをたくさん出してる?Shattering SpreeかReverent Silenceで分からせよう。Chainer’s Edictはエムラクールにもマングースにも効き、Perishはエルフやマーベリックへの強烈な一撃だ。
もう1枚、サイドボードのカードとして上で言ったDevastating Dreamsがある。このロームデッキの勝利への最短ルートは、Knight of the Reliquaryを解決させ、続けて相手の土地を全て破壊する大きさのDevastating Dreamsを撃つことだ。赤夢はクリーチャーにダメージを与えるのに加えて土地を破壊するため、これで自分の聖遺が死んでしまうことはほとんどない。これにより、Devastating Dreamsはしばしばこちらの聖遺を残すラスゴ+ゲドンになる。
カードチョイスについて話しておきたいことがもう少しあって、フル搭載している2種類のアーティファクト:Chalice of the VoidとMox Diamondだ。
チャリスには1個のカウンターを置きたいことが多い。上のデッキリストを見ると、75枚のうち1マナのカードはたった3枚に抑えられていることに気づくと思う。一方、他の多くのレガシーデッキは12枚かそれ以上の1マナスペルを積んでいることが多い――つまり、チャリスX=1によって相手の無駄ツモ率を20%以上まで上げられるゲームがよくあるってこと!
チャリス1を運用できるように組んだデッキの構造とMox Diamondは強力にシナジーする。こちらのほぼ全てのスペルが2マナだからといって、キャストするのに2ターン目を待たなくても良いんだ!Dark ConfidantもSylvan LibraryもChalice of the Voidも、1ターン目にプレイするのは素晴らしいよ。
マリガンについて
このロームデッキはとても柔軟なため、プレイ中に僕らのした選択が試合の行方に大きな影響を与えることになる。この選択は初手を引いたところから始まっている――正しくロームをプレイするには正しいマリガンが不可欠だ。多くのレガシーデッキのように「土地とスペル」でキープしようと思ったら大間違いだよ。
以下のような手札の例を考えてみよう:
《闇の腹心/Dark Confidant》
《罰する火/Punishing Fire》
《突然の衰微/Abrupt Decay》
《Savannah》
《不毛の大地/Wasteland》
《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》
《Maze of Ith》
この7枚は間違いなく「土地とスペル」チェックはクリアする。しかし見るべきなのは、この手札ではGreen Sun’s Zenith以外のスペルを実際にはキャストできないということだ。(緑頂点で持ってきた)1ターン目のDryad Arborと、それに続くWastelandでゲームに勝つのに十分かな?ほぼ常にノーだ――このハンドはやり直す必要がある。
でも、上の7枚のうち1枚だけ他のカードに変わったらどうだろう:
《闇の腹心/Dark Confidant》
《罰する火/Punishing Fire》
《突然の衰微/Abrupt Decay》
《Savannah》
《不毛の大地/Wasteland》
《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》
《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
これはまったく違う勝負になる。Wooded Foothillsは前の例にはなかった2色(赤と黒)にアクセスできる。
この手札は相手のデッキに応じていくつかの異なるプレイが可能だ。
1ターン目:Wooded Foothillsをプレイ→BayouをフェッチしてGreen Sun’s Zenithをキャスト→Dryad Arborを持ってくる。
2ターン目:WastelandをプレイしてBayou + Dryad ArborからDark Confidantをキャスト、不毛で相手の土地を割る。
[編集者メモ:Jeffは脳内プレイでさえDazeをケアしてる。いいね!]
この一連のプレイはかなりアグレッシブだが、(相手のマナを同時に攻めているために)序盤のボブに相手が回答できない場合、こちらが赤マナを引ける確率は高い(そして1ターンに2枚のカードを引ける)。
もっと保守的にプレイしたい場合(もしくはボブがすぐに除去されそうな場合)、Wooded FoothillsはBadlandsを持ってくるためにとっておくこともできて、そうすればデッキの4色全てを出せるようになる。これにより2ターン目と3ターン目にPunishing FireとAbrupt Decayを使って相手のプレイに回答できるようになる。そして4ターン目に緑頂点で聖遺を持ってこられる。
どんな初手をキープすべきか、また様々な初手からどんなプレイができるか、という話題だけで簡単に本1冊が埋まってしまう。
というわけで、今日は最後によく聞かれる質問「どうサイドボーディングするか」に触れて終わろうと思う。今のレガシーのメタゲームでよく見かけるアーキタイプに対して、上の75枚で僕がどうサイドするかを以下に書いておくよ。
サイドボーディング
RUG/BUG Delver
Out: -1 Green Sun’s Zenith, -1 Gaddock Teeg, -2 Burning Wish
In: +1 Abrupt Decay, +1 Bojuka Bog, +1 Dreadbore, +1 Maelstrom Pulse
Jund
Out: -1 Green Sun’s Zenith, -1 Gaddock Teeg
In: +1 Abrupt Decay, +1 Bojuka Bog
U/W/R Miracles
Out: -3 Punishing Fire, -1 Life from the Loam, -1 Knight of the Reliquary
In: +1 Abrupt Decay, +1 Gaddock Teeg, +3 Thalia, Guardian of Thraben
Esper Stoneblade
Out: -1 Gaddock Teeg
In: +1 Abrupt Decay
Elves
Out: -1 Knight of the Reliquary, -1 Life from the Loam
In: +1 Abrupt Decay, +1 Gaddock Teeg
Goblins
Out: -4 Chalice of the Void
In: +1 Abrupt Decay, +1 Thoughtseize, +1 Maelstrom Pulse, +1 Dreadbore
Sneak and Show (とコンボ全般)
Out: -3 Abrupt Decay, -1 Punishing Fire
In: +3 Thalia, Guardian of Thraben, +1 Gaddock Teeg
おわりに
ここ5ヶ月間、4色ロームを使ってとても楽しい時間を過ごした。この期間に僕は競技RELの大会に8回参加し、それら全ての通算成績は47-16-8だった(ドローは全てID)。勝率はおよそ75%――高レベルな大会にしては悪くないんじゃないかな。
このデッキについて質問やコメントがあれば気軽にコメント欄に書いてね。
Cheers,
Jeff Hoogland
※訳注:元記事のコメント欄でデッキについて話している部分をざっくり訳で追記します。
Q. Seismic Assaultはテストした?
A. 多くの場合アサルトはオーバーキルだと思う。アサルトが強いのはロームエンジンが動いているときだけど、そうなっている場合はアサルトなしでも勝ってしまう。聖遺や罰する火のようなカードを使えばロームがない状況でも勝負できるよね。
Q. なんでサリアを入れてるの?ミラクルにはそんなに効かないんじゃない?ロームデッキは生物も少ないし。
A. サリアはこちら以上に相手にとってキツいよ。このリストでミラクルとは何度もプレイしたけど、サリアは本当に強かった。他にも、ほぼ全てのコンボとのマッチアップでサリアはエースだね。
Q. 相手がリアニやショーテルじゃないことを祈るしかないんじゃ・・・。
A. そうかな?聖遺からのカラカスでバウンスして、必要なら不毛連打、そしてビートしよう。
ChannelFireBallより。
しゃあないキープ、マジック難しい、もうマジックやめる等に関わるティルトの話。
身につまされる記事でした。
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Your Inner Monster
By Roberto Gonzales
8 Apr, 2013
http://www.channelfireball.com/home/your-inner-monster/
奴はいる。
鍵をかけて閉じ込めたと思ったとたん、奴は逃げ出す。逃げ出すばかりか、そこらじゅうを走り回りあちこちで大混乱を引き起こす。
奴の狙いは全てをめちゃくちゃに破壊することだけだ。心を持たず、主人もいない。それどころか、奴は私たちを従えている。
奴は何者か?
奴とは何なのか?
逆上だ。
ポーカーなど様々なゲームで、奴はティルトと呼ばれている。ティルトに支配された状態でゲームをプレイすべきではない。
ティルトは以下のように定義されるためだ:
「予期した(得る権利があると思っていた)結果に反する、極端に良い/悪い出来事により、目の前のタスクに集中できなくなること」
全ての人、本当にあらゆる人がどこかでティルトを経験したことがあるはずだ。
ポーカープレイヤーに対してはもう少し突っ込んだことが言える――事前に計算可能な確率があり、確率が高いはずの結果にならなかったとき、勝った側と負けた側の両プレイヤーがティルトに陥るリスクがある。そう、両プレイヤーが。
ティルトには2つの側面があり、これはほとんどの記事が(世の中のPhDたちでさえも)見逃している:正と負のティルトだ。
性格によってどちらのティルトになりやすいかが変わる。
数が多いのは負のティルトで、マジックでよくあるのはマリガンティルトだ。
あなたはゲーム3をプレイしているとしよう。シャッフルして、輝かしい7枚のカードを引く。見ると土地がない。この手札から始めて動けるデッキではない。
マリガンが必要だ。
あなたの経験が浅ければ、これがティルトのきっかけになり得る。ほとんどのマジックプレイヤーは7枚のカードでゲームを始める権利があると思っている。権利なしにティルトは生じ得ない。
いま6枚のカードを引き直し、今度は土地が1枚、そして手札にある他のカードはどれも土地と色が合わない。あなたのティルトメーターの針が上昇する。血が煮えたぎるのを感じ始めるかもしれない。突然、世界はカウチであなたはリック・ジェイムスとなる(※訳注:Kanye Westの曲『To The World』の歌詞 "The whole world is a couch, bitch I’m Rick James tonight" より)。
紙のマジックをプレイしている場合、あなたは頭を振り、これをキープしてチャンスに賭けるべきかどうか考え始める。それがほぼ敗北に繋がることを知りつつ。
このような思考を始めたら、あなたは2段階のうちの1段目に差し掛かっていることになる。「正当化」だ。
マリガンティルト時の正当化は、ほとんどのマジックプレイヤーがあっさり陥る大きな落とし穴だ。数えきれないほどのプレイヤーがこの状況になり、「しょうがない、キープしよう」と言う。
多くの場合、これは明らかに間違っている。マリガンして6枚になり、手札の土地で残りのカードをキャストできないなら、あなたは実質何枚のカードを持っていることになるだろう?1枚?それとも1と1/3枚?
もちろん、完璧な最高のドローをして必要な土地を手に入れる確率はゼロじゃない。でも通常それは起こらない。マリガンティルト時の正当化によって良い判断を下せなくなるのはマズイ。
ある夜、私はPaul Cheonの動画配信を見ていた。そこで彼は、マリガンティルトに打ち勝つさまをまざまざと見せつけてくれた。
ゲーム2、彼はダブマリせざるを得なくなった――土地がなかったからではなく、相手の人間リアニデッキへの干渉手段がなかったためだ。彼の7枚、6枚、そして5枚の手札はいずれも正当化すれば簡単にキープできる内容で、動画を見ている人の多くも「キープしろ」と言っていた。彼はプロらしく肩をすくめ、有効牌のある4枚のカードでキープ。結局彼はゲームに勝利した。
彼は7枚の手札で始める権利に惑わされて安易な決断をすることはなかった。
マリガンティルトの2段階目は「絶望」だ。ここにくると、両プレイヤーが同じ数の手札で始める公平なマジックのゲームをする、というあなたの期待は消え去る。起きていることには気を配らず、ただこの状況をどう終わらせるかを考えるようになる。イライラし、怒りがこみ上げ、災難に見舞われた悲しみに包まれる。対戦相手はときおりこのハプニングに気まずさを覚え、気乗りしないふうに「こういう勝ち方は嫌だね」と言う。MOでは、シャッフラーに対する思いつくかぎりの胸の悪くなるような罵詈雑言をプレイヤーがタイプするのがこの段階だ。大きなトーナメントでさえ、ここまでくると多くのプレイヤーが即投了してしまう(プレイテストではほぼ確実に投了だね)。失敗にがっかりし、負の感情がやる気をなくさせる。
ここに私がマジックキャリアの最初の頃に教わったレッスンがある:
「何が起きようと、致死ダメージを受けるかデッキからカードを引けなくなるまで敗北することはない」
絶望にとらわれると、あなたは最善を尽くすことをやめる。プレイ手順や現局面での勝率に集中しなくなる。良いゲームをしようとしなくなる。
7枚のカードと良い精神状態があればあなたの勝率は平均より高いとしても、例えばカードが5枚で心に暗雲立ち込めているとき、どれほどの勝率があるだろう?おそらくほとんどゼロだ。
より良いマジックプレイヤーになるためのイロハの一つは、盤面の自分側も相手側も100%コントロールするのは不可能だということだ。良いプレイヤーならあり得る動きを100%見通せるチェスとは違う。マジックはそのように作られてはいない。
ある時にはプロポーカープレイヤーのように、個々のゲームでの出来事と自分の感情を切り離さなければならない。そうすれば、結末に振り回されず、最も高確率なプレイは何かを考えて動けるようになる。
多くのプロが次のように言うのを聞くだろう:「このプレイをして、もし相手があれを持っていたら使ってくる。そうされた場合はどのみち負けるんだから、やろう。」
マジックのゲームの多くは、計算をして、確率の高いプレイをするプレイヤーが勝利する。常に成り立つわけではないけれど、それゆえに「確率の高い」プレイと呼ばれている。
誰にとってもティルトマネジメントは難しい。私もそうだ。
私はPTラヴニカへの回帰で0-3したドラフトデッキをゴミ箱に捨ててしまった。いくつかの強いカード、Deathrite ShamanとフォイルのBlood Cryptが入っていたにも関わらず。PTで3ラウンド立て続けにマナスクリューした怒りを抑えることができなかった。
怒りは人に馬鹿なことをさせる。
実は幸運も同じだ。
ティルトの残り半分は、正のティルトだ。私たちはティルトを負の感情とばかり結びつけるので、正のティルトについて考える人は少ない。
正のティルトは負のティルトと同じものだ。しかし、悪い出来事がまずいプレイを引き起こすのではなく、良い出来事が馬鹿なプレイを生む。私はこれを宝くじティルトと呼んでいる。
宝くじに当選することで人は地獄に落ちる。人生で何ペニー稼いだかを数えていたような男が突如2000万ドルを手に入れ、全てが吹き飛ぶ。宝くじに当たるような、バカバカしいほど良い出来事が起きることで彼は自分が何者であるかを忘れ、正しい思考ができなくなる。アメフトでは、(ウォーレン・サップ、ヴィンス・ヤング、トラヴィス・ヘンリーのように)大金を手にした選手がその使い方について正常な思考ができなくなる例をたくさん見ることができる。彼らはその幸運や財産は決して底をつかないと考えてしまう。
マジックでは、良い(ラッキーな)ときにまともでない手札をキープしてしまうのは宝くじティルトだ。GPピッツバーグのラウンド10で戦った相手は、RRとWWが必要なハンドをキープしたと試合後に言ってきた。その手札には赤マナも白マナもなかったけど、今日はツイてるからキープしたとのことだ。私たちは2人とも8-1でこのラウンドを迎えており、彼は明らかに宝くじティルトに陥っていた。さらに悪いことに、彼は幸運にも必要な色マナを手に入れ、この勝負に勝った。
その日ずっと幸運が続いてきたなら、そのまま乗っていけばいいのだろうか?
違う。
それまでの運の良さ/悪さは、現在のあなたの意思決定に影響を与えるべきではない。どの出来事も独立している。
ポーカーでは、アウツ(※訳注:現局面での勝率)を考えずに突飛なベットをするプレイヤーは、プロプレイヤーの大好物だ。丁寧なプレイをすればそのうち彼らの手持ち全額を奪えることをプロは知っているからだ。マジックでも同じことが起きる。幸運がしばらく続くことはある。しかし、いずれプラマイゼロに近づく。
私たちはふつう、賞金を勝ち取る、あるいはプロツアーで初日を抜ける、のようなかなり良いことを夢見てスタートする。マジックキャリアを重ねると、「負け始める」という成長のきっかけにぶつかる。ふいに疑念が浮かび、私たちはこう考える、「マジックは難しい。」次のPTQでもうまくいかない。「マジックは本当に難しい。想像してたよりぜんぜん大変だ。」おそらく大した成果のない1年を終え、こう考え始める、「こんなことやる意味があるのか?」
意味がないこともある。それは、自分の中で設定した目標が不適切なためだ。もし私が世界最高のバスケットボール選手になるという目標を設定したとして、身長は5フィート8インチしかなく、運動不足で、バスケットボールに関するスキルは何も持っていない。すぐには目標に近づけない可能性が高い。
最高のプレイヤーに明日なるという夢は捨てるべきだろうか?おそらくそうだ。夢に向けて成長するのをやめるべきだろうか?それは絶対に違う。
多くの場合、実現不可能な目標からもっと現実的な目標に切り替えることで精神的にも肉体的にも健康でいられるようになる。
マジックで言えば、プロツアーに出られなかったからといってイライラしないことだ。チャレンジングだが達成可能なところに目標を調整しよう。まずはPTQで1勝するところから始め、それからトップ8に目標を移す、というように。
実現不可能な目標から受ける継続的なストレスは実際に健康に悪影響を与える。十代の若者90人を1年間調査した研究では、実現不可能な目標を捨てられなかった人は炎症反応の指標であるC反応性蛋白の増加が確認された。これは心臓病や糖尿病、早期老化のような健康リスクの上昇に繋がる。
死に近づきたくはないだろう?完全に諦めた方が間違いなく良い。
マジックの上達はゆっくりとしたプロセスだ。私はマジックを19年間プレイしてきたが、トーナメントに出るたびに毎回新たなことを学ぶように思う。成功するには継続的にプレイを修正していく必要がある。
問題は、マジックのような変化の激しい環境で勉強するのはとても大変だということだ――うまくやっていくためのスキルを身に付ける体系的なカリキュラムは存在しない。必死に頑張ったとしても、伸び悩む時期に直面することになるだろう。間違いなくそれで普通だ。トーナメントごと、年ごとの上達幅は小さいのが普通だ。
NBA選手レブロン・ジェームスの過去6年のシュート成功率を例に挙げよう。レブロンは6年続けてフィールドゴール成功率(※訳注:フリースローを除いた成功率)を向上させており、今シーズンは56.5%というとてつもない数字にまで上昇した。2003年には41.7%だった。この信じがたい14.8%の向上は一夜にしてなされたわけではない。一歩一歩の成長が一夜漬けをいずれ上回ることを理解し、努力することが必要だ。
思うように上達しないフラストレーションでティルトに陥らないようにしよう。
私たちは大きな舞台でのサクセスストーリーに心を奪われる。プロツアーやPTQを勝った人の記事に引き寄せられる。
成功者の行動に価値を置き、数多くの失敗者に目を向けないこの落とし穴は「生き残りバイアス」と呼ばれる。PTQを勝った人が1人いれば、数えきれないほどの勝てなかった人がいる。彼らの話が重要ではなく、そこから学ぶものがないなどということはない。彼らがいかにティルトと戦ったか、あるいは戦わなかったかを学ぼう。
ティルトマネジメントは期待のマネジメントだ。挑戦しよう、現実的な目標に挑戦しよう。マジックとはどんなゲームなのか、自分のスキルがどんなものなのか、現実を理解しティルトの兆候に気づけたとき、ティルトはあなたを支配できなくなる。
5回マナスクリューして、カードを全て売り払ってマジックをやめたくなるまでの間は。
奴は再びそこにいる。
Roberto
しゃあないキープ、マジック難しい、もうマジックやめる等に関わるティルトの話。
身につまされる記事でした。
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Your Inner Monster
By Roberto Gonzales
8 Apr, 2013
http://www.channelfireball.com/home/your-inner-monster/
奴はいる。
鍵をかけて閉じ込めたと思ったとたん、奴は逃げ出す。逃げ出すばかりか、そこらじゅうを走り回りあちこちで大混乱を引き起こす。
奴の狙いは全てをめちゃくちゃに破壊することだけだ。心を持たず、主人もいない。それどころか、奴は私たちを従えている。
奴は何者か?
奴とは何なのか?
逆上だ。
ポーカーなど様々なゲームで、奴はティルトと呼ばれている。ティルトに支配された状態でゲームをプレイすべきではない。
ティルトは以下のように定義されるためだ:
「予期した(得る権利があると思っていた)結果に反する、極端に良い/悪い出来事により、目の前のタスクに集中できなくなること」
全ての人、本当にあらゆる人がどこかでティルトを経験したことがあるはずだ。
ポーカープレイヤーに対してはもう少し突っ込んだことが言える――事前に計算可能な確率があり、確率が高いはずの結果にならなかったとき、勝った側と負けた側の両プレイヤーがティルトに陥るリスクがある。そう、両プレイヤーが。
ティルトには2つの側面があり、これはほとんどの記事が(世の中のPhDたちでさえも)見逃している:正と負のティルトだ。
性格によってどちらのティルトになりやすいかが変わる。
数が多いのは負のティルトで、マジックでよくあるのはマリガンティルトだ。
あなたはゲーム3をプレイしているとしよう。シャッフルして、輝かしい7枚のカードを引く。見ると土地がない。この手札から始めて動けるデッキではない。
マリガンが必要だ。
あなたの経験が浅ければ、これがティルトのきっかけになり得る。ほとんどのマジックプレイヤーは7枚のカードでゲームを始める権利があると思っている。権利なしにティルトは生じ得ない。
いま6枚のカードを引き直し、今度は土地が1枚、そして手札にある他のカードはどれも土地と色が合わない。あなたのティルトメーターの針が上昇する。血が煮えたぎるのを感じ始めるかもしれない。突然、世界はカウチであなたはリック・ジェイムスとなる(※訳注:Kanye Westの曲『To The World』の歌詞 "The whole world is a couch, bitch I’m Rick James tonight" より)。
紙のマジックをプレイしている場合、あなたは頭を振り、これをキープしてチャンスに賭けるべきかどうか考え始める。それがほぼ敗北に繋がることを知りつつ。
このような思考を始めたら、あなたは2段階のうちの1段目に差し掛かっていることになる。「正当化」だ。
マリガンティルト時の正当化は、ほとんどのマジックプレイヤーがあっさり陥る大きな落とし穴だ。数えきれないほどのプレイヤーがこの状況になり、「しょうがない、キープしよう」と言う。
多くの場合、これは明らかに間違っている。マリガンして6枚になり、手札の土地で残りのカードをキャストできないなら、あなたは実質何枚のカードを持っていることになるだろう?1枚?それとも1と1/3枚?
もちろん、完璧な最高のドローをして必要な土地を手に入れる確率はゼロじゃない。でも通常それは起こらない。マリガンティルト時の正当化によって良い判断を下せなくなるのはマズイ。
ある夜、私はPaul Cheonの動画配信を見ていた。そこで彼は、マリガンティルトに打ち勝つさまをまざまざと見せつけてくれた。
ゲーム2、彼はダブマリせざるを得なくなった――土地がなかったからではなく、相手の人間リアニデッキへの干渉手段がなかったためだ。彼の7枚、6枚、そして5枚の手札はいずれも正当化すれば簡単にキープできる内容で、動画を見ている人の多くも「キープしろ」と言っていた。彼はプロらしく肩をすくめ、有効牌のある4枚のカードでキープ。結局彼はゲームに勝利した。
彼は7枚の手札で始める権利に惑わされて安易な決断をすることはなかった。
マリガンティルトの2段階目は「絶望」だ。ここにくると、両プレイヤーが同じ数の手札で始める公平なマジックのゲームをする、というあなたの期待は消え去る。起きていることには気を配らず、ただこの状況をどう終わらせるかを考えるようになる。イライラし、怒りがこみ上げ、災難に見舞われた悲しみに包まれる。対戦相手はときおりこのハプニングに気まずさを覚え、気乗りしないふうに「こういう勝ち方は嫌だね」と言う。MOでは、シャッフラーに対する思いつくかぎりの胸の悪くなるような罵詈雑言をプレイヤーがタイプするのがこの段階だ。大きなトーナメントでさえ、ここまでくると多くのプレイヤーが即投了してしまう(プレイテストではほぼ確実に投了だね)。失敗にがっかりし、負の感情がやる気をなくさせる。
ここに私がマジックキャリアの最初の頃に教わったレッスンがある:
「何が起きようと、致死ダメージを受けるかデッキからカードを引けなくなるまで敗北することはない」
絶望にとらわれると、あなたは最善を尽くすことをやめる。プレイ手順や現局面での勝率に集中しなくなる。良いゲームをしようとしなくなる。
7枚のカードと良い精神状態があればあなたの勝率は平均より高いとしても、例えばカードが5枚で心に暗雲立ち込めているとき、どれほどの勝率があるだろう?おそらくほとんどゼロだ。
より良いマジックプレイヤーになるためのイロハの一つは、盤面の自分側も相手側も100%コントロールするのは不可能だということだ。良いプレイヤーならあり得る動きを100%見通せるチェスとは違う。マジックはそのように作られてはいない。
ある時にはプロポーカープレイヤーのように、個々のゲームでの出来事と自分の感情を切り離さなければならない。そうすれば、結末に振り回されず、最も高確率なプレイは何かを考えて動けるようになる。
多くのプロが次のように言うのを聞くだろう:「このプレイをして、もし相手があれを持っていたら使ってくる。そうされた場合はどのみち負けるんだから、やろう。」
マジックのゲームの多くは、計算をして、確率の高いプレイをするプレイヤーが勝利する。常に成り立つわけではないけれど、それゆえに「確率の高い」プレイと呼ばれている。
誰にとってもティルトマネジメントは難しい。私もそうだ。
私はPTラヴニカへの回帰で0-3したドラフトデッキをゴミ箱に捨ててしまった。いくつかの強いカード、Deathrite ShamanとフォイルのBlood Cryptが入っていたにも関わらず。PTで3ラウンド立て続けにマナスクリューした怒りを抑えることができなかった。
怒りは人に馬鹿なことをさせる。
実は幸運も同じだ。
ティルトの残り半分は、正のティルトだ。私たちはティルトを負の感情とばかり結びつけるので、正のティルトについて考える人は少ない。
正のティルトは負のティルトと同じものだ。しかし、悪い出来事がまずいプレイを引き起こすのではなく、良い出来事が馬鹿なプレイを生む。私はこれを宝くじティルトと呼んでいる。
宝くじに当選することで人は地獄に落ちる。人生で何ペニー稼いだかを数えていたような男が突如2000万ドルを手に入れ、全てが吹き飛ぶ。宝くじに当たるような、バカバカしいほど良い出来事が起きることで彼は自分が何者であるかを忘れ、正しい思考ができなくなる。アメフトでは、(ウォーレン・サップ、ヴィンス・ヤング、トラヴィス・ヘンリーのように)大金を手にした選手がその使い方について正常な思考ができなくなる例をたくさん見ることができる。彼らはその幸運や財産は決して底をつかないと考えてしまう。
マジックでは、良い(ラッキーな)ときにまともでない手札をキープしてしまうのは宝くじティルトだ。GPピッツバーグのラウンド10で戦った相手は、RRとWWが必要なハンドをキープしたと試合後に言ってきた。その手札には赤マナも白マナもなかったけど、今日はツイてるからキープしたとのことだ。私たちは2人とも8-1でこのラウンドを迎えており、彼は明らかに宝くじティルトに陥っていた。さらに悪いことに、彼は幸運にも必要な色マナを手に入れ、この勝負に勝った。
その日ずっと幸運が続いてきたなら、そのまま乗っていけばいいのだろうか?
違う。
それまでの運の良さ/悪さは、現在のあなたの意思決定に影響を与えるべきではない。どの出来事も独立している。
ポーカーでは、アウツ(※訳注:現局面での勝率)を考えずに突飛なベットをするプレイヤーは、プロプレイヤーの大好物だ。丁寧なプレイをすればそのうち彼らの手持ち全額を奪えることをプロは知っているからだ。マジックでも同じことが起きる。幸運がしばらく続くことはある。しかし、いずれプラマイゼロに近づく。
私たちはふつう、賞金を勝ち取る、あるいはプロツアーで初日を抜ける、のようなかなり良いことを夢見てスタートする。マジックキャリアを重ねると、「負け始める」という成長のきっかけにぶつかる。ふいに疑念が浮かび、私たちはこう考える、「マジックは難しい。」次のPTQでもうまくいかない。「マジックは本当に難しい。想像してたよりぜんぜん大変だ。」おそらく大した成果のない1年を終え、こう考え始める、「こんなことやる意味があるのか?」
意味がないこともある。それは、自分の中で設定した目標が不適切なためだ。もし私が世界最高のバスケットボール選手になるという目標を設定したとして、身長は5フィート8インチしかなく、運動不足で、バスケットボールに関するスキルは何も持っていない。すぐには目標に近づけない可能性が高い。
最高のプレイヤーに明日なるという夢は捨てるべきだろうか?おそらくそうだ。夢に向けて成長するのをやめるべきだろうか?それは絶対に違う。
多くの場合、実現不可能な目標からもっと現実的な目標に切り替えることで精神的にも肉体的にも健康でいられるようになる。
マジックで言えば、プロツアーに出られなかったからといってイライラしないことだ。チャレンジングだが達成可能なところに目標を調整しよう。まずはPTQで1勝するところから始め、それからトップ8に目標を移す、というように。
実現不可能な目標から受ける継続的なストレスは実際に健康に悪影響を与える。十代の若者90人を1年間調査した研究では、実現不可能な目標を捨てられなかった人は炎症反応の指標であるC反応性蛋白の増加が確認された。これは心臓病や糖尿病、早期老化のような健康リスクの上昇に繋がる。
死に近づきたくはないだろう?完全に諦めた方が間違いなく良い。
マジックの上達はゆっくりとしたプロセスだ。私はマジックを19年間プレイしてきたが、トーナメントに出るたびに毎回新たなことを学ぶように思う。成功するには継続的にプレイを修正していく必要がある。
問題は、マジックのような変化の激しい環境で勉強するのはとても大変だということだ――うまくやっていくためのスキルを身に付ける体系的なカリキュラムは存在しない。必死に頑張ったとしても、伸び悩む時期に直面することになるだろう。間違いなくそれで普通だ。トーナメントごと、年ごとの上達幅は小さいのが普通だ。
NBA選手レブロン・ジェームスの過去6年のシュート成功率を例に挙げよう。レブロンは6年続けてフィールドゴール成功率(※訳注:フリースローを除いた成功率)を向上させており、今シーズンは56.5%というとてつもない数字にまで上昇した。2003年には41.7%だった。この信じがたい14.8%の向上は一夜にしてなされたわけではない。一歩一歩の成長が一夜漬けをいずれ上回ることを理解し、努力することが必要だ。
思うように上達しないフラストレーションでティルトに陥らないようにしよう。
私たちは大きな舞台でのサクセスストーリーに心を奪われる。プロツアーやPTQを勝った人の記事に引き寄せられる。
成功者の行動に価値を置き、数多くの失敗者に目を向けないこの落とし穴は「生き残りバイアス」と呼ばれる。PTQを勝った人が1人いれば、数えきれないほどの勝てなかった人がいる。彼らの話が重要ではなく、そこから学ぶものがないなどということはない。彼らがいかにティルトと戦ったか、あるいは戦わなかったかを学ぼう。
ティルトマネジメントは期待のマネジメントだ。挑戦しよう、現実的な目標に挑戦しよう。マジックとはどんなゲームなのか、自分のスキルがどんなものなのか、現実を理解しティルトの兆候に気づけたとき、ティルトはあなたを支配できなくなる。
5回マナスクリューして、カードを全て売り払ってマジックをやめたくなるまでの間は。
奴は再びそこにいる。
Roberto
【翻訳】One Word - Jim Davis
2013年3月20日 翻訳(プレイング) コメント (11)StarCityGamesより。
大事な一単語。
久しぶりになってしまいました。
翻訳どころか原文を読む時間もなかなか取れずペースは大幅ダウンですが、やる気は消えていませんのでなんとか続けていければと思っています。
戦略についての記事をいくつか訳しましたが、今回の記事はとても読みやすかったです。
どの記事も見方は違えど同じものを見ているような気がしますね。
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One Word
JIM DAVIS
2013/3/12
http://www.starcitygames.com/article/25815_One-Word.html
僕の見る限り、マジックプレイヤーには3種類いる:
A. マジックが上手くなりたい人。
B. 本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
C. マジックが上手くなりたいと思っており、そう口にも出すが、実際には本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
悲しいかな、最も数が多いのはカテゴリCだ。
これはいつだって目にする。プレイヤーたちは上手くなりたいと言う――今度のPTQを勝ちたい、上手くなって今度のGPでマネーフィニッシュしたい。いや、いずれFNMでトップ8に入りたい、ぐらいのものかもしれない。彼らはやりたいことがあるにもかかわらず、それを達成するために不可欠なステップを踏もうとしない――目標を固めることをしないんだ。
彼らが上手くなりたいというのは本心だと僕は思う。でも、どうすれば上手くなれるかが分からず、それを自分で見つけるだけの情熱と気力を持てないでいる。
どうやって上手くなるか。僕は今日それをたったひとつのシンプルな一単語で示そうと思う。
あなたはPTQやSCGオープンの準備のために何時間も費やしているかもしれない。同じぐらいのスキルを持った友人たちとともにデッキを構築し、たくさんのゲームをプレイする。あなたは自分のアイデアに自信があり、イベントに出かけ、5-3でフィニッシュする。
たぶんこれはとてもよくある光景だ。
「同じ行動を何度も繰り返し、異なる結果を期待すること。」
これを狂気という。
上手くなる方法を表す一単語は何だろう?
「睡眠」かな?最高のプレイをするにはよく寝る必要があることは誰でも知ってる。
あるいは「決意」だろうか?可能な限り練習に打ち込まなきゃならないよね。
「サイドボーディング」はどうだろう?サイド後のゲームが過半数。サイドボーディングを練習せずにどうしたら上手くなれる?
これらは全て重要ではあるけれど、プレイヤーとしてより良くなるための基本的な考え方とはほぼ無関係だ。
もしあなたが大学野球で勝つためにカーブの投げ方を身に付ける必要のあるピッチャーをコーチするとして、「ちゃんと食事を取るように」なんて言うかな?「ウェイトルームに戻ってもっと筋トレするように」と言う?「寒い時期に行われるプレーオフに備えて、寒暖両方のコンディションで練習するように」と言うかい?
いや、言わない――これらは重要ではあるけれど、彼が良いピッチャーに育つかどうかには直結しないアドバイスだからだ。
どうすればより良いプレイヤーになれるか理解しなきゃならない。その方法は、あるゲーム中にあなたがなぜそのプレイをしたのか、そして相手がなぜそのプレイをしたのかを理解することだ。そのゲームについて真剣に考えなければならない。
もう分かったかな?
その一単語とは、「なぜ」だ。
プランニング:なぜ自分はこうするのか?
ゲーム中に行う全ての事柄について、「なぜ?」と自問すべきだ。なぜそうするか分かっていないまま、ただアクションするべきではない。
なぜそうするのか答えられないとしたら、いったい何をやっているのだろう。本当に勝とうとしている?それとも形だけゲームをプレイしているに過ぎないんじゃないか?
あるプレイをして、なぜそうしたか答えられないなら、そのゲームのことを真剣に考えていないということになる――間違った理由を持つことは、何も理由を持たないよりも良い。
これは本当に大事なことだからもう一度言わせてほしい。
間違った理由にもとづいてあるプレイをすることは、理由のないプレイをするよりも良い。
オーケー、話を単純にしよう。本当に単純なんだ:
こちらはFlinthoof BoarとStomping Groundと2枚の山を場に出している。
対戦相手はLoxodon Smiterと2枚のタップされた平地と1枚のタップされた森を出している。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
明らかにこれは小学生レベルの問題だ。こちらは3/3、相手は4/4を出している。アタックすれば相手はブロックし、こちらの生物は死ぬだろう。したがって、アタックしない。
これはどんなプレイヤーでもほとんど頭を使わずに正解を導けるシンプルなシナリオだ。答えは簡単:アタックしない。
オーケー、変数を追加しよう。
今こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerが1枚ある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これもかなり単純だ。ここではこちらにコンバットトリックがある。3/3で相手の4/4に対してアタックしてブロックされた場合、Ghor-Clan RampagerでFlinthoof Boarを守り、相手のLoxodon Smiterを倒し、トランプルダメージを3点与えることができる。ブロックされなかった場合?すばらしい、簡単なアタックだ。
さらに変数を追加しよう。今、こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerに加えて、Boros Reckoner、Mogg Flunkies、山がある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これは少し注意が必要だ。多くのプレイヤーはここで熟考はしないだろう。こちらにはアタッカーとコンバットトリックがあり、相手のブロッカーを乗り越えることができる。したがって、アタックすべきだ。だけど、それはなぜ?今ここで何を目指すべきだろう?もしアタックすれば彼はブロックし、こちらがパンプして彼のLoxodon Smiterが死に、トランプルダメージが入る。
しかし、ゲームに勝つまでの全体プランに照らしてこの状況を見てほしい。こちらは完全にマナカーブから外れることになってしまう。このターンは他のプレイができず、4ターン目に3マナ生物をプレイする羽目になり、Mogg Flunkiesは5ターン目まで出ないことになる。今はアタックすべきタイミングなんだろうか?このターンはBoros Reckonerをキャストするだけにした場合、4ターン目にGhor-Clan Rampagerを使いMogg Flunkiesをキャストして、全てのマナを効果的に使うことができる。
自分の全体プランにとって何がより重要なのか、なぜ自分はこうするのか?と自問する必要がある。
経験豊富なプレイヤーにはこのシナリオでもシンプルすぎたかもしれないね。もちろん、こういった判断の多くで意思決定のツリーはとても複雑になり、続く数ターン先までプランを立てることが必要になる。
プランニングがこの考えの基礎ではあるけれど、「なぜ?」と問うことの本当の力は相手に目を向けたときに発揮される。
推論:なぜ対戦相手はそうしたのか?
このゲームの真の素晴らしさはここにある。
去年あたりにスタンダードをプレイしていた人にとってはシンプルなシナリオだ:
あなたはダイスロールに負け、相手は2ライフを払ってHallowed Fountainをアンタップイン、そしてエンドした。
なぜ相手はそうしたんだろう?
これを読んでいるみんなは即答するんじゃないかな:彼はこちらのエンドに撃つThought Scourを持っている。
わお、君はエスパーかい?彼が何のカードを持っているか、プレイされる前にどうやって正確に知ることができたんだろう?
これは実際とても単純だ――あなたは対戦相手が何をしたか観察し、なぜ彼はそうしたのかと問い、推論を行ってとてもロジカルで合理的な答えにたどり着いた。
今のは合理的な答えがただ一つしかない単純すぎる例だったね。スタンダードでは白か青1マナでプレイに値するインスタントは本当にたった1枚しかない。
もしこれがキューブドラフトの場合、相手が何か持っていることは想像できるけど、それはForce Spikeやらソープロやらミスチューやらのうちのどれかとしか言えない。情報は十分じゃない。
しかし、情報はマジックのゲーム中に常に垂れ流され続けているものの一つだ。情報はいたるところに存在し、あなたに拾い上げられて優位を築くために使われることをただ待っている。
情報を見つける鍵は、「なぜ?」と問うことだ。
一見単純に見えるもう一つのシナリオを取り上げよう:
ここはモダンPTQのラウンド4、あなたがどのデッキを使っていて何をしているかは関係ない。対戦相手はダイスロールに勝ち、先攻を選んだ。彼は1ターン目にScalding Tarnを出し、サクった上で2ライフを払いSteam Ventsをアンタップイン、Serum Visionsをキャストした。1枚引いて占術で2枚をボトムに送り、エンド。彼は2ターン目にはDesolate Lighthouseを出してエンドした。
オーケー、さあどうする?彼はおそらく双子を使っていて、今のようなプレイをしてきた。こちらのターンに何を引くか見てみようじゃないか!
いやいやちょっと待ってくれ。ここまで僕がさんざん言ってきたことは何だっけ?
「なぜ?」と問うんだ。なぜ彼はSerum Visionsの占術で2枚ともボトムに送った?なぜ彼は2ターン目に2枚目の土地としてDesolate Lighthouseを出した?色マナを先に出し、Lighthouseを隠し持っておくべきじゃないのか?
彼は2枚の土地とSerum Visionsのある手札をキープし、占術で見たトップ2枚に土地がなかったため両方ともボトムに送ったと考えるのが合理的だろう。
いいね。彼は土地2枚でキープし、Serum Visionsを空振った――素晴らしい。さあこちらのターンだ、何を引くか見て・・・。
落ち着くんだ――まだ終わりじゃない。そう、もう一度言おう:「なぜ?」
相手が土地2枚とキャントリップでキープしたことは読めた――でも、なぜ彼はそんなリスキーなハンドをキープしたんだろう?そして、なぜ彼は2ターン目に何もしなかったのだろう?相手は6枚のカードを持っており、スペルを一つプレイしている。この6枚のカードが何なのか、今の時点でかなりのことが読み取れる。
6枚はかなりの確率で土地ではない。もし土地ならDesolate Lighthouseの代わりに出してきただろうからだ。
6枚はかなりの確率で追加のキャントリップ(Serum VisionsやSleight of HandやGitaxian Probe)ではない。もしそうならLighthouseを出す前に土地を探すために撃っていただろうからだ。
彼はFlame SlashやIzzet Charmのような受動的なカードを何枚か持っているかもしれない。これは断言するにはまだ情報が足りない。
さあもう一度、なぜ彼はこのハンドをキープした?
僕から見てかなり明確だと思えるのは、彼はおそらく既にコンボ(Deceiver ExarchとSplinter Twin)を手札に持っている、ということだ。これは非常にうなずける――彼は土地でもキャントリップでもない6枚のカードを手札に持っており、それらのためにリスキーな土地2枚キープを選んだ。
ここまでの議論をいくらか揺るがし得る唯一のカードがRemandだ。Steam Ventsを持ってはいたが、アンタップインのダメージを受けずにRemandをキャストするために2ターン目にDesolate Lighthouseをプレイした可能性は捨てきれない。Remandをキャストするためにキャントリップのプレイを控えた可能性もある。最近の双子にRemandが入っていることは少ないが、想定しておくことは理に適っている。
次のように結論づけられる:相手はコンボパーツが揃っていて土地のない手札を持っている可能性が高く、あるいはRemandを持っているかもしれない。
相手がこちらの2ターン目のスペルをRemandしなかった場合、彼の手札はテーブルに表向きで置かれているも同然だ。Remandしてきた場合は相手の次のターンの土地と行動からもう少し考えなおす必要があるが、そんなに難しくはないだろう。
驚くべき点は、僕らは土地2枚とキャントリップ1枚のプレイから以上の推論をしたということだ。
あなたは自分のゲームを十分にじっくりとプレイできているだろうか?目の前にある情報を全て拾い上げているだろうか?十分に「なぜ?」と問うことができているだろうか?
情報はある――それを拾い上げて優位を築くために利用できているだろうか?
まとめ
このウサギの穴はものすごく深く、僕はいずれこの記事の続きを書いて今回取り上げた二つのコンセプトを更に掘り下げるつもりだ。
今後の記事で取り上げようと思っているもう一つの重要な考え方があって、それは「自動操縦」というものだ。今回見たような「なぜ?」の多くは、既に経験していることなので深く考えることなく直感的に答えることができる。これが練習とテストプレイが重要な理由だ――他愛もない「なぜ?」にさっさと答え、本当に難しい選択に集中できるようになるんだ。例えば、コンボデッキで1ターン目にPonderやPreordainをキャストすべきかどうかを知らない状態、あるいはZooでWild NacatlやKird Apeを出していくべきかどうかを知らない状態でトーナメントに臨むべきじゃない。一方、自動操縦には危険とデメリットもある。
読んでくれたみんなに感謝。次回、『自前のデッキなんて作れると思ってるの?』第一話、featuring Yogi Brown and Gary Fingersをお楽しみに!
- Jim Davis
大事な一単語。
久しぶりになってしまいました。
翻訳どころか原文を読む時間もなかなか取れずペースは大幅ダウンですが、やる気は消えていませんのでなんとか続けていければと思っています。
戦略についての記事をいくつか訳しましたが、今回の記事はとても読みやすかったです。
どの記事も見方は違えど同じものを見ているような気がしますね。
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One Word
JIM DAVIS
2013/3/12
http://www.starcitygames.com/article/25815_One-Word.html
僕の見る限り、マジックプレイヤーには3種類いる:
A. マジックが上手くなりたい人。
B. 本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
C. マジックが上手くなりたいと思っており、そう口にも出すが、実際には本気ではなく、ただマジックをプレイするのを楽しみたい人。
悲しいかな、最も数が多いのはカテゴリCだ。
これはいつだって目にする。プレイヤーたちは上手くなりたいと言う――今度のPTQを勝ちたい、上手くなって今度のGPでマネーフィニッシュしたい。いや、いずれFNMでトップ8に入りたい、ぐらいのものかもしれない。彼らはやりたいことがあるにもかかわらず、それを達成するために不可欠なステップを踏もうとしない――目標を固めることをしないんだ。
彼らが上手くなりたいというのは本心だと僕は思う。でも、どうすれば上手くなれるかが分からず、それを自分で見つけるだけの情熱と気力を持てないでいる。
どうやって上手くなるか。僕は今日それをたったひとつのシンプルな一単語で示そうと思う。
あなたはPTQやSCGオープンの準備のために何時間も費やしているかもしれない。同じぐらいのスキルを持った友人たちとともにデッキを構築し、たくさんのゲームをプレイする。あなたは自分のアイデアに自信があり、イベントに出かけ、5-3でフィニッシュする。
たぶんこれはとてもよくある光景だ。
「同じ行動を何度も繰り返し、異なる結果を期待すること。」
これを狂気という。
上手くなる方法を表す一単語は何だろう?
「睡眠」かな?最高のプレイをするにはよく寝る必要があることは誰でも知ってる。
あるいは「決意」だろうか?可能な限り練習に打ち込まなきゃならないよね。
「サイドボーディング」はどうだろう?サイド後のゲームが過半数。サイドボーディングを練習せずにどうしたら上手くなれる?
これらは全て重要ではあるけれど、プレイヤーとしてより良くなるための基本的な考え方とはほぼ無関係だ。
もしあなたが大学野球で勝つためにカーブの投げ方を身に付ける必要のあるピッチャーをコーチするとして、「ちゃんと食事を取るように」なんて言うかな?「ウェイトルームに戻ってもっと筋トレするように」と言う?「寒い時期に行われるプレーオフに備えて、寒暖両方のコンディションで練習するように」と言うかい?
いや、言わない――これらは重要ではあるけれど、彼が良いピッチャーに育つかどうかには直結しないアドバイスだからだ。
どうすればより良いプレイヤーになれるか理解しなきゃならない。その方法は、あるゲーム中にあなたがなぜそのプレイをしたのか、そして相手がなぜそのプレイをしたのかを理解することだ。そのゲームについて真剣に考えなければならない。
もう分かったかな?
その一単語とは、「なぜ」だ。
プランニング:なぜ自分はこうするのか?
ゲーム中に行う全ての事柄について、「なぜ?」と自問すべきだ。なぜそうするか分かっていないまま、ただアクションするべきではない。
なぜそうするのか答えられないとしたら、いったい何をやっているのだろう。本当に勝とうとしている?それとも形だけゲームをプレイしているに過ぎないんじゃないか?
あるプレイをして、なぜそうしたか答えられないなら、そのゲームのことを真剣に考えていないということになる――間違った理由を持つことは、何も理由を持たないよりも良い。
これは本当に大事なことだからもう一度言わせてほしい。
間違った理由にもとづいてあるプレイをすることは、理由のないプレイをするよりも良い。
オーケー、話を単純にしよう。本当に単純なんだ:
こちらはFlinthoof BoarとStomping Groundと2枚の山を場に出している。
対戦相手はLoxodon Smiterと2枚のタップされた平地と1枚のタップされた森を出している。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
明らかにこれは小学生レベルの問題だ。こちらは3/3、相手は4/4を出している。アタックすれば相手はブロックし、こちらの生物は死ぬだろう。したがって、アタックしない。
これはどんなプレイヤーでもほとんど頭を使わずに正解を導けるシンプルなシナリオだ。答えは簡単:アタックしない。
オーケー、変数を追加しよう。
Ghor-Clan Rampager / ゴーア族の暴行者 (2)(R)(G)
クリーチャー - ビースト(Beast)
トランプル
湧血 ― (R)(G),ゴーア族の暴行者を捨てる:攻撃クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+4/+4の修整を受けるとともにトランプルを得る。
4/4
今こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerが1枚ある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これもかなり単純だ。ここではこちらにコンバットトリックがある。3/3で相手の4/4に対してアタックしてブロックされた場合、Ghor-Clan RampagerでFlinthoof Boarを守り、相手のLoxodon Smiterを倒し、トランプルダメージを3点与えることができる。ブロックされなかった場合?すばらしい、簡単なアタックだ。
Boros Reckoner / ボロスの反攻者 (R/W)(R/W)(R/W)
クリーチャー - ミノタウルス(Minotaur) ウィザード(Wizard)
ボロスの反攻者にダメージが与えられるたび、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ボロスの反攻者はそれに、その点数に等しい点数のダメージを与える。
(R/W):ボロスの反攻者はターン終了時まで先制攻撃を得る。
3/3
Mogg Flunkies / モグの下働き (1)(R)
クリーチャー - ゴブリン(Goblin)
モグの下働きは、単独では攻撃したりブロックしたりできない。
3/3
さらに変数を追加しよう。今、こちらの手札にはGhor-Clan Rampagerに加えて、Boros Reckoner、Mogg Flunkies、山がある。
アタックする?するのはなぜ?あるいはしないのはなぜ?
これは少し注意が必要だ。多くのプレイヤーはここで熟考はしないだろう。こちらにはアタッカーとコンバットトリックがあり、相手のブロッカーを乗り越えることができる。したがって、アタックすべきだ。だけど、それはなぜ?今ここで何を目指すべきだろう?もしアタックすれば彼はブロックし、こちらがパンプして彼のLoxodon Smiterが死に、トランプルダメージが入る。
しかし、ゲームに勝つまでの全体プランに照らしてこの状況を見てほしい。こちらは完全にマナカーブから外れることになってしまう。このターンは他のプレイができず、4ターン目に3マナ生物をプレイする羽目になり、Mogg Flunkiesは5ターン目まで出ないことになる。今はアタックすべきタイミングなんだろうか?このターンはBoros Reckonerをキャストするだけにした場合、4ターン目にGhor-Clan Rampagerを使いMogg Flunkiesをキャストして、全てのマナを効果的に使うことができる。
自分の全体プランにとって何がより重要なのか、なぜ自分はこうするのか?と自問する必要がある。
経験豊富なプレイヤーにはこのシナリオでもシンプルすぎたかもしれないね。もちろん、こういった判断の多くで意思決定のツリーはとても複雑になり、続く数ターン先までプランを立てることが必要になる。
プランニングがこの考えの基礎ではあるけれど、「なぜ?」と問うことの本当の力は相手に目を向けたときに発揮される。
推論:なぜ対戦相手はそうしたのか?
このゲームの真の素晴らしさはここにある。
去年あたりにスタンダードをプレイしていた人にとってはシンプルなシナリオだ:
あなたはダイスロールに負け、相手は2ライフを払ってHallowed Fountainをアンタップイン、そしてエンドした。
なぜ相手はそうしたんだろう?
これを読んでいるみんなは即答するんじゃないかな:彼はこちらのエンドに撃つThought Scourを持っている。
わお、君はエスパーかい?彼が何のカードを持っているか、プレイされる前にどうやって正確に知ることができたんだろう?
これは実際とても単純だ――あなたは対戦相手が何をしたか観察し、なぜ彼はそうしたのかと問い、推論を行ってとてもロジカルで合理的な答えにたどり着いた。
今のは合理的な答えがただ一つしかない単純すぎる例だったね。スタンダードでは白か青1マナでプレイに値するインスタントは本当にたった1枚しかない。
もしこれがキューブドラフトの場合、相手が何か持っていることは想像できるけど、それはForce Spikeやらソープロやらミスチューやらのうちのどれかとしか言えない。情報は十分じゃない。
しかし、情報はマジックのゲーム中に常に垂れ流され続けているものの一つだ。情報はいたるところに存在し、あなたに拾い上げられて優位を築くために使われることをただ待っている。
情報を見つける鍵は、「なぜ?」と問うことだ。
一見単純に見えるもう一つのシナリオを取り上げよう:
ここはモダンPTQのラウンド4、あなたがどのデッキを使っていて何をしているかは関係ない。対戦相手はダイスロールに勝ち、先攻を選んだ。彼は1ターン目にScalding Tarnを出し、サクった上で2ライフを払いSteam Ventsをアンタップイン、Serum Visionsをキャストした。1枚引いて占術で2枚をボトムに送り、エンド。彼は2ターン目にはDesolate Lighthouseを出してエンドした。
オーケー、さあどうする?彼はおそらく双子を使っていて、今のようなプレイをしてきた。こちらのターンに何を引くか見てみようじゃないか!
いやいやちょっと待ってくれ。ここまで僕がさんざん言ってきたことは何だっけ?
「なぜ?」と問うんだ。なぜ彼はSerum Visionsの占術で2枚ともボトムに送った?なぜ彼は2ターン目に2枚目の土地としてDesolate Lighthouseを出した?色マナを先に出し、Lighthouseを隠し持っておくべきじゃないのか?
彼は2枚の土地とSerum Visionsのある手札をキープし、占術で見たトップ2枚に土地がなかったため両方ともボトムに送ったと考えるのが合理的だろう。
いいね。彼は土地2枚でキープし、Serum Visionsを空振った――素晴らしい。さあこちらのターンだ、何を引くか見て・・・。
落ち着くんだ――まだ終わりじゃない。そう、もう一度言おう:「なぜ?」
相手が土地2枚とキャントリップでキープしたことは読めた――でも、なぜ彼はそんなリスキーなハンドをキープしたんだろう?そして、なぜ彼は2ターン目に何もしなかったのだろう?相手は6枚のカードを持っており、スペルを一つプレイしている。この6枚のカードが何なのか、今の時点でかなりのことが読み取れる。
6枚はかなりの確率で土地ではない。もし土地ならDesolate Lighthouseの代わりに出してきただろうからだ。
6枚はかなりの確率で追加のキャントリップ(Serum VisionsやSleight of HandやGitaxian Probe)ではない。もしそうならLighthouseを出す前に土地を探すために撃っていただろうからだ。
彼はFlame SlashやIzzet Charmのような受動的なカードを何枚か持っているかもしれない。これは断言するにはまだ情報が足りない。
さあもう一度、なぜ彼はこのハンドをキープした?
僕から見てかなり明確だと思えるのは、彼はおそらく既にコンボ(Deceiver ExarchとSplinter Twin)を手札に持っている、ということだ。これは非常にうなずける――彼は土地でもキャントリップでもない6枚のカードを手札に持っており、それらのためにリスキーな土地2枚キープを選んだ。
ここまでの議論をいくらか揺るがし得る唯一のカードがRemandだ。Steam Ventsを持ってはいたが、アンタップインのダメージを受けずにRemandをキャストするために2ターン目にDesolate Lighthouseをプレイした可能性は捨てきれない。Remandをキャストするためにキャントリップのプレイを控えた可能性もある。最近の双子にRemandが入っていることは少ないが、想定しておくことは理に適っている。
次のように結論づけられる:相手はコンボパーツが揃っていて土地のない手札を持っている可能性が高く、あるいはRemandを持っているかもしれない。
相手がこちらの2ターン目のスペルをRemandしなかった場合、彼の手札はテーブルに表向きで置かれているも同然だ。Remandしてきた場合は相手の次のターンの土地と行動からもう少し考えなおす必要があるが、そんなに難しくはないだろう。
驚くべき点は、僕らは土地2枚とキャントリップ1枚のプレイから以上の推論をしたということだ。
あなたは自分のゲームを十分にじっくりとプレイできているだろうか?目の前にある情報を全て拾い上げているだろうか?十分に「なぜ?」と問うことができているだろうか?
情報はある――それを拾い上げて優位を築くために利用できているだろうか?
まとめ
このウサギの穴はものすごく深く、僕はいずれこの記事の続きを書いて今回取り上げた二つのコンセプトを更に掘り下げるつもりだ。
今後の記事で取り上げようと思っているもう一つの重要な考え方があって、それは「自動操縦」というものだ。今回見たような「なぜ?」の多くは、既に経験していることなので深く考えることなく直感的に答えることができる。これが練習とテストプレイが重要な理由だ――他愛もない「なぜ?」にさっさと答え、本当に難しい選択に集中できるようになるんだ。例えば、コンボデッキで1ターン目にPonderやPreordainをキャストすべきかどうかを知らない状態、あるいはZooでWild NacatlやKird Apeを出していくべきかどうかを知らない状態でトーナメントに臨むべきじゃない。一方、自動操縦には危険とデメリットもある。
読んでくれたみんなに感謝。次回、『自前のデッキなんて作れると思ってるの?』第一話、featuring Yogi Brown and Gary Fingersをお楽しみに!
- Jim Davis
StarCityGamesより。
コントロールミラーにおける"Who’s the beatdown?"
全体除去が絡んだ押すか抑えるかの判断は昔から本当に難しいですね。
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Who’s The Beatdown? (Control Edition)
CHRISTIAN VALENTI
2013/1/04
http://www.starcitygames.com/article/25449_Whos-The-Beatdown-Control-Edition.html
マジックの過去へ旅をしてみよう。
"Who’s The Beatdown?"は最も影響力の大きいマジック戦略記事として今日まで存在し続けている。なぜだろうか?
あの記事には何よりも、ゲームに勝つためのプランを持ち、そして実行することの重要性が描かれている。完璧な記事にケンカを売る理由なんてないので、ここでMikeの記事をそんなに深堀りするつもりはないよ。だけど、このトピックについて少し違うアプローチをしてみたいと思うんだ。
2つの同じデッキが向かい合ったらどうなるだろう?あなたのコントロールデッキが2ターン目からアグロに動いていかなきゃならなくなったとき、何が起きるだろう?
あるカードを持っているからというだけの理由で、その後のプランなくカードを使いたいと思ってしまうことが平均的なプレイヤーたちの最大の弱点だ。これはいろんなマッチアップで起こりうることだけど、特にコントロールミラーでは頻繁に起きる。
Sphinx’s Revelationは客観的に見て今のスタンダードで最も強力なインスタントかもしれない。だけどRestoration Angelだって非常にコストパフォーマンスの良い攻撃性能を持ち、なおかつ相手のアタッカーを強襲することもできる中速の脅威だ。
次のシナリオを想像してほしい。
あなたは青白赤ミッドレンジ同士のミラーマッチでサイド後のゲームをプレイしている。あなたは4枚目の土地を出し、手札に土地3枚とRestoration Angel、Sphinx’s Revelation、Azorius Charm、Thought Scourを持ってエンドした。対戦相手も4枚目の土地を出し、同じくそのままエンドしてきた。
あなたはAngelをキャストする?それはなぜ?あなたのプランはどんなものだろう?どんな結末が予想される?
1. あなたはAngelをキャストし、解決する。アンタップ、ドローして5枚目の土地を出し、アタックして妨害を受けずに3点ダメージを与える。(おそらく最良のシナリオ。)
2. あなたは上記と同じようにアクションする。しかし対戦相手もAngelをキャストしてダメージを防ぐ。(プレインズウォーカーのキャストに対して無防備になるのは彼にとって悲惨なのでこうなる可能性は低い。)
3. 流れは1番のシナリオと同じだが、対戦相手が変わる。あなたがクロックを場に出したため彼はアクションする必要に駆られ、スペルをキャストし始める。こうなると、危険なスペルを通してしまうことで(こちらにカウンターがないという)重要な情報を与えることになり、対戦相手はこちらを脅威で押しつぶそうとし始めるだろう。(こちらの手札で相手の脅威に対処し続けられる可能性は低い。)
4. あなたのAngelがカウンターされ、ドローゴーゲームに戻る。あなたの手札には大量の土地とキャントリップはあるが、相手の脅威に対抗するアクションは不足している。有利か不利かは不明で、相手がこれからどのようにアプローチしようとしているかによって変わる。(ドローゴーが続けば有利だが、相手の手札にアクションが濃い場合は弱い。)
その他いろいろな結末を検討すると、ドローゴーが続くようにゲームを誘導し、(今のところこちらからは回答できない)スペルを使わなければならないと相手に思わせないようにするプランをとるのが合理的だということが分かる。
Restoration Angelをキャストするのは悪いことはなく理に適っているように見えるけど、実際はゲームのペースを変え、こちらの望むプランから遠ざかってしまうことになる。
プランを貫徹する
あるトーナメントで再び青白赤ミッドレンジをプレイしている場面を想像してほしい。よく似たデッキを使っていると思われるプレイヤーが1回戦の相手だ。あなたは先攻で、マリガンして土地3枚とPillar of Flame、Snapcaster Mage、Restoration Angelという手札をキープ。この手札はアグロデッキに対しては素晴らしく、相手が使っているであろうデッキに対しても間違いなくダブマリするよりは良い。
相手はHallowed Fountainをセットして後手1ターン目を終えた。あなたはこの2ターン目のドローステップまでに得た情報で今後のプラン全体を構築することになる。このターン引いたのは――2枚目のPillar of Flameだ。これらのカードを使ってどうやってゲームに勝とう?もちろん明らかだよね!Pillarをプレイして3ターン目に瞬唱でフラッシュバック、クロックを刻み始めるんだ。
対戦相手は2ターン目には土地を出すだけで何もしてこなかった。こちらが3ターン目に引いたカードはThought Scour。さあどうする?新たな情報が明らかになり、Thought Scourで自分のライブラリを削りつつ瞬唱を使うカードアドバンテージプランもとれるようになった。これは良いプランかな?
単純にコントロールの論理で考えれば、ドロースペルを使って序盤に土地を確実に確保するのは必須ということになる。4枚目や5枚目の土地を出すことは勝利の役に立つだろうか?それは間違いないだろう。では、テンポ面での損失はどうだろう?これは明確じゃない。
コントロールミラーにおいて、マリガンする羽目になったうえ2枚のショックを使ってゲームに勝利するには、何かラッキーなことが起きなきゃならない。このゲームの今の状況ではプラン変更は無意味だと断言したい。瞬唱でPillarをフラッシュバックするアグロなプレイをすることで、相手の悠長なスタートにつけ込むチャンスが得られる。
対戦相手は3ターン目にタップインランドを出し、Runechanter’s Pikeをプレイ。ここまでの相手のプレイはいくつかのことを語っている。
たぶん彼はキャントリップ手段を持っていない。もし持っていたらこちらの3ターン目のエンドに使っていたはずだからだ。また、たぶん彼はEssence ScatterやSyncopateのような2マナの妨害手段も持っていない。持っていたらこの状況でPikeをキャストしないはずだからだ。
それじゃあ彼は何を持っている?DissipateやCounterfluxのような重いカウンターを持っているというのはつじつまが合う。いくつかの土地やRestoration Angel、ここまで使う機会のなかった瞬唱を持っているという説もうなずける。
こちらはきっかり4枚目の土地をドロー。これまで集めた情報から、戦闘後に手札のAngelをキャストする。瞬唱ブリンクでPillarを再利用するプレイは諦めることになる。それでも、このゲームでキャストすることになるおそらく(最初で)最後の重要スペルを確実に通せる機会を逃すわけにはいかない。
相手は4枚目の土地をプレイ。このゲームで重要なことは何なのか、この時点でこちらはほぼ完全な情報を手に入れることになる。彼がAngelを持っていることはほぼ明らかだ。もし持っていない場合、そのハンドはキープに値しない。
彼はよく分かっており、こちらがカウンターをトップする前に、ソーサリータイミングでAngelをプレイ。こちらの5ターン目のドローステップでは、既に手札に持っていたPillarとThought Scourに瞬唱が加わることになった。
相手のライフは14だ。Angelと瞬唱でアタックし、彼のAngelで瞬唱を討ち取ることをほぼ強制する。この時点でPillarで相手のAngelを除去することは確定している。プランを貫徹するため残り3マナでPillarを瞬唱で再キャストし、相手のライフをおぼつかない9点まで落とすことにする。
相手は5枚目の土地を出してすぐにエンド。その後こちらはCounterfluxをドロー。情報を整理しよう。
一つ前のターン、相手はカウンターをケアしてソーサリータイミングでAngelをプレイしてきた。何が変わった?Angelを解決させたいなら前のターンと状況は変わらないはずだ。ならばなぜ彼はこちらがタップアウトしているうちにスペルをキャストしようとしなかった?理由として考えられるのは、彼はこのターンにプレイするものをカウンターされても不満はないということだろう。
こちらのアタックで彼のライフは4になった。こちらのエンドに彼がキャストしたSphinx’s Revelation X=2は、カウンターされても構わないと彼が考えているスペルだ。これは通し、彼はライフが6になり、フルの手札でアンタップを迎える。彼はDesperate Ravingsのキャストから始め、Geist of Saint Traftをディスカード。6枚目の土地を置いてエンドする。
こちらのドローはお得な3枚目のPillar of Flame。彼のAngelキャストをCounterfluxで弾き、赤いソーサリーを撃ち込んでゲーム1を取った。3ターン目に引いたThought Scourは結局キャストしていない。
このシナリオは実際にあった僕のゲームなんだ!ロサンゼルスでのインビテーショナルの2回戦、僕はMichael Hetrickとペアリングされた。そのゲーム1を僕の視点から一手一手書いたのがこのシナリオだよ。
この分析で大事なのは僕がゲームに勝ったことじゃない。Supreme Verdictが一発あるだけですぐにHetrickの優勢なゲームになっていたと思う(トラフト入りの彼のデッキにはおそらく入っていなかっただろうけど、ラストターンにトラフトが落ちるまでそのことは知らなかったよ)。
重要なのは自分がゲームにどう勝利するかをイメージすることなんだ。そのイメージの中であなたが勝利した時、ボードはどんな状態だろう?
ゲームが始まったとき僕は2枚のPillarと3枚の土地を持っていて、Revelationとまともにやりあって勝てる状態じゃなかった。それで、彼のカードアドバンテージが問題になるほどの時間をかける前に勝つイメージに合わせてプレイを組み立てたんだ。
ボーナスポイントはない
マッチに勝てば3点がもらえ、負ければ0点。単純だ。信じられないぐらい明確じゃないかな?
それじゃあなぜ多くの人が自らの手で勝つのをとても難しくしてしまうのだろう?ダブマリして勝ったからといって追加でポイントをもらえるわけじゃない。7枚の手札を持った状態で相手を倒しても追加のポイントはもらえない。負けたことに不満を述べたって当然追加のポイントはもらえない。
自分にできることを知るべきだ!さっきのような分析を見たうえで、僕が毎ゲームこんなにじっくりと考えているわけじゃないと聞いたらショックを受ける人もいるかもしれないね。人間には知性があり、長い時間をかければ正しいプレイを見つけることはできるだろう。
じっくり考えずに取った行動で勝てるようになろう!さっきのHetrickとのゲーム1は12分で僕の7ターン目に終わった。取るべき戦略の選択肢はたくさんあったけれど、実際にはどのプレイも時間をかけて考えることなく行なっていた。僕はこのタイプのデッキをシーズン中ずっと使っていて、絶望的に見えるゲームを勝つためにどうアプローチすべきかよく知っていたんだ。Michaelだって同じだよ。
対戦相手は勝とうとしている
インビテーショナルのカバレッジがここ(http://starcitygames.com/events/121216_losangeles.htmlhttp:/starcitygames.com/events/121216_losangeles.html)で見られる。2つ目の事例として4回戦のJoseph Losterとのフィーチャーマッチを取り上げよう。
6:50のところで僕はJace, Memory Adeptをキャスト、自分を対象に1枚引いて1枚削った。
(※訳注:原文ではここにフィーチャーマッチの動画が貼られています。)
この時点で既に僕らは2ゲームを終えており、動画からは分かりにくい情報をJosephはたくさん手に入れていた。一番重要なのは、僕がUnsummonをデッキに入れていないだろうと彼が考えていたことで、おかげで彼は自由に行動できていた。この情報と手札のセレズニアチャームにより、彼はジェイスに対処するために2枚目のAngelを出す必要がなく、やがて来る全体除去からの復旧に備えて手札に残しておけていた。
彼が考慮できていなかったのは、こちらのプレイが全て予め決まっており彼のチャームも念頭に置かれていたことだ。動画では見にくいけど僕がジェイスで引いたのはPillarで、引きたいカードではなかった。これを狼トークンに使うことを考えたけれど、そうするとチャームがジェイスへの回答として使えなくなるため、彼はAngelをプレイせざるを得なくなる(これは僕にとってやってほしくないプレイだ)。
僕がRestoration Angelでのチャンプブロックに時間をかけなかったことに着目してほしい。完全に事前に決まっていたことで、僕がしたのは他のブロックの仕方ではチャームを使われたときにジェイスが生き残れないと再確認することだけだった。
Josephはすぐに何が起きているか気づき、困ってしまった。僕は次のターンにSupreme Verdictをキャストしようとしていた。彼の4枚の土地で可能な選択肢は2つしかなかった:実際に彼がやったようにマナを増やしながらこちらのVerdictプレイを強制するか、ジェイスに2ダメージを与えて続くターンに僕がボードを流した後でAngelをキャストするかだ。いずれにせよ彼にとってはひどいシナリオで、彼の2枚の手札を読んだことと彼が脅威を手札に残そうとしたことを使ってプランを立て、この状況を作ることができた。
対戦相手は勝とうとしている。カメラで撮影されているマッチでは、アマプレイヤーは下手をうつかひどく単調なABCマジックをしてしまうかのどちらかになることがとても多い。
この問題はシンプルだ。対戦相手は合理的で、単調なプレイは最も止められやすいと考えよう。あのチャンプブロックはパッと見ではどれだけ変なプレイだろう?彼のリアクションから、あのブロックが彼のレーダーの外だったのはすぐに分かったよ。
コメント欄でのフィードバックを読むのが本当に楽しみだよ。多くのことが書かれすぎているトーナメントレポートや、テストする時間のあまり取れていないデッキリストなんかよりもセオリーについて書く方が好きなんだ。
それじゃ、お元気で!
コントロールミラーにおける"Who’s the beatdown?"
全体除去が絡んだ押すか抑えるかの判断は昔から本当に難しいですね。
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Who’s The Beatdown? (Control Edition)
CHRISTIAN VALENTI
2013/1/04
http://www.starcitygames.com/article/25449_Whos-The-Beatdown-Control-Edition.html
マジックの過去へ旅をしてみよう。
"Who’s The Beatdown?"は最も影響力の大きいマジック戦略記事として今日まで存在し続けている。なぜだろうか?
あの記事には何よりも、ゲームに勝つためのプランを持ち、そして実行することの重要性が描かれている。完璧な記事にケンカを売る理由なんてないので、ここでMikeの記事をそんなに深堀りするつもりはないよ。だけど、このトピックについて少し違うアプローチをしてみたいと思うんだ。
2つの同じデッキが向かい合ったらどうなるだろう?あなたのコントロールデッキが2ターン目からアグロに動いていかなきゃならなくなったとき、何が起きるだろう?
あるカードを持っているからというだけの理由で、その後のプランなくカードを使いたいと思ってしまうことが平均的なプレイヤーたちの最大の弱点だ。これはいろんなマッチアップで起こりうることだけど、特にコントロールミラーでは頻繁に起きる。
Sphinx’s Revelationは客観的に見て今のスタンダードで最も強力なインスタントかもしれない。だけどRestoration Angelだって非常にコストパフォーマンスの良い攻撃性能を持ち、なおかつ相手のアタッカーを強襲することもできる中速の脅威だ。
次のシナリオを想像してほしい。
あなたは青白赤ミッドレンジ同士のミラーマッチでサイド後のゲームをプレイしている。あなたは4枚目の土地を出し、手札に土地3枚とRestoration Angel、Sphinx’s Revelation、Azorius Charm、Thought Scourを持ってエンドした。対戦相手も4枚目の土地を出し、同じくそのままエンドしてきた。
あなたはAngelをキャストする?それはなぜ?あなたのプランはどんなものだろう?どんな結末が予想される?
1. あなたはAngelをキャストし、解決する。アンタップ、ドローして5枚目の土地を出し、アタックして妨害を受けずに3点ダメージを与える。(おそらく最良のシナリオ。)
2. あなたは上記と同じようにアクションする。しかし対戦相手もAngelをキャストしてダメージを防ぐ。(プレインズウォーカーのキャストに対して無防備になるのは彼にとって悲惨なのでこうなる可能性は低い。)
3. 流れは1番のシナリオと同じだが、対戦相手が変わる。あなたがクロックを場に出したため彼はアクションする必要に駆られ、スペルをキャストし始める。こうなると、危険なスペルを通してしまうことで(こちらにカウンターがないという)重要な情報を与えることになり、対戦相手はこちらを脅威で押しつぶそうとし始めるだろう。(こちらの手札で相手の脅威に対処し続けられる可能性は低い。)
4. あなたのAngelがカウンターされ、ドローゴーゲームに戻る。あなたの手札には大量の土地とキャントリップはあるが、相手の脅威に対抗するアクションは不足している。有利か不利かは不明で、相手がこれからどのようにアプローチしようとしているかによって変わる。(ドローゴーが続けば有利だが、相手の手札にアクションが濃い場合は弱い。)
その他いろいろな結末を検討すると、ドローゴーが続くようにゲームを誘導し、(今のところこちらからは回答できない)スペルを使わなければならないと相手に思わせないようにするプランをとるのが合理的だということが分かる。
Restoration Angelをキャストするのは悪いことはなく理に適っているように見えるけど、実際はゲームのペースを変え、こちらの望むプランから遠ざかってしまうことになる。
プランを貫徹する
あるトーナメントで再び青白赤ミッドレンジをプレイしている場面を想像してほしい。よく似たデッキを使っていると思われるプレイヤーが1回戦の相手だ。あなたは先攻で、マリガンして土地3枚とPillar of Flame、Snapcaster Mage、Restoration Angelという手札をキープ。この手札はアグロデッキに対しては素晴らしく、相手が使っているであろうデッキに対しても間違いなくダブマリするよりは良い。
《火柱/Pillar of Flame》
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
《修復の天使/Restoration Angel》
相手はHallowed Fountainをセットして後手1ターン目を終えた。あなたはこの2ターン目のドローステップまでに得た情報で今後のプラン全体を構築することになる。このターン引いたのは――2枚目のPillar of Flameだ。これらのカードを使ってどうやってゲームに勝とう?もちろん明らかだよね!Pillarをプレイして3ターン目に瞬唱でフラッシュバック、クロックを刻み始めるんだ。
対戦相手は2ターン目には土地を出すだけで何もしてこなかった。こちらが3ターン目に引いたカードはThought Scour。さあどうする?新たな情報が明らかになり、Thought Scourで自分のライブラリを削りつつ瞬唱を使うカードアドバンテージプランもとれるようになった。これは良いプランかな?
単純にコントロールの論理で考えれば、ドロースペルを使って序盤に土地を確実に確保するのは必須ということになる。4枚目や5枚目の土地を出すことは勝利の役に立つだろうか?それは間違いないだろう。では、テンポ面での損失はどうだろう?これは明確じゃない。
コントロールミラーにおいて、マリガンする羽目になったうえ2枚のショックを使ってゲームに勝利するには、何かラッキーなことが起きなきゃならない。このゲームの今の状況ではプラン変更は無意味だと断言したい。瞬唱でPillarをフラッシュバックするアグロなプレイをすることで、相手の悠長なスタートにつけ込むチャンスが得られる。
対戦相手は3ターン目にタップインランドを出し、Runechanter’s Pikeをプレイ。ここまでの相手のプレイはいくつかのことを語っている。
たぶん彼はキャントリップ手段を持っていない。もし持っていたらこちらの3ターン目のエンドに使っていたはずだからだ。また、たぶん彼はEssence ScatterやSyncopateのような2マナの妨害手段も持っていない。持っていたらこの状況でPikeをキャストしないはずだからだ。
それじゃあ彼は何を持っている?DissipateやCounterfluxのような重いカウンターを持っているというのはつじつまが合う。いくつかの土地やRestoration Angel、ここまで使う機会のなかった瞬唱を持っているという説もうなずける。
こちらはきっかり4枚目の土地をドロー。これまで集めた情報から、戦闘後に手札のAngelをキャストする。瞬唱ブリンクでPillarを再利用するプレイは諦めることになる。それでも、このゲームでキャストすることになるおそらく(最初で)最後の重要スペルを確実に通せる機会を逃すわけにはいかない。
相手は4枚目の土地をプレイ。このゲームで重要なことは何なのか、この時点でこちらはほぼ完全な情報を手に入れることになる。彼がAngelを持っていることはほぼ明らかだ。もし持っていない場合、そのハンドはキープに値しない。
彼はよく分かっており、こちらがカウンターをトップする前に、ソーサリータイミングでAngelをプレイ。こちらの5ターン目のドローステップでは、既に手札に持っていたPillarとThought Scourに瞬唱が加わることになった。
相手のライフは14だ。Angelと瞬唱でアタックし、彼のAngelで瞬唱を討ち取ることをほぼ強制する。この時点でPillarで相手のAngelを除去することは確定している。プランを貫徹するため残り3マナでPillarを瞬唱で再キャストし、相手のライフをおぼつかない9点まで落とすことにする。
《思考掃き/Thought Scour》
《対抗変転/Counterflux》
相手は5枚目の土地を出してすぐにエンド。その後こちらはCounterfluxをドロー。情報を整理しよう。
一つ前のターン、相手はカウンターをケアしてソーサリータイミングでAngelをプレイしてきた。何が変わった?Angelを解決させたいなら前のターンと状況は変わらないはずだ。ならばなぜ彼はこちらがタップアウトしているうちにスペルをキャストしようとしなかった?理由として考えられるのは、彼はこのターンにプレイするものをカウンターされても不満はないということだろう。
こちらのアタックで彼のライフは4になった。こちらのエンドに彼がキャストしたSphinx’s Revelation X=2は、カウンターされても構わないと彼が考えているスペルだ。これは通し、彼はライフが6になり、フルの手札でアンタップを迎える。彼はDesperate Ravingsのキャストから始め、Geist of Saint Traftをディスカード。6枚目の土地を置いてエンドする。
こちらのドローはお得な3枚目のPillar of Flame。彼のAngelキャストをCounterfluxで弾き、赤いソーサリーを撃ち込んでゲーム1を取った。3ターン目に引いたThought Scourは結局キャストしていない。
このシナリオは実際にあった僕のゲームなんだ!ロサンゼルスでのインビテーショナルの2回戦、僕はMichael Hetrickとペアリングされた。そのゲーム1を僕の視点から一手一手書いたのがこのシナリオだよ。
この分析で大事なのは僕がゲームに勝ったことじゃない。Supreme Verdictが一発あるだけですぐにHetrickの優勢なゲームになっていたと思う(トラフト入りの彼のデッキにはおそらく入っていなかっただろうけど、ラストターンにトラフトが落ちるまでそのことは知らなかったよ)。
重要なのは自分がゲームにどう勝利するかをイメージすることなんだ。そのイメージの中であなたが勝利した時、ボードはどんな状態だろう?
ゲームが始まったとき僕は2枚のPillarと3枚の土地を持っていて、Revelationとまともにやりあって勝てる状態じゃなかった。それで、彼のカードアドバンテージが問題になるほどの時間をかける前に勝つイメージに合わせてプレイを組み立てたんだ。
ボーナスポイントはない
マッチに勝てば3点がもらえ、負ければ0点。単純だ。信じられないぐらい明確じゃないかな?
それじゃあなぜ多くの人が自らの手で勝つのをとても難しくしてしまうのだろう?ダブマリして勝ったからといって追加でポイントをもらえるわけじゃない。7枚の手札を持った状態で相手を倒しても追加のポイントはもらえない。負けたことに不満を述べたって当然追加のポイントはもらえない。
自分にできることを知るべきだ!さっきのような分析を見たうえで、僕が毎ゲームこんなにじっくりと考えているわけじゃないと聞いたらショックを受ける人もいるかもしれないね。人間には知性があり、長い時間をかければ正しいプレイを見つけることはできるだろう。
じっくり考えずに取った行動で勝てるようになろう!さっきのHetrickとのゲーム1は12分で僕の7ターン目に終わった。取るべき戦略の選択肢はたくさんあったけれど、実際にはどのプレイも時間をかけて考えることなく行なっていた。僕はこのタイプのデッキをシーズン中ずっと使っていて、絶望的に見えるゲームを勝つためにどうアプローチすべきかよく知っていたんだ。Michaelだって同じだよ。
対戦相手は勝とうとしている
インビテーショナルのカバレッジがここ(http://starcitygames.com/events/121216_losangeles.htmlhttp:/starcitygames.com/events/121216_losangeles.html)で見られる。2つ目の事例として4回戦のJoseph Losterとのフィーチャーマッチを取り上げよう。
6:50のところで僕はJace, Memory Adeptをキャスト、自分を対象に1枚引いて1枚削った。
(※訳注:原文ではここにフィーチャーマッチの動画が貼られています。)
この時点で既に僕らは2ゲームを終えており、動画からは分かりにくい情報をJosephはたくさん手に入れていた。一番重要なのは、僕がUnsummonをデッキに入れていないだろうと彼が考えていたことで、おかげで彼は自由に行動できていた。この情報と手札のセレズニアチャームにより、彼はジェイスに対処するために2枚目のAngelを出す必要がなく、やがて来る全体除去からの復旧に備えて手札に残しておけていた。
彼が考慮できていなかったのは、こちらのプレイが全て予め決まっており彼のチャームも念頭に置かれていたことだ。動画では見にくいけど僕がジェイスで引いたのはPillarで、引きたいカードではなかった。これを狼トークンに使うことを考えたけれど、そうするとチャームがジェイスへの回答として使えなくなるため、彼はAngelをプレイせざるを得なくなる(これは僕にとってやってほしくないプレイだ)。
僕がRestoration Angelでのチャンプブロックに時間をかけなかったことに着目してほしい。完全に事前に決まっていたことで、僕がしたのは他のブロックの仕方ではチャームを使われたときにジェイスが生き残れないと再確認することだけだった。
Josephはすぐに何が起きているか気づき、困ってしまった。僕は次のターンにSupreme Verdictをキャストしようとしていた。彼の4枚の土地で可能な選択肢は2つしかなかった:実際に彼がやったようにマナを増やしながらこちらのVerdictプレイを強制するか、ジェイスに2ダメージを与えて続くターンに僕がボードを流した後でAngelをキャストするかだ。いずれにせよ彼にとってはひどいシナリオで、彼の2枚の手札を読んだことと彼が脅威を手札に残そうとしたことを使ってプランを立て、この状況を作ることができた。
対戦相手は勝とうとしている。カメラで撮影されているマッチでは、アマプレイヤーは下手をうつかひどく単調なABCマジックをしてしまうかのどちらかになることがとても多い。
この問題はシンプルだ。対戦相手は合理的で、単調なプレイは最も止められやすいと考えよう。あのチャンプブロックはパッと見ではどれだけ変なプレイだろう?彼のリアクションから、あのブロックが彼のレーダーの外だったのはすぐに分かったよ。
コメント欄でのフィードバックを読むのが本当に楽しみだよ。多くのことが書かれすぎているトーナメントレポートや、テストする時間のあまり取れていないデッキリストなんかよりもセオリーについて書く方が好きなんだ。
それじゃ、お元気で!
ChannelFireballより。
GPデンバー5位のオーダー入りエルフの解説とプレイの様子。
同日のSCGコロンバス1位のエルフ、翌週のSCGサンディエゴ12位のエルフも似たリストでした。
BG系の疫病が増えている環境で課題だったサイド後が改善されるのですね。
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Getting Nassty―Elves in Denver *Top 8*
Posted by Matt Nass
January 13, 2013
http://www.channelfireball.com/articles/getting-nassty-elves-in-denver-top-8/
GPデンバーに向かうとき、僕はこれまでの中でも一番自信を持っていた。直前のインビテーショナルでトップ4に入っていたし、今回は僕が世界で一番得意なデッキ――エルフを持ち込んでいた。今の環境でエルフは良い位置にいるとも考えていた。
最近僕はプレイヤーとしての幅を広げようと努力していた。最も慣れたタイプのデッキを使うのはたしかに良いことだけど、そのデッキでは生きていけない場合もある。前にも言ったけれど、Guillaume Wafo-Tapaがコントロールデッキが良い位置にいる年にレベル7だったところから、クリーチャーデッキが環境を支配した次の年にはグレイビートレインを降りることになったのが分かりやすい例だ。
僕は「エルフの人」や「コンボの人」にはなりたくない。僕がなりたいのは良いマジックプレイヤーだ。だからインビテーショナルで完璧にフェアなグッドスタッフデッキ2つを使って上位に入れたことは特に自信になった。とはいえ、もう二度と緑の小さなヤツラやコンボを使わないということではないよ、もちろん。
たまたまインビテーショナルに、僕にエルフをテストしようと思わせるリストがあったんだ。Leon KornackiがLiving Wish用のサイドに孔蹄のビヒモスを入れたエルフデッキを使ってトップ8に入っていた。僕は以前Natural Orderを入れたエルフをプレイしていたことがあり、そのときはRegal Forceが唯一のサーチ先だった。
2つを合わせてみようと考えるのは難しいことではなく、そしてビヒモスをオーダーするのは格別だということが分かった。
(※訳注:Leon Kornackiのリスト:http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=51649)
Wrapter(※訳注:Josh Utter-Leytonのこと)と僕でサイド前のゲームを何試合かこなし、孔蹄先生には心底感心させられた。しかし、Natural Orderプランが本当に輝くのはサイド後のゲームだった。BUGが疫病を何枚か貼りにきたとき、Progenitusをオーダーしてくるだけでよかった。
イラクサ、東屋、共生虫、死儀礼のおかげで、疫病の下でオーダーを撃つのは難しいことじゃない。さらに、リリアナから大祖始を守るための追加の生物を出せていることはしょっちゅうある。
レガシーのエルフがこれまでずっと抱えてきた問題はサイド後のゲームだったけど、このプランがあればサイド後にもフェアなデッキに有利に立ち回れる。
このデッキは良いと確信し、僕らはリストのあるべき形を見つけるために残りの時間を使った。
Deathrite Shamanはすぐに2枚から3枚、4枚と数を増やした。フェッチ可能な土地をたくさん入れなくてもフェッチ10枚は問題なく運用できることが分かり、これにより死儀礼はほとんど常にLlanowar Elvesとして機能する。
さらに、死儀礼とアンタップ生物(共生虫とレインジャー)のシナジーはうんざりするほど強く、ゲームをさっさと終わらせる。
Natural Orderはメイン3枚、サイド1枚になった。ゲーム1に複数枚引くのはうっとうしいが、サイド後のプランで大きな役割を持つためだ。
Wrapterの大きな貢献の一つがサイドボードのDryad Arborだ。一見何もしないように見えるかもしれないね。
フェアなデッキ相手のサイド後のゲームでは、東屋をフェッチしてきたくなることが多くある。東屋は揺籃の地と合わせて実質2マナを増やし、Natural Orderの餌となり、リリアナへの防御手段となる。その上、Quirion RangerやWirewood Symbioteでアンタップする対象にもなる。
これらを踏まえて、僕らのたどり着いたリストがこれだ:
* Main Deck
* 4 Deathrite Shaman
* 1 Llanowar Elves
* 1 Fyndhorn Elves
* 1 Birchlore Rangers
* 4 Heritage Druid
* 4 Nettle Sentinel
* 4 Quirion Ranger
* 4 Wirewood Symbiote
* 4 Elvish Visionary
* 1 Priest of Titania
* 1 Regal Force
* 1 Craterhoof Behemoth
* 3 Natural Order
* 4 Glimpse of Nature
* 4 Green Sun’s Zenith
* 4 Gaea’s Cradle
* 2 Verdant Catacombs
* 4 Misty Rainforest
* 4 Windswept Heath
* 2 Bayou
* 1 Forest
* 1 Savannah
* 1 Dryad Arbor
* Sideboard
* 1 Sylvan Library
* 1 Dryad Arbor
* 1 Natural Order
* 1 Progenitus
* 4 Cabal Therapy
* 2 Abrupt Decay
* 2 Mindbreak Trap
* 1 Thorn of Amethyst
* 1 Qasali Pridemage
* 1 Gaddock Teeg
メインの60枚は大会の1,2日前に完成できたけど、サイドボードにはもういくつか議論が必要だった。
東屋1枚、大祖始1枚、オーダー1枚のパッケージは外せず、コンボ対策のセラピー4枚も減らせなかった。相殺はやはり問題なので、衰微を2枚入れられるようにしておくのはたぶん良いだろうと考えた。最適とは言えないし、相殺はかわすのがこちらのメインプランではあったけれど、疫病への回答にもなるのはやはりナイスだった。
サイドボードの残りの部分は主に次の2点から考えた:一つ、エルフはコンボデッキなので、どのマッチアップでも多くのカードを入れ替えることはできない――入れ替え枚数は少ない方が良い。二つ、エルフはふつう多くのコンボデッキに速度面でかなわない。そのため、強力なアンチコンボカードがどうしても必要だ。
はじめ僕らはThorn of Amethystに頼ろうとしたけど、2ターン目の妨害では速さが足りなさそうだと気がついた。さらに、1ターン目のカードとしては既にセラピーを入れていた。
本当に必要なのはゲームが長引いたときでも仕事をするカードだった。そしてMindbreak Trapはその状況で完璧なカードだ。
頂点のサーチ先2枚のための白タッチは最後の方で加えた変更だ。頂点とオーダー入りのデッキでのガドックはあまり筋が良くないけど、それでも価値があるように思えた。
サイドボーディングをするとき、最もよくサイドアウトされるのはPriest of TitaniaとHeritage Druid、Nettle Sentinelだ。ティタニアは除去のあるデッキにはすごく弱いのでサイドアウトされる。ドルイドとイラクサは相手がコンボを止めるのに長けているときは弱くなる。自身ではマナを生まないためだ。Natural Orderプランを採用する場合、このことは他のエルフデッキ以上に問題になる。
「サイド時の入れ替え枚数は少ない方が良い」という点は十分に考慮できなかった。コンボデッキは構成が大きく変わっても動くようにはできていない。
トーナメントの中では、重要な場面がいくつかあった:
大会中に2回、僕はエルフたちでアタックするのを忘れた。これは明らかに普段起きることじゃない。エルフを使うにはかなりの集中力が必要で、精神的にとても消耗する。それで僕はプランAがうまくいかなかったときにできるはずの攻撃を忘れてしまった。特に共生虫やQuirion Rangerを使ってガチャガチャやっているとき、彼らでアタックするのを忘れないようにするのは難しくなる。
たしかにそれほど大きな問題にはならず僕はトップ8に入ったけれど、これは心に留めておくべきことだ。恥ずかしいことに、僕が共生虫のアタックを忘れた場面のうち1回はSam Blackとのフィーチャーマッチの最中だった。
また別の興味深いゲームは、初日無敗の記録を賭けたマッチの中でのことだ。対戦相手は2ターン目にRest in Peaceを出し、こちらの死儀礼を無力化してきた。続くターンに彼はEnergy Fieldをプレイ。僕は投了した。
この手のカードへの回答をメインに入れることが正しいとは思えないけど、デッキを全て引ききったとしても勝てないことが確定しているというのはかなり苛立たしいことだった。結局ゲーム2と3は僕がうまくゲームを引き寄せ、マッチを取った。
一番面白かったのは、連続してGPでトップ8に入っているHarry Corveseとの試合だった。彼はBUG Shardless Agentを使っていた。
ゲーム1、僕はQuirion RangerとWirewood Symbiote、Dryad Arbor、Gaea’s Cradleを出し、緑頂点X=7を解決させてRegal Forceをサーチした。残念なことにリーガルで引いたのは全て土地だった。
Harryは共生虫を除去したが、こちらにはまだHarryの4/5タルモを食い止めるリーガルが残っていた。次にHarryはShardless AgentでRegal Forceに向かってアタックし、墓地にアーティファクトを落としてタルモをサイズアップさせてきた。続いて僕はDeathrite Shamanをトップ。1ターンの後、HarryはAbrupt Decayを見つけて死儀礼にプレイした。僕はレスポンスしてこちらの唯一の黒マナを使ってインスタントを追放しつつ(彼のライフは低かったからね)、できるだけ何食わぬ顔をしながらQuirion RangerでDeathrite Shamanをアンタップし、緑マナ能力を起動してAgentを追放した。
幸運にも、僕が両者の墓地で唯一のアーティファクトを除去したことにHarryは気づいておらず、4/5になったタルモでRegal Forceに向かってアタックしてきた。
僕がエルフデッキのコンボ要素をプレイするのにすごく精神力を使ってミスをするのと同じように、Harryもエルフデッキのコンボ要素に対処しようとして疲れていたんだと思う。
ゲーム2、僕は強い盤面を作ってNatural Orderを解決させた。孔蹄のビヒモスと大祖始がサーチ先の選択肢だった。ビヒモスをサーチすればHarryのライフを4まで落とし、場には死儀礼、レインジャー、東屋、ビヒモスが残る。大祖始もHarryにかなり速いクロックを突きつけ、彼はPerishのようなカードがなければ死ぬことになる。
僕はビヒモスプランを選び、誘発にスタックでHarryがDismemberを撃った。僕はこの可能性を考えてすらいなかった。その後Harryは良いドローを続け、結局僕は大祖始を持ってきていれば間違いなく取れたはずのゲームを落とした。後でLSVに大祖始で勝てていたか聞くと、彼の答えもイエスだった。しかし彼は、これは難しい選択で、レガシーではDismemberのような目立たないカードをケアしてプレイするのはかなり難しいとも言っていた。
ゲーム3、Natural Orderで同じミスを繰り返すことはしなかった。僕はDeathrite Shamanからスタートし、これはすぐにDismemberされた。2ターン目、こちらはQuirion RangerとDryad Arborを出してエンド。Harryは衰微を撃つかヒムを撃つか判断する局面に立っていた。
彼は悲惨なことが起きるリスクはないと考え、ヒムを選んだ。彼には知るよしもなかったが、これは5/6の確率で即座にゲームに負けるプレイだった。僕の4枚の手札にはNatural Orderが2枚あり、次のターンのオーダーキャストを止めるには、彼はまず2/4の勝負に勝った上で1/3の確率を成功させる必要があった。
信じがたいことに、森、東屋、レインジャーだけからNatural Orderをキャストできるマナが出る。彼のヒムは失敗し、大祖始がゲームを終わらせた。
試合の後Harryと僕で、いろんな人にHarryの立場だったらどうするかを聞いてみた。みんなの意見はまったく一致しなかったよ。
最後の、本当に記憶に残るゲームはまだヒリヒリ痛むね:トップ8でPat Coxのジャンドと対戦したときのゲーム1だ。
僕がQuirion Rangerを出し、PatがThoughtseizeで頂点を落とす立ち上がりだった。僕のターンにドローして、手札はWirewood SymbioteとHeritage Druid、それとフェッチを含む何枚かの土地になった。
僕には2つの選択肢があった:クリーチャーを2体とも出してThoughtseizeやHymn to Tourachの影響を受けないようにするか、共生虫だけを出してフェッチを起動せずに残すかだ。
1つ目のプレイではGlimpseが弱いトップデッキになってしまうように見えるが、PatのターンエンドにドルイドをバウンスすることでGlimpseの強さを保つことができる。
共生虫だけを出すプレイの大きなメリットはフェッチを場に残しておけることだ。フェッチで東屋を持ってくることにより、Quirion Rangerと合わせて続くターンにより多くのマナを使えるようになる。
もちろん僕は次のターンにNatural Orderをドロー、そしてそれをキャストすることができなかった。1つ目のプレイを選んでおり、マナが足りなかったためだ。PatはThoughtseizeを撃ち、当然オーダーを落とした。その後は簡単に彼が勝った。
自分のプレイが間違いだったとはやっぱり思えないけど、別の道ならほぼ間違いなく勝っていたというのは気分のいいものではないね。
余談だけど、Birchlore Rangersの変異が意味を持つ場面がこのマッチで2回あった。ふつうは表向きの方が良いし、1枚挿しで引かないことも多いので普段は変異に意味はないけど、本当に2/2が必要なとき(あるいは相手がエルフ指定の疫病を出しているとき)の選択肢として覚えておく価値は間違いなくあるよ。
ストレスの溜まる負け方で終わってしまったとはいえ、GPデンバーは僕にとって素晴らしい経験になった。大好きで得意なデッキを使って楽しいプレイをたくさんした。多くの友人と一緒に過ごすことができた。その中にはカリフォルニア在住の人も何人かいて、僕が東海岸の学校に通っているため普段は会えない人たちだ。それにトップ8も悪い結果じゃない。
今はGPで使った75枚をプレイする動画を撮ろうとしていて、ギルド門侵犯のスポイラーで気に入ったカードの一つについて書いたSpoiler Spotlightの記事ももうじき載るはずだよ。お楽しみに。
GPデンバー5位のオーダー入りエルフの解説とプレイの様子。
同日のSCGコロンバス1位のエルフ、翌週のSCGサンディエゴ12位のエルフも似たリストでした。
BG系の疫病が増えている環境で課題だったサイド後が改善されるのですね。
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Getting Nassty―Elves in Denver *Top 8*
Posted by Matt Nass
January 13, 2013
http://www.channelfireball.com/articles/getting-nassty-elves-in-denver-top-8/
GPデンバーに向かうとき、僕はこれまでの中でも一番自信を持っていた。直前のインビテーショナルでトップ4に入っていたし、今回は僕が世界で一番得意なデッキ――エルフを持ち込んでいた。今の環境でエルフは良い位置にいるとも考えていた。
最近僕はプレイヤーとしての幅を広げようと努力していた。最も慣れたタイプのデッキを使うのはたしかに良いことだけど、そのデッキでは生きていけない場合もある。前にも言ったけれど、Guillaume Wafo-Tapaがコントロールデッキが良い位置にいる年にレベル7だったところから、クリーチャーデッキが環境を支配した次の年にはグレイビートレインを降りることになったのが分かりやすい例だ。
僕は「エルフの人」や「コンボの人」にはなりたくない。僕がなりたいのは良いマジックプレイヤーだ。だからインビテーショナルで完璧にフェアなグッドスタッフデッキ2つを使って上位に入れたことは特に自信になった。とはいえ、もう二度と緑の小さなヤツラやコンボを使わないということではないよ、もちろん。
たまたまインビテーショナルに、僕にエルフをテストしようと思わせるリストがあったんだ。Leon KornackiがLiving Wish用のサイドに孔蹄のビヒモスを入れたエルフデッキを使ってトップ8に入っていた。僕は以前Natural Orderを入れたエルフをプレイしていたことがあり、そのときはRegal Forceが唯一のサーチ先だった。
2つを合わせてみようと考えるのは難しいことではなく、そしてビヒモスをオーダーするのは格別だということが分かった。
(※訳注:Leon Kornackiのリスト:http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=51649)
Wrapter(※訳注:Josh Utter-Leytonのこと)と僕でサイド前のゲームを何試合かこなし、孔蹄先生には心底感心させられた。しかし、Natural Orderプランが本当に輝くのはサイド後のゲームだった。BUGが疫病を何枚か貼りにきたとき、Progenitusをオーダーしてくるだけでよかった。
イラクサ、東屋、共生虫、死儀礼のおかげで、疫病の下でオーダーを撃つのは難しいことじゃない。さらに、リリアナから大祖始を守るための追加の生物を出せていることはしょっちゅうある。
レガシーのエルフがこれまでずっと抱えてきた問題はサイド後のゲームだったけど、このプランがあればサイド後にもフェアなデッキに有利に立ち回れる。
このデッキは良いと確信し、僕らはリストのあるべき形を見つけるために残りの時間を使った。
Deathrite Shamanはすぐに2枚から3枚、4枚と数を増やした。フェッチ可能な土地をたくさん入れなくてもフェッチ10枚は問題なく運用できることが分かり、これにより死儀礼はほとんど常にLlanowar Elvesとして機能する。
さらに、死儀礼とアンタップ生物(共生虫とレインジャー)のシナジーはうんざりするほど強く、ゲームをさっさと終わらせる。
Natural Orderはメイン3枚、サイド1枚になった。ゲーム1に複数枚引くのはうっとうしいが、サイド後のプランで大きな役割を持つためだ。
Wrapterの大きな貢献の一つがサイドボードのDryad Arborだ。一見何もしないように見えるかもしれないね。
フェアなデッキ相手のサイド後のゲームでは、東屋をフェッチしてきたくなることが多くある。東屋は揺籃の地と合わせて実質2マナを増やし、Natural Orderの餌となり、リリアナへの防御手段となる。その上、Quirion RangerやWirewood Symbioteでアンタップする対象にもなる。
これらを踏まえて、僕らのたどり着いたリストがこれだ:
* Main Deck
* 4 Deathrite Shaman
* 1 Llanowar Elves
* 1 Fyndhorn Elves
* 1 Birchlore Rangers
* 4 Heritage Druid
* 4 Nettle Sentinel
* 4 Quirion Ranger
* 4 Wirewood Symbiote
* 4 Elvish Visionary
* 1 Priest of Titania
* 1 Regal Force
* 1 Craterhoof Behemoth
* 3 Natural Order
* 4 Glimpse of Nature
* 4 Green Sun’s Zenith
* 4 Gaea’s Cradle
* 2 Verdant Catacombs
* 4 Misty Rainforest
* 4 Windswept Heath
* 2 Bayou
* 1 Forest
* 1 Savannah
* 1 Dryad Arbor
* Sideboard
* 1 Sylvan Library
* 1 Dryad Arbor
* 1 Natural Order
* 1 Progenitus
* 4 Cabal Therapy
* 2 Abrupt Decay
* 2 Mindbreak Trap
* 1 Thorn of Amethyst
* 1 Qasali Pridemage
* 1 Gaddock Teeg
メインの60枚は大会の1,2日前に完成できたけど、サイドボードにはもういくつか議論が必要だった。
東屋1枚、大祖始1枚、オーダー1枚のパッケージは外せず、コンボ対策のセラピー4枚も減らせなかった。相殺はやはり問題なので、衰微を2枚入れられるようにしておくのはたぶん良いだろうと考えた。最適とは言えないし、相殺はかわすのがこちらのメインプランではあったけれど、疫病への回答にもなるのはやはりナイスだった。
サイドボードの残りの部分は主に次の2点から考えた:一つ、エルフはコンボデッキなので、どのマッチアップでも多くのカードを入れ替えることはできない――入れ替え枚数は少ない方が良い。二つ、エルフはふつう多くのコンボデッキに速度面でかなわない。そのため、強力なアンチコンボカードがどうしても必要だ。
はじめ僕らはThorn of Amethystに頼ろうとしたけど、2ターン目の妨害では速さが足りなさそうだと気がついた。さらに、1ターン目のカードとしては既にセラピーを入れていた。
本当に必要なのはゲームが長引いたときでも仕事をするカードだった。そしてMindbreak Trapはその状況で完璧なカードだ。
頂点のサーチ先2枚のための白タッチは最後の方で加えた変更だ。頂点とオーダー入りのデッキでのガドックはあまり筋が良くないけど、それでも価値があるように思えた。
サイドボーディングをするとき、最もよくサイドアウトされるのはPriest of TitaniaとHeritage Druid、Nettle Sentinelだ。ティタニアは除去のあるデッキにはすごく弱いのでサイドアウトされる。ドルイドとイラクサは相手がコンボを止めるのに長けているときは弱くなる。自身ではマナを生まないためだ。Natural Orderプランを採用する場合、このことは他のエルフデッキ以上に問題になる。
「サイド時の入れ替え枚数は少ない方が良い」という点は十分に考慮できなかった。コンボデッキは構成が大きく変わっても動くようにはできていない。
トーナメントの中では、重要な場面がいくつかあった:
大会中に2回、僕はエルフたちでアタックするのを忘れた。これは明らかに普段起きることじゃない。エルフを使うにはかなりの集中力が必要で、精神的にとても消耗する。それで僕はプランAがうまくいかなかったときにできるはずの攻撃を忘れてしまった。特に共生虫やQuirion Rangerを使ってガチャガチャやっているとき、彼らでアタックするのを忘れないようにするのは難しくなる。
たしかにそれほど大きな問題にはならず僕はトップ8に入ったけれど、これは心に留めておくべきことだ。恥ずかしいことに、僕が共生虫のアタックを忘れた場面のうち1回はSam Blackとのフィーチャーマッチの最中だった。
また別の興味深いゲームは、初日無敗の記録を賭けたマッチの中でのことだ。対戦相手は2ターン目にRest in Peaceを出し、こちらの死儀礼を無力化してきた。続くターンに彼はEnergy Fieldをプレイ。僕は投了した。
この手のカードへの回答をメインに入れることが正しいとは思えないけど、デッキを全て引ききったとしても勝てないことが確定しているというのはかなり苛立たしいことだった。結局ゲーム2と3は僕がうまくゲームを引き寄せ、マッチを取った。
一番面白かったのは、連続してGPでトップ8に入っているHarry Corveseとの試合だった。彼はBUG Shardless Agentを使っていた。
ゲーム1、僕はQuirion RangerとWirewood Symbiote、Dryad Arbor、Gaea’s Cradleを出し、緑頂点X=7を解決させてRegal Forceをサーチした。残念なことにリーガルで引いたのは全て土地だった。
Harryは共生虫を除去したが、こちらにはまだHarryの4/5タルモを食い止めるリーガルが残っていた。次にHarryはShardless AgentでRegal Forceに向かってアタックし、墓地にアーティファクトを落としてタルモをサイズアップさせてきた。続いて僕はDeathrite Shamanをトップ。1ターンの後、HarryはAbrupt Decayを見つけて死儀礼にプレイした。僕はレスポンスしてこちらの唯一の黒マナを使ってインスタントを追放しつつ(彼のライフは低かったからね)、できるだけ何食わぬ顔をしながらQuirion RangerでDeathrite Shamanをアンタップし、緑マナ能力を起動してAgentを追放した。
幸運にも、僕が両者の墓地で唯一のアーティファクトを除去したことにHarryは気づいておらず、4/5になったタルモでRegal Forceに向かってアタックしてきた。
僕がエルフデッキのコンボ要素をプレイするのにすごく精神力を使ってミスをするのと同じように、Harryもエルフデッキのコンボ要素に対処しようとして疲れていたんだと思う。
ゲーム2、僕は強い盤面を作ってNatural Orderを解決させた。孔蹄のビヒモスと大祖始がサーチ先の選択肢だった。ビヒモスをサーチすればHarryのライフを4まで落とし、場には死儀礼、レインジャー、東屋、ビヒモスが残る。大祖始もHarryにかなり速いクロックを突きつけ、彼はPerishのようなカードがなければ死ぬことになる。
僕はビヒモスプランを選び、誘発にスタックでHarryがDismemberを撃った。僕はこの可能性を考えてすらいなかった。その後Harryは良いドローを続け、結局僕は大祖始を持ってきていれば間違いなく取れたはずのゲームを落とした。後でLSVに大祖始で勝てていたか聞くと、彼の答えもイエスだった。しかし彼は、これは難しい選択で、レガシーではDismemberのような目立たないカードをケアしてプレイするのはかなり難しいとも言っていた。
ゲーム3、Natural Orderで同じミスを繰り返すことはしなかった。僕はDeathrite Shamanからスタートし、これはすぐにDismemberされた。2ターン目、こちらはQuirion RangerとDryad Arborを出してエンド。Harryは衰微を撃つかヒムを撃つか判断する局面に立っていた。
彼は悲惨なことが起きるリスクはないと考え、ヒムを選んだ。彼には知るよしもなかったが、これは5/6の確率で即座にゲームに負けるプレイだった。僕の4枚の手札にはNatural Orderが2枚あり、次のターンのオーダーキャストを止めるには、彼はまず2/4の勝負に勝った上で1/3の確率を成功させる必要があった。
信じがたいことに、森、東屋、レインジャーだけからNatural Orderをキャストできるマナが出る。彼のヒムは失敗し、大祖始がゲームを終わらせた。
試合の後Harryと僕で、いろんな人にHarryの立場だったらどうするかを聞いてみた。みんなの意見はまったく一致しなかったよ。
最後の、本当に記憶に残るゲームはまだヒリヒリ痛むね:トップ8でPat Coxのジャンドと対戦したときのゲーム1だ。
僕がQuirion Rangerを出し、PatがThoughtseizeで頂点を落とす立ち上がりだった。僕のターンにドローして、手札はWirewood SymbioteとHeritage Druid、それとフェッチを含む何枚かの土地になった。
僕には2つの選択肢があった:クリーチャーを2体とも出してThoughtseizeやHymn to Tourachの影響を受けないようにするか、共生虫だけを出してフェッチを起動せずに残すかだ。
1つ目のプレイではGlimpseが弱いトップデッキになってしまうように見えるが、PatのターンエンドにドルイドをバウンスすることでGlimpseの強さを保つことができる。
共生虫だけを出すプレイの大きなメリットはフェッチを場に残しておけることだ。フェッチで東屋を持ってくることにより、Quirion Rangerと合わせて続くターンにより多くのマナを使えるようになる。
もちろん僕は次のターンにNatural Orderをドロー、そしてそれをキャストすることができなかった。1つ目のプレイを選んでおり、マナが足りなかったためだ。PatはThoughtseizeを撃ち、当然オーダーを落とした。その後は簡単に彼が勝った。
自分のプレイが間違いだったとはやっぱり思えないけど、別の道ならほぼ間違いなく勝っていたというのは気分のいいものではないね。
余談だけど、Birchlore Rangersの変異が意味を持つ場面がこのマッチで2回あった。ふつうは表向きの方が良いし、1枚挿しで引かないことも多いので普段は変異に意味はないけど、本当に2/2が必要なとき(あるいは相手がエルフ指定の疫病を出しているとき)の選択肢として覚えておく価値は間違いなくあるよ。
ストレスの溜まる負け方で終わってしまったとはいえ、GPデンバーは僕にとって素晴らしい経験になった。大好きで得意なデッキを使って楽しいプレイをたくさんした。多くの友人と一緒に過ごすことができた。その中にはカリフォルニア在住の人も何人かいて、僕が東海岸の学校に通っているため普段は会えない人たちだ。それにトップ8も悪い結果じゃない。
今はGPで使った75枚をプレイする動画を撮ろうとしていて、ギルド門侵犯のスポイラーで気に入ったカードの一つについて書いたSpoiler Spotlightの記事ももうじき載るはずだよ。お楽しみに。
StarCityGamesより。
レガシーでのデッキ構築について。
2年前、新たなるファイレクシアがリリースされる少し前の文章です。
カードプールやメタは当時から変わっていますが考え方は今でも通用しそうだと思い、訳してみました。
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Deckbuilding Principles of Legacy
AJ SACHER
2011/2/22
http://www.starcitygames.com/magic/legacy/21182-Deckbuilding-Principles-of-Legacy.html
ここしばらく、レガシーは他とかなりの差をつけて僕のお気に入りのフォーマットだ。レガシーは極めて高いスキルを要求されるフォーマットで、イノベーションの余地が最も大きなフォーマットでもある。レガシーのトーナメントに参加するたび、僕はそれまで見たことのなかったものを毎回少なくとも1つは目にしている。同じことをエターナルでないフォーマットで言うことはできないだろう。
僕がデッキをデザインするとき常に気をつけているガイドラインとセオリーがいくつかあり、今日はその中のいくつかを共有しようと思う。特にレガシーに関するものを。
ある色の良いカードを大量にデッキに詰め込むだけでおしまい、というのでは明らかに不十分だ。戦えるデッキを作るには、デッキに何らかの能力と性格を与える必要がある。そんなの言うまでもないことだと思うかもしれない。しかし、「デザイナーがそう作ったから」ということしか存在理由がないデッキたちを僕はたしかに目にしてきた。
この記事で例として使おうと思っている2つのデッキはいずれもインディアナポリスでのレガシーオープンでトップ8に入ったものだ:1つはJosh Raydenのデッキで、これは僕がGPコロンバスのトップ32に入ったときに使ったデッキをアップデートしたものだ。もう1つはDrew Levinのデッキで、彼が2週間前に書いたCounterbalanceについての記事に載せていたデッキの改良版だ。
(※訳注:原文では本文からリンクが貼られています。
Josh Raydenのデッキ:http://www.starcitygames.com/magic/legacy/21170_Emrakuls_and_Progeneti_Top_8_at_SCG_Indy_with_Show_and_Tell.html
Drew Levinの記事:http://www.starcitygames.com/magic/legacy/21074_Counterbalance_A_Love_Story_From_Chicago_to_Columbus.html)
コロンバス用のデッキをデザインしたとき、僕はレガシーで最もパワフルなプレイのリストを作った。そしてその中のいくつかを同時に使いシナジーさせようと試みた。そのリストは例えば次のようなものだ:
1. イオナをリアニメートする。
2. 良いマナカーブを持つデッキが相殺と独楽を揃える。
3. 序盤にボブを解決させて守る。
4. 手札に生物を持ちつつ序盤にサバイバルを解決させて守る。
5. エムラをショーテルで出す。
6. Adデッキがライフを10以上残してAd Nauseamを解決させる。
7. Thopter FoundryとSword of the Meekを揃える。
8. ペインターと丸砥石かAlurenとImperial Recruiterによって即座に相手を倒す。
9. Natural Orderで大祖始を出す。
10. 神ジェイスを解決させて守る。
11. カウンターの乗った薬瓶をスタンバイさせる。
抜けはいくつかあるかもしれないが、これらは間違いなくプレイのTier 1になっていると思う。このリストは時とともに変わるもので、例えば以前はFlash&Protean Hulkは8番と4番に該当するプレイだったが今はリーガルではなくなった。
過去に僕がデザインしたデッキたちを見ると、これらのプレイのうちどんなに少なくとも2つは最終的に(そして十分に)搭載されることになっている。
僕のGPシカゴでのデッキは3,4,11番の原則にしたがった緑黒タッチ赤サバイバルデッキだった。
オーランドのSCGオープンでのデッキは2,7,10番を取り入れた青白Enlightened Tutorコントロールだった。
GPコロンバスでのデッキは5番と9番の要素を持っていた(さらにインディアナポリス用のアップデート版には10番がプラスされた)。
そしてカンサスシティ用のデッキは2,9,10番の能力を持っていた。
(※訳注:デッキリストへのリンク。
オーランドのデッキ:http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=32002
カンサスシティのデッキ:http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=36114)
とはいえ、これらの能力を可能な限り多くデッキに詰め込むことが大事なのではない。同時に成立可能な複数の攻撃方法を見つけ出し、デッキから無駄をなくすことが大切だ。Natural Order/Show and Tellデッキが成功したのは、それぞれのアーキタイプをサポートするカードがうまく共存できたためだ。
-Natural Orderのためのマナ生物はShow and Tellも加速する。
-Natural Orderのサーチ先を引いてしまったとき、Show and Tellで場に出すことができる。
-2つのコンボはいずれも特定のカードをなるべく早い段階で手に入れようとするため、ドロー操作はどちらにとっても重要になる。
-Natural Orderのための東屋とマナ生物は、エムラが相手の布告除去でやられるのを防ぐことができる。
-両コンボは特定のカードを素早く解決させることに依存しているため、0マナカウンターはどちらにとっても良い。
-マナ生物はDazeの代替コストを埋め合わせる。
-Noble Hierarch、キャントリップとフェッチの組み合わせ、そしてTropical Islandによって相手からはこちらが相殺デッキのように見えるため、手遅れになりやすい。
などなど。どうやって複数の要素をうまく共存させているのか、他のハイブリッドデッキについてもこれで半分ぐらいは理解できるようになったんじゃないだろうか。
レガシーでは本当にいろいろな角度からの攻撃を受けるので、フェアなプレイをするよりも何か壊れたプレイをする方がたいていは良い。これと同じ理屈で、あなたが使える攻撃の角度が増えるほど、相手があなたのアクションに対して正しい備えをすることは難しくなる。
「壊れたプレイをせよ」という原則からは離れるが、僕がデッキを構築したり、あるイベントで何を使うか決めたりするときに考慮することの一つとして、独楽やブレストのようなカード選択やドロー操作の能力がどの程度高いか、という観点がある。独楽もブレストもとても良いカードで、デッキに入れないためには複数のかなり良い理由が求められる。
レガシーではForce of Willをプレイする「必要」があり、さもなければ巨大なディスアドバンテージを背負うことになると考えている人がいる。それは単純に間違っている。実際、Force of Willがせいぜい「悪くない」カードでしかなく、サイドアウトされるマッチアップはとても多い。同じことはブレストや独楽には言えない。
Force of WillはほぼいつもBrainstormと一緒に入るカードであり、Brainstormについては「プレイする必要がある」というのはまったく正しいから、みんながForce of Willもプレイする必要があると信じているだけだとしか思えない。(この迫力のない「キャントリップカード」が持つばかげた力についてよく知らない、あるいはこのカードの最適なプレイ方法に気づいていないなら、手前味噌だけどこのカードについて書いた記事を読むのをオススメするよ。)
(※訳注:AJ Sacherのブレストについての記事(拙訳)→http://radish.diarynote.jp/201208242219161460/)
ブレストや独楽を適切なシャッフル手段とともにデッキに入れることにより、正しくプレイすればマナスクリューやフラッドを繰り返さなくなることが実質保証される。つまり、何もできずに負けになるはずだったゲームの多くで、マジックをプレイできるようになるということだ。強力なカード選択能力のあるデッキと比べて、ゴブリンやマーフォーク、ズー等のようなデッキはかなり多くのゲームを自滅によって失う。
最近Drew Levinが、今のメタゲームでは相殺デッキはもっと能動的になろうとすべきだと話していた。僕もそれには同意だ。インディアナポリスのメタゲームが思っていたのと正反対になって受動的な相殺デッキが優勝したのは少し気まずいが、レガシーはそういうものだね。
僕は金曜の夜にDrewと少しテストプレイをして、彼のデッキの中でKnight of the Reliquaryが最悪で、Natural Orderは素晴らしいと主張した。しばらく彼に勝ち続けた後、彼は折れて僕に同意した。相殺デッキでは特殊地形はデッキに枠を作って入れるほど良いわけではなく、特殊地形を入れるスペースはない。特殊地形を一枚も入れないのであれば聖遺はユーティリティではない。つまりこの種のデッキでは聖遺はただ大きいだけのクリーチャーに過ぎず、レガシーのようなパワフルなフォーマットでそれではまったく力不足だ。Stifleなしで少々の不毛を入れたり1,2枚のHorizon Canopyを挿す程度では聖遺の価値は上がらない。
聖遺の騎士は時代に合っていない。
レガシーにおける聖遺のもともとの役割はタルモを乗り越えることだった。両プレイヤーのタルモがお見合いすれば、しばらく何も起こらなくなる。聖遺の騎士は時が来るまでじっと成長し、か弱いタルモを追い越し打ち倒す。このカードは均衡状態を打ち破る最良の手段だと考えられていたし、聖遺が活躍していた時代にはまさにその通りだった。しかしいくつかの理由によりその時代は終わった:
1. 多くのタルモデッキが教主を積むようになり、賛美によってタルモのお見合いが終わるのが早くなった。
2. 今ではタルモデッキに聖遺も入るようになり、結局同じ問題にぶつかるようになった。
3. 聖遺にはアグロ戦略を相手に役に立つテキストが書かれているわけではなく、バニラなファッティに払うマナとして3マナは重い。
4. 聖遺によってタルモを突破できたとしても、大祖始オーダーによって突破し返されてしまう。
5. 同様に、タルモを突破したいのであれば、なぜ最良の突破方法である大祖始オーダーを使わないのか?
とはいえ、相殺用のマナカーブで3マナ域を埋める強力なカードとして、あなたは他のクリーチャーデッキに強い聖遺を入れたくなることだろう。
入れるのはRhox War Monkだ。
もともとは聖遺のサブとして使われていたこのカードに正式に役割が与えられることになった。僕は最初RWMには懐疑的だったが、Drewは聖遺を減らしてRWMを試すとすぐに夢中になったようだった。もちろん彼が正しかった。これは聖遺のスロットの自然な進化になっている:タルモを上回ることは3マナスペルの仕事ではなくなったため、このスロットが果たすべき(「3マナであること」以外の)ただ一つの責任は「他のクリーチャーベースのデッキに回答すること」になった。ただそれだけを求めるならば、ダメージレースで最強の生物を入れるのが自然だ。
聖遺をMerrow Reejereyのタップや島渡りでかわしたり大量のゴブリンで押しつぶすようなダメージレース戦術をWar Monkは許さない。アタッカーを倒しながらライフを得ることにより大軍戦略の勝ち目をなくすことができ、このサイが魚をブロックするのを防がれたとしても、アタックするだけでひどい目に合わせることができる。RWMの絆魂にいくつか賛美が加わることによって相手がレースに勝つのは難しくなる。
RWMはタルモデッキに対しては聖遺よりも弱いが、こちらにはNatural Orderでタルモを突破するというまったく別のゲームプランがある。聖遺がひどいカードに成り下がってしまうマッチアップにおいても、このワルイWar Monkは次善のカードとして大きな価値を持ち続ける。ときには3/4はタルモに向かってアタックするのに十分なサイズになる――特にいくつかの賛美と合わさったとき、RWMはカードに書かれている通りの簡単にサイズ負けするクリーチャーではなくなる。完全無欠のハイドラアバターを降臨させるNatural Orderに捧げる生贄としてもRWMは完璧だ。さらにこれらに加えてRWMは青いカードであるため、大した仕事を期待できないマッチアップではForce of Willのピッチコストにすることができる。
聖遺を入れたデッキはForce of Willのためのブルーカウントが低くなってしまうという問題に悩まされ続けてきたが、それはもはや問題ではなくなる。警戒すべきなのは武装した聖なるサイの天敵であるGoblin Piledriverだけだ。
デッキを構築するときに考えるべきこととして他にあるのは、「それぞれが大きく2種類に分かれる3大アーキタイプに対して合理的なゲームプランを持っていることを確認する」ということだ。2種類に分かれる3大アーキタイプというのは、薬瓶デッキ(ゴブリンまたはマーフォーク)、相殺デッキ(タルモ型またはコントロール型)、コンボデッキ(速度重視または妨害耐性/安定性重視)のことだ。
各種対策カードがどのようにゲームプランに影響を与えるかを知っておくことが重要だ。
ゴブリンとマーフォークの2つはレガシーの最大勢力で、レガシー最強カードの一つであるAether Vialを最もうまく使う2つの方法だと言うこともできる。それぞれのデッキに特化した対策カードはたくさんあるが、両方に効くカードもいくつかある。
例えばPithing Needleは最高のカードの一つで、どちらに対してもVialやWastelandを指定でき、マーフォークに対してはMutavault(やUmezawa’s JitteやCoralhelm Commander)を指定でき、ゴブリンに対してはRishadan Port(やGoblin SharpshooterやSiege-Gang Commander)を指定できる。Firespoutもまあまあ良いが、薬瓶からのリングリーダー、Spell Pierce、Cursecatcher、Mutavaultなどにはあまり効果がなく、そこまで頼り切ることはできない。Grim Lavamancerはマーフォークにとっては打ち破るのがとても難しく、ゴブリンに対してもかなり効果的なカードだ。
適切な色のElemental BlastやHydro/Pyroblastはそれぞれのデッキに対してかなり効く。Engineered Plagueはゴブリンには素晴らしいが、マーフォークにはそこまで効果がないことも多い。MoatやDueling Groundsはゴブリンに対する手堅いプランだ。Llawan, Cephalid Empressはマーフォークへの対抗策で、Vial指定の針と合わせて相手を完全にロックすることができる。これは僕がインディアナポリスで多くの人に布教したプランで(上で述べたトップ8にも反映されている)、針は使える場面が多く、サイドボードのスロットをある程度汎用的にしておくことは重要なんだ。針でVialを指定することで、ゴブリンに対してBlue Elemental Blastも仕事をするようになる(BEBはほんのわずかにだけど、ほぼ常にHydroblastよりも間違いなく良いよ)。
相殺デッキの構築にはたくさんのバリエーションがあり、プレインズウォーカーやEnlightened Tutorパッケージを入れた純粋なコントロールタイプや、Drewのデッキや昔の聖遺の騎士を入れた構築のようなクリーチャーベースのタイプ、さらにNatural Orderが入っているバージョンも入っていないバージョンもあり、優勝したBen Wienburgのリストのようにタルモ型にFirespoutを入れてコントロール力を高めたタイプもある。
これら全てに共通しているのは相殺と独楽の強力な相互作用を何度も使うということだけだ。そのため、ここを叩くのが最優先になる。
このコールドスナップのエンチャントによるロックにゲーム1で対抗するために最もよく使われるのは、Aether Vialとカウンター呪文だ。サイド後にはこれらに加えて、非常に効果的で多くの場面で役に立つKrosan Gripが入る。序盤に多くのプレッシャーを場に出したり、相殺を合わせるのが難しいおかしなコストのスペルを使うことでもロックをかわすことができる。Qasali Pridemageも、ロックの前に場に滑りこんで相殺を脅かすだけでなく、次の相殺を引くまでの合間に無視のできないクロックとして対処を迫ることができる効果的な道具だ。
相殺デッキのバリエーションによる違いはどうかと言うと、生物ベースのタイプはクリーチャー除去の影響を受けやすく(想像通りだよね?)、コントロール型の構築は追加のKrosan Gripや軽いカウンターを苦手としている。いずれのタイプもマナ縛りやハンデスには弱いことが多い。
コンボデッキは2つに分類される:速いタイプと遅いタイプだ。ここで気をつけてほしいのは、Time SpiralやSneak Attack、僕のShow and Tell/Natural Orderデッキのような「遅い」タイプであっても安定して4,5ターンキルはしてくるということだ。速いタイプは最初の2ターンで殺そうとしてきて、妨害がなければ驚くほどの安定性でそれができるようになっている。
カウンターと手札破壊の2つは、そんな風にあっさり死ぬのを防ぐために広く使われている正しい方法だ。相殺もまた、どんなコンボデッキにとってもキツいカードだ。エムラに対するHumility、Empty the Warrensに対する爆薬、Goblin Charbelcherに対する針などのように、それぞれ異なるコンボデッキに刺さる特定のカードもある。Blue Elemental BlastはSneak AttackとBurning Wishに対してとても良い。Leyline of Sanctityはあまりプレイされていないカードだが、こちらを対象として何かしてくるコンボに対処したいときには本当に役に立ち、間違いなく考慮に値する。Mindbreak Trapはこちらが速いビートダウンでベルチャーを相手にしているとき以外にはそれほど効果的ではない。他のマッチアップではひいき目に見ても平凡なカードだ。
ここまでで触れていないTier 2のアーキタイプツリーがRock系列のデッキで、このカテゴリーには昔のナカティルを使ったズーが最もアグロな部類のデッキとして含まれる。Brad Nelsonをコロンバスの8位フィニッシュに導いたBrian Kowelの構築はほぼRockデッキと見ることができる。そしてDeath and Taxesの派生型のデッキも全てこのカテゴリーに分類される。このカテゴリーで最もコントロール寄りなのが、Pernicious Deed/Innocent Blood/Jace, the Mind Sculptorデッキだ。
このカテゴリーのデッキはどれも、十分にパワーのあるスペルを単純にキャストされるだけで負けてしまう。「勝つためには何か壊れたことをしなければならない」というルールにあなたが従っている限り、これらのデッキに対しては優位に立つことになるはずだ。完璧にフェアなプレイをすることが彼らの信条だからだ。そして、これらのデッキが環境に結構な数いるにもかかわらず上位にそれほど上がってこないのもこれが理由だ。
これらのデッキに対してこちらがフェアなプレイをしようとすれば、彼らは間違いなくこちらを粉砕してくるだろう。彼らが適切な土地とともに完璧に正しい順序でスペルを引き、なんとかうまくやる方法を見つけなければならない状況にすることが重要だ。
僕からの最後のアドバイスは、オシャレになりすぎるのをやめよう、ということになるだろう。あなたがはっきりしないことをするのを待ち構えている超強力なデッキたちがそこらじゅうにいる。
デッキに4,5マナのプレインズウォーカーを満載し、それらをキャストして使うのに十分な時間をSwords to Plowsharesによって稼げると考えている人に会ったことがある。レガシーはDazeやForce of Will、Spell Pierce、Aether Vial、そして安定して最序盤にこちらを殺してくるコンボがうようよいる世界だということを忘れてはいけない。
型破りな考えをするのは良いことだが、あなたのデッキが直面するであろう試練に対して準備しておく必要もある。
このオシャレ病は最新カードによって引き起こされる部分が大きい。新テゼレットがレガシーで良いかどうか3人から別々に聞かれたことがあった。彼らが見せてきたデッキリストでは、どう考えてもJace, the Mind Sculptorの方がかなり良かった。新テゼレットが悪いと言っているのではない――あるカードが新しくてエキサイティングだからといって、より良い選択肢が見えなくなってはマズイと言っている。
あなたがしたいことは何なのか、という点まで戻り、刺激的な宣伝ではなく個々のカードの持つメリットに基づいてカードを選べるようになる必要がある。
逆もある。そのカードが「普通」でないから、あるいはコミュニティでディスられているからという理由で、あるカードを選べなくなってしまう。僕がWall of Rootsを使うのを笑われなかったと思うかい?知るべきなのは、自分のカードが何をするか、それがデッキにとって何を意味するか、ゲームがどのように展開するか、といったことだけだ。
あなたの理論が強固で、あるカードが正しいか間違っているかを知っていれば、誇大広告やネガティブな奴らの言うことに左右されて間違った判断をすることはない。
今週はここまで。
昔のデッキに立ち戻り、それを使ってデッキ構築について学ぶことをもしみんなが好きなら、僕が過去に作ったレガシー以外のデッキを使って成功に繋がった理論を説明したり、失敗から学んだことについて喜んで記事にしようと思う。違う内容がいいなら、今2つの記事を執筆中だよ。フォーラムで教えてほしい。
読んでくれてありがとう。
-AJ Sacher
レガシーでのデッキ構築について。
2年前、新たなるファイレクシアがリリースされる少し前の文章です。
カードプールやメタは当時から変わっていますが考え方は今でも通用しそうだと思い、訳してみました。
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Deckbuilding Principles of Legacy
AJ SACHER
2011/2/22
http://www.starcitygames.com/magic/legacy/21182-Deckbuilding-Principles-of-Legacy.html
ここしばらく、レガシーは他とかなりの差をつけて僕のお気に入りのフォーマットだ。レガシーは極めて高いスキルを要求されるフォーマットで、イノベーションの余地が最も大きなフォーマットでもある。レガシーのトーナメントに参加するたび、僕はそれまで見たことのなかったものを毎回少なくとも1つは目にしている。同じことをエターナルでないフォーマットで言うことはできないだろう。
僕がデッキをデザインするとき常に気をつけているガイドラインとセオリーがいくつかあり、今日はその中のいくつかを共有しようと思う。特にレガシーに関するものを。
ある色の良いカードを大量にデッキに詰め込むだけでおしまい、というのでは明らかに不十分だ。戦えるデッキを作るには、デッキに何らかの能力と性格を与える必要がある。そんなの言うまでもないことだと思うかもしれない。しかし、「デザイナーがそう作ったから」ということしか存在理由がないデッキたちを僕はたしかに目にしてきた。
この記事で例として使おうと思っている2つのデッキはいずれもインディアナポリスでのレガシーオープンでトップ8に入ったものだ:1つはJosh Raydenのデッキで、これは僕がGPコロンバスのトップ32に入ったときに使ったデッキをアップデートしたものだ。もう1つはDrew Levinのデッキで、彼が2週間前に書いたCounterbalanceについての記事に載せていたデッキの改良版だ。
(※訳注:原文では本文からリンクが貼られています。
Josh Raydenのデッキ:http://www.starcitygames.com/magic/legacy/21170_Emrakuls_and_Progeneti_Top_8_at_SCG_Indy_with_Show_and_Tell.html
Drew Levinの記事:http://www.starcitygames.com/magic/legacy/21074_Counterbalance_A_Love_Story_From_Chicago_to_Columbus.html)
コロンバス用のデッキをデザインしたとき、僕はレガシーで最もパワフルなプレイのリストを作った。そしてその中のいくつかを同時に使いシナジーさせようと試みた。そのリストは例えば次のようなものだ:
1. イオナをリアニメートする。
2. 良いマナカーブを持つデッキが相殺と独楽を揃える。
3. 序盤にボブを解決させて守る。
4. 手札に生物を持ちつつ序盤にサバイバルを解決させて守る。
5. エムラをショーテルで出す。
6. Adデッキがライフを10以上残してAd Nauseamを解決させる。
7. Thopter FoundryとSword of the Meekを揃える。
8. ペインターと丸砥石かAlurenとImperial Recruiterによって即座に相手を倒す。
9. Natural Orderで大祖始を出す。
10. 神ジェイスを解決させて守る。
11. カウンターの乗った薬瓶をスタンバイさせる。
抜けはいくつかあるかもしれないが、これらは間違いなくプレイのTier 1になっていると思う。このリストは時とともに変わるもので、例えば以前はFlash&Protean Hulkは8番と4番に該当するプレイだったが今はリーガルではなくなった。
過去に僕がデザインしたデッキたちを見ると、これらのプレイのうちどんなに少なくとも2つは最終的に(そして十分に)搭載されることになっている。
僕のGPシカゴでのデッキは3,4,11番の原則にしたがった緑黒タッチ赤サバイバルデッキだった。
オーランドのSCGオープンでのデッキは2,7,10番を取り入れた青白Enlightened Tutorコントロールだった。
GPコロンバスでのデッキは5番と9番の要素を持っていた(さらにインディアナポリス用のアップデート版には10番がプラスされた)。
そしてカンサスシティ用のデッキは2,9,10番の能力を持っていた。
(※訳注:デッキリストへのリンク。
オーランドのデッキ:http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=32002
カンサスシティのデッキ:http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=36114)
とはいえ、これらの能力を可能な限り多くデッキに詰め込むことが大事なのではない。同時に成立可能な複数の攻撃方法を見つけ出し、デッキから無駄をなくすことが大切だ。Natural Order/Show and Tellデッキが成功したのは、それぞれのアーキタイプをサポートするカードがうまく共存できたためだ。
-Natural Orderのためのマナ生物はShow and Tellも加速する。
-Natural Orderのサーチ先を引いてしまったとき、Show and Tellで場に出すことができる。
-2つのコンボはいずれも特定のカードをなるべく早い段階で手に入れようとするため、ドロー操作はどちらにとっても重要になる。
-Natural Orderのための東屋とマナ生物は、エムラが相手の布告除去でやられるのを防ぐことができる。
-両コンボは特定のカードを素早く解決させることに依存しているため、0マナカウンターはどちらにとっても良い。
-マナ生物はDazeの代替コストを埋め合わせる。
-Noble Hierarch、キャントリップとフェッチの組み合わせ、そしてTropical Islandによって相手からはこちらが相殺デッキのように見えるため、手遅れになりやすい。
などなど。どうやって複数の要素をうまく共存させているのか、他のハイブリッドデッキについてもこれで半分ぐらいは理解できるようになったんじゃないだろうか。
レガシーでは本当にいろいろな角度からの攻撃を受けるので、フェアなプレイをするよりも何か壊れたプレイをする方がたいていは良い。これと同じ理屈で、あなたが使える攻撃の角度が増えるほど、相手があなたのアクションに対して正しい備えをすることは難しくなる。
「壊れたプレイをせよ」という原則からは離れるが、僕がデッキを構築したり、あるイベントで何を使うか決めたりするときに考慮することの一つとして、独楽やブレストのようなカード選択やドロー操作の能力がどの程度高いか、という観点がある。独楽もブレストもとても良いカードで、デッキに入れないためには複数のかなり良い理由が求められる。
レガシーではForce of Willをプレイする「必要」があり、さもなければ巨大なディスアドバンテージを背負うことになると考えている人がいる。それは単純に間違っている。実際、Force of Willがせいぜい「悪くない」カードでしかなく、サイドアウトされるマッチアップはとても多い。同じことはブレストや独楽には言えない。
Force of WillはほぼいつもBrainstormと一緒に入るカードであり、Brainstormについては「プレイする必要がある」というのはまったく正しいから、みんながForce of Willもプレイする必要があると信じているだけだとしか思えない。(この迫力のない「キャントリップカード」が持つばかげた力についてよく知らない、あるいはこのカードの最適なプレイ方法に気づいていないなら、手前味噌だけどこのカードについて書いた記事を読むのをオススメするよ。)
(※訳注:AJ Sacherのブレストについての記事(拙訳)→http://radish.diarynote.jp/201208242219161460/)
ブレストや独楽を適切なシャッフル手段とともにデッキに入れることにより、正しくプレイすればマナスクリューやフラッドを繰り返さなくなることが実質保証される。つまり、何もできずに負けになるはずだったゲームの多くで、マジックをプレイできるようになるということだ。強力なカード選択能力のあるデッキと比べて、ゴブリンやマーフォーク、ズー等のようなデッキはかなり多くのゲームを自滅によって失う。
最近Drew Levinが、今のメタゲームでは相殺デッキはもっと能動的になろうとすべきだと話していた。僕もそれには同意だ。インディアナポリスのメタゲームが思っていたのと正反対になって受動的な相殺デッキが優勝したのは少し気まずいが、レガシーはそういうものだね。
僕は金曜の夜にDrewと少しテストプレイをして、彼のデッキの中でKnight of the Reliquaryが最悪で、Natural Orderは素晴らしいと主張した。しばらく彼に勝ち続けた後、彼は折れて僕に同意した。相殺デッキでは特殊地形はデッキに枠を作って入れるほど良いわけではなく、特殊地形を入れるスペースはない。特殊地形を一枚も入れないのであれば聖遺はユーティリティではない。つまりこの種のデッキでは聖遺はただ大きいだけのクリーチャーに過ぎず、レガシーのようなパワフルなフォーマットでそれではまったく力不足だ。Stifleなしで少々の不毛を入れたり1,2枚のHorizon Canopyを挿す程度では聖遺の価値は上がらない。
聖遺の騎士は時代に合っていない。
レガシーにおける聖遺のもともとの役割はタルモを乗り越えることだった。両プレイヤーのタルモがお見合いすれば、しばらく何も起こらなくなる。聖遺の騎士は時が来るまでじっと成長し、か弱いタルモを追い越し打ち倒す。このカードは均衡状態を打ち破る最良の手段だと考えられていたし、聖遺が活躍していた時代にはまさにその通りだった。しかしいくつかの理由によりその時代は終わった:
1. 多くのタルモデッキが教主を積むようになり、賛美によってタルモのお見合いが終わるのが早くなった。
2. 今ではタルモデッキに聖遺も入るようになり、結局同じ問題にぶつかるようになった。
3. 聖遺にはアグロ戦略を相手に役に立つテキストが書かれているわけではなく、バニラなファッティに払うマナとして3マナは重い。
4. 聖遺によってタルモを突破できたとしても、大祖始オーダーによって突破し返されてしまう。
5. 同様に、タルモを突破したいのであれば、なぜ最良の突破方法である大祖始オーダーを使わないのか?
とはいえ、相殺用のマナカーブで3マナ域を埋める強力なカードとして、あなたは他のクリーチャーデッキに強い聖遺を入れたくなることだろう。
入れるのはRhox War Monkだ。
もともとは聖遺のサブとして使われていたこのカードに正式に役割が与えられることになった。僕は最初RWMには懐疑的だったが、Drewは聖遺を減らしてRWMを試すとすぐに夢中になったようだった。もちろん彼が正しかった。これは聖遺のスロットの自然な進化になっている:タルモを上回ることは3マナスペルの仕事ではなくなったため、このスロットが果たすべき(「3マナであること」以外の)ただ一つの責任は「他のクリーチャーベースのデッキに回答すること」になった。ただそれだけを求めるならば、ダメージレースで最強の生物を入れるのが自然だ。
聖遺をMerrow Reejereyのタップや島渡りでかわしたり大量のゴブリンで押しつぶすようなダメージレース戦術をWar Monkは許さない。アタッカーを倒しながらライフを得ることにより大軍戦略の勝ち目をなくすことができ、このサイが魚をブロックするのを防がれたとしても、アタックするだけでひどい目に合わせることができる。RWMの絆魂にいくつか賛美が加わることによって相手がレースに勝つのは難しくなる。
RWMはタルモデッキに対しては聖遺よりも弱いが、こちらにはNatural Orderでタルモを突破するというまったく別のゲームプランがある。聖遺がひどいカードに成り下がってしまうマッチアップにおいても、このワルイWar Monkは次善のカードとして大きな価値を持ち続ける。ときには3/4はタルモに向かってアタックするのに十分なサイズになる――特にいくつかの賛美と合わさったとき、RWMはカードに書かれている通りの簡単にサイズ負けするクリーチャーではなくなる。完全無欠のハイドラアバターを降臨させるNatural Orderに捧げる生贄としてもRWMは完璧だ。さらにこれらに加えてRWMは青いカードであるため、大した仕事を期待できないマッチアップではForce of Willのピッチコストにすることができる。
聖遺を入れたデッキはForce of Willのためのブルーカウントが低くなってしまうという問題に悩まされ続けてきたが、それはもはや問題ではなくなる。警戒すべきなのは武装した聖なるサイの天敵であるGoblin Piledriverだけだ。
デッキを構築するときに考えるべきこととして他にあるのは、「それぞれが大きく2種類に分かれる3大アーキタイプに対して合理的なゲームプランを持っていることを確認する」ということだ。2種類に分かれる3大アーキタイプというのは、薬瓶デッキ(ゴブリンまたはマーフォーク)、相殺デッキ(タルモ型またはコントロール型)、コンボデッキ(速度重視または妨害耐性/安定性重視)のことだ。
各種対策カードがどのようにゲームプランに影響を与えるかを知っておくことが重要だ。
ゴブリンとマーフォークの2つはレガシーの最大勢力で、レガシー最強カードの一つであるAether Vialを最もうまく使う2つの方法だと言うこともできる。それぞれのデッキに特化した対策カードはたくさんあるが、両方に効くカードもいくつかある。
例えばPithing Needleは最高のカードの一つで、どちらに対してもVialやWastelandを指定でき、マーフォークに対してはMutavault(やUmezawa’s JitteやCoralhelm Commander)を指定でき、ゴブリンに対してはRishadan Port(やGoblin SharpshooterやSiege-Gang Commander)を指定できる。Firespoutもまあまあ良いが、薬瓶からのリングリーダー、Spell Pierce、Cursecatcher、Mutavaultなどにはあまり効果がなく、そこまで頼り切ることはできない。Grim Lavamancerはマーフォークにとっては打ち破るのがとても難しく、ゴブリンに対してもかなり効果的なカードだ。
適切な色のElemental BlastやHydro/Pyroblastはそれぞれのデッキに対してかなり効く。Engineered Plagueはゴブリンには素晴らしいが、マーフォークにはそこまで効果がないことも多い。MoatやDueling Groundsはゴブリンに対する手堅いプランだ。Llawan, Cephalid Empressはマーフォークへの対抗策で、Vial指定の針と合わせて相手を完全にロックすることができる。これは僕がインディアナポリスで多くの人に布教したプランで(上で述べたトップ8にも反映されている)、針は使える場面が多く、サイドボードのスロットをある程度汎用的にしておくことは重要なんだ。針でVialを指定することで、ゴブリンに対してBlue Elemental Blastも仕事をするようになる(BEBはほんのわずかにだけど、ほぼ常にHydroblastよりも間違いなく良いよ)。
相殺デッキの構築にはたくさんのバリエーションがあり、プレインズウォーカーやEnlightened Tutorパッケージを入れた純粋なコントロールタイプや、Drewのデッキや昔の聖遺の騎士を入れた構築のようなクリーチャーベースのタイプ、さらにNatural Orderが入っているバージョンも入っていないバージョンもあり、優勝したBen Wienburgのリストのようにタルモ型にFirespoutを入れてコントロール力を高めたタイプもある。
これら全てに共通しているのは相殺と独楽の強力な相互作用を何度も使うということだけだ。そのため、ここを叩くのが最優先になる。
このコールドスナップのエンチャントによるロックにゲーム1で対抗するために最もよく使われるのは、Aether Vialとカウンター呪文だ。サイド後にはこれらに加えて、非常に効果的で多くの場面で役に立つKrosan Gripが入る。序盤に多くのプレッシャーを場に出したり、相殺を合わせるのが難しいおかしなコストのスペルを使うことでもロックをかわすことができる。Qasali Pridemageも、ロックの前に場に滑りこんで相殺を脅かすだけでなく、次の相殺を引くまでの合間に無視のできないクロックとして対処を迫ることができる効果的な道具だ。
相殺デッキのバリエーションによる違いはどうかと言うと、生物ベースのタイプはクリーチャー除去の影響を受けやすく(想像通りだよね?)、コントロール型の構築は追加のKrosan Gripや軽いカウンターを苦手としている。いずれのタイプもマナ縛りやハンデスには弱いことが多い。
コンボデッキは2つに分類される:速いタイプと遅いタイプだ。ここで気をつけてほしいのは、Time SpiralやSneak Attack、僕のShow and Tell/Natural Orderデッキのような「遅い」タイプであっても安定して4,5ターンキルはしてくるということだ。速いタイプは最初の2ターンで殺そうとしてきて、妨害がなければ驚くほどの安定性でそれができるようになっている。
カウンターと手札破壊の2つは、そんな風にあっさり死ぬのを防ぐために広く使われている正しい方法だ。相殺もまた、どんなコンボデッキにとってもキツいカードだ。エムラに対するHumility、Empty the Warrensに対する爆薬、Goblin Charbelcherに対する針などのように、それぞれ異なるコンボデッキに刺さる特定のカードもある。Blue Elemental BlastはSneak AttackとBurning Wishに対してとても良い。Leyline of Sanctityはあまりプレイされていないカードだが、こちらを対象として何かしてくるコンボに対処したいときには本当に役に立ち、間違いなく考慮に値する。Mindbreak Trapはこちらが速いビートダウンでベルチャーを相手にしているとき以外にはそれほど効果的ではない。他のマッチアップではひいき目に見ても平凡なカードだ。
ここまでで触れていないTier 2のアーキタイプツリーがRock系列のデッキで、このカテゴリーには昔のナカティルを使ったズーが最もアグロな部類のデッキとして含まれる。Brad Nelsonをコロンバスの8位フィニッシュに導いたBrian Kowelの構築はほぼRockデッキと見ることができる。そしてDeath and Taxesの派生型のデッキも全てこのカテゴリーに分類される。このカテゴリーで最もコントロール寄りなのが、Pernicious Deed/Innocent Blood/Jace, the Mind Sculptorデッキだ。
このカテゴリーのデッキはどれも、十分にパワーのあるスペルを単純にキャストされるだけで負けてしまう。「勝つためには何か壊れたことをしなければならない」というルールにあなたが従っている限り、これらのデッキに対しては優位に立つことになるはずだ。完璧にフェアなプレイをすることが彼らの信条だからだ。そして、これらのデッキが環境に結構な数いるにもかかわらず上位にそれほど上がってこないのもこれが理由だ。
これらのデッキに対してこちらがフェアなプレイをしようとすれば、彼らは間違いなくこちらを粉砕してくるだろう。彼らが適切な土地とともに完璧に正しい順序でスペルを引き、なんとかうまくやる方法を見つけなければならない状況にすることが重要だ。
僕からの最後のアドバイスは、オシャレになりすぎるのをやめよう、ということになるだろう。あなたがはっきりしないことをするのを待ち構えている超強力なデッキたちがそこらじゅうにいる。
デッキに4,5マナのプレインズウォーカーを満載し、それらをキャストして使うのに十分な時間をSwords to Plowsharesによって稼げると考えている人に会ったことがある。レガシーはDazeやForce of Will、Spell Pierce、Aether Vial、そして安定して最序盤にこちらを殺してくるコンボがうようよいる世界だということを忘れてはいけない。
型破りな考えをするのは良いことだが、あなたのデッキが直面するであろう試練に対して準備しておく必要もある。
このオシャレ病は最新カードによって引き起こされる部分が大きい。新テゼレットがレガシーで良いかどうか3人から別々に聞かれたことがあった。彼らが見せてきたデッキリストでは、どう考えてもJace, the Mind Sculptorの方がかなり良かった。新テゼレットが悪いと言っているのではない――あるカードが新しくてエキサイティングだからといって、より良い選択肢が見えなくなってはマズイと言っている。
あなたがしたいことは何なのか、という点まで戻り、刺激的な宣伝ではなく個々のカードの持つメリットに基づいてカードを選べるようになる必要がある。
逆もある。そのカードが「普通」でないから、あるいはコミュニティでディスられているからという理由で、あるカードを選べなくなってしまう。僕がWall of Rootsを使うのを笑われなかったと思うかい?知るべきなのは、自分のカードが何をするか、それがデッキにとって何を意味するか、ゲームがどのように展開するか、といったことだけだ。
あなたの理論が強固で、あるカードが正しいか間違っているかを知っていれば、誇大広告やネガティブな奴らの言うことに左右されて間違った判断をすることはない。
今週はここまで。
昔のデッキに立ち戻り、それを使ってデッキ構築について学ぶことをもしみんなが好きなら、僕が過去に作ったレガシー以外のデッキを使って成功に繋がった理論を説明したり、失敗から学んだことについて喜んで記事にしようと思う。違う内容がいいなら、今2つの記事を執筆中だよ。フォーラムで教えてほしい。
読んでくれてありがとう。
-AJ Sacher
ChannelFireballより。
土地の出し方、使い方。
目立ちにくい部分ですが、実はたくさんミスをしているところなのかもしれません。
年内はこれで最後の更新です。
それでは良いお年を。
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PV’s Playhouse―Learning to Play Lands
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
November 14, 2012
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-learning-to-play-lands/
こんにちは!
記事の前にまずはこの画像を見てください。このスクリーンショットは僕のラヴニカへの回帰ドラフトでの一幕です。まさにあなたのターンが始まったところ――まだ何もしていない状態です。どうプレイするか教えてください(とってもシンプルですよ)。
答えは出ましたか?よろしい。それじゃあ1ターン進めてみましょう。これが僕のしたプレイで、そこで起きた出来事です:
困ってしまいましたね?
あなたは僕が平地ではなく森を出す間違った判断をしたと言うかもしれません。それは形の上では正しいのですが、ここで起きたことを正確に表してはいません――僕はなんの判断もしなかったのです!
僕は土地をプレイしたくて、ただ1枚の土地を出しました。平地と森のどちらをプレイすべきかは考えておらず、つまり何も考えていなかったのです。
考えない――これは土地をプレイするときにありがちなことです。それで問題になることはあまりありません。だから僕らは考えないんです。しかし、これはしばしば僕らが気づかないとても微妙な形で問題になります。
あなたの土地を正しく出して使うこと――これが今日取り組みたい問題です。単純なトピックのように思えるかもしれません。しかし、もしあなたが自分が判断を下していることに気づいていないなら、その判断が単純かどうかは問題になりません。今回僕が示そうと思っているのは、一見なにかを判断しているようには見えない場面でも実は判断を下せるということです。
1枚目の土地をプレイする
最初の土地を出すことはゲームに2つの影響を与えます――続くターンにプレイ可能なカードを決め、そして対戦相手に情報を与えます。二つ目よりも一つ目の方がずっと大切です。例えば、もしWWを要求するカードがあなたのデッキにあるなら、たとえそれが手札になくてもとにかく平地を出すべきです。特にシールドデッキでは、デッキをプレイし始めたら自分の使っている色マナ2つ以上を要求するカードが何なのか、必ず確認する時間をとってください。来たる時に正しい土地を1ターン目にプレイできるようにするために。
正解が明らかでないこともあります。例えばズーで5色全てを使っていて、大量のフェッチが入っていて望みの組み合わせを持ってこられるとしましょう。このとき、何を持ってきたとしても4ターン目までに唱えられないスペルが出てくる可能性があります。この場合、1,2ターン先を見越す必要があります。2色土地がたくさん入ったデッキでの次の手札を想像してみましょう:
このような手札の場合、少し時間を使ってこれから何をしていくか考えることが絶対に必要です――頭を使わずにこのゲームをプレイすることはできません。土地でしくじれば大きな代償を支払うことになります。だからあらゆる行動の前にしっかり考えましょう。
この手札では3つの重要な条件があります:1ターン目にKird Apeをプレイできること、2ターン目に森があること、3ターン目に青白が出ること。手札にはまだ3枚目の土地はなく、関係ない色の土地を3枚目として引くかもしれません。山やBlood Crypt、Stomping Groundをドローしてもトラフトをキャストできるように、2ターン目に既にUWが出ているのが理想的なシナリオです。つまり、ここでフェッチする2枚の土地は青か白を出せるものが理想的ということになります。
幸い、それが可能です:まずArid MesaをサクってSteam Ventsを持ってきてKird Apeをプレイし、次にTarnをサクってTemple Gardenを手に入れてタルモをプレイします。
そう、これはおかしいですね。Scalding TarnでTemple Gardenをサーチすることはできません――白マナを諦めてStomping Groundをサーチするか、緑マナを諦めてSacred FoundryやHallowed Fountainをサーチするかのどちらかしかありません。こんなことをしていれば、自分の土地に十分な注意を払っていなかったせいでおそらく負けることになります。これがあなたの身に起きないようにしましょう。
さて、今度は同じ手札ですが土地が2枚ともScalding Tarnだった場合を想像してみましょう。この場合は判断が必要です――Stomping Groundの次にHallowed Fountainと持ってくると、3枚目の土地でトラフトがプレイできないかもしれないリスクを抱えることになります。あるいはSacred Foundry、Breeding Poolと持ってきた場合、Lightning Helixをプレイできない可能性が残ります。また、前者を選んだ場合は3枚目の土地としてBlood Cryptを持ってくるわけにはいかないため、フルパワーのTribal Flamesを4ターン目まで撃てないことになります。
このケースに正しい答えはありません――いま目の前にしているゲームで何をより重要だと考えるか、ジャッジする必要があります。これがあなたの下す判断だということを理解してください。1ターン目ですが、その後の試合全体に影響を与える判断です。
2つ目の要素――情報――は、相手があなたのデッキについてどの程度のことを既に知っているかに大きく依存します。もしゲーム2であれば隠しておくべきことはそれほどないでしょう。しかしゲーム1で、なおかつこちらが何をプレイしているか相手が知らないのであれば、どの土地を出すかによって相手の序盤のプレイに影響を与えることになります。
さっき、僕は友達がMOでブロック構築をプレイするのを見ていました。相手がタップアウトしてロッテスを出してきた場面で、彼は自分もタップアウトしてロッテスを出していくべきかどうか悩んでいました。僕は出さないべきだと主張しました。相手が2枚のクリーチャーを手札に持っていたら彼はかなりマズイ状況に陥るからです(彼は生物を持っていませんでした)。しかし彼は、相手はBlood Cryptを出してきたからラクドスデッキで、ラクドスは普通ゴルガリほどには多くのクリーチャーが入らないので相手はおそらく2枚の生物は持っていないだろう、と反論しました。
この事例ではBlood Cryptをプレイしたことが友達に意味のある情報を与えています(彼の反論が正しいかどうかではなく、彼が土地から得た情報を使っていることに注目してください)。
世界選手権2010の準決勝は、出された土地から得られる情報についての興味深い事例でした。この中のあるゲームで、Matignonは僕に対して序盤にTectonic Edgeをプレイしてきました。僕はCreeping Tar Pitを含むとても重い手札を抱えていて、彼のEdgeにSpreading Seasを貼りたくなりました。しかし問題がありました:海を貼ることで相手を助けてしまう可能性があったのです。他に良い土地があるのなら序盤にTectonic Edgeをさらす必要はどこにもありません。
このとき、彼の土地の選択は彼の手札について実に多くを語っています。
結局、僕は手札にある土地をどうしても失いたくなかったため、リスクを受け入れてSpreading Seasをプレイしました。そしてこれはやはりひどいミスでした(自覚していたとはいえ)。実のところ彼は青マナを必要としていたのです。
さて、この場面を別の視点から眺めてみましょう――もし彼の手札が全て土地だったらどうなるでしょう?
この場合でも彼は結局Tectonic Edgeをプレイしたはずです!必要もないのに彼がEdgeをさらすことはないだろうと僕が考えていることを彼は分かっています。そこでまずEdgeから出すことによって、ごく簡単に彼の手札がスペルで一杯だと僕に信じこませることができます。
島もEdgeもこのターンに使う予定がないときにEdgeを先に出すというのはとても小さなプレイですが、とても効果的に相手をミスリードするプレイでもあるのです。
立たせている土地はあなたの手札のショーケース
何かアクションしようとしている様子を見せつけたいなら、それをキャストするためのマナが必要だということはみんなが知っています。例えばあなたがUUを立たせていなければ相手は対抗呪文を恐れたりしないでしょう。あなたが赤マナを立てていなければ相手が稲妻を恐れることはないでしょう。つまり、もしあなたが何かを構えているように見せたいなら、正しいマナを立てておくことです。
しかし、みんながたびたび忘れがちなのはそれの逆のことです――あなたが何かをプレイしないということを見せつけたいなら、それを確実にキャスト不可能にすべきです。
なぜそんなことを相手に示すのか?あなたがそのカードかそれに似たカードを実際に持っている(そしてプレイしたくない)からです。
GPサンティアゴで面白い場面がありました。
最終的に優勝者となるIgorを相手にMartin Juzaがトップ8で戦っていました。IgorがBloodline Keeperをデッキに入れていることはみんなが知っていました(両面カードですからね)。Igorが4マナに届く直前のターン、MartinはFrightful Delusionを使えるマナを立ててエンドしました――血統の守り手を待ち構えて。
この場面でDelusionは完璧なカードでした。そんなに良いカードではないので多くの人が存在を忘れており、ブッパしてきたところを捕まえられることもあるカードです。
何が問題か?Martinは1UUを立てていたのです。それにより、彼はDelusionではなくDissipateを構えているように見えてしまっていました――Dissipateは通常Delusionよりもかなり良いカードで、しかも1UUという非常に特徴的なマナコストを持っています。彼の対戦相手はDissipateを恐れ、そのターンにBloodline Keeperをプレイしませんでした。
もし島の代わりに別の土地を出して、例えばUBBを立ててエンドしていれば相手はおそらく守り手をプレイしてきてそれをカウンターできただろう、と後にMartinは語っていました。僕もそれには同意で、狙い通りに進める大きなチャンスがあったと思います。
このエピソードでは、おそらくMartinは自分を大きく見せすぎたために負けています。もしここでMartinがDelusionを持っていなかったなら島をプレイするのは最高のプレイです。血統の守り手をどうしてもプレイされたくありませんから。
もう一つ別の例を。今度はGPフィラデルフィアのトップ8――中村修平 vs. LSVです。試合のある場面で、中村は是非プレイしたいKnightly Valorを持っていました。他にDispelが手札にあり、Valorをプレイしつつギルドメイジの能力かDispelを使えるマナがありました――ギルドメイジとDispelの両方は無理です。彼はDispelを構える方がギルドメイジより重要だと考えましたが、ギルドメイジを起動できるマナがあるのに起動しないということを一度やってしまうと、Luisを警戒させることになってしまいます。明らかに構えていると示すことになってしまうのです。たしかに彼はDispelを持っていますがそれを表に出したくない、これが問題です。
中村の答え?彼は5マナのKnightly Valorをプレイするためにあえて土地6枚をタップし、LuisのターンにDispelはプレイできるがギルドメイジは起動できないマナを残したのです。そうすることで彼はDispelを実質さらしてしまうことを回避しました。ギルドメイジを起動不可能にすることで、起動しないことに疑問を持たれないようにしたのです。*
*: 中村はその後ツイッターで、これは単なるタップミスでアクシデントだったと言っていました。Luisに何か他の選択肢があったかどうかも分かりません。僕の考えでは、中村はたとえDispelをさらすことになってもValorはプレイすべきです。他に道がありませんから。そして、たとえあれがアクシデントだったり、あるいは特にゲームに影響を与えていなかったとしても、やはりこれは土地のタップによって持っているものを悟らせないようにすることの重要さを示す興味深いエピソードです。
立たせたままにする土地には気をつけて
普段あなたはできるだけ多くの可能性を残すように土地を立たせているかもしれませんが、それが良くないこともあります。
Counterspellが手札にあると想像し、Tundraと島を立たせるか、島2枚を立たせるかを選んでください。もしTundraと島を立たせた場合、あなたはソープロも構えているように見せていることになります。しかしこれには代償が伴います――相手が不毛の大地を使ってきたらCounterspellをキャストできなくなってしまいます。Counterspellをキャストすることがとにかく重要なら、おそらくブラフのことは忘れて安全にプレイすべきでしょう。
モダンで、Tectonic Edgeが入っている可能性のある相手に対して青白デッキをプレイしているところを想像してください。あなたはHallowed Fountain、Seachrome Coast、Celestial Colonnade、島、平地を出しています。Path to Exileをプレイする必要のある状況です。
このとき、あなたはCryptic Commandを確実に撃つことは諦めなければなりません――あなたがどうプレイしたとしても、起きている土地を4枚まで減らしてしまうと相手は青コマのプレイを止めることが可能です。こちらの場に4枚の基本土地がないからです。
やはりここでも判断を下す必要があります。そして実は唯一の正解があります――Colonnadeをタップすべきです。
なぜか?ミシュランは相手が最も壊したい土地だからです。Colonnadeを立たせておいた場合、相手のやりたいこと全てをやらせてしまうことになります――彼はあなたの最高の土地を除去し、なおかつ青コマのプレイを止めることになります。Colonnadeをタップすることによって相手に選択を迫ることができます――そう、彼はこのターンの青コマプレイを止めることはできますが、その場合Tectonic Edgeを単なる2色土地に使って「不毛に」消費することになります。
土地を出そう!
僕が土地について言えることの中でも最も重要なことの一つは、とにかく出すべきだということです。プロフェッショナルのように土地を手札に持っておくべきだと考えてしまうことにより、多くの敗北が生まれています。ほとんどの場合、土地は手札ではなく場に出しておきたいというのが実際のところです。
これについては前に書いたことがあるのであまり深掘りするつもりはありませんが、手札に土地を持っておくことには3つの良い面があります:
・実際には何も持っていないときに、こちらが何か持っていると相手に考えさせることができる。
・ハンデスに対して他のカードを守ることができる。
・負けたときにマナフラッドのせいにすることが簡単にできる。もちろん土地が場にあってもそうすることはできますが、土地5枚の手札をテーブルに投げ出したときほどの効果は得られません。これにより、「見てよ、5ターン連続で土地を引いたんだ。これが君が勝った理由だよ」と自信を持って言うことができます。
まあそういうことです。上記以外の場合、土地はとにかく出すべきです。
多くの人が犯しているミスは上に書いた1点目を過大評価することです――相手は馬鹿ではありません。あなたが何もしていなければ、彼はあなたが何も持っていないことに気づきます。クリーチャーならプレイしているはずだ、除去ならプレイしているはずだ、カウンターなら撃ってきたはずだ――他に持っているとしたら何でしょう?2枚や3枚のカードを持っていても違いはありません。「全て土地ではないだろう」と彼が考えてくれたりはしません。こういう状況ではたいてい土地は出すべきで、特にドロースペルやギルドメイジがデッキに入っているならなおさらです。
フェッチの切り方、テイク2
フェッチランドについては章を設けて話そうと思います。というのも、フェッチは特殊だからです。
フェッチランドはいろいろな使われ方をします:
・色マナを見つける。
・デッキをシャッフルする。
・デッキを圧縮する。
・墓地を肥やす。
・上陸を誘発させる。
フェッチランドについての最大のアドバイスは、「切るな」ということです。必要でない限り、ですが。
僕が目にするミスのほとんどは早すぎるタイミングで――例えば必要な色マナが確定する前に――切ってしまうことです。Volcanic IslandとTropical Islandとフェッチランドを出している場面を想像してください。もしフェッチを切って2枚目のボルカを持ってきたら、相手はトロピを不毛してくるかもしれません。そうなると緑マナを出せなくなってしまいます。
フェッチを場に残しておけばこの状況を避けることができます。
特にレガシーでは、フェッチにはBrainstorm(または独楽)の後にシャッフルするというとても重要な役割があります。たとえブレストが手札になかったとしても、フェッチを切ることによるちっぽけなデッキ圧縮と比べればとてもとても高い確率でブレストを引くことになります(これについては後でもう少し書きます)。ですので、できるだけ長い間フェッチは場に残しておくべきです。
フェッチしたい土地を手札に持っていないか確認しよう!
フェッチを切ったあと、持ってこようとしていた土地がないことに気づくというのは人によってはけっこうやってしまうことです。僕も最近、プレイヤー選手権でやらかしてしまいました。Sacred Foundryを持ってこようとフェッチをサクったのですが、それをデッキに1枚も入れていなかったことを忘れていたんです。僕がそれまでにプレイしてきたどのズーにも1枚は入っていたので。
世界選手権2010のあるゲームで、僕は2枚の土地――Scalding Tarnと島――だけを残して他の土地をタップしていました。こちらのライフは6。そして対戦相手がタップアウトしてCruel Ultimatumをプレイしました。
僕はNegateを撃つためにフェッチを切りました――ところがデッキには島も山も残っていなかったのです。僕はクルーエルの解決を許したばかりでなく、その場で死ぬことになってしまいました。フェッチでライフが5になっていたので。
これら2つの事例はもっぱら僕の不注意から起きたことですが、それだけとも限りません。
例えば、僕らがモダンのドレッジをテストしている中で、フェッチを出してHedron Crabで3枚削り、それからフェッチを切るというプレイを誰かがしていました――はじめの3枚でBloodghastが落ちたときにすぐに場に戻せるのでこの順序でプレイしていたのです。しかしあるとき、誰かがフェッチで持ってこようとしていた土地をはじめの3枚で落としてしまったことがあり、それ以降僕らはある特定の土地が欲しいときにはCrabの誘発がスタックにあるうちにフェッチを切るようになりました。
デッキ圧縮は思っているほど役に立たない
フェッチランドに関する最も大きな勘違いの一つが、できる限りフェッチを切ってデッキを圧縮すべきだ、というものです。もちろんデッキ圧縮にはなります。しかしその効果が支払うライフに見合わないことも多々あるのです。僕は科学者ではありませんが、シンプルな数字をいくつか見てみることにしましょう:
あなたのデッキに45枚のカードが残っていて、4枚積んでいる特定のカードを引きたいとします。通常、1回のドローでそれを引く確率は8.89%(4/45)です。フェッチを1枚切った場合は9.09%(4/44)になります。
これはつまり、この状況が1000回あったとき、フェッチを切らない場合はそのうち89回、切った場合は91回で欲しいカードを引けることが期待される、ということです。違いはたったの2回です――1000回のうちの。
これら1000回全てにおいて、あなたは1点のダメージを受けなければなりません――欲しいカードを2回引くために。ここで、1点のダメージがどの程度重要なのか疑問に思うんじゃないでしょうか――1000回のうち2回以上、1ダメージによって負けることになると思いますか?
僕はこの問いに答えることができません。でも、デッキ圧縮の恩恵が実際どれだけ小さいか、正しくとらえる役には立ちますよね(まあ、いずれにせよ死ぬ状況ならやった方がマシなのですが)。
もちろん2枚以上カードを引ける場合の計算はもう少し複雑になり、フェッチによるデッキ圧縮の効果は多少良くなります。ここで大切なのはあらゆる状況での厳密なパーセンテージを求めることではありません――ほぼ間違いなく、デッキから1枚の土地を取り除くことはあなたが考えているほどの影響をゲームに与えず、1ライフ、あるいは必要なときにシャッフルしたり色を揃えたりするためにフェッチを残しておくことの方がより重要だということです。
自分ではデッキの濃度を高めたつもりでもそうなっていない場合がある、ということにも注意してください。これはPeer Through Depthsの入ったScapeshiftデッキでよく起こります。
Peerをプレイして4枚の土地(もしくは不要牌)をボトムに送った場面を想像してください。もし土地を引きたくないのであればボトムに送った4枚は既にデッキに入っていないようなものです。デッキに45枚残っていたとすると、(例えば12枚の)有効牌をあなたがドローする確率は12/41です。ここでシャッフルしてしまうと、土地を1枚取り除いたとしても確率は12/44に落ちてしまいます。フェッチを切るべきでないのはもちろん、例えばFarseekのキャストもしない方が良いでしょう。本当に追加の土地を有効活用できるのでなければ。
このケースでは5枚の土地をサーチしてはじめてデッキ中の脅威の濃度が高まることになります。
さて、今日はここまで。土地のプレイは一見簡単そうに見えて実は奥が深いということが分かってもらえたでしょうか。
楽しんでくれたら嬉しいです。また来週!
- PV
土地の出し方、使い方。
目立ちにくい部分ですが、実はたくさんミスをしているところなのかもしれません。
年内はこれで最後の更新です。
それでは良いお年を。
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PV’s Playhouse―Learning to Play Lands
Posted by Paulo Vitor Damo da Rosa
November 14, 2012
http://www.channelfireball.com/articles/pvs-playhouse-learning-to-play-lands/
こんにちは!
記事の前にまずはこの画像を見てください。このスクリーンショットは僕のラヴニカへの回帰ドラフトでの一幕です。まさにあなたのターンが始まったところ――まだ何もしていない状態です。どうプレイするか教えてください(とってもシンプルですよ)。
相手の場:
平地2枚、森1枚
相手の手札:
6枚
自分の場:
森1枚、平地1枚
自分の手札:
《トロスターニの裁き/Trostani’s Judgment》
《コロズダのギルド魔道士/Korozda Guildmage》
《平地/Plains》
《突然の衰微/Abrupt Decay》
《ゴルガリの魔鍵/Golgari Keyrune》
《騎士の勇気/Knightly Valor》
《空印のロック/Skymark Roc》
《森/Forest》
※訳注:画像は元記事を参照してください。
答えは出ましたか?よろしい。それじゃあ1ターン進めてみましょう。これが僕のしたプレイで、そこで起きた出来事です:
相手の場:
平地3枚(うち2枚タップ)、森1枚
相手の手札:
5枚
自分の場:
森2枚、平地1枚(Soul Titheを支払って3枚ともタップ)
《魂の税収/Soul Tithe》がエンチャントされた《ゴルガリの魔鍵/Golgari Keyrune》
自分の手札:
《トロスターニの裁き/Trostani’s Judgment》
《コロズダのギルド魔道士/Korozda Guildmage》
《平地/Plains》
《突然の衰微/Abrupt Decay》
《騎士の勇気/Knightly Valor》
《空印のロック/Skymark Roc》
《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter》
困ってしまいましたね?
あなたは僕が平地ではなく森を出す間違った判断をしたと言うかもしれません。それは形の上では正しいのですが、ここで起きたことを正確に表してはいません――僕はなんの判断もしなかったのです!
僕は土地をプレイしたくて、ただ1枚の土地を出しました。平地と森のどちらをプレイすべきかは考えておらず、つまり何も考えていなかったのです。
考えない――これは土地をプレイするときにありがちなことです。それで問題になることはあまりありません。だから僕らは考えないんです。しかし、これはしばしば僕らが気づかないとても微妙な形で問題になります。
あなたの土地を正しく出して使うこと――これが今日取り組みたい問題です。単純なトピックのように思えるかもしれません。しかし、もしあなたが自分が判断を下していることに気づいていないなら、その判断が単純かどうかは問題になりません。今回僕が示そうと思っているのは、一見なにかを判断しているようには見えない場面でも実は判断を下せるということです。
1枚目の土地をプレイする
最初の土地を出すことはゲームに2つの影響を与えます――続くターンにプレイ可能なカードを決め、そして対戦相手に情報を与えます。二つ目よりも一つ目の方がずっと大切です。例えば、もしWWを要求するカードがあなたのデッキにあるなら、たとえそれが手札になくてもとにかく平地を出すべきです。特にシールドデッキでは、デッキをプレイし始めたら自分の使っている色マナ2つ以上を要求するカードが何なのか、必ず確認する時間をとってください。来たる時に正しい土地を1ターン目にプレイできるようにするために。
正解が明らかでないこともあります。例えばズーで5色全てを使っていて、大量のフェッチが入っていて望みの組み合わせを持ってこられるとしましょう。このとき、何を持ってきたとしても4ターン目までに唱えられないスペルが出てくる可能性があります。この場合、1,2ターン先を見越す必要があります。2色土地がたくさん入ったデッキでの次の手札を想像してみましょう:
《密林の猿人/Kird Ape》
《稲妻のらせん/Lightning Helix》
《部族の炎/Tribal Flames》
《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
《乾燥台地/Arid Mesa》
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
このような手札の場合、少し時間を使ってこれから何をしていくか考えることが絶対に必要です――頭を使わずにこのゲームをプレイすることはできません。土地でしくじれば大きな代償を支払うことになります。だからあらゆる行動の前にしっかり考えましょう。
この手札では3つの重要な条件があります:1ターン目にKird Apeをプレイできること、2ターン目に森があること、3ターン目に青白が出ること。手札にはまだ3枚目の土地はなく、関係ない色の土地を3枚目として引くかもしれません。山やBlood Crypt、Stomping Groundをドローしてもトラフトをキャストできるように、2ターン目に既にUWが出ているのが理想的なシナリオです。つまり、ここでフェッチする2枚の土地は青か白を出せるものが理想的ということになります。
幸い、それが可能です:まずArid MesaをサクってSteam Ventsを持ってきてKird Apeをプレイし、次にTarnをサクってTemple Gardenを手に入れてタルモをプレイします。
そう、これはおかしいですね。Scalding TarnでTemple Gardenをサーチすることはできません――白マナを諦めてStomping Groundをサーチするか、緑マナを諦めてSacred FoundryやHallowed Fountainをサーチするかのどちらかしかありません。こんなことをしていれば、自分の土地に十分な注意を払っていなかったせいでおそらく負けることになります。これがあなたの身に起きないようにしましょう。
さて、今度は同じ手札ですが土地が2枚ともScalding Tarnだった場合を想像してみましょう。この場合は判断が必要です――Stomping Groundの次にHallowed Fountainと持ってくると、3枚目の土地でトラフトがプレイできないかもしれないリスクを抱えることになります。あるいはSacred Foundry、Breeding Poolと持ってきた場合、Lightning Helixをプレイできない可能性が残ります。また、前者を選んだ場合は3枚目の土地としてBlood Cryptを持ってくるわけにはいかないため、フルパワーのTribal Flamesを4ターン目まで撃てないことになります。
このケースに正しい答えはありません――いま目の前にしているゲームで何をより重要だと考えるか、ジャッジする必要があります。これがあなたの下す判断だということを理解してください。1ターン目ですが、その後の試合全体に影響を与える判断です。
2つ目の要素――情報――は、相手があなたのデッキについてどの程度のことを既に知っているかに大きく依存します。もしゲーム2であれば隠しておくべきことはそれほどないでしょう。しかしゲーム1で、なおかつこちらが何をプレイしているか相手が知らないのであれば、どの土地を出すかによって相手の序盤のプレイに影響を与えることになります。
さっき、僕は友達がMOでブロック構築をプレイするのを見ていました。相手がタップアウトしてロッテスを出してきた場面で、彼は自分もタップアウトしてロッテスを出していくべきかどうか悩んでいました。僕は出さないべきだと主張しました。相手が2枚のクリーチャーを手札に持っていたら彼はかなりマズイ状況に陥るからです(彼は生物を持っていませんでした)。しかし彼は、相手はBlood Cryptを出してきたからラクドスデッキで、ラクドスは普通ゴルガリほどには多くのクリーチャーが入らないので相手はおそらく2枚の生物は持っていないだろう、と反論しました。
この事例ではBlood Cryptをプレイしたことが友達に意味のある情報を与えています(彼の反論が正しいかどうかではなく、彼が土地から得た情報を使っていることに注目してください)。
世界選手権2010の準決勝は、出された土地から得られる情報についての興味深い事例でした。この中のあるゲームで、Matignonは僕に対して序盤にTectonic Edgeをプレイしてきました。僕はCreeping Tar Pitを含むとても重い手札を抱えていて、彼のEdgeにSpreading Seasを貼りたくなりました。しかし問題がありました:海を貼ることで相手を助けてしまう可能性があったのです。他に良い土地があるのなら序盤にTectonic Edgeをさらす必要はどこにもありません。
このとき、彼の土地の選択は彼の手札について実に多くを語っています。
結局、僕は手札にある土地をどうしても失いたくなかったため、リスクを受け入れてSpreading Seasをプレイしました。そしてこれはやはりひどいミスでした(自覚していたとはいえ)。実のところ彼は青マナを必要としていたのです。
さて、この場面を別の視点から眺めてみましょう――もし彼の手札が全て土地だったらどうなるでしょう?
この場合でも彼は結局Tectonic Edgeをプレイしたはずです!必要もないのに彼がEdgeをさらすことはないだろうと僕が考えていることを彼は分かっています。そこでまずEdgeから出すことによって、ごく簡単に彼の手札がスペルで一杯だと僕に信じこませることができます。
島もEdgeもこのターンに使う予定がないときにEdgeを先に出すというのはとても小さなプレイですが、とても効果的に相手をミスリードするプレイでもあるのです。
立たせている土地はあなたの手札のショーケース
何かアクションしようとしている様子を見せつけたいなら、それをキャストするためのマナが必要だということはみんなが知っています。例えばあなたがUUを立たせていなければ相手は対抗呪文を恐れたりしないでしょう。あなたが赤マナを立てていなければ相手が稲妻を恐れることはないでしょう。つまり、もしあなたが何かを構えているように見せたいなら、正しいマナを立てておくことです。
しかし、みんながたびたび忘れがちなのはそれの逆のことです――あなたが何かをプレイしないということを見せつけたいなら、それを確実にキャスト不可能にすべきです。
なぜそんなことを相手に示すのか?あなたがそのカードかそれに似たカードを実際に持っている(そしてプレイしたくない)からです。
GPサンティアゴで面白い場面がありました。
最終的に優勝者となるIgorを相手にMartin Juzaがトップ8で戦っていました。IgorがBloodline Keeperをデッキに入れていることはみんなが知っていました(両面カードですからね)。Igorが4マナに届く直前のターン、MartinはFrightful Delusionを使えるマナを立ててエンドしました――血統の守り手を待ち構えて。
この場面でDelusionは完璧なカードでした。そんなに良いカードではないので多くの人が存在を忘れており、ブッパしてきたところを捕まえられることもあるカードです。
何が問題か?Martinは1UUを立てていたのです。それにより、彼はDelusionではなくDissipateを構えているように見えてしまっていました――Dissipateは通常Delusionよりもかなり良いカードで、しかも1UUという非常に特徴的なマナコストを持っています。彼の対戦相手はDissipateを恐れ、そのターンにBloodline Keeperをプレイしませんでした。
もし島の代わりに別の土地を出して、例えばUBBを立ててエンドしていれば相手はおそらく守り手をプレイしてきてそれをカウンターできただろう、と後にMartinは語っていました。僕もそれには同意で、狙い通りに進める大きなチャンスがあったと思います。
このエピソードでは、おそらくMartinは自分を大きく見せすぎたために負けています。もしここでMartinがDelusionを持っていなかったなら島をプレイするのは最高のプレイです。血統の守り手をどうしてもプレイされたくありませんから。
もう一つ別の例を。今度はGPフィラデルフィアのトップ8――中村修平 vs. LSVです。試合のある場面で、中村は是非プレイしたいKnightly Valorを持っていました。他にDispelが手札にあり、Valorをプレイしつつギルドメイジの能力かDispelを使えるマナがありました――ギルドメイジとDispelの両方は無理です。彼はDispelを構える方がギルドメイジより重要だと考えましたが、ギルドメイジを起動できるマナがあるのに起動しないということを一度やってしまうと、Luisを警戒させることになってしまいます。明らかに構えていると示すことになってしまうのです。たしかに彼はDispelを持っていますがそれを表に出したくない、これが問題です。
中村の答え?彼は5マナのKnightly Valorをプレイするためにあえて土地6枚をタップし、LuisのターンにDispelはプレイできるがギルドメイジは起動できないマナを残したのです。そうすることで彼はDispelを実質さらしてしまうことを回避しました。ギルドメイジを起動不可能にすることで、起動しないことに疑問を持たれないようにしたのです。*
*: 中村はその後ツイッターで、これは単なるタップミスでアクシデントだったと言っていました。Luisに何か他の選択肢があったかどうかも分かりません。僕の考えでは、中村はたとえDispelをさらすことになってもValorはプレイすべきです。他に道がありませんから。そして、たとえあれがアクシデントだったり、あるいは特にゲームに影響を与えていなかったとしても、やはりこれは土地のタップによって持っているものを悟らせないようにすることの重要さを示す興味深いエピソードです。
立たせたままにする土地には気をつけて
普段あなたはできるだけ多くの可能性を残すように土地を立たせているかもしれませんが、それが良くないこともあります。
Counterspellが手札にあると想像し、Tundraと島を立たせるか、島2枚を立たせるかを選んでください。もしTundraと島を立たせた場合、あなたはソープロも構えているように見せていることになります。しかしこれには代償が伴います――相手が不毛の大地を使ってきたらCounterspellをキャストできなくなってしまいます。Counterspellをキャストすることがとにかく重要なら、おそらくブラフのことは忘れて安全にプレイすべきでしょう。
モダンで、Tectonic Edgeが入っている可能性のある相手に対して青白デッキをプレイしているところを想像してください。あなたはHallowed Fountain、Seachrome Coast、Celestial Colonnade、島、平地を出しています。Path to Exileをプレイする必要のある状況です。
このとき、あなたはCryptic Commandを確実に撃つことは諦めなければなりません――あなたがどうプレイしたとしても、起きている土地を4枚まで減らしてしまうと相手は青コマのプレイを止めることが可能です。こちらの場に4枚の基本土地がないからです。
やはりここでも判断を下す必要があります。そして実は唯一の正解があります――Colonnadeをタップすべきです。
なぜか?ミシュランは相手が最も壊したい土地だからです。Colonnadeを立たせておいた場合、相手のやりたいこと全てをやらせてしまうことになります――彼はあなたの最高の土地を除去し、なおかつ青コマのプレイを止めることになります。Colonnadeをタップすることによって相手に選択を迫ることができます――そう、彼はこのターンの青コマプレイを止めることはできますが、その場合Tectonic Edgeを単なる2色土地に使って「不毛に」消費することになります。
土地を出そう!
僕が土地について言えることの中でも最も重要なことの一つは、とにかく出すべきだということです。プロフェッショナルのように土地を手札に持っておくべきだと考えてしまうことにより、多くの敗北が生まれています。ほとんどの場合、土地は手札ではなく場に出しておきたいというのが実際のところです。
これについては前に書いたことがあるのであまり深掘りするつもりはありませんが、手札に土地を持っておくことには3つの良い面があります:
・実際には何も持っていないときに、こちらが何か持っていると相手に考えさせることができる。
・ハンデスに対して他のカードを守ることができる。
・負けたときにマナフラッドのせいにすることが簡単にできる。もちろん土地が場にあってもそうすることはできますが、土地5枚の手札をテーブルに投げ出したときほどの効果は得られません。これにより、「見てよ、5ターン連続で土地を引いたんだ。これが君が勝った理由だよ」と自信を持って言うことができます。
まあそういうことです。上記以外の場合、土地はとにかく出すべきです。
多くの人が犯しているミスは上に書いた1点目を過大評価することです――相手は馬鹿ではありません。あなたが何もしていなければ、彼はあなたが何も持っていないことに気づきます。クリーチャーならプレイしているはずだ、除去ならプレイしているはずだ、カウンターなら撃ってきたはずだ――他に持っているとしたら何でしょう?2枚や3枚のカードを持っていても違いはありません。「全て土地ではないだろう」と彼が考えてくれたりはしません。こういう状況ではたいてい土地は出すべきで、特にドロースペルやギルドメイジがデッキに入っているならなおさらです。
フェッチの切り方、テイク2
フェッチランドについては章を設けて話そうと思います。というのも、フェッチは特殊だからです。
フェッチランドはいろいろな使われ方をします:
・色マナを見つける。
・デッキをシャッフルする。
・デッキを圧縮する。
・墓地を肥やす。
・上陸を誘発させる。
フェッチランドについての最大のアドバイスは、「切るな」ということです。必要でない限り、ですが。
僕が目にするミスのほとんどは早すぎるタイミングで――例えば必要な色マナが確定する前に――切ってしまうことです。Volcanic IslandとTropical Islandとフェッチランドを出している場面を想像してください。もしフェッチを切って2枚目のボルカを持ってきたら、相手はトロピを不毛してくるかもしれません。そうなると緑マナを出せなくなってしまいます。
フェッチを場に残しておけばこの状況を避けることができます。
特にレガシーでは、フェッチにはBrainstorm(または独楽)の後にシャッフルするというとても重要な役割があります。たとえブレストが手札になかったとしても、フェッチを切ることによるちっぽけなデッキ圧縮と比べればとてもとても高い確率でブレストを引くことになります(これについては後でもう少し書きます)。ですので、できるだけ長い間フェッチは場に残しておくべきです。
フェッチしたい土地を手札に持っていないか確認しよう!
フェッチを切ったあと、持ってこようとしていた土地がないことに気づくというのは人によってはけっこうやってしまうことです。僕も最近、プレイヤー選手権でやらかしてしまいました。Sacred Foundryを持ってこようとフェッチをサクったのですが、それをデッキに1枚も入れていなかったことを忘れていたんです。僕がそれまでにプレイしてきたどのズーにも1枚は入っていたので。
世界選手権2010のあるゲームで、僕は2枚の土地――Scalding Tarnと島――だけを残して他の土地をタップしていました。こちらのライフは6。そして対戦相手がタップアウトしてCruel Ultimatumをプレイしました。
僕はNegateを撃つためにフェッチを切りました――ところがデッキには島も山も残っていなかったのです。僕はクルーエルの解決を許したばかりでなく、その場で死ぬことになってしまいました。フェッチでライフが5になっていたので。
これら2つの事例はもっぱら僕の不注意から起きたことですが、それだけとも限りません。
例えば、僕らがモダンのドレッジをテストしている中で、フェッチを出してHedron Crabで3枚削り、それからフェッチを切るというプレイを誰かがしていました――はじめの3枚でBloodghastが落ちたときにすぐに場に戻せるのでこの順序でプレイしていたのです。しかしあるとき、誰かがフェッチで持ってこようとしていた土地をはじめの3枚で落としてしまったことがあり、それ以降僕らはある特定の土地が欲しいときにはCrabの誘発がスタックにあるうちにフェッチを切るようになりました。
デッキ圧縮は思っているほど役に立たない
フェッチランドに関する最も大きな勘違いの一つが、できる限りフェッチを切ってデッキを圧縮すべきだ、というものです。もちろんデッキ圧縮にはなります。しかしその効果が支払うライフに見合わないことも多々あるのです。僕は科学者ではありませんが、シンプルな数字をいくつか見てみることにしましょう:
あなたのデッキに45枚のカードが残っていて、4枚積んでいる特定のカードを引きたいとします。通常、1回のドローでそれを引く確率は8.89%(4/45)です。フェッチを1枚切った場合は9.09%(4/44)になります。
これはつまり、この状況が1000回あったとき、フェッチを切らない場合はそのうち89回、切った場合は91回で欲しいカードを引けることが期待される、ということです。違いはたったの2回です――1000回のうちの。
これら1000回全てにおいて、あなたは1点のダメージを受けなければなりません――欲しいカードを2回引くために。ここで、1点のダメージがどの程度重要なのか疑問に思うんじゃないでしょうか――1000回のうち2回以上、1ダメージによって負けることになると思いますか?
僕はこの問いに答えることができません。でも、デッキ圧縮の恩恵が実際どれだけ小さいか、正しくとらえる役には立ちますよね(まあ、いずれにせよ死ぬ状況ならやった方がマシなのですが)。
もちろん2枚以上カードを引ける場合の計算はもう少し複雑になり、フェッチによるデッキ圧縮の効果は多少良くなります。ここで大切なのはあらゆる状況での厳密なパーセンテージを求めることではありません――ほぼ間違いなく、デッキから1枚の土地を取り除くことはあなたが考えているほどの影響をゲームに与えず、1ライフ、あるいは必要なときにシャッフルしたり色を揃えたりするためにフェッチを残しておくことの方がより重要だということです。
自分ではデッキの濃度を高めたつもりでもそうなっていない場合がある、ということにも注意してください。これはPeer Through Depthsの入ったScapeshiftデッキでよく起こります。
Peerをプレイして4枚の土地(もしくは不要牌)をボトムに送った場面を想像してください。もし土地を引きたくないのであればボトムに送った4枚は既にデッキに入っていないようなものです。デッキに45枚残っていたとすると、(例えば12枚の)有効牌をあなたがドローする確率は12/41です。ここでシャッフルしてしまうと、土地を1枚取り除いたとしても確率は12/44に落ちてしまいます。フェッチを切るべきでないのはもちろん、例えばFarseekのキャストもしない方が良いでしょう。本当に追加の土地を有効活用できるのでなければ。
このケースでは5枚の土地をサーチしてはじめてデッキ中の脅威の濃度が高まることになります。
さて、今日はここまで。土地のプレイは一見簡単そうに見えて実は奥が深いということが分かってもらえたでしょうか。
楽しんでくれたら嬉しいです。また来週!
- PV
【翻訳】Rocking Junk―Why You Do Not Need to Play Blue to Win in Legacy - Matt Pavlic
2012年12月20日 翻訳(レガシー) コメント (14)Eternal Centralより。
RtR後のJunkの解説。
豪華なリストとは裏腹に繊細な調整が必要なデッキで、構築過程は勉強になりました。
"There are no wrong threats, only wrong answers"の問題を衰微が軽くしているのですね。
※12/20 23:50追記
デッキリストのMaze of Ithが抜けていたのを修正しました。
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Rocking Junk―Why You Do Not Need to Play Blue to Win in Legacy
Written on DECEMBER 11, 2012 AT 3:15 PM
by MATT PAVLIC
http://www.eternalcentral.com/?p=3385
ここ2年かけて、レガシーには青への対抗手段が少しずつ増えてきている。
青は呪文を打ち消すことができ、多くのカードを引くことができ、ドローを操作することができる。他の色にはこれらを青のようにうまくこなすことはできないけれど、恐れることはない。レガシーで勝利を収めるのにブレスト、ウィル、ジェイスを使わなきゃいけないなんてことはないんだ。
最近の結果を見れば分かるように、多くのトーナメントのトップ8はいろんなタイプのデッキにあふれていて、そこには青いカードが入っていないデッキも含まれている。レガシーには驚くほどの多様性があり、たくさんのイノベーションがあり、手柄を上げるチャンスがいくらでも転がっている。近頃はマーベリックとRUGデルバーと奇跡の3つが最重要だと多くの人が言っているけど、結果はそうなっていない。
最近、僕はシアトルでのSCGレガシーオープンでウィル、ブレスト、カウンターの入っていないデッキを使って2位に入った。この上位フィニッシュは、レガシーに存在し得る、そして成功し得る幅広い可能性の一例にすぎない。
レガシーで勝つために青を使う必要がないのはなぜなのか、それを理解する助けとなるように僕が使ったデッキBWG Junk(BWG Rockという人もいるね)のデザイン過程をお届けしようと思う。
それじゃあリストを見てみようか。
BWG Junk, 2nd Place SCG Legacy Open Seattle 11-18-2012, by Matt Pavlic
[Business] (39)
4 《闇の腹心/Dark Confidant》
4 《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》
3 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
3 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
3 《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
2 《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
2 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
2 《森の知恵/Sylvan Library》
1 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》
1 《Maze of Ith》
[Mana Sources] (22)
3 《不毛の大地/Wasteland》
1 《Karakas》
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
3 《湿地の干潟/Marsh Flats》
1 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
3 《Bayou》
2 《Scrubland》
1 《Savannah》
1 《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》
1 《沼/Swamp》
1 《森/Forest》
1 《平地/Plains》
[Sideboard] (15)
3 《Hymn to Tourach》
2 《破滅的な行為/Pernicious Deed》
1 《ウルヴェンワルドの足跡追い/Ulvenwald Tracker》
1 《美徳の喪失/Virtue’s Ruin》
1 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
2 《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
2 《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
Junkはどんなデッキか
そもそもJunkとは何者で、なぜJunkをプレイすべきなんだろうか?
Junkは、まさにその本質からミッドレンジデッキで、アグロとコントロール両方の要素を持っている。Junkのゲームプランは大量の除去でボードをコントロールし、事前のハンデスによって脅威を守ることだ。そして邪魔者がいなくなったところで、大きく、コストパフォーマンスが高く、ボードにいる他のクリーチャーにサイズ勝ちする脅威を出しつつボードコントロールを続ける。JunkはRUGのような1体のクリーチャーで勝利を掴みとるデッキとは違う。2,3体のファッティを出し、前もって撃っておいたハンデスによってカウンターを使わずに守る。
Junkは最初の4ターンの間に相手を倒すようなデッキではなく、ガチガチのコントロールデッキが輝くようなとても長いゲームをするわけでもない。最も力を発揮するのは中盤戦だ。序盤の妨害が中盤戦でのアドバンテージを創り出し、コストパフォーマンスの高い脅威がライフ差を詰める。
だけど疑問が残るね:なぜJunkを使うべきなんだろう?今のレガシーのメタでJunkを使うことのメリットは何だろう?
「青だけが勝てる状況」の突然の衰微
これらの疑問への答えは、ラヴニカへの回帰からJunkの武器庫に新しく加わった2枚のカード、Abrupt DecayとDeathrite Shamanにある。
回答カードを満載し、相手の提示した問いに正しく答えることで勝利するデッキがいつも抱えることになる問題にJunkも悩まされていた。そのとき提示された一つの脅威への正しい回答を見つけられなかった場合、あっさり死んでしまうんだ。ブレストやポンダーの入った青デッキがやるようにはドロー操作やカード選択をすることはできない。
Abrupt Decayは実質的にほぼ万能な回答であり、この窮状を打開してくれる。衰微はただ回答であるだけでなく、打ち消されない回答だ。Maelstrom Pulse、Vindicate、Swords to Plowsharesはどれもコストパフォーマンスの高い強力なカードだけど、ゲームの転機となる重要な場面でこれらのカードでウィル、ピアス、デイズ、カンスペ、あるいは相殺独楽に突っ込むのはまったく良くない。必要な回答はこちらのライフをじりじり食いつぶしているデルバーへの除去かもしれないけど、奴を農場送りにする企ては正しい道具を持っていなければ実行できない。
あらゆる仕事には専用の道具がある。そしてAbrupt Decayは期待を裏切らない本当に素晴らしいオールインワンツールなんだってことが分かった。限定的なVindicateという枠を超えて、Abrupt Decayはカウンターもされない。ゲームの大事な場面でキーとなる除去を普通は簡単にカウンターできるRUGデルバーに対してJunkが有利になるポイントはここだ。Abrupt Decayは引いたらすぐに問題への解決策になり、コントロールプレイヤーが握っているカウンター呪文を否定する。
Abrupt Decay以前、青白奇跡を相手にしたときは簡単に相殺でロックされてしまう危険があった。彼らのマナカーブが0~2を主眼に構成されていたためだ。最近の奇跡デッキには改良が加えられ、相殺用のマナカーブを0~5に伸ばした構築が行われている。重要なのは3マナが濃くなっていることだ(4~6枚入っている)。これはこちらのVindicateやKnight of the Reliquaryをロックするのに重要なマナ域だ。
相殺を衰微で割ることにより、Junkは高効率な脅威を展開して速やかにゲームを終わらせる状況を相手に突きつけることがより簡単にできるようになる。これはマーベリックがやるような、小型の生物を横に並べて脅威にしている状況とはだいぶ違う――それだとTerminusやEngineered Explosivesを持つ奇跡の思う壺だ。4ターン以内にゲームを終わらせる1体の脅威を使うことにより、彼らはTerminusを無駄遣いするか、除去を見つけるか、Entreat the Angelsやジェイスのようなこちらをさらに上回る脅威を見つけるかのいずれかをしなきゃならなくなる。
ここでAbrupt Decayに戻ろう。一番大切なところだ。あなたがハンマーだとしたとき、あらゆる問題が釘になるんだ。Abrupt Decayというハンマーにとって、今のところレガシーで出くわすほぼ全ての問題が釘になる。十手?戦闘中に割ってしまおう。森知恵にまくられる?壊してしまおう。相殺にカウンターされていいとこなし?破壊しよう。聖遺にマナベースをやられる?恐れず殺そう。
ポイントは、レガシーで直面する問題のほとんどは3マナ以下の土地でないパーマネントで構成されているということだ。ジェイス、謙虚、Moat、Smokestack、The Abyss、Nether Void、エルズペスやガラクなどのコントロールデッキのボムだけは衰微で対処できない。しかし、あらゆる3マナ以下の土地でないパーマネントに対処できるということは、Vindicateやパルス、ソープロなどの別々の働きをする除去をどう組み合わせるかという悩みから解放されるということなんだ。有効な場面が限定されているカードを減らし、Abrupt Decayを入れよう。衰微は何の疑いも心配もなく、以下のカードたちを壊せる:
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》
《闇の腹心/Dark Confidant》
《ルーンの母/Mother of Runes》
《貴族の教主/Noble Hierarch》
《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
《相殺/Counterbalance》
《忘却の輪/Oblivion Ring》
《拘留の宝球/Detention Sphere》
《森の知恵/Sylvan Library》
《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
《なんとかとかんとかの剣/Sword of X and Y》
《動く死体/Animate Dead》
《アトランティスの王/Lord of Atlantis》
《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
《頭蓋囲い/Cranial Plating》
《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》
《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
《悪意の大梟/Baleful Strix》
《ヴィダルケンの枷/Vedalken Shackles》
《安らかなる眠り/Rest in Peace》
《エネルギー・フィールド/Energy Field》
《絵描きの召使い/Painter’s Servant》
《丸砥石/Grindstone》
《破滅的な行為/Pernicious Deed》
《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》
《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
このリストはかなり先まで続くけど、よく出くわして、かつ悩まされたくないものはだいたいカバーできてるんじゃないかな。
Abrupt Decayは問題が何かを気にしない。たった2つのルールがあるだけだ:土地でないこと、そして(女でも子供でもOKだけど)4マナ以上のパーマネントではないこと。
死儀礼のシャーマン
2つ目はDeathrite Shamanだ。僕はいろんなところで記事を読み、シャーマンがモダンで素晴らしいという噂と結果を目にしていた。問題は、レガシーはモダンではないということだ。死儀礼にははじめ疑問を持っていた。モダンで素晴らしいカードが必ずしもレガシーでも価値があるとは限らないからね。みんながシャーマンを「考えるまでもなく4枚」と言ったけど、僕は疑っていた。考えるまでもなく4枚、というフレーズに値するカードはほとんどない。Swords to PlowsharesやBrainstorm、Mishra’s Workshop、それかみんなが禁止されるべきだと言うカードや良すぎて既に禁止されたカードぐらいだろう。
僕はメインデッキからいくつかカードを抜いてシャーマンをテストし始めた。僕の疑問は2つの要素からきていた。一つ、Junkにはマナ生物が必要か?二つ、死儀礼の能力にはデッキに入れるほどの価値があるか?
一つ目の疑問には通常はあきらかにノーだと言える。過去2年間、僕も他のみんなもMox DiamondやBirds of Paradise、Noble HierarchはJunkを一段強くするための答えだと褒めちぎっていた。「1ターン目Hymn to Tourach」という神話は無視するには魅力的すぎて、多くの人がその華やかなプレイで友達に何度もドヤ顔するためにカードディスアドバンテージを必ず伴うMox Diamondをプレイし始めた。もちろん1ターン目のヒム、ボブ、石鍛冶や複数回行動は素晴らしい。でも、それでゴールに到達というわけじゃない。Junkは22~24枚の土地を積んでいて、2~5枚はマナを出す以外の用途の土地になっている。不必要に土地を捨てれば、1ターン目にヒムは撃てるかもしれないけど2~4ターン目に失速して負けることになる。
個人的には、今のレガシーにおいてただちにカードディスアドバンテージに繋がるカードをプレイするのはゲーム終盤においても価値があるとは思えない。どのマナ加速にもそれぞれ副作用があり、デッキに入れる努力に見合う効果が得られなくなっていた。
この状況は、マナを安定させるとともに必要なときにはユーティリティクリーチャーにもなることができるDeathrite Shamanの登場によって変わった。死儀礼はマナ生物からユーティリティ生物に変わる反転カードみたいなもので、これはJunkがマナ生物に対して求めてやまなかったことだ。それぞれの能力がなぜ黒白緑ミッドレンジデッキにとって大きな一歩になるのかを見てみよう。
両者の墓地から土地を追放する能力は、ただ色を安定させてマナ加速するだけでなく、Knight of the Reliquaryのような相手の脅威を小さくすることにも繋がる。相手の土地を追放することでマナ加速をするとともにその後の戦闘で優位に立つことができる。
ロームを主軸にしたデッキ、あるいはただつよカードとして単にロームを入れているデッキは自分のカードから得られる価値が小さくなる。これはなかなか良いよ。レガシー全体で見ても使っている人は少ないけど、43 Landsにはドレッジやリアニのようにローム以外にも対処すべきカードが入っている。この能力で出るマナが必要ないときでも、単純にヤバい土地をどこかにやってしまえるだけでも意味がある。
このマナを出す能力はふつう最初の3,4ターンの間に重要になることが分かった。そこから先は残り2つのタップ能力に移ることになる。
インスタントとソーサリーを追放できることはDeathrite Shamanに備わったもう一つの素晴らしい能力だ。
青白コントロールにおいてSnapcaster Mageはあっさりと主役にのし上がった。でも、奇跡ベースのコントロールデッキが主流になり、今では彼の人気は衰えてきている。インスタントとソーサリーを追放する能力には瞬唱を弱くする以外に、ライフロスによってアドバンテージを得るという意味もある。これによってGlacial ChasmロックやSolitary Confinementを破ったり戦闘を優位に進めたりごちゃごちゃした盤面をすり抜けたりすることができる。
クリーチャーによる戦闘は複雑になりがちで、明らかな正解が分からないために盤面を動かすのを躊躇してしまうことは多い。聖遺やマザー、賛美の誘発などによって盤面が動きにくくなり、そうなるとふつうは装備品や回避能力やプロテクションといった状況を打開できるボムカードを待たざるを得ない状況になる。Deathrite Shamanは相手をちくちく刺すことで、このよくある膠着状態につけ込むことができる。
タルモが小さくなってしまうという議論もあるけど、インスタントとソーサリーはみんなが使っていて、相手に2点飛ばしながらタルモで殴るのに困ることはほとんどないよ。
クリーチャーを食べてライフを得る3つ目の能力も、生き残るためにライフゲインする必要のあるタイトなマッチアップで素晴らしい。RUGデルバー、バーン、青赤デルバーはもちろん、普通のマーベリックとのマッチアップですらライフトータルにはすごく気を払わなきゃならない。そして2点のライフが勝敗を分けることもある。この能力はライフを得る以外にリアニとドレッジへの優れた対策にもなる。
これら3つの能力が1つのパッケージになっていることが死儀礼をユニークな存在にしている。攻撃や防御に使える1/2クリーチャーでもあり、これはNoble Hierarchよりも使いやすい点だ。
さて、最新セットからの2枚の新顔が並外れていることが分かったところで、これらのカードを入れるために何を抜くのか見てみよう。
削るカード
新しいテクノロジーをデッキに組み込むときに最も重要な観点は、どれぐらいのカードを入れるかではなく現状のリストから何を、なぜ抜くかだ。
Abrupt Decayはそれまで1枚挿しのユーティリティカードが入っていた枠を埋める。Life from the LoamとEngineered Explosives、1枚のMaelstrom Pulseを3枚の衰微と入れ替えたけど、これはそんなに大仕事じゃなかった。除去とユーティリティをより良い除去とユーティリティに置き換えただけだ。
Deathrite Shamanにはもっと注意が必要だった。死儀礼は僕が1年以上前に既に抜いた枠を埋めることになる。手元のリストの素晴らしいカードをいくつか諦めなきゃならない。
Ulvenwald Trackerはすごく良いカードで、もし枠が作れれば真っ先にメインに戻すんだけど、死儀礼がどんな相手にも仕事をするのに対して足跡追いは力を発揮しないマッチアップがいくつかある。
さらにScavenging Oozeの2枚目が死儀礼と入れ替えられた。役割が重複していて、用途の広さでは死儀礼に軍配が上がったためだ。3枚のGreen Sun’s Zenithも入っているので、今のところ2枚目のウーズはなくても大丈夫そうだ。
3枚目の死儀礼のために抜いた最後のカードがQasali Pridemageだ。クァーサルが入っているのはMental Misstep時代のブレードコントロール向けのシルバーバレットの名残りだと思う。2011年にはQasali PridemageでBatterskullを割るのは素晴らしいプレイだったけど、2012年ではそうでもない。厄介なアーティファクトとエンチャントのほとんどは既にAbrupt DecayとMaelstrom Pulseで対処可能で、Batterskullは現時点では主要カードにはなっていない(もし本当に必要な場合は、Abrupt Decayで細菌トークンには対処することもできる)。クァーサルの活躍する場面が限定されているのに比べて、死儀礼の柔軟性の方がまさっている。仲間の何人かはこのカットには否定的だけど、これまでのところクァーサルを欲しいと思ったことはまったくないよ。Abrupt Decayが本当に輝いている。
これで、このデッキがどうしてこれまでよりも良くなれたのか、ラヴニカへの回帰からの新入りのために何を抜いたのかが分かったね。
だけどデッキの残りのカードチョイスについては説明できていないから、今度はそれをしていこう。この色には本当にたくさんの取りうる選択肢があって、どれを選ぶか、そして何枚入れるかの両方についてしっかりと考える必要がある。
カードチョイス
はじめに、僕らが使いたい一般的なカードを運用するためのマナベースについて簡単に見てみよう。Knight of the Reliquaryをある程度活用するミッドレンジデッキでは、ツールボックスに加えてデュアル、フェッチ、そして最も重要な基本土地について考えておくべきだ。
青白奇跡が成功しており、かつてマーフォークもそうだった大きな理由は盤石なマナベースにある。基本土地は長期戦において強力なマナベースを築く基礎になる。多くのデッキが欲張ってデュアルランドの柔軟性を享受しようと基本土地をケチっている。ここはモダンではなく、Wastelandがあるんだ。こちらをマナスクリューさせることを狙うデッキがあちこちにいて、そういうデッキはこちらよりも土地を攻めることに長けている。土地縛りゲームでRUGデルバーに勝つことはできないだろう。彼らに対しては違う軸から攻める必要がある:不毛は基本土地で克服するんだ。
こちらのマナベースの構築はDeathrite Shamanによってかなり強化されていて、こちらがある色を出せない状態にするには、相手は死儀礼に稲妻を撃たなきゃならない。僕は各色1枚ずつの基本土地を入れ、デッキの大半のスペルを基本土地からプレイできるように、また何枚か土地を並べるまで安定してマナが供給されるようにしている。不毛、もみ消し、そして血染めの月は、常に警戒していればそれで死んだりはしなくなる。奇跡やマーフォーク、ゴブリン、エルフはここにしっかり注意を払っているデッキで、たぶんもっと多くの人がそうすべきだ。沼をフェッチしてDeathrite Shamanという動きによって、時間をかけて何度も2ライフを奪えるようになるだけでなく、黒マナを潰される心配をすることなく続けてボブやパルスなどをキャストすることができるようになる。
必要な基本土地をしっかり持ってこられるようにするだけでなく、シャッフルしたり聖遺を大きくしたり死儀礼の餌にしたりできるように、8枚のフェッチを入れた。このデッキではいつも望みの土地を引っ張ってきたいし、可能な限りシャッフルをしたい。
Dryad Arborは多くの人が疑問に思う面白いカードだ。もともとは1ターン目の「緑頂点X=0」で加速するために入っていた。東屋は生贄に捧げられたり、突然出てきてアタックしたり、突然ブロッカーになったりする。ガラクと格闘してヴェールで呪われた状態にしたりもできる。相手のエンドにフェッチで出してブロッカーのいないジェイスに1点アタックを開始することもできる。フェッチから出してクリーチャーをブロックもできる。小さいけどたくさんのことができるユーティリティなんだ。
Karakasはほぼグリセルとエムラへの備えとして入っているんだけど、除去をかわす必要があるときにガドックをバウンスするのにも使える。
3枚の不毛も奇妙に見えるかもしれない。Hymn to TourachとVindicateを4枚ずつ入れたデッキから0枚ずつ入れたデッキへ進化する過程で、僕のJunkデッキの採る戦略の中で不毛が果たす役割は小さくなった。ヒムはSinkhole2枚分の働きをする可能性があったし、その後残っている土地へのVindicateによって相手を手札は一杯なのに何もできないまな板の鯉にすることができた。Spell PierceとDazeの流行によってVindicateとヒムはどんどん弱くなり、不毛4枚というプランも同様だった。
不毛を減らすのは神への冒涜だと言う人もいるけど、こちらはマナ縛りプランが得意なわけじゃない。RUGデルバーは相手をマナスクリューさせる名人だけどJunkはそうじゃない。単純なことだ。聖遺で不毛をサーチできるということも、必ずしもナチュラルドローする必要がない理由になっている。そして、Junkはとても色拘束がキツい。だから色マナの出る土地を追加で入れられることはすごく好ましい。
このデッキでの不毛は、純粋なマナ縛りテンポデッキの不毛以上にかなり明確な意図を持って使われる。不毛できるときに不毛を起動する。それで相手がスクリューしてくれればOKだね。スクリューしなくてもスローダウンしてくれればそれでもOKだけど、こういうプレイをする必要はないんだ。不毛は持っておいて、あるいはサーチしてきて相手のMaze of IthやAcademy Ruins、Rishadan Portなどを割るために使おう。
Deathrite Shamanについては既に述べたので、その他のクリーチャー選択の話をしよう。クリーチャーの枚数については変だと思うかもしれないけど、緑頂点でサーチしてこられることを思い出してほしい。
Tarmogoyfは本当は4枚積むべきなんだけど、何度も言うように枠がタイトなんだ。
Scavenging Oozeは1枚挿しとは思えないほどの仕事をするけど、枚数を増やすとゲーム後半に腹を空かせたままのウーズを出しておかなきゃならなくなる。それは良くないと思ったんだ。
Dark Confidantと聖遺が4枚なのはさすがに説明不要かな。カードを引くためにボブは出したいけど頂点でサーチすることができない。だからできるだけ多く入れる必要がある。聖遺はファッティであり、ユーティリティであり、勝利手段だ。だから常にいくらでも入れておきたくて、頂点と合わせて7枚入っている。
全体として、ビート要員とユーティリティ、カードドローとメインデッキでの対策がひと通り揃っている。ここにUlvenwald Trackerを加えるのはすごく良いんだけど、さっきも言ったようにウルヴェンワルドは状況を選ぶカードだ。
いろんな人が言っているように、Junkは回答カードが満載のデッキで、役者と舞台が噛み合い、ある脅威に対して適した回答を合わせて引けたときにだけ勝てる。仕事をするための正しい道具を手に入れられることを願い祈らなければならないという問題と闘うため、僕はさらに踏み込むことに決めた。
RUGの成功はブレストとポンダーによる8ブレスト体制に基づいている。コンボデッキはときどきPreordainも入れて10枚体制を取る。なぜだろう?彼らはいったい何をやっている?彼らは勝つために欲しいカードを選んでいる。僕はブレストを使わずに同じことやろうと思った。
Sensei’s Divining Topは昔からJunkに欠かせないパーツで、普通は3枚搭載される。僕は独楽がとても好きだけど、回すために毎ターン1マナを使うことで、探している回答をキャストするために使いたいマナが縛られてしまうことがときどきある。テストプレイの仲間やThe Sourceの人たちからアドバイスされて、2010年と2011年に僕はSylvan Libraryをテストし始めた。このカードは試してすぐにうまくいき、1枚から2枚に増やすのに時間はかからなかった。
森知恵はときどき単なるMirri’s Guileだ。でもそうでないとき、森知恵はカード量で相手を打ち倒すすごい仕事をする。コントロール相手のときやミラーみたいなマッチでは、こちらのクリーチャーに飛んでくるソープロと森知恵が合わさり大量の追加カードを引けることになる。彼らが簡単には除去できないカードを使って倒すことができるんだ。レガシーにおいて奇跡デッキはクリーチャー除去の専門家であり、スタックをコントロールするのも得意だ。しかしノンクリーチャーパーマネントへの除去は不足している。そう、彼らの鎧の薄いところを突こう:エンチャントだ。
森知恵はブレストを使うデッキたちに遅れを取らないようにしてくれるカードで、僕にはこれを減らすことはできない。マーベリックの場合、彼らが0~2枚の森知恵を取っているのに対してこちらは8枚(ボブ4独楽2森知恵2)だ。RUG相手にはほぼイーブン(ブレスト8枚に対してドロー強化8枚)だ。奇跡に対してもほぼイーブン(ブレスト4独楽4に対してボブ4独楽2森知恵2)。彼らにカード操作で打ち勝つことはできないかもしれないけど、間違いなく大きく負けてはいない。
これまで多くのJunkのリストが見落としていた重要なポイントは、勝つために必要なカードを見つけるための十分なドロー強化手段が入っていなかったってことだと僕は思ってる。
さて、カードを見つけることはできるけど、どのカードを見つける必要があるんだろう?回答と脅威だね。
手札破壊パッケージによって、これからどんなプランで相手を攻めていくべきか考えるための情報が得られるだけでなく、事前に脅威に対処して除去を無駄遣いしないようにもできる。Thoughtseizeは後になると対処しにくいジェイスや独楽(どちらも奇跡のメインカードだ)、相殺、薬瓶などを捨てさせることができる。
Inquisition of Kozilek3枚とThoughtseize3枚に分けているのは主に囲いのライフロスが理由だ。さっきも述べたようにほとんどの問題は3マナ以下で、審問はたいてい思い通りに仕事をしてくれる。しかし、ウィル、ジェイス、その他の厄介な大きいボムカードは審問では落とせず、Thoughtseizeで対処する必要がある。3枚ずつに分けることでRUGデルバー相手のライフロスという観点でも最低限度の価値が得られる。Cabal Therapyとのスプリットもたぶんいいだろうね。
どのように攻撃を組み立てるかを決めるための情報を得られるだけでなく、ハンデスはコンボ相手に何ゲームか取らせてもくれる。相手とレースをするか?こちらはコントロール側か?さらにカードを展開する時間はあるか?相手はコンボを仕掛けようとしているか?ウーズでなくガドックをサーチすべきか?これらの問いは全てハンデスで答えが出るよ。
手札から落とせなかったものは戦場から除去しなければならない。青いデッキはスタックをコントロールする。僕らはボードをコントロールする。
Abrupt Decayは万能のスター選手だけど、古くからの友人Swords to Plowsharesだってそうだ。ソープロを4枚から減らすのはお勧めしない。問答無用でなんでも殺せることは素晴らしくて、相手のライフゲインは問題にならない。一方、バーンやストームを相手にする場面など、自分のライフを増やせることが戦略上重要になることもある。
除去パッケージを仕上げるために、4マナ以上の脅威を倒せるようにする必要がある。4マナ以上の脅威はAbrupt Decayでは対処できないうえに強力で、速やかにゲームを終わらせてくる。現時点ではMaelstrom Pulseがこのデッキで最高の回答だと思う。Vindicateは土地に撃てるけど、さっき述べた理由で必須というわけじゃない。うようよいるトークンをゴブリンだろうが天使だろうがまとめて倒せるのは、たまに危険な土地を壊せることよりも少し良さそうだと思ってる。相手の聖遺を倒したいけど自分の聖遺は生き残らせたいという場面はあるかもしれない。自分のクリーチャーが死んでしまう場面がまったくないわけじゃないけど、お互いに1体ずつ出している状況について言えば、たいていは自分の生物を殺してしまうリスクよりも得られる恩恵の方が上回る。
ここまで、除去、カード操作、脅威、回答、そして土地について頑張って見てきた。あと話が残っているカードはGreen Sun’s Zenithと1枚のGarruk Relentlessだけだ。
緑頂点は単に脅威を引っ張りだしてデッキの安定性を増すとともにサイドボードの銀弾をサーチできるので、やっていることはカード操作に分類される。別に悪いことではないけどデッキには緑頂点を数に入れても20枚未満のクリーチャーしか入っておらず、その多くはサーチ可能だ。緑頂点を入れる理由はマーベリックとほとんど同じだけど、緑頂点を引くことに完全に頼りきっているわけじゃない。そんなにクリーチャーが濃いデッキでもないので4枚は必要ない。2枚まで減らしている人や1枚も入れない人もいる。僕の経験では3枚が良さそうで、次の大きな変化があるまではそのままだろうね。
Garruk Relentlessを見て混乱する人は多いんじゃないかと思う。彼は61枚デッキの1枚挿しだ。ここで統計と61枚デッキについて話すことはしないけど、多くの人は60枚にするためにガラクを抜くべきだと考えるだろうし、なんでリリアナじゃなくてガラクなんだ?って訊くんじゃないかな。これには2つの理由がある:メタとプレイスタイルだ。
最近のレガシーでは奇跡がすごい力を持っている。全体として、奇跡はマーベリックがメタに与えていた影響に切り込みを入れることになった。マーベリックが良すぎるんじゃないかという疑問に対する決定的な答えがTerminusだ。いくつかの重要な理由によりTerminusはマーベリックを粉砕する。マーベリックはゲームをするためにたくさんの生物をボードに並べる必要がある。教主が加速し、マザーが守備を固め、Scryb Rangerが聖遺やマザーを起こして悪さをし、サリアが追加マナを要求して相手を減速させ、聖遺がビートする。多様な能力と小型生物の柔軟性によって、Knight of the Reliquaryがマーベリックの脅威となる。この状況に持ち込むために、マーベリックのプレイヤーはふつう4体のクリーチャーをボードに並べる。奇跡プレイヤーにとって、これは1マナのラスゴでX対1交換をとる完璧なチャンスだ。ここでのアドバンテージはコストが1マナだというところにある。サリア税は問題にならず、ほとんどのプレイヤーはボードを流すためならいつだって平気で2マナ支払うだろう。マーベリックの優勢な盤面を、独楽で簡単に見つけられる1マナのカード1枚でひっくり返すことができるため、今のところマーベリックは不利なようだ。
それじゃあどうやってTerminusと闘おう?
やっぱりまずは敵を知ることだ。TerminusはX対1交換(X>1)をとるのが得意だ。Xが1に近づくと、相手がTerminusから得られる価値は小さくなる。彼らに1,2体のクリーチャーにTerminusを撃たせるためには、そのクリーチャーが回避能力やプロテクションを持っているか巨大であることが必要だ。
RUGはこれをNimble Mongooseでやっている。Junkはタルモ、聖遺、死儀礼をプレイすることでこれが可能だ。多くの場合、タルモは4/5か5/6で、聖遺は6/6まで育つ。どちらのクリーチャーもソープロを撃つに値する。もし相手がソープロを持っていたら、オーケー、もう1体出そう。相手が持っていなければ、彼らは3,4ターンのうちに除去手段を見つける必要があり、時間はそれほどない。フェッチやブレストがなければ相手が見られるのは独楽を使って最大で7枚だ。7枚は多いように思えるけど、思い出してほしい、一度に見られるのは3枚だけだ。もし彼らが除去をドローした場合、次に出す脅威はより短いクロックになる。マーベリックが教主をおかわりしても無視されてしまうのとは違って、聖遺をおかわりすることは相手を苦しめる。
とはいえ、本当に奇跡を苦しめるものといえば彼らには除去できないカード:プレインズウォーカーだ。延々とクリーチャーを生成し続けるものを出せば奇跡デッキに壊滅的な打撃を与えられる。なぜなら、トークン製造機に対する初期投資と比べて、トークンに対処するための投資は通常見合わないためだ。
Garruk Relentlessを投入しよう。ガラクははじめから2/2狼トークンを生成できて、無視はできない。奇跡以外の相手に対しては、2/2でボードを膠着させることによって攻撃と防御のバランスを変えることができる。奇跡に対してはTerminusを恐れすぎる必要がなくなる:相手は生み出され続ける2/2に対処する方法を見つけなきゃならない。
ガラクは除去としても使えて、2/3以下の生物は殺せる。ブロッカーや厄介なクリーチャーを除去できるのは素晴らしくて、さらにガラクを真の獣に変えることができる。1/1接死の狼はマーベリック相手のようなクリーチャー戦で輝く。聖遺はマザーのプロテクションがなければ攻撃できなくなり、狼から守るプロテクションを与えたところにインスタント除去を撃ち込んで差をつけることができる。考慮に入れなきゃならないことが増え、相手にとってゲームの複雑さが一層増すことになる。ふつう1/1の狼は他のクリーチャーが防御に回っているうちにアタックして何点かのライフを奪う。そしてこれを後押しするのが死儀礼だ。Ulvenwald Trackerがいれば、狼を聖遺に投げつけることで完全にクリーチャー戦を支配できるし、マザーの起動にレスポンスできるインスタントスピードの除去がさらに増えることになる。
2番目の能力によって東屋や狼トークンをサクって追加の聖遺をサーチするのは良い交換だ。奥義を起動することはあまりないけど、しばらく膠着状態になっている場合は特に忘れないでおこう。もし相手が気づいていなければ文字通りいきなり勝つことができる。
しかしLiliana of the Veilはどうなんだろう?リリアナはコストは1マナ軽いが、色拘束はキツい。お互いにディスカードさせる強力な能力を持っているけど、捨ててもいいカードを使うかロームのような長期的なアドバンテージを得るカードを一緒に使うべきだ。奥義は良いんだけど、パーマネント除去はリリアナの力がなくてもできる。クリーチャーは既に殺してしまっているだろう。リリアナはJunkデッキでは冗長なんだ。特に革新的なことはせず、あなたが既にできることをやる。
リリアナは奇跡とのマッチアップではとても弱い。奇跡の弱点を突けないからね。相手はこちらよりも多くのカードをドローし、ふつうはリリアナの奥義を使われた場合に備えてパーマネントはほとんどプレイせず、たとえその他全てのパーマネントをサクることになってもジェイスを守るだろう。彼らはこちらが睨みを効かせているうちは基本的にクリーチャーをプレイせず、Entreat1枚を使うだけで天使トークンをたくさん出してくる。
ガラクは弱点を突くだけでなく他のデッキに対しても強く、相手に予期せぬ脅威への対処を迫る。4マナと重いけど、マナを払うだけの価値はある。コントロール相手に強いだけでなくクリーチャー戦で力を発揮するというのは、同じマナ域の他のプレインズウォーカーにはできないことだ。エルズペスを除いてね。エルズペスはいくつかの理由で採用を見送った。黒と緑がメインのデッキにとってはマナコストが少しキツい。Lingering Soulsのおかげでみんなが白いトークンへの対策を入れている。1/1トークンは対処されやすい。奥義が奇跡に対して役に立たない。こういった理由でエルズペスよりもガラクを使いたくなったんだ。多くのデッキはまだエルズペスを入れているし、とても良いカードなのは間違いない。ただ今のメタには不十分だと思うんだ。
この記事はかなり長くなってしまったので、サイドボードについては次の記事で話すことにするよ。それまでに言えるアドバイスの中でも大切なのは、複数のマッチアップで役に立つサイドカードを探し、ある一つのマッチアップでしか機能しない死に札になりやすいカードはできるだけ入れないようにするってことだ。そのマッチアップがあまりにも不利で、なおかつサイドを取らなきゃいけないぐらい流行っているのでない限りは。
おわりに言っておきたいこと
カードドローと操作、脅威、回答の正しい一式、そしてしっかり作ったサイドボードとマナベースがあれば、自分の好きなデッキを使ってあるメタゲームの中で成功することは誰にでもできる。Junkの良いところは除去と妨害に速いクロックが合わさり、いろいろなメタゲームでうまく立ち回れることだ。これは多くの戦略に対する幅広い回答を持っているからできることなんだ。メインボードで全てのマッチアップをカバーできなかったとしても、Junkの色には強力なサイドカードがたくさんあり、どんな相手に対しても補強することができる。
今のマーベリック、RUG、コンボ、奇跡コントロールで構成されたメタゲームにおいて、Junkのカラーパイは良い位置につける準備が整っている。そのBrainstormは置いて、黒白緑のミッドレンジデッキのパワーを試してみるのもいいんじゃないかな。青を倒せることの楽しさはやってみなきゃ分からないよ。
それじゃあまた次回。
Matt Pavlic
RtR後のJunkの解説。
豪華なリストとは裏腹に繊細な調整が必要なデッキで、構築過程は勉強になりました。
"There are no wrong threats, only wrong answers"の問題を衰微が軽くしているのですね。
※12/20 23:50追記
デッキリストのMaze of Ithが抜けていたのを修正しました。
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Rocking Junk―Why You Do Not Need to Play Blue to Win in Legacy
Written on DECEMBER 11, 2012 AT 3:15 PM
by MATT PAVLIC
http://www.eternalcentral.com/?p=3385
ここ2年かけて、レガシーには青への対抗手段が少しずつ増えてきている。
青は呪文を打ち消すことができ、多くのカードを引くことができ、ドローを操作することができる。他の色にはこれらを青のようにうまくこなすことはできないけれど、恐れることはない。レガシーで勝利を収めるのにブレスト、ウィル、ジェイスを使わなきゃいけないなんてことはないんだ。
最近の結果を見れば分かるように、多くのトーナメントのトップ8はいろんなタイプのデッキにあふれていて、そこには青いカードが入っていないデッキも含まれている。レガシーには驚くほどの多様性があり、たくさんのイノベーションがあり、手柄を上げるチャンスがいくらでも転がっている。近頃はマーベリックとRUGデルバーと奇跡の3つが最重要だと多くの人が言っているけど、結果はそうなっていない。
最近、僕はシアトルでのSCGレガシーオープンでウィル、ブレスト、カウンターの入っていないデッキを使って2位に入った。この上位フィニッシュは、レガシーに存在し得る、そして成功し得る幅広い可能性の一例にすぎない。
レガシーで勝つために青を使う必要がないのはなぜなのか、それを理解する助けとなるように僕が使ったデッキBWG Junk(BWG Rockという人もいるね)のデザイン過程をお届けしようと思う。
それじゃあリストを見てみようか。
BWG Junk, 2nd Place SCG Legacy Open Seattle 11-18-2012, by Matt Pavlic
[Business] (39)
4 《闇の腹心/Dark Confidant》
4 《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》
3 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
1 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
3 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
3 《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》
3 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
2 《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
2 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
2 《森の知恵/Sylvan Library》
1 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》
1 《Maze of Ith》
[Mana Sources] (22)
3 《不毛の大地/Wasteland》
1 《Karakas》
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
3 《湿地の干潟/Marsh Flats》
1 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
3 《Bayou》
2 《Scrubland》
1 《Savannah》
1 《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》
1 《沼/Swamp》
1 《森/Forest》
1 《平地/Plains》
[Sideboard] (15)
3 《Hymn to Tourach》
2 《破滅的な行為/Pernicious Deed》
1 《ウルヴェンワルドの足跡追い/Ulvenwald Tracker》
1 《美徳の喪失/Virtue’s Ruin》
1 《情け知らずのガラク/Garruk Relentless》
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
2 《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
2 《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
Junkはどんなデッキか
そもそもJunkとは何者で、なぜJunkをプレイすべきなんだろうか?
Junkは、まさにその本質からミッドレンジデッキで、アグロとコントロール両方の要素を持っている。Junkのゲームプランは大量の除去でボードをコントロールし、事前のハンデスによって脅威を守ることだ。そして邪魔者がいなくなったところで、大きく、コストパフォーマンスが高く、ボードにいる他のクリーチャーにサイズ勝ちする脅威を出しつつボードコントロールを続ける。JunkはRUGのような1体のクリーチャーで勝利を掴みとるデッキとは違う。2,3体のファッティを出し、前もって撃っておいたハンデスによってカウンターを使わずに守る。
Junkは最初の4ターンの間に相手を倒すようなデッキではなく、ガチガチのコントロールデッキが輝くようなとても長いゲームをするわけでもない。最も力を発揮するのは中盤戦だ。序盤の妨害が中盤戦でのアドバンテージを創り出し、コストパフォーマンスの高い脅威がライフ差を詰める。
だけど疑問が残るね:なぜJunkを使うべきなんだろう?今のレガシーのメタでJunkを使うことのメリットは何だろう?
「青だけが勝てる状況」の突然の衰微
これらの疑問への答えは、ラヴニカへの回帰からJunkの武器庫に新しく加わった2枚のカード、Abrupt DecayとDeathrite Shamanにある。
回答カードを満載し、相手の提示した問いに正しく答えることで勝利するデッキがいつも抱えることになる問題にJunkも悩まされていた。そのとき提示された一つの脅威への正しい回答を見つけられなかった場合、あっさり死んでしまうんだ。ブレストやポンダーの入った青デッキがやるようにはドロー操作やカード選択をすることはできない。
Abrupt Decayは実質的にほぼ万能な回答であり、この窮状を打開してくれる。衰微はただ回答であるだけでなく、打ち消されない回答だ。Maelstrom Pulse、Vindicate、Swords to Plowsharesはどれもコストパフォーマンスの高い強力なカードだけど、ゲームの転機となる重要な場面でこれらのカードでウィル、ピアス、デイズ、カンスペ、あるいは相殺独楽に突っ込むのはまったく良くない。必要な回答はこちらのライフをじりじり食いつぶしているデルバーへの除去かもしれないけど、奴を農場送りにする企ては正しい道具を持っていなければ実行できない。
あらゆる仕事には専用の道具がある。そしてAbrupt Decayは期待を裏切らない本当に素晴らしいオールインワンツールなんだってことが分かった。限定的なVindicateという枠を超えて、Abrupt Decayはカウンターもされない。ゲームの大事な場面でキーとなる除去を普通は簡単にカウンターできるRUGデルバーに対してJunkが有利になるポイントはここだ。Abrupt Decayは引いたらすぐに問題への解決策になり、コントロールプレイヤーが握っているカウンター呪文を否定する。
Abrupt Decay以前、青白奇跡を相手にしたときは簡単に相殺でロックされてしまう危険があった。彼らのマナカーブが0~2を主眼に構成されていたためだ。最近の奇跡デッキには改良が加えられ、相殺用のマナカーブを0~5に伸ばした構築が行われている。重要なのは3マナが濃くなっていることだ(4~6枚入っている)。これはこちらのVindicateやKnight of the Reliquaryをロックするのに重要なマナ域だ。
相殺を衰微で割ることにより、Junkは高効率な脅威を展開して速やかにゲームを終わらせる状況を相手に突きつけることがより簡単にできるようになる。これはマーベリックがやるような、小型の生物を横に並べて脅威にしている状況とはだいぶ違う――それだとTerminusやEngineered Explosivesを持つ奇跡の思う壺だ。4ターン以内にゲームを終わらせる1体の脅威を使うことにより、彼らはTerminusを無駄遣いするか、除去を見つけるか、Entreat the Angelsやジェイスのようなこちらをさらに上回る脅威を見つけるかのいずれかをしなきゃならなくなる。
ここでAbrupt Decayに戻ろう。一番大切なところだ。あなたがハンマーだとしたとき、あらゆる問題が釘になるんだ。Abrupt Decayというハンマーにとって、今のところレガシーで出くわすほぼ全ての問題が釘になる。十手?戦闘中に割ってしまおう。森知恵にまくられる?壊してしまおう。相殺にカウンターされていいとこなし?破壊しよう。聖遺にマナベースをやられる?恐れず殺そう。
ポイントは、レガシーで直面する問題のほとんどは3マナ以下の土地でないパーマネントで構成されているということだ。ジェイス、謙虚、Moat、Smokestack、The Abyss、Nether Void、エルズペスやガラクなどのコントロールデッキのボムだけは衰微で対処できない。しかし、あらゆる3マナ以下の土地でないパーマネントに対処できるということは、Vindicateやパルス、ソープロなどの別々の働きをする除去をどう組み合わせるかという悩みから解放されるということなんだ。有効な場面が限定されているカードを減らし、Abrupt Decayを入れよう。衰微は何の疑いも心配もなく、以下のカードたちを壊せる:
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》
《闇の腹心/Dark Confidant》
《ルーンの母/Mother of Runes》
《貴族の教主/Noble Hierarch》
《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
《相殺/Counterbalance》
《忘却の輪/Oblivion Ring》
《拘留の宝球/Detention Sphere》
《森の知恵/Sylvan Library》
《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
《なんとかとかんとかの剣/Sword of X and Y》
《動く死体/Animate Dead》
《アトランティスの王/Lord of Atlantis》
《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
《頭蓋囲い/Cranial Plating》
《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》
《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
《悪意の大梟/Baleful Strix》
《ヴィダルケンの枷/Vedalken Shackles》
《安らかなる眠り/Rest in Peace》
《エネルギー・フィールド/Energy Field》
《絵描きの召使い/Painter’s Servant》
《丸砥石/Grindstone》
《破滅的な行為/Pernicious Deed》
《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》
《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
このリストはかなり先まで続くけど、よく出くわして、かつ悩まされたくないものはだいたいカバーできてるんじゃないかな。
Abrupt Decayは問題が何かを気にしない。たった2つのルールがあるだけだ:土地でないこと、そして(女でも子供でもOKだけど)4マナ以上のパーマネントではないこと。
死儀礼のシャーマン
2つ目はDeathrite Shamanだ。僕はいろんなところで記事を読み、シャーマンがモダンで素晴らしいという噂と結果を目にしていた。問題は、レガシーはモダンではないということだ。死儀礼にははじめ疑問を持っていた。モダンで素晴らしいカードが必ずしもレガシーでも価値があるとは限らないからね。みんながシャーマンを「考えるまでもなく4枚」と言ったけど、僕は疑っていた。考えるまでもなく4枚、というフレーズに値するカードはほとんどない。Swords to PlowsharesやBrainstorm、Mishra’s Workshop、それかみんなが禁止されるべきだと言うカードや良すぎて既に禁止されたカードぐらいだろう。
僕はメインデッキからいくつかカードを抜いてシャーマンをテストし始めた。僕の疑問は2つの要素からきていた。一つ、Junkにはマナ生物が必要か?二つ、死儀礼の能力にはデッキに入れるほどの価値があるか?
一つ目の疑問には通常はあきらかにノーだと言える。過去2年間、僕も他のみんなもMox DiamondやBirds of Paradise、Noble HierarchはJunkを一段強くするための答えだと褒めちぎっていた。「1ターン目Hymn to Tourach」という神話は無視するには魅力的すぎて、多くの人がその華やかなプレイで友達に何度もドヤ顔するためにカードディスアドバンテージを必ず伴うMox Diamondをプレイし始めた。もちろん1ターン目のヒム、ボブ、石鍛冶や複数回行動は素晴らしい。でも、それでゴールに到達というわけじゃない。Junkは22~24枚の土地を積んでいて、2~5枚はマナを出す以外の用途の土地になっている。不必要に土地を捨てれば、1ターン目にヒムは撃てるかもしれないけど2~4ターン目に失速して負けることになる。
個人的には、今のレガシーにおいてただちにカードディスアドバンテージに繋がるカードをプレイするのはゲーム終盤においても価値があるとは思えない。どのマナ加速にもそれぞれ副作用があり、デッキに入れる努力に見合う効果が得られなくなっていた。
この状況は、マナを安定させるとともに必要なときにはユーティリティクリーチャーにもなることができるDeathrite Shamanの登場によって変わった。死儀礼はマナ生物からユーティリティ生物に変わる反転カードみたいなもので、これはJunkがマナ生物に対して求めてやまなかったことだ。それぞれの能力がなぜ黒白緑ミッドレンジデッキにとって大きな一歩になるのかを見てみよう。
両者の墓地から土地を追放する能力は、ただ色を安定させてマナ加速するだけでなく、Knight of the Reliquaryのような相手の脅威を小さくすることにも繋がる。相手の土地を追放することでマナ加速をするとともにその後の戦闘で優位に立つことができる。
ロームを主軸にしたデッキ、あるいはただつよカードとして単にロームを入れているデッキは自分のカードから得られる価値が小さくなる。これはなかなか良いよ。レガシー全体で見ても使っている人は少ないけど、43 Landsにはドレッジやリアニのようにローム以外にも対処すべきカードが入っている。この能力で出るマナが必要ないときでも、単純にヤバい土地をどこかにやってしまえるだけでも意味がある。
このマナを出す能力はふつう最初の3,4ターンの間に重要になることが分かった。そこから先は残り2つのタップ能力に移ることになる。
インスタントとソーサリーを追放できることはDeathrite Shamanに備わったもう一つの素晴らしい能力だ。
青白コントロールにおいてSnapcaster Mageはあっさりと主役にのし上がった。でも、奇跡ベースのコントロールデッキが主流になり、今では彼の人気は衰えてきている。インスタントとソーサリーを追放する能力には瞬唱を弱くする以外に、ライフロスによってアドバンテージを得るという意味もある。これによってGlacial ChasmロックやSolitary Confinementを破ったり戦闘を優位に進めたりごちゃごちゃした盤面をすり抜けたりすることができる。
クリーチャーによる戦闘は複雑になりがちで、明らかな正解が分からないために盤面を動かすのを躊躇してしまうことは多い。聖遺やマザー、賛美の誘発などによって盤面が動きにくくなり、そうなるとふつうは装備品や回避能力やプロテクションといった状況を打開できるボムカードを待たざるを得ない状況になる。Deathrite Shamanは相手をちくちく刺すことで、このよくある膠着状態につけ込むことができる。
タルモが小さくなってしまうという議論もあるけど、インスタントとソーサリーはみんなが使っていて、相手に2点飛ばしながらタルモで殴るのに困ることはほとんどないよ。
クリーチャーを食べてライフを得る3つ目の能力も、生き残るためにライフゲインする必要のあるタイトなマッチアップで素晴らしい。RUGデルバー、バーン、青赤デルバーはもちろん、普通のマーベリックとのマッチアップですらライフトータルにはすごく気を払わなきゃならない。そして2点のライフが勝敗を分けることもある。この能力はライフを得る以外にリアニとドレッジへの優れた対策にもなる。
これら3つの能力が1つのパッケージになっていることが死儀礼をユニークな存在にしている。攻撃や防御に使える1/2クリーチャーでもあり、これはNoble Hierarchよりも使いやすい点だ。
さて、最新セットからの2枚の新顔が並外れていることが分かったところで、これらのカードを入れるために何を抜くのか見てみよう。
削るカード
新しいテクノロジーをデッキに組み込むときに最も重要な観点は、どれぐらいのカードを入れるかではなく現状のリストから何を、なぜ抜くかだ。
Abrupt Decayはそれまで1枚挿しのユーティリティカードが入っていた枠を埋める。Life from the LoamとEngineered Explosives、1枚のMaelstrom Pulseを3枚の衰微と入れ替えたけど、これはそんなに大仕事じゃなかった。除去とユーティリティをより良い除去とユーティリティに置き換えただけだ。
Deathrite Shamanにはもっと注意が必要だった。死儀礼は僕が1年以上前に既に抜いた枠を埋めることになる。手元のリストの素晴らしいカードをいくつか諦めなきゃならない。
Ulvenwald Trackerはすごく良いカードで、もし枠が作れれば真っ先にメインに戻すんだけど、死儀礼がどんな相手にも仕事をするのに対して足跡追いは力を発揮しないマッチアップがいくつかある。
さらにScavenging Oozeの2枚目が死儀礼と入れ替えられた。役割が重複していて、用途の広さでは死儀礼に軍配が上がったためだ。3枚のGreen Sun’s Zenithも入っているので、今のところ2枚目のウーズはなくても大丈夫そうだ。
3枚目の死儀礼のために抜いた最後のカードがQasali Pridemageだ。クァーサルが入っているのはMental Misstep時代のブレードコントロール向けのシルバーバレットの名残りだと思う。2011年にはQasali PridemageでBatterskullを割るのは素晴らしいプレイだったけど、2012年ではそうでもない。厄介なアーティファクトとエンチャントのほとんどは既にAbrupt DecayとMaelstrom Pulseで対処可能で、Batterskullは現時点では主要カードにはなっていない(もし本当に必要な場合は、Abrupt Decayで細菌トークンには対処することもできる)。クァーサルの活躍する場面が限定されているのに比べて、死儀礼の柔軟性の方がまさっている。仲間の何人かはこのカットには否定的だけど、これまでのところクァーサルを欲しいと思ったことはまったくないよ。Abrupt Decayが本当に輝いている。
これで、このデッキがどうしてこれまでよりも良くなれたのか、ラヴニカへの回帰からの新入りのために何を抜いたのかが分かったね。
だけどデッキの残りのカードチョイスについては説明できていないから、今度はそれをしていこう。この色には本当にたくさんの取りうる選択肢があって、どれを選ぶか、そして何枚入れるかの両方についてしっかりと考える必要がある。
カードチョイス
はじめに、僕らが使いたい一般的なカードを運用するためのマナベースについて簡単に見てみよう。Knight of the Reliquaryをある程度活用するミッドレンジデッキでは、ツールボックスに加えてデュアル、フェッチ、そして最も重要な基本土地について考えておくべきだ。
青白奇跡が成功しており、かつてマーフォークもそうだった大きな理由は盤石なマナベースにある。基本土地は長期戦において強力なマナベースを築く基礎になる。多くのデッキが欲張ってデュアルランドの柔軟性を享受しようと基本土地をケチっている。ここはモダンではなく、Wastelandがあるんだ。こちらをマナスクリューさせることを狙うデッキがあちこちにいて、そういうデッキはこちらよりも土地を攻めることに長けている。土地縛りゲームでRUGデルバーに勝つことはできないだろう。彼らに対しては違う軸から攻める必要がある:不毛は基本土地で克服するんだ。
こちらのマナベースの構築はDeathrite Shamanによってかなり強化されていて、こちらがある色を出せない状態にするには、相手は死儀礼に稲妻を撃たなきゃならない。僕は各色1枚ずつの基本土地を入れ、デッキの大半のスペルを基本土地からプレイできるように、また何枚か土地を並べるまで安定してマナが供給されるようにしている。不毛、もみ消し、そして血染めの月は、常に警戒していればそれで死んだりはしなくなる。奇跡やマーフォーク、ゴブリン、エルフはここにしっかり注意を払っているデッキで、たぶんもっと多くの人がそうすべきだ。沼をフェッチしてDeathrite Shamanという動きによって、時間をかけて何度も2ライフを奪えるようになるだけでなく、黒マナを潰される心配をすることなく続けてボブやパルスなどをキャストすることができるようになる。
必要な基本土地をしっかり持ってこられるようにするだけでなく、シャッフルしたり聖遺を大きくしたり死儀礼の餌にしたりできるように、8枚のフェッチを入れた。このデッキではいつも望みの土地を引っ張ってきたいし、可能な限りシャッフルをしたい。
Dryad Arborは多くの人が疑問に思う面白いカードだ。もともとは1ターン目の「緑頂点X=0」で加速するために入っていた。東屋は生贄に捧げられたり、突然出てきてアタックしたり、突然ブロッカーになったりする。ガラクと格闘してヴェールで呪われた状態にしたりもできる。相手のエンドにフェッチで出してブロッカーのいないジェイスに1点アタックを開始することもできる。フェッチから出してクリーチャーをブロックもできる。小さいけどたくさんのことができるユーティリティなんだ。
Karakasはほぼグリセルとエムラへの備えとして入っているんだけど、除去をかわす必要があるときにガドックをバウンスするのにも使える。
3枚の不毛も奇妙に見えるかもしれない。Hymn to TourachとVindicateを4枚ずつ入れたデッキから0枚ずつ入れたデッキへ進化する過程で、僕のJunkデッキの採る戦略の中で不毛が果たす役割は小さくなった。ヒムはSinkhole2枚分の働きをする可能性があったし、その後残っている土地へのVindicateによって相手を手札は一杯なのに何もできないまな板の鯉にすることができた。Spell PierceとDazeの流行によってVindicateとヒムはどんどん弱くなり、不毛4枚というプランも同様だった。
不毛を減らすのは神への冒涜だと言う人もいるけど、こちらはマナ縛りプランが得意なわけじゃない。RUGデルバーは相手をマナスクリューさせる名人だけどJunkはそうじゃない。単純なことだ。聖遺で不毛をサーチできるということも、必ずしもナチュラルドローする必要がない理由になっている。そして、Junkはとても色拘束がキツい。だから色マナの出る土地を追加で入れられることはすごく好ましい。
このデッキでの不毛は、純粋なマナ縛りテンポデッキの不毛以上にかなり明確な意図を持って使われる。不毛できるときに不毛を起動する。それで相手がスクリューしてくれればOKだね。スクリューしなくてもスローダウンしてくれればそれでもOKだけど、こういうプレイをする必要はないんだ。不毛は持っておいて、あるいはサーチしてきて相手のMaze of IthやAcademy Ruins、Rishadan Portなどを割るために使おう。
Deathrite Shamanについては既に述べたので、その他のクリーチャー選択の話をしよう。クリーチャーの枚数については変だと思うかもしれないけど、緑頂点でサーチしてこられることを思い出してほしい。
Tarmogoyfは本当は4枚積むべきなんだけど、何度も言うように枠がタイトなんだ。
Scavenging Oozeは1枚挿しとは思えないほどの仕事をするけど、枚数を増やすとゲーム後半に腹を空かせたままのウーズを出しておかなきゃならなくなる。それは良くないと思ったんだ。
Dark Confidantと聖遺が4枚なのはさすがに説明不要かな。カードを引くためにボブは出したいけど頂点でサーチすることができない。だからできるだけ多く入れる必要がある。聖遺はファッティであり、ユーティリティであり、勝利手段だ。だから常にいくらでも入れておきたくて、頂点と合わせて7枚入っている。
全体として、ビート要員とユーティリティ、カードドローとメインデッキでの対策がひと通り揃っている。ここにUlvenwald Trackerを加えるのはすごく良いんだけど、さっきも言ったようにウルヴェンワルドは状況を選ぶカードだ。
いろんな人が言っているように、Junkは回答カードが満載のデッキで、役者と舞台が噛み合い、ある脅威に対して適した回答を合わせて引けたときにだけ勝てる。仕事をするための正しい道具を手に入れられることを願い祈らなければならないという問題と闘うため、僕はさらに踏み込むことに決めた。
RUGの成功はブレストとポンダーによる8ブレスト体制に基づいている。コンボデッキはときどきPreordainも入れて10枚体制を取る。なぜだろう?彼らはいったい何をやっている?彼らは勝つために欲しいカードを選んでいる。僕はブレストを使わずに同じことやろうと思った。
Sensei’s Divining Topは昔からJunkに欠かせないパーツで、普通は3枚搭載される。僕は独楽がとても好きだけど、回すために毎ターン1マナを使うことで、探している回答をキャストするために使いたいマナが縛られてしまうことがときどきある。テストプレイの仲間やThe Sourceの人たちからアドバイスされて、2010年と2011年に僕はSylvan Libraryをテストし始めた。このカードは試してすぐにうまくいき、1枚から2枚に増やすのに時間はかからなかった。
森知恵はときどき単なるMirri’s Guileだ。でもそうでないとき、森知恵はカード量で相手を打ち倒すすごい仕事をする。コントロール相手のときやミラーみたいなマッチでは、こちらのクリーチャーに飛んでくるソープロと森知恵が合わさり大量の追加カードを引けることになる。彼らが簡単には除去できないカードを使って倒すことができるんだ。レガシーにおいて奇跡デッキはクリーチャー除去の専門家であり、スタックをコントロールするのも得意だ。しかしノンクリーチャーパーマネントへの除去は不足している。そう、彼らの鎧の薄いところを突こう:エンチャントだ。
森知恵はブレストを使うデッキたちに遅れを取らないようにしてくれるカードで、僕にはこれを減らすことはできない。マーベリックの場合、彼らが0~2枚の森知恵を取っているのに対してこちらは8枚(ボブ4独楽2森知恵2)だ。RUG相手にはほぼイーブン(ブレスト8枚に対してドロー強化8枚)だ。奇跡に対してもほぼイーブン(ブレスト4独楽4に対してボブ4独楽2森知恵2)。彼らにカード操作で打ち勝つことはできないかもしれないけど、間違いなく大きく負けてはいない。
これまで多くのJunkのリストが見落としていた重要なポイントは、勝つために必要なカードを見つけるための十分なドロー強化手段が入っていなかったってことだと僕は思ってる。
さて、カードを見つけることはできるけど、どのカードを見つける必要があるんだろう?回答と脅威だね。
手札破壊パッケージによって、これからどんなプランで相手を攻めていくべきか考えるための情報が得られるだけでなく、事前に脅威に対処して除去を無駄遣いしないようにもできる。Thoughtseizeは後になると対処しにくいジェイスや独楽(どちらも奇跡のメインカードだ)、相殺、薬瓶などを捨てさせることができる。
Inquisition of Kozilek3枚とThoughtseize3枚に分けているのは主に囲いのライフロスが理由だ。さっきも述べたようにほとんどの問題は3マナ以下で、審問はたいてい思い通りに仕事をしてくれる。しかし、ウィル、ジェイス、その他の厄介な大きいボムカードは審問では落とせず、Thoughtseizeで対処する必要がある。3枚ずつに分けることでRUGデルバー相手のライフロスという観点でも最低限度の価値が得られる。Cabal Therapyとのスプリットもたぶんいいだろうね。
どのように攻撃を組み立てるかを決めるための情報を得られるだけでなく、ハンデスはコンボ相手に何ゲームか取らせてもくれる。相手とレースをするか?こちらはコントロール側か?さらにカードを展開する時間はあるか?相手はコンボを仕掛けようとしているか?ウーズでなくガドックをサーチすべきか?これらの問いは全てハンデスで答えが出るよ。
手札から落とせなかったものは戦場から除去しなければならない。青いデッキはスタックをコントロールする。僕らはボードをコントロールする。
Abrupt Decayは万能のスター選手だけど、古くからの友人Swords to Plowsharesだってそうだ。ソープロを4枚から減らすのはお勧めしない。問答無用でなんでも殺せることは素晴らしくて、相手のライフゲインは問題にならない。一方、バーンやストームを相手にする場面など、自分のライフを増やせることが戦略上重要になることもある。
除去パッケージを仕上げるために、4マナ以上の脅威を倒せるようにする必要がある。4マナ以上の脅威はAbrupt Decayでは対処できないうえに強力で、速やかにゲームを終わらせてくる。現時点ではMaelstrom Pulseがこのデッキで最高の回答だと思う。Vindicateは土地に撃てるけど、さっき述べた理由で必須というわけじゃない。うようよいるトークンをゴブリンだろうが天使だろうがまとめて倒せるのは、たまに危険な土地を壊せることよりも少し良さそうだと思ってる。相手の聖遺を倒したいけど自分の聖遺は生き残らせたいという場面はあるかもしれない。自分のクリーチャーが死んでしまう場面がまったくないわけじゃないけど、お互いに1体ずつ出している状況について言えば、たいていは自分の生物を殺してしまうリスクよりも得られる恩恵の方が上回る。
ここまで、除去、カード操作、脅威、回答、そして土地について頑張って見てきた。あと話が残っているカードはGreen Sun’s Zenithと1枚のGarruk Relentlessだけだ。
緑頂点は単に脅威を引っ張りだしてデッキの安定性を増すとともにサイドボードの銀弾をサーチできるので、やっていることはカード操作に分類される。別に悪いことではないけどデッキには緑頂点を数に入れても20枚未満のクリーチャーしか入っておらず、その多くはサーチ可能だ。緑頂点を入れる理由はマーベリックとほとんど同じだけど、緑頂点を引くことに完全に頼りきっているわけじゃない。そんなにクリーチャーが濃いデッキでもないので4枚は必要ない。2枚まで減らしている人や1枚も入れない人もいる。僕の経験では3枚が良さそうで、次の大きな変化があるまではそのままだろうね。
Garruk Relentlessを見て混乱する人は多いんじゃないかと思う。彼は61枚デッキの1枚挿しだ。ここで統計と61枚デッキについて話すことはしないけど、多くの人は60枚にするためにガラクを抜くべきだと考えるだろうし、なんでリリアナじゃなくてガラクなんだ?って訊くんじゃないかな。これには2つの理由がある:メタとプレイスタイルだ。
最近のレガシーでは奇跡がすごい力を持っている。全体として、奇跡はマーベリックがメタに与えていた影響に切り込みを入れることになった。マーベリックが良すぎるんじゃないかという疑問に対する決定的な答えがTerminusだ。いくつかの重要な理由によりTerminusはマーベリックを粉砕する。マーベリックはゲームをするためにたくさんの生物をボードに並べる必要がある。教主が加速し、マザーが守備を固め、Scryb Rangerが聖遺やマザーを起こして悪さをし、サリアが追加マナを要求して相手を減速させ、聖遺がビートする。多様な能力と小型生物の柔軟性によって、Knight of the Reliquaryがマーベリックの脅威となる。この状況に持ち込むために、マーベリックのプレイヤーはふつう4体のクリーチャーをボードに並べる。奇跡プレイヤーにとって、これは1マナのラスゴでX対1交換をとる完璧なチャンスだ。ここでのアドバンテージはコストが1マナだというところにある。サリア税は問題にならず、ほとんどのプレイヤーはボードを流すためならいつだって平気で2マナ支払うだろう。マーベリックの優勢な盤面を、独楽で簡単に見つけられる1マナのカード1枚でひっくり返すことができるため、今のところマーベリックは不利なようだ。
それじゃあどうやってTerminusと闘おう?
やっぱりまずは敵を知ることだ。TerminusはX対1交換(X>1)をとるのが得意だ。Xが1に近づくと、相手がTerminusから得られる価値は小さくなる。彼らに1,2体のクリーチャーにTerminusを撃たせるためには、そのクリーチャーが回避能力やプロテクションを持っているか巨大であることが必要だ。
RUGはこれをNimble Mongooseでやっている。Junkはタルモ、聖遺、死儀礼をプレイすることでこれが可能だ。多くの場合、タルモは4/5か5/6で、聖遺は6/6まで育つ。どちらのクリーチャーもソープロを撃つに値する。もし相手がソープロを持っていたら、オーケー、もう1体出そう。相手が持っていなければ、彼らは3,4ターンのうちに除去手段を見つける必要があり、時間はそれほどない。フェッチやブレストがなければ相手が見られるのは独楽を使って最大で7枚だ。7枚は多いように思えるけど、思い出してほしい、一度に見られるのは3枚だけだ。もし彼らが除去をドローした場合、次に出す脅威はより短いクロックになる。マーベリックが教主をおかわりしても無視されてしまうのとは違って、聖遺をおかわりすることは相手を苦しめる。
とはいえ、本当に奇跡を苦しめるものといえば彼らには除去できないカード:プレインズウォーカーだ。延々とクリーチャーを生成し続けるものを出せば奇跡デッキに壊滅的な打撃を与えられる。なぜなら、トークン製造機に対する初期投資と比べて、トークンに対処するための投資は通常見合わないためだ。
Garruk Relentlessを投入しよう。ガラクははじめから2/2狼トークンを生成できて、無視はできない。奇跡以外の相手に対しては、2/2でボードを膠着させることによって攻撃と防御のバランスを変えることができる。奇跡に対してはTerminusを恐れすぎる必要がなくなる:相手は生み出され続ける2/2に対処する方法を見つけなきゃならない。
ガラクは除去としても使えて、2/3以下の生物は殺せる。ブロッカーや厄介なクリーチャーを除去できるのは素晴らしくて、さらにガラクを真の獣に変えることができる。1/1接死の狼はマーベリック相手のようなクリーチャー戦で輝く。聖遺はマザーのプロテクションがなければ攻撃できなくなり、狼から守るプロテクションを与えたところにインスタント除去を撃ち込んで差をつけることができる。考慮に入れなきゃならないことが増え、相手にとってゲームの複雑さが一層増すことになる。ふつう1/1の狼は他のクリーチャーが防御に回っているうちにアタックして何点かのライフを奪う。そしてこれを後押しするのが死儀礼だ。Ulvenwald Trackerがいれば、狼を聖遺に投げつけることで完全にクリーチャー戦を支配できるし、マザーの起動にレスポンスできるインスタントスピードの除去がさらに増えることになる。
2番目の能力によって東屋や狼トークンをサクって追加の聖遺をサーチするのは良い交換だ。奥義を起動することはあまりないけど、しばらく膠着状態になっている場合は特に忘れないでおこう。もし相手が気づいていなければ文字通りいきなり勝つことができる。
しかしLiliana of the Veilはどうなんだろう?リリアナはコストは1マナ軽いが、色拘束はキツい。お互いにディスカードさせる強力な能力を持っているけど、捨ててもいいカードを使うかロームのような長期的なアドバンテージを得るカードを一緒に使うべきだ。奥義は良いんだけど、パーマネント除去はリリアナの力がなくてもできる。クリーチャーは既に殺してしまっているだろう。リリアナはJunkデッキでは冗長なんだ。特に革新的なことはせず、あなたが既にできることをやる。
リリアナは奇跡とのマッチアップではとても弱い。奇跡の弱点を突けないからね。相手はこちらよりも多くのカードをドローし、ふつうはリリアナの奥義を使われた場合に備えてパーマネントはほとんどプレイせず、たとえその他全てのパーマネントをサクることになってもジェイスを守るだろう。彼らはこちらが睨みを効かせているうちは基本的にクリーチャーをプレイせず、Entreat1枚を使うだけで天使トークンをたくさん出してくる。
ガラクは弱点を突くだけでなく他のデッキに対しても強く、相手に予期せぬ脅威への対処を迫る。4マナと重いけど、マナを払うだけの価値はある。コントロール相手に強いだけでなくクリーチャー戦で力を発揮するというのは、同じマナ域の他のプレインズウォーカーにはできないことだ。エルズペスを除いてね。エルズペスはいくつかの理由で採用を見送った。黒と緑がメインのデッキにとってはマナコストが少しキツい。Lingering Soulsのおかげでみんなが白いトークンへの対策を入れている。1/1トークンは対処されやすい。奥義が奇跡に対して役に立たない。こういった理由でエルズペスよりもガラクを使いたくなったんだ。多くのデッキはまだエルズペスを入れているし、とても良いカードなのは間違いない。ただ今のメタには不十分だと思うんだ。
この記事はかなり長くなってしまったので、サイドボードについては次の記事で話すことにするよ。それまでに言えるアドバイスの中でも大切なのは、複数のマッチアップで役に立つサイドカードを探し、ある一つのマッチアップでしか機能しない死に札になりやすいカードはできるだけ入れないようにするってことだ。そのマッチアップがあまりにも不利で、なおかつサイドを取らなきゃいけないぐらい流行っているのでない限りは。
おわりに言っておきたいこと
カードドローと操作、脅威、回答の正しい一式、そしてしっかり作ったサイドボードとマナベースがあれば、自分の好きなデッキを使ってあるメタゲームの中で成功することは誰にでもできる。Junkの良いところは除去と妨害に速いクロックが合わさり、いろいろなメタゲームでうまく立ち回れることだ。これは多くの戦略に対する幅広い回答を持っているからできることなんだ。メインボードで全てのマッチアップをカバーできなかったとしても、Junkの色には強力なサイドカードがたくさんあり、どんな相手に対しても補強することができる。
今のマーベリック、RUG、コンボ、奇跡コントロールで構成されたメタゲームにおいて、Junkのカラーパイは良い位置につける準備が整っている。そのBrainstormは置いて、黒白緑のミッドレンジデッキのパワーを試してみるのもいいんじゃないかな。青を倒せることの楽しさはやってみなきゃ分からないよ。
それじゃあまた次回。
Matt Pavlic
【翻訳】U/B Nivmagus Primer - Joshua Cho
2012年12月15日 翻訳(レガシー) コメント (4)StarCityGamesより。
青黒ニヴメイガスの解説。
構成は多少違いましたが、SCGオープンではバルチモア、ラスベガスと続けて上位に入っていましたね。
ピーキー好きにはうってつけではないでしょうか。
-----
U/B Nivmagus Primer
JOSHUA CHO
12/07
http://www.starcitygames.com/article/25321_UB-Nivmagus-Primer.html
やあ!
前の記事からだいぶ間があいちゃったね。ここのところイマイチな成績続きだったんだ。
負けるのは楽しい。みんな分かってるように、いつも同じではなく変動があるのは素晴らしいことで、それによって僕らは自分よりも才能のある人を倒すことができる。自分より良い相手にはあっという間にやられてしまうというのでは、マジックはすぐに退屈なものになってしまうだろうね。
その一方で、僕らが自分より悪いはずの相手に負けるのも変動があるためだ。
自分の負けをすぐにツキの無さ、変動、あるいは宿命のせいにしてブーブー言うのは避けなきゃいけない罠だ。対戦相手がタイミングバッチリなトップデッキをして、あなたが注意深く築き上げた「見事な」盤面を台無しにしてしまうこともある。それでも毎回負けた後には内省的になって、何が間違っていたかを理解しようとすべきだ。自分のしたミス、とりわけゲームを終わらせてしまうようなミスは自らの過ちから学ぶ機会を与えてくれる。より良いプレイヤーになるには、批判、特に自分自身からの批判に対して心をオープンにしていなければならない。
この長ったらしいイントロで言いたいのは、僕は最近たくさん負けて、それによって長い間じっくりと自分が何をしていたか見つめることができたってことだ。競技レベルのトーナメントに参加するうえでは、こういう機会がたくさんあるのは幸運でもあるけど災難でもあるね。
どうすればマンネリから抜け出せるか考えるのは楽しい。
ここ2ヶ月はほとんど惰性でトーナメントに足を運んでいて、ゲームを楽しめたことはほとんどなかった。
バルチモアでのSCGレガシーオープンのために面白いリストを探していたとき、たまたま先週金曜のGerryの記事(http://www.starcitygames.com/article/25283_Three-Formats-Six-Decklists.html)にたどり着いた。その記事でGerryは複数のフォーマットに渡っていくつかのデッキを考察していた。ほとんどチラ裏みたいな感じで、彼はNivmagus Elementalを主役にしたとても面白い青黒テンポのリストを載せていた。言うまでもなく僕は型破りなデッキをプレイするのが大好きで、そのデッキは期待通りの楽しさだったよ。
デッキ
U/B Tempo
Joshua Cho 24th Place at SCG Legacy Open on 12/2/2012
Creatures (12)
* 4 Death’s Shadow
* 4 Delver of Secrets
* 4 Nivmagus Elemental
Spells (32)
* 2 Clout of the Dominus
* 4 Brainstorm
* 4 Daze
* 4 Flusterstorm
* 4 Force of Will
* 2 Gut Shot
* 4 Snuff Out
* 4 Gitaxian Probe
* 4 Thoughtseize
Lands (16)
* 1 Island
* 1 Swamp
* 1 Misty Rainforest
* 4 Polluted Delta
* 3 Scalding Tarn
* 4 Underground Sea
* 2 Watery Grave
Sideboard
* 3 Pithing Needle
* 3 Tormod’s Crypt
* 1 Clout of the Dominus
* 1 Echoing Truth
* 1 Ensnare
* 2 Ghastly Demise
* 4 Erayo, Soratami Ascendant
Deck Techはここ(http://www.youtube.com/watch?v=fdHD2rztxEI&feature=youtu.be)で見られるよ。
僕がNivmagus Elementalに夢中だってことについては少し書いておいた方がいいだろうね。このカードが最初にスポイルされたときに一目惚れしてしまったんだ。
特にφマナスペルとストーム持ちのカードとのシナジーによって、このカードがモダンで力を発揮するだろうことはたやすく想像できた。PTラヴニカへの回帰で僕はNivmagus Elementalをコンボとして使った。ニヴメイガスを一気に膨らませてTainted StrikeかAssault Strobeで相手に致命的な一撃を加えるターンを作り出すことができるだろう。プロツアーでは思い通りにうまくはいかなかったけど、ニヴメイガスは注目すべきカードとして心に留めていた。
今回のニヴメイガスを使ったレガシーデッキは面白い方針を採用していて、プロツアーで使ったコンボ型とは異なるものになっている。このあいだのSCGインビテーショナルで使った、僕が慣れ親しんでいるまた別のタイプのデッキにそっくりだ。
バルチモアでのリストは、アトランタでのインビテーショナルで使ったリスト(http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=49543)から間違いなく進化している。
スペースを作るために緑を抜き、Nivmagus Elementalとそれを育てる軽いφマナスペル、Flusterstorm、追加の妨害、そしてとてもコストパフォーマンスの良いエレメンタル巨大化手段が入っている。
変わっているのは、他のデッキが使っているようなレガシーで使える強力なカードが入っていない。より「パワフルな」スペルが自由に使えるレガシーで、特にGut ShotやGitaxian Probe、Watery Graveといったカードに居場所はないように思えるだろう。しかし、このデッキは普通はディスアドバンテージになる要素、ペイライフを積極的に取り入れ、ゲームプランを推し進める手段にしている。
クリーチャー
このデッキのゴールは1マナ生物のうち1体をプレイし、ソイツを相手が対処不能な状態にまで育てることだ。
Death’s Shadowは仕事をさせるためにかなり頑張る必要のあるクリーチャーだ。1ターン目にフェッチを切りWatery Graveを持ってきて、それからThoughtseizeを撃つことによって15ライフでスタートし、序盤のDeath’s Shadowのお膳立てができることはしょっちゅうあるよ。
Delver of Secretsは今のところレガシーでは鉄板で、ひっくり返すためのスペルはたっぷり30枚入っている。
Nivmagus Elementalは非常に優れた序盤の生物だ。こちらには0マナで使えるスペルが多く入っているため、ニヴメイガスはダメージによる除去、たいていはLightning Boltに対して自然と耐性を持つことになる。
ニヴメイガスを使ったクールなトリック
ニヴメイガスを使うのに慣れるには少し時間がかかる。
簡単なトリックもあり、ブロックされたときや直接ダメージにレスポンスして、こちらの0マナスペルは全てパンプアップに使うことができる。
それ以外のトリックはなかなか気づきにくい。ニヴメイガスでできる格好いい動きをいくつか紹介しよう。
* ニヴメイガスが出ているときにあなたの呪文がカウンターされた場合、その呪文を追放して有効活用できることを覚えておこう。その呪文の効果を得たかったかもしれないが、しかし最悪でも2つの+1/+1カウンターにできるのは良いことだ。
* Flusterstormを使うとき、ストームによるコピーは1つずつ解決しよう。相手が1つ目のコピーに対して支払わないことを選んだら、すぐに残り全てのコピーを追放して最大の効果を得よう。
* 自分自身のスペルに対してDazeを使うことができる。Dazeを追放し、コストとして手札に戻した土地を再び出すことで1マナ呪文を使える状態を保てる。
* 加速する必要がある場合、あなた自身のニヴメイガスにSnuff Outを撃つことができる。Death’s Shadowとニヴメイガスが出ているなら、4ライフ払ったうえでSnuff Outを追放することによってパワーが6上がることになる。
妨害
多くの青デッキと同じく、このデッキはレガシーに生息するアンフェアなデッキを妨害するために0マナカウンターに強く依存している。
Force of Will、Daze、そしてThoughtseizeはコンボデッキと戦うときに必要な時間を稼ぐとともに、こちらの数少ないクリーチャーを守る手段でもある。Flusterstormはニヴメイガスを育てる最高の手段でありつつ追加のカウンターにもなっている。
土地
ゲームに勝つのに0か1マナのスペルしかほぼ使わないため、土地では少しインチキが可能だ。RUGデルバーとよく似て、このデッキは1枚か2枚の土地があれば機能する。
Watery Graveを入れる理由については既に触れた。それ以外の土地はかなり素直だ。
一つ覚えておいた方がいいのは、Liliana of the Veilをより気にしなければならないメタの場合、Dryad Arborを調達するためにフェッチランドを変更できるということだ。リリアナを気にしないのであれば、動きをスムーズにするためにお好みの青絡みのフェッチを使える。
問題となるカードたち
全てのデッキがそうであるように、こちらにとって対処が難しいカードを相手が入れているマッチアップがいくつかある。このデッキの場合、特に厳しいマッチアップが2つ3つある。
Abrupt DecayとSupreme Verdict
この2つのラヴニカへの回帰のカードはこちらのプランにとって深刻な脅威となる。通常クリーチャー除去は大きな問題にはならないが、これら2つは打ち消されない能力によってこちらのカウンターをすり抜けてくる。
というわけで、この2枚にどうやって対処するかには頭を絞る必要がある。衰微や評決が盤面に影響を与える前にThoughtseizeで捨てさせてしまうのが一番いい。そしてClout of the Dominusはこちらの勝利手段が衰微で死ぬのを防ぐ手段になってくれる。
CounterbalanceとSensei’s Divining Top
こちらの勝利手段が全て1マナなので相殺は本当に厳しいカードで、いったん相手が独楽とのコンボを完成させてしまえばこちらはほとんど完全にロックされてしまう。彼らは単に独楽を使ってカードを引き、それをライブラリトップに乗せるだけでこちらをゲームから閉め出してしまえる。
これに対抗するベストな方法は、先手先手でハンデスを撃つか、Pithing Needleを独楽に刺すか、あるいはコンボパーツのいずれかを解決させないかだ。
Engineered ExplosivesとAcademy Ruins
爆薬X=1によってこちらの脅威のうち裏返ったデルバー以外は使いものにならなくなってしまう。爆薬を使うデッキの多くはAcademy Ruinsを入れて繰り返し場に戻してくるので、この問題への対策は難しい。爆薬でロックされるのを防ぐための最良の選択肢は針だ。
Swords to Plowshares
ソープロはDeath’s Shadowに頼るデッキにとって大きな問題だ。ソープロによって2体以上のDeath’s Shadowを場に出すのが難しくなる。1体を農場送りにされるとこちらのライフが13になり、残りの死の影も死んでしまうためだ。
ソープロ入りのデッキ相手では、本当に必要なとき以外は死の影を追加で出すことには慎重になろう。
サイドボードの手引き
問題となるカードが明らかになったところで、よくあるマッチアップに対してどうサイドすべきかを見てみよう。
バーン
ある意味では、Death’s Shadowを大きくするために必死になる必要のないマッチアップだ。そのターン中に死の影で勝てるか、相手が何を持っているか完全に分かっているときを除き、できるだけペイライフしないことをオススメする。
何をケアすべきか明らかにするためにギタ調と囲いを使い、自分のライフトータルにはよくよく注意を払おう。速いクロックで相手を仕留められるようにすべきだが、彼らが軽いスペルの連打によってあなたをいきなり殺してくることは忘れちゃいけない。
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 1 Clout of the Dominus
Out: 4 Snuff Out, 1 Thoughtseize
このサイドプランは相手がクリーチャー多めの場合には変わりうる。相手がFigure of Destinyなどの生物をアタック要員として採用している場合は、Gut Shotと追加のThoughtseizeが抜く候補になる。そうでない場合、このマッチアップで最大の死に札はSnuff Outだ。そしてバーンに対してすごい力を発揮するErayoをサイドインすることになる。Erayoをプレイして反転させ、相手が限られた手札でこちらに20点与えるのを難しくしてしまうことがバーン相手での主な勝利ルートだ。
盤面で圧力をかけ、相手が簡単にあなたに直接ダメージを打ち込めないようにしよう。カウンターはまさにあなたを殺す一撃を弾くために温存し、序盤に生物を出してクロックをかけよう。このことを忘れなければ、バーン相手はいくらか緊張感はあるもののかなり楽なマッチアップだと気づくはずだ。
RUGデルバー
このマッチアップについてはよく尋ねられる。そして実際のところこちらがかなり有利なんだ。
あなたは相手のデルバーとタルモを殺す手段を大量に持っていて、Nivmagus ElementalとDeath’s Shadowはマングースを含む相手の生物を簡単に上回ることができる。彼らにはこちらの脅威へのまともな対処手段がサイド後のPyroblastしかなく、ニヴメイガスを出して成長させればそのまま勝利まで連れて行ってくれる。
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 1 Clout of the Dominus, 2 Ghastly Demise, 1 Ensnare
Out: 4 Force of Will, 4 Daze (on the draw), 4 Flusterstorm (on the play)
あなたの手札2枚を使って対処するに値するスペルを相手は入れていない。だからウィルは簡単に抜ける。Dazeは後手では常に悪く、こちらが展開で遅れを取ればRUGはあっさりそのまま勝ってくる。
先攻のときはDazeを有効に使うことができるので、Flusterstormを抜く。Flusterstormにはあまり良い対象がないのと、ニヴメイガスをそこまで巨大にしなくても相手の生物を上回れるためだ。
Cloutは相手が入れてくるであろうPyroblastを防ぐ優れた盾になり、Ghastly Demiseはマングース以外のクリーチャーを殺す追加の手段となり、Ensnareは相手が横に並べてきたときの突破手段を与えてくれる。
RUGデルバーは2つ目の有利なマッチアップだ。
青白奇跡
これはもっとも厳しいマッチアップの一つだ。さっき明らかにした問題カードを山ほど使って彼らのゲームプランは組み立てられている。
あなたは序盤に脅威を出し、相手がボードを掌握できるようになる前に倒せるように祈らなければならない。いったん彼らがゲームのコントロールを握ってしまったら、突破することはほぼ不可能だ。
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 3 Pithing Needle
Out: 4 Snuff Out, 2 Gut Shot, 1 Flusterstorm
繰り返すが、ソープロ、評決、爆薬、そして相殺独楽は全てサイド後にも心配しなければならないカードたちだ。追加のCloutをサイドインするのはオススメできない。既に2枚入っているのと、相手に対抗し、早期にエラヨウを反転させるためにはメインボードのスペルの多くを残しておく必要があるためだ。Pithing Needleでは多くの場合Engineered Explosivesを指定し、続いて2番目に独楽を指定すべきだ。
ヌルいプレイは決してせず、最高の引きを祈ろう。それでもこのデッキにとって奇跡は間違いなく楽な相手ではない。
BUGデルバー
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 1 Clout of the Dominus
Out: 1 Snuff Out, 4 Daze (on the draw), 4 Force of Will (on the play)
この試合はRUGとのマッチアップに似た展開になる。しかしPernicious Deed、Abrupt Decay、そしてときどき入っているTombstalkerのようなハードパンチャーには注意が必要だ。
あなたのクリーチャーは相手よりも大きくなるはずだが、それでもCloutは彼らのターゲット除去からこちらの脅威を守る手段としてとても重要になる。全体除去を解決させないようにすれば有利に進められるはずだ。
楽しいカードが大量に入っているだけでなく、複雑な選択肢がたくさんあるデッキをプレイしたいなら、このデッキを試してみることを強くオススメするよ。
毎ゲームすごく緊張感がある。ニヴメイガスを育てるためにどれぐらい積極的にスペルをピッチで撃っていけるか、あるいは死の影を大きくするためにどの程度まで自分にダメージを与えられるか。これらを考えるうえで相手のプランを知ることがとても重要になる。幸いこちらはGitaxian ProbeとThoughtseizeによって相手の手札を何度も見ることができる。この情報によって数ターン後までのプランを立て、先の展開の感触をつかみ、相手に(自分に)対して一気に畳み掛けるべきときはいつなのか、タイミングを図ろう。
今週末はロサンゼルスでのインビテーショナル前の最後のSCGオープンが開かれる。もし行こうかどうか迷っているなら、是非行くことをオススメするよ。インビテーショナルに招待されることは名誉という意味でも金銭面でもとても価値がある。僕はラスベガスには参加できないけど、ロサンゼルスでの今年最後のインビテーショナルに参加するのはすごく楽しみにしてる。読者のみんなとそこで会えますように!
いつも読んでくれてありがとう。
Josh Cho
青黒ニヴメイガスの解説。
構成は多少違いましたが、SCGオープンではバルチモア、ラスベガスと続けて上位に入っていましたね。
ピーキー好きにはうってつけではないでしょうか。
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U/B Nivmagus Primer
JOSHUA CHO
12/07
http://www.starcitygames.com/article/25321_UB-Nivmagus-Primer.html
やあ!
前の記事からだいぶ間があいちゃったね。ここのところイマイチな成績続きだったんだ。
負けるのは楽しい。みんな分かってるように、いつも同じではなく変動があるのは素晴らしいことで、それによって僕らは自分よりも才能のある人を倒すことができる。自分より良い相手にはあっという間にやられてしまうというのでは、マジックはすぐに退屈なものになってしまうだろうね。
その一方で、僕らが自分より悪いはずの相手に負けるのも変動があるためだ。
自分の負けをすぐにツキの無さ、変動、あるいは宿命のせいにしてブーブー言うのは避けなきゃいけない罠だ。対戦相手がタイミングバッチリなトップデッキをして、あなたが注意深く築き上げた「見事な」盤面を台無しにしてしまうこともある。それでも毎回負けた後には内省的になって、何が間違っていたかを理解しようとすべきだ。自分のしたミス、とりわけゲームを終わらせてしまうようなミスは自らの過ちから学ぶ機会を与えてくれる。より良いプレイヤーになるには、批判、特に自分自身からの批判に対して心をオープンにしていなければならない。
この長ったらしいイントロで言いたいのは、僕は最近たくさん負けて、それによって長い間じっくりと自分が何をしていたか見つめることができたってことだ。競技レベルのトーナメントに参加するうえでは、こういう機会がたくさんあるのは幸運でもあるけど災難でもあるね。
どうすればマンネリから抜け出せるか考えるのは楽しい。
ここ2ヶ月はほとんど惰性でトーナメントに足を運んでいて、ゲームを楽しめたことはほとんどなかった。
バルチモアでのSCGレガシーオープンのために面白いリストを探していたとき、たまたま先週金曜のGerryの記事(http://www.starcitygames.com/article/25283_Three-Formats-Six-Decklists.html)にたどり着いた。その記事でGerryは複数のフォーマットに渡っていくつかのデッキを考察していた。ほとんどチラ裏みたいな感じで、彼はNivmagus Elementalを主役にしたとても面白い青黒テンポのリストを載せていた。言うまでもなく僕は型破りなデッキをプレイするのが大好きで、そのデッキは期待通りの楽しさだったよ。
デッキ
U/B Tempo
Joshua Cho 24th Place at SCG Legacy Open on 12/2/2012
Creatures (12)
* 4 Death’s Shadow
* 4 Delver of Secrets
* 4 Nivmagus Elemental
Spells (32)
* 2 Clout of the Dominus
* 4 Brainstorm
* 4 Daze
* 4 Flusterstorm
* 4 Force of Will
* 2 Gut Shot
* 4 Snuff Out
* 4 Gitaxian Probe
* 4 Thoughtseize
Lands (16)
* 1 Island
* 1 Swamp
* 1 Misty Rainforest
* 4 Polluted Delta
* 3 Scalding Tarn
* 4 Underground Sea
* 2 Watery Grave
Sideboard
* 3 Pithing Needle
* 3 Tormod’s Crypt
* 1 Clout of the Dominus
* 1 Echoing Truth
* 1 Ensnare
* 2 Ghastly Demise
* 4 Erayo, Soratami Ascendant
Deck Techはここ(http://www.youtube.com/watch?v=fdHD2rztxEI&feature=youtu.be)で見られるよ。
僕がNivmagus Elementalに夢中だってことについては少し書いておいた方がいいだろうね。このカードが最初にスポイルされたときに一目惚れしてしまったんだ。
特にφマナスペルとストーム持ちのカードとのシナジーによって、このカードがモダンで力を発揮するだろうことはたやすく想像できた。PTラヴニカへの回帰で僕はNivmagus Elementalをコンボとして使った。ニヴメイガスを一気に膨らませてTainted StrikeかAssault Strobeで相手に致命的な一撃を加えるターンを作り出すことができるだろう。プロツアーでは思い通りにうまくはいかなかったけど、ニヴメイガスは注目すべきカードとして心に留めていた。
今回のニヴメイガスを使ったレガシーデッキは面白い方針を採用していて、プロツアーで使ったコンボ型とは異なるものになっている。このあいだのSCGインビテーショナルで使った、僕が慣れ親しんでいるまた別のタイプのデッキにそっくりだ。
バルチモアでのリストは、アトランタでのインビテーショナルで使ったリスト(http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=49543)から間違いなく進化している。
スペースを作るために緑を抜き、Nivmagus Elementalとそれを育てる軽いφマナスペル、Flusterstorm、追加の妨害、そしてとてもコストパフォーマンスの良いエレメンタル巨大化手段が入っている。
変わっているのは、他のデッキが使っているようなレガシーで使える強力なカードが入っていない。より「パワフルな」スペルが自由に使えるレガシーで、特にGut ShotやGitaxian Probe、Watery Graveといったカードに居場所はないように思えるだろう。しかし、このデッキは普通はディスアドバンテージになる要素、ペイライフを積極的に取り入れ、ゲームプランを推し進める手段にしている。
クリーチャー
このデッキのゴールは1マナ生物のうち1体をプレイし、ソイツを相手が対処不能な状態にまで育てることだ。
Death’s Shadowは仕事をさせるためにかなり頑張る必要のあるクリーチャーだ。1ターン目にフェッチを切りWatery Graveを持ってきて、それからThoughtseizeを撃つことによって15ライフでスタートし、序盤のDeath’s Shadowのお膳立てができることはしょっちゅうあるよ。
Delver of Secretsは今のところレガシーでは鉄板で、ひっくり返すためのスペルはたっぷり30枚入っている。
Nivmagus Elementalは非常に優れた序盤の生物だ。こちらには0マナで使えるスペルが多く入っているため、ニヴメイガスはダメージによる除去、たいていはLightning Boltに対して自然と耐性を持つことになる。
ニヴメイガスを使ったクールなトリック
ニヴメイガスを使うのに慣れるには少し時間がかかる。
簡単なトリックもあり、ブロックされたときや直接ダメージにレスポンスして、こちらの0マナスペルは全てパンプアップに使うことができる。
それ以外のトリックはなかなか気づきにくい。ニヴメイガスでできる格好いい動きをいくつか紹介しよう。
* ニヴメイガスが出ているときにあなたの呪文がカウンターされた場合、その呪文を追放して有効活用できることを覚えておこう。その呪文の効果を得たかったかもしれないが、しかし最悪でも2つの+1/+1カウンターにできるのは良いことだ。
* Flusterstormを使うとき、ストームによるコピーは1つずつ解決しよう。相手が1つ目のコピーに対して支払わないことを選んだら、すぐに残り全てのコピーを追放して最大の効果を得よう。
* 自分自身のスペルに対してDazeを使うことができる。Dazeを追放し、コストとして手札に戻した土地を再び出すことで1マナ呪文を使える状態を保てる。
* 加速する必要がある場合、あなた自身のニヴメイガスにSnuff Outを撃つことができる。Death’s Shadowとニヴメイガスが出ているなら、4ライフ払ったうえでSnuff Outを追放することによってパワーが6上がることになる。
妨害
多くの青デッキと同じく、このデッキはレガシーに生息するアンフェアなデッキを妨害するために0マナカウンターに強く依存している。
Force of Will、Daze、そしてThoughtseizeはコンボデッキと戦うときに必要な時間を稼ぐとともに、こちらの数少ないクリーチャーを守る手段でもある。Flusterstormはニヴメイガスを育てる最高の手段でありつつ追加のカウンターにもなっている。
土地
ゲームに勝つのに0か1マナのスペルしかほぼ使わないため、土地では少しインチキが可能だ。RUGデルバーとよく似て、このデッキは1枚か2枚の土地があれば機能する。
Watery Graveを入れる理由については既に触れた。それ以外の土地はかなり素直だ。
一つ覚えておいた方がいいのは、Liliana of the Veilをより気にしなければならないメタの場合、Dryad Arborを調達するためにフェッチランドを変更できるということだ。リリアナを気にしないのであれば、動きをスムーズにするためにお好みの青絡みのフェッチを使える。
問題となるカードたち
全てのデッキがそうであるように、こちらにとって対処が難しいカードを相手が入れているマッチアップがいくつかある。このデッキの場合、特に厳しいマッチアップが2つ3つある。
Abrupt DecayとSupreme Verdict
この2つのラヴニカへの回帰のカードはこちらのプランにとって深刻な脅威となる。通常クリーチャー除去は大きな問題にはならないが、これら2つは打ち消されない能力によってこちらのカウンターをすり抜けてくる。
というわけで、この2枚にどうやって対処するかには頭を絞る必要がある。衰微や評決が盤面に影響を与える前にThoughtseizeで捨てさせてしまうのが一番いい。そしてClout of the Dominusはこちらの勝利手段が衰微で死ぬのを防ぐ手段になってくれる。
CounterbalanceとSensei’s Divining Top
こちらの勝利手段が全て1マナなので相殺は本当に厳しいカードで、いったん相手が独楽とのコンボを完成させてしまえばこちらはほとんど完全にロックされてしまう。彼らは単に独楽を使ってカードを引き、それをライブラリトップに乗せるだけでこちらをゲームから閉め出してしまえる。
これに対抗するベストな方法は、先手先手でハンデスを撃つか、Pithing Needleを独楽に刺すか、あるいはコンボパーツのいずれかを解決させないかだ。
Engineered ExplosivesとAcademy Ruins
爆薬X=1によってこちらの脅威のうち裏返ったデルバー以外は使いものにならなくなってしまう。爆薬を使うデッキの多くはAcademy Ruinsを入れて繰り返し場に戻してくるので、この問題への対策は難しい。爆薬でロックされるのを防ぐための最良の選択肢は針だ。
Swords to Plowshares
ソープロはDeath’s Shadowに頼るデッキにとって大きな問題だ。ソープロによって2体以上のDeath’s Shadowを場に出すのが難しくなる。1体を農場送りにされるとこちらのライフが13になり、残りの死の影も死んでしまうためだ。
ソープロ入りのデッキ相手では、本当に必要なとき以外は死の影を追加で出すことには慎重になろう。
サイドボードの手引き
問題となるカードが明らかになったところで、よくあるマッチアップに対してどうサイドすべきかを見てみよう。
バーン
ある意味では、Death’s Shadowを大きくするために必死になる必要のないマッチアップだ。そのターン中に死の影で勝てるか、相手が何を持っているか完全に分かっているときを除き、できるだけペイライフしないことをオススメする。
何をケアすべきか明らかにするためにギタ調と囲いを使い、自分のライフトータルにはよくよく注意を払おう。速いクロックで相手を仕留められるようにすべきだが、彼らが軽いスペルの連打によってあなたをいきなり殺してくることは忘れちゃいけない。
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 1 Clout of the Dominus
Out: 4 Snuff Out, 1 Thoughtseize
このサイドプランは相手がクリーチャー多めの場合には変わりうる。相手がFigure of Destinyなどの生物をアタック要員として採用している場合は、Gut Shotと追加のThoughtseizeが抜く候補になる。そうでない場合、このマッチアップで最大の死に札はSnuff Outだ。そしてバーンに対してすごい力を発揮するErayoをサイドインすることになる。Erayoをプレイして反転させ、相手が限られた手札でこちらに20点与えるのを難しくしてしまうことがバーン相手での主な勝利ルートだ。
盤面で圧力をかけ、相手が簡単にあなたに直接ダメージを打ち込めないようにしよう。カウンターはまさにあなたを殺す一撃を弾くために温存し、序盤に生物を出してクロックをかけよう。このことを忘れなければ、バーン相手はいくらか緊張感はあるもののかなり楽なマッチアップだと気づくはずだ。
RUGデルバー
このマッチアップについてはよく尋ねられる。そして実際のところこちらがかなり有利なんだ。
あなたは相手のデルバーとタルモを殺す手段を大量に持っていて、Nivmagus ElementalとDeath’s Shadowはマングースを含む相手の生物を簡単に上回ることができる。彼らにはこちらの脅威へのまともな対処手段がサイド後のPyroblastしかなく、ニヴメイガスを出して成長させればそのまま勝利まで連れて行ってくれる。
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 1 Clout of the Dominus, 2 Ghastly Demise, 1 Ensnare
Out: 4 Force of Will, 4 Daze (on the draw), 4 Flusterstorm (on the play)
あなたの手札2枚を使って対処するに値するスペルを相手は入れていない。だからウィルは簡単に抜ける。Dazeは後手では常に悪く、こちらが展開で遅れを取ればRUGはあっさりそのまま勝ってくる。
先攻のときはDazeを有効に使うことができるので、Flusterstormを抜く。Flusterstormにはあまり良い対象がないのと、ニヴメイガスをそこまで巨大にしなくても相手の生物を上回れるためだ。
Cloutは相手が入れてくるであろうPyroblastを防ぐ優れた盾になり、Ghastly Demiseはマングース以外のクリーチャーを殺す追加の手段となり、Ensnareは相手が横に並べてきたときの突破手段を与えてくれる。
RUGデルバーは2つ目の有利なマッチアップだ。
青白奇跡
これはもっとも厳しいマッチアップの一つだ。さっき明らかにした問題カードを山ほど使って彼らのゲームプランは組み立てられている。
あなたは序盤に脅威を出し、相手がボードを掌握できるようになる前に倒せるように祈らなければならない。いったん彼らがゲームのコントロールを握ってしまったら、突破することはほぼ不可能だ。
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 3 Pithing Needle
Out: 4 Snuff Out, 2 Gut Shot, 1 Flusterstorm
繰り返すが、ソープロ、評決、爆薬、そして相殺独楽は全てサイド後にも心配しなければならないカードたちだ。追加のCloutをサイドインするのはオススメできない。既に2枚入っているのと、相手に対抗し、早期にエラヨウを反転させるためにはメインボードのスペルの多くを残しておく必要があるためだ。Pithing Needleでは多くの場合Engineered Explosivesを指定し、続いて2番目に独楽を指定すべきだ。
ヌルいプレイは決してせず、最高の引きを祈ろう。それでもこのデッキにとって奇跡は間違いなく楽な相手ではない。
BUGデルバー
In: 4 Erayo, Soratami Ascendant, 1 Clout of the Dominus
Out: 1 Snuff Out, 4 Daze (on the draw), 4 Force of Will (on the play)
この試合はRUGとのマッチアップに似た展開になる。しかしPernicious Deed、Abrupt Decay、そしてときどき入っているTombstalkerのようなハードパンチャーには注意が必要だ。
あなたのクリーチャーは相手よりも大きくなるはずだが、それでもCloutは彼らのターゲット除去からこちらの脅威を守る手段としてとても重要になる。全体除去を解決させないようにすれば有利に進められるはずだ。
楽しいカードが大量に入っているだけでなく、複雑な選択肢がたくさんあるデッキをプレイしたいなら、このデッキを試してみることを強くオススメするよ。
毎ゲームすごく緊張感がある。ニヴメイガスを育てるためにどれぐらい積極的にスペルをピッチで撃っていけるか、あるいは死の影を大きくするためにどの程度まで自分にダメージを与えられるか。これらを考えるうえで相手のプランを知ることがとても重要になる。幸いこちらはGitaxian ProbeとThoughtseizeによって相手の手札を何度も見ることができる。この情報によって数ターン後までのプランを立て、先の展開の感触をつかみ、相手に(自分に)対して一気に畳み掛けるべきときはいつなのか、タイミングを図ろう。
今週末はロサンゼルスでのインビテーショナル前の最後のSCGオープンが開かれる。もし行こうかどうか迷っているなら、是非行くことをオススメするよ。インビテーショナルに招待されることは名誉という意味でも金銭面でもとても価値がある。僕はラスベガスには参加できないけど、ロサンゼルスでの今年最後のインビテーショナルに参加するのはすごく楽しみにしてる。読者のみんなとそこで会えますように!
いつも読んでくれてありがとう。
Josh Cho
ChannelFireballより。
マリガン判断について。
マリガンについてはいったいどこまで考えればいいのか・・・奥が深すぎです。
Reid Dukeのマリガン基準についての記事も合わせてどうぞ。
http://radish.diarynote.jp/201207300022328650/
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Legacy Weapon - Keeping Cards, Not Hands
Posted by Caleb Durward
November 21, 2012
http://www.channelfireball.com/articles/legacy-weapon-keeping-cards-not-hands/
ある1枚のスペルと数枚の土地さえ
あればよいと考えていたら
あまりにも緩い秒キープが
素晴らしいものに見えることだろう
以前、アメリカのレガシーのメタゲームでは、初手はGoblin Lackyに対処できるものでなければならなかった。Force of WillもブロッカーもSwords to Plowsharesもない?出直しだ。
この頃はそんなことはないが、個々のマッチアップではやはり同じような状況になり、ある特定のカードが他のカードよりも高い価値を持つことがしばしばある。最も分かりやすい例は、リアニに対するRest in Peaceやゴブリンに対するEngineered Plagueのような対策カードだ。何しろこれらのカードはまさにそのために存在しているのだから。
カードの使い道がそこまで限定的でない場合はもっと難しい。あなたは6枚の土地とOblivion Ringという手札をスニークショー相手にキープするだろうか?Force of Willがあるが青いカードがない手札をTEPS相手にキープするだろうか?
これらの問いへの答えはあなたのデッキの残りという文脈に依存するが、試合の行方はやはり特定の切り札に左右される。そして、切り札がいつどこで重要になるかを知ることはデータマイニングの問題だ。
先日のモダンGPに参加しているあいだ、私はこの問題の影響を感じていた。モダンをプレイするときはいつもそうだが。
ジャンドに対してはLingering Soulsがあれば勝つ。ストームに対しては対策カードがあれば勝つ。ストームとのマッチアップでは、サイド後に相手がいつも入れてくるEmpty the Warrensに対してZealous Persecutionがまた別の対策カードになる。
正しい手順でプレイするスキルや複雑な盤面を評価するスキルが褒めそやされているが、どのカードが重要かを知り、そのカードを手に入れるスキルの方が重要になることはよくある。
マリガン
かつてPVはマリガンをこう定義した。「この手札よりも1枚少ない新しい手札の方がゲームに勝つ可能性が高いと信じること。」
私はこの捉え方をとても気に入っている。明確で、感情論が排除されている。
いったん定義をすれば、過ちに目を向けることができるようになる。誰かがマリガンするときにこう言っているのを聞いたことがないだろうか、「うーん、これは既にマリガンしてるのと同じだな。」
もしマリガンのゴールが死に札をなくすことであるなら、「死に札があるからマリガンした方がよい」というのはこの上ない根拠になる。しかし、これは悪いゴールだ(PVの定義を見てほしい)。手札に効果的な6枚があるのなら、それをマリガン後に引くであろう平均的な6枚と比較すべきであって、死に札を判断基準として使うべきではない。
どのみち、多くのカードは自分で思っているよりも弱い(死に札に近い)。そのThink Twiceをフラッシュバックするチャンスは訪れないかもしれないし、そのPillar of Flameは実際には何も殺せないかもしれないし、そのフィニッシャーを手遅れになる前に出せるマナは得られないかもしれない。同様に、初手にある死に札がゲーム全体を通して死に札になるとも限らない。例えば、相手はLiliana of the Veilを出してくるかもしれない。
基礎
みんな知っているように、マナソース、スペル、マナカーブ、そしてその手札で実際に何ができるかに基いて初手は評価される。非常に曖昧で、多くの人をつまづかせる部分だ。
一般に、私は最初の数ターンの大雑把なプランと、デッキの残りによってそのプランをどれぐらいうまくサポートできるかを合わせて考える。もし導き出したプランが自分のデッキに合っていないなら、そのハンドでは何もできないのでマリガンする。
次の手札を考えてみよう:
これは5色コントロールでは即キープで、4色Zooでは即マリガンだ。
通常アグロデッキは長期戦に弱く、プレッシャーをかけていくために脅威が必要なため、このハンドでは何もできない。同じ手札も、単純に時間を稼ぐ必要のあるコントロールデッキでは理想的になる。
もちろん別の考え方もある。一般に環境が遅いほど、緩いキープから立ち直るためのドローをする時間も多くなる。
いくつかのスタンダードの環境では3ターン目まで動きのないハンドをキープすることがよくあり、遅い手札にも有効牌を引き込むための時間が与えられる。そうでない環境では手遅れになってしまうだろう。
そのマッチアップのペースももちろん考える要素になる。コントロール同士のミラーでは両プレイヤーがかなりの量の土地を並べるまでは脅威が現れないケースがあり、そのような状況では土地7枚の手札が強くなる。
赤単ミラーのような軽い脅威と軽い回答を持ったデッキ同士の対戦は消耗戦となり、土地の少ない手札をキープすることが合理的になる。
個々のカードの要素
マジックをプレイすればするほど、特定のパワーカードの存在がゲームの結末に影響を与えることが分かってくる。それを探すべきときに一見堅実に見えるハンドをキープしてしまうプレイヤーは多い。これは最初の土地をプレイする前に負けている、気づきにくい負け方の一つだ。
私がこれにはじめて出くわしたのはBitterblossomがスタンダードを支配していたときに遡る。私はフェアリーを使っていなかったが、こう聞いたのは覚えている。「フェアリーミラーは苦花を引くまでマリガンするか、相手の苦花に負けるかだ。」
その後、青緑サバイバルを使っていたとき、デッキ名になっているカードを引くまでマリガンしたときに劇的に勝率が上がることに気づいた。もちろん他のそこそこ良いハンドもあったが、速攻Vengevineができないか4枚になるまでは、基本的にはマリガンをした。
最近は、マリガンをする場合はほとんどいつも特定のカードを探している。探しているのは切り札なので、4枚までマリガンして勝つことは特別珍しいことではない。そのようなケースのほとんどで、私は相手の戦略全体を否定する1枚のカード、例えばAether Vialに対するTrygon Predator、を手に入れていた。
一度、ドレッジに対して1枚までマリガンして勝ったこともある。私はゲーム2を勝利に導くLeyline of the Voidを探していたが、手に入ったのは1枚のVerdant Catacombだった。はじめの数ターンの間、相手はNarcomoebaを出すだけで止まっており、私は完璧な土地、土地、Green Sun’s Zenith(Scavenging Oozeをサーチ)という引きだった。相手はイオナをDread Returnしたが時すでに遅く、ウーズがダメージレースを制した。
いくつか例を見てみよう。
サイドボード前
チームドラフト
色をタッチした感染デッキをチームドラフトで使っていたときの以下のハンドを覚えている:
プラスの側面としては、この手札には素晴らしいマナと除去スペルがある。一方、このデッキの主軸にしている4枚のPlague Stingerが1枚も来ていない。
チームメイトにキープするよう説得され、最終的にいやいや従った。私はプレッシャーを展開していくプランでドラフトしており、この手札はぱっと見れば良く見えるけれども、このデッキはコントロール側の役割を担えるわけではなかった。
結局このキープは問題にはならなかった。というのも、私が2ラウンド目を終える前にYuya(渡辺雄也)があっさり3-0してくれたためだ。ありがたいことに、彼はまだまだ勝つつもりのようだった。
青白フラッシュ(スタンダード)
青白フラッシュはエンジンデッキだ。つまり、毎ゲーム大量のキャントリップを連鎖させようとする。このデッキは4枚の土地で運用可能で、Sphinx’s Revelationが少なくとも1枚入っているのが普通ではあるが、上の手札にある5枚目の土地はたいていは不要だ。
上の手札の2枚の島と1枚のGlacial FortressがDissipateとThought Scourに置き換わったと想像してみよう。最高の6枚じゃないか?
さらに上のハンドで2枚の島を抜いてみよう。7枚のときとたいして違わず、5枚の手札としては素晴らしいものだ。実際、そこまでレベルの高くないイベントでは毎ゲームその5枚でスタートしてもおそらく勝てるだろう。
レベルの高くないイベント――これは主観的だが、私は誰を相手にしているかによってマリガン基準を調整している。
普段この考えを述べることはしない。というのも、多くの人たちが相手のスキルのことを考えすぎてしまい、強い相手に対してマリガン地獄に陥ってしまうことになりそうだからだ。それは生き残るためのまっとうなやり方ではない。
しかしこれは私が使う戦略だ。易しい舞台では初手の許容範囲を広げることが重要だと考えている。ポーカーでやるのに似ているね。
一息入れてこのシンプルなグラフを見てみよう。
相手が弱い場合、こちらのカードはより働きを増すことになり、マリガンして勝つことも、マナフラッドの危険のある緩いハンドをキープして勝つこともより多くなるだろう。それなのに、キープ基準を変えなければ同じ確率でマリガン地獄に陥ることになる。
上のグラフで見られるように、敗北の中でマリガンが占める割合は易しい相手に対するときの方が大きい。この数字を小さくするためには手札の許容範囲を広げる必要がある。
ここが気を付けないといけないところだ。易しい舞台であなたの勝率が高くなる理由の一部は、あなたが相手よりも平均的に強いハンドをキープしていることだ。これが多くの人が許容範囲を変えることを考えない理由だ。許容範囲を広げることで良くなる以上に痛手をこうむるかもしれない。
このスキルを身に付けたとしても、それによって勝率が一気に跳ね上がることはない。
マリガン地獄の確率は例えば3%まで下がるかもしれないが、弱いハンドをキープすることで負ける確率が1%上がるだろう。勝率の増加は結局1%だ。スイス10ラウンドで25ゲームプレイするとして、4つのトーナメントを通して追加で1ゲーム拾えるかどうかという数字だ。大したことないように思えるが、1ゲームがトップ8か否かを決めることはしばしばある。
ここまで手札の許容範囲を「なぜ広げるか」あるいは「なぜ広げないか」を見てきた。「どのように広げるか」にはさらに注意が必要だ。
オープントーナメントやPTQのはじめの6,7回戦では、私は平均的な5枚の手札よりも良い初手であればなんでもキープする。たとえそれが平均的な6枚の手札より悪かったとしても。繰り返しになるが、このように許容範囲を広げられる理由は、1)こちらのカードは強い相手に対しているときよりもよく働き、2)そうしたとしても相手のキープ基準がこちらよりもなお緩いためだ。
大会後半になれば、キープ基準は普段通りに戻すべきだ。基準を戻す正しいタイミングは相手が強くなってきたことに気づいたときだ。それが早いか遅いかはイベントによる。
重要なのは、相手の手札の許容範囲が厳しくなるにしたがって、競争力を維持するためにあなたの許容範囲も同じように厳しくする必要があるということだ。
サイドボード後
今度はサイド後に分析がどう変わるかに着目して、続きの例を見ていこう。
RUG対ハイタイド
まず、基本土地しか入っていないデッキが相手の2戦目に不毛を持つ理由が分からない。実質何もしないカードに比べればForked Boltの方がまだマシだろう。2つ目に、ハイタイド相手のゲームではプレッシャーが絶対に必要だ。相手が早めに仕掛けざるを得ない状況にできればカウンター呪文が仕事をする。息をつく余裕を与えてしまうとカウンターではどうにもならない。
デルバー、タルモ、もしくはそれらをできるだけ早く見つけ出せる手札を探しに行き、それらが来るまでマリガンするだろう。
Nimble Mongooseは除去のないデッキ相手では魅力を失う。特にこのハンドにはキャントリップもない。最速のマングースは3ターン目には大きくなるが、このマッチアップではそれでも遅すぎる。
ゴブリン対エルフ
相手が分からない場合、これは良い手札だ。エルフが相手の場合、これでは欠けている。
Goblin Piledriverと不毛はどちらもおそらく働かず、リングリーダーの最高の仕事は追加のインシネレーターを見つけることか、Pyrokinesis後に引き増すことだ。
Pyrokinesisについて言うと、これは記事の初めの方で述べたスーパーパワーカードの一つだ。ピッチコストとして1枚カードが必要とはいえ、パイロはたいてい相手のカード3,4枚を奪う。相手のテンポを破壊し、こちらがGoblin Sharpshooterを見つけるための時間を稼ぐ。
上の手札には何でも探せるチューターはあるが、エルフの決着ターン(3~4)には間に合わない。
私は上の手札は喜んでマリガンし、ただでPyrokinesis目当ての6ドローをしに行く。もしくは、少なくともGempalm Incineratorと1マナゴブリンのある手札までは。
サイド後はどれがパワーカードか特定するのがかなり簡単だということに気をつけてほしい。
RUGの例では正しい脅威を見つける必要があった。ゴブリンの例では探すべきサイドカードが入っていた。
Caw-Bladeミラー(新たなるファイレクシア以前)
オンラインのPTQで出くわした以下の手札は深いものだった。私はダイスロールに勝ち、一度マリガンした。そして引いたのがこれだ:
私はこの手札を長い間凝視して、それからキープした。
Craig Wescoeが肩越しに言った。
「何やってんの!?」
彼が思ったことは分かる。これは呪文を一つも唱えられない手札だ。
しかし、このマッチアップはStoneforge Mysticを出せるかどうかに大きく依存し、私はこの手札は十分好ましいと考えた。土地を引く賭けに勝つ確率は、マリガンして石鍛冶と土地を同時に引く賭けよりも良い。
当然のことながら、私は石鍛冶を2ターン目に、鷹を3ターン目に、そしてジェイスを4ターン目にキャストした。相手もこちらと同じ展開をしてきたが、2枚目のジェイスは生き残った。
私が話すエピソードの多くは私の引きが良かっただけのように見えるかもしれないが、かつては私もひどい負け方をしていたことは知っておいてほしい。少なくとも自分ではそう思っている。懐かしいな。
私の一般的な話なんかよりももっと大切なことは、私がようやくこの記事を書いた、ということだ。
ここにあるのは、数年間の長きに渡って多くの人が放置してきたこと、皆が知っていて誰か書くだろうと思っていたこと、そして語られることなく頭の中にのみ存在していたことだ。
Caleb Durward
※訳注:最終段落"sackitude"の意味がどうしても分からず("More important than my general sackitude is that I’ve finally penned this article.")、訳文では完全に推測で「話」としています。
マリガン判断について。
マリガンについてはいったいどこまで考えればいいのか・・・奥が深すぎです。
Reid Dukeのマリガン基準についての記事も合わせてどうぞ。
http://radish.diarynote.jp/201207300022328650/
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Legacy Weapon - Keeping Cards, Not Hands
Posted by Caleb Durward
November 21, 2012
http://www.channelfireball.com/articles/legacy-weapon-keeping-cards-not-hands/
ある1枚のスペルと数枚の土地さえ
あればよいと考えていたら
あまりにも緩い秒キープが
素晴らしいものに見えることだろう
以前、アメリカのレガシーのメタゲームでは、初手はGoblin Lackyに対処できるものでなければならなかった。Force of WillもブロッカーもSwords to Plowsharesもない?出直しだ。
この頃はそんなことはないが、個々のマッチアップではやはり同じような状況になり、ある特定のカードが他のカードよりも高い価値を持つことがしばしばある。最も分かりやすい例は、リアニに対するRest in Peaceやゴブリンに対するEngineered Plagueのような対策カードだ。何しろこれらのカードはまさにそのために存在しているのだから。
カードの使い道がそこまで限定的でない場合はもっと難しい。あなたは6枚の土地とOblivion Ringという手札をスニークショー相手にキープするだろうか?Force of Willがあるが青いカードがない手札をTEPS相手にキープするだろうか?
これらの問いへの答えはあなたのデッキの残りという文脈に依存するが、試合の行方はやはり特定の切り札に左右される。そして、切り札がいつどこで重要になるかを知ることはデータマイニングの問題だ。
先日のモダンGPに参加しているあいだ、私はこの問題の影響を感じていた。モダンをプレイするときはいつもそうだが。
ジャンドに対してはLingering Soulsがあれば勝つ。ストームに対しては対策カードがあれば勝つ。ストームとのマッチアップでは、サイド後に相手がいつも入れてくるEmpty the Warrensに対してZealous Persecutionがまた別の対策カードになる。
正しい手順でプレイするスキルや複雑な盤面を評価するスキルが褒めそやされているが、どのカードが重要かを知り、そのカードを手に入れるスキルの方が重要になることはよくある。
マリガン
かつてPVはマリガンをこう定義した。「この手札よりも1枚少ない新しい手札の方がゲームに勝つ可能性が高いと信じること。」
私はこの捉え方をとても気に入っている。明確で、感情論が排除されている。
いったん定義をすれば、過ちに目を向けることができるようになる。誰かがマリガンするときにこう言っているのを聞いたことがないだろうか、「うーん、これは既にマリガンしてるのと同じだな。」
もしマリガンのゴールが死に札をなくすことであるなら、「死に札があるからマリガンした方がよい」というのはこの上ない根拠になる。しかし、これは悪いゴールだ(PVの定義を見てほしい)。手札に効果的な6枚があるのなら、それをマリガン後に引くであろう平均的な6枚と比較すべきであって、死に札を判断基準として使うべきではない。
どのみち、多くのカードは自分で思っているよりも弱い(死に札に近い)。そのThink Twiceをフラッシュバックするチャンスは訪れないかもしれないし、そのPillar of Flameは実際には何も殺せないかもしれないし、そのフィニッシャーを手遅れになる前に出せるマナは得られないかもしれない。同様に、初手にある死に札がゲーム全体を通して死に札になるとも限らない。例えば、相手はLiliana of the Veilを出してくるかもしれない。
基礎
みんな知っているように、マナソース、スペル、マナカーブ、そしてその手札で実際に何ができるかに基いて初手は評価される。非常に曖昧で、多くの人をつまづかせる部分だ。
一般に、私は最初の数ターンの大雑把なプランと、デッキの残りによってそのプランをどれぐらいうまくサポートできるかを合わせて考える。もし導き出したプランが自分のデッキに合っていないなら、そのハンドでは何もできないのでマリガンする。
次の手札を考えてみよう:
《流刑への道/Path to Exile》
《稲妻/Lightning Bolt》
《マナ漏出/Mana Leak》
《稲妻のらせん/Lightning Helix》
《霧深い雨林/Misty Rainforest》
《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
これは5色コントロールでは即キープで、4色Zooでは即マリガンだ。
通常アグロデッキは長期戦に弱く、プレッシャーをかけていくために脅威が必要なため、このハンドでは何もできない。同じ手札も、単純に時間を稼ぐ必要のあるコントロールデッキでは理想的になる。
もちろん別の考え方もある。一般に環境が遅いほど、緩いキープから立ち直るためのドローをする時間も多くなる。
いくつかのスタンダードの環境では3ターン目まで動きのないハンドをキープすることがよくあり、遅い手札にも有効牌を引き込むための時間が与えられる。そうでない環境では手遅れになってしまうだろう。
そのマッチアップのペースももちろん考える要素になる。コントロール同士のミラーでは両プレイヤーがかなりの量の土地を並べるまでは脅威が現れないケースがあり、そのような状況では土地7枚の手札が強くなる。
赤単ミラーのような軽い脅威と軽い回答を持ったデッキ同士の対戦は消耗戦となり、土地の少ない手札をキープすることが合理的になる。
個々のカードの要素
マジックをプレイすればするほど、特定のパワーカードの存在がゲームの結末に影響を与えることが分かってくる。それを探すべきときに一見堅実に見えるハンドをキープしてしまうプレイヤーは多い。これは最初の土地をプレイする前に負けている、気づきにくい負け方の一つだ。
私がこれにはじめて出くわしたのはBitterblossomがスタンダードを支配していたときに遡る。私はフェアリーを使っていなかったが、こう聞いたのは覚えている。「フェアリーミラーは苦花を引くまでマリガンするか、相手の苦花に負けるかだ。」
その後、青緑サバイバルを使っていたとき、デッキ名になっているカードを引くまでマリガンしたときに劇的に勝率が上がることに気づいた。もちろん他のそこそこ良いハンドもあったが、速攻Vengevineができないか4枚になるまでは、基本的にはマリガンをした。
最近は、マリガンをする場合はほとんどいつも特定のカードを探している。探しているのは切り札なので、4枚までマリガンして勝つことは特別珍しいことではない。そのようなケースのほとんどで、私は相手の戦略全体を否定する1枚のカード、例えばAether Vialに対するTrygon Predator、を手に入れていた。
一度、ドレッジに対して1枚までマリガンして勝ったこともある。私はゲーム2を勝利に導くLeyline of the Voidを探していたが、手に入ったのは1枚のVerdant Catacombだった。はじめの数ターンの間、相手はNarcomoebaを出すだけで止まっており、私は完璧な土地、土地、Green Sun’s Zenith(Scavenging Oozeをサーチ)という引きだった。相手はイオナをDread Returnしたが時すでに遅く、ウーズがダメージレースを制した。
いくつか例を見てみよう。
サイドボード前
チームドラフト
色をタッチした感染デッキをチームドラフトで使っていたときの以下のハンドを覚えている:
《山/Mountain》
《沼/Swamp》
《森/Forest》
《森/Forest》
《鉄のマイア/Iron Myr》
《金屑化/Turn to Slag》
《荒々しき力/Untamed Might》
プラスの側面としては、この手札には素晴らしいマナと除去スペルがある。一方、このデッキの主軸にしている4枚のPlague Stingerが1枚も来ていない。
チームメイトにキープするよう説得され、最終的にいやいや従った。私はプレッシャーを展開していくプランでドラフトしており、この手札はぱっと見れば良く見えるけれども、このデッキはコントロール側の役割を担えるわけではなかった。
結局このキープは問題にはならなかった。というのも、私が2ラウンド目を終える前にYuya(渡辺雄也)があっさり3-0してくれたためだ。ありがたいことに、彼はまだまだ勝つつもりのようだった。
青白フラッシュ(スタンダード)
《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
《氷河の城砦/Glacial Fortress》
《氷河の城砦/Glacial Fortress》
《島/Island》
《島/Island》
《熟慮/Think Twice》
《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》
青白フラッシュはエンジンデッキだ。つまり、毎ゲーム大量のキャントリップを連鎖させようとする。このデッキは4枚の土地で運用可能で、Sphinx’s Revelationが少なくとも1枚入っているのが普通ではあるが、上の手札にある5枚目の土地はたいていは不要だ。
上の手札の2枚の島と1枚のGlacial FortressがDissipateとThought Scourに置き換わったと想像してみよう。最高の6枚じゃないか?
さらに上のハンドで2枚の島を抜いてみよう。7枚のときとたいして違わず、5枚の手札としては素晴らしいものだ。実際、そこまでレベルの高くないイベントでは毎ゲームその5枚でスタートしてもおそらく勝てるだろう。
レベルの高くないイベント――これは主観的だが、私は誰を相手にしているかによってマリガン基準を調整している。
普段この考えを述べることはしない。というのも、多くの人たちが相手のスキルのことを考えすぎてしまい、強い相手に対してマリガン地獄に陥ってしまうことになりそうだからだ。それは生き残るためのまっとうなやり方ではない。
しかしこれは私が使う戦略だ。易しい舞台では初手の許容範囲を広げることが重要だと考えている。ポーカーでやるのに似ているね。
一息入れてこのシンプルなグラフを見てみよう。
【キツい舞台】
・勝利:50%
・敗北(マリガン地獄によるもの):5%
・敗北(その他):45%
【易しい舞台】
・勝利:70%
・敗北(マリガン地獄によるもの):5%
・敗北(その他):25%
※訳注:グラフは元記事を見てください。
相手が弱い場合、こちらのカードはより働きを増すことになり、マリガンして勝つことも、マナフラッドの危険のある緩いハンドをキープして勝つこともより多くなるだろう。それなのに、キープ基準を変えなければ同じ確率でマリガン地獄に陥ることになる。
上のグラフで見られるように、敗北の中でマリガンが占める割合は易しい相手に対するときの方が大きい。この数字を小さくするためには手札の許容範囲を広げる必要がある。
ここが気を付けないといけないところだ。易しい舞台であなたの勝率が高くなる理由の一部は、あなたが相手よりも平均的に強いハンドをキープしていることだ。これが多くの人が許容範囲を変えることを考えない理由だ。許容範囲を広げることで良くなる以上に痛手をこうむるかもしれない。
このスキルを身に付けたとしても、それによって勝率が一気に跳ね上がることはない。
マリガン地獄の確率は例えば3%まで下がるかもしれないが、弱いハンドをキープすることで負ける確率が1%上がるだろう。勝率の増加は結局1%だ。スイス10ラウンドで25ゲームプレイするとして、4つのトーナメントを通して追加で1ゲーム拾えるかどうかという数字だ。大したことないように思えるが、1ゲームがトップ8か否かを決めることはしばしばある。
ここまで手札の許容範囲を「なぜ広げるか」あるいは「なぜ広げないか」を見てきた。「どのように広げるか」にはさらに注意が必要だ。
オープントーナメントやPTQのはじめの6,7回戦では、私は平均的な5枚の手札よりも良い初手であればなんでもキープする。たとえそれが平均的な6枚の手札より悪かったとしても。繰り返しになるが、このように許容範囲を広げられる理由は、1)こちらのカードは強い相手に対しているときよりもよく働き、2)そうしたとしても相手のキープ基準がこちらよりもなお緩いためだ。
大会後半になれば、キープ基準は普段通りに戻すべきだ。基準を戻す正しいタイミングは相手が強くなってきたことに気づいたときだ。それが早いか遅いかはイベントによる。
重要なのは、相手の手札の許容範囲が厳しくなるにしたがって、競争力を維持するためにあなたの許容範囲も同じように厳しくする必要があるということだ。
サイドボード後
今度はサイド後に分析がどう変わるかに着目して、続きの例を見ていこう。
RUG対ハイタイド
《不毛の大地/Wasteland》
《霧深い雨林/Misty Rainforest》
《Volcanic Island》
《目くらまし/Daze》
《目くらまし/Daze》
《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》
《Force of Will》
まず、基本土地しか入っていないデッキが相手の2戦目に不毛を持つ理由が分からない。実質何もしないカードに比べればForked Boltの方がまだマシだろう。2つ目に、ハイタイド相手のゲームではプレッシャーが絶対に必要だ。相手が早めに仕掛けざるを得ない状況にできればカウンター呪文が仕事をする。息をつく余裕を与えてしまうとカウンターではどうにもならない。
デルバー、タルモ、もしくはそれらをできるだけ早く見つけ出せる手札を探しに行き、それらが来るまでマリガンするだろう。
Nimble Mongooseは除去のないデッキ相手では魅力を失う。特にこのハンドにはキャントリップもない。最速のマングースは3ターン目には大きくなるが、このマッチアップではそれでも遅すぎる。
ゴブリン対エルフ
《不毛の大地/Wasteland》
《不毛の大地/Wasteland》
《山/Mountain》
《霊気の薬瓶/AEther Vial》
《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》
《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》
《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》
相手が分からない場合、これは良い手札だ。エルフが相手の場合、これでは欠けている。
Goblin Piledriverと不毛はどちらもおそらく働かず、リングリーダーの最高の仕事は追加のインシネレーターを見つけることか、Pyrokinesis後に引き増すことだ。
Pyrokinesisについて言うと、これは記事の初めの方で述べたスーパーパワーカードの一つだ。ピッチコストとして1枚カードが必要とはいえ、パイロはたいてい相手のカード3,4枚を奪う。相手のテンポを破壊し、こちらがGoblin Sharpshooterを見つけるための時間を稼ぐ。
上の手札には何でも探せるチューターはあるが、エルフの決着ターン(3~4)には間に合わない。
私は上の手札は喜んでマリガンし、ただでPyrokinesis目当ての6ドローをしに行く。もしくは、少なくともGempalm Incineratorと1マナゴブリンのある手札までは。
サイド後はどれがパワーカードか特定するのがかなり簡単だということに気をつけてほしい。
RUGの例では正しい脅威を見つける必要があった。ゴブリンの例では探すべきサイドカードが入っていた。
Caw-Bladeミラー(新たなるファイレクシア以前)
オンラインのPTQで出くわした以下の手札は深いものだった。私はダイスロールに勝ち、一度マリガンした。そして引いたのがこれだ:
《地盤の際/Tectonic Edge》
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
《戦隊の鷹/Squadron Hawk》
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
《乱動への突入/Into the Roil》
私はこの手札を長い間凝視して、それからキープした。
Craig Wescoeが肩越しに言った。
「何やってんの!?」
彼が思ったことは分かる。これは呪文を一つも唱えられない手札だ。
しかし、このマッチアップはStoneforge Mysticを出せるかどうかに大きく依存し、私はこの手札は十分好ましいと考えた。土地を引く賭けに勝つ確率は、マリガンして石鍛冶と土地を同時に引く賭けよりも良い。
当然のことながら、私は石鍛冶を2ターン目に、鷹を3ターン目に、そしてジェイスを4ターン目にキャストした。相手もこちらと同じ展開をしてきたが、2枚目のジェイスは生き残った。
私が話すエピソードの多くは私の引きが良かっただけのように見えるかもしれないが、かつては私もひどい負け方をしていたことは知っておいてほしい。少なくとも自分ではそう思っている。懐かしいな。
私の一般的な話なんかよりももっと大切なことは、私がようやくこの記事を書いた、ということだ。
ここにあるのは、数年間の長きに渡って多くの人が放置してきたこと、皆が知っていて誰か書くだろうと思っていたこと、そして語られることなく頭の中にのみ存在していたことだ。
Caleb Durward
※訳注:最終段落"sackitude"の意味がどうしても分からず("More important than my general sackitude is that I’ve finally penned this article.")、訳文では完全に推測で「話」としています。